有価証券報告書-第172期(2024/04/01-2025/03/31)

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2025/06/25 11:00
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりである。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における日本経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド消費の増加により、緩やかに回復が強まった。一方で、円安を背景とした資源価格の高止まりや物価上昇に加え、大統領交代によるアメリカの政策動向、ウクライナや中東地域をめぐる情勢など、先行きの不透明感が続いた。新聞業界では、原燃料や新聞用紙の高騰が続いており、新聞購読料の改定のほか、当社を含めて一部地域で夕刊発行を休止する新聞社が相次いだ。広告市場では、24年の総広告費が過去最高を更新し、「マスコミ四媒体」の広告費も増加に転じた。新聞は減少率は小さくなったものの、四媒体のうち唯一減少傾向が続いた。輪転機メーカーや一部の製紙会社の事業撤退もあり、新聞発行に関するサプライチェーンにも大きな環境変化が見られた。
当社グループは、こうした変化に対応すべく、24年度から3カ年の「中期経営計画2026」(中計2026)を4月にスタートさせた。経営目標は「創刊150年を迎える29年までに、グループ全体で稼ぐ力を伸ばし、メディアグループとして持続可能な経営基盤を確立する」とした。3つの方針として、「企業価値の源泉を磨き上げる」「成長のための投資を加速する」「会社のかたちを創り直す」を定め、再成長に向けた取り組みを進めた。
中計2026は、29年に向けて当社グループがめざすべき姿と理念を描いた「パーパス・ビジョン」を実現するために、グループ全体で取り組む経営の基本方針として策定した。パーパス・ビジョンは、総合スローガンを「つながれば、見えてくる。」とし、パーパスは「ひと、想い、情報に光をあて、結ぶ。ひとりひとりが希望を持てる未来をめざして。」と24年1月に公表した。
24年6月に中村史郎代表取締役会長、角田克代表取締役社長によるツートップ体制へ移行した。会長はグループ経営統括としてグループ経営にいっそう注力し、日本新聞協会会長として業界対応にも重点を置いた。社長は業務執行統括として、当社の改革を加速させる役割を担い、成長分野の開拓や朝日新聞のブランド力を向上させるための施策を進めた。
「企業価値の源泉」である報道分野においては、当社の「自民党派閥の裏金問題をめぐる一連のスクープと関連報道」が、日本新聞協会の24年度の新聞協会賞に選ばれた。政治とカネをめぐる構造を多角的に掘り下げ、「自民党の派閥解体や政治資金規正法の改正など政治の流れに大きな影響を及ぼし、権力監視の役割を果たした」と評価された。同時に、当社と㈱北海道新聞社による「統合編集システムの共同開発」も新聞技術賞を獲得。デジタルと紙面の素材を一元的に作成・配信できるシステムで、「他社への展開も期待でき、新聞界のDX化を推進する技術」と評価された。
朝日新聞のデジタル版を中核としたグループ全体のコンテンツ事業、親和性のある新規領域・事業への展開を図るための取り組みも進めた。その司令塔として、「コンテンツ・デジタル戦略室」を25年4月に発足させることを決めた。全社横断の戦略立案を進め、デジタル分野での成長を加速させる。
「成長のための投資」も順次進めた。24年5月に、アパレルを中心にカタログ通信販売と店舗販売を営む㈱ライトアップショッピングクラブの全株式を当社が取得した。アクティブシニアを中心とする顧客基盤を生かし、当社グループの通信販売事業の中核会社としての役割を担うとして、25年3月末には当社の通信販売事業を譲渡した。国際事業では、インドネシアに㈱朝日新聞アジアパシフィック、UAEに㈱朝日新聞ミドルイーストホールディングスを設立。25年2月には、ジャカルタで屋内テーマパーク「リトルプラネット」を開業した。今後は各地域でライセンス型事業、コンサルティング、展覧会・展示会事業などを展開していく。また、当社と㈱朝日学生新聞社は25年2月、㈱学研ホールディングスと3社で、子ども向けメディアプラットフォームを開発するため、新会社「㈱朝日学研シンクエスト」を設立した。4月1日から事業を開始する。
「会社のかたちを創り直す」との方針に沿って、当社役員と主なグループ企業社長で構成する「グループ経営会議」を24年7月に新設。当社とグループ企業の連携の核となった。より効率的な経営体制の構築をめざし、グループ企業の再編も進めた。当社から紙面編集や校閲業務などを委託している㈱朝日新聞メディアプロダクション(Aプロ社、東京)と㈱アサヒ・ファミリー・ニュース社(大阪)が24年4月に合併し、Aプロ社に業務を一元化した。また、折込広告を中心に広告業務全般を取り扱う㈱朝日オリコミ(東京)と㈱朝日オリコミ名古屋、朝日オリコミ西部㈱の3社も10月に合併して㈱朝日コネクトとなった。朝日新聞の販売支援を行う㈱朝日販売サービスセンター(大阪)と㈱朝日サポートセンター(名古屋)も同月に合併し、広域的な販売支援・営業会社の㈱ASCとなった。当社のバックオフィス系の部門を統合し、24年4月に発足した「コーポレート本部」も、業務の効率化と高度化を順次進めた。
また、25年3月には、ブランドキャンペーン「新しい朝をつくれ。」を始めた。「朝日新聞の印象がない」層などを減らし、好意的な印象を抱く層を増やすことが目的。特に20~40代への訴求を図るため、俳優の松下洸平さん、見上愛さんを起用したショート動画を制作。テレビCMやSNS広告などで展開した。
当社グループの当連結会計年度の売上高は、278,068百万円と前年同期と比べ8,952百万円(3.3%)の増収となった。損益については、営業利益が5,619百万円と同161百万円(△2.8%)の減益、経常利益は16,539百万円と同3,469百万円(26.5%)の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は9,765百万円と同133百万円(△1.4%)の減益となった。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりである。
[メディア・コンテンツ事業]
主力のプリントメディア事業では、新聞用紙など原材料の高騰や、読者の皆様に新聞を届ける経費の上昇が続く中で、夕刊の発行を24年4月から北海道で、10月から西部本社管内(福岡・山口)と静岡で休止した。夕刊については25年4月からの横題字の導入を決めた。新聞生産体制の効率化も進めており、25年3月には、当社の座間工場(神奈川)を閉鎖したほか、㈱日刊スポーツPRESSの藤岡工場(群馬)閉鎖に伴い同社への印刷委託を終了した。一方、長野で信濃毎日新聞㈱へ新たに委託を開始し、新潟で㈱新潟日報社への委託を拡大した。朝日新聞の年間平均部数は朝刊334万4千部、夕刊94万1千部(前期比で朝刊23万6千部減、夕刊12万4千部減)だった。部数減に伴い、広告収入や折込収入が減収となった。
朝日新聞デジタルは25年1月にはアプリ版の全面リニューアルを行い、あわせてサービスの名称を紙面と同じ「朝日新聞」に統一した。主な機能として、24年6月に先行リリースした読者と記者がつながる「記者フォロー」のほか、重要ニュースの最新記事や関連コンテンツをまとめた「トピックス」などを打ち出した。25年2月に始めたリブランディングプロモーションでは、「触れるたび、わたしの引き出し 増えていく。」をキーメッセージとして、お笑い芸人の「空気階段」を起用し、若年層・未購読者層向けに訴求を行った。有料会員数は前期比4千人減の30万2千人(25年3月31日現在)だった。
顧客データの基盤となる「朝日ID」は635万件(25年3月31日現在)となった。
デジタル関連では、当社のメディア研究開発センターが23年10月に開発・商品化した文書校正AI「Typoless(タイポレス)」の新機能の追加やサービス向上に努め、契約数が順調に推移した。24年1月に当社グループに加わったアルファサード㈱では、ウェブサイトの文章をやさしい日本語に変換するソフト「伝えるウェブ」を自治体や企業に提供。外国人住民が多い自治体を中心に、25年3月には導入数が250件を超えた。災害情報の発信のほか、教育現場でも利用され始めている。
展覧会事業では「村上隆 もののけ 京都」「デ・キリコ展」「はにわ」「坂本龍一|音を視る 時を聴く」などを展開し、入場者数だけでなく物販も好調だった。24年11月には新事業として、㈱ソニー・クリエイティブプロダクツと共同で美術館「CREATIVE MUSEUM TOKYO」の運営を開始。オープニングの展覧会として、「アニメ『鬼滅の刃』柱展」を開催した。
㈱朝日新聞出版では、「ゲッターズ飯田の五星三心占い」などのほか、25年1月に芥川賞を受賞した鈴木結生さんの「ゲーテはすべてを言った」の売れ行きが好調だった。また、同社では、新マンガウェブサイト「アサコミ」を25年1月にオープンした。全体では増収となった。
当セグメントの売上高は232,426百万円と前年同期と比べ6,622百万円(2.9%)の増収、セグメント損失は2,883百万円(前年同期の損失は2,546百万円)となった。
[不動産事業]
不動産賃貸では、オフィス物件が高い入居率を維持した。また、インバウンド需要により中之島フェスティバルタワー・ウエストに入居する「コンラッド大阪」や東京銀座朝日ビルディングに入る「ハイアットセントリック銀座東京」などのホテルが客室単価・稼働率ともに高水準で推移した。空港関連でも、関西国際空港に店舗を構える㈱朝日エアポートサービスが売上を伸ばした。27年4月竣工を予定している広島市基町地区の再開発事業は、既存の建物解体工事を予定通り完了し、24年9月に起工式を行った。
当セグメントの売上高は43,211百万円と前年同期と比べ2,370百万円(5.8%)の増収、セグメント利益は8,462百万円と前年同期と比べ8百万円(0.1%)の増益となった。
[その他の事業]
㈱朝日カルチャーセンターは、一部の教室の縮小や移転などコスト削減に取り組み、引き続き収支改善と構造改革を進めた。
当セグメントの売上高は2,430百万円と前年同期と比べ41百万円(△1.7%)の減収、セグメント利益は22百万円(前年同期は59百万円の損失)となった。
当連結会計年度の総資産は589,152百万円で、前年同期と比べ3,601百万円(0.6%)増加した。負債合計は181,693百万円で、同13,009百万円(△6.7%)減少した。これは、退職給付に係る負債が65,513百万円と同21,097百万円(△24.4%)減少したことなどの要因による。純資産合計は407,458百万円で、同16,610百万円(4.2%)増加した。その結果、当連結会計年度の自己資本比率は67.9%となり、同2.5ポイント増加した。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は61,990百万円と前年同期と比べ9,216百万円(△12.9%)減少した。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は14,799百万円となり、前年同期と比べ364百万円(2.5%)増加となった。これは、売上債権が1,169百万円減少(前年同期は1,543百万円増加)したことなどの要因による。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に支出した資金は20,755百万円となり、前年同期と比べ16,326百万円(368.6%)増加となった。これは、有形固定資産の売却による収入が前年同期比5,963百万円減少したことに加え、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出により4,667百万円を支出したことなどの要因による。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は3,229百万円となり、前年同期と比べ1,244百万円(62.7%)の増加となった。これは短期借入金が前年同期比986百万円減少したことなどの要因による。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
[メディア・コンテンツ事業]
主力商品部数(千部)前年同期比(%)発行回数(回)
朝日新聞朝刊3,344△6.6353
朝日新聞夕刊941△11.6293

(注) 部数は発行回数1回当たりの部数である。朝日新聞北海道支社夕刊は24年4月1日から休止し、朝日新聞静岡県、山口県、福岡県夕刊は24年10月1日から休止した。
[不動産事業]
不動産事業は受注生産形態をとらないため、生産規模及び受注規模を金額、あるいは数量で示すことはしていない。
[その他の事業]
その他の事業は文化事業、電波事業とその他事業であり、広範囲かつ多種多様であるため、生産規模及び受注規模を金額、あるいは数量で示すことはしていない。
b. 受注実績
[メディア・コンテンツ事業]
新聞については、主に新聞販売店を経由した読者からの受注部数と、即売スタンドでの販売見込部数を生産・販売している。出版物については、主に書店又は即売スタンドでの販売見込部数を生産している。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)
メディア・コンテンツ事業232,4262.9
不動産事業43,2115.8
その他の事業2,430△1.7
合計278,0683.3

(注) セグメント間取引については相殺消去している。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりである。
また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況」の「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「3 事業等のリスク」に記載のとおりである。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
資本の財源については、独立しかつ安定した経営基盤のもとで企業活動を継続していくことを基本としており、主として営業活動からのキャッシュ・フローを源泉にしている。
また、資金の流動性については、現金及び現金同等物に加え、主要金融機関と提携しており、現在必要とされる資金水準を十分満たす流動性を保持していると考えている。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いているが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性がある。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりである。
a.固定資産の減損
固定資産の減損の認識に際して用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりである。
b.繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の認識に際して用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりである。
c.退職給付債務の算定
当社グループには、確定給付制度を採用している会社が存在する。確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定している。数理計算上の仮定には、割引率、長期期待運用収益率等の様々な計算基礎がある。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性がある。
なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係)2.確定給付制度(簡便法を適用した制度を除く) (8)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載のとおりである。

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