有価証券報告書-第165期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりである。
① 財政状態及び経営成績の状況
2017年度の日本経済は、輸出や生産の持ち直しにより、雇用・所得環境も改善するなど、緩やかな回復基調が続いている。当社グループは、「社会に必要とされるジャーナリズムの担い手であり続けること」を企業価値とする朝日新聞社を中核とした総合メディア企業を目指し、「経営基盤の強化」と「成長事業の創出」をグループ戦略の柱に掲げている。
しかしながら、新聞業界を取り巻く厳しい経営環境のなかで、新聞発行部数の減少に伴う販売・広告収入の下落が続いたため、売上高は389,489百万円と前年同期と比べ11,504百万円(△2.9%)の減収となった。一方で新聞の発行部数の減少に伴う用紙代などの売上原価が減り、販売・発送費や65歳定年制の実施に伴う退職給付費用などの販売費及び一般管理費の減少幅が大きかった。このため、営業利益は7,874百万円と前年同期と比べ856百万円(12.2%)の増益を確保した。経常利益も、受取配当金の増加などにより15,922百万円と前年同期と比べ697百万円(4.6%)の増益となった。親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期にあった転進支援実施に伴う割増退職金などの特別損失が減ったため、12,020百万円と前年同期と比べ3,173百万円(35.9%)の増益となった。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりである。
[メディア・コンテンツ事業]
森友学園・加計学園をめぐる当社の一連の報道は、日本ジャーナリスト会議(JCJ)の大賞を受賞した。また、森友学園報道に携わった記者2人が日本外国特派員協会の「報道の自由推進賞」に選ばれた。さらに18年3月の財務省の公文書改ざんに関する特報は、社会に大きな反響を巻き起こし、当社の調査報道の質の高さを内外に示した。
16年度からスタートした「中期経営計画2020」は第2年度を終えた。計画目標の一つであった「65歳定年制」は、朝日新聞労働組合と合意に至り、17年10月から導入した。
世界的に加速するデジタル化の勢いに対応した、再成長への戦略の構築と実行も急務である。中期経営計画では、「紙」発想からの意識改革を進め、コンテンツを起点とする新しい商品、サービスの開拓を目標に掲げている。そのために、17年7月には新たな役員担務として「コンテンツ統括」を設けた。質の高いジャーナリズムを堅持しつつ、全社最適の視点からコンテンツの制作と活用、社内リソースの適正配置を担う。
18年3月には、当社の「コンテンツ&コミュニティー」の強みを最大限に生かし、より的確な情報や暮らしのヒントを消費者に届けるため、テーマやジャンルごとに深掘りした「バーティカルメディア・プラットフォーム事業」を開始した。女性の悩み解決サイトである「telling,」を皮切りに、20年春までには20を超すメディアを立ち上げる計画で、広告収入やEC(電子商取引)などの収益獲得をめざす。
活動的なシニア層とのつながりを強める「Reライフプロジェクト」では、3回目の「Reライフフェスティバル」を開催し、会員組織「読者会議」も立ち上げた。女性プロジェクトでは、いろいろなライフステージにある女性を様々な形で応援する紙面企画や「WORKO!」などのイベントにも取り組んでいる。
朝日新聞の年間平均部数は朝刊610万7千部、夕刊189万3千部(前期比で朝刊30万6千部減、夕刊13万3千部減)。加速する新聞離れもあって部数減が続き、苦戦を強いられている。そうした中でも、名古屋サポートセンターのテレマーケティングを起点としたパッケージセールスや、ブース営業と記念号外などを届ける訪問営業をセットにしたイベント営業などは、成功事例として挙げられる。今後はさらに顧客データベースなども活用し、成果を高めていく。
グループ企業は、17年3月に改定したグループ戦略に基づき、それぞれ中期経営計画の策定を進め、その実現に向けた施策に着手した。グループ価値の最大化を目標に、グループ外からの収入増や新たな市場の開発などに取り組んだ。
電波関係では、戦略的パートナーシップを結ぶ㈱テレビ朝日と、報道や広告営業などの分野で協力が進んだ。17年春の同社の報道番組強化に合わせて、同社報道局に当社記者3人を出向させるなど人事交流も拡大した。ANN系列局との協業も進展し、朝日放送㈱と運営するサイト「バーチャル高校野球」は、全国大会全試合に加え、系列局などの協力で初めて全地方大会決勝のライブ中継を実現した。また、17年10月の衆議院選挙では出口調査を系列局と共同実施するなど、「メディア朝日グループ」として正確で早い報道をめざした。このほか17年11月には、当社が制作に協力した夏目漱石のアンドロイドを㈱愛媛朝日テレビなどとともに、ゆかりの地・松山に招いて講演会やイベントを開催した。
㈱朝日新聞出版は創立以来10期連続で黒字を達成した。市場環境が厳しい中、週刊朝日、AERAなど定期雑誌の逓減傾向に歯止めをかけた。17年5月にリニューアルしたニュースサイト「AERA dot.」は6月に月間7,748万PVと実績を倍増させた。「科学漫画サバイバル」は累計700万部、「TOEIC特急」は累計250万部を突破するなど、シリーズものも好調を維持した。
当セグメントの売上高は、352,956百万円と前年同期と比べ14,586百万円(△4.0%)の減収、営業利益は3,990百万円と前年同期と比べ2,420百万円(154.2%)の増益だった。
[不動産事業]
17年6月、「中之島フェスティバルタワー・ウエスト」にラグジュアリーホテル「コンラッド大阪」が開業した。フェスティバルシティ全体のオフィステナントの入居率は18年1月に9割を超え、18年3月の「中之島香雪美術館」開館をもって大阪・中之島プロジェクトは完成を迎えた。
㈱サンケイビルと共同で旧ラクチョウビルを建て替えた「X-PRESS有楽町」は17年5月に竣工。「東京銀座朝日ビルディング」の建て替えは17年10月に竣工し、18年1月には、日本初進出の「ハイアット セントリック 銀座 東京」が開業した。㈱朝日ビルディングは17年11月に札幌支店を開設し、当社北海道支社が18年5月に移転する再開発ビル「さっぽろ創世スクエア」(札幌市)に当社が別途取得する賃貸フロア及び支社転出後の「札幌ANビル」のリーシングを開始した。
当セグメントの売上高は32,892百万円と前年同期と比べ3,206百万円(10.8%)の増収となったが、開業経費などがかさみ、営業利益は3,820百万円と前年同期と比べ1,657百万円(△30.3%)の減益となった。
[その他の事業]
その他の事業では、㈱朝日カルチャーセンターが17年5月に㈱朝日カルチャーセンター千葉を吸収合併したほか、大阪・中之島教室で大規模な受講料の改定を実施した。人材ビジネスの朝日新聞総合サービス㈱は、労働者派遣法改正に対応して順次、派遣から派遣先での直接雇用に切り替えたことにより派遣売上が大幅に減少した。
当セグメントの売上高は3,641百万円と前年同期と比べ124百万円(△3.3%)の減収となったが、営業利益は32百万円と前年同期の営業損失から黒字を確保した。
当連結会計年度における総資産は、607,664百万円で前年同期と比べ3,837百万円(△0.6%)減少した。負債合計は234,113百万円で、前年同期と比べ43,959百万円(△15.8%)減少した。主な要因は、定年延長の実施に伴い、退職給付に係る負債が38,574百万円(△22.6%)減少したことなどである。また、純資産合計は373,551百万円で、前年同期と比べ40,122百万円(12.0%)増加した。主な要因は、前期△17,761百万円だった退職給付に係る調整累計額が、5,938百万円となったことなどである。これも定年延長の実施によって過去勤務費用が発生したことなどによる。その結果、当連結会計年度末の自己資本比率は59.8%となり、前連結会計年度に比べて6.9ポイント増加した。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は70,690百万円と前年同期に比べ3,011百万円(△4.1%)減少した。
営業活動による資金の増加は、28,025百万円と、増加幅は前年同期より11,662百万円(71.3%)増加した。これは、前年同期にあった転進支援制度の実施に伴う割増退職金の支出がほぼなくなり、税金等調整前当期利益が4,373百万円増えたため。さらに、大阪の中之島フェスティバルタワー・ウエストなど大型商業ビルの完成に伴う減価償却費の増加や、消費税が増減したことなどによるもの。
投資活動による資金の減少は、28,931百万円で、減少幅は前年同期より20,694百万円(251.2%)増加した。これは主に有価証券の売却による収入が減少したことなどによるもの。
財務活動による資金の減少は、2,098百万円で、減少幅は前年同期より164百万円(8.5%)増加した。これは主に子会社の自己株式の取得による支出が増加したことなどによるもの。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
[メディア・コンテンツ事業]
(注) 部数は発行回数1回当たりの部数である。朝日新聞名古屋本社版夕刊のみ発行回数は244回である。
[不動産事業]
不動産事業は受注生産形態をとらないため、生産規模及び受注規模を金額、あるいは数量で示すことはしていない。
[その他の事業]
その他の事業は、文化事業・電波事業・その他事業の3事業がある。生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であるので、生産規模及び受注規模を金額、あるいは数量で示すことはしていない。
b. 受注実績
[メディア・コンテンツ事業]
新聞については、主に新聞販売店を経由した読者からの受注部数と、即売スタンドでの販売見込部数を生産・販売している。出版物については、主に書店または即売スタンドでの販売見込部数を生産している。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
(注) 1. セグメント間取引については相殺消去している。
2. 上記の金額には、消費税等は含まれていない。
3.当連結会計年度よりセグメントを変更した。セグメント変更の内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に記載のとおり。
4.前年同期比は、前年同期の数値をセグメント変更後に組み替えて算出している。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、「財政状態及び経営成績の状況」で触れたとおり、減収増益となった。今後も当社グループの根幹である健全なジャーナリズム活動を維持していくために必要な財政状態を確保できるよう、事業環境の急激な変化にも柔軟に対応できる施策を実施していく。中期経営計画に基づく、より実現性の高い計画を策定し、経営基盤をさらに強化し、再成長への道筋を確かなものにする成長事業の創出を目指す。
一方で、「会社の対処すべき課題」「事業等のリスク」に記載したように、新聞を取り巻く厳しい市場環境は、経営成績に重要な影響を与える要因であり、課題として認識している。
資本の財源については、独立しかつ安定した経営基盤のもとで企業活動を継続していくことを基本としており、主として営業活動からのキャッシュ・フローを源泉にしている。
また、資金の流動性については、現金及び現金同等物に加え、主要金融機関と提携しており、現在必要とされる資金水準を十分満たす流動性を保持していると考えている。
主なセグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりである。
[メディア・コンテンツ事業]
主力事業である朝日新聞を中心としたメディア・コンテンツ事業は、新聞販売部数の減少に加え、読者層の高齢化や広告媒体の多様化などにより、新聞広告市場や折込広告市場の縮小が続き、売上高の減少傾向が続く。一方で、朝日新聞デジタルの総会員数は326万人と300万人の大台に乗っており、朝日新聞デジタルを中心にデジタル・コンテンツ事業の拡大を目指す。バーティカルメディアの立ち上げや、ベンチャーキャピタルによる投資、メディアラボによる事業創出など新規事業についても積極的に進めていく。
[不動産事業]
大阪市北区中之島に東西ツインタワーによる「フェスティバルシティ」を開業したほか、東京都中央区に「東京銀座朝日ビルディング」や同千代田区に「X-PRESS有楽町」を完成させた。保有資産を有効活用する不動産事業は、今後ももう一つの事業の柱として、さらなる収益増、保有物件の価値最大化に向けた取り組みを進める。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりである。
① 財政状態及び経営成績の状況
2017年度の日本経済は、輸出や生産の持ち直しにより、雇用・所得環境も改善するなど、緩やかな回復基調が続いている。当社グループは、「社会に必要とされるジャーナリズムの担い手であり続けること」を企業価値とする朝日新聞社を中核とした総合メディア企業を目指し、「経営基盤の強化」と「成長事業の創出」をグループ戦略の柱に掲げている。
しかしながら、新聞業界を取り巻く厳しい経営環境のなかで、新聞発行部数の減少に伴う販売・広告収入の下落が続いたため、売上高は389,489百万円と前年同期と比べ11,504百万円(△2.9%)の減収となった。一方で新聞の発行部数の減少に伴う用紙代などの売上原価が減り、販売・発送費や65歳定年制の実施に伴う退職給付費用などの販売費及び一般管理費の減少幅が大きかった。このため、営業利益は7,874百万円と前年同期と比べ856百万円(12.2%)の増益を確保した。経常利益も、受取配当金の増加などにより15,922百万円と前年同期と比べ697百万円(4.6%)の増益となった。親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期にあった転進支援実施に伴う割増退職金などの特別損失が減ったため、12,020百万円と前年同期と比べ3,173百万円(35.9%)の増益となった。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりである。
[メディア・コンテンツ事業]
森友学園・加計学園をめぐる当社の一連の報道は、日本ジャーナリスト会議(JCJ)の大賞を受賞した。また、森友学園報道に携わった記者2人が日本外国特派員協会の「報道の自由推進賞」に選ばれた。さらに18年3月の財務省の公文書改ざんに関する特報は、社会に大きな反響を巻き起こし、当社の調査報道の質の高さを内外に示した。
16年度からスタートした「中期経営計画2020」は第2年度を終えた。計画目標の一つであった「65歳定年制」は、朝日新聞労働組合と合意に至り、17年10月から導入した。
世界的に加速するデジタル化の勢いに対応した、再成長への戦略の構築と実行も急務である。中期経営計画では、「紙」発想からの意識改革を進め、コンテンツを起点とする新しい商品、サービスの開拓を目標に掲げている。そのために、17年7月には新たな役員担務として「コンテンツ統括」を設けた。質の高いジャーナリズムを堅持しつつ、全社最適の視点からコンテンツの制作と活用、社内リソースの適正配置を担う。
18年3月には、当社の「コンテンツ&コミュニティー」の強みを最大限に生かし、より的確な情報や暮らしのヒントを消費者に届けるため、テーマやジャンルごとに深掘りした「バーティカルメディア・プラットフォーム事業」を開始した。女性の悩み解決サイトである「telling,」を皮切りに、20年春までには20を超すメディアを立ち上げる計画で、広告収入やEC(電子商取引)などの収益獲得をめざす。
活動的なシニア層とのつながりを強める「Reライフプロジェクト」では、3回目の「Reライフフェスティバル」を開催し、会員組織「読者会議」も立ち上げた。女性プロジェクトでは、いろいろなライフステージにある女性を様々な形で応援する紙面企画や「WORKO!」などのイベントにも取り組んでいる。
朝日新聞の年間平均部数は朝刊610万7千部、夕刊189万3千部(前期比で朝刊30万6千部減、夕刊13万3千部減)。加速する新聞離れもあって部数減が続き、苦戦を強いられている。そうした中でも、名古屋サポートセンターのテレマーケティングを起点としたパッケージセールスや、ブース営業と記念号外などを届ける訪問営業をセットにしたイベント営業などは、成功事例として挙げられる。今後はさらに顧客データベースなども活用し、成果を高めていく。
グループ企業は、17年3月に改定したグループ戦略に基づき、それぞれ中期経営計画の策定を進め、その実現に向けた施策に着手した。グループ価値の最大化を目標に、グループ外からの収入増や新たな市場の開発などに取り組んだ。
電波関係では、戦略的パートナーシップを結ぶ㈱テレビ朝日と、報道や広告営業などの分野で協力が進んだ。17年春の同社の報道番組強化に合わせて、同社報道局に当社記者3人を出向させるなど人事交流も拡大した。ANN系列局との協業も進展し、朝日放送㈱と運営するサイト「バーチャル高校野球」は、全国大会全試合に加え、系列局などの協力で初めて全地方大会決勝のライブ中継を実現した。また、17年10月の衆議院選挙では出口調査を系列局と共同実施するなど、「メディア朝日グループ」として正確で早い報道をめざした。このほか17年11月には、当社が制作に協力した夏目漱石のアンドロイドを㈱愛媛朝日テレビなどとともに、ゆかりの地・松山に招いて講演会やイベントを開催した。
㈱朝日新聞出版は創立以来10期連続で黒字を達成した。市場環境が厳しい中、週刊朝日、AERAなど定期雑誌の逓減傾向に歯止めをかけた。17年5月にリニューアルしたニュースサイト「AERA dot.」は6月に月間7,748万PVと実績を倍増させた。「科学漫画サバイバル」は累計700万部、「TOEIC特急」は累計250万部を突破するなど、シリーズものも好調を維持した。
当セグメントの売上高は、352,956百万円と前年同期と比べ14,586百万円(△4.0%)の減収、営業利益は3,990百万円と前年同期と比べ2,420百万円(154.2%)の増益だった。
[不動産事業]
17年6月、「中之島フェスティバルタワー・ウエスト」にラグジュアリーホテル「コンラッド大阪」が開業した。フェスティバルシティ全体のオフィステナントの入居率は18年1月に9割を超え、18年3月の「中之島香雪美術館」開館をもって大阪・中之島プロジェクトは完成を迎えた。
㈱サンケイビルと共同で旧ラクチョウビルを建て替えた「X-PRESS有楽町」は17年5月に竣工。「東京銀座朝日ビルディング」の建て替えは17年10月に竣工し、18年1月には、日本初進出の「ハイアット セントリック 銀座 東京」が開業した。㈱朝日ビルディングは17年11月に札幌支店を開設し、当社北海道支社が18年5月に移転する再開発ビル「さっぽろ創世スクエア」(札幌市)に当社が別途取得する賃貸フロア及び支社転出後の「札幌ANビル」のリーシングを開始した。
当セグメントの売上高は32,892百万円と前年同期と比べ3,206百万円(10.8%)の増収となったが、開業経費などがかさみ、営業利益は3,820百万円と前年同期と比べ1,657百万円(△30.3%)の減益となった。
[その他の事業]
その他の事業では、㈱朝日カルチャーセンターが17年5月に㈱朝日カルチャーセンター千葉を吸収合併したほか、大阪・中之島教室で大規模な受講料の改定を実施した。人材ビジネスの朝日新聞総合サービス㈱は、労働者派遣法改正に対応して順次、派遣から派遣先での直接雇用に切り替えたことにより派遣売上が大幅に減少した。
当セグメントの売上高は3,641百万円と前年同期と比べ124百万円(△3.3%)の減収となったが、営業利益は32百万円と前年同期の営業損失から黒字を確保した。
当連結会計年度における総資産は、607,664百万円で前年同期と比べ3,837百万円(△0.6%)減少した。負債合計は234,113百万円で、前年同期と比べ43,959百万円(△15.8%)減少した。主な要因は、定年延長の実施に伴い、退職給付に係る負債が38,574百万円(△22.6%)減少したことなどである。また、純資産合計は373,551百万円で、前年同期と比べ40,122百万円(12.0%)増加した。主な要因は、前期△17,761百万円だった退職給付に係る調整累計額が、5,938百万円となったことなどである。これも定年延長の実施によって過去勤務費用が発生したことなどによる。その結果、当連結会計年度末の自己資本比率は59.8%となり、前連結会計年度に比べて6.9ポイント増加した。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は70,690百万円と前年同期に比べ3,011百万円(△4.1%)減少した。
営業活動による資金の増加は、28,025百万円と、増加幅は前年同期より11,662百万円(71.3%)増加した。これは、前年同期にあった転進支援制度の実施に伴う割増退職金の支出がほぼなくなり、税金等調整前当期利益が4,373百万円増えたため。さらに、大阪の中之島フェスティバルタワー・ウエストなど大型商業ビルの完成に伴う減価償却費の増加や、消費税が増減したことなどによるもの。
投資活動による資金の減少は、28,931百万円で、減少幅は前年同期より20,694百万円(251.2%)増加した。これは主に有価証券の売却による収入が減少したことなどによるもの。
財務活動による資金の減少は、2,098百万円で、減少幅は前年同期より164百万円(8.5%)増加した。これは主に子会社の自己株式の取得による支出が増加したことなどによるもの。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
[メディア・コンテンツ事業]
| 主力商品 | 部数(千部) | 前年同期比(%) | 発行回数(回) |
| 朝日新聞朝刊 | 6,107 | △4.8 | 355 |
| 朝日新聞夕刊 | 1,893 | △6.6 | 293 |
| 週刊朝日 | 130 | △7.9 | 49 |
(注) 部数は発行回数1回当たりの部数である。朝日新聞名古屋本社版夕刊のみ発行回数は244回である。
[不動産事業]
不動産事業は受注生産形態をとらないため、生産規模及び受注規模を金額、あるいは数量で示すことはしていない。
[その他の事業]
その他の事業は、文化事業・電波事業・その他事業の3事業がある。生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であるので、生産規模及び受注規模を金額、あるいは数量で示すことはしていない。
b. 受注実績
[メディア・コンテンツ事業]
新聞については、主に新聞販売店を経由した読者からの受注部数と、即売スタンドでの販売見込部数を生産・販売している。出版物については、主に書店または即売スタンドでの販売見込部数を生産している。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
| メディア・コンテンツ事業 | 352,956 | △4.0 |
| 不動産事業 | 32,892 | 10.8 |
| その他の事業 | 3,641 | △3.3 |
| 合計 | 389,489 | △2.9 |
(注) 1. セグメント間取引については相殺消去している。
2. 上記の金額には、消費税等は含まれていない。
3.当連結会計年度よりセグメントを変更した。セグメント変更の内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に記載のとおり。
4.前年同期比は、前年同期の数値をセグメント変更後に組み替えて算出している。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、「財政状態及び経営成績の状況」で触れたとおり、減収増益となった。今後も当社グループの根幹である健全なジャーナリズム活動を維持していくために必要な財政状態を確保できるよう、事業環境の急激な変化にも柔軟に対応できる施策を実施していく。中期経営計画に基づく、より実現性の高い計画を策定し、経営基盤をさらに強化し、再成長への道筋を確かなものにする成長事業の創出を目指す。
一方で、「会社の対処すべき課題」「事業等のリスク」に記載したように、新聞を取り巻く厳しい市場環境は、経営成績に重要な影響を与える要因であり、課題として認識している。
資本の財源については、独立しかつ安定した経営基盤のもとで企業活動を継続していくことを基本としており、主として営業活動からのキャッシュ・フローを源泉にしている。
また、資金の流動性については、現金及び現金同等物に加え、主要金融機関と提携しており、現在必要とされる資金水準を十分満たす流動性を保持していると考えている。
主なセグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりである。
[メディア・コンテンツ事業]
主力事業である朝日新聞を中心としたメディア・コンテンツ事業は、新聞販売部数の減少に加え、読者層の高齢化や広告媒体の多様化などにより、新聞広告市場や折込広告市場の縮小が続き、売上高の減少傾向が続く。一方で、朝日新聞デジタルの総会員数は326万人と300万人の大台に乗っており、朝日新聞デジタルを中心にデジタル・コンテンツ事業の拡大を目指す。バーティカルメディアの立ち上げや、ベンチャーキャピタルによる投資、メディアラボによる事業創出など新規事業についても積極的に進めていく。
[不動産事業]
大阪市北区中之島に東西ツインタワーによる「フェスティバルシティ」を開業したほか、東京都中央区に「東京銀座朝日ビルディング」や同千代田区に「X-PRESS有楽町」を完成させた。保有資産を有効活用する不動産事業は、今後ももう一つの事業の柱として、さらなる収益増、保有物件の価値最大化に向けた取り組みを進める。