有価証券報告書-第167期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/25 11:00
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりである。
① 財政状態及び経営成績の状況
2019年度の日本経済は、米中経済摩擦の影響による先行き不透明な状況に加え、消費税増税や気候変動、さらには新型コロナウイルスの感染拡大によるマイナスの影響は計り知れず、本格的な景気後退局面に移行する懸念が強まった。新聞業界では、国内消費が落ち込み、発行部数減・広告収入減に歯止めがかからないなか、地方紙・ブロック紙が相次いで定価改定に踏み切るなど、新聞経営を取り巻く環境に大きな変化が生じている。
こうしたなか、当連結会計年度の売上高は353,608百万円と前年同期と比べ21,412百万円(△5.7%)の減少、営業利益も2,393百万円と同6,516百万円(△73.1%)の減少となった。19年10月の消費税増税による消費の低迷に加え、新型コロナウイルスの感染拡大で新聞広告や折込広告による収入が減少し、主催イベントの中止等が影響した。経常利益は、持分法による投資利益が前年同期に比べて大きく増加したものの、13,085百万円と同2,949百万円(△18.4%)の減益となり、親会社株主に帰属する当期純利益も、有形固定資産の売却益があったものの10,688百万円と同289百万円(△2.6%)の減益となり、すべての利益段階で減収減益だった。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりである。
[メディア・コンテンツ事業]
当社は「ともに考え、ともにつくる~みなさまの豊かな暮らしに役立つ総合メディア企業へ」の企業理念のもと、社会に必要とされるジャーナリズムの担い手であり続けるため、権力監視、社会的弱者への視点、SDGsなど、多角的で充実した紙面を展開した。ボーン・上田記念国際記者賞を2年連続で受賞し、また、報道デザインにおける功績によって報道機関では初となる佐藤敬之輔賞にも選ばれた。
「紙からデジタルへ」の流れを加速するため、当社はデジタル事業の成長を経営の最優先課題に位置付けている。19年4月にはデジタルマインドとスキルを備えたデジタル人材を育成する「デジタル実務研修」をスタートさせ、履修者は新たな職場で成果を出し始めている。
特定の分野を深掘りする「バーティカルメディア・プラットフォーム事業」は、19年8月に若い女性の自己肯定感を高める「かがみよかがみ」を、秋には「相続会議」を開設するなど、当年度中に10サイトの展開となった。サイトごとの特性やマーケット、事業フェーズに最適化した対応を行い、デジタル人材を活用しつつ、引き続き収益増を目指す。
19年5月には、隔週発行の教育情報紙「朝日新聞EduA」を創刊。先行して立ち上げたポータルサイトとともに、学齢期の子を持つ親をターゲットに新規購読者獲得や広告収入につながる教育ドメイン戦略を展開している。
女性プロジェクトでは、様々な層の女性を対象に多彩なイベントや紙面企画を展開した。今年4月には「朝日新聞社ジェンダー平等宣言」を公表。ジェンダーバランスや当社の管理職の女性比率と男性の育児休業取得率の向上を目指していく。
新聞などの広告収入は、当連結会計年度上期は改元、参院選、ラグビーW杯など大型トピックもあり、売上高が前年度を超える時期もあったものの、下期は消費税増税による消費低迷などにより、主に通販業種などが低調で、長期的な低迷要因の一つとなった。さらに、新型コロナウイルスの感染拡大により旅行業種への影響やイベントの中止、各企業の宣伝計画の見直し、業績悪化などの影響を大きく受け、結果として通期の低下につながった。
朝日新聞の年間平均部数は朝刊537万3千部、夕刊164万5千部(前期比で朝刊39万部減、夕刊14万2千部減)と販売面でも苦戦を強いられた。新聞離れが加速し、無購読層が急速に拡大するなか、全国紙、地方紙の値上げが続き、19年1月以降、30社を超えた。一方で、「2020年大学入試改革」の本番を控え、学習指導要領が重視する「思考力、判断力、表現力」を向上させるためには、読み解く力が身につく新聞の有効性が、多くの教育関係者から評価されている。このため、YouTube上で「入試に強くなる勉強法」のレッスン動画を配信するなど、「教材としての新聞」の価値を高め、教育各層への訴求をめざした。こうした時代環境の大きな変化に即応し、本紙のコア読者層から子育て世代の家庭まで、着実に読者獲得を果たしていく。
販売政策の柱であるエリア戦略とASAの経営基盤強化策を急ピッチで進めており、系統を超えた販売網の再編・合理化、地方紙との連携は着実に成果が出ている。
新聞業の周辺を本業とすることが多い当社のグループ企業の経営環境は依然として厳しいが、各社とも経営基盤の強化を図り、グループ外や新たな分野からの収入増に取り組んだ。グループ全体として経営課題を共有していくため、グループ企業の各社長と当社担当役員の定期的なコミュニケーションの場も増やした。
放送関係では、当社が出資するテレビ朝日系列局との連携を強化するため、中堅社員を積極的に出向させている。19年度は新たに5局へ派遣し、当年度末現在の出向者は、戦略的パートナーシップを結ぶ㈱テレビ朝日など9局で計12人となっており、今後も増やしていく予定だ。報道協力を加速させるため、「映像相互利用覚書」をテレビ朝日系列19局と結び、映像素材の相互提供も進めている。
㈱朝日新聞出版は創立以来12期連続で黒字を達成した。週刊朝日、アエラなど定期雑誌の苦戦は続くが、増刊・ムックやデジタル収入で収支改善を図った。19年7月には、「むらさきのスカートの女」(今村夏子著)が朝日新聞グループの刊行物として初の芥川賞を受賞。「今さら聞けないお金の超基本」が30万部に達するなど書籍が牽引役となった。
この結果、当セグメントの売上高は311,817百万円と前年同期と比べ22,502百万円(△6.7%)の減収、営業損益は△4,999百万円と前年同期の1,948百万円の黒字から赤字に転じた。
[不動産事業]
19年4月に不動産系グループ企業の再編と当社への資産集約を行い、それぞれの役割分担を明確にした。新体制での業務遂行は順調に進んでいる。
賃貸事業は中之島、福岡などの主要物件で満床状態を維持し、18年度に竣工した「さっぽろ創世スクエア」は全フロアでテナントが決定した。「コンラッド大阪」「ハイアット セントリック 銀座 東京」は開業以来、高稼働で推移したものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響があり、当年度末になって急激に収入を落とした。
25年度の完成を目指して進めている旧広島朝日ビル跡地の再開発計画は、19年12月に広島市や中国電力㈱などの関係者間で事業化についての確認書を締結した。当社はパートナー企業と一体で本再開発計画の事業協力者に応募し、20年3月に選定された。
この結果、当セグメントの売上高は38,514百万円と前年同期と比べ1,431百万円(3.9%)の増収、営業利益は7,407百万円と同580百万円(8.5%)の増益となった。
[その他の事業]
その他の事業では、㈱朝日カルチャーセンターが新型コロナウイルスの感染拡大の影響で3月以降、臨時休講を余儀なくされたほか、人材ビジネスの朝日新聞総合サービス㈱は、派遣事業を縮小した。
この結果、当セグメントの売上高は3,275百万円と前年同期と比べ341百万円(△9.4%)の減収となり、営業損益も△26百万円と前年同期の120百万円の黒字から赤字に転じた。
当連結会計年度における総資産は、599,162百万円で前年同期と比べ14,951百万円(△2.4%)減少した。主な要因は、時価評価によって投資有価証券が189,742百万円と同15,523百万円(△7.6%)減少したことなどによる。負債合計は223,782百万円で、同7,962百万円(△3.4%)減少した。主な要因は、支払手形及び買掛金が23,084百万円と同4,685百万円(△16.9%)減少したことなどによる。また、純資産合計は375,380百万円で、同6,988百万円(△1.8%)減少した。その結果、当連結会計年度末の自己資本比率は60.9%となり、同0.3ポイント増加した。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は61,658百万円と前年同期に比べて14,057百万円(△18.6%)減少した。
営業活動により得た資金は、6,319百万円となり、10,054百万円(△61.4%)減少した。これは営業利益の減少に加え、早期割増退職金の支払額が2,557百万円に増加したことなどによる。
投資活動による資金の支出は、27,655百万円で、同17,038百万円(160.5%)増加した。これは主に有形固定資産の取得による支出が17,811百万円増加したことなどによる。
財務活動により得た資金は、7,233百万円で、前年同期の1,324百万円の支出から増加に転じた。これは主に長期借入れによる収入が10,000百万円発生したことなどによる。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
[メディア・コンテンツ事業]
主力商品部数(千部)前年同期比(%)発行回数(回)
朝日新聞朝刊5,373△ 6.8354
朝日新聞夕刊1,645△ 7.9292
週刊朝日113△ 4.550

(注) 部数は発行回数1回当たりの部数である。朝日新聞名古屋本社版夕刊のみ発行回数は242回である。
[不動産事業]
不動産事業は受注生産形態をとらないため、生産規模及び受注規模を金額、あるいは数量で示すことはしていない。
[その他の事業]
その他の事業は文化事業、電波事業とその他事業であり、広範囲かつ多種多様であるため、生産規模及び受注規模を金額、あるいは数量で示すことはしていない。
b. 受注実績
[メディア・コンテンツ事業]
新聞については、主に新聞販売店を経由した読者からの受注部数と、即売スタンドでの販売見込部数を生産・販売している。出版物については、主に書店または即売スタンドでの販売見込部数を生産している。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)
メディア・コンテンツ事業311,817△ 6.7
不動産事業38,5143.9
その他の事業3,275△ 9.4
合計353,608△ 5.7

(注) 1. セグメント間取引については相殺消去している。
2. 上記の金額には、消費税等は含まれていない。

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、「財政状態及び経営成績の状況」で触れたとおり、減収減益となった。今後も当社グループの根幹である健全なジャーナリズム活動を維持していくために必要な財政状態を確保できるよう、事業環境の急激な変化にも柔軟に対応できる施策を実施していく。中計2023の実行により、経営基盤をさらに強化し、再成長への道筋を確かなものにする成長事業の創出を目指す。
一方で、「会社の対処すべき課題」「事業等のリスク」に記載したように、新聞を取り巻く厳しい市場環境は、経営成績に重要な影響を与える要因であり、課題として認識している。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりである。
[メディア・コンテンツ事業]
主力事業である朝日新聞を中心としたメディア・コンテンツ事業は、新聞販売部数の減少に加え、読者層の高齢化や広告媒体の多様化などにより、新聞広告市場や折込広告市場の縮小が続き、売上高の減少傾向が続く。「ともに考え、ともにつくる~みなさまの豊かな暮らしに役立つ総合メディア企業へ」の企業理念のもと、コンテンツを基軸にした多メディア展開を進め、データに基づく顧客理解を起点に顧客満足度の向上と新たな顧客開発に取り組む。また、朝日新聞デジタル、バーティカルメディア・プラットホーム事業など、全デジタル事業を紙の新聞と並ぶ中核事業と位置づけ、経営リソースの投入を図る。全社の新規事業開発を統括する事務局体制を新たにつくり、メディアラボなどによる新たな事業の創出、ベンチャーキャピタル等による投資も積極的に進めていく。
[不動産事業]
大阪市北区のツインタワー「中之島フェスティバルシティ」及び東京都中央区の「東京銀座朝日ビルディング」など、グループを挙げて進めた開発プロジェクトが成功裏に終了し、順調に稼働している。収益の柱として不動産事業の重要性はますます高まっており、さらなる収益増、保有物件の価値最大化に向けて、不動産系グループ企業はそれぞれの役割に沿って、さらに業務の高度化、効率化を推進していく。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
資本の財源については、独立しかつ安定した経営基盤のもとで企業活動を継続していくことを基本としており、主として営業活動からのキャッシュ・フローを源泉にしている。
また、資金の流動性については、現金及び現金同等物に加え、主要金融機関と提携しており、現在必要とされる資金水準を十分満たす流動性を保持していると考えている。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いているが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性がある。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりである。
a.繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断している。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより判断している。
収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性を判断するにあたっては、一時差異等の解消見込年度及び繰戻・繰越期間における課税所得を見積っている。課税所得は、売上高に影響する収入の見込みなどの仮定を用いて見積っている。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性がある。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う当社グループの事業への影響は一定期間続くものと想定しており、繰延税金資産の計上において一定の仮定を置いている。なお、当該仮定の不確実性は高く、感染状況や当社グループの事業への影響が想定から乖離した場合には、翌連結会計年度以降の繰延税金資産の計上額が増減する可能性がある。
b.退職給付債務の算定
当社グループには、確定給付制度を採用している会社が存在する。確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定している。数理計算上の仮定には、割引率、長期期待運用収益率等の様々な計算基礎がある。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性がある。
なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係)2.確定給付制度(簡便法を適用した制度を除く) (8)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載のとおりである。

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