有価証券報告書-第170期(2022/04/01-2023/03/31)

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2023/06/26 11:00
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりである。
① 財政状態及び経営成績の状況
2022年度の日本経済は、新型コロナウイルス対策の「まん延防止等重点措置」が同年3月に全面解除されてから行動制限がなくなり、個人消費やインバウント消費は回復傾向が続いた。一方、新聞業界においては新聞発行部数の減少がさらに進み、原材料費、燃料費の高騰に伴う新聞資材の値上げなどの影響もあり、一層厳しい経営環境が続いている。
このような状況の下、持続可能な成長軌道への道筋をつけるべく21年度にスタートした「中計2023」に沿って2年目もさまざまな改革を着実に進めた。22年9月に「社外CTO(最高技術責任者)」に㈱レクター代表取締役、日本CTO協会理事の広木大地氏を招き、全社のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を進める態勢を整えた。チケット販売大手ぴあ㈱の子会社に出資し、顧客データを利活用するための基盤づくりも進めた。顧客の属性や行動を分析し、様々な新サービスの開発やプロモーションにつなげていった。
こうした投資策を進める一方で、プリントメディア事業の効率化、デジタル事業やイベント事業の強化へ向けた組織づくりを進めた。北海道の道東・道北・日高エリアの一部で、印刷・輸送、販売所からの代金回収などの業務を、㈱北海道新聞社と㈱道新販売センターに包括委託する契約を締結した。印刷・輸送は23年3月20日付朝刊から、その他の業務は4月1日から実施した。顧客のニーズに機動的に対応するため、メディアビジネス部門、企画事業・イベント戦略部門、デジタル事業部門(朝デジ事業センターを除く)、マーケティング部門、知的財産部門及び情報技術部門と教育事業部門の一部を統合した「メディア事業本部」を23年4月に発足させた。
また、21年9月に定めた「朝日新聞グループ行動計画2023」に基づき、当社とグループ企業が一体となった事業ドメイン(領域)経営の推進を図るべく、グループ企業との連携強化や再編を進めている。
当社グループの当連結会計年度の売上高は、267,031百万円と前年同期と比べ5,442百万円(△2.0%)の減収となった。損益については、営業損失が419百万円(前年同期は営業利益9,501百万円)、経常利益が7,062百万円(前年同期比△62.7%)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,592百万円(同△80.0%)だった。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりである。
[メディア・コンテンツ事業]
「ともに考え、ともにつくる~みなさまの豊かな暮らしに役立つ総合メディア企業へ」の企業理念のもと、社会に必要とされるジャーナリズムの担い手であり続けるため、多角的で充実した報道を展開した。紙面やデジタルだけでなく、スマートフォンなどへの音声サービス・ポッドキャストや動画、SNS、YouTubeなどを有機的に使い、様々な年代のより多くの読者にコンテンツを届けた。
こうした中、22年10月に「国土交通省による基幹統計の不正をめぐる一連のスクープと関連報道」で22年度日本新聞協会賞を受賞した。一連の報道は、調査報道により統計が過大となっていた事実を明らかにし、報道機関の使命である行政監視の役割を果たした。また、ロシアによるウクライナ侵攻では、23年3月までに約30人の記者、カメラマンが交代で現地に入り取材した。現地で長期にわたりルポを続けたイスタンブール支局長の高野裕介記者は、優れた報道で国際理解に貢献したジャーナリストに贈られるボーン・上田記念国際記者賞を受賞した。
朝日新聞デジタルは、課金・広告収入増を狙い、22年8月に会員限定記事が月5本まで無料で読める無料会員制度を廃止した。代わりに、23年2月に会員限定記事を知人らにメールやSNSで共有できる「プレゼント機能」、同年3月にスマホアプリから簡単に有料購読申し込みができる「アプリ内課金」を導入した。「LINE News AWARDS」のニュース報道部門では、昨年に続き5回目となる大賞を獲得した。また、「バーチャル高校野球」は、スポーツブル(㈱運動通信社)に加え、スポーツナビ(ヤフー㈱)にも配信を拡大し、大幅な増収増益を実現した。
朝日新聞の年間平均部数は399万1千部、夕刊123万7千部(前期比で朝刊56万6千部減、夕刊10万5千部減)と部数減がさらに進んだ。22年7月にASAとの取引制度の見直しを行い、ASAの意向を反映させた制度とした。また、エリア戦略における他紙との複合化、連携は順調に進んでいる。販売会社は4社を解散させ17社となった。地方紙に営業権を譲渡したほか、隣接の専売ASAの経営規模拡大を図った。
21年10月に導入した本紙購読者が登録できる紙面ビューアーコースの会員は、23年3月末(18カ月)で17万8千人を超えた。新聞購読の維持だけでなく会員が朝日新聞デジタル(朝デジ)のダブルコースにアップセルする割合は高く、購読者増に寄与している。さらに23年3月からASAが新聞購読止め読者を「朝日新聞デジタル」に誘導する取り組みを本格化させている。
メディアビジネス扱総収入は前年同期をやや下回ったが、コロナ禍で大幅減となった前々期並みで推移した。コロナ禍で不調だった旅行・レジャーなどが復調し、22年7月投開票の参院選の広告料収入はほぼ前回(2019年)並みを確保した。
展覧会事業は、「特別展ポンペイ」、「ゲルハルト・リヒター展」、「空也上人と六波羅蜜寺」などの大型催事が集客・物販ともに好調で収益に貢献した。イベント事業は、記者イベントを97回開催し、有料化率は5割を超えた。また、10月にオンライン配信した「朝日地球会議」の延べ視聴者数は128万人を超えた。新たに始めた展示会事業は「GOOD LIFEフェア」、松任谷由実デビュー50周年コラボ企画「丸の内ブライトクリスマス2022」、女性健康プロジェクト「Think W-Wellness」で黒字を確保した。また、通販事業は22年10月に全社EC基盤「朝日新聞モール」を立ち上げ、2つの新店舗を開いた。
グループ企業についてもコロナ禍が長期化した影響もあり、折込や広告を中心に厳しい状況が続いている。㈱朝日新聞出版は「ゲッターズ飯田の五星三心占い2023 全12冊」「本当の自由を手に入れる お金の大学」などの書籍が引き続き好調だったが、新刊点数が前期より減ったため減収だった。また、「週刊朝日」は部数低迷により23年5月末で休刊した。
当セグメントの売上高は229,923百万円と前年同期と比べ9,314百万円(△3.9%)の減収、セグメント損失は7,047百万円と前年同期の利益4,466百万円から損失に転じた。
[不動産事業]
不動産事業は前期比増収増益となった。コロナ禍により多大な影響を受けたホテルや飲食店舗も回復基調が鮮明となり、特に、中之島フェスティバルタワー・ウエストと東京銀座朝日ビルに入る両ホテルは22年10月以降、収入を大きく伸ばした。不動産収入の大部分を占めるオフィス賃貸は、一部で退室や減床等があったものの、リーシング活動の強化などにより引き続き高い入居率を維持した。27年度竣工予定の広島市基町地区の再開発事業には㈱朝日ビルディングとともに共同施行者として参画。22年10月に施行認可が公告され、実施設計に着手した。23年3月には、JR北海道グループが主導して札幌駅直結の再開発ビルを建設する「北5西1・西2地区第一種市街地再開発事業」において再開発組合が設立され、当社も参加組合員として参画することになった。
当セグメントの売上高は34,571百万円と前年同期と比べ3,812百万円(12.4%)の増収、セグメント利益は6,624百万円と前年同期と比べ1,548百万円(30.5%)の増益となった。
[その他の事業]
㈱朝日カルチャーセンターは、コロナ禍からの回復に厳しい状況が続いているが、オンライン講座の拡充強化や新講座管理システムの導入などで集客を増やしている。
当セグメントの売上高は2,536百万円と前年同期と比べ59百万円(2.4%)の増収、セグメント損失は11百万円(前年同期の損失は157百万円)となった。
当連結会計年度の総資産は562,070百万円で、前年同期と比べ12,142百万円(△2.1%)の減少となった。負債合計は197,698百万円で、同25,927百万円(△11.6%)減少した。主な要因は、退職給付に係る負債が98,180百万円と同23,676百万円(△19.4%)減少したことなどによる。純資産合計は364,372百万円で、同13,785百万円(3.9%)増加した。その結果、当連結会計年度の自己資本比率は63.4%となり、同3.9ポイント増加した。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は63,054 百万円と前年同期と比べ1,899 百万円(3.1%)増加した。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は1,399百万円となり、前年同期と比べ11,346百万円(△89.0%)減少となった。これは、税金等調整前当期純損失が386百万円となり、前年同期の税金等調整前当期純利益17,595百万円から損失に転じたことなどによる。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により得られた資金は2,261百万円となり、前年同期に支出した資金18,399百万円から増加に転じた。これは定期預金の払戻による収入が58,362百万円増加したことなどによる。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は2,099百万円となり、前年同期と比べ66百万円(3.3%)の増加となった。これは配当金の支払額による支出が96百万円増加したことなどによる。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
[メディア・コンテンツ事業]
主力商品部数(千部)前年同期比(%)発行回数(回)
朝日新聞朝刊3,991△12.4353
朝日新聞夕刊1,237△7.8293
週刊朝日75△12.347

(注) 部数は発行回数1回当たりの部数である。朝日新聞名古屋本社版夕刊のみ発行回数は243回である。
[不動産事業]
不動産事業は受注生産形態をとらないため、生産規模及び受注規模を金額、あるいは数量で示すことはしていない。
[その他の事業]
その他の事業は文化事業、電波事業とその他事業であり、広範囲かつ多種多様であるため、生産規模及び受注規模を金額、あるいは数量で示すことはしていない。
b. 受注実績
[メディア・コンテンツ事業]
新聞については、主に新聞販売店を経由した読者からの受注部数と、即売スタンドでの販売見込部数を生産・販売している。出版物については、主に書店又は即売スタンドでの販売見込部数を生産している。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)
メディア・コンテンツ事業229,923△ 3.9
不動産事業34,57112.4
その他の事業2,5362.4
合計267,031△ 2.0

(注) セグメント間取引については相殺消去している。

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、「財政状態及び経営成績の状況」で触れたとおり、減収で営業損失を計上したが、経常損益、最終損益の各段階では利益を計上した。今後も当社グループの根幹である健全なジャーナリズム活動を維持していくために必要な財政状態を確保できるよう、事業環境の急激な変化にも柔軟に対応できる体制の構築を図っていく。中計2023では、持続可能な成長軌道への道筋をつけるべく、21年度からの3年間を構造改革に集中的に取り組む期間としている。
一方で、「優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」「事業等のリスク」に記載したように、新聞を取り巻く厳しい市場環境は、経営成績に重要な影響を与える要因であり、課題として認識している。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりである。
[メディア・コンテンツ事業]
主力事業である朝日新聞を中心としたメディア・コンテンツ事業は、新聞販売部数の減少に加え、読者層の高齢化や広告媒体の多様化などにより、新聞広告市場や折込広告市場の縮小が続き、売上高の減少傾向が続く。「朝日新聞を創り直す」をスローガンとして掲げ、事業構造の転換を強力に推進していく。「ともに考え、ともにつくる~みなさまの豊かな暮らしに役立つ総合メディア企業へ」の企業理念のもと、コンテンツを基軸にした多メディア展開を進め、データに基づく顧客理解を起点に顧客満足度の向上と新たな顧客開発に取り組む。朝日新聞デジタルを中心としたデジタル事業と、収益の柱の一つと位置付けるイベント事業に、経営リソースの投入を図る。また、さらなる成長戦略として、新たな事業の創出やベンチャーキャピタル等による投資など、拡大・成長が見込める市場へのアプローチも積極的に進めていく。
[不動産事業]
収益の柱として不動産事業の重要性はますます高まっており、保有不動産の価値の最大化を図るとともに、新たな収益源となる計画を積極的に推進している。大阪市北区のツインタワー「中之島フェスティバルシティ」や東京都中央区の「東京銀座朝日ビルディング」など、グループを挙げて開発した大型物件が順調に稼動しているほか、広島市中心部でも当社と㈱朝日ビルディングが共同施行者となって再開発事業に取り組んでいる。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
資本の財源については、独立しかつ安定した経営基盤のもとで企業活動を継続していくことを基本としており、主として営業活動からのキャッシュ・フローを源泉にしている。
また、資金の流動性については、現金及び現金同等物に加え、主要金融機関と提携しており、現在必要とされる資金水準を十分満たす流動性を保持していると考えている。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いているが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性がある。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりである。
a.固定資産の減損
固定資産の減損の認識に際して用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりである。
b.繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の認識に際して用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりである。
c.退職給付債務の算定
当社グループには、確定給付制度を採用している会社が存在する。確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定している。数理計算上の仮定には、割引率、長期期待運用収益率等の様々な計算基礎がある。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性がある。
なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係)2.確定給付制度(簡便法を適用した制度を除く) (8)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載のとおりである。

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