有価証券報告書-第168期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/25 11:00
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりである。
① 財政状態及び経営成績の状況
2020年度の日本経済は、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、飲食店等の営業自粛と外出抑制に伴う消費の落ち込み、東京オリンピック・パラリンピックの延期などの影響を受けて低迷が続いた。新聞業界では、発行部数の減少のみならず、コロナ禍による広告収入の減収や折込広告の減少に伴うASAの経営悪化など、新聞を取り巻く環境は一段と厳しいものとなった。
当社においては、夏の全国高校野球選手権大会や「法隆寺展」等の展覧会、各催事の中止・延期が相次いだうえ、不動産事業におけるテナント賃料減免やホテル・ホール稼働率の低下など、新聞以外の事業にもコロナ禍の影響が及んだ。中期経営計画2020で掲げた事業構造改革が遅れていたところに、コロナ禍による影響が重なり、20年度決算は、連結・単体ともリーマンショック時を上回る営業損失となった。
当社は20年度を「緊急対応年度」と位置づけ、20年9月に常勤の役員全員をメンバーとする支出構造改革本部を立ち上げ、①緊急収支改善対策、②撤退戦略の確立(選択と集中)、③人件費の圧縮、④増収戦略の見直しに取り組んだ。
21年1月に、中村史郎副社長を4月1日付で代表取締役社長にすることを決め、新たな経営体制への移行の準備を始めた。21年3月に「中期経営計画2023」(以下、「中計2023」)を決定し、社内に公表した。今後3年間を、メディア環境の激変に対応するための構造改革に集中的に取り組む期間と定めた。
当連結会計年度の売上高は、主力のプリントメディア事業の構造的な不振に加え、コロナ禍の影響が重なり、293,771百万円と前年同期と比べ59,836百万円(△16.9%)の減少となった。損益については、営業損失が7,031百万円(前年同期は2,393百万円の営業利益)、経常損失が507百万円(同経常利益13,085百万円)となった。業績悪化に伴い、将来の利益計画を見直し、繰延税金資産を取り崩した。この結果、親会社株主に帰属する当期純損失は44,194百万円(同親会社株主に帰属する当期純利益10,688百万円)となった。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりである。
[メディア・コンテンツ事業]
当社は、社会に欠くべからざるジャーナリズムの担い手であり続けるため、当事業年度もニュースコンテンツの一層の充実を図った。世界の優れた報道デザインを表彰するニュースデザイン協会の「ベスト・オブ・デジタル・デザイン」で朝日新聞デジタルの特集「イラン抵抗の三日月謎の武装組織を追う」と「ノモンハン大戦の起点と終止符」が20年の優秀賞を受賞し、当社の受賞は8年連続となった。
朝日新聞デジタルは、20年4月にスマートフォン向けアプリを、9月にトップページをリニューアルし、ユーザーインターフェース(UI)とユーザーエクスペリエンス(UX)の大幅な向上につなげた。20年5月に配信を開始した音声サービス「朝日新聞ポッドキャスト」は21年1月に累計ダウンロード数100万件を突破した。新型コロナ対応では、20年春の緊急事態宣言を受けての無料公開や、スペシャルコンテンツ「東京100days 新型コロナウイルスの記録」など、迅速・正確なニュースとビジュアルや切り口に趣向を凝らした企画の両面でサービスを提供した。
イベント事業を収益の第三の柱に成長させる一環として、コロナ禍で需要が急拡大しているオンラインイベントの推進体制の整備を進めるため、20年10月に「イベント戦略事務局」を設置。オンライン「記者サロン」やビジネス各部門のオンラインイベントの運営を支援した。「記者サロン」では、コロナ関連や夫婦別姓、ファクトチェックなど多岐にわたるテーマに取り組んだ。10月に配信した「朝日地球会議2020」は、参加者数がのべ約49万人と、昨年を大きく上回った。20年4月に公表した「朝日新聞社ジェンダー平等宣言」では、掲げた目標のうち、「ひと」欄に登場する人物と「朝日地球会議」登壇者に占める女性の割合を40%以上にすることを初年度で達成した。総額人件費の抑制のために取り組んだ人事給与制度改革は、労使合意を経て20年10月に実現した。また、21年1月から希望退職の募集を行い、111名の応募があった。
朝日新聞の年間平均部数は朝刊494万7千部、夕刊148万2千部(前期比で朝刊42万6千部減、夕刊16万3千部減)と販売面でも引き続き苦戦を強いられた。コロナ禍でASAの折込収入は、20年3月から5月にかけ、前期比約3分の1まで激減。戸別配達網維持の観点から、大規模な経営支援を行った。新聞販売の環境は劇的に変わり、変化に対応できる販売網の構築が不可欠となった。
これまで進めてきた全国紙、地方紙との連携協調を一層推し進めながら、系統を超えた合理化、効率化を図る。併せて、ASAの従業員に求める仕事の量と質、社員構成のバランスなどを見直し、効率の良い店づくりを目指す。
新聞広告収入もコロナ禍で大幅に落ち込んだ。20年度は4月に緊急事態宣言が発出されたことで、旅行・運輸・レジャー・興行などの業種の広告出稿やイベントが中止されたことに加え、ほとんどの業種で企業の業績が悪化し宣伝活動が大きく減退したことが影響した。その中で緊急事態宣言が解除されていた7月以降は、Go To トラベルキャンペーンを受けた旅行・運輸・レジャー業種や、リモートワーク関連の情報サービス・金融通販業種の広告出稿を獲得したほか、イベントのオンライン化にも取り組んだ。下期は、21年1月に出された2回目の緊急事態宣言とその延長の影響を受けたものの、回復基調となった。
通販事業では巣ごもり需要をつかもうと20年6月、全社通販事業戦略を策定。紙面「月刊 ニュースな逸品」をはじめ、社内メディア連携を急拡大し、当初計画を上回る売り上げを達成した。
グループ企業でもコロナ禍の影響で折込や広告収入などが大きく落ち込み、赤字決算となったところがあった。そうした中で、㈱朝日学生新聞社の朝日小学生新聞の部数がASAや当社との連携により増えたほか、㈱朝日新聞出版が、「ゲッターズ飯田の五星三心占い2021」や「本当の自由を手に入れる お金の大学」などの書籍販売が好調で好業績だった。
当セグメントの売上高は262,714百万円と前年同期と比べ49,103百万円(△15.7%)の減収、営業損失は12,025百万円と前年同期の4,999百万円の損失に続いて赤字だった。
[不動産事業]
コロナ禍の影響を受け、東京、大阪のホテルでは賃料収入が大きく減った。また大阪・中之島の商業テナントも大きな打撃を受けたことから賃料減免を行い、さらに大阪・フェスティバルホールと有楽町、浜離宮の両朝日ホールでも公演の取りやめや延期、入場者数の制限などが相次ぎ、収入を落とした。一方、当社の不動産事業の多くを占めるオフィステナントではごく一部を除き賃料減免は行っていない。コロナ禍でオフィスの見直しに取り組む企業もあるが、㈱朝日ビルディングと連携してテナントとの関係強化、物件の価値向上を進め、高入居率を維持した。
広島市の旧広島朝日ビル跡地で進めている再開発計画は、当社や朝日ビルディングなどで組成する共同企業体が事業化検討パートナーとして、地権者などと事業の本格検討を進めた。21年3月に関係者間で事業推進合意のめどが立ち、21年度の正式合意に向けて前進した。
当セグメントの売上高は28,986百万円と前年同期と比べ9,528百万円(△24.7%)の減収、営業利益は5,254百万円と同2,153百万円(△29.1%)の減益となった。
[その他の事業]
その他の事業では、㈱朝日カルチャーセンターがコロナ禍で、オンライン講座を同業他社に先駆けて展開するなど新たな受講生を獲得したものの、講座休講の影響が大きく、業績は低迷した。
当セグメントの売上高は2,070百万円と前年同期と比べ1,204百万円(△36.8%)の減収となり、営業損失も265百万円と前年同期の26百万円の損失に続いて赤字だった。
当連結会計年度における総資産は、573,864百万円で前年同期と比べ25,298百万円(△4.2%)減少した。主な要因は、繰延税金資産が1,330百万円と同30,760百万円(△95.9%)減少したことなどによる。負債合計は226,842百万円で、同3,060百万円(1.4%)増加した。主な要因は、繰延税金負債が11,519百万円と、同11,359百万円増加したことなどによる。また、純資産合計は347,022百万円で、同28,358百万円(△7.6%)減少した。このうち利益剰余金は296,560百万円と、同44,401百万円(△13.0%)減少した。その結果、当連結会計年度末の自己資本比率は58.8%となり、同2.1ポイント減少した。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は68,806百万円と前年同期に比べて7,147百万円(11.6%)増加した。
営業活動により得た資金は2,901百万円となり、同3,418百万円(△54.1%)減少した。これは税金等調整前当期純損失が7,072百万円と、前年同期の税金等調整前当期純利益14,496百万円から損失に転じたことなどによる。
投資活動により得た資金は、6,350百万円で、前年同期に支出した資金27,655百万円から収入に転じた。これは主に定期預金の預入による支出が26,336百万円、有形固定資産の取得による支出が20,228百万円それぞれ前年同期に比べて減少したことなどによる。
財務活動により支出した資金は2,088百万円となり、前年同期に得た資金7,233百万円から支出に転じた。これは主に長期借入れによる収入が同9,970百万円減少したことなどによる。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
[メディア・コンテンツ事業]
主力商品部数(千部)前年同期比(%)発行回数(回)
朝日新聞朝刊4,947△7.9353
朝日新聞夕刊1,482△9.9293
週刊朝日102△9.649

(注) 部数は発行回数1回当たりの部数である。朝日新聞名古屋本社版夕刊のみ発行回数は243回である。
[不動産事業]
不動産事業は受注生産形態をとらないため、生産規模及び受注規模を金額、あるいは数量で示すことはしていない。
[その他の事業]
その他の事業は文化事業、電波事業とその他事業であり、広範囲かつ多種多様であるため、生産規模及び受注規模を金額、あるいは数量で示すことはしていない。
b. 受注実績
[メディア・コンテンツ事業]
新聞については、主に新聞販売店を経由した読者からの受注部数と、即売スタンドでの販売見込部数を生産・販売している。出版物については、主に書店または即売スタンドでの販売見込部数を生産している。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)
メディア・コンテンツ事業262,714△15.7
不動産事業28,986△24.7
その他の事業2,070△36.8
合計293,771△16.9

(注) 1. セグメント間取引については相殺消去している。
2. 上記の金額には、消費税等は含まれていない。

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、「財政状態及び経営成績の状況」で触れたとおり、減収でかつ営業損益、経常損益、親会社株主に帰属する当期純損益の各段階で赤字となった。今後も当社グループの根幹である健全なジャーナリズム活動を維持していくために必要な財政状態を確保できるよう、事業環境の急激な変化にも柔軟に対応できる体制の構築を図っていく。中計2023では、今後3年間を構造改革に集中的に取り組む期間とし、持続可能な成長軌道への道筋をつけることを目指す。
一方で、「優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」「事業等のリスク」に記載したように、新聞を取り巻く厳しい市場環境は、経営成績に重要な影響を与える要因であり、課題として認識している。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりである。
[メディア・コンテンツ事業]
主力事業である朝日新聞を中心としたメディア・コンテンツ事業は、新聞販売部数の減少に加え、読者層の高齢化や広告媒体の多様化などにより、新聞広告市場や折込広告市場の縮小が続き、売上高の減少傾向が続く。「ともに考え、ともにつくる~みなさまの豊かな暮らしに役立つ総合メディア企業へ」の企業理念のもと、コンテンツを基軸にした多メディア展開を進め、データに基づく顧客理解を起点に顧客満足度の向上と新たな顧客開発に取り組む。朝日新聞デジタルを中心としたデジタル事業と、収益の柱の一つと位置付けるイベント事業に、経営リソースの投入を図る。また、さらなる成長戦略として、メディアラボなどによる新たな事業の創出やベンチャーキャピタル等による投資など、拡大・成長が見込める市場へのアプローチも積極的に進めていく。
[不動産事業]
大阪市北区のツインタワー「中之島フェスティバルシティ」及び東京都中央区の「東京銀座朝日ビルディング」など、グループを挙げて進めた開発プロジェクトが成功裏に終了し、コロナ禍においても主力のオフィステナントが安定稼働期に入っていることもあり、大幅な減収とはなっていない。収益の柱として不動産事業の重要性はますます高まっており、さらなる収益増、保有物件の価値最大化に向けて、不動産系グループ企業はそれぞれの役割に沿って、さらに業務の高度化、効率化を推進していく。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
資本の財源については、独立しかつ安定した経営基盤のもとで企業活動を継続していくことを基本としており、主として営業活動からのキャッシュ・フローを源泉にしている。
また、資金の流動性については、現金及び現金同等物に加え、主要金融機関と提携しており、現在必要とされる資金水準を十分満たす流動性を保持していると考えている。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いているが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性がある。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりである。
a.繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の認識に際して用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりである。
b.退職給付債務の算定
当社グループには、確定給付制度を採用している会社が存在する。確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定している。数理計算上の仮定には、割引率、長期期待運用収益率等の様々な計算基礎がある。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性がある。
なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係)2.確定給付制度(簡便法を適用した制度を除く) (8)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載のとおりである。

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