有価証券報告書-第169期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりである。
「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という)等を当連結会計年度の期首から適用している。なお、収益認識会計基準等の適用が財政状態及び経営成績に与える影響の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)及び(セグメント情報等)」に記載のとおりである。
① 財政状態及び経営成績の状況
2021年度の日本経済は、新型コロナウイルスの断続的な流行や原油価格の上昇、さらにウクライナ情勢などの影響で、前年から回復基調にあるものの通年では停滞が続いた。新聞業界においては、新聞発行部数の減少がさらに進むなど、厳しい経営環境が続いている。
このような状況の下、21年4月に新たな経営体制で「中期経営計画2023」(以下、「中計2023」という)を打ち出し、その後も中計2023を補完・強化する議論を進めて、事業構造戦略を策定し、そのロードマップと推進態勢を確定した。
9月には、グループ経営の体制強化の一環として「朝日新聞グループ行動計画2023」を策定、「朝日新聞グループ」を経営の主語に、当社とグループ企業が一体となった事業ドメイン(領域)経営の推進を掲げ、計画を遂行している。
当社グループの当連結会計年度の売上高は、272,473百万円と前年同期と比べ21,297百万円(△7.2%)の減収となった。損益については、営業利益が9,501百万円(前年同期は営業損失7,031百万円)、経常利益が18,925百万円(同経常損失は507百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は12,943百万円(同親会社株主に帰属する当期純損失は44,194百万円)だった。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりである。
[メディア・コンテンツ事業]
「ともに考え、ともにつくる~みなさまの豊かな暮らしに役立つ総合メディア企業へ」の企業理念のもと、社会に必要とされるジャーナリズムの担い手であり続けるため、多角的で充実した報道を展開した。紙面やデジタルだけでなく、ポッドキャストや動画、SNS、YouTubeなどを有機的に使い、様々な年代のより多くの読者にコンテンツを届けた。
こうした中、21年10月には、当社の「LINEの個人情報管理問題のスクープと関連報道」が21年度の日本新聞協会賞を受賞し、プラットフォーム事業者が大きな影響力を及ぼすようになった社会に警鐘を鳴らした調査報道として、高く評価された。また、国土交通省による国の基幹統計書き換えのスクープも、ずさんな政府の姿勢をただす契機となり、大きな反響を呼んだ。
朝日新聞デジタルは、創刊10周年を機にコース体系をリニューアルするとともに、専門家や記者が記事にコメントする「コメントプラス」やお気に入りの連載をフォローできる「連載フォロー」といった新たな機能を追加するなど、サービスを拡充している。また、「バーチャル高校野球」は、原則無観客ながら2年ぶりの開催となった夏の全国高等学校野球選手権大会をライブ配信した。同地方大会でライブ配信した試合数は2,500を超え、前年から倍増した。
朝日新聞の年間平均部数は455万7千部、夕刊134万2千部(前期比で朝刊39万部減、夕刊14万部減)。21年7月には本紙の月ぎめ購読料を1993年12月以来、27年7カ月ぶりに改定した。購読料改定の影響による購読止めは、ASAの対応に加え、読者サービスやプロモーションなどの施策も功を奏し、想定した範囲内に抑えられている。また、地方紙との販売面での連携協調は一層深まり、販売網の合理化、効率化を図るエリア戦略がさらに進行した。
メディアビジネス扱総収入は前年同期を上回った。しかし、19年度との比較ではコロナ禍による収入減が継続している。1年延期された後に開催された東京オリンピック・パラリンピックは緊急事態宣言下だった影響もあり大幅な増収機会とはならなかったが、秋の衆院選では前回(2017年)を上回る選挙広告を獲得した。
企画事業では、コロナ禍による人数規制のため「大英博物館ミイラ展」「国宝 鳥獣戯画のすべて」など大型催事の動員数が伸び悩んだ。一方で、2年連続のオンライン開催となった国際シンポジウム「朝日地球会議2021」は、視聴者数が5日間でのべ約105万人に達し、前回の実績から倍増した。
グループ企業についてもコロナ禍が長期化し、折込や広告を中心に厳しい状況が続いている。そうした中で、㈱朝日新聞出版は「ゲッターズ飯田の五星三心占い2022」「本当の自由を手に入れる お金の大学」などの書籍が引き続き好調、2期連続で史上最高益を更新した。
当セグメントの売上高は239,237百万円と前年同期と比べ23,476百万円(△8.9%)の減収、セグメント利益は4,466百万円と前年同期の損失12,025百万円から利益に転じた。
[不動産事業]
当社の不動産収入の大部分を占めるオフィス物件は、リーシング活動の強化などにより高い入居率を維持した。ホテルや飲食店舗はコロナ禍の影響で稼働率低迷や営業時間短縮などが続き、本格的な回復基調に至っていないが、東京銀座朝日ビルの商業テナント区画が満床になるなどした結果、前年同期を上回る収入を確保した。東京築地本新館のテナントエリアと有楽町、浜離宮の両朝日ホールは21年4月から、㈱朝日ビルディングに運営管理を委託した。7月には、大規模改修工事を終えた浜離宮朝日ホールがリニューアルオープンした。広島市の旧広島朝日ビル跡地などで進めている再開発計画では21年8月、当社や朝日ビルディングを含む地権者ら6者が再開発事業の推進に関する基本合意書を締結。22年3月には再開発事業等についての都市計画が決定し、実施段階に移った。
当セグメントの売上高は30,759百万円と前年同期と比べ1,773百万円(6.1%)の増収、セグメント利益は5,075百万円と前年同期と比べ178百万円(△3.4%)の減益となった。
[その他の事業]
㈱朝日カルチャーセンターは、コロナ禍の長期化により厳しい状況が続いているが、拡充に努めたオンライン講座の収入が前年の約3倍に増加するなど新たな成果が出てきている。
当セグメントの売上高は2,476百万円と前年同期と比べ405百万円(19.6%)の増収、セグメント損失は157百万円(前年同期の損失は265百万円)となった。
当連結会計年度の総資産は574,212百万円で、前年同期と比べ347百万円(0.1%)の増加となった。負債合計は223,625百万円で、同3,216百万円(△1.4%)減少した。主な要因は、退職給付に係る負債が121,856百万円と同4,877百万円(△3.8%)減少したことなどによる。純資産合計は350,586百万円で、同3,564百万円(1.0%)増加した。その結果、当連結会計年度の自己資本比率は59.5%となり、同0.7ポイント増加した。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は61,155百万円と前年同期と比べ7,651百万円(△11.1%)減少した。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は12,746百万円となり、前年同期と比べ9,845百万円(339.4%)増加となった。これは、税金等調整前当期純利益が17,595百万円となり、前年同期の税金等調整前当期純損失7,072百万円から利益に転じたことなどによる。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は18,399百万円となり、前年同期に得られた資金6,350百万円から支出に転じた。これは定期預金の預入による支出が32,139百万円増加したことなどによる。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は2,032百万円となり、前年同期と比べ55百万円(△2.7%)の減少となった。これはファイナンス・リース債務の返済による支出が76百万円減少したことなどによる。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
[メディア・コンテンツ事業]
(注) 部数は発行回数1回当たりの部数である。朝日新聞名古屋本社版夕刊のみ発行回数は242回である。
[不動産事業]
不動産事業は受注生産形態をとらないため、生産規模及び受注規模を金額、あるいは数量で示すことはしていない。
[その他の事業]
その他の事業は文化事業、電波事業とその他事業であり、広範囲かつ多種多様であるため、生産規模及び受注規模を金額、あるいは数量で示すことはしていない。
b. 受注実績
[メディア・コンテンツ事業]
新聞については、主に新聞販売店を経由した読者からの受注部数と、即売スタンドでの販売見込部数を生産・販売している。出版物については、主に書店または即売スタンドでの販売見込部数を生産している。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
(注) セグメント間取引については相殺消去している。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、「財政状態及び経営成績の状況」で触れたとおり、減収だが営業、経常、最終損益の各段階では利益を計上した。今後も当社グループの根幹である健全なジャーナリズム活動を維持していくために必要な財政状態を確保できるよう、事業環境の急激な変化にも柔軟に対応できる体制の構築を図っていく。中計2023では、持続可能な成長軌道への道筋をつけるべく、21年度からの3年間を構造改革に集中的に取り組む期間としている。
一方で、「優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」「事業等のリスク」に記載したように、新聞を取り巻く厳しい市場環境は、経営成績に重要な影響を与える要因であり、課題として認識している。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりである。
[メディア・コンテンツ事業]
主力事業である朝日新聞を中心としたメディア・コンテンツ事業は、新聞販売部数の減少に加え、読者層の高齢化や広告媒体の多様化などにより、新聞広告市場や折込広告市場の縮小が続き、売上高の減少傾向が続く。「朝日新聞を創り直す」をスローガンとして掲げ、事業構造の転換を強力に推進していく。「ともに考え、ともにつくる~みなさまの豊かな暮らしに役立つ総合メディア企業へ」の企業理念のもと、コンテンツを基軸にした多メディア展開を進め、データに基づく顧客理解を起点に顧客満足度の向上と新たな顧客開発に取り組む。朝日新聞デジタルを中心としたデジタル事業と、収益の柱の一つと位置付けるイベント事業に、経営リソースの投入を図る。また、さらなる成長戦略として、新たな事業の創出やベンチャーキャピタル等による投資など、拡大・成長が見込める市場へのアプローチも積極的に進めていく。
[不動産事業]
大阪市北区のツインタワー「中之島フェスティバルシティ」及び東京都中央区の「東京銀座朝日ビルディング」など、グループを挙げて完成させた大型物件は、コロナ禍においても順調に稼働している。収益の柱として不動産事業の重要性はますます高まっており、新たな収益源となる計画の推進や保有物件の価値最大化などに積極的に取り組んでいく。また、不動産系グループ企業と緊密に連携しつつ、それぞれの役割に沿って、さらに業務の高度化、効率化を推進していく。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
資本の財源については、独立しかつ安定した経営基盤のもとで企業活動を継続していくことを基本としており、主として営業活動からのキャッシュ・フローを源泉にしている。
また、資金の流動性については、現金及び現金同等物に加え、主要金融機関と提携しており、現在必要とされる資金水準を十分満たす流動性を保持していると考えている。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いているが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性がある。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりである。
a.繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の認識に際して用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりである。
b.退職給付債務の算定
当社グループには、確定給付制度を採用している会社が存在する。確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定している。数理計算上の仮定には、割引率、長期期待運用収益率等の様々な計算基礎がある。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性がある。
なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係)2.確定給付制度(簡便法を適用した制度を除く) (8)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載のとおりである。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりである。
「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という)等を当連結会計年度の期首から適用している。なお、収益認識会計基準等の適用が財政状態及び経営成績に与える影響の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)及び(セグメント情報等)」に記載のとおりである。
① 財政状態及び経営成績の状況
2021年度の日本経済は、新型コロナウイルスの断続的な流行や原油価格の上昇、さらにウクライナ情勢などの影響で、前年から回復基調にあるものの通年では停滞が続いた。新聞業界においては、新聞発行部数の減少がさらに進むなど、厳しい経営環境が続いている。
このような状況の下、21年4月に新たな経営体制で「中期経営計画2023」(以下、「中計2023」という)を打ち出し、その後も中計2023を補完・強化する議論を進めて、事業構造戦略を策定し、そのロードマップと推進態勢を確定した。
9月には、グループ経営の体制強化の一環として「朝日新聞グループ行動計画2023」を策定、「朝日新聞グループ」を経営の主語に、当社とグループ企業が一体となった事業ドメイン(領域)経営の推進を掲げ、計画を遂行している。
当社グループの当連結会計年度の売上高は、272,473百万円と前年同期と比べ21,297百万円(△7.2%)の減収となった。損益については、営業利益が9,501百万円(前年同期は営業損失7,031百万円)、経常利益が18,925百万円(同経常損失は507百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は12,943百万円(同親会社株主に帰属する当期純損失は44,194百万円)だった。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりである。
[メディア・コンテンツ事業]
「ともに考え、ともにつくる~みなさまの豊かな暮らしに役立つ総合メディア企業へ」の企業理念のもと、社会に必要とされるジャーナリズムの担い手であり続けるため、多角的で充実した報道を展開した。紙面やデジタルだけでなく、ポッドキャストや動画、SNS、YouTubeなどを有機的に使い、様々な年代のより多くの読者にコンテンツを届けた。
こうした中、21年10月には、当社の「LINEの個人情報管理問題のスクープと関連報道」が21年度の日本新聞協会賞を受賞し、プラットフォーム事業者が大きな影響力を及ぼすようになった社会に警鐘を鳴らした調査報道として、高く評価された。また、国土交通省による国の基幹統計書き換えのスクープも、ずさんな政府の姿勢をただす契機となり、大きな反響を呼んだ。
朝日新聞デジタルは、創刊10周年を機にコース体系をリニューアルするとともに、専門家や記者が記事にコメントする「コメントプラス」やお気に入りの連載をフォローできる「連載フォロー」といった新たな機能を追加するなど、サービスを拡充している。また、「バーチャル高校野球」は、原則無観客ながら2年ぶりの開催となった夏の全国高等学校野球選手権大会をライブ配信した。同地方大会でライブ配信した試合数は2,500を超え、前年から倍増した。
朝日新聞の年間平均部数は455万7千部、夕刊134万2千部(前期比で朝刊39万部減、夕刊14万部減)。21年7月には本紙の月ぎめ購読料を1993年12月以来、27年7カ月ぶりに改定した。購読料改定の影響による購読止めは、ASAの対応に加え、読者サービスやプロモーションなどの施策も功を奏し、想定した範囲内に抑えられている。また、地方紙との販売面での連携協調は一層深まり、販売網の合理化、効率化を図るエリア戦略がさらに進行した。
メディアビジネス扱総収入は前年同期を上回った。しかし、19年度との比較ではコロナ禍による収入減が継続している。1年延期された後に開催された東京オリンピック・パラリンピックは緊急事態宣言下だった影響もあり大幅な増収機会とはならなかったが、秋の衆院選では前回(2017年)を上回る選挙広告を獲得した。
企画事業では、コロナ禍による人数規制のため「大英博物館ミイラ展」「国宝 鳥獣戯画のすべて」など大型催事の動員数が伸び悩んだ。一方で、2年連続のオンライン開催となった国際シンポジウム「朝日地球会議2021」は、視聴者数が5日間でのべ約105万人に達し、前回の実績から倍増した。
グループ企業についてもコロナ禍が長期化し、折込や広告を中心に厳しい状況が続いている。そうした中で、㈱朝日新聞出版は「ゲッターズ飯田の五星三心占い2022」「本当の自由を手に入れる お金の大学」などの書籍が引き続き好調、2期連続で史上最高益を更新した。
当セグメントの売上高は239,237百万円と前年同期と比べ23,476百万円(△8.9%)の減収、セグメント利益は4,466百万円と前年同期の損失12,025百万円から利益に転じた。
[不動産事業]
当社の不動産収入の大部分を占めるオフィス物件は、リーシング活動の強化などにより高い入居率を維持した。ホテルや飲食店舗はコロナ禍の影響で稼働率低迷や営業時間短縮などが続き、本格的な回復基調に至っていないが、東京銀座朝日ビルの商業テナント区画が満床になるなどした結果、前年同期を上回る収入を確保した。東京築地本新館のテナントエリアと有楽町、浜離宮の両朝日ホールは21年4月から、㈱朝日ビルディングに運営管理を委託した。7月には、大規模改修工事を終えた浜離宮朝日ホールがリニューアルオープンした。広島市の旧広島朝日ビル跡地などで進めている再開発計画では21年8月、当社や朝日ビルディングを含む地権者ら6者が再開発事業の推進に関する基本合意書を締結。22年3月には再開発事業等についての都市計画が決定し、実施段階に移った。
当セグメントの売上高は30,759百万円と前年同期と比べ1,773百万円(6.1%)の増収、セグメント利益は5,075百万円と前年同期と比べ178百万円(△3.4%)の減益となった。
[その他の事業]
㈱朝日カルチャーセンターは、コロナ禍の長期化により厳しい状況が続いているが、拡充に努めたオンライン講座の収入が前年の約3倍に増加するなど新たな成果が出てきている。
当セグメントの売上高は2,476百万円と前年同期と比べ405百万円(19.6%)の増収、セグメント損失は157百万円(前年同期の損失は265百万円)となった。
当連結会計年度の総資産は574,212百万円で、前年同期と比べ347百万円(0.1%)の増加となった。負債合計は223,625百万円で、同3,216百万円(△1.4%)減少した。主な要因は、退職給付に係る負債が121,856百万円と同4,877百万円(△3.8%)減少したことなどによる。純資産合計は350,586百万円で、同3,564百万円(1.0%)増加した。その結果、当連結会計年度の自己資本比率は59.5%となり、同0.7ポイント増加した。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は61,155百万円と前年同期と比べ7,651百万円(△11.1%)減少した。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は12,746百万円となり、前年同期と比べ9,845百万円(339.4%)増加となった。これは、税金等調整前当期純利益が17,595百万円となり、前年同期の税金等調整前当期純損失7,072百万円から利益に転じたことなどによる。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は18,399百万円となり、前年同期に得られた資金6,350百万円から支出に転じた。これは定期預金の預入による支出が32,139百万円増加したことなどによる。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は2,032百万円となり、前年同期と比べ55百万円(△2.7%)の減少となった。これはファイナンス・リース債務の返済による支出が76百万円減少したことなどによる。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
[メディア・コンテンツ事業]
| 主力商品 | 部数(千部) | 前年同期比(%) | 発行回数(回) |
| 朝日新聞朝刊 | 4,557 | △7.9 | 353 |
| 朝日新聞夕刊 | 1,342 | △9.5 | 293 |
| 週刊朝日 | 86 | △16.1 | 49 |
(注) 部数は発行回数1回当たりの部数である。朝日新聞名古屋本社版夕刊のみ発行回数は242回である。
[不動産事業]
不動産事業は受注生産形態をとらないため、生産規模及び受注規模を金額、あるいは数量で示すことはしていない。
[その他の事業]
その他の事業は文化事業、電波事業とその他事業であり、広範囲かつ多種多様であるため、生産規模及び受注規模を金額、あるいは数量で示すことはしていない。
b. 受注実績
[メディア・コンテンツ事業]
新聞については、主に新聞販売店を経由した読者からの受注部数と、即売スタンドでの販売見込部数を生産・販売している。出版物については、主に書店または即売スタンドでの販売見込部数を生産している。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
| メディア・コンテンツ事業 | 239,237 | △8.9 |
| 不動産事業 | 30,759 | 6.1 |
| その他の事業 | 2,476 | 19.6 |
| 合計 | 272,473 | △7.2 |
(注) セグメント間取引については相殺消去している。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、「財政状態及び経営成績の状況」で触れたとおり、減収だが営業、経常、最終損益の各段階では利益を計上した。今後も当社グループの根幹である健全なジャーナリズム活動を維持していくために必要な財政状態を確保できるよう、事業環境の急激な変化にも柔軟に対応できる体制の構築を図っていく。中計2023では、持続可能な成長軌道への道筋をつけるべく、21年度からの3年間を構造改革に集中的に取り組む期間としている。
一方で、「優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」「事業等のリスク」に記載したように、新聞を取り巻く厳しい市場環境は、経営成績に重要な影響を与える要因であり、課題として認識している。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりである。
[メディア・コンテンツ事業]
主力事業である朝日新聞を中心としたメディア・コンテンツ事業は、新聞販売部数の減少に加え、読者層の高齢化や広告媒体の多様化などにより、新聞広告市場や折込広告市場の縮小が続き、売上高の減少傾向が続く。「朝日新聞を創り直す」をスローガンとして掲げ、事業構造の転換を強力に推進していく。「ともに考え、ともにつくる~みなさまの豊かな暮らしに役立つ総合メディア企業へ」の企業理念のもと、コンテンツを基軸にした多メディア展開を進め、データに基づく顧客理解を起点に顧客満足度の向上と新たな顧客開発に取り組む。朝日新聞デジタルを中心としたデジタル事業と、収益の柱の一つと位置付けるイベント事業に、経営リソースの投入を図る。また、さらなる成長戦略として、新たな事業の創出やベンチャーキャピタル等による投資など、拡大・成長が見込める市場へのアプローチも積極的に進めていく。
[不動産事業]
大阪市北区のツインタワー「中之島フェスティバルシティ」及び東京都中央区の「東京銀座朝日ビルディング」など、グループを挙げて完成させた大型物件は、コロナ禍においても順調に稼働している。収益の柱として不動産事業の重要性はますます高まっており、新たな収益源となる計画の推進や保有物件の価値最大化などに積極的に取り組んでいく。また、不動産系グループ企業と緊密に連携しつつ、それぞれの役割に沿って、さらに業務の高度化、効率化を推進していく。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
資本の財源については、独立しかつ安定した経営基盤のもとで企業活動を継続していくことを基本としており、主として営業活動からのキャッシュ・フローを源泉にしている。
また、資金の流動性については、現金及び現金同等物に加え、主要金融機関と提携しており、現在必要とされる資金水準を十分満たす流動性を保持していると考えている。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いているが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性がある。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりである。
a.繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の認識に際して用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりである。
b.退職給付債務の算定
当社グループには、確定給付制度を採用している会社が存在する。確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定している。数理計算上の仮定には、割引率、長期期待運用収益率等の様々な計算基礎がある。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性がある。
なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係)2.確定給付制度(簡便法を適用した制度を除く) (8)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載のとおりである。