有価証券報告書-第102期(2023/04/01-2024/03/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりである。
① 財政状態及び経営成績の状況
2023年度は積水化学グループの長期ビジョン「VISION 2030」に基づき策定した、中期経営計画「Drive 2.0」の初年度として、国内の新築住宅市況の低迷が長期化したが、自動車関連需要などは一定の回復が見られた。
そのような環境のもと、高付加価値品の販売拡大に加え、為替の効果もあり、売上高は過去最高となった。
また、高付加価値品の販売拡大、スプレッドの確保、固定費の抑制に努め、為替の効果もあり、営業利益は増益となった。経常利益は、為替差益などにより過去最高益を更新した。親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益などにより過去最高益を更新した。
その結果、売上高は前連結会計年度比1.1%増の1,256,538百万円、営業利益は3.0%増の94,399百万円、経常利益は1.6%増の105,921百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は12.5%増の77,930百万円となった。
セグメントごとの経営成績は次のとおりである。
イ)住宅事業
当連結会計年度の売上高は前連結会計年度比1.4%減の529,693百万円、営業利益は前連結会計年度比15.5%減の27,729百万円となった。当連結会計年度は、売上高はリフォーム事業および不動産事業が増収となる一方、新築住宅事業において受注棟数が前期を下回ったことで、前期をやや下回り減収となった。また、営業利益は為替影響を含む部材価格上昇の影響もあり、減益となった。
施策面については、新築住宅、リフォーム、まちづくりの各事業でスマート&レジリエンスの訴求を図った。
新築住宅事業では、物価上昇による購買意欲減退の影響などにより、受注棟数は前期を下回った。ウェブサイトと展示場・ショールーム・工場見学やイベントを連携したマーケティング活動に注力したほか、商品や分譲地のデザイン向上を図った。加えて、リフォーム事業などの成長領域への人員シフトを中心とした、収益性強化策が進捗した。
リフォーム事業は、営業体制強化や、断熱リフォームを軸とした改装などの拡販により、受注が前期を上回った。
ロ)環境・ライフライン事業
当連結会計年度の売上高は前連結会計年度比0.2%増の234,787百万円、営業利益は前連結会計年度比4.4%増の22,129百万円となった。当連結会計年度は、国内の住宅・非住宅建築市況が低調であったことに加え、塩素化塩ビ(CPVC)樹脂の需要低迷の影響があったものの、売値改善によるスプレッドの確保、水道・建築・工場向けポリエチレン管、耐火材料などの重点拡大製品の販売伸長により、売上高は増収、営業利益は2期連続で過去最高益を更新し、増収増益となった。
パイプ・システムズ分野では、国内の住宅向け非住宅向けとも需要が想定を下回るも、売値改善の定着、重点拡大製品の拡販により、売上高は前期を上回った。
住・インフラ複合材分野では、耐火・不燃材料、大型高排水システムなどの重点拡大製品や合成木材(FFU)の国内での売値改善、堅調な受注が進んだものの、住宅向け需要が低迷し、売上高は前期を下回った。
インフラ・リニューアル分野では、管路更生の海外での新規物件の獲得、パネルタンクの需要回復などにより、売上高は前期を上回った。
ハ)高機能プラスチックス事業
当連結会計年度の売上高は前連結会計年度比4.2%増の412,897百万円、営業利益は前連結会計年度比27.0%増の50,931百万円となった。当連結会計年度は、欧米や国内における建築・消費財需要の低迷の影響があったが、自動車関連の需要回復や、為替の効果、売値の維持・改善に努めたことなどにより、増収増益となった。
エレクトロニクス分野では、スマートフォン市況は一定程度回復したものの、半導体関連の需要については低迷が継続する中、主に非液晶製品の拡販が進捗し、売上高は前期を上回った。
モビリティ分野では、売値の改善が進捗したことや為替の効果、自動車関連の需要の回復、ヘッドアップディスプレイ用を中心とした高機能中間膜の拡販などにより、売上高は前期を大きく上回った。また Sekisui Aerospace Corporation の生産性改善の取り組みが進捗した。
インダストリアル分野では、欧米や国内の建築・消費財需要の低迷が続き、売上高は前期を下回った。
ニ)メディカル事業
当連結会計年度の売上高は前連結会計年度比3.3%増の92,620百万円、営業利益は前連結会計年度比12.5%減の10,952百万円となった。当連結会計年度は、感染症を中心に増加した国内検査需要の確実な取り込みや医療事業での新規原薬の販売が堅調に推移し、中国での血液凝固機器・試薬の拡販に注力するとともに、為替影響もあり、売上高は増収となった。一方、営業利益は米国での新型コロナウイルス感染症検査キットの販売減などの影響が大きく、減益となった。
ホ)その他事業
当連結会計年度の売上高は前連結会計年度比1.8%減の7,252百万円、営業損失は前連結会計年度比73百万円減の10,821百万円となった。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より41,160百万円増加し、当連結会計年度末には126,367百万円となった。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりである。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果増加した資金は106,632百万円(前連結会計年度は71,543百万円の増加)となった。これは、税金等調整前当期純利益111,479百万円、減価償却費51,195百万円、法人税等の還付額10,453百万円等の増加要因が、法人税等の支払額27,717百万円、仕入債務の減少額17,858百万円、売上債権及び契約資産の増加額11,355百万円等の減少要因を上回ったためである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果減少した資金は18,515百万円(前連結会計年度は59,430百万円の減少)となった。これは、主に重点及び成長分野を中心とした有形固定資産の取得による支出46,070百万円、無形固定資産の取得による支出14,385百万円等の減少要因が、投資有価証券の売却及び償還による収入22,073百万円、関係会社株式の売却による収入16,739百万円等の増加要因を上回ったためである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果減少した資金は53,023百万円(前連結会計年度は62,906百万円の減少)となった。これは、配当金の支払額29,094百万円(非支配株主への配当金の支払額を含む)、自己株式の取得による支出16,173百万円、リース債務の返済による支出5,701百万円等があったためである。
③ 生産、受注及び販売の状況
イ)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| 住宅 | 537,919 | △ 4.3 |
| 環境・ライフライン | 236,451 | 1.0 |
| 高機能プラスチックス | 415,982 | 0.1 |
| メディカル | 99,543 | 11.6 |
| 報告セグメント計 | 1,289,897 | △ 0.8 |
| その他 | 8,212 | △ 0.6 |
| 合計 | 1,298,110 | △ 0.8 |
(注)金額は販売価格による概算値であり、セグメント間の内部振替前の数値によっている。
ロ)受注状況
当連結会計年度における住宅事業の受注状況を示すと、次のとおりである。
なお、住宅事業を除くセグメントで取扱う製品については、主として見込生産を行っている。
| セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前期比(%) | 受注残高(百万円) | 前期比(%) |
| 住宅 | 393,025 | △1.3 | 139,200 | △15.3 |
ハ)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| 住宅 | 529,416 | △ 1.4 |
| 環境・ライフライン | 221,949 | 0.3 |
| 高機能プラスチックス | 407,894 | 4.4 |
| メディカル | 92,620 | 3.3 |
| 報告セグメント計 | 1,251,880 | 1.1 |
| その他 | 4,657 | 27.4 |
| 合計 | 1,256,538 | 1.1 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去している。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(財政状態)
当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末から95,112百万円増加し、1,323,243百万円となった。
イ)資産
流動資産については、前連結会計年度末より63,914百万円増加し、685,564百万円となった。主な要因は現金及び預金が37,491百万円、営業債権が合計で20,926百万円増加したためである。
また、固定資産については、31,198百万円増加し、637,679百万円となった。
ロ)負債
未払法人税等が13,269百万円、前受金が3,921百万円増加した一方、支払手形、電子記録債務、買掛金の仕入債務が12,745百万円減少したことなどにより負債合計で6,712百万円増加し、502,318百万円となった。
ハ)純資産
当連結会計年度末の純資産は88,400百万円増加し、820,925百万円となった。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上77,930百万円、為替換算調整勘定28,572百万円、退職給付に係る調整累計額13,514百万円及びその他有価証券評価差額金13,361百万円の増加があった一方、配当金の支払27,845百万円及び自己株式の取得16,173百万円の減少があったためである。
(経営成績)
イ)売上高及び営業利益
当連結会計年度の売上高は1,256,538百万円(前連結会計年度比+1.1%、14,016百万円増)となった。
また、当連結会計年度の営業利益は94,399百万円(前連結会計年度比+3.0%、2,733百万円増)となった。
なお、売上高及び営業利益の詳細については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載している。
ロ)営業外損益
営業外収益については、為替差益が1,762百万円増加した一方、持分法による投資利益が1,410百万円及び固定資産売却益が954百万円減少したことなどにより、前連結会計年度と比較して181百万円減少した。営業外費用については、支払利息が231百万円増加したことなどにより、前連結会計年度と比較して871百万円増加した。
ハ)特別損益
特別利益については、投資有価証券売却益13,701百万円、関係会社株式売却益540百万円を計上した。
特別損失については、減損損失4,128百万円、投資有価証券評価損2,453百万円、固定資産除売却損1,773百万円、関係会社株式評価損330百万円の合計8,684百万円を計上した。
固定資産除売却損の内訳については「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1) [連結財務諸表]の[注記事項](連結損益計算書関係)」に記載のとおりである。
ニ)親会社株主に帰属する当期純利益
以上の結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べて11,984百万円増加し、111,479百万円となった。税金費用と非支配株主に帰属する当期純利益を控除した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は77,930百万円となった。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析・検討内容は、「(1) 経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に含めて記載している。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、中期経営計画において、「負債も活用し、積極的に成長を志向する」ことを基本方針としており、資金調達については、内部資金を活用すると共に、必要に応じて借入・社債発行等による外部調達を行うこととしている。なお、外部調達に関しては、運転資金については借入金またはコマーシャル・ペーパーで、生産設備・M&A等の長期資金需要には長期借入金または普通社債の発行で調達している。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1) [連結財務諸表]の[注記事項](重要な会計上の見積り)」に記載のとおりである。