有価証券報告書-第62期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)

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2021/03/24 15:10
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績
国内農業は、農業生産者の減少及び高齢化が進んでいる一方で、大規模生産者や農業法人の増加など農業生産構造の変化が現れてきております。また、一昨年からの相次ぐ大型台風や大雨が農業へ大きな被害をもたらしており、その影響を残している国内農業は大変厳しい環境にあります。このような中、国内農薬業界におきましては、改正農薬取締法(2018年12月施行)により一層の農薬の安全性の向上が要求されており、国内の既登録農薬についても最近の科学的知見に基づいた安全性等の再評価が必要となっております。また、世界農薬市場におきましては、国内に先行し農薬登録制度の見直しが行われており、農薬使用時や残留農薬の安全性評価に留まらず生態系に対する環境影響評価が強化され、多くの既存薬剤の登録の失効・淘汰が進んでいます。加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大による農薬の生産・物流・消費等に対する影響を注視していく必要があります。
このような情勢の中で当社グループは、経営理念である「我が信条」(お客様のため、社員のため、社会のため、株主のためという4か条)ならびに「どこまでも農家とともに」をモットーとして研究開発・技術普及・生産・販売を展開しております。これまでに多くのステークホルダーの方々のご支援をいただき、当連結会計年度に創立70周年を迎えました。創業以来の経営理念を堅持しつつ100年企業を目指すために、「Lead The Way 2025」をスローガンとした長期事業計画とともに、新中期事業計画(2019年-2021年)を策定し「飛躍のための加速期間」をテーマとして取り組んでおります。また、新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するために当社グループは安全性や衛生管理に配慮した業務運営に取り組んでおります。
研究開発部門では、創薬のための研究開発を継続するために組織力の増強と研究レベルの向上を図り、ポートフォリオの充実と拡大に努めております。新規害虫防除剤「兼商ヨーバルフロアブル」は2020年1月に登録しました。また、自社剤を活用したゴルフ場向け除草剤の登録申請を行いました。さらに、国内市場向けの新規成分の害虫・病害防除剤の開発を進めております。
生産部門では、東京電力福島第一原子力発電所事故による福島工場の操業停止から10年となる中、山口工場はその代替工場として2018年11月に建設され操業3年目を迎え、2021年2月にISO9001の認証を取得しました。茨城工場・直江津工場と併せて自社生産体制の向上により、製品の安定供給とコスト削減に取り組むとともに、品質保証と顧客満足の向上に努めております。また、山口工場は西日本の物流拠点としての機能を備えており、東日本の物流拠点である所沢物流倉庫と併せた効率的な運用による一層のサービス向上に努めてまいります。
なお、2011年3月11日の東京電力福島第一原子力発電所の事故による営業損害につきましては、東京電力ホールディングス株式会社に対し損害賠償訴訟を係属中であります。
営業技術普及部門では、農業生産者への適切な技術情報の提供に加えて、土壌分析室を活用し、農業の根幹となる土づくり、土壌のセンチュウ対策、病害虫診断の支援活動を拡大しています。さらに、グローバルGAP認証取得支援ならびに地域の農業・栽培問題解決のための研究実践農場(カネショウファーム)の運営も全国6か所に拡大し、これらのサービス提供により地域農業や農業生産者への貢献に努めております。また、新型コロナウイルス感染拡大に伴い営業・技術普及活動の一部自粛や制限を実施いたしました。結果としてお客様への技術情報などの提供が出来ず大変ご不便をおかけしました。そこで5月13日より「お客様相談窓口」の強化を図り、能動的に製品の技術情報などお客様のお問合わせに対応いたしました。
海外事業部門では、主力製品「カネマイトフロアブル」の登録が世界45か国で認可され更に10か国で開発を進めております。「ネマキック粒剤・液剤」については現在9か国で登録が認可され今後も登録国の拡大に取り組んでまいります。また、海外子会社を通じて全世界で「バスアミド微粒剤」、「D-D」の登録維持・拡大・販売活動を整備し、韓国においては現地販売会社・小売店・農家に対する直接的な支援を強化してまいります。
当連結会計年度においては、害虫防除剤のうち主に海外向け「カネマイトフロアブル」、「ダーズバンDF」、新規に上市した「兼商ヨーバルフロアブル」及び、主要剤である土壌消毒剤のうち、海外向け「D-D」等の売上が前連結会計年度比増加に貢献しました。これに対して、売上原価、販売費及び一般管理費の増加により営業利益が減少しております。また、山口工場建設にかかる補助金収入を特別利益に、たな卸資産廃棄損を特別損失に計上いたしました。
この結果、当連結会計年度の売上高は152億3百万円(前連結会計年度比6億3千4百万円の増加、前連結会計年度比4.4%増)、営業利益は10億3千8百万円(前連結会計年度比1億9千2百万円の減少、前連結会計年度比15.6%減)、経常利益は11億7千7百万円(前連結会計年度比1億5千万円の減少、前連結会計年度比11.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は4億8千9百万円(前連結会計年度比4億7千6百万円の減少、前連結会計年度比49.3%減)となりました。
当社グループは農薬の製造、販売事業の単一セグメントでありますが、製品の種類別の営業概況は次のとおりであります。
(イ)害虫防除剤
国内ではコロナ禍で影響を大きく受けた花き市場で使用されている「ペンタック水和剤」、「カネマイトフロアブル」が前連結会計年度を下回りましたが、「アルバリン剤」が前連結会計年度を上回り、「ダーズバンDF」、新規剤の「兼商ヨーバルフロアブル」が売上に貢献しました。海外では主に「カネマイトフロアブル」が北米・欧州を中心に前連結会計年度を上回り、害虫防除剤全体で前連結会計年度を上回りました。この結果、売上高は39億5千万円(前連結会計年度比6億8千1百万円の増加、前連結会計年度比20.8%増)となりました。
(ロ)病害防除剤
兼商クプロシールド」、「ストライド顆粒水和剤」、「アフェットフロアブル」が前連結会計年度を上回り、病害防除剤全体で前連結会計年度を上回りました。この結果、売上高は9億8千3百万円(前連結会計年度比8千5百万円の増加、前連結会計年度比9.6%増)となりました。
(ハ)土壌消毒剤
海外では「D-D」が欧州地域で前連結会計年度を上回りましたが、「バスアミド微粒剤」、「ネマキック粒剤」が前連結会計年度を下回り、国内では「バスアミド微粒剤」は前連結会計年度をやや上回りましたが、「D-D」、「ネマキック粒剤」が前連結会計年度を下回り、土壌消毒剤全体で前連結会計年度を下回りました。この結果、売上高は75億6千5百万円(前連結会計年度比1億9千万円の減少、前連結会計年度比2.5%減)となりました。
(ニ)除草剤
「アークエース1キロ粒剤」が前連結会計年度を上回り、「モゲトン粒剤」は前連結会計年度とほぼ同等となりましたが、「カソロン剤」が前連結会計年度をやや下回り、除草剤全体でも前連結会計年度をやや下回りました。この結果、売上高は15億6千5百万円(前連結会計年度比1千1百万円の減少、前連結会計年度比0.7%減)となりました。
(ホ)その他
園芸用品、植調剤、展着剤が前連結会計年度を上回り、その他全体で前連結会計年度を上回りました。この結果、売上高は11億3千7百万円(前連結会計年度比6千8百万円の増加、前連結会計年度比6.4%増)となりました。
② 生産、受注及び販売の状況
(イ) 生産実績
当連結会計年度における生産実績は、次のとおりです。なお、当社グループは単一セグメントのため、製品の種類別に記載しています。
区分金額(千円)前年同期比(%)
害虫防除剤3,925,334+14.5
病害防除剤997,837+19.2
土壌消毒剤5,390,318△4.5
除草剤1,832,162△3.6
その他1,222,411△0.7
合計13,368,063+2.5

(注)1 金額は正味販売価格により算出しております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(ロ) 受注状況
前連結会計年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)及び当連結会計年度(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日)
当社グループ製品は見込生産を主体としており、総販売高に占める受注生産の割合は僅少のため受注状況の記載を省略しております。
(ハ) 販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりです。なお、当社グループは単一セグメントのため、製品の種類別に記載しています。
区分金額(千円)前年同期比(%)
害虫防除剤3,950,916+20.8
病害防除剤983,924+9.6
土壌消毒剤7,565,218△2.5
除草剤1,565,657△0.7
その他1,137,666+6.4
合計15,203,384+4.4

(注)1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先前連結会計年度当連結会計年度
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
カネコ種苗株式会社2,141,49814.72,111,02913.9

2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 財政状態
(イ)資産
当連結会計年度の総資産289億7千7百万円は、主に現金及び預金が4億9千5百万円、受取手形及び売掛金、電子記録債権等の売掛債権が6億2千4百万円、減価償却等により固定資産が4億4千2百万円減少したことにより、前連結会計年度の302億1千4百万円に比べ、12億3千6百万円の減少となりました。
(ロ)負債及び純資産
当連結会計年度の負債76億7百万円は、主に支払手形及び買掛金が6億1千7百万円減少したことにより前連結会計年度の82億2千3百万円に比べ、6億1千6百万円の減少となりました。
純資産は213億7千万円となり、前連結会計年度に比べ6億2千万円の減少となりました。その結果、自己資本比率は65.0%、1株当たり純資産額は1,520円60銭となりました。
④ キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、資金という。)は119億5千8百万円(前連結会計年度比4億9千5百万円の減少、前連結会計年度比4.0%減)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は 13億1千9百万円(前連結会計年度は12億2百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益(8億6千9百万円)、減価償却費の計上(6億8千5百万円)、売上債権の減少(6億2千3百万円)による収入及び、たな卸資産の増加(1億5千2百万円)、仕入債務の減少(6億5百万円)による支出によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は 1億2千9百万円(前連結会計年度は2億9千7百万円の収入)となりました。これは主に、補助金の受取額(1億6百万円)による収入及び、有形固定資産の取得(1億8千5百万円)、無形固定資産の取得(5千5百万円)による支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果支出した資金は 18億6千5百万円(前連結会計年度は8億7千7百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済(3億9千万円)、配当金の支払(2億7千9百万円)、非支配株主への配当金の支払額(7億7千1百万円)、自己株式の取得(3億8千万円)による支出によるものであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討等
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の採用や、資産・負債、収益・費用の計上及び開示に関する経営者の見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.(1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
なお、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、次のとおりであります。
(売上高)
売上高は152億3百万円(前連結会計年度比6億3千4百万円の増加、前連結会計年度比4.4%増)となりました。 製品の種類別の売上高につきましては、(1) 経営成績等の状況の概要に記載のとおりです。
(営業利益)
営業利益は10億3千8百万円(前連結会計年度比1億9千2百万円の減少、前連結会計年度比15.6%減)となりました。これは主に、売上原価率の上昇により売上総利益が減少し、研究開発に関する費用の増加等により販売費及び一般管理費が増加したためです。
(経常利益)
経常利益は11億7千7百万円(前連結会計年度比1億5千万円の減少、前連結会計年度比11.3%減)となりました。情報提供料収入、受取保険金、支払手数料返戻金、企業誘致奨励金等の計上により営業外収益が増加したにより、経常利益では営業利益の減少を抑えることができました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は4億8千9百万円(前連結会計年度比4億7千6百万円の減少、前連結会計年度比49.3%減)となりました。補助金収入で特別利益が計上されましたが、特別損失としてたな卸資産廃棄損が計上されたことにより、親会社株主に帰属する当期純利益では前連結会計年度を大きく下回る結果となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、原材料調達価格の動向、市場動向、為替動向、国内外の法令及び政治・経済動向等があります。
資材調達につきましては、重要な供給元とは関係強化を図るとともに、複数のソースを起用することと、生産と販売のバランスの調整、物流体制の見直しや最適化に努め、為替の影響によるリスクヘッジを含めた安定的な調達を進めております。
市場の変化に対しましては、国内販売部門において、マーケティング戦略に基づいた選択と集中を実践し、TCA活動を通して農家への推進を行い、自社剤の拡販に取り組んでまいります。また新規害虫防除剤「兼商ヨーバルフロアブル」が上市したことにより、更に売上拡大を進めていきます。海外販売部門においては、ダニ剤「カネマイトフロアブル」、「ネマキック粒剤」の販売国、適用作物の拡大を最重要課題として取り組んでおります。研究開発部門では引き続き、新剤の開発に取り組んでおります。
国内外の法令や政治・経済動向等につきましては、海外事業部、法務文書室等を中心とし、情報を入手するとともに、海外子会社及び関係会社と連携・情報共有を図ることで対応を行っております。
なお、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える主要なリスクにつきましては、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、主として営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入を資金の源泉としております。また、設備投資等の長期資金需要につきましては、自己資金はもとより、金融機関からの借入等、金利コストの最小化を図れるように資金調達を行っております。

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