有価証券報告書-第135期(平成27年1月1日-平成27年12月31日)

【提出】
2016/03/29 14:29
【資料】
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【項目】
136項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度における経営環境は、日本経済は個人消費や設備投資の回復の遅れなど一部に弱さがみられましたが、緩やかな回復基調が続きました。世界経済は、米国は雇用情勢や個人消費が底堅く好調に推移したものの、欧州は先行きに不透明感があり景気回復に力強さがみられませんでした。中国経済の減速傾向は当年度の終盤にかけてさらに強まり、新興国でも成長が鈍化する国が増えました。2014年度終盤から続いている原油価格下落に伴う原燃料コストの低下は、一部の事業では販売価格の調整を余儀なくされましたが、当連結会計年度の業績においてプラスに働きました。
このような状況において、当社グループは「世界に存在感を示す高収益スペシャリティ化学企業」を実現すべく、今年度よりスタートした中期経営計画「GS-STEP」において掲げた経営戦略を順次実行しています。
2015年度の経営成績につきましては、売上高は前年同期比36,752百万円(7.6%)増の521,721百万円、営業利益は14,694百万円(28.6%)増の66,077百万円、経常利益は13,574百万円(26.6%)増の64,535百万円、当期純利益は8,294百万円(30.2%)増の35,749百万円となりました。
なお、前期と比較する場合については、当連結対象期間(2015年1月1日から2015年12月31日まで)に対応する前年同一期間(2014年1月1日から2014年12月31日)に調整した数値を前期実績とし、増減比を記載しています。
(単位:億円、単位未満四捨五入)
前年同一期間2015年度前期比
増減額増減率
売 上 高4,8505,217+368+7.6%
営 業 利 益514661+147+28.6%
経 常 利 益510645+136+26.6%
当 期 純 利 益275357+83+30.2%

(注)前年同一期間の数値は監査を受けていません。
セグメント別の業績は次のとおりです。
(単位:億円、単位未満四捨五入)
売上高営業利益
前年同一期間2015年度増減額前年同一期間2015年度増減額
ビニルアセテート2,3762,747+371462557+95
イソプレン557550△76469+5
機能材料538569+312056+36
繊維477463△142941+12
トレーディング1,1921,196+43839+1
その他687696+92628+2
消去又は全社△978△1,005△27△125△129△4
合計4,8505,217+368514661+147

(注)前年同一期間の数値は監査を受けていません。
[ビニルアセテート]
当セグメントの売上高は274,746百万円(前年同期比15.6%増)、営業利益は55,740百万円(同20.7%増)となりました。
① 光学用ポバールフィルムは液晶パネルの数量増および大型化により販売量が増加しました。ポバール樹脂は
総じて順調に推移しました。PVBフィルムは中国および南米向けが伸び悩みましたが、その他の地域でカ
バーしました。水溶性ポバールフィルムは旺盛な需要を背景に順調に拡大しました。
② EVOH樹脂<エバール>は、自動車ガソリンタンク用途、食品包装用途ともに順調に推移しました。
[イソプレン]
当セグメントの売上高は54,985百万円(前年同期比1.3%減)、営業利益は6,922百万円(同8.1%増)となりました。
① イソプレン関連では、ファインケミカル、熱可塑性エラストマー<セプトン>および液状ゴムは中国の景気
減速の影響を受けました。
② 耐熱性ポリアミド樹脂<ジェネスタ>は、自動車用途は順調に拡大しましたが、LED反射板用途、コネク
タ用途は中国の景気減速の影響を大きく受けました。
[機能材料]
当セグメントの売上高は56,879百万円(前年同期比5.7%増)、営業利益は5,564百万円(同185.0%増)となりました。
① メタクリルは、一部樹脂用途で需要が減少しましたが、高機能品へのシフトなどにより順調に推移しまし
た。
② メディカルは、歯科材料の新製品の上市が寄与し販売が拡大しました。
③ 人工皮革<クラリーノ>は、既存プロセス品ならびに新プロセス品ともに好調に推移し、収益が拡大しまし
た。
[繊維]
当セグメントは、ビニロンは高付加価値用途へのシフトもあり好調に推移し、生活資材他の伸び悩みをカバーしました。この結果、売上高は46,344百万円(前年同期比2.7%減)、営業利益は4,108百万円(同43.1%増)となりました。
[トレーディング]
化学品関連事業は概ね堅調に推移しました。繊維関連事業は円安により海外加工費が上昇しましたが、高機能素材の拡販によりカバーしました。この結果、売上高は119,640百万円(前年同期比0.3%増)、営業利益は3,882百万円(同0.1%増)となりました。
[その他]
その他事業は一部で中国の景気減速の影響を受けましたが、エンジニアリング事業の貢献もあり、堅調に推移しました。この結果、売上高は69,601百万円(前年同期比1.3%増)、営業利益は2,773百万円(同6.7%増)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
税金等調整前当期純利益58,514百万円、減価償却費44,102百万円などの収入に対し、たな卸資産の増加、仕入債務の減少による10,859百万円の支出、法人税等の支払額7,023百万円などの支出で、営業活動によるキャッシュ・フローは 93,228百万円の収入となりました。前年度比では52,387百万円収入が増加しました。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資有価証券の償還4,385百万円による収入に対し、有形及び無形固定資産の取得による支出43,099百万円、子会社株式の取得による支出5,564百万円などにより、投資活動によるキャッシュ・フローは48,553百万円の支出となりました。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
配当金の支払額9,474百万円の支出、借入金の増減やコマーシャル・ペーパーの償還による15,084百万円などの支出により財務活動によるキャッシュ・フローは24,353百万円の支出となりました。
以上の要因に加え、現金及び現金同等物に係る換算差額により、当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より19,362百万円増加して、54,750百万円となりました。