有価証券報告書-第135期(平成27年1月1日-平成27年12月31日)

【提出】
2016/03/29 14:29
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【項目】
136項目

対処すべき課題

当社は、グループが目指すべき長期的な方向性を示す「長期企業ビジョン」を踏まえ、ありたい姿である「世界に存在感を示す高収益スペシャリティ化学企業」の実現を目指しています。
2015年度よりスタートした3ヵ年の中期経営計画「GS-STEP」では、最終年度である2017年度の目標として、売上高6,500億円、営業利益900億円、売上高営業利益率13.8%、1株当たり当期純利益163円を掲げています。また、「GS-STEP」では、以下の5つの主要な経営戦略を推進しています。
① コア事業の深耕
事業買収や能力増強等の投資効果を結実させナンバーワン、オンリーワン事業の事業基盤をより磐石なものとして競争優位性を高めます。また、次なる成長に向けた布石を打ちます。
② 技術革新
独自性の高い自社技術を活かし、新領域・新技術への展開を加速し、新事業を創出します。また、圧倒的な品質、コスト優位性を実現すべく、プロセス改良、新プロセス確立を推進します。
③ 次世代成長モデル
M&A・アライアンスを含めた外部資源のより一層の有効活用により、新規事業領域への拡大をはかります。また、研究開発、技術サービス、生産・販売、間接業務等様々な企業活動において革新的なビジネスモデルの確立にチャレンジします。
④ 経営資源最適配置
GLS事業統合などにより拡充した拠点、人材等の経営資源を、最適配置・積極活用することでグローバル経営の質を高めます。
⑤ 環境への貢献
地球環境に貢献する製品提供を拡大します。また、環境負荷を低減したプロセスで生産を行います。
中期経営計画「GS-STEP」では、経営戦略に基づく諸施策を着実に実行し、高収益を実現することが課題となります。
「GS-STEP」の初年度の具体的な施策として、ビニルアセテート関連事業においてベルギーでの<エバール>、西条の光学用ポバールフィルムなど「GS-STEP」に掲げた次なる成長に向けた設備投資を積極的に実施しました。またGLS事業やPlantic社など買収事業のシナジー発現のための施策をグループ全体で推進しました。イソプレン事業では、事業拡大に向けた次期プラントの検討を進めるなど、コア事業の強化に努めました。またビニロン新生産プロセスの開発や各種新製品の上市・拡販にも注力しました。一方、米国ポバール樹脂新工場のように工事の進捗が遅延したものもありましたが、2015年度の業績は為替の円安と原油価格下落に伴う原燃料コストの低下といった外部環境因が追い風となり、「GS-STEP」の初年度として順調なスタートになりました。
2016年度の経営環境は、安価な原燃料コストを引続き享受できる状況ではありますが、経済環境の不透明さが増す中、これまで以上に市場動向等の変化を早期に捉える必要があります。このような環境のもと当社グループは、コア事業において買収事業のシナジー発現を加速するとともに、さらなる事業拡大を目指します。また全事業において品質およびコスト競争力を高めると同時に、グローバルにITや人材活用など経営基盤の強化も進めます。さらに将来の成長戦略構築に向けて新機軸の検討を開始します。
こうした施策を遅滞なく実施し収益力を高めることで、当社グループが「長期企業ビジョン」で掲げているありたい姿である「世界に存在感を示す高収益スペシャリティ化学企業」の実現に繋げられると考えています。
<株式会社の支配に関する基本方針>Ⅰ.当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
昨今、日本の企業社会の構造は大きく変わりつつあります。たとえば、株式の持合いの解消が進み、会社は株主のものとする考え方や株主の声に配慮した経営が一層浸透する一方で、企業買収に対する株式市場、企業社会の理解も深まってきています。こうした中で、企業買収の対象となる会社の経営陣と十分な協議や合意のプロセスを経ることなく、いわば敵対的に、突如として株式の大量買付けを強行する動きが顕在化しています。もとより、当社は、このような敵対的な株式の大量買付けであっても、その具体的な条件・方法等によっては、当社の企業価値・株主共同の利益の向上に資する場合もあると認識しております。そして、当社が資本市場に公開された株式会社である以上、当社の株式の買付提案に応じるべきか否かの判断は、最終的には、個々の株主の皆様によってなされるべきであると考えております。
しかしながら、上記のような一方的な株式の大量買付けの中には、株主の皆様に対して当該大量買付けに関する十分な情報が提供されず、株主の皆様に株式の売却を事実上強要するおそれがあるものや、株主の皆様が当該大量買付けの条件・方法等の検討を行ったり、当社取締役会が代替案の提案等を行ったりするための十分な時間が確保されないもの、その他真摯に合理的な経営を行う意思が認められないもの等の当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なう株式の大量買付けもないとはいえません。
当社といたしましては、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業理念、および当社の企業価値の源泉をなす重要な経営資源を十分に理解した上で、当社の企業価値・株主共同の利益を中長期的に確保・向上させることを真摯に目指す者でなければならないと考えております。したがいまして、上記のような当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なうおそれのある株式の大量買付けを行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えます。
Ⅱ.基本方針の実現に資する取組み
当社は、企業価値を安定的かつ持続的に向上させていくことこそが株主共同の利益の向上のために最優先されるべき課題であると考え、以下のような事項をはじめ、当社の企業価値・株主共同の利益の向上のための様々な取組みを行っております。これらの取組みは、上記Ⅰ.の当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の実現に資するものであると考えております。
1.中期経営計画に沿った事業の強化・拡大
当社が目指すべき長期的な方向性を示す「長期企業ビジョン」で掲げた「世界に存在感を示す高収益スペシャリティ化学企業」を実現するため、2015年度から2017年度の3ヵ年計画として中期経営計画「GS-STEP」に取り組み、コア事業の深耕、技術革新、次世代成長モデル、経営資源最適配置および環境への貢献を主要な経営戦略とし、前中期経営計画「GS-Ⅲ」期間に実施した様々な施策の成果を結実させること、ならびに、事業拡大に向けた経営基盤の構築を確実に進めることにより、高収益を実現し、さらなる成長に向けて諸々の戦略を実行してまいります。
2.コーポレート・ガバナンス体制の構築
当社は、経営の効率性と公正性を確保する効果的なコーポレート・ガバナンス体制の構築により、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行い、多様な利害関係者との適切な関係を維持し、社会に対する責任を果たすことが、長期的・持続的に企業価値・株主共同の利益を向上させ、上記1.に記載の基本方針の実現に資するものと考えます。当社は、この認識のもとに、以下の諸施策の実施を通じてコーポレート・ガバナンス体制を構築しています。
① 社外取締役による経営監督機能の強化および執行役員制度による経営の意思決定と業務執行責任の分離
② 社外監査役による監査機能の充実
③ 社外有識者による社長の業務執行に対する助言を目的とした経営諮問会議の設置
3.株主の皆様への利益配分についての基本方針
当社は、株主の皆様に対する利益配分を経営の重要課題と位置付け、当社の企業価値・株主共同の利益を確保・向上させるべく、株主の皆様に対する経営成果の還元と将来の成長力の確保に配慮しつつ、適正な利益配分を行うよう努めています。
当社は、中期経営計画「GS-STEP」の実施期間における利益配分として、親会社株主に帰属する当期純利益に対する総還元性向を35%以上、1株当たり年間配当金を36円以上といたします。
Ⅲ.基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、2015年3月27日開催の当社第134回定時株主総会の承認を得て、当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上のための取組みとして、当社に対する濫用的な買収等を未然に防止するため、以下のとおり、当社の株式の大量買付行為に関する対応策(以下「本プラン」といいます。)を導入しました。
本プランに定められた手続(以下「大量買付ルール」といいます。)では、当社株式の保有割合が20%以上となる買付け等(以下「大量買付行為」といい、かかる買付行為を行う者を以下「大量買付者」といいます。)を行う大量買付者には大量買付行為を行う前に、大量買付行為に対する皆様のご判断および当社取締役会の評価・検討等のために必要かつ十分な情報を提供していただくこととしております。当社取締役会は、当該情報に基づき所定の評価期間内に大量買付行為に対する意見を取りまとめ、株主の皆様に公表するとともに、必要に応じて大量買付者との間で大量買付行為の条件・方法について協議し、株主の皆様に対する代替案の策定等を行います。
大量買付者が大量買付ルールに従わずに大量買付行為を行おうとする場合には、当社取締役会は、当該大量買付行為を当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なう敵対的買収行為とみなし、新株予約権の無償割当てによる対抗措置を発動することができるものとします。他方、大量買付者が大量買付ルールに従って大量買付行為を行う場合には、当該大量買付行為が当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なうものであると明白に認められる場合を除き、原則として当該大量買付行為に対する対抗措置は発動しません。
当社取締役会は、対抗措置の発動に先立ち、社外取締役および社外監査役で構成される特別委員会に対して対抗措置の発動の是非について諮問し、特別委員会の勧告を最大限尊重するものとします。また、当社取締役会は、特別委員会の勧告または当社取締役会の判断に基づき対抗措置の発動の是非につき株主の皆様のご意思を確認するための株主総会を招集する場合には、当該株主意思確認総会の決議に従うものとします。
なお、本プランの有効期間は、2015年3月27日開催の当社第134回定時株主総会の終了時から2018年に開催される当社第137回定時株主総会の終結時までです。
Ⅳ.上記Ⅱ.の取組みについての取締役会の判断
当社は、企業価値を安定的かつ持続的に向上させていくことこそが株主共同の利益の向上のために最優先されるべき課題であると考え、当社の企業価値・株主共同の利益の向上を目的として、上記Ⅱ.の取組みを行っております。これらの取組みの実施を通じて、当社の企業価値・株主共同の利益を向上させ、それを当社の株式の価値に適正に反映させていくことにより、当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なうおそれのある当社株式の大量買付けは困難になるものと考えられます。したがいまして、上記Ⅱ.の取組みは上記Ⅰ.の基本方針に沿うものであり、株主の皆様の共同の利益を損なうものではなく、また、当社の役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。
Ⅴ.上記Ⅲ.の取組みについての取締役会の判断
上記Ⅲ.の取組みは、十分な情報の提供と十分な検討等の期間の確保の要請に応じない大量買付者、および当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なう大量買付行為を行いまたは行おうとする大量買付者に対して、対抗措置を発動できることとしています。したがいまして、上記Ⅲ.の取組みは、これらの大量買付者による大量買付行為を防止するものであり、上記Ⅰ.の基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みであります。また、上記Ⅲ.の取組みは、当社の企業価値・株主共同の利益を確保・向上させることを目的として、大量買付者に対して、当該大量買付者が実施しようとする大量買付行為に関する必要な情報の事前の提供、およびその内容の評価・検討等に必要な期間の確保を求めるために導入されたものです。さらに、上記Ⅲ.の取組みにおいては、株主意思の重視、合理的な客観的要件の設定、特別委員会の設置等の当社取締役会の恣意的な判断を排し、上記Ⅲ.の取組みの合理性を確保するための様々な制度および手続が確保されているものです。
したがいまして、上記Ⅲ.の取組みは上記Ⅰ.の基本方針に沿うものであり、株主の皆様の共同の利益を損なうものではなく、また当社の役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。