有価証券報告書-第114期(2025/04/01-2026/03/31)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)事業の概況
○ 当社グループは2021年4月よりスタートした中期経営計画「EWAY Future & Beyond」に基づき、「患者様とそのご家族」から「患者様と生活者の皆様」に視点を拡大し、人々の健康憂慮の解消と医療較差の是正に向けたソリューションをお届けすべく、他産業との協業によるエコシステムの構築をめざしています。また、持続的な企業価値向上のため、人財の価値を最大限に引き出すべく人的資本経営を推進しています。企業理念・経営戦略と連動した人事戦略を策定し、国籍・性別・年齢などを問わず多様な価値観を持つ人財が活躍できる風土づくりを進め、イノベーションの創出を目指しています。
○ 疾患を連続体(Disease Continuum)として捉え、複数のバイオマーカーなどのプロファイリングにより疾患病態生理学的に理解することによって社内に蓄積されるヒューマンバイオロジーエビデンスを最大限活用し創薬研究を実践するDeep Human Biology Learning(DHBL)研究開発体制のもと、当社グループが当該領域のヒューマンバイオロジーに最も早く深くアクセスすることが可能なアルツハイマー病(AD)に代表される認知症を中心とした神経領域、難治性がんを中心としたがん領域に加えて、顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases: NTDs)をはじめとするグローバルヘルス分野における創薬を推進しています。
○ 認知症領域では、アルツハイマー病(AD)治療剤「レケンビ」についてBiogen Inc.(米国)との共同開発・共同販促による価値最大化に取り組んでいます。「レケンビ」は2025年度末までに50以上の国と地域で承認を取得しました。2025年10月には、当事者様の利便性向上が期待できる皮下注オートインジェクター製剤について、早期ADの治療における維持投与として米国で新発売しました。2026年度には、初期療法での承認、上市を米国ならびに日本で予定しています。さらには、プレクリニカル期(無症状期)ADを対象とする臨床試験も進行しています。また、すべての当事者様の健康憂慮の解消と医療較差の是正に貢献すべく、中国における認知症を対象としたワンストップオンライン健康プラットフォームの構築や、日本、アジアにおける他産業や非営利団体との提携といったソリューションを備えたエコシステムの構築を進めています。2025年5月には、エコナビスタ株式会社へのTOB(株式公開買付け)が成立し、認知症プラットフォームをベースとしたさらなるソリューション構築を進めています。
○ がん領域では、抗がん剤「レンビマ」について、Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA(以下 米メルク社)との共同開発・共同販促による価値最大化に取り組んでいます。2025年度には、米メルク社の抗がん剤ベルズチファンとの併用による腎細胞がん(セカンドライン)について、米国、日本で申請を行いました。また、オンコロジーパイプラインの強化に向けて、欧州など向けには抗がん剤タレトレクチニブの権利を、日本向けには、抗PD-1抗体serplulimabの権利をそれぞれ取得しました。
○ これらの活動の結果、2025年度の売上収益は8,254億円(前期比4.6%増)となりました。うち、「レンビマ」は3,425億円(同4.3%増)、「レケンビ」は880億円(同98.7%増)、不眠症治療剤「デエビゴ」は643億円(同19.6%増)となり、前年度から大幅な成長を遂げました。営業利益は、前期に一部製品の権利の譲渡に係る一時金、戦略的提携の終結に伴う一過性の利益等を計上した影響、ならびに「レケンビ」への積極的な資源投入や欧州の構造改革を進めたことで販売費及び一般管理費が増加した影響などにより、441億円と前期から102億円減少しました。一過性の損益を除外したコア営業利益については、前期の238億円から501億円へと大幅に伸長しました。
(2)経営成績の状況
○ 当期(2025年4月1日~2026年3月31日)の連結業績は、次のとおりです。
(単位:億円、%)
○ 売上収益は、「レケンビ」、「レンビマ」および「デエビゴ」が引き続き伸長したことにより、前期に一部製品の権利の譲渡に係る一時金を計上した影響を吸収して増収となり、過去最高となりました。医薬品事業の売上収益は8,108億円(前期比8.2%増)となりました。
○ 主要品目の売上収益は、「レンビマ」が3,425億円(前期比4.3%増)と拡大しました。「レケンビ」が880億円(同98.7%増)、「デエビゴ」が643億円(同19.6%増)、抗てんかん剤「フィコンパ」が333億円(同11.6%増)といずれも大幅に拡大しました。
○ 売上原価は、主要品目の伸長により増加しました。売上原価率は、製品ミックスの変化に伴う影響や前期に一時金を売上収益として計上していた影響により、上昇しました。なお、一部製品の販売マイルストンの達成による費用、ならびに抗がん剤「タズベリク」(一般名:タゼメトスタット)の販売中止に伴い保有する在庫に係る評価損等を計上しました。
○ 販売費及び一般管理費は、「レケンビ」への積極的な資源投入や欧州の構造改革に係る費用の計上等により、増加となりました。
○ 研究開発費は、「レケンビ」や抗MTBRタウ抗体「E2814」、新規選択的オレキシン2受容体作動薬「E2086」などの重要プロジェクトへの積極的な資源投入を継続した一方で、開発テーマの見直しや費用効率化の追求により、減少となりました。
○ その他の収益は、前期に戦略的提携の終結に伴う一過性の利益59億円を計上したこと等により減少となりました。
○ 営業利益は、主要品目の売上が大幅に伸長した一方で、前期に一部製品の権利の譲渡に係る一時金、戦略的提携の終結に伴う一過性の利益等を計上した影響、ならびに「レケンビ」への積極的な資源投入や欧州の構造改革を進めたことで販売費及び一般管理費が増加した影響などにより、減益となりました。本質的な収益性を示すコア営業利益は501億円(前期比110.7%増)となりました。
[セグメントの状況]
(各セグメントの売上収益は外部顧客に対するものです)
当社グループは、セグメントを医薬品事業とその他事業に区分しており、医薬品事業を構成する日本、アメリカス(北米)、中国、EMEA(欧州、中東、アフリカ、ロシア、オセアニア)、イーストアジア・グローバルサウス(韓国、台湾、インド、アセアン、中南米、南アフリカ等)の5つの事業セグメントを報告セグメントとしています。
<日本医薬品事業>○ 売上収益は2,292億円(前期比6.0%増)、セグメント利益は730億円(同1.8%増)となりました。売上収益の主な内訳は、医療用医薬品が2,067億円(同6.7%増)、一般用医薬品等が225億円(同0.2%増)でした。
○ 品目別売上収益については、ニューロロジー領域で、「レケンビ」が244億円(前期比91.3%増)と大幅に伸長し、「デエビゴ」は465億円(同4.4%増)、「フィコンパ」は82億円(同6.5%増)と伸長しました。オンコロジー領域では、「レンビマ」が141億円(同1.3%増)と伸長しました。ヤヌスキナーゼ阻害剤「ジセレカ」は184億円(同24.9%増)、慢性便秘症治療剤「グーフィス」は88億円(同12.1%増)、慢性便秘症治療剤「モビコール」は87億円(同13.1%増)と大幅に伸長しました。一般用医薬品等では、チョコラBBグループの売上収益が159億円(同4.4%増)と伸長しました。
○ 2025年6月、OTC医薬品プロトンポンプ阻害薬「パリエットS」を新発売しました。
<アメリカス医薬品事業>○ 売上収益は3,004億円(前期比8.0%増)、セグメント利益は1,744億円(同10.2%増)となりました。
○ 品目別売上収益については、ニューロロジー領域で、「レケンビ」が446億円(前期比70.7%増)、「デエビゴ」が105億円(同53.5%増)と大幅に伸長しました。オンコロジー領域では、「レンビマ」が2,372億円(同2.1%増)と伸長しました。
○ 2025年10月、米国において、皮下注オートインジェクター製剤「LEQEMBI IQLIK」を新発売しました。
○ 2025年12月、カナダにおいて、「レケンビ」を新発売しました。
<中国医薬品事業>○ 売上収益は1,307億円(前期比13.2%増)、セグメント利益は593億円(同3.7%増)となりました。
○ 品目別売上収益については、「レンビマ」が250億円(前期比1.0%増)と伸長しました。「レケンビ」は需要の拡大により124億円(同163.1%増)と大幅に伸長しました。末梢性神経障害治療剤「メチコバール」は126億円(同9.1%増)と伸長しました。めまい・平衡障害治療剤「メリスロン」は125億円(同11.6%減)となりました。
○ 2025年7月、中国において、痛風治療剤「URECE」を新発売しました。
○ 2025年8月、中国において、「デエビゴ」を新発売しました。
○ 売上収益は815億円(前期比2.7%増)、セグメント利益は構造改革を進めた影響により304億円(同15.4%減)となりました。
○ 品目別売上収益については、ニューロロジー領域で、「フィコンパ」が173億円(前期比10.6%増)と大幅に伸長し、「レケンビ」は16億円(同419.2%増)となりました。オンコロジー領域では、「レンビマ/Kisplyx」が492億円(同17.4%増)と大幅に伸長しました。
○ 2025年8月にオーストリア、同年9月にドイツおよびサウジアラビア、同年10月にフィンランド、2026年1月にポルトガルにおいて、「レケンビ」を新発売しました。
<イーストアジア・グローバルサウス医薬品事業>○ 売上収益は688億円(前期比15.6%増)、セグメント利益は302億円(同10.5%増)となりました。
○ 品目別売上収益については、「レンビマ」が171億円(前期比9.1%増)、アルツハイマー型認知症治療剤「アリセプト」は146億円(同2.7%増)と伸長しました。「レケンビ」は50億円(前期は4億円)となりました。
○ 2025年6月に台湾およびシンガポール、同年9月にメキシコ、同年11月にタイにおいて、「レケンビ」を新発売しました。
○ 2025年7月、タイにおいて、過活動膀胱治療剤「ベオーバ」を新発売しました。
○ 2025年9月、タイにおいて、痛風・高尿酸血症治療剤「URECE」を新発売しました。
(3)財政状態の状況
○ 資産合計は、1兆4,491億円(前期末より626億円増)となりました。「レケンビ」等の生産を進めたことにより棚卸資産が増加したほか、為替の影響により海外連結子会社の資産が増加しました。
○ 負債合計は、5,240億円(前期末より34億円増)となりました。主として売上割戻に係る引当金が増加しました。
○ 資本合計は、9,251億円(前期末より592億円増)となりました。為替の影響により在外営業活動体の換算差額が増加しました。
○ 以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は62.0%(前期末より1.4ポイント増)となりました。
(4)キャッシュ・フローの状況
○ 営業活動によるキャッシュ・フローは、613億円の収入(前期より312億円の収入増)となりました。運転資本が棚卸資産の増加や買掛金の減少などにより増加となった一方で、退職給付信託の返還を受けたことに伴う退職後給付に係る資産の減少により増加しました。
○ 投資活動によるキャッシュ・フローは、418億円の支出(前期より317億円の支出増)となりました。金融資産の売却による収入があった一方で、無形資産の取得および子会社の取得などの資本的支出が増加しました。
○ 財務活動によるキャッシュ・フローは、611億円の支出(前期より33億円の支出増)となりました。主に配当金の支払いによるものです。
○ 以上の結果、現金及び現金同等物の残高は2,454億円(前期より201億円減)、営業活動によるキャッシュ・フローから資本的支出等を差し引いたフリー・キャッシュ・フローは196億円の収入となりました。
(5)生産、受注および販売の実績
① 生産実績
(a) 生産実績
当期における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注1) 金額は販売見込価格により算出し、セグメント間の取引については相殺消去しています。
(b) 商品仕入実績
当期における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注1) 金額は仕入価格により算出し、セグメント間の取引については相殺消去しています。
(注2) 当期においてアメリカス医薬品事業、EMEA医薬品事業の商品仕入実績はありませんでした。
② 受注実績
当社グループは販売計画に基づいた生産を行っているため、該当事項はありません。
③ 販売実績
当期における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注1) セグメント間の取引については相殺消去しています。
(注2) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
(6)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計方針及び見積り
連結財務諸表作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しています。重要な会計方針及び見積りの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3. 重要性のある会計方針、 4. 重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)事業の概況、(2)経営成績の状況、 (3)財政状態の状況、(4)キャッシュ・フローの状況」に記載しています。
③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、研究開発投資、製品導入など、事業の持続的成長につながる投資に積極的に資金を投入します。中長期の成長に向けた投資資金を安定的かつ機動的に確保するため、市場環境に応じた多様な調達手段を活用します。市場調達も含めて資金調達基盤を整備することで、財務の柔軟性と健全性を確保していきます。
また、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)管理による運転資本のコントロール、投資有価証券を含む資産売却などによるバランスシートマネジメントを推進しています。
資金の流動性については、2025年度末における現金及び現金同等物残高2,454億円であり、十分な流動性を確保しています。さらに、コマーシャル・ペーパーや当座借越・コミットメントラインなどの流動性補完、機動的な社債発行を可能とする社債発行登録などにより、流動性を一層強化しています。また、グループ内資金の効率的な活用を企図したキャッシュ・マネジメント・システムを導入しています。
2025年度末時点での実質的なキャッシュ残高である有利子負債控除後のネットキャッシュは801億円と、実質無借金を維持しています。引き続き、負債水準、フリー・キャッシュ・フロー、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)などの主要指標を適切にモニタリングし、財務の健全性を確保していきます。
④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)経営環境、経営方針・経営戦略、ならびに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等 ⑤目標とする経営指標」に記載のとおり、中長期の企業価値向上に連動する指標として、当社グループの本質的な収益力を表す「コア営業利益」および、為替換算差額を控除した自己資本と純有利子負債をベースにした「調整ROIC」を新たに設定しました。中長期的に調整ROICは8%~10%を、ROEは8%を達成することを目標とし、資本効率性をモニタリングしています。
2025年度業績予想(売上収益:7,900億円 営業利益:545億円 親会社の所有者に帰属する当期利益:415億円 ROE:5.0%、2024年度有価証券報告書提出日時点)との比較では、売上収益は8,254億円(対業績予想比4.5%増)、営業利益は441億円(同比19.0%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は386億円(同比7.1%減)、ROE4.4%(同差0.6ポイント減)となりました。
売上収益は、グローバルブランドである「レンビマ」、「デエビゴ」、「レケンビ」が伸長したことにより業績予想を上回りました。営業利益およびROEについては、製品導出・売却の見送り、欧州における構造改革費用の計上、タズベリクの販売中止に伴う在庫評価損を計上した結果、業績予想を下回りました。
(1)事業の概況
○ 当社グループは2021年4月よりスタートした中期経営計画「EWAY Future & Beyond」に基づき、「患者様とそのご家族」から「患者様と生活者の皆様」に視点を拡大し、人々の健康憂慮の解消と医療較差の是正に向けたソリューションをお届けすべく、他産業との協業によるエコシステムの構築をめざしています。また、持続的な企業価値向上のため、人財の価値を最大限に引き出すべく人的資本経営を推進しています。企業理念・経営戦略と連動した人事戦略を策定し、国籍・性別・年齢などを問わず多様な価値観を持つ人財が活躍できる風土づくりを進め、イノベーションの創出を目指しています。
○ 疾患を連続体(Disease Continuum)として捉え、複数のバイオマーカーなどのプロファイリングにより疾患病態生理学的に理解することによって社内に蓄積されるヒューマンバイオロジーエビデンスを最大限活用し創薬研究を実践するDeep Human Biology Learning(DHBL)研究開発体制のもと、当社グループが当該領域のヒューマンバイオロジーに最も早く深くアクセスすることが可能なアルツハイマー病(AD)に代表される認知症を中心とした神経領域、難治性がんを中心としたがん領域に加えて、顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases: NTDs)をはじめとするグローバルヘルス分野における創薬を推進しています。
○ 認知症領域では、アルツハイマー病(AD)治療剤「レケンビ」についてBiogen Inc.(米国)との共同開発・共同販促による価値最大化に取り組んでいます。「レケンビ」は2025年度末までに50以上の国と地域で承認を取得しました。2025年10月には、当事者様の利便性向上が期待できる皮下注オートインジェクター製剤について、早期ADの治療における維持投与として米国で新発売しました。2026年度には、初期療法での承認、上市を米国ならびに日本で予定しています。さらには、プレクリニカル期(無症状期)ADを対象とする臨床試験も進行しています。また、すべての当事者様の健康憂慮の解消と医療較差の是正に貢献すべく、中国における認知症を対象としたワンストップオンライン健康プラットフォームの構築や、日本、アジアにおける他産業や非営利団体との提携といったソリューションを備えたエコシステムの構築を進めています。2025年5月には、エコナビスタ株式会社へのTOB(株式公開買付け)が成立し、認知症プラットフォームをベースとしたさらなるソリューション構築を進めています。
○ がん領域では、抗がん剤「レンビマ」について、Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA(以下 米メルク社)との共同開発・共同販促による価値最大化に取り組んでいます。2025年度には、米メルク社の抗がん剤ベルズチファンとの併用による腎細胞がん(セカンドライン)について、米国、日本で申請を行いました。また、オンコロジーパイプラインの強化に向けて、欧州など向けには抗がん剤タレトレクチニブの権利を、日本向けには、抗PD-1抗体serplulimabの権利をそれぞれ取得しました。
○ これらの活動の結果、2025年度の売上収益は8,254億円(前期比4.6%増)となりました。うち、「レンビマ」は3,425億円(同4.3%増)、「レケンビ」は880億円(同98.7%増)、不眠症治療剤「デエビゴ」は643億円(同19.6%増)となり、前年度から大幅な成長を遂げました。営業利益は、前期に一部製品の権利の譲渡に係る一時金、戦略的提携の終結に伴う一過性の利益等を計上した影響、ならびに「レケンビ」への積極的な資源投入や欧州の構造改革を進めたことで販売費及び一般管理費が増加した影響などにより、441億円と前期から102億円減少しました。一過性の損益を除外したコア営業利益については、前期の238億円から501億円へと大幅に伸長しました。
(2)経営成績の状況
○ 当期(2025年4月1日~2026年3月31日)の連結業績は、次のとおりです。
(単位:億円、%)
| 2024年度 | 2025年度 | 増減率 | |
| 売上収益 | 7,894 | 8,254 | +4.6% |
| 売上原価 | 1,688 | 1,912 | +13.3% |
| 売上総利益 | 6,206 | 6,342 | +2.2% |
| 販売費及び一般管理費 | 4,080 | 4,353 | +6.7% |
| 研究開発費 | 1,716 | 1,587 | △7.6% |
| その他の収益 | 172 | 53 | △69.2% |
| 営業利益 | 544 | 441 | △18.8% |
| 税引前当期利益 | 611 | 510 | △16.5% |
| 当期利益 | 481 | 405 | △15.7% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 464 | 386 | △17.0% |
| 当期包括利益 | 432 | 1,053 | +143.9% |
| 基本的1株当たり当期利益 | 163円76銭 | 136円78銭 | △16.5% |
| (参考情報)コア営業利益 | 238 | 501 | +110.7% |
○ 売上収益は、「レケンビ」、「レンビマ」および「デエビゴ」が引き続き伸長したことにより、前期に一部製品の権利の譲渡に係る一時金を計上した影響を吸収して増収となり、過去最高となりました。医薬品事業の売上収益は8,108億円(前期比8.2%増)となりました。
○ 主要品目の売上収益は、「レンビマ」が3,425億円(前期比4.3%増)と拡大しました。「レケンビ」が880億円(同98.7%増)、「デエビゴ」が643億円(同19.6%増)、抗てんかん剤「フィコンパ」が333億円(同11.6%増)といずれも大幅に拡大しました。
○ 売上原価は、主要品目の伸長により増加しました。売上原価率は、製品ミックスの変化に伴う影響や前期に一時金を売上収益として計上していた影響により、上昇しました。なお、一部製品の販売マイルストンの達成による費用、ならびに抗がん剤「タズベリク」(一般名:タゼメトスタット)の販売中止に伴い保有する在庫に係る評価損等を計上しました。
○ 販売費及び一般管理費は、「レケンビ」への積極的な資源投入や欧州の構造改革に係る費用の計上等により、増加となりました。
○ 研究開発費は、「レケンビ」や抗MTBRタウ抗体「E2814」、新規選択的オレキシン2受容体作動薬「E2086」などの重要プロジェクトへの積極的な資源投入を継続した一方で、開発テーマの見直しや費用効率化の追求により、減少となりました。
○ その他の収益は、前期に戦略的提携の終結に伴う一過性の利益59億円を計上したこと等により減少となりました。
○ 営業利益は、主要品目の売上が大幅に伸長した一方で、前期に一部製品の権利の譲渡に係る一時金、戦略的提携の終結に伴う一過性の利益等を計上した影響、ならびに「レケンビ」への積極的な資源投入や欧州の構造改革を進めたことで販売費及び一般管理費が増加した影響などにより、減益となりました。本質的な収益性を示すコア営業利益は501億円(前期比110.7%増)となりました。
[セグメントの状況]
(各セグメントの売上収益は外部顧客に対するものです)
当社グループは、セグメントを医薬品事業とその他事業に区分しており、医薬品事業を構成する日本、アメリカス(北米)、中国、EMEA(欧州、中東、アフリカ、ロシア、オセアニア)、イーストアジア・グローバルサウス(韓国、台湾、インド、アセアン、中南米、南アフリカ等)の5つの事業セグメントを報告セグメントとしています。
<日本医薬品事業>○ 売上収益は2,292億円(前期比6.0%増)、セグメント利益は730億円(同1.8%増)となりました。売上収益の主な内訳は、医療用医薬品が2,067億円(同6.7%増)、一般用医薬品等が225億円(同0.2%増)でした。
○ 品目別売上収益については、ニューロロジー領域で、「レケンビ」が244億円(前期比91.3%増)と大幅に伸長し、「デエビゴ」は465億円(同4.4%増)、「フィコンパ」は82億円(同6.5%増)と伸長しました。オンコロジー領域では、「レンビマ」が141億円(同1.3%増)と伸長しました。ヤヌスキナーゼ阻害剤「ジセレカ」は184億円(同24.9%増)、慢性便秘症治療剤「グーフィス」は88億円(同12.1%増)、慢性便秘症治療剤「モビコール」は87億円(同13.1%増)と大幅に伸長しました。一般用医薬品等では、チョコラBBグループの売上収益が159億円(同4.4%増)と伸長しました。
○ 2025年6月、OTC医薬品プロトンポンプ阻害薬「パリエットS」を新発売しました。
<アメリカス医薬品事業>○ 売上収益は3,004億円(前期比8.0%増)、セグメント利益は1,744億円(同10.2%増)となりました。
○ 品目別売上収益については、ニューロロジー領域で、「レケンビ」が446億円(前期比70.7%増)、「デエビゴ」が105億円(同53.5%増)と大幅に伸長しました。オンコロジー領域では、「レンビマ」が2,372億円(同2.1%増)と伸長しました。
○ 2025年10月、米国において、皮下注オートインジェクター製剤「LEQEMBI IQLIK」を新発売しました。
○ 2025年12月、カナダにおいて、「レケンビ」を新発売しました。
<中国医薬品事業>○ 売上収益は1,307億円(前期比13.2%増)、セグメント利益は593億円(同3.7%増)となりました。
○ 品目別売上収益については、「レンビマ」が250億円(前期比1.0%増)と伸長しました。「レケンビ」は需要の拡大により124億円(同163.1%増)と大幅に伸長しました。末梢性神経障害治療剤「メチコバール」は126億円(同9.1%増)と伸長しました。めまい・平衡障害治療剤「メリスロン」は125億円(同11.6%減)となりました。
○ 2025年7月、中国において、痛風治療剤「URECE」を新発売しました。
○ 2025年8月、中国において、「デエビゴ」を新発売しました。
○ 品目別売上収益については、ニューロロジー領域で、「フィコンパ」が173億円(前期比10.6%増)と大幅に伸長し、「レケンビ」は16億円(同419.2%増)となりました。オンコロジー領域では、「レンビマ/Kisplyx」が492億円(同17.4%増)と大幅に伸長しました。
○ 2025年8月にオーストリア、同年9月にドイツおよびサウジアラビア、同年10月にフィンランド、2026年1月にポルトガルにおいて、「レケンビ」を新発売しました。
<イーストアジア・グローバルサウス医薬品事業>○ 売上収益は688億円(前期比15.6%増)、セグメント利益は302億円(同10.5%増)となりました。
○ 品目別売上収益については、「レンビマ」が171億円(前期比9.1%増)、アルツハイマー型認知症治療剤「アリセプト」は146億円(同2.7%増)と伸長しました。「レケンビ」は50億円(前期は4億円)となりました。
○ 2025年6月に台湾およびシンガポール、同年9月にメキシコ、同年11月にタイにおいて、「レケンビ」を新発売しました。
○ 2025年7月、タイにおいて、過活動膀胱治療剤「ベオーバ」を新発売しました。
○ 2025年9月、タイにおいて、痛風・高尿酸血症治療剤「URECE」を新発売しました。
(3)財政状態の状況
○ 資産合計は、1兆4,491億円(前期末より626億円増)となりました。「レケンビ」等の生産を進めたことにより棚卸資産が増加したほか、為替の影響により海外連結子会社の資産が増加しました。
○ 負債合計は、5,240億円(前期末より34億円増)となりました。主として売上割戻に係る引当金が増加しました。
○ 資本合計は、9,251億円(前期末より592億円増)となりました。為替の影響により在外営業活動体の換算差額が増加しました。
○ 以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は62.0%(前期末より1.4ポイント増)となりました。
(4)キャッシュ・フローの状況
○ 営業活動によるキャッシュ・フローは、613億円の収入(前期より312億円の収入増)となりました。運転資本が棚卸資産の増加や買掛金の減少などにより増加となった一方で、退職給付信託の返還を受けたことに伴う退職後給付に係る資産の減少により増加しました。
○ 投資活動によるキャッシュ・フローは、418億円の支出(前期より317億円の支出増)となりました。金融資産の売却による収入があった一方で、無形資産の取得および子会社の取得などの資本的支出が増加しました。
○ 財務活動によるキャッシュ・フローは、611億円の支出(前期より33億円の支出増)となりました。主に配当金の支払いによるものです。
○ 以上の結果、現金及び現金同等物の残高は2,454億円(前期より201億円減)、営業活動によるキャッシュ・フローから資本的支出等を差し引いたフリー・キャッシュ・フローは196億円の収入となりました。
(5)生産、受注および販売の実績
① 生産実績
(a) 生産実績
当期における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| 日本医薬品事業 | 229,797 | 104.7 |
| アメリカス医薬品事業 | 527,324 | 134.5 |
| 中国医薬品事業 | 127,425 | 117.6 |
| EMEA医薬品事業 | 119,145 | 96.1 |
| イーストアジア・グローバルサウス医薬品事業 | 78,409 | 110.4 |
| 報告セグメント計 | 1,082,100 | 118.3 |
| その他事業 | 4,768 | 137.0 |
| 合計 | 1,086,867 | 118.3 |
(注1) 金額は販売見込価格により算出し、セグメント間の取引については相殺消去しています。
(b) 商品仕入実績
当期における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| 日本医薬品事業 | 19,814 | 107.2 |
| 中国医薬品事業 | 7,405 | 123.7 |
| イーストアジア・グローバルサウス医薬品事業 | 2,200 | 100.1 |
| 報告セグメント計 | 29,419 | 110.2 |
| その他事業 | 512 | 70.8 |
| 合計 | 29,931 | 109.1 |
(注1) 金額は仕入価格により算出し、セグメント間の取引については相殺消去しています。
(注2) 当期においてアメリカス医薬品事業、EMEA医薬品事業の商品仕入実績はありませんでした。
② 受注実績
当社グループは販売計画に基づいた生産を行っているため、該当事項はありません。
③ 販売実績
当期における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| 日本医薬品事業 | 229,238 | 106.0 |
| アメリカス医薬品事業 | 300,440 | 108.0 |
| 中国医薬品事業 | 130,745 | 113.2 |
| EMEA医薬品事業 | 81,532 | 102.7 |
| イーストアジア・グローバルサウス医薬品事業 | 68,823 | 115.6 |
| 報告セグメント計 | 810,779 | 108.2 |
| その他事業 | 14,599 | 36.2 |
| 合計 | 825,378 | 104.6 |
(注1) セグメント間の取引については相殺消去しています。
(注2) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 2024年4月 1日 至 2025年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2025年4月 1日 至 2026年3月31日) | ||
| 金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
| McKesson Corporation | 73,532 | 9.31 | 86,034 | 10.42 |
(6)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計方針及び見積り
連結財務諸表作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しています。重要な会計方針及び見積りの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3. 重要性のある会計方針、 4. 重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)事業の概況、(2)経営成績の状況、 (3)財政状態の状況、(4)キャッシュ・フローの状況」に記載しています。
③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、研究開発投資、製品導入など、事業の持続的成長につながる投資に積極的に資金を投入します。中長期の成長に向けた投資資金を安定的かつ機動的に確保するため、市場環境に応じた多様な調達手段を活用します。市場調達も含めて資金調達基盤を整備することで、財務の柔軟性と健全性を確保していきます。
また、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)管理による運転資本のコントロール、投資有価証券を含む資産売却などによるバランスシートマネジメントを推進しています。
資金の流動性については、2025年度末における現金及び現金同等物残高2,454億円であり、十分な流動性を確保しています。さらに、コマーシャル・ペーパーや当座借越・コミットメントラインなどの流動性補完、機動的な社債発行を可能とする社債発行登録などにより、流動性を一層強化しています。また、グループ内資金の効率的な活用を企図したキャッシュ・マネジメント・システムを導入しています。
2025年度末時点での実質的なキャッシュ残高である有利子負債控除後のネットキャッシュは801億円と、実質無借金を維持しています。引き続き、負債水準、フリー・キャッシュ・フロー、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)などの主要指標を適切にモニタリングし、財務の健全性を確保していきます。
④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)経営環境、経営方針・経営戦略、ならびに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等 ⑤目標とする経営指標」に記載のとおり、中長期の企業価値向上に連動する指標として、当社グループの本質的な収益力を表す「コア営業利益」および、為替換算差額を控除した自己資本と純有利子負債をベースにした「調整ROIC」を新たに設定しました。中長期的に調整ROICは8%~10%を、ROEは8%を達成することを目標とし、資本効率性をモニタリングしています。
2025年度業績予想(売上収益:7,900億円 営業利益:545億円 親会社の所有者に帰属する当期利益:415億円 ROE:5.0%、2024年度有価証券報告書提出日時点)との比較では、売上収益は8,254億円(対業績予想比4.5%増)、営業利益は441億円(同比19.0%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は386億円(同比7.1%減)、ROE4.4%(同差0.6ポイント減)となりました。
売上収益は、グローバルブランドである「レンビマ」、「デエビゴ」、「レケンビ」が伸長したことにより業績予想を上回りました。営業利益およびROEについては、製品導出・売却の見送り、欧州における構造改革費用の計上、タズベリクの販売中止に伴う在庫評価損を計上した結果、業績予想を下回りました。