有価証券報告書-第158期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/26 13:50
【資料】
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【項目】
179項目
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度における世界経済は、米国においては、個人消費や雇用・所得環境を中心に底堅く推移した一方、中国では不動産市場や外需関連に弱さがみられ緩やかに減速傾向が続いたほか、欧州も金融引き締めや中国経済減速の影響を受けたことから、海外経済の回復ペースは鈍化いたしました。日本については、海外経済の影響を受けながらも、高水準の企業収益に支えられ緩やかに回復し、雇用・所得環境にも改善が見られました。
このような状況のもと、当社グループにおきましては、エンバイロメント事業では、中国経済の減速に伴いトラック販売台数が弱含んだものの、世界全体の乗用車販売台数が堅調であったことから、自動車関連製品の出荷は増加しました。デジタルソサエティ事業では、半導体投資やデータセンター投資の減少により、半導体製造装置用製品やハードディスクドライブ(HDD)用圧電マイクロアクチュエーター等の出荷が減少しました。エネルギー&インダストリー事業では、米国、台湾、豪州等のインフラ投資が活況で、がいしの出荷が増加しました。
これらの結果、当連結会計年度における売上高は、半導体製造装置用製品などの物量が減少したものの、自動車関連製品などの物量増加や、為替円安によるプラス効果から前期比3.5%増の5,789億13百万円となりました。利益面では、営業利益は為替円安も、原燃料価格高騰や研究開発費の増加が影響し、同0.5%減の663億97百万円となりました。経常利益は営業利益の減少や為替差損などにより同4.3%減の630億42百万円、親会社株主に帰属する当期純利益については、需要の減少により業績の悪化したパッケージ事業用資産に対し減損損失を計上したことなどから同26.3%減の405億62百万円となりました。
当社グループは、自己資本利益率(ROE)を主要な経営指標とし、資本効率を重視した経営を推進しております。関連性の高い投下資本利益率(NGK版ROIC)を管理指標に採用し、投下資本の代わりに事業資産(売掛債権、棚卸資産、固定資産)、税引後利益の代わりに事業部門の営業利益を用いることにより、事業部門が自ら目標管理できるようにしております。中長期の観点でROE10%以上の水準を意識し、持続的な企業価値の向上に資するよう事業リスクの変化に適合した資本政策を展開します。
当連結会計年度におけるROEは、親会社株主に帰属する当期純利益が減少したこと等から6.1%(前年同期比2.9ポイント悪化)となり、目標である10%以上の水準を下回りました。今後は資本効率の向上等を通して、ROEの改善・向上に努めてまいります。
セグメントの業績は次の通りであります。
[エンバイロメント事業]
当事業の売上高は、3,619億44百万円と前期に比して12.8%増加いたしました。
半導体等の部品供給不足の状況改善に伴う自動車生産の回復や、排ガス規制の強化により自動車関連製品の出荷が増加したほか、為替円安のプラス効果により増収となりました。
営業利益は、需要の増加、為替円安のプラス効果に加え、コストダウンの効果も加わり前期比25.3%増の635億64百万円となりました。
[デジタルソサエティ事業]
当事業の売上高は、1,381億74百万円と前期に比して15.3%減少いたしました。
半導体投資やデータセンター投資の抑制等に伴い、半導体製造装置用製品やハードディスクドライブ(HDD)用圧電マイクロアクチュエーター等の出荷が減少し、為替円安のプラス影響はあったものの減収となりました。
営業利益は、為替円安のプラス効果があったものの、出荷物量の減少に加え、減価償却費の増加などにより前期比87.0%減の22億84百万円となりました。
[エネルギー&インダストリー事業]
当事業の売上高は、808億42百万円と前期に比して4.0%増加いたしました。
がいしは、送電網強化や再エネ投資により、米国、台湾、豪州等で需要が増加した一方で、電力貯蔵用NAS®電池(ナトリウム/硫黄電池)及び産業機器関連製品は、前期並みの出荷が継続しました。為替円安のプラス効果も加わり、全体で増収となりました。
損益面では、がいしの需要増、為替円安のプラス効果により前期15億36百万円の営業損失から5億32百万円の営業利益に転じました。
生産、受注及び販売の実績は、次の通りであります。
①生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
前年同期比(%)
エンバイロメント事業(百万円)366,010116.1
デジタルソサエティ事業(百万円)141,94979.6
エネルギー&インダストリー事業(百万円)94,902113.3
合計(百万円)602,861104.4

(注)1.購入品仕入実績については区分して記載することが困難なため、生産実績に含めて記載しております。
2.上記は、販売価格をもって表示しております。
3.セグメント間取引については、相殺消去しております。
②受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
セグメントの名称受注高
(百万円)
前年同期比(%)受注残高
(百万円)
前年同期比(%)
エンバイロメント事業362,260113.03,226111.1
デジタルソサエティ事業129,90479.693,155100.6
エネルギー&インダストリー事業87,833106.170,453116.1
合計579,997102.4166,835106.8

(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
前年同期比(%)
エンバイロメント事業(百万円)361,937112.8
デジタルソサエティ事業(百万円)138,15084.7
エネルギー&インダストリー事業(百万円)78,826104.7
合計(百万円)578,913103.5

(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比し9.6%増加し1兆1,275億76百万円となりました。
流動資産は、現金及び預金や棚卸資産などが増加したことから、前期比11.9%増の6,421億51百万円となりました。固定資産は、前期比6.6%増の4,854億25百万円となりました。
流動負債は、1年以内返済予定の長期借入金や契約負債などが増加したことから、前期比17.6%増の1,758億3百万円となりました。固定負債は、長期借入金が減少した一方、社債や繰延税金負債などが増加したことにより、同4.8%増の2,485億47百万円となりました。
純資産は、利益剰余金やその他有価証券評価差額金、為替換算調整勘定などが増加したことなどから、前期比9.5%増の7,032億25百万円となりました。
これらの結果、当連結会計年度末における自己資本比率は61.7%(前連結会計年度末61.7%)となり、1株当たり純資産は2,334.21円と、前期を259.55円上回りました。
セグメントごとの資産は、次の通りであります。
[エンバイロメント事業]
当事業の総資産は、売上債権や資金が増加したことなどにより前期比4.0%増加の4,979億33百万円となりました。
[デジタルソサエティ事業]
当事業の総資産は、棚卸資産が増加したほか、増産投資により有形固定資産が増加したことなどにより前期比5.2%増加の2,094億11百万円となりました。
[エネルギー&インダストリー事業]
当事業の総資産は、資金が増加したことなどにより前期比19.2%増加の1,105億78百万円となりました。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、営業活動による991億59百万円の収入、投資活動による685億93百万円の支出、及び財務活動による361億23百万円の支出などにより、前期末に比し25億68百万円増加し、当期末残高は1,714億32百万円となりました。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、棚卸資産が増加しましたが、税金等調整前当期純利益561億75百万円に減価償却費を加え、合計では991億59百万円の収入となりました。前期との比較では、12億9百万円の収入増となりました。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、自動車関連製品や半導体製造装置用製品を中心とした設備投資に加え、有価証券の取得や定期預金の増加による支出もあり、合計で685億93百万円の支出となりました。前期との比較では、165億86百万円の支出増となりました。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、将来の設備投資やカーボンニュートラルへの取組みなどへ充当するため長期借入れ及び社債の発行を実施した一方、長期借入金の返済や配当金の支払い、自己株式の取得などによる支出から、合計で361億23百万円の支出となりました。前期との比較では、15億54百万円の支出増となりました。
資本の財源及び資金の流動性について、当社グループの運転資金需要のうち主なものは原材料の購入費用、労務費等の製造費や販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。当社グループは、事業運営上必要な資金の調達について、調達手段の多様化を図ることで、低コストかつ安定的に資金を確保するよう努めております。また、グループ各社における余剰資金の一元管理を図り、資金効率の向上と金融費用の削減を目的として、国内外でCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 [連結財務諸表等](1)[連結財務諸表] [注記事項] (重要な会計上の見積り)」に記載しております。