有価証券報告書-第160期(平成30年1月1日-平成30年12月31日)

【提出】
2019/03/27 13:23
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【項目】
207項目

対処すべき課題

今後のわが国経済は、設備投資を中心とした内需が景気の主なけん引役となり、総じて緩やかな景気の回復が続くと見込まれています。しかしながら、消費増税による個人消費の先行き不透明感や、米中貿易摩擦による輸出の減速が懸念されます。海外に目を向けると、中国の景気減速や欧州の景気停滞感が続くと見込まれています。
当社グループを取り巻く事業環境につきまして、電極事業は、需給の引き締まりによる売価是正の持続が見込まれる一方で、原材料価格の上昇による影響が懸念されます。炭素繊維製品を中心としたファインカーボン事業は、関連性が高い半導体業界において高い水準の需要継続が見込まれる一方で、米中貿易摩擦の長期化による設備投資先送りの影響や、潜在的な中国発の半導体供給過剰リスクが懸念されています。
このような状況の中、昨年、当社は2021年を最終年度とする中期経営方針「INNOVATION PLAN 2021」を策定いたしました。
この中期経営方針において、以下に記載の「事業ポートフォリオ改革」と「事業基盤強化」とを基軸とし、当社グループの総力を結集して、収益性および企業価値の向上を図ってまいります。
<事業ポートフォリオ改革>① 炭素繊維製品の事業拡大
② リチウムイオン電池負極材の主力事業化
③ 電極事業の最適生産体制の維持
④ 特殊炭素材の高収益化
⑤ 炭化けい素繊維の旺盛な需要への対応
⑥ 産業用機械の拡大
<事業基盤強化>① グループシナジー効果強化
② 人材確保および育成
③ コーポレートガバナンス、コンプライアンスの徹底
上記の中期経営方針を踏まえ、当社は、2019年の方針として「実施計画の完遂と改革に基づいた業務推進」を掲げ、改めて全社一丸となって、持続的な成長・発展を目指していくものといたします。
そのために以下の主要施策を実行し、収益性および企業価値の向上をはかってまいります。
① 2019年度実施計画の完遂
② 品質向上・原価低減及び販売力強化の推進
③ 新技術・次世代製品の開発強化
④ 一層の管理強化による企業体質の改善
⑤ セグメント別事業の推進
当社グループは、今後とも、コンプライアンス、安全、環境保全、品質向上、情報管理をはじめとする社会的責任を果たし、グループ全体の国際競争力を一層強化するべく、変革を進めてまいります。
更に、当社は、企業価値の向上および会社の利益ひいては株主共同の利益の実現を目的として、当社株券等の大量買付行為への対応策を導入しております。
⑴ 基本的な考え方
当社取締役会は、当社株券等の大量買付行為に関し、たとえそれが当社取締役会の賛同を得ないものであっても、会社の資産の効率的な運用につながり、企業価値の向上および会社の利益ひいては株主共同の利益の実現をもたらすものであれば、何ら否定されるべきものではないと考えます。しかし、このような株券等の大量買付行為の中には、真に会社経営に参加する意思がないにもかかわらず、専ら会社の株価を上昇させて株券等を高値で会社関係者等に引き取らせる目的で行う買付けなど、企業価値および会社の利益ひいては株主共同の利益を著しく損なうことが明白ないわゆる「濫用的買収」が存在する可能性があることは否定できません。
よって、当社株券等に対する大量買付行為が行われた際に、当該大量買付行為に応じるべきか否かを株主の皆様が適切に判断し、あるいは当社取締役会が株主の皆様に代替案を提案するために必要な情報や時間を確保したり、株主の皆様のために当該買付者に対する協議・交渉等を行うことを可能としたりすることにより、当社の企業価値の向上および株主共同の利益を実現するための合理的な枠組みとして、当社株券等の大量買付行為への対応策の導入が必要であると判断しました。
(2)当社株券等の大量買付行為への対応策の概要
大量買付者が、大量買付行為を行うにあたり、所定の手続に従うことを要請するとともに、かかる手続に従わない大量買付行為がなされる場合や、かかる手続に従った場合であっても当該大量買付行為が当社の企業価値および会社の利益ひいては株主共同の利益を著しく害するものであると判断される場合には、かかる大量買付行為に対する対抗措置として、原則として新株予約権の無償割当ての方法により、当社取締役会が定める一定の日における株主に対して新株予約権を無償で割り当てるものです。また、会社法その他の法律および当社の定款上認められるその他の対抗措置を発動することが適切と判断された場合には、当該その他の対抗措置が用いられることもあります。
この対抗措置の発動、不発動等の判断は当社取締役会が最終的な判断を行いますが、その判断の合理性および公正性を担保するために、当社取締役会から独立した組織として、独立委員会を設置します。当社取締役会が対抗措置の発動を判断するにあたっては、独立委員会の勧告を最大限尊重するものといたします。
大量買付行為への対応策は、平成31年3月27日開催の定時株主総会において承認され、その有効期間は、2019年12月期に関する定時株主総会の終結の時までとしております。また、有効期間の満了前であっても、当社の株主総会または取締役会において大量買付行為への対応策を廃止する旨の決議が行われた場合には、その時点で廃止されるものとしております。以上により、本対応策は、株主の皆様の意向を反映し導入したものであると判断しております。