有価証券報告書-第59期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/23 13:36
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155項目
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、中国経済の減速や米中貿易摩擦の影響により先行き不透明な状況が続く中、各種政策の効果もあって緩やかな回復を継続していましたが、年明けからは新型コロナウイルス感染症拡大による経済への影響が増大し、足元の景気は急激に悪化しました。
当社グループの主力分野である工作機械業界においては、2019年度の業界受注総額は1兆995億円(前年同期比34.9%減)となりました。これまでの弱含みの設備投資環境に加え、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、需要は減少傾向が続き、2020年2月以降は単月の業界受注総額が800億円を下回るなど低調に推移しました。
当社グループの経営成績を示すと、次のとおりであります。
① 売上高、売上原価、販売費及び一般管理費及び営業損益
当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べ7億2百万円減少し、219億47百万円となりました。
売上原価は、前連結会計年度に比べ2億6百万円減少し、165億2百万円となりました。これは売上高の減少に伴うものであり、これにより売上高に対する比率は75.2%となりました。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ27百万円減少し、35億83百万円となりました。これは主に広告宣伝費の減少によるものであり、売上高に対する比率は16.3%となりました。
また、研究開発費は前連結会計年度に比べ4百万円増加の1億55百万円となり、売上高に対する比率は0.7%となりました。開発部門は研究開発費の効率化をはかりながら、各部門と緊密な連携を取り、当社グループの戦略製品開発や技術開発を行っております。
以上の結果、営業利益は前連結会計年度に比べ4億69百万円減少し、18億60百万円となりました。なお、営業利益率は8.5%となりました。
② 営業外損益及び経常損益
営業外収益は、前連結会計年度に比べ24百万円増加し、2億25百万円となりました。これは主に持分法による投資利益が増加したことによるものです。
営業外費用は、前連結会計年度に比べ1百万円増加し、32百万円となりました。これは主に為替差損が増加したことによるものです。
以上の結果、経常利益は前連結会計年度に比べ4億46百万円減少し、20億53百万円となりました。
③ 特別損益、親会社株主に帰属する当期純損益及びROE
特別利益は、2百万円と前連結会計年度に比べ0百万円の増加となりました。これは主に固定資産売却益が増加したことによるものです。
特別損失は、2百万円と前連結会計年度に比べ2百万円の増加となりました。これは主に固定資産除却損が増加したことによるものです。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ2億93百万円減少し、14億15百万円となりました。また、1株当たり当期純利益は、130.76円、ROEは9.4%となりました。
④ 経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等
経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 及び (4)中長期的な会社の経営戦略及び優先的に対処すべき課題」に記載のとおりであります。
セグメントごとの経営成績を示すと、次のとおりであります。
① 工作機械事業
当連結会計年度の経営成績は、受注高が60億92百万円(前年同期比67.1%減)、受注残高が78億98百万円(同57.8%減)、売上高が193億58百万円(同5.8%減)、営業利益が16億45百万円(同26.6%減)となりました。
受注高は、市場環境の悪化により需要が減少し、年間を通して低調に推移しました。また、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い先行きの不透明感が強まり、一部でキャンセルも発生しました。地域別内訳は、国内向け、北米向け及びアジア向けが大きく減少した結果、内需が35億60百万円(同69.5%減)、外需が25億31百万円(同62.8%減)となりました。
売上高の地域別内訳は、北米向けが好調に推移した一方で、国内向けやアジア向けに減少が見られた結果、内需が122億16百万円(同11.1%減)、外需が71億41百万円(同4.8%増)、外需比率が36.9%(前年同期は33.2%)となりました。また、新型コロナウイルスの影響で製品を出荷できない案件が発生し、当連結会計年度に売上を見込んでいた一部が未計上となりました。
当連結会計年度における主な取り組みとして、営業面では、自動化技術を付加した最適なソリューション提案によって受注確保をはかるとともに、自動車産業以外の市場開拓に向けた活動に注力してきました。また、中国のCIMT2019、ドイツのEMO2019、名古屋のMECT2019など、国内外の展示会に出展した他、海外の連結子会社においてプライベートショーや現地ディーラ会議を開催し、海外シェア拡大に向けた営業活動に努めてきました。
製品面では、1台に3台分の加工装置を搭載していることで、旋削加工から穴あけまで多様な加工をそれぞれ同時に加工でき、生産性アップに繋がる「XV-3」、及び主力機種「XL-150」の後継機であり、当社独自の自動化技術を継承しつつ、手動で行う刃物位置調整作業の支援機能や予防保全に繋がるIoT機能など、優れた操作システムを搭載し高い生産性を実現させる「XT-8」の2機種を新たに発表しました。
また、日刊工業新聞社主催の第49回機械工業デザイン賞において、当社製ローダ「Σiローダ高速タイプ」が性能の高さを評価され、審査委員会特別賞を受賞しました。
生産面では、高水準の受注残高に対応しフル生産を続ける中で、生産管理業務の効率化や組立員のスキルアップ強化など、生産性向上に寄与する取り組みを進めました。
② IT関連製造装置事業
当連結会計年度の経営成績は、売上高は17億74百万円(前年同期比33.6%増)、営業利益が2億57百万円(同113.3%増)となりました。
半導体関連やその他の製造請負案件でリピート需要が安定的に継続したとともに、新規案件も業績に貢献し、売上高・営業利益ともに3年連続で過去最高を更新しました。
③ 自動車部品加工事業
当連結会計年度の経営成績は、売上高は8億14百万円(前年同期比6.5%増)、営業損失が33百万円(前年同期は32百万円の営業損失)となりました。
当社単体において売上高は堅調に推移したものの、タイの連結子会社において事業拡大のための先行投資が利益を圧迫した結果、連結では営業損失の計上となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称台数(台)金額(百万円)前年同期比(%)
工作機械事業1,47814,999△4.5
IT関連製造装置事業---
自動車部品加工事業---
合計1,47814,999△4.5

(注) 1 金額は、消費税等を含まない販売価格によって表示しております。
2 工作機械事業におきましては、旋盤に限定して表示しております。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高受注残高
台数
(台)
金額
(百万円)
前年同期比
(%)
台数
(台)
金額
(百万円)
前年同期比
(%)
工作機械事業7866,092△67.16767,898△57.8
IT関連製造装置事業------
自動車部品加工事業------
合計7866,092△67.16767,898△57.8

(注) 1 金額は、消費税等を含まない販売価格によって表示しております。
2 工作機械事業におきましては、旋盤・改造機に限定して表示しております。
3 当連結会計年度において、受注高に著しい変動がありました。これは、米中貿易摩擦、中国経済の減速及び
新型コロナウイルス感染症拡大の影響など、市場環境が悪化したことによるものです。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称台数(台)金額(百万円)前年同期比(%)
工作機械事業(684)(7,141)(+4.8)
1,82619,358△5.8
IT関連製造装置事業-1,774+33.6
自動車部品加工事業(-)(27)(+15.9)
-814+6.5
合計(684)(7,169)(+4.8)
1,82621,947△3.1

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 ( )内の数字は海外販売台数及び海外販売高であり、内数であります。
3 最近2連結会計年度における主要な相手先別の販売実績及びそれぞれの総販売実績に対する割合
相手先前連結会計年度当連結会計年度
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
山下機械株式会社4,24918.83,18414.5
ユアサ商事株式会社--2,62912.0

4 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
5 前連結会計年度のユアサ商事株式会社については、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は242億52百万円で前連結会計年度末に比べ5億15百万円の増加となりました。
区分別にみますと、流動資産は176億93百万円となり、前連結会計年度末に比べて3億81百万円増加しました。その主な要因としては、電子記録債権が13億1百万円、受取手形及び売掛金が2億75百万円、流動資産のその他(前渡金等)が2億46百万円減少したものの、現金及び預金が15億67百万円、たな卸資産が6億34百万円増加したことによるものです。
固定資産は65億59百万円となり、前連結会計年度末に比べて1億34百万円増加しました。その主な要因としては、繰延税金資産が1億39百万円増加したことによるものです。
次に当連結会計年度末の負債は85億31百万円で前連結会計年度末に比べて6億77百万円の減少となりました。
区分別にみますと、流動負債は71億27百万円となり、前連結会計年度末に比べて5億38百万円減少しました。その主な要因としては、支払手形及び買掛金が1億5百万円増加したものの、流動負債のその他(前受金等)が2億37百万円、未払法人税等が1億97百万円、電子記録債務が1億45百万円減少したことによるものです。
固定負債は14億4百万円となり、前連結会計年度末に比べて1億39百万円減少しました。その主な要因としては、退職給付に係る負債が1億25百万円増加したものの、長期借入金が1億20百万円、長期未払金が1億20百万円減少したことによるものです。
当連結会計年度末の純資産は157億21百万円で前連結会計年度末に比べて11億92百万円の増加となりました。その主な要因としては、利益剰余金が11億57百万円増加したことによるものです。なお、自己資本比率は64.7%となりました。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
① 工作機械事業
工作機械事業の総資産は168億85百万円で前連結会計年度末に比べて4億15百万円の減少となりました。その主な要因としては、電子記録債権の減少によるものです。
② IT関連製造装置事業
IT関連製造装置事業の総資産は12億90百万円で前連結会計年度末に比べて1億44百万円の増加となりました。その主な要因としては、電子記録債権の増加によるものです。
③ 自動車部品加工事業
自動車部品加工事業の総資産は6億20百万円で前連結会計年度末に比べて14百万円の増加となりました。その主な要因としては、TP MACHINE PARTS CO., LTD.の現金及び預金の増加によるものです。
(3) キャッシュ・フローの状況
① 営業活動によるキャッシュ・フローは、21億96百万円の資金流入(前連結会計年度は10億2百万円の資金流入)となりました。その主な要因としては、法人税等の支払やたな卸資産の増加等があったものの、税金等調整前当期純利益の計上や売上債権の減少等があったことによるものです。
② 投資活動によるキャッシュ・フローは、10億29百万円の資金流出(前連結会計年度は12億46百万円の資金流出)となりました。その主な要因としては、定期預金の預入による支出や有形固定資産の取得による支出等があったことによるものです。
③ 財務活動によるキャッシュ・フローは、3億40百万円の資金流出(前連結会計年度は20百万円の資金流入)となりました。その主な要因としては、配当金の支払や長期借入金の返済による支出等があったことによるものです。
これらの結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物は8億27百万円の増加(前連結会計年度は2億55百万円の減少)となり、当連結会計年度末残高は32億54百万円(前連結会計年度末残高は24億27百万円)となりました。
当社グループの事業活動に必要な資金については、営業活動から得たキャッシュ・フローによることを基本とし、必要に応じて金融機関からの借入等により資金調達を行っております。また、資金調達に際しては、低コストかつ中長期にわたる安定的な資金の確保を重視して取り組んでおります。当連結会計年度末の現金及び預金の総額は55億92百万円、また借入金は短期、長期あわせて11億47百万円であります。当社グループは、取引先金融機関との現在の健全かつ緊密な関係を維持していくことで、当社グループが将来必要とする運転資金及び設備資金を調達することが可能であると考えております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。連結財務諸表の作成では、期末日における資産、負債並びに会計期間における収益及び費用に影響を与えるような見積りや仮定を必要とします。結果として、このような見積りと実績が異なる場合があります。当社経営陣は、特に以下の重要な会計方針の適用における見積りや仮定は連結財務諸表に重要な影響を与えると考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症の会計上の見積りに対する影響につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。
① 収益の認識
当社グループの主力製品であるCNC旋盤の売上高は、主として、検収を基準としております。
② 貸倒引当金
当社グループは、顧客の支払不能時に発生する損失見積り額について、貸倒引当金を計上しております。仮に顧客の支払能力が低下した場合には、その回収可能性を勘案し、追加引当を計上する可能性があります。
③ 製品保証引当金
当社グループは、製品販売後における無償での補修費用について、過去の実績に基づく所要額を計上しております。製品の出荷におきましては、品質管理システムに基づく検査等を実施しておりますが、実際の製品不良、修理費用が見積りと異なる場合は、見積り所要額の修正を必要とし、追加引当を計上する可能性があります。
④ たな卸資産
当社グループは、たな卸資産につき、収益性の低下が認められた場合には一定の基準に基づき、評価損を計上しております。実際の市場状況により収益性の低下が増大すると認められた場合には、追加の評価損を計上する可能性があります。
⑤ 投資有価証券
当社グループの保有する投資有価証券には、価格変動のある公開会社の株式と非公開会社の株式及び関係会社の株式が含まれております。当社グループはこれらに関わる価格・価値の下落が一時的でないと判断した場合には、下落した額を評価損として計上いたします。
将来、市場動向が悪化した場合又は投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失が発生又は価格・価値に回収不可能が生じた場合、評価損を計上する可能性があります。
⑥ 繰延税金資産
当社グループが計上している繰延税金資産は、回収可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を計上しております。評価性引当額の必要性については、将来の課税所得等により検討いたしますが、当社グループが現在計上している繰延税金資産の全部又は一部の回収が不可能であると判断した場合、その年度において繰延税金資産の調整額を費用として計上します。同様に、当社グループが現在計上している以上の繰延税金資産の回収が可能であると判断した場合、その年度において繰延税金資産の調整により利益を増加させることとなります。
⑦ 固定資産の減損
当社グループでは固定資産の減損の判定にあたっては、各社ごとに資産のグルーピングを行い、著しく収益性が低下した資産グループについて将来キャッシュフローを見積もり、回収可能価額まで帳簿価額を減損しております。
将来、固定資産の収益性の低下等により将来キャッシュフローが帳簿価額を下回った場合、減損損失が発生し業績に影響を与える可能性があります。
⑧ 退職給付に係る負債
当社グループは、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出された退職給付費用及び債務を計上しております。退職給付費用及び債務の将来の変動要因としては、従業員数の変動や、数理計算上の前提条件(割引率、期待収益率等)の変動によるものがあります。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、将来期間において認識される費用及び債務に影響を及ぼします。