有価証券報告書-第105期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における世界の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響を継続して受けました。年度後半は、日本をはじめ各国で経済活動を再開する動きが見られ、ワクチンの接種も開始されましたが、変異ウイルスの拡大などにより収束の時期は見通せず、先行き不透明な状況が続いています。
このような経済・事業環境のもと、当社グループでは、社員の生命・健康・安全を最優先とし、各国政府などからの要請・ガイドラインに基づいて、テレワークを適宜取り入れ、生産や工事・サービスの現場においても各種感染症対策を講じながら、事業活動を継続しました。
受注は、経済活動の再開に伴い第3四半期以降に回復したものの、第2四半期連結累計期間までの移動や出社制限による商談の遅れなどが影響したため、前期の実績には届きませんでした。売上は、豊富な前期末受注残高をベースに順調に推移し、過去最高となりました。
この結果、受注高は4,510億65百万円(前年同期比6.6%減)、売上高は4,739億2百万円(同6.8%増)となりました。
利益面では、国内の一般製造業・流通業向けシステムの売上増が寄与し、順調に推移しました。
この結果、営業利益は445億66百万円(同10.0%増)、経常利益は458億46百万円(同11.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、323億90百万円(同15.4%増)となりました。
ROEは13.2%となり、前年度の12.4%より改善しました。これは主に売上高当期純利益率が6.8%となり、前年度の6.3%から改善したことによるものです。
[新型コロナウイルス感染症の影響]
前記のとおり、受注面を除き、業績への影響は軽微でした。
地域別では、主要市場である日本、北米、中国は事業環境が期初に比べて全体的に改善しています。欧州、東南アジアの一部、インドなどでは改善が遅れ気味です。
業種別では、空港向けシステムは旅客数の減少に伴って一部の空港でオペレーション&メンテナンスが縮小されたものの、空港運営会社が長期的に進める新規投資案件については大きな影響を受けませんでした。
2022年3月期の業績予想は、受注高5,200億円、売上高5,000億円、営業利益470億円、経常利益479億円、親会社株主に帰属する当期純利益340億円、売上高営業利益率9.4%としています。
当社グループを取り巻く経済・事業環境は、新型コロナウイルスの感染拡大の長期化により、先行きに不透明感があるものの、ニューノーマル、グローバルでの物流ニーズの拡大と多様化など新たなニーズも見込まれます。3カ年中期経営計画「Value Transformation 2023」の初年度となる2022年3月期は、増収増益を期するとともに、持続可能な社会実現への貢献と企業価値向上を目指していきます。
上記の業績予想は、主に受注済の案件の進捗見込みや今後受注が見込まれる案件の確度や時期、期中の進捗度合いを想定し算出していますが、現時点で入手可能な情報に基づき判断したものであり、国内外の顧客の動向・競合状況、「2事業等のリスク」に記載している各種リスク要因などのさまざまな不確定要素により、実際の業績は記載の見通しと異なる可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症が世界経済に及ぼす影響の大きさや期間の長さは現時点では見通せていません。新型コロナウイルス感染症について認識しているリスクは、「2事業等のリスク」をご覧ください。
2021年3月期 実績
セグメントごとの業績は次のとおりです。受注・売上は外部顧客への受注高・売上高を、セグメント利益は親会社株主に帰属する当期純利益を記載しています。
[図]報告セグメントの業績
※1 DNAHC = Daifuku North America Holding Company
※2 CFI = Clean Factomation, Inc.
① 株式会社ダイフク
受注は、上半期に移動や出社制限などにより商談が進まなかった一般製造業・流通業向けシステムが第3四半期以降回復したものの、自動車生産ライン向けシステムや半導体・液晶生産ライン向けシステムが伸び悩み、全体としては減少しました。
売上は、自動車生産ライン向けシステムや半導体・液晶生産ライン向けシステムが減少した一方、一般製造業・流通業向けシステムが豊富な受注残高をベースに順調に推移したことが寄与し、全体としては堅調に推移しました。
セグメント利益は、自動車生産ライン向けシステムの売上減少の影響を受けたものの、一般製造業・流通業向けシステムの売上増、収益率改善により、増益となりました。
この結果、受注高は1,841億44百万円(前年同期比15.7%減)、売上高は1,993億96百万円(同2.5%減)、セグメント利益は260億39百万円(同39.3%増)となりました。
② コンテックグループ
・産業用コンピュータ製品
日本市場では、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて企業の設備投資が先送りされるなどの影響がありましたが、ファクトリーオートメーション(FA)分野向けが堅調に推移し、FA分野以外で大型案件を受注したこともあり、売上高はほぼ横ばいとなりました。
米国市場では、医療機器や空港セキュリティ関連向けで売上が増加しました。
・計測制御製品
年度前半に見られた企業の設備投資への慎重な姿勢の影響を受けて、FA分野を中心に販売が減少しました。
・ソリューション製品
自動車関連業界の設備投資の減少を受けて、関連システムの販売が減少しました。
セグメント利益は、前期に計上した投資有価証券の売却益がなくなったため、減少しました。
この結果、受注高は153億36百万円(前年同期比8.9%減)、売上高は162億39百万円(同0.7%減)、セグメント利益は11億71百万円(同27.1%減)となりました。
③ Daifuku North America Holding Company(DNAHC)グループ
受注は、前期に大型案件を受注した自動車生産ライン向けシステムの反動減があり、全体としては減少しましたが、eコマース案件がけん引した一般製造業・流通業向けシステムが大きく伸び、また大型案件の受注を獲得した空港向けシステム、半導体工場向けシステムも好調に推移しました。
売上は、自動車生産ライン向けシステムが大きく増加し、一般製造業・流通業向けシステム、空港向けシステムも順調に推移し、過去最高となりました。
セグメント利益は、売上が増加したものの、利益率が低い一部の大型案件などの影響を受けて前年並みとなりました。
この結果、受注高は1,194億26百万円(前年同期比12.7%減)、売上高は1,371億16百万円(同34.1%増)、セグメント利益は60億46百万円(同3.9%減)となりました。
④ Clean Factomation, Inc.(CFI)
受注は、期初の計画に加え、在宅勤務やウェブ会議の利用が進展したことによるデータセンター用半導体の需要増に伴う設備投資の回復もあり、順調に推移しました。売上は前期の受注が低迷した影響を受けました。セグメント利益は、堅調に推移しました。
この結果、受注高は310億88百万円(前年同期比30.6%増)、売上高は305億54百万円(同6.5%減)、セグメント利益は27億94百万円(同8.2%増)となりました。
⑤ その他
「その他」は、当社グループを構成する連結子会社66社のうち、上記②③④以外の国内外の子会社です。これらの各社は、マテリアルハンドリングシステム・機器、洗車機の製造や販売などを行っています。主な子会社の状況は、次のとおりです。
国内子会社:
株式会社ダイフクプラスモアは、サービスステーション、カーディーラー向けの洗車機に加え、トラック・バス用の大型洗車機の販売を強化しています。下半期は販売台数が順調に推移したものの、上半期に移動制限など営業活動の制限を余儀なくされた影響を受け、前期の実績には届きませんでした。
海外子会社:
中国、台湾、韓国、タイ、インドなどに生産拠点があり、グローバルな最適地生産・調達体制の一翼を担いつつ、販売・工事・サービスも行っています。
また、北中米、アジア、欧州、オセアニアに販売・工事・サービスを行う海外子会社を幅広く配置しています。
上半期には新型コロナウイルス感染症による社会活動の制限、急速に悪化した景気の影響を受けましたが、中国や韓国などで大型案件を受注したことに加え、第3四半期以降は景気が回復基調にあり、受注高は1,010億68百万円(前年同期比15.6%増)となった一方、売上高は896億20百万円(同4.6%減)、セグメント利益は23億8百万円(同8.6%減)となりました。
業種別や仕向け地別の詳細につきましては、[図]業種別受注高・売上高および[図]仕向け地別受注高・売上高をご参照ください。
[図]業種別受注高・売上高
[図]仕向け地別受注高・売上高
(2)財政状態の状況
総資産は、前連結会計年度末に比べ345億69百万円増加し、4,454億56百万円となりました。主な要因は、現金及び預金が232億60百万円、受取手形・完成工事未収入金等が91億93百万円増加したことによるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ99億12百万円増加し、1,834億43百万円となりました。主な要因は、未払法人税等が73億7百万円増加したことによるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べ246億56百万円増加し、2,620億12百万円となりました。主な要因は、利益剰余金が230億85百万円増加したことによるものです。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ231億95百万円増加し、940億79百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は、主に売上債権の増加額が106億69百万円あったものの、税金等調整前当期純利益が451億9百万円あったことにより、382億29百万円(前年同期は137億6百万円の増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は、主に固定資産の取得による支出が74億81百万円あったことにより、61億32百万円(前年同期は147億91百万円の減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は、主に短期借入金の借入による収入が17億60百万円あったものの、配当金の支払額が94億62百万円あったことにより、89億32百万円(前年同期は183億54百万円の減少)となりました。
連結キャッシュ・フローの指標は次のとおりです。
自己資本比率 :(純資産-非支配株主持分-新株予約権)/総資産
時価ベースの自己資本比率 :株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 :有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業キャッシュ・フロー/利払い
(注)1 いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しています。
3 キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しています。
4 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち短期借入金、長期借入金を対象とし
ています。
5 利払いについては連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。
(4)資本の財源及び資金の流動性
1)財務戦略の基本的な考え方
当社グループは、強固な財務体質と高い資本効率を両立しつつ、企業価値向上のために資金を適切に調達・配分することを財務戦略の基本方針としています。
強固な財務体質の維持に関しては、自己資本比率の水準を50%以上に保ち、「A(シングルAフラット)」以上の発行体格付(株式会社格付投資情報センター(R&I)による格付)の維持向上を目指し、リスク耐性の強化を図ります。
同時に、営業キャッシュ・フローによる十分な債務償還能力を前提に、厳格な財務規律のもとで金融機関からの借入や社債の発行などの活用も進めることにより、資本コストの低減および資本効率の向上にも努めてまいります。
2)経営資源の配分に関する考え方
当社グループは、適正な手元現預金の水準について、売上高の約1.5~2.0カ月分を安定的な経営に必要な手元現預金水準とし、それを超える分については、追加的に配分可能な経営資源と認識し、企業価値向上に資する経営資源の配分に努めます。また、株主の皆さまに対する利益還元を最重要課題と位置づけ、剰余金の配当につきましては、株主の皆さまへのさらなる利益還元を視野に入れて、連結当期純利益をベースとする業績連動による配当政策を取り入れるとともに、残余の剰余金につきましては内部留保金として、今後の成長に向けた投資資金に充てる方針です。
設備投資・研究開発に関しては、企業価値の向上に資する成長のための投資を積極的に推進してまいります。現中期経営計画(2022年3月期から2024年3月期の3年間累計)では総額609億円となる予定です。
3)資金需要の主な内容
当社グループの資金需要のうち主なものは、製品を製造するための、原材料・部品の仕入、加工、組立等の変動費、ならびに製造間接費・販売費及び一般管理費等の固定費です。
固定費の主なものは人件費、構内外注費、設計外注費、研究開発費、賃借料等です。
4)資金調達
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金および外部資金を有効に活用しています。なお、グループ内の資金効率を高めるため、余資は当社に集中し、不足するグループ会社に配分する制度を国内グループ会社で運用しています。また、安定的な外部資金調達能力の維持向上は重要な経営課題と認識しており、有価証券報告書提出日現在において、株式会社格付投資情報センターによる発行体格付は「A(シングルAフラット)」となっています。また、主要な取引先金融機関とは良好な取引関係を維持しており、加えて強固な財務体質を有していることから、当社グループの事業の維持拡大、運営に必要な運転資金、投資資金は問題なく調達可能であると認識しています。なお、新型コロナウイルス感染症の拡大による不測の事態に備え2020年5月に調達した短期借入金100億円は2021年2月に全額返済しましたが、国内金融機関において300億円のコミットメントラインを設定しており、緊急時の資金調達手段を確保しています。
(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたり、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」「第5経理の状況 2財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しています。
(6)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1 金額は販売価格によっています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 「その他」は報告セグメントに含まれない国内外の子会社です。
②受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 「その他」は報告セグメントに含まれない国内外の子会社および連結上の調整額です。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 「その他」は報告セグメントに含まれない国内外の子会社および連結上の調整額です。
(7)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、本文中における将来に関する事項の記述については、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
1)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度(2021年3月期)の受注は6.6%減少しましたが、売上は豊富な前期末受注残高を背景に6.8%増加し、過去最高となりました。営業利益は10.0%、経常利益は11.9%、親会社株主に帰属する当期純利益は15.4%増加しました。ROEは前年度の12.4%から13.2%になりました。これは、売上高当期純利益率が6.3%から6.8%に改善したことが、主な要因です。 業績に大きく影響したのは、日本・米国における物流システムへの投資が活発化したことです。これに伴い一般製造業・流通業向けシステムの売上高が伸長し、利益も増加しました。また、高い水準の受注残高を確保しています。特に「eコマース」は事業戦略の柱の一つとして位置付けてきた分野であり、今後ますます需要が高まるものと思われるため、引き続き注力してまいります((1)経営成績等の状況の概要 [図]業種別受注高・売上高)。
また、業界環境の振幅が大きく、低迷が続いていた半導体・液晶業界の景況感は、「デジタル化」の急加速により下期以降大きく改善し、徐々に投資が回復してきました。案件が大型化していることもあり、リスク管理・収益性に留意しながら、受注増加に向けた取り組みを強化してまいります。 自動車生産ライン向けシステムは、前期に受注した北米の大口案件が売上高に寄与する一方、その反動減、および新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う改造工事の先送りなどの影響を受け、受注は大幅に減少しました。半導体不足に伴う自動車生産の停滞などの不確定要因はありますが、経済活動の再開に伴う投資の回復を見込んでいます。
一方、コロナ禍で最も落ち込みが懸念された空港向けシステムは、旅客数の減少に伴って一部でオペレーション&メンテナンスが縮小されたものの、空港運営会社が長期的に進める案件は大きな影響を受けておらず、受注・売上とも順調に推移しました。最大市場である北米における経済活動が回復しているため、今後も堅調な環境が続くと想定しています。
当社グループの経営成績の分析の詳細につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要」、課題分析や今後の施策などの詳細は「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
2)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
2021年3月期を最終年度とする4カ年中期経営計画「Value Innovation 2020」では、半導体・液晶業界における一時的な設備投資意欲の減退、および新型コロナウイルス感染症の影響により、2019年5月に上方修正した経営目標(連結売上高5,000億円、営業利益率11.5%)には届きませんでしたが、当初の経営目標(連結売上高4,200億円、営業利益率8.0%)は達成しました。ROEは目標の10%以上を全期間で維持し、連結配当性向は毎年度おおむね30%を継続しました。
(8)今後の経営方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境および入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めています。
当社グループの収益構造は、親会社株主に帰属する当期純利益の約8割をダイフクが上げています((1)経営成績等の状況の概要 [図]報告セグメントの業績)。ダイフクのさらなる収益性向上を図ることはもちろん、海外を中心としたダイフク以外のセグメントの収益力向上が課題です。
また、「第1企業の概況 3事業の内容」に記載のとおり、当社グループの主な事業であるマテリアルハンドリングシステムの製造・販売は、グループ各社の密接な連携の上に成り立っており、グループ全体の横断的な取り組みが重要になります。詳細につきましては、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針」をご参照ください。
当連結会計年度における世界の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響を継続して受けました。年度後半は、日本をはじめ各国で経済活動を再開する動きが見られ、ワクチンの接種も開始されましたが、変異ウイルスの拡大などにより収束の時期は見通せず、先行き不透明な状況が続いています。
このような経済・事業環境のもと、当社グループでは、社員の生命・健康・安全を最優先とし、各国政府などからの要請・ガイドラインに基づいて、テレワークを適宜取り入れ、生産や工事・サービスの現場においても各種感染症対策を講じながら、事業活動を継続しました。
受注は、経済活動の再開に伴い第3四半期以降に回復したものの、第2四半期連結累計期間までの移動や出社制限による商談の遅れなどが影響したため、前期の実績には届きませんでした。売上は、豊富な前期末受注残高をベースに順調に推移し、過去最高となりました。
この結果、受注高は4,510億65百万円(前年同期比6.6%減)、売上高は4,739億2百万円(同6.8%増)となりました。
利益面では、国内の一般製造業・流通業向けシステムの売上増が寄与し、順調に推移しました。
この結果、営業利益は445億66百万円(同10.0%増)、経常利益は458億46百万円(同11.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、323億90百万円(同15.4%増)となりました。
ROEは13.2%となり、前年度の12.4%より改善しました。これは主に売上高当期純利益率が6.8%となり、前年度の6.3%から改善したことによるものです。
[新型コロナウイルス感染症の影響]
前記のとおり、受注面を除き、業績への影響は軽微でした。
地域別では、主要市場である日本、北米、中国は事業環境が期初に比べて全体的に改善しています。欧州、東南アジアの一部、インドなどでは改善が遅れ気味です。
業種別では、空港向けシステムは旅客数の減少に伴って一部の空港でオペレーション&メンテナンスが縮小されたものの、空港運営会社が長期的に進める新規投資案件については大きな影響を受けませんでした。
2022年3月期の業績予想は、受注高5,200億円、売上高5,000億円、営業利益470億円、経常利益479億円、親会社株主に帰属する当期純利益340億円、売上高営業利益率9.4%としています。
当社グループを取り巻く経済・事業環境は、新型コロナウイルスの感染拡大の長期化により、先行きに不透明感があるものの、ニューノーマル、グローバルでの物流ニーズの拡大と多様化など新たなニーズも見込まれます。3カ年中期経営計画「Value Transformation 2023」の初年度となる2022年3月期は、増収増益を期するとともに、持続可能な社会実現への貢献と企業価値向上を目指していきます。
上記の業績予想は、主に受注済の案件の進捗見込みや今後受注が見込まれる案件の確度や時期、期中の進捗度合いを想定し算出していますが、現時点で入手可能な情報に基づき判断したものであり、国内外の顧客の動向・競合状況、「2事業等のリスク」に記載している各種リスク要因などのさまざまな不確定要素により、実際の業績は記載の見通しと異なる可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症が世界経済に及ぼす影響の大きさや期間の長さは現時点では見通せていません。新型コロナウイルス感染症について認識しているリスクは、「2事業等のリスク」をご覧ください。
2021年3月期 実績
| 受注高 | 4,510億65百万円 | (前年同期 | 4,831億84百万円 | 6.6%減) |
| 売上高 | 4,739億2百万円 | ( 同 | 4,436億94百万円 | 6.8%増) |
| 営業利益 | 445億66百万円 | ( 同 | 404億97百万円 | 10.0%増) |
| 経常利益 | 458億46百万円 | ( 同 | 409億76百万円 | 11.9%増) |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 323億90百万円 | ( 同 | 280億63百万円 | 15.4%増) |
| 包括利益 | 333億45百万円 | ( 同 | 256億27百万円 | 30.1%増) |
セグメントごとの業績は次のとおりです。受注・売上は外部顧客への受注高・売上高を、セグメント利益は親会社株主に帰属する当期純利益を記載しています。
[図]報告セグメントの業績
| ダイフク:受注は自動車生産ライン向け、半導体・液晶生産ライン向けが伸び悩み、利益は一般製造業・流通業向けが寄与 |
| DNAHC:前期に自動車生産ライン向けの大型案件を受注、今期に売上を計上 |
| CFI:データセンター用の半導体需要増がけん引 |
| (億円) |
| 受注高 (外部顧客からの受注高) | 売上高 (外部顧客への売上高) | セグメント利益 (親会社株主に帰属する当期純利益) | |||||||
| 2020/3期 | 2021/3期 | 増減額 | 2020/3期 | 2021/3期 | 増減額 | 2020/3期 | 2021/3期 | 増減額 | |
| ダイフク | 2,183 | 1,841 | ▲342 | 2,044 | 1,993 | ▲50 | 186 | 260 | +73 |
| コンテック | 168 | 153 | ▲14 | 163 | 162 | ▲1 | 16 | 11 | ▲4 |
| DNAHC※1 | 1,367 | 1,194 | ▲173 | 1,022 | 1,371 | +348 | 62 | 60 | ▲2 |
| CFI※2 | 238 | 310 | +72 | 326 | 305 | ▲21 | 25 | 27 | +2 |
| その他 | 874 | 1,010 | +136 | 939 | 896 | ▲43 | 25 | 23 | ▲2 |
| 連結調整等 | - | - | - | ▲60 | 9 | +70 | ▲36 | ▲59 | ▲23 |
| 合計 (調整後) | 4,831 | 4,510 | ▲321 | 4,436 | 4,739 | +302 | 280 | 323 | +43 |
※1 DNAHC = Daifuku North America Holding Company
※2 CFI = Clean Factomation, Inc.
① 株式会社ダイフク
受注は、上半期に移動や出社制限などにより商談が進まなかった一般製造業・流通業向けシステムが第3四半期以降回復したものの、自動車生産ライン向けシステムや半導体・液晶生産ライン向けシステムが伸び悩み、全体としては減少しました。
売上は、自動車生産ライン向けシステムや半導体・液晶生産ライン向けシステムが減少した一方、一般製造業・流通業向けシステムが豊富な受注残高をベースに順調に推移したことが寄与し、全体としては堅調に推移しました。
セグメント利益は、自動車生産ライン向けシステムの売上減少の影響を受けたものの、一般製造業・流通業向けシステムの売上増、収益率改善により、増益となりました。
この結果、受注高は1,841億44百万円(前年同期比15.7%減)、売上高は1,993億96百万円(同2.5%減)、セグメント利益は260億39百万円(同39.3%増)となりました。
② コンテックグループ
・産業用コンピュータ製品
日本市場では、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて企業の設備投資が先送りされるなどの影響がありましたが、ファクトリーオートメーション(FA)分野向けが堅調に推移し、FA分野以外で大型案件を受注したこともあり、売上高はほぼ横ばいとなりました。
米国市場では、医療機器や空港セキュリティ関連向けで売上が増加しました。
・計測制御製品
年度前半に見られた企業の設備投資への慎重な姿勢の影響を受けて、FA分野を中心に販売が減少しました。
・ソリューション製品
自動車関連業界の設備投資の減少を受けて、関連システムの販売が減少しました。
セグメント利益は、前期に計上した投資有価証券の売却益がなくなったため、減少しました。
この結果、受注高は153億36百万円(前年同期比8.9%減)、売上高は162億39百万円(同0.7%減)、セグメント利益は11億71百万円(同27.1%減)となりました。
③ Daifuku North America Holding Company(DNAHC)グループ
受注は、前期に大型案件を受注した自動車生産ライン向けシステムの反動減があり、全体としては減少しましたが、eコマース案件がけん引した一般製造業・流通業向けシステムが大きく伸び、また大型案件の受注を獲得した空港向けシステム、半導体工場向けシステムも好調に推移しました。
売上は、自動車生産ライン向けシステムが大きく増加し、一般製造業・流通業向けシステム、空港向けシステムも順調に推移し、過去最高となりました。
セグメント利益は、売上が増加したものの、利益率が低い一部の大型案件などの影響を受けて前年並みとなりました。
この結果、受注高は1,194億26百万円(前年同期比12.7%減)、売上高は1,371億16百万円(同34.1%増)、セグメント利益は60億46百万円(同3.9%減)となりました。
④ Clean Factomation, Inc.(CFI)
受注は、期初の計画に加え、在宅勤務やウェブ会議の利用が進展したことによるデータセンター用半導体の需要増に伴う設備投資の回復もあり、順調に推移しました。売上は前期の受注が低迷した影響を受けました。セグメント利益は、堅調に推移しました。
この結果、受注高は310億88百万円(前年同期比30.6%増)、売上高は305億54百万円(同6.5%減)、セグメント利益は27億94百万円(同8.2%増)となりました。
⑤ その他
「その他」は、当社グループを構成する連結子会社66社のうち、上記②③④以外の国内外の子会社です。これらの各社は、マテリアルハンドリングシステム・機器、洗車機の製造や販売などを行っています。主な子会社の状況は、次のとおりです。
国内子会社:
株式会社ダイフクプラスモアは、サービスステーション、カーディーラー向けの洗車機に加え、トラック・バス用の大型洗車機の販売を強化しています。下半期は販売台数が順調に推移したものの、上半期に移動制限など営業活動の制限を余儀なくされた影響を受け、前期の実績には届きませんでした。
海外子会社:
中国、台湾、韓国、タイ、インドなどに生産拠点があり、グローバルな最適地生産・調達体制の一翼を担いつつ、販売・工事・サービスも行っています。
また、北中米、アジア、欧州、オセアニアに販売・工事・サービスを行う海外子会社を幅広く配置しています。
上半期には新型コロナウイルス感染症による社会活動の制限、急速に悪化した景気の影響を受けましたが、中国や韓国などで大型案件を受注したことに加え、第3四半期以降は景気が回復基調にあり、受注高は1,010億68百万円(前年同期比15.6%増)となった一方、売上高は896億20百万円(同4.6%減)、セグメント利益は23億8百万円(同8.6%減)となりました。
業種別や仕向け地別の詳細につきましては、[図]業種別受注高・売上高および[図]仕向け地別受注高・売上高をご参照ください。
[図]業種別受注高・売上高
| 自動車および自動車部品:前期に北米で大型案件を受注、今期に売上を計上 |
| 商業および小売業:eコマース関連がけん引 |
| (億円) |
| 受注高 | 売上高 | |||||||||
| 2020/3期 | 2021/3期 | 増減額 | 2020/3期 | 2021/3期 | 増減額 | |||||
| 業種 | 受注高 | 構成比 | 受注高 | 構成比 | 売上高 | 構成比 | 売上高 | 構成比 | ||
| 自動車および 自動車部品 | 899 | 18.6% | 490 | 10.9% | ▲408 | 684 | 15.4% | 801 | 16.9% | +116 |
| エレクトロニクス | 1,462 | 30.3% | 1,295 | 28.7% | ▲166 | 1,441 | 32.5% | 1,370 | 28.9% | ▲71 |
| 商業および小売業 | 945 | 19.6% | 1,363 | 30.2% | +417 | 862 | 19.4% | 1,155 | 24.4% | +292 |
| 運輸・倉庫 | 274 | 5.7% | 233 | 5.2% | ▲41 | 285 | 6.4% | 235 | 5.0% | ▲49 |
| 機械 | 111 | 2.3% | 120 | 2.7% | +9 | 135 | 3.1% | 112 | 2.4% | ▲22 |
| 化学・薬品 | 184 | 3.8% | 139 | 3.1% | ▲45 | 153 | 3.4% | 183 | 3.9% | +30 |
| 食品 | 170 | 3.5% | 173 | 3.8% | +2 | 131 | 3.0% | 177 | 3.7% | +45 |
| 鉄鋼・非鉄金属 | 54 | 1.1% | 37 | 0.8% | ▲17 | 53 | 1.2% | 44 | 0.9% | ▲9 |
| 精密機器・ 印刷・事務機 | 76 | 1.6% | 61 | 1.4% | ▲15 | 114 | 2.6% | 87 | 1.8% | ▲27 |
| 空港 | 476 | 9.9% | 460 | 10.2% | ▲16 | 419 | 9.5% | 412 | 8.7% | ▲7 |
| その他 | 175 | 3.6% | 133 | 3.0% | ▲41 | 153 | 3.5% | 158 | 3.4% | +4 |
| 合計 | 4,831 | 100.0% | 4,510 | 100.0% | ▲321 | 4,436 | 100.0% | 4,739 | 100.0% | +302 |
[図]仕向け地別受注高・売上高
| 日本:前期に受注した空港向け大型案件の反動減、および自動車生産ライン向けの伸び悩み |
| 北米:前期に受注した自動車生産ライン向け大型案件の反動減。売上高は自動車生産ライン向け、一般製造業・流通業向けがけん引 |
| アジア:エレクトロニクス向けが減少 |
| (億円) |
| 受注高 | 売上高 | |||||||||||
| 2020/3期 | 2021/3期 | 増減額 | 2020/3期 | 2021/3期 | 増減額 | |||||||
| 地域 | 国名 | 受注高 | 構成比 | 受注高 | 構成比 | 売上高 | 構成比 | 売上高 | 構成比 | |||
| 日本 | 1,700 | 35.2% | 1,525 | 33.8% | ▲175 | 1,550 | 34.9% | 1,639 | 34.6% | +89 | ||
| 海外 | 3,131 | 64.8% | 2,985 | 66.2% | ▲145 | 2,886 | 65.1% | 3,099 | 65.4% | +212 | ||
| 北米 | 1,405 | 29.1% | 1,205 | 26.7% | ▲200 | 996 | 22.5% | 1,389 | 29.3% | +392 | ||
| アジア | 1,521 | 31.5% | 1,446 | 32.1% | ▲75 | 1,634 | 36.8% | 1,440 | 30.4% | ▲194 | ||
| 中国 | 583 | 12.1% | 552 | 12.2% | ▲31 | 702 | 15.8% | 595 | 12.6% | ▲106 | ||
| 台湾 | 424 | 8.8% | 340 | 7.6% | ▲84 | 371 | 8.4% | 305 | 6.5% | ▲65 | ||
| 韓国 | 392 | 8.1% | 450 | 10.0% | +58 | 435 | 9.8% | 433 | 9.2% | ▲1 | ||
| その他 | 120 | 2.5% | 103 | 2.3% | ▲17 | 125 | 2.8% | 104 | 2.1% | ▲20 | ||
| 欧州 | 94 | 2.0% | 162 | 3.6% | +67 | 92 | 2.1% | 133 | 2.8% | +41 | ||
| 中南米 | 9 | 0.2% | 26 | 0.6% | +16 | 62 | 1.4% | 41 | 0.9% | ▲20 | ||
| その他 | 99 | 2.0% | 145 | 3.2% | +45 | 99 | 2.3% | 93 | 2.0% | ▲6 | ||
| 合計 | 4,831 | 100.0% | 4,510 | 100.0% | ▲321 | 4,436 | 100.0% | 4,739 | 100.0% | +302 | ||
(2)財政状態の状況
総資産は、前連結会計年度末に比べ345億69百万円増加し、4,454億56百万円となりました。主な要因は、現金及び預金が232億60百万円、受取手形・完成工事未収入金等が91億93百万円増加したことによるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ99億12百万円増加し、1,834億43百万円となりました。主な要因は、未払法人税等が73億7百万円増加したことによるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べ246億56百万円増加し、2,620億12百万円となりました。主な要因は、利益剰余金が230億85百万円増加したことによるものです。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ231億95百万円増加し、940億79百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は、主に売上債権の増加額が106億69百万円あったものの、税金等調整前当期純利益が451億9百万円あったことにより、382億29百万円(前年同期は137億6百万円の増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は、主に固定資産の取得による支出が74億81百万円あったことにより、61億32百万円(前年同期は147億91百万円の減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は、主に短期借入金の借入による収入が17億60百万円あったものの、配当金の支払額が94億62百万円あったことにより、89億32百万円(前年同期は183億54百万円の減少)となりました。
連結キャッシュ・フローの指標は次のとおりです。
| 2020年3月期 | 2021年3月期 | |
| 自己資本比率(%) | 56.7 | 57.7 |
| 時価ベースの自己資本比率(%) | 209.9 | 306.6 |
| キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) | 2.4 | 0.9 |
| インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) | 17.7 | 61.2 |
自己資本比率 :(純資産-非支配株主持分-新株予約権)/総資産
時価ベースの自己資本比率 :株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 :有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業キャッシュ・フロー/利払い
(注)1 いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しています。
3 キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しています。
4 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち短期借入金、長期借入金を対象とし
ています。
5 利払いについては連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。
(4)資本の財源及び資金の流動性
1)財務戦略の基本的な考え方
当社グループは、強固な財務体質と高い資本効率を両立しつつ、企業価値向上のために資金を適切に調達・配分することを財務戦略の基本方針としています。
強固な財務体質の維持に関しては、自己資本比率の水準を50%以上に保ち、「A(シングルAフラット)」以上の発行体格付(株式会社格付投資情報センター(R&I)による格付)の維持向上を目指し、リスク耐性の強化を図ります。
同時に、営業キャッシュ・フローによる十分な債務償還能力を前提に、厳格な財務規律のもとで金融機関からの借入や社債の発行などの活用も進めることにより、資本コストの低減および資本効率の向上にも努めてまいります。
2)経営資源の配分に関する考え方
当社グループは、適正な手元現預金の水準について、売上高の約1.5~2.0カ月分を安定的な経営に必要な手元現預金水準とし、それを超える分については、追加的に配分可能な経営資源と認識し、企業価値向上に資する経営資源の配分に努めます。また、株主の皆さまに対する利益還元を最重要課題と位置づけ、剰余金の配当につきましては、株主の皆さまへのさらなる利益還元を視野に入れて、連結当期純利益をベースとする業績連動による配当政策を取り入れるとともに、残余の剰余金につきましては内部留保金として、今後の成長に向けた投資資金に充てる方針です。
設備投資・研究開発に関しては、企業価値の向上に資する成長のための投資を積極的に推進してまいります。現中期経営計画(2022年3月期から2024年3月期の3年間累計)では総額609億円となる予定です。
3)資金需要の主な内容
当社グループの資金需要のうち主なものは、製品を製造するための、原材料・部品の仕入、加工、組立等の変動費、ならびに製造間接費・販売費及び一般管理費等の固定費です。
固定費の主なものは人件費、構内外注費、設計外注費、研究開発費、賃借料等です。
4)資金調達
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金および外部資金を有効に活用しています。なお、グループ内の資金効率を高めるため、余資は当社に集中し、不足するグループ会社に配分する制度を国内グループ会社で運用しています。また、安定的な外部資金調達能力の維持向上は重要な経営課題と認識しており、有価証券報告書提出日現在において、株式会社格付投資情報センターによる発行体格付は「A(シングルAフラット)」となっています。また、主要な取引先金融機関とは良好な取引関係を維持しており、加えて強固な財務体質を有していることから、当社グループの事業の維持拡大、運営に必要な運転資金、投資資金は問題なく調達可能であると認識しています。なお、新型コロナウイルス感染症の拡大による不測の事態に備え2020年5月に調達した短期借入金100億円は2021年2月に全額返済しましたが、国内金融機関において300億円のコミットメントラインを設定しており、緊急時の資金調達手段を確保しています。
(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたり、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」「第5経理の状況 2財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しています。
(6)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| 株式会社ダイフク | 240,251 | △0.0 |
| コンテックグループ | 26,440 | 3.0 |
| Daifuku North America Holding Companyグループ | 124,667 | 39.8 |
| Clean Factomation, Inc. | 27,161 | △10.5 |
| その他 | 63,327 | △16.3 |
| 合計 | 481,849 | 4.5 |
(注) 1 金額は販売価格によっています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 「その他」は報告セグメントに含まれない国内外の子会社です。
②受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前期比(%) | 受注残高(百万円) | 前期比(%) |
| 株式会社ダイフク | 184,144 | △15.7 | 153,984 | △9.0 |
| コンテックグループ | 15,336 | △8.9 | 3,651 | △19.8 |
| Daifuku North America Holding Companyグループ | 119,426 | △12.7 | 117,311 | △13.1 |
| Clean Factomation, Inc. | 31,088 | 30.6 | 13,539 | 4.1 |
| その他 | 101,068 | 15.6 | 86,596 | 13.8 |
| 合計 | 451,065 | △6.6 | 375,082 | △5.7 |
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 「その他」は報告セグメントに含まれない国内外の子会社および連結上の調整額です。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| 株式会社ダイフク | 199,396 | △2.5 |
| コンテックグループ | 16,239 | △0.7 |
| Daifuku North America Holding Companyグループ | 137,116 | 34.1 |
| Clean Factomation, Inc. | 30,554 | △6.5 |
| その他 | 90,594 | 3.0 |
| 合計 | 473,902 | 6.8 |
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 「その他」は報告セグメントに含まれない国内外の子会社および連結上の調整額です。
(7)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、本文中における将来に関する事項の記述については、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
1)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度(2021年3月期)の受注は6.6%減少しましたが、売上は豊富な前期末受注残高を背景に6.8%増加し、過去最高となりました。営業利益は10.0%、経常利益は11.9%、親会社株主に帰属する当期純利益は15.4%増加しました。ROEは前年度の12.4%から13.2%になりました。これは、売上高当期純利益率が6.3%から6.8%に改善したことが、主な要因です。 業績に大きく影響したのは、日本・米国における物流システムへの投資が活発化したことです。これに伴い一般製造業・流通業向けシステムの売上高が伸長し、利益も増加しました。また、高い水準の受注残高を確保しています。特に「eコマース」は事業戦略の柱の一つとして位置付けてきた分野であり、今後ますます需要が高まるものと思われるため、引き続き注力してまいります((1)経営成績等の状況の概要 [図]業種別受注高・売上高)。
また、業界環境の振幅が大きく、低迷が続いていた半導体・液晶業界の景況感は、「デジタル化」の急加速により下期以降大きく改善し、徐々に投資が回復してきました。案件が大型化していることもあり、リスク管理・収益性に留意しながら、受注増加に向けた取り組みを強化してまいります。 自動車生産ライン向けシステムは、前期に受注した北米の大口案件が売上高に寄与する一方、その反動減、および新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う改造工事の先送りなどの影響を受け、受注は大幅に減少しました。半導体不足に伴う自動車生産の停滞などの不確定要因はありますが、経済活動の再開に伴う投資の回復を見込んでいます。
一方、コロナ禍で最も落ち込みが懸念された空港向けシステムは、旅客数の減少に伴って一部でオペレーション&メンテナンスが縮小されたものの、空港運営会社が長期的に進める案件は大きな影響を受けておらず、受注・売上とも順調に推移しました。最大市場である北米における経済活動が回復しているため、今後も堅調な環境が続くと想定しています。
当社グループの経営成績の分析の詳細につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要」、課題分析や今後の施策などの詳細は「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
2)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
2021年3月期を最終年度とする4カ年中期経営計画「Value Innovation 2020」では、半導体・液晶業界における一時的な設備投資意欲の減退、および新型コロナウイルス感染症の影響により、2019年5月に上方修正した経営目標(連結売上高5,000億円、営業利益率11.5%)には届きませんでしたが、当初の経営目標(連結売上高4,200億円、営業利益率8.0%)は達成しました。ROEは目標の10%以上を全期間で維持し、連結配当性向は毎年度おおむね30%を継続しました。
(8)今後の経営方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境および入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めています。
当社グループの収益構造は、親会社株主に帰属する当期純利益の約8割をダイフクが上げています((1)経営成績等の状況の概要 [図]報告セグメントの業績)。ダイフクのさらなる収益性向上を図ることはもちろん、海外を中心としたダイフク以外のセグメントの収益力向上が課題です。
また、「第1企業の概況 3事業の内容」に記載のとおり、当社グループの主な事業であるマテリアルハンドリングシステムの製造・販売は、グループ各社の密接な連携の上に成り立っており、グループ全体の横断的な取り組みが重要になります。詳細につきましては、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針」をご参照ください。