四半期報告書-第79期第3四半期(令和1年7月1日-令和1年9月30日)

【提出】
2019/11/14 15:14
【資料】
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【項目】
13項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。
(1)経営成績の分析
当第3四半期連結累計期間における当社グループ業績は、受注高 126,325百万円(前年同期比2.9%増)、売上収益 121,193百万円(同5.0%増)、営業利益 9,511百万円(同50.8%増)、税引前四半期利益 8,359百万円(同35.4%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益 4,638百万円(同8.0%増)となりました。
工業部門は、上流の原油・ガス市場、下流の石油化学関連市場ともに引き続き投資が堅調で、主力のインダストリアル事業の業績は回復基調が続いています。また、LNG市場の成長を受けて、クライオジェニックポンプの引合いも旺盛で、インダストリアル事業の受注高・売上収益は前年同期比で増加しました。精密機器事業は、粉体計測機器事業の株式譲渡による連結除外等により受注高・売上収益は前年同期比で減少しましたが、航空宇宙事業は受注高・売上収益とも底堅く推移し、前年同期比で増加しました。また、深紫外線LED事業は、合弁会社との契約に基づくライセンス使用の許諾に係る収入や開発受託料を当第3四半期より収益計上しています。以上の結果、工業部門全体では前年同期比で増収増益となりました。
医療部門は、下期に販売を開始した国内向け新型血液透析装置の販売が順調に滑り出し、消耗品全般についても販売が堅調に推移しました。また、欧州市場における血液透析装置の販売も引き続き好調なため、血液透析事業全体では前年同期比で増収増益となりました。一方、CRRT(急性血液浄化療法)事業において所有資産の減損損失を計上したため、医療部門全体では前年同期比で増収減益となりました。
その他、粉体計測機器事業の株式譲渡による売却益を計上しました。以上の結果、全社の営業利益は前年同期比で増益となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりです。
工 業 部 門
工業部門は、産業用ポンプ・コンプレッサー等を手掛けるインダストリアル事業、発電プラント向け水質調整装置・電子部品製造関連装置等を手掛ける精密機器事業、民間航空機向け炭素繊維強化樹脂(CFRP)成形品等を手掛ける航空宇宙事業、及び新規事業の深紫外線LED事業等で構成しています。
<インダストリアル事業>インダストリアル事業の受注高は59,550百万円(前年同期比1.6%増)、売上収益は54,285百万円(同1.8%増)となりました。
石油関連事業は、原油・ガス採掘など上流分野、石油化学など下流分野の双方での設備投資が継続しています。LEWA社は、下流の石油化学向けポンプの販売やアフターセールス事業が堅調に推移し、収益を下支えした結果、前年同期比で増収増益となりました。
産業ガス・LNG関連事業には、LNG受入基地の増加など世界的な市場成長に伴い、大型のクライオジェニックポンプの受注が伸長しています。また、Cryogenic Industriesグループ(以下、「CIグループ」)は、LNG関連製品の販売伸長に加え、償却負担の軽減効果もあり、前年同期比で増収増益となりました。
<精密機器事業>精密機器事業の受注高は6,265百万円(前年同期比33.1%減)、売上収益は7,055百万円(同3.9%減)となりました。
発電所関連機器は、国内市場の低迷により低調な結果となりました。電子部品製造機器は、2019年初のアップル・ショック及び米中貿易摩擦に起因する電子部品市場の減速を受け、受注高は減少しましたが、既受注案件の生産・出荷は順調に進展しました。今後、5G通信の世界的拡大により、温水ラミネーター装置を始めとした電子部品製造機器全般の需要拡大を見込んでいます。粉体計測機器事業は、2019年7月8日に当該事業の株式譲渡を実行し、当第3四半期から同事業が連結から除外されたことにより、精密機器事業全体では受注高・売上収益は前年同期比で減少しました。
<航空宇宙事業>航空宇宙事業の受注高は13,265百万円(前年同期比11.4%増)、売上収益は13,257百万円(同11.1%増)となりました。
小型機(単通路機)を中心とした民間航空機需要は東南アジアを中心に拡大傾向が続き、当社への引合いも順調に増加しています。現時点では、米ボーイング737MAX向けの製品出荷に大きな影響は出ておりません。当第3四半期連結累計期間においては、主力製品のカスケード及びエンジン部品の出荷が伸長したことにより、前年同期比で増収となりましたが、昨年竣工した宮崎工場の設備償却等の経費増加により減益となりました。今後、宮崎工場の安定稼働に努めるとともに、拠点集約によるコスト最適化など事業基盤の強化により収益力向上を図ってまいります。
このほか、深紫外線LED事業においては、2019年9月20日に台湾プラスチックグループとの合弁会社である福機装股份有限公司の設立手続きを完了しました。当第3四半期より、同社とのライセンス契約及び開発契約に基づくライセンス使用許諾収入や開発受託料を収益計上しています。
今後、深紫外線LEDを用いた流水殺菌モジュールは、飲料、食品、医薬品、半導体の製造用水、簡易水道や緊急時の飲料水の殺菌などへの利用を想定し、当社が得意とする企業向け製品に加え、加湿器や飲料水の水殺菌など一般消費者向け製品までラインアップを拡充していきます。また、メディカル事業や航空宇宙事業など、当社の既存事業領域においても、深紫外線LEDを用いた具体的な製品の開発提案を進めてまいります。
以上の結果、工業部門の受注高は79,937百万円(前年同期比0.1%減)、売上収益は75,473百万円(同3.8%増)、セグメント利益は8,039百万円(同41.5%増)となりました。
医 療 部 門
<メディカル事業>血液透析事業は、下期に発売を開始した新型血液透析装置の利便性や治療の安全性並びに経済性がお客様に高く評価され、装置の販売が伸長しました。また、血液回路や粉末型人工腎臓透析用剤を中心に消耗品全般の販売も堅調に推移しました。海外市場では、欧州を中心に装置販売が好調を維持しました。
CRRT(急性血液浄化療法)事業は、主力市場である中国での装置、消耗品販売が堅調に推移しましたが、その他地域での不振を補うには至らず、前期並みの赤字となりました。なお、当該事業の業績悪化により回収可能価額が帳簿価額を下回ったため、所有資産について減損損失を計上しました。
以上の結果、医療部門の受注高は46,387百万円(前年同期比8.5%増)、売上収益は45,719百万円(同7.0%増)、セグメント利益は1,767百万円(同45.3%減)となりました。
(2)財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末の資産合計は261,603百万円となり、前連結会計年度末に比べて11,814百万円増加しました。IFRS第16号の適用に伴う使用権資産の増加が主な要因です。
当第3四半期連結会計期間末の負債合計は183,769百万円となり、前連結会計年度末に比べて12,319百万円増加しました。IFRS第16号の適用に伴うリース負債の増加が主な要因です。
当第3四半期連結会計期間末の資本合計は77,833百万円となり、前連結会計年度末に比べて504百万円減少しました。在外営業活動体の換算差額の減少が主な要因です。
(3)キャッシュ・フローの分析
当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて2,133百万円増加し、31,403百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間において、営業活動によるキャッシュ・フローは+8,260百万円となりました。税引前四半期利益の計上が主な要因です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは△3,243百万円となりました。有形固定資産の取得による支出が主な要因です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは△2,160百万円となりました。リース負債の返済による支出及び配当金の支払いが主な要因です。
(4)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等は次のとおりです。
① 基本方針の内容
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業価値の向上と株主共同の利益を確保するため、株式市場における自由かつ公正な取引を通じて構成される株主の意思に基づき決定されるべきと考えています。なお、現在当社は買収防衛策を導入していません。
② 当社の取り組みの具体的内容
イ 当社は、2020年12月期を最終事業年度とする5ヵ年の中期経営計画「日機装2020」及び当社グループの企業統治に関する基本方針を掲げた「日機装グループのコーポレート・ガバナンス基本方針」の着実な遂行・実施により、中長期的な企業価値の向上及び株主共同の利益の維持・向上に努めます。
ロ 短期的な利益や一部の株主の利益を優先する動きが生じる場合など、当社の企業価値と株主共同の利益が損なわれるおそれのある行為に対しては、当社は企業価値及び株主共同の利益の維持・向上の観点から、金融商品取引法など関係する法令に従い、当社株式の大量取得行為等についての是非を株主が適切に判断するために必要かつ十分な情報の開示を求めるとともに、その検討のために必要な時間の確保に努めます。また、仮に、当社取締役会が大量取得者等による当社株式の大量取得行為等が当社の企業価値・株主共同の利益に反すると判断する場合にはこれを防ぐべく、関係法令によって許容される合理的な対抗措置を講じます。
なお、大量取得者等に対する対抗措置に係る当社取締役会の判断が恣意的になることを防止するため、一般株主との利益相反が生ずるおそれのない、独立社外取締役を2名以上選任します。
③ 当社の取り組みに対する取締役会の判断とその理由
当社取締役会は、前記②の取り組みについて、合理的かつ妥当な内容であって、前記①の基本方針に沿っており、したがって当社の株主の共同の利益を損なうものではなく、かつ当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと判断しています。
(6)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は1,686百万円です。