有価証券報告書-第78期(平成30年1月1日-平成30年12月31日)
(1)業績等の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の当社グループの業績は、受注高 172,492百万円(前年同期比22.8%増)、売上収益 165,326百万円(同17.3%増)、営業利益 10,302百万円(同18.2%増)、税引前利益 9,741百万円(同17.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益 7,448百万円(同43.7%増)となりました。
工業部門における事業環境は、世界情勢の変化により原油価格の先行きに不透明感はあるものの、2017年末からの原油価格上昇に伴い、石油業界の設備投資は緩やかに回復してきています。また、天然ガスはクリーンエネルギーとして発電用途以外にも船舶等への利用が広がっており、世界的にLNG(液化天然ガス)市場の需要拡大が見込まれます。
当連結会計年度は、クライオジェニックポンプ事業の好調がインダストリアル事業を牽引し、精密機器事業、航空宇宙事業の業績も堅調に推移した結果、工業部門全体として増収増益となりました。工業部門の受注高、売上収益の増加額に比べてセグメント利益の増加額は軟調に推移しました。これは、当社連結子会社LEWA GmbH(ドイツ)(以下、「LEWA社」)、同Cryogenic Industriesグループ(以下、「CIグループ」)ともに原油・ガス採掘業界の景気回復が予想以上に時間を要しているため、案件の収益性が回復していないことに加え、CIグループ買収に伴い発生した無形資産の償却費等の計上が主な要因です。
医療部門における事業環境は、国内血液透析市場の成長が鈍化する中、サービス体制の拡充と効率化、消耗品の販売に注力し、売上増加と経費削減に努めました。一方で、海外市場、特に中国では引き続き透析医療の普及と市場拡大が続いているため、重点戦略地域として、現地合弁パートナーである威海威高血液浄化製品有限公司(中国)との関係強化を図り、メンテナンス拠点の拡充などの取り組みを進めています。こうした中、当連結会計年度においては、国内、海外市場ともに血液透析装置、消耗品販売が前年同期比で大幅に伸長していますが、事業再建途上のCRRT(急性血液浄化療法)事業の業績低迷が響き、増益幅を押し下げました。
その他、全社費用については、前連結会計年度に計上した所有不動産の売却益などの一時利益がなくなり前年同期比では営業利益を押し下げましたが、一過性要因を除くと前年同期並みで推移しています。
セグメントの業績は次のとおりです。
工業部門
工業部門は、産業用ポンプ・コンプレッサー等を手掛けるインダストリアル事業、発電プラント向け水質調整装置・電子部品製造関連装置等を手掛ける精密機器事業、民間航空機向け炭素繊維強化樹脂(CFRP)成形品等を手掛ける航空宇宙事業、及び新規事業の深紫外線LED事業等で構成しています。
<インダストリアル事業>インダストリアル事業の受注高は82,238百万円(前年同期比39.8%増)、売上収益は76,763百万円(同28.5%増)となりました。
石油化学関連事業においては、原油価格の先行き不透明感はあるものの、2017年後半からの価格上昇に伴い、原油・ガス採掘など上流分野の設備投資が再開され、受注環境は好転しつつあります。また、中・下流分野となる石油化学市場においては、北米、中国を中心に投資が継続、好況を維持しており、日本国内においても設備の更新需要が見込まれています。LEWA社では、上流分野を中心に受注は増加傾向にありますが、価格競争により収益性が厳しいことに加え、業績の回復が当第4四半期以降と出遅れたことにより前年同期比では増収減益となりました。しかしながら、引合いは堅調に推移しており、次期以降の業績回復を見込んでいます。
LNG・ガス関連事業においては、原油価格の上昇と環境問題が追い風となって、LNG市場も回復傾向にあり、従来、当社グループで手掛けているLNG受入基地やFSRU(浮体式LNG貯蔵再ガス化設備)で利用される大型のクライオジェニックポンプの引合いが活発になっています。また、半導体、医療関連事業向け産業ガス需要がアジアを中心に旺盛であり、CIグループでは産業ガス向けポンプ関連機器の受注が伸長し、加えてLNG燃料船向けの燃料供給システムや小型LNGプラントなど消費分野での需要伸長も見込まれています。
当連結会計年度は、クライオジェニックポンプ案件の好調がインダストリアル事業全体を牽引し、前年同期比では増収増益となりました。
今後、グローバル展開の加速に向けて、LEWA社、CIグループとの連携を強化すべく、拠点の相互活用や販売推進体制の統合などグループシナジーの強化を進めてまいります。
<精密機器事業>精密機器事業の受注高は12,204百万円(前年同期比13.7%増)、売上収益は10,682百万円(同8.5%増)となりました。
発電所向け案件は、電力各社の設備補修費削減と原子力発電所の再稼働遅れによって低調ですが、海外、特に東南アジア向けの水質調整装置の引合いが増加傾向にあり、台湾の子会社を活用しながらコスト競争力の強化と営業活動の強化を進めています。また、半導体製造事業向けの高圧機器(新型温水ラミネーター装置)の受注が伸長しており、積層セラミックコンデンサーの用途拡大に伴う世界的需要の増加に対応すべく、生産供給体制の整備、強化を進めています。
<航空宇宙事業>航空宇宙事業の受注高は16,884百万円(前年同期比7.5%増)、売上収益は16,909百万円(同8.7%増)となりました。
新興国における旅客・貨物需要の増加や格安航空会社の成長等による民間航空機需要は、特にアジア圏で小型機を中心に拡大しており、機体メーカーも主要機種の増産を計画しています。当社グループへの引き合いも順調に増加しており、2018年10月宮崎の航空機部品工場、更に、2018年11月ベトナム ハノイ第2工場と新たな2拠点が竣工し、生産拡大への備えが完了しました。
当連結会計年度においては、主力製品であるカスケードの需要が回復し、出荷数は前年同期比で伸長しました。また、翼部品を中心にベトナム ハノイ第1工場の出荷も引き続き順調に進捗しており、前年同期比で増収基調で推移しています。また、同工場での部材の内製化による原価低減や、東村山工場において立ち上げが遅れていたエンジン部品製造の安定化により、宮崎の航空機部品の新工場に係る先行経費をカバーし、営業利益は前年同期並みを確保しました。
今後、分散している生産拠点、生産体制の集約・最適化を進めるとともに、宮崎新工場を航空機部品の研究開発拠点としても機能させることで、更なる品質向上、コスト削減を実現し、お客様の要求に高い水準で応えられる事業基盤の整備を進めてまいります。
このほか、深紫外線LED事業においては、有力市場である水殺菌及び表面殺菌での製品開発、事業化に向けた取り組みを進めています。水殺菌分野においては、従来品の流水殺菌モジュールを改良開発し、水銀ランプ製品と同等以上の性能を実現しました。今後、製造コストの削減とチップ、モジュールの一層の性能向上を図ることで、一般消費者向け製品を含め、様々な分野での深紫外線LEDの普及を実現してまいります。
以上の結果、工業部門の受注高は111,459百万円(前年同期比30.5%増)、売上収益は104,501百万円(同22.6%増)、セグメント利益は8,140百万円(同8.0%増)となりました。
医療部門
<メディカル事業>国内の血液透析市場は、透析患者数の伸びの鈍化により、引き続き厳しい市場環境にありますが、血液透析装置需要は、低迷した前年と比較すると当第2四半期以降は回復に転じ、血液回路など消耗品全般の販売も伸長しています。海外市場においては、市場成長の著しい中国市場向けノックダウン部品販売が全体を牽引しており、自動化機能を搭載する高機能透析装置の評価が高い欧州及び透析医療の普及が進むアジア圏での装置販売が増加しています。以上の結果、血液透析事業全体では前年同期比で増収増益となりました。
事業再建途上のCRRT事業については、主力市場である中国において販売体制再編などの施策が奏功し装置及び消耗品販売が増加しており、中国以外の拠点の不振をカバーしたことで、前年同期比では売上収益は微増となった一方、開発体制の見直しや事業所、人員の削減など事業再建に関連する一時費用が増加したことから、営業利益を押下げる結果となりました。
医療部門全体としては、透析装置の販売増加が増益に大きく寄与しています。
以上の結果、医療部門の受注高は61,032百万円(前年同期比11.0%増)、売上収益は60,824百万円(同9.2%増)、セグメント利益は5,582百万円(同41.3%増)となりました。
メディカル事業において、主力である国内血液透析事業では、医療経済環境の変化に加え、競争環境が更に激しくなることが見込まれます。その中で、より一層、機能性、利便性に優れた新製品・サービスの開発と、それを支える事業運営体制の再構築及び業務改革を着実に遂行してまいります。また、海外市場では、市場成長の著しい中国市場での生産やサービス体制の強化とともに、医療保険制度の拡充が進む中国以外のアジア諸国、そして透析大国である米国においても、大手透析サービスプロバイダーとの連携等も視野に入れ、販売体制の強化を進めてまいります。
CRRT事業では、不採算拠点の統廃合、代理店活用による固定費の削減などを進めるとともに、主力である中国市場の販売体制を強化しつつ、新型装置のリリースを急ぎ、収益性改善に向けた施策を進めてまいります。併せて、新規事業分野である人工膵臓「STG-55」、マイクロ波外科手術用エネルギーデバイス「Acrosurg.」(アクロサージ)、潰瘍性大腸炎患者向けアフェレシス(血液浄化)製品「Immunopure」(イムノピュア)等も着実に市場開拓を進めており、メディカル事業の中期的な収益基盤として育成してまいります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の当期末残高は、前連結会計年度末に比べて4,825百万円減少し、29,269百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは+14,076百万円となりました。税引前利益の計上が主な要因です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは△12,218百万円となりました。有形固定資産の取得による支出が主な要因です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは△5,771百万円となりました。借入金の返済による支出が主な要因です。
(2)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 工業部門 | 96,419 | +24.7 |
| 医療部門 | 31,629 | +5.0 |
| 合計 | 128,048 | +19.2 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しています。
2.金額は、販売価格によっています。
3.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前年同期比(%) | 受注残高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 工業部門 | 111,459 | +30.5 | 51,947 | +15.5 |
| 医療部門 | 61,032 | +11.0 | 3,272 | +6.8 |
| 合計 | 172,492 | +22.8 | 55,219 | +14.9 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 工業部門 | 104,501 | +22.6 |
| 医療部門 | 60,824 | +9.2 |
| 合計 | 165,326 | +17.3 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 重要な会計方針及び見積もり
本連結財務諸表の作成にあたって採用する重要な会計方針及び見積もりは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記」をご参照ください。
② 財政状態
ⅰ)資産
当連結会計年度末の資産合計は249,788百万円となり、前連結会計年度末に比べて5,096百万円増加しています。有形固定資産の増加が主な要因です。
ⅱ)負債
当連結会計年度末の負債合計は171,450百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,544百万円増加しています。営業債務及びその他の債務の増加が主な要因です。
ⅲ)資本
当連結会計年度末の資本合計は78,338百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,551百万円増加しています。親会社の所有者に帰属する当期利益の計上による利益剰余金の増加が主な要因です。
③ 経営成績
当連結会計年度の経営成績の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
④ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性
ⅰ)資金需要
当社グループの資金需要の主なものは、設備新設、改修等に係る投資や、当社製品製造のための材料及び部品等の製造費用、販売費及び一般管理費等の運転資金です。
ⅱ)資金の源泉
当社グループは、営業活動によるキャッシュ・フローによって得られた資金の活用及び、金融機関からの借入による資金調達を行なっています。
ⅲ)流動性
当社グループは、引き続き営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入による資金調達により、事業の拡大に必要な資金を確保できるものと考えています。
当社グループの資金管理については、日本国内においては、当社が国内子会社を対象とした資金集中管理を実施し、資金効率の向上を図っています
(4)経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下、「日本基準」。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりです。
ⅰ)のれんの償却
日本基準において、のれんの償却についてはその効果の及ぶ期間を見積もり、その期間で償却することとしていましたが、IFRSでは移行日以降の償却を停止しています。この結果、のれん償却額(販売費及び一般管理費)が3,417百万円減少しています。
ⅱ)表示方法の変更
日本基準では営業外収益、営業外費用、特別利益及び特別損失に表示していた項目を、IFRSでは財務関連項目を金融収益、金融費用に、その他の項目についてはその他の収益、その他の費用又は持分法による投資利益に表示しています。