四半期報告書-第102期第3四半期(平成27年10月1日-平成27年12月31日)

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2016/02/10 10:33
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 経営成績の分析
当第3四半期連結累計期間における国内経済は、為替相場の円安や原油安が定着し、企業収益は緩やかに回復する中、設備投資も底堅く推移し、海外経済におきましては、米国では雇用情勢の改善により個人消費が堅調で景気の安定が持続しておりますが、中国経済の成長鈍化や新興国の景気減速など先行き不透明な状況にあります。
こうした状況の中、当第3四半期連結累計期間は、バルブ事業では、国内市場向け及び海外市場向けともに増収となり、伸銅品事業においても販売量の増加により増収となりました。一方、フィットネス事業を行う子会社株式を平成26年10月に外部に譲渡し、同社が連結対象から外れたことにより、その他の売上は大幅に減少しておりますが、売上高の総額は前年同期比2.0%増の882億42百万円となりました。
損益面では、営業利益は、バルブ事業では増益となりましたが、伸銅品事業の収益悪化に加えフィットネス事業の連結離脱などもあり、前年同期比2.0%減の54億22百万円となりました。経常利益は、為替差益が減少したことにより、前年同期比7.3%減の53億81百万円となりました。なお、親会社株主に帰属する四半期純利益につきましては、前年同期においてはフィットネス事業子会社株式の譲渡益があったことにより、前年同期比31.2%減の38億円となりました。
バルブ事業では、平成27年11月にブラジルのバルブメーカーMGA社の持分を取得するなど、新規市場の開拓に取り組んでいるほか、平成27年6月30日に株式会社キッツジーアンドアイの保険事業を外部保険会社に売却し、また、平成27年7月1日に伸銅品事業会社で伸銅加工製品を製造する北東技研工業株式会社を譲受けるなど基幹事業へ経営資源の集中を進めております。
セグメントの業績は、次の通りであります。
① バルブ事業
バルブ事業の外部売上高は、国内市場では、建築設備向けにおける流通在庫調整の影響はありましたが、半導体製造設備向けで大幅増収となったことなどにより増収となりました。海外市場においても、アジア向けで増収となる中、為替が円安で推移したことで北米向けも増収となり、バルブ事業全体の売上高は、前年同期比5.8%増の697億47百万円となりました。営業利益は、システム開発に係るソフトウェア関連費用やM&A関連費用などの一般管理コストが増加したものの、半導体製造設備向けでの増収や生産コスト削減の効果により、前年同期比7.5%増の76億87百万円となりました。
② 伸銅品事業
伸銅品事業の外部売上高は、第2四半期より北東技研工業が連結対象となったことに加え、販売量の増加もあり前年同期比4.0%増の159億62百万円となりました。しかしながら、営業損益は、銅相場の下落による売価下落に原価低減が追いつかず収益が悪化したため76百万円の営業損失(前年同期は2億43百万円の営業利益)となりました。
③ その他
ホテル事業においてサービスエリア関連売上が増加しましたが、前期中におけるフィットネス事業の連結離脱により売上、利益とも大幅に減少したため、売上高は前年同期比51.9%減の25億32百万円となり、営業利益は前年同期比45.4%減の1億69百万円となりました。
(2) 財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末の資産につきましては、現金及び預金や売掛債権が減少しましたが、M&Aにより新たに2社が連結加入したことなどに伴い有形固定資産やのれんを含む無形固定資産が増加し、前連結会計年度末に比べ4億40百万円増加の1,162億30百万円となりました。負債につきましては、流動負債において買掛金の減少や未払法人税等の減少のほか、第2回無担保公募社債60億円の償還により前期末比99億83百万円減少する一方、固定負債は第3回債100億円の発行により前期末比94億79百万円増加し、負債合計は前連結会計年度末に比べ5億3百万円減少の397億93百万円となりました。
当第3四半期連結会計期間末の純資産につきましては、為替換算調整勘定が14億46百万円減少しましたが親会社株主に帰属する四半期純利益38億円などにより、前連結会計年度末に比べ9億44百万円増加し764億37百万円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ18億47百万円減の107億27百万円となりました。
当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
税金等調整前四半期純利益は56億31百万円、減価償却費は29億15百万円となったほか、売上債権の減少などにより、営業活動によるキャッシュ・フローは61億68百万円の資金の増加(前年同期は52億90百万円の増加)となりました。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
バルブ事業を中心に32億8百万円の設備投資を行ったほか、ブラジル企業の買収などにより連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出37億34百万円があり、投資活動によるキャッシュ・フローは71億99百万円の資金の減少(前年同期は12億61百万円の増加)となりました。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
長期借入金の返済24億58百万円、短期借入金の返済4億99百万円、社債の償還63億25百万円、配当金の支払い14億6百万円、自己株式の取得55百万円などを行いましたが、第3回無担保公募社債100億円の発行を行ったことなどにより、財務活動によるキャッシュ・フローは6億96百万円の資金の減少(前年同期は45億24百万円の減少)となりました。
(注) 当社では短期の運転資金需要の発生に備え、当社取引銀行との間で総額40億円のコミットメントライン契約を締結しております。なお、当第3四半期連結会計期間末における当該借入金の残高はありません。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、16億10百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
① 経営成績に重要な影響を与える要因
海外の生産拠点及び販売地域における情勢の変化が製品・部品供給、販売等に影響を及ぼす可能性があります。また、国内バルブ売上が民間設備投資に左右される傾向があること、ならびに海外生産品の輸入価格が為替相場の変動を受けるほか、各種金属素材市況の変動が材料調達や販売価格へ影響を与える要因となっております。
② 経営戦略の現状と見通し
当社は、「真のグローバル化を実現し、企業価値を最大化すること」、そして「強くて良い会社を実現すること」を目指すべく、2020年度末を目標とする長期経営計画「KITZ Global Vision 2020」及び2015年度までの「中期経営計画」を策定しております。経営戦略としては、バルブ・流体周辺事業及び伸銅品事業をキッツグループの基幹事業と定め、世界市場に目を向けた事業展開を進めるものであり、2020年度の連結業績目標を、売上高2,500億円、営業利益200億円、海外売上高比率50%としております。
バルブ事業では、国内市場においては、ターゲットとした市場・エリアでシェアNo.1を目指すとともに海外市場においては、真のグローバル化を実現させグローバルトップ3を狙ってまいります。
また、伸銅品事業では、グローバル展開を視野に徹底した効率化と新素材・新事業の開発により、付加価値の拡大を図ってまいります。
「中期経営計画」では、当該計画に基づく諸政策について、グループで目標達成に向け推進してまいります。
(7) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フロー
当第3四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは61億68百万円の収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得32億8百万円や、子会社株式の取得37億34百万円により71億99百万円の支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の発行による収入103億38百万円、長期借入金4億50百万円の資金調達はありましたが、社債の償還による支出63億25百万円、長期借入金の返済による支出24億58百万円、短期借入金4億99百万円の返済や、配当金の支払14億6百万円などにより、6億96百万円の支出となりました。
上記の結果、第3四半期末における現金及び現金同等物の残高は107億27百万円となり、前連結会計年度末に比べ18億47百万円の減少となりました。
② 資金調達
当社グループは、グループ全体の資金を包括して管理するシステム(キャッシュ・マネジメント・システム)により資金効率を最大化するとともに、主要取引銀行とコミットメントライン契約を締結しており、現在必要とされる資金の水準を十分に満たす流動性を保持しております。
(8) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めております。平成22年5月に策定いたしました「KITZ Global Vision 2020」の基本戦略に沿って長期経営計画の最終年度目標を達成するための諸施策を実行いたします。