四半期報告書-第181期第3四半期(平成30年10月1日-平成30年12月31日)

【提出】
2019/01/31 10:27
【資料】
PDFをみる
【項目】
14項目
※第1四半期連結会計期間から、セグメントを変更しています。
また、前年同期との比較数値については、前年同期の数値を新たなセグメントに組み替えて表示しています。
(1)財政状態および経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間の世界経済は、先進国は米国を中心に堅調に推移し、新興国も総じて底堅く推移しましたが、米国の金融政策や通商政策に対する懸念の高まり等から金融市場は不安定な状況が続きました。
日本経済は、相次ぐ自然災害による影響で第2四半期連結会計期間の成長率が一時的に減速しましたが、総じて緩やかな改善基調が続きました。
このような事業環境のもと、当第3四半期連結累計期間の売上収益は、2兆347億円と前年同期に比べ634億円(3.2%)増加しました。これは、エンタープライズ事業やパブリック事業が増収となったことなどによるものです。
収益面につきましては、営業損益は、前年同期に比べ24億円改善し、167億円の利益となりました。これは、特別転進支援施策の実施に伴う事業構造改善費用を計上したものの、売上収益が増加したことなどによるものです。
税引前四半期損益は、営業損益が改善したものの、前年同期に関連会社株式売却益を計上した
ことなどにより、前年同期に比べ138億円悪化し、265億円の利益となりました。
親会社の所有者に帰属する四半期損益は、税引前四半期損益が悪化したことなどにより、前年同期に比べ99億円悪化し、77億円の利益となりました。
セグメント別の業績は以下のとおりです。なお、セグメント別の売上収益については、外部顧客への売上収益を記載しています。
a.パブリック事業
パブリック事業の売上収益は、航空宇宙・防衛向けが増加したことなどにより、前年同期に比べ224億円(3.6%)増加し、6,481億円となりました。
営業損益は、事業構造改善費用を計上したものの、売上の増加や不採算案件の減少などにより、前年同期に比べ77億円改善し、278億円の利益となりました。
b.エンタープライズ事業
エンタープライズ事業の売上収益は、製造業向け、流通・サービス業向け、金融業向けいずれも増加したことなどにより、前年同期に比べ265億円(9.1%)増加し、3,177億円となりました。
営業損益は、AI(人工知能)・IoT(Internet of Things)関連の投資費用の増加に加え、事業構造改善費用を計上したものの、システム構築サービスの増益などにより、前年同期に比べ
1億円改善し、252億円の利益となりました。
c.ネットワークサービス事業
ネットワークサービス事業の売上収益は、ITサービスが減少したものの、ネットワークインフラが増加したことなどにより、前年同期に比べ21億円(0.8%)増加し、2,651億円となりました。
営業損益は、ネットワークインフラの収益性が改善したものの、ITサービスの特定プロジェクトにおいて損失を計上したことや事業構造改善費用を計上したことなどにより、前年同期に比べ26億円悪化し、61億円の利益となりました。
d.システムプラットフォーム事業
システムプラットフォーム事業の売上収益は、企業向けパソコンが増加したことなどにより、前年同期に比べ33億円(0.9%)増加し、3,756億円となりました。
営業損益は、売上が増加したものの、事業構造改善費用を計上したことなどにより、前年同期に比べ101億円悪化し、45億円の利益となりました。
e.グローバル事業
グローバル事業の売上収益は、ディスプレイや海洋システムが減少したものの、セーフティが増加したことなどにより、前年同期に比べ13億円(0.4%)増加し、3,204億円となりました。
営業損益は、事業構造改善費用を計上したものの、モバイルバックホールやセーフティの収益性改善などにより、前年同期に比べ67億円改善し、98億円の損失となりました。
f.その他
その他の売上収益は、前年同期に比べ78億円(7.8%)増加し、1,078億円となりました。
営業損益は、前年同期に比べ100億円改善し、66億円の利益となりました。
財政状態につきましては、当第3四半期連結会計期間末の総資産は、2兆7,608億円と前年度末に比べ605億円減少しました。流動資産は、棚卸資産の増加があったものの、営業債権及びその他の債権の回収による減少、資材費の支払等による現金及び現金同等物の減少などにより、前年度末に比べ707億円減少し、1兆5,696億円となりました。非流動資産は、株価の下落によりその他の金融資産が減少した一方で、その他の非流動資産の増加などにより、前年度末に比べ102億円増加し、1兆1,912億円となりました。
負債は、1兆7,252億円と前年度末に比べ419億円減少しました。これは、賞与の支払に伴う未払費用の減少などによるものです。有利子負債残高は、前年度末に比べ117億円増加の5,324億円となり、デット・エクイティ・レシオは0.62倍(前年度末比0.03ポイント悪化)となりました。また、有利子負債残高から現金及び現金同等物の残高を控除した有利子負債残高(NETベース)は、前年度末に比べ897億円増加の2,644億円となり、デット・エクイティ・レシオ(NETベース)は、0.31倍(前年度末比0.11ポイント悪化)となりました。
資本は、親会社の所有者に帰属する四半期利益を計上したものの、配当金の支払などにより、前年度末に比べ186億円減少し、1兆357億円となりました。
この結果、親会社の所有者に帰属する持分は8,565億円となり、親会社所有者帰属持分比率は31.0%(前年度末比0.2ポイント悪化)となりました
(2)キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、266億円の支出で、前年同期に比べ467億円悪化しました。これは、税引前四半期損益が悪化したことに加え、売上収益の増加に伴う売上債権の増加があったことなどによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、364億円の支出で、前年同期に比べ544億円支出額が増加しました。これは、前年同期に持分法で会計処理されている投資の売却による収入を計上したことなどによるものです。
この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローは、630億円の支出となり、前年同期に比べ1,011億円悪化しました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の発行による収入があったものの、長期借入金の返済などにより、95億円の支出となりました。
上記の結果、現金及び現金同等物は、2,680億円となり、前年度末に比べ780億円減少しました。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、NECグループが定めた経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
① 対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、NECグループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
② 株式会社の支配に関する基本方針
当社は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者のありかたは、株主が最終的に決定するものと考えています。一方、経営支配権の取得を目的とする当社株式の大量買付行為や買収提案があった場合には、買収提案に応じるか否かについての株主の判断のため、買収提案者に対して対価等の条件の妥当性や買付行為がNECグループの経営方針や事業計画等に与える影響などに関する適切な情報の提供を求めるとともに、それが当社の企業価値および株主共同の利益の向上に寄与するものであるかどうかについて評価、検討し、速やかに当社の見解を示すことが取締役会の責任であると考えています。また、状況に応じて、買収提案者との交渉や株主への代替案の提示を行うことも必要であると考えます。
当社は、現在、買収提案者が出現した場合の対応方針としての買収防衛策をあらかじめ定めていませんが、買収提案があった場合に、買収提案者から適切な情報が得られなかったとき、株主が買収提案について判断をするための十分な時間が与えられていないとき、または買付行為が当社の企業価値および株主共同の利益の向上に反すると判断したときには、その時点において実行可能で、かつ株主に受け入れられる合理的な対抗策を直ちに決定し、実施する予定です。
(5)研究開発活動
NECグループは、ICTを活用して社会インフラを高度化する「社会ソリューション事業」に注力することにより、人が豊かに生きる安全・安心・効率・公平な社会の実現を目指しています。その実現に向けて中央研究所は、社会ソリューション事業の軸となる既存事業を発展させる技術や、社会に新たな価値を提供しうる将来事業向けの先進的な技術を創出し、かかる技術の事業化を加速することで、NECグループの持続的な発展を支えていきます。
具体的には、ビッグデータの解析により新たな価値を創造する「データサイエンス」の技術領域と、これを効率的かつセキュアに支える「ICTプラットフォーム」の技術領域を中心に研究開発を推進しています。
「データサイエンス」の技術領域では、長年にわたる技術の蓄積と事業実績、世界トップレベルの性能を持つAI(人工知能)の技術群や、IoT(Internet of Things)基盤技術を活用し、実世界の見える化をはかることで従来よりも広く深い情報の収集・分析を行い、複雑化・不確実化する社会システムの将来を予測することによって、社会システム全体のデジタルトランスフォーメーションに貢献していきます。
「ICTプラットフォーム」の技術領域では、コンピューティングやネットワーキング、セキュリティの分野において、デジタルトランスフォーメーションの深化に対応するユニークな技術を発展させることにより、即時性・遠隔性・堅牢性とダイナミズムを実現するための研究開発を進めています。
また、グローバルに研究成果を創出するため、北米、欧州、シンガポール、インド、中国にも研究開発拠点を設置し、それぞれの地の利を生かした研究開発を推進し、その知見をグローバルな共通知とするとともに、顧客や世界最先端の技術を有する研究パートナーとのオープンイノベーションを通じて、より大きな社会価値を創出することに挑戦しています。
なお、NECグループは、「2020中期経営計画」のもと、「実行力の改革」に向けて事業開発力の強化に取り組んでおり、競争力のある技術の収益化を進めています。これを具現化する取り組みとして、2018年4月に、NECグループの最先端AI技術の開発リーダーを創業者として、データ分析プロセスをAIによって自動化するソフトウェアを開発し、グローバルに販売するドットデータ社を米国に設立しました。同社は、外部資金調達などを通じて迅速な事業拡大を目指します。また、同年7月に、コア技術のグローバルな事業化を加速するインキュベーションを担うNECエックス社を米国に設立しました。
当第3四半期連結累計期間におけるNECグループの主な研究開発活動の成果は、次のとおりです。
・発生確率が極めて低いため製品の設計段階での発見が困難な複数の不具合を、AIが学習しながらシミュレーションを繰り返して効率的に短時間で見つけ出す「希少事象発見技術」を開発(エンタープライズ事業)
(注)本開発は、国立研究開発法人産業技術総合研究所と共同で行いました。
・従来比2倍のサーバの冷却効率を実現し、データセンター全体の消費電力を最大20%削減することができる、データセンター向け冷却技術を開発(システムプラットフォーム事業)
・都市部における膨大な数の道路・ビル等の老朽化を診断する検査手法として、2つの衛星レーダによる変位解析を統合し、構造物ごとに水平垂直両方向の2次元変位を高精度に解析する「2次元微小変位計測技術」を開発(パブリック事業)
・5G(第5世代移動通信システム)の実用化に向けて、多素子アンテナを搭載した無線ユニットの体積を半分程度に小型化することを可能とする、アンテナからの放熱技術を開発(ネットワークサービス事業)
・プラントなどの社会インフラシステムに設置されたセンサなどから収集・蓄積されたデータを用いて、迅速かつ高精度にシステムの状態を判別し、異常検知、障害診断、故障予測を実現する「時系列データ モデルフリー分析技術」を開発(エンタープライズ事業、システムプラットフォーム事業)
・携帯通信機器、車載機器、ネットワーク家電など、ますます小型化・多様化の進む幅広い無線通信機器の基板表面に実装可能な世界最小クラスの高性能アンテナを開発(ネットワークサービス事業、システムプラットフォーム事業)
(注)本開発は、日本航空電子工業㈱と共同で行いました。
当第3四半期連結累計期間におけるNECグループ全体の研究開発費は、74,903百万円であり、セグメントごとの内訳は、次のとおりです。
パブリック事業 6,892百万円
エンタープライズ事業 3,509百万円
ネットワークサービス事業 12,610百万円
システムプラットフォーム事業 20,106百万円
グローバル事業 16,347百万円
その他 15,439百万円