四半期報告書-第183期第1四半期(令和2年4月1日-令和2年6月30日)
※当第1四半期連結会計期間から、セグメントを変更しています。
また、前年同期との比較数値については、前年同期の数値を新たなセグメントに組み替えて表示しています。
なお、「調整後営業損益」は、営業損益から、買収により認識した無形資産の償却費およびM&A関連費用(ファイナンシャルアドバイザリー費用等)を控除し、買収会社の全社への貢献を明確化した、本源的な事業の業績を測る利益指標です。また、「親会社の所有者に帰属する調整後四半期損益」は、四半期損益から営業損益に係る調整項目およびこれらに係る税金相当・非支配持分相当を控除した、親会社所有者に帰属する本源的な事業の業績を測る利益指標です。
(1)財政状態および経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間の経済環境は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)(以下「新型コロナウイルス感染症」という。)の世界的な流行に伴う外出制限や営業・生産活動の停止等の影響から、世界経済、日本経済ともに大きく悪化しました。
このような事業環境のもと、当第1四半期連結累計期間の売上収益は、5,877億円と前年同期に比べ661億円(10.1%)減少しました。これは、エンタープライズ事業やグローバル事業、社会公共事業が減収となったことなどによるものです。
収益面につきましては、営業損益は、前年同期に比べ137億円悪化し、103億円の損失となりました。これは、費用の効率化により販売費及び一般管理費が改善したことに加え、子会社株式売却益の計上によるその他の損益の改善があったものの、売上収益が減少したことなどによるものです。また、調整後営業損益は、前年同期に比べ134億円悪化し、58億円の損失となりました。
税引前四半期損益は、営業損益が悪化したことなどにより、前年同期に比べ134億円悪化し、96億円の損失となりました。
親会社の所有者に帰属する四半期損益は、税引前四半期損益が悪化したことなどにより、前年同期に比べ83億円悪化し、50億円の損失となりました。また、親会社の所有者に帰属する調整後四半期損益は、前年同期に比べ81億円悪化し、23億円の損失となりました。
セグメント別の業績は以下のとおりです。なお、セグメント別の売上収益については、外部顧客への売上収益を記載しています。
a.社会公共事業
社会公共事業の売上収益は、医療向けや公共向けが減少したことに加え、企業向けパソコンの更新需要の一巡などにより、前年同期に比べ124億円(14.2%)減少し、748億円となりました。
調整後営業損益は、売上が減少したことなどにより、前年同期に比べ29億円悪化し、33億円の損失となりました。
b.社会基盤事業
社会基盤事業の売上収益は、航空宇宙・防衛向けが減少したことに加え、連結子会社の売上が減少したことなどにより、前年同期に比べ78億円(6.0%)減少し、1,227億円となりました。
調整後営業損益は、主に連結子会社が減益となったことなどにより、前年同期に比べ57億円悪化し、18億円の利益となりました。
c.エンタープライズ事業
エンタープライズ事業の売上収益は、流通・サービス業向けや金融業向けで前年同期にあった大型案件の売上が減少したことに加え、企業向けパソコンの更新需要の一巡などにより、前年同期に比べ226億円(16.4%)減少し、1,150億円となりました。
調整後営業損益は、売上が減少したことなどにより、前年同期に比べ56億円悪化し、27億円の利益となりました。
d.ネットワークサービス事業
ネットワークサービス事業の売上収益は、連結子会社を中心に増加したことなどにより、前年同期に比べ42億円(4.5%)増加し、990億円となりました。
調整後営業損益は、売上が増加したものの、5G関連の投資費用の増加などにより、前年同期に比べ20億円悪化し、21億円の損失となりました。
e.グローバル事業
グローバル事業の売上収益は、海洋システムが増加したものの、ディスプレイやワイヤレスバックホールなどが減少したことに加え、買収時から見込んでいたケーエムディ社における一部の事業の終息などにより、前年同期に比べ172億円(15.1%)減少し、970億円となりました。
調整後営業損益は、売上が減少したことなどにより、前年同期に比べ25億円悪化し、30億円の損失となりました。
f.その他
その他の売上収益は、前年同期に比べ103億円(11.6%)減少し、791億円となりました。
調整後営業損益は、前年同期に比べ6億円悪化し、43億円の利益となりました。
財政状態につきましては、当第1四半期連結会計期間末の総資産は、2兆9,697億円と前年度末に比べ1,536億円減少しました。流動資産は、棚卸資産の増加があったものの、売上債権の回収などにより、前年度末に比べ1,806億円減少し、1兆5,183億円となりました。非流動資産は、株式の時価上昇に伴うその他の金融資産の増加などにより、前年度末に比べ270億円増加し、1兆4,514億円となりました。
負債は、1兆8,575億円と前年度末に比べ1,513億円減少しました。これは、主に資材費の支払等による営業債務及びその他の債務の減少や賞与の支払等による未払費用の減少などによるものです。有利子負債残高は、前年度末に比べ123億円減少の6,631億円となり、デット・エクイティ・レシオは0.73倍(前年度末比0.01ポイント改善)となりました。また、有利子負債残高から現金及び現金同等物の残高を控除した有利子負債残高(NETベース)は、前年度末に比べ586億円減少の2,575億円となり、デット・エクイティ・レシオ(NETベース)は、0.28倍(前年度末比0.07ポイント改善)となりました。
資本は、株式の時価上昇に伴うその他の資本の構成要素の増加があったものの、四半期損失を計上したことに加え、配当金の支払があったことなどにより、前年度末に比べ23億円減少し、1兆1,122億円となりました。
この結果、親会社の所有者に帰属する持分は9,123億円となり、親会社所有者帰属持分比率は30.7%(前年度末比1.6ポイント改善)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、989億円の収入で、運転資本が改善したものの、税引前四半期損益が悪化したことなどにより、ほぼ前年同期並みとなりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、147億円の支出で、ほぼ前年同期並みとなりました。
この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローは、842億円の収入となり、ほぼ前年同期並みとなりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の発行による収入があったものの、社債の償還や配当金の支払に加え、リース負債の返済による支出などにより、397億円の支出となりました。
上記の結果、現金及び現金同等物は、4,056億円となり、前年度末に比べ463億円増加しました。
(3)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、NECグループが定めた経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、NECグループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるNECグループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当第1四半期連結累計期間におけるNECグループの主な研究開発活動の成果は、次のとおりです。
・新型コロナウイルスの感染拡大の防止に向け、駅や空港といった公共施設や店舗など人が集まる場所に設置されたカメラの映像を解析し、個人を特定しないかたちで人の密集度合いをリアルタイムに可視化するソーシャルディスタンシング判定技術を開発(グローバル事業)
・新型コロナウイルスのワクチン開発を支援する取り組みとして、個別化がん免疫療法の開発で培ったAI予測技術を適用し、新型コロナウイルスの遺伝子解析を行い、その解析結果を公開(その他)
当第1四半期連結累計期間におけるNECグループ全体の研究開発費は、24,422百万円であり、セグメントごとの内訳は、次のとおりです。
社会公共事業 2,198百万円
社会基盤事業 2,523百万円
エンタープライズ事業 3,283百万円
ネットワークサービス事業 7,052百万円
グローバル事業 4,072百万円
その他 5,294百万円