有価証券報告書-第113期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/26 11:12
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事業等のリスク

当社グループでは、リスクを的確に把握し経営への影響の低減を図る為、全体のリスクマネジメントを推進する「グローバル&グループ リスクマネジメント委員会」を設置しています。当社グループの経営幹部の中から任命される全社リスク管理担当役員を委員長とし、メンバーは本社、カンパニー、地域統括会社の「グローバル&グループ リスクマネジメント委員会委員」で構成されています。年1回、事業活動に影響を与える可能性のあるリスクを洗い出し、共通の基準(経営への影響度と発生可能性等)で評価を行い、対策すべきリスクの優先順位を決定するというリスクアセスメントを実施しています。これに基づき重要と判断したリスクは、当該リスクを担当する委員が中心となって、対策を立案、実行し、対策状況をモニタリングし、継続的に改善する活動を実施しています。グローバル&グループ リスクマネジメント委員会は重要リスク項目並びに対策、モニタリング結果を定期的に取締役会に報告しています。
事業活動に影響を与える可能性のあるリスクのうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しています。ただし、これらは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。当社グループの事業、業績及び財政状態は、かかるリスク要因のいずれによっても著しい悪影響を受ける可能性があります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識しているリスクは、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日(2020年6月26日)現在において判断したものです。
(1) 経済環境に関するリスク
経済状況の変動
当社グループの製品・サービスに対する需要は、それらの販売を行っている国または地域の経済状況の影響を受けるため、世界の市場における景気後退及びこれに伴う需要の減少により、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。2020年度の世界経済は、各国の政治・金融情勢、保護主義の広がり、新型コロナウイルス感染症の状況等において不確実性が高く、先行きも見通しにくくなっています。日本でも、こうした国際経済の影響を少なからず受けるとみられます。なお、2020年度第1四半期における新型コロナウイルス感染症の拡大の影響については、需要面では、自動車・航空業界等の市況低迷、各国の外出制限等により、影響が中国以外にも拡大しています。また、供給面では、中国でのサプライチェーン課題は解消しつつありますが、アジア等でロックダウンによる工場停止の影響が生じています。
セグメント別に、アプライアンスの需要面では、外出制限・ロックダウン等により、主に、国内・欧州・アジアで需要が減少し、供給面では、マレーシア、インド等の工場の停止により、エアコンやテレビ等に影響が生じています。
ライフソリューションズの需要面では、国内は市況低迷・工事延期等の影響があり、海外(インド等)はロックダウンに伴い需要が減少し、供給面では、インド、マレーシア、メキシコの工場の停止により、配線器具、換気扇等に影響が生じています。
コネクティッドソリューションズの需要面では、航空業界や自動車業界の市況低迷、イベント中止に伴いエンターテインメント業界で需要が減少し、供給面では、アジアでのロックダウンによるサプライヤーからの部品調達難により、生産に影響が生じています。
オートモーティブの需要面では、ロックダウン等に伴う、顧客の工場停止による需要急減が生じ、供給面では、需要急減による車載機器・円筒形電池の生産・稼働への影響や、車載機器で部品調達難の影響も生じています。
インダストリアルソリューションズの需要面では、産業向けの影響は限定的も、車載向けの需要が減少し、供給面では、ロックダウンや部品調達難に伴う、アジア等の工場の停止により、モーターやコンデンサに影響が生じています。
2020年度第2四半期以降は、感染状況に応じて、各国における外出制限が徐々に緩和され、経済活動が段階的に回復してくる可能性はありますが、自動車・航空業界等における需要面での影響は継続する可能性があります。これらの状況に対処するため、新たに事業構造改革の実施が必要となった場合、それによる費用増大等の可能性があります。また、世界経済が想定以上に悪化する場合などには、当社グループを取り巻く経営環境が現在の予想よりも厳しくなる可能性もあり、その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。そのような状況を踏まえ、中期戦略をベースとしたポートフォリオマネジメントと経営体質強化を継続しています。基幹事業を中心にリソースを集中して利益成長を目指し、共創事業による競争力の向上などにより収益性改善を目指しています。加えて、効率的かつ競争力のある経営体質を実現するため、低収益事業への抜本的な対策等を継続して実行し、固定費の削減も進めています。
為替相場の変動
外貨建てで取引されている製品・サービスなどのコスト及び価格は為替相場の変動により影響を受けるため、それにより、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。加えて、海外の現地通貨建ての資産・負債等は、連結財務諸表作成の際には円換算されるため、為替相場の変動による影響を受けます。当社グループでは総じて、現地通貨に対する円高は業績に悪影響を及ぼし、円安は業績に好影響を及ぼしますが、一部通貨に対する円安は、輸入商品価格の上昇を通じて、事業によっては業績に悪影響を及ぼすこともあります。為替相場に過度な変動があった場合、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。これらのリスクに対して、事業活動を通じて得た外貨を同一外貨建ての支出に充てる「為替マリー」や、将来における外貨の売却価格もしくは購入価格と数量を事前に契約しておく「為替予約取引」、消費地に近い地域で製品の生産を行う「地産地消型製造」などにより、経営への影響の軽減を図っています。
金利の変動
金利の変動により支払利息、受取利息あるいは金融資産及び負債の価値が影響を受けるため、それにより、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。また当社グループは事業資金等を円及び他通貨での有利子負債等により調達しており、経済情勢や金融政策の変化等により金利が上昇した場合、資金調達コストが増加する可能性があり、それにより、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
資金調達環境の変化
当社グループは、事業資金等を社債・コマーシャルペーパーの発行等により調達しています。当社グループは、金融市場が不安定となり、または悪化した場合、あるいは格付機関による当社の信用格付の引下げ等の事態が生じた場合、必要な資金を必要な時期に適当と考える条件で調達できない等、資金調達が制約されるとともに、資金調達コストが増加する可能性があり、それにより、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。これらのリスクに対して、当社グループでは、事業収益力の強化や運転資本の圧縮等を通じて、事業からのキャッシュ・フロー創出力向上を図るとともに、保有資産の見直し等、バランスシートからの資金創出に継続的に取り組むなど、資金創出力の強化に努めています。また、複数の金融機関との間で総額7,000億円のコミットメントライン契約(注)を締結しており、現金及び現金同等物の残高とあわせて十分な流動性を確保することで経営への影響の軽減を図っています。
(注)コミットメントライン契約:金融機関との間で予め契約した期間・融資枠の範囲内で融資を受けることを可能とする契約
株式価値の下落
当社グループは、金融資産の一部として国内外の企業等の株式を保有していますが、株価下落等の株式価値の減少により、親会社の所有者に帰属する持分が減少する可能性があります。
(2) 当社グループの事業活動に関するリスク
競合他社との競争
当社グループは、広範多岐にわたる製品・サービスの開発・生産・販売を行っており、国際的な大企業から小規模ながら急成長中の専門企業まで、さまざまなタイプの企業と競合しています。当社グループは、戦略事業への投資を推進していますが、特定の事業に対する投資を、競合他社と同程度に、またはタイムリーに、場合によっては全く実施できない可能性もあります。また、競合他社がそれぞれの競合事業において当社グループよりも大きな財務力、技術力及びマーケティング資源を有している可能性があります。
製品価格の下落
当社グループは、国内外の市場において激しい競争にさらされており、当社グループにとって十分に利益を確保できる製品価格を設定することが困難な場合があります。当社グループはコスト削減、高付加価値商品の開発に取り組んでいますが、これらの企業努力を上回る価格下落圧力は、当社グループの利益の維持・確保に深刻な影響を与えるものであり、この影響は特に製品の需要が低迷した場合に顕著となります。BtoC(一般消費者向け)分野においては、新興国市場・低価格品への需要シフト等の市場構造変化が進むなか、デジタル家電機器をはじめとする当社グループの事業分野で製品価格が下落する可能性があります。他方、BtoB(企業向け)分野においては、依存度の高い特定の取引先からの企業努力を上回る価格下落圧力や製品需要の減少・設備投資圧力等により、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
国際的な事業活動における障害
当社グループは、海外市場での事業拡大を戦略のひとつとしていますが、海外では為替リスクに加え、政情不安(戦争・内乱・紛争・暴動・テロを含む)、経済動向の不確実性、宗教及び文化の相違、現地における労使関係等のリスクに直面する可能性があります。また、売掛金の回収や、取引相手との関係構築・拡大などの点で、海外での商慣習に関する障害に直面する可能性があります。さらに、投資規制、収益の本国送金に関する規制、現地産業の国有化、輸出入規制や外国為替規制の変更、税率変更等を含む税制改正及び移転価格課税等の国際課税リスクといったさまざまな政治的、法的あるいはその他の障害に遭う可能性があります。輸出製品については、関税その他の障壁、あるいは輸送費用により、当社グループの製品の競争力が弱まる可能性があります。また海外事業の拡大においては、投資利益の実現までに長い期間と多額の資金を要することがあり、投資による費用の増加が収益の増加を上回る可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症拡大による、各国の緊急事態宣言、ロックダウンや外出制限等は、既に経済状況の変動リスクに記載しましたように、当社の事業に影響を及ぼしました。各国で徐々に制限が緩和されつつありますが、今後の感染拡大によっては再び経済活動の制限が強化され、当社の事業、業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
技術革新・業界標準における競争
当社グループは、新製品やサービスをタイムリーに開発・提供していく必要があります。当社グループの主要事業においては、BtoC(一般消費者向け)分野及びBtoB(企業向け)分野のいずれにおいても技術革新が重要な競争要因になっており、当社グループが将来の市場ニーズを把握しきれず、これに応えるための新技術を正しく予想し開発できない場合や、当社グループが開発・提供した技術が業界において主流とならず、競合他社が開発した技術が業界標準となった場合には、新しい市場での競争力を失う可能性があります。
有能な人材確保における競争
当社グループの将来の成功は、研究・開発・技術・製造、マネジメント分野などでの優秀な人材の確保に大きく依存しています。しかし、各分野での有能な人材は限られており、日本の生産人口は減少傾向にあるため、人材確保における競争は高まっています。こうした状況下、人材確保のための魅力的な企業文化の継続と新たな創出が必要であり、在籍している従業員の流出の防止や有能な人材の獲得ができない場合は、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
他社との提携・企業買収等の成否
当社グループは、新しい製品やサービスの提供等を目指し、他社との業務提携や合弁会社設立、他社への戦略投資などの戦略的提携に加え、他社の買収などを行っており、これら戦略的提携や企業買収の重要性は増加傾向にあります。戦略的提携については、相手先とのコラボレーションが円滑に進まない可能性や、当初期待した効果が得られない可能性、投資の全部または一部が回収できない可能性があります。また、事業展開の過程で相手先が当社グループの利益に反する決定を行う可能性があります。加えて、これらの相手先が事業戦略を変更した場合などには、当社グループは提携関係を維持することが困難になる可能性があります。企業買収については、買収にかかる多額の費用が発生する可能性や、買収後の事業統合・再編等にあたり、期待した成果が十分に得られない、または予期しない損失を被る可能性があります。
事業再編の成否
当社グループは、多くの子会社及び関連会社等を有していますが、経営の効率化と競争力の強化のため、グループ事業体制を再編(他社への事業または株式の譲渡や、グループ内の組織または拠点再編などを含む)することがあります。しかし、現在及び将来における再編において、当初期待した成果が十分に得られない可能性があります。
原材料等の供給不足・供給価格の高騰
当社グループの製造事業にとって、十分な品質の原材料、部品、機器、サービス等をタイムリーに必要なだけ入手することが不可欠であり、当社グループは、信頼のおける供給業者を選定しています。しかし、災害・事故や供給業者の倒産などにより、供給が不足または中断した場合や業界内で需要が増加した場合には、供給業者の代替や追加、他の部品への変更が困難な場合があります。それにより当社グループの事業が悪影響を受ける可能性があります。なお、新型コロナウィルス感染症への対応については、流行拡大に伴い調査範囲を拡大し、2次購入先も含め影響のある購入先、品目を徹底的に調査し対策を実施しました。その中で、課題のある購入先や品目を洗い出し、代替購入先、代替拠点の確保に取り組んで参りました。その結果、当初は一部部品の供給難に陥りましたが、現在ではほぼ供給の継続が実現出来ています。また、当社グループと供給業者は、契約によりその供給価格を決定していますが、需給環境の変化・投資資金の流入などにより鉄鋼・樹脂・非鉄金属などの原材料及び部品価格が高騰する可能性があります。原材料や部品の種類によっては特定の業者しか供給できないものもあり、この場合には当社グループの生産活動等が大きな悪影響を受ける可能性があります。
顧客の資金状況・財政状態
当社グループの顧客のなかには、代金後払いの条件で当社グループより製品・サービスを購入している場合があります。当社グループが多額の売掛債権を有する顧客の財政状態が悪化し、期限どおりの支払いを得られない場合、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
(3) 将来の見通し等の未達リスク
当社グループは、2019年度からスタートした中期戦略の実現に向けた具体施策を推進していきます。これらの戦略は、適切と考えられる情報や分析等に基づき策定しており、今後、事業環境の悪化その他の要因により、期待される成果の実現に至らない可能性があります。中期戦略の推進にあたっては、世界経済や事業環境の動向を踏まえ、定期的な進捗管理と課題の見極め、適時適切な対策の検討・実践などを通じて、未達リスクの最小化に努めています。
(4) 法的規制・訴訟に関するリスク
製造物責任や補償請求による直接・間接費用の発生
製品の欠陥による品質問題(不安全事故等)が発生した場合、欠陥に起因する損害(間接損害を含む)に対して、当社グループは生産物賠償責任保険で十分補償しきれない賠償責任を負担する可能性や多大な対策費用を負担する可能性があります。また、当該問題が生じることにより、当社グループのイメージ・評判の低下、顧客の流出等を惹起し、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
知的財産権に関連した損害
当社グループは、自らが出願する特許に対して権利が付与されない場合もあり、知的財産権による十分な保護が得られない可能性があります。加えて、国によっては知的財産権の一部またはすべてが保護されない場合があります。また、第三者が保有している知的財産権については、その技術を利用したい場合でも利用できないことや不利な条件で利用せざるをえないこともあり得ます。現状、第三者からのライセンスを受けて第三者の特許その他の知的財産権を使用しているものがありますが、将来使用できなくなったり、ライセンス条件が不利に変更されたりする可能性があります。加えて、当社グループが知的財産権に関し訴訟等を提起されたり、当社グループが自らの知的財産権保全のために訴訟等を提起しなければならない可能性があります。かかる訴訟等には、多額の費用と経営資源が費やされる可能性があり、また当社グループが第三者の知的財産権を侵害しているとの申し立てが認められた場合には、当社グループが重要な技術を利用できない可能性や多額の損害賠償責任を負う可能性があります。
会計基準・税制の変更等
当社グループに適用のある会計基準や税制の新たな導入・変更により、当社グループの業績や財政状態が悪影響を受ける可能性があります。また、税務申告における税務当局との見解の相違により、当社グループに予想以上の税負担が生じる可能性があります。
環境に関する規制や問題の発生
当社グループは、気候変動、資源、水、生物多様性、化学物質、廃棄物、製品リサイクル及び土壌・地下水・大気汚染などに関するさまざまな環境関連法令の適用を受けており、環境に関連する費用負担や賠償責任が発生する可能性があります。将来、環境に関する規制がより厳しくなり、有害物質等を除去する義務がさらに追加された場合や、CSRに対する意識の高まりなどから当社グループが環境問題への取組みを一層推進する場合には、法令違反による賠償やかかる取り組みへの支出により当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、事業の過程で、顧客等のプライバシーや信用に関する情報(顧客の個人情報を含む)を入手することや、他社等の機密情報を受け取ることがあります。また、顧客や他社等の情報以外に、当社自身の営業秘密(当社グループの技術情報等)を取り扱っています。これらの情報は、システムの不正アクセスやサイバー攻撃を含む意図的な行為や過失等により外部に流出する可能性があります。また、当社の製品やサービス、生産設備は、インターネットを利用するものが増加しており、当社として外部の脅威から守るためセキュリティ対策に取り組んでいますが、製品やサービスへのネットワークを介した予期せぬ侵入、不正操作などによる個人情報の漏洩、外部への情報流出、サービス停止、工程への影響などが発生する可能性があります。これらの事象が生じた場合には、それに起因して被害を受けた方に対して損害賠償責任を負ったり、多大な対策費用等が発生するほか、当社グループの事業やイメージが悪影響を受けたりする可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
その他の法的規制等による不利益及び法的責任
当社グループは、日本及び諸外国・地域の規制に従って事業を行っています。法規制には、商取引、独占禁止、知的財産権、製造物責任、環境保護、消費者保護、労使関係、金融取引、内部統制及び事業者への課税に関する法規制に加え、事業及び投資を行うために必要とされる政府の許認可、電気通信事業及び電気製品の安全性に関する法規制、国の安全保障に関する法規制、及び輸出入に関する法規制等があります。より厳格な法規制が導入されたり、当局の法令解釈が従来よりも厳しくなったりすることにより、技術的観点や経済的観点などから当社グループがこれらの法規制に従うことが困難となり、事業の継続が困難と判断される場合には、当社グループの事業は制限を受けることになります。また、これらの法規制等を順守するために当社グループの費用が増加する可能性があります。さらに、当社グループがこれらの法規制等に違反し、または法令遵守のための内部統制体制が不十分であったと当局が発見または判断した場合には、当社グループが、課徴金等の行政処分、刑事処分または損害賠償訴訟の対象となり、また当社グループの社会的評価が悪影響を受ける可能性があります。
(5) 災害・事故等に関するリスク
当社グループは、製造、販売、研究開発等の活動をグローバルに展開しており、世界中に拠点を有しています。地震、津波、洪水等の自然災害(気候変動によって発生するものも含む)や火災・爆発事故、戦争、テロ行為、感染症の流行などが発生した場合に、当社グループの拠点の従業員、設備、情報システム等が大きな損害を被り、その一部の操業が中断し、生産・出荷が遅延する可能性及び損害を被った設備等の修復費用が発生する可能性があります。加えて、これらの災害・事故等が、部品等の供給業者や製品納入先等といった当社グループのサプライチェーンにおいて発生した場合には、供給業者からの部品等の供給不足・中断、製品納入先における生産活動の休止または低下等により当社グループの生産活動・販売活動等が大きな悪影響を受ける可能性があります。特に、新型コロナウイルス感染症においては、従業員や関係者の感染防止の為、テレワークを推進しています。また、生産や出荷等の出社を要する業務においては、通勤時の安全確保や作業環境面における感染防止対策に万全を期していますが、職場内での感染により生産活動やその他業務を中断せざるを得なくなり、一部事業の継続に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 新型コロナウイルス感染症に関するリスク
当社グループは、自然災害や疫病など事業経営の継続に大きな影響を与える事象に備えて全社緊急対策規程を設けています。本規程に基づき、新型コロナウイルス感染症についてはWHOの緊急事態宣言を受け、2020年1月31日全社緊急対策本部を発足しました。また、これに合わせて、事業を運営している各カンパニーにおいても対策本部を設置し、各カンパニー対策本部が全社緊急対策本部と連携し対策にあたっています。特に従業員の健康維持と事業の継続の観点から重要事項に関し全社通達を行う等の対策を実施し、対策本部の各職能にて事業の安定継続に取り組んでいますが、既に個々のリスクに記載のとおり、様々なリスクが当社の事業に影響を及ぼす可能性があります。
(7) その他のリスク
退職給付に係る負債
当社グループは、一定の受給資格を満たす日本国内の従業員について外部積立による退職年金制度を設けています。当社及び一部の国内子会社は、確定給付年金制度から、各々の移行日以降の積立分(将来分)について確定拠出年金制度に移行しており、当社及び上述の国内子会社の一部は、2019年7月1日に、移行日以前の積立分(過去分)の一部についても確定給付年金制度から確定拠出年金制度へ移行していますが、移行日前の過去の積立分のうち、確定拠出年金制度に移行していない部分については、今後も金利の低下により確定給付制度債務に関する割引率を引き下げる必要が生じる可能性や、株価の下落により制度資産の公正価値の減少をもたらす可能性があり、その結果、退職給付に係る負債が増加し、親会社の所有者に帰属する持分が減少する可能性があります。
非金融資産の減損
当社グループは、有形固定資産、のれん、無形資産及び使用権資産など、多くの非金融資産を保有しています。非金融資産(棚卸資産及び繰延税金資産等を除く)については、当該資産または資金生成単位(以下、「当該資産」)の減損の兆候の有無を判定し、減損の兆候がある場合には、当該資産の回収可能価額を見積り、減損テストを実施しています。なお、のれん及び耐用年数を確定できない無形資産については、減損の兆候の有無にかかわらず、毎期減損テストを実施しています。減損テストの結果、当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を認識する可能性があります。なお、回収可能価額の見積りには、新型コロナウイルス感染症の影響に関する一定の仮定が含まれていますが、会計上の見積りの参考となる前例がなく、今後の広がり方や収束時期等について統一的な見解がないため、事後的な結果との間に乖離が生じる可能性があります。
繰延税金資産の認識
当社グループは、繰延税金資産について、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しています。認識された繰延税金資産については、期末日に見直しており、税務便益が実現する可能性が高くなくなった部分を減額することにより、法人所得税費用が増加する可能性があります。なお、将来課税所得の見積りには、新型コロナウイルス感染症の影響に関する一定の仮定が含まれていますが、会計上の見積りの参考となる前例がなく、今後の広がり方や収束時期等について統一的な見解がないため、事後的な結果との間に乖離が生じる可能性があります。
持分法適用会社の業績・財政状態
当社は、複数の持分法適用会社の株式を保有しています。各社は各々の事業及び財務に関する方針のもとで経営を行っており、当社はその方針決定に関与することができる重要な影響力を有していますが、支配には至らないため、通常、方針そのものの決定は行いません。これらの持分法適用会社の業績・財政状態の悪化により、当社グループの業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。