有価証券報告書-第122期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)
(1)当面の対処すべき課題の内容等
国内経済は雇用環境の改善が続き、設備投資が増加傾向にあることに加え、各種経済対策による下支え効果もあり、緩やかな回復が続くと見込まれる。海外は、アメリカの金融政策とその影響、中国をはじめとするアジア新興諸国の経済の先行き、資源価格や為替の動向、地政学的リスクなどに留意する必要はあるが、全体として、回復基調を維持することが期待される。
当社グループは、抜本的構造改革の断行による安定的収益基盤の構築を図り、平成27年5月に「2015~2017年度中期経営計画」を発表し、3つの重点戦略である①事業ポートフォリオの再構築、②固定費削減の断行、③組織・ガバナンスの再編・強化に取り組んできた。
しかし、平成28年3月期は、ディスプレイデバイス事業において、期初の想定をはるかに上回る中国市場向けのスマートフォン用液晶の販売減や価格競争激化による単価ダウンの影響などにより、平成27年10月26日に売上高・営業利益について通期業績予想の下方修正をすることとなった。さらに第3四半期連結累計期間において親会社株主に帰属する四半期純損失を1,083億円計上し、これに伴い、財務の健全化を示す自己資本比率は第3四半期連結会計期間末において8.6%と第1四半期連結会計期間末の12.3%から低下するに至った。
こうした状況を受け、当社グループでは、鴻海精密工業股份有限公司と戦略的提携を結び、平成28年4月2日に、鴻海精密工業股份有限公司、鴻海精密工業股份有限公司の完全子会社であるFoxconn(Far East) Limited、Foxconn Technology Pte. Ltd.及びSIO International Holdings Limitedを割当先とする第三者割当による新株式(普通株式及びC種種類株式)の発行に関し、割当予定先と株式引受契約を締結した。(注)
これら新株式の発行は、金融商品取引法に基づく有価証券届出書の効力発生及び各国の関係当局の許認可が得られることなどを払込みの条件としている。
当社グループは、今回の戦略的提携により、将来的な売上の拡大やコスト競争力向上などを通じた利益率の改善、急激な景気変動等にも耐えうる財務及び事業基盤の強化を図り、経営再建を果たしていく。
(注)詳細については、当社ホームページに掲載のニュースリリース参照。
・平成28年2月25日付ニュースリリース
http://www.sharp.co.jp/corporate/ir/pdf/2016/160225.pdf
・平成28年3月30日付ニュースリリース
http://www.sharp.co.jp/corporate/ir/pdf/2016/160330-3.pdf
(2)会社の支配に関する基本方針
① 基本方針の内容
当社取締役会は、当社グループのように製造業を営む企業が、企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させるためには、中長期的な視点により先端技術や製造技術を自社内で開発、活用し、また、この間に顧客、取引先、従業員等のステークホルダーとの良好な協力関係を構築することが必要不可欠であると考えている。
また、当社グループの買収を企図した当社取締役会の賛同を得ない当社株式の買付行為であっても、これに応じるか否かは、最終的には当社株主において判断されるべきものであると考えているが、その目的等からみて企業価値・株主共同の利益に明白な侵害をもたらすものや、株主に株式の売却を強要するおそれのあるものなどの不適切な買付行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者としては適切ではないと考えており、このような不適切な買付行為が行われる場合には、それに対して相当の対抗措置を発動することも必要であると考えている。
② 基本方針の実現に資する特別の取り組み
当社グループは、「誠意と創意」の経営信条の下、時代を先取りする独自商品の開発を通じて、企業価値の向上に努めるとともに、社会への貢献を果たしてきた。
また、当社グループは、先進のエレクトロニクス技術を駆使し、顧客のニーズを捉えた革新的な商品やサービスを創出することが、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させることにつながると考えている。
こうした考えの下、「2015~2017年度 中期経営計画」では、以下の3つの重点戦略を着実に実行し、「抜本的構造改革の断行による安定的収益基盤の構築」を目指してきた。
イ 事業ポートフォリオの再構築
当社の事業を、顧客や事業特性に応じた下記の5つのカンパニーに再編。
・コンシューマーエレクトロニクスカンパニー
・エネルギーソリューションカンパニー
・ビジネスソリューションカンパニー
・電子デバイスカンパニー
・ディスプレイデバイスカンパニー
ロ 固定費削減の断行
事業構造・拠点改革の推進、希望退職や海外拠点縮小に伴う人員削減、本社のスリム化や緊急人件費対策などを実行。
ハ 組織・ガバナンスの再編・強化
上記カンパニー制導入のほか、以下の人事改革を実行。
(a)等級・報酬制度の見直し
(b)処遇の適正化
(c)実力ベースの人材登用徹底
(d)組織のフラット化・シンプル化
このほか、コンプライアンス意識やステークホルダーの視点をもって事業活動に取り組むことにより企業の社会的責任を果たすとともに、環境・教育・社会福祉の分野を中心とした様々な社会貢献活動の推進により、広く社会からの期待に応え、信頼と評価を高めるよう推進していく。また当社は、株主への利益還元を経営上の最重要課題の一つと考えており、連結業績と財務状況並びに今後の事業展開等を総合的に勘案し、長期的な視点に立って、株主への利益還元に取り組んでいく。
これらのほか、③の取り組みを行っている。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって支配されることを防止するための取り組み
当社は、特定の株主グループの議決権割合が20%以上となるような当社株式の買付行為(以下、「大量買付行為」といい、そのような買付行為を行う者を「大量買付者」という。)に関するルールを『当社株式の大量買付行為に関する対応プラン』(以下、「本プラン」という。)として定めており、その概要は次のとおりである。
イ ①の基本方針に記載のとおり、当社取締役会は、当社株式の大量買付行為に応じるか否かについては、最終的には当社株主において判断されるべきものであると考えているが、株主が適切な判断を行うためには、大量買付者及び当社取締役会の双方から必要かつ十分な情報が提供される必要があると考えており、そのためには、大量買付行為が行われる際の一定の合理的なルールを設定しておくことが不可欠であると考えている。
ロ 当社取締役会が設定するルールでは、大量買付者に対して、a)一定の期間内に当社取締役会に対して必要かつ十分な情報提供をすること、b)当社取締役会による一定の評価期間が経過した後に大量買付行為を開始することを求めている。
ハ 当社取締役会は、大量買付者がルールを遵守しない場合、あるいは、ルールを遵守していてもその行為が当社グループの企業価値・株主共同の利益を損なうと判断される場合には、当社グループの企業価値・株主共同の利益を確保するため、対抗措置を発動することがある。
ニ 当社取締役会による大量買付行為の検討・対抗措置の発動にあたっては、社外取締役、社外監査役及び外部の有識者の中から選任される3名以上の委員により構成される特別委員会の勧告を最大限尊重し、最終決定する。なお、以下の場合には、原則として株主意思確認総会を開催し、当社取締役会はその決議に従う。
・特別委員会が、対抗措置発動についてあらかじめ株主総会の承認を得るべき旨の留保を付した場合
・当社取締役会が株主の意思を確認することが適切であると判断した場合
ホ 当社取締役会が、対抗措置の発動を決定した後、大量買付者から必要かつ十分な情報の提供があり、当社グループの企業価値・株主共同の利益の確保・向上に資すると特別委員会が勧告し、当社取締役会が判断した場合は、対抗措置を取り止める。
④ 本プランに対する取締役会の意見
当社取締役会は、以下の理由から、本プランが①の基本方針に沿っており、また、当社グループの企業価値・株主共同の利益を損なうものではなく、かつ、当社役員の地位の維持を目的とするものではないと判断している。
イ 本プランは、大量買付者が大量買付行為に関する必要かつ十分な情報を当社取締役会に事前に提供すること、及び当社取締役会の評価期間が経過した後にのみ当該大量買付行為を開始することを求め、これを遵守しない場合、あるいは、遵守していても当社グループの企業価値・株主共同の利益を著しく損なうような不適切な大量買付行為が行われる場合には、当社取締役会が大量買付者に対して相当の対抗措置を発動することがあることを明記している。
ロ 本プランは、当社株主が大量買付行為に応じるか否かを判断するために必要な情報や当社取締役会の代替案の提示を受ける機会の提供をルール化し、当社株主及び投資家が適切な投資判断を行える環境を整えるものである。また、本プランの発効・継続は、当社株主の承認を条件としている。
ハ 本プランは、不適切な大量買付行為に対して、当社取締役会が対抗措置を発動する場合を事前かつ詳細に開示するものであり、対抗措置の発動は本プランに従って行われる。さらに、大量買付行為に関して当社取締役会が評価、検討、対抗措置の発動等を行う際には、外部専門家等から助言を得るとともに、特別委員会の意見を最大限尊重すること、株主の意思を確認することが適切と判断した場合は株主意思確認総会を開催し、取締役会はその決議に従うことを定めており、本プランには当社取締役会による適正な運用を担保するための手続が盛り込まれている。
⑤ 本プランの有効期間
本プランは、平成26年6月25日に開催された当社第120期定時株主総会において株主の承認を得ており、その有効期間は平成29年6月30日までに開催される第123期定時株主総会終結の時までとなっている。
(注) 本プランの詳細については、当社ホームページに掲載のニュースリリース参照。
・平成27年5月14日付ニュースリリース
http://www.sharp.co.jp/corporate/ir/pdf/2015/150514-1.pdf
なお、鴻海精密工業股份有限公司、Foxconn(Far East) Limited、Foxconn Technology Pte. Ltd.及び
SIO International Holdings Limitedを割当先とする第三者割当による新株式(普通株式及びC種種類株式)の発行を予定しており、当該株式の発行後においては、本プランを継続する必要性が小さくなると考えられることから、廃止することを検討している。