訂正有価証券報告書-第66期(2020/01/01-2020/12/31)
(1)経営成績等の状況の概要
2020年の世界経済は新型コロナウイルス感染症の流行に翻弄されました。上半期には各国はロックダウンや移動制限等により経済活動が制限されました。制限解除後、新型コロナウイルス感染症が最初に流行した中国は政府の積極的関与で成長軌道に戻り、欧米も各国が打ち出した経済政策により回復に向かいましたが、欧米主要国において新型コロナウイルスの感染者数の増加傾向が続いており、これを受けて欧州各国においては外出制限や店舗の営業停止措置などが再導入され、社会・経済活動は再び抑制される状況になっています。
当社グループは新型コロナウイルス感染症の感染が拡大する中、各拠点の状況に合わせて在宅勤務を実施するなど、全ての拠点で新型コロナウイルス感染防止策を徹底し、通常の稼働を維持するための体制を確保しました。コロナ禍でも生産性を落とすことなく業務を遂行するため、業務プロセスの見直しを進めたほか、生産体制の地産地消対応とともに、デザイン、開発のグローバル化に柔軟に対応できるグローバル技術体制の構築を進めました。また、在宅勤務が定着する中でオフィス・スペースの有効活用を進め、本社オフィスと新富町オフィスを統合しました。
①財政状態および経営成績の状況
a. 財政状態
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は98,063百万円となり、前連結会計年度末比1,502百万円増加しました。営業債権及びその他の債権、在庫削減に取組み棚卸資産等が減少したものの、手元流動を確保するため現金及び現金同等物が増加し、流動資産は441百万円増加しました。また、のれん、無形資産の償却が進んだものの、有形固定資産、工場の生産キャパシティの拡充のため使用権資産等が増加したことにより、非流動資産は1,060百万円増加しました。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は63,505百万円となり、前連結会計年度末比1,538百万円増加しました。また、ネット有利子負債残高は、前連結会計年度末に比べ822百万円減少しました。
1年内返済予定又は償還予定の長期有利子負債、短期有利子負債等が減少したことから、流動負債が656百万円減少しました。リース債務等が減少したものの、長期有利子負債等が増加したため、非流動負債が2,194百万円増加しました。
新型コロナウイルス感染症の感染が拡大し先行きの不透明感が増す中で、当社グループでは、6か月先までのローリング・フォーキャストを毎月実施し、資金管理を行いました。また、銀行団のオープン・コミットメント・ラインを86億円から171億円への増額、永久劣後ローンの見直し等に取り組み、当連結会計年度末におけるネット有利子負債残高は新型コロウイルス感染症拡大前の前連結会計年度末から822百万円減少しました。相対的に金利水準の高い外貨建て借入金の割合が借入金全体の95%以上となっているため、借入金の平均金利は1.7%となっています。当連結会計年度は円安/中国人民元高が大きく進行したため、円建て製品原価が上昇し、また、資金需要が旺盛な中国人民元転による為替差損が発生しました。なお、当社グループの有形固定資産の内95%が国外の有形固定資産となっています。
(資本)
当連結会計年度末の資本合計は前連結会計年度末比36百万円減少し、34,557百万円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益が828百万円あったものの、負の在外営業活動体の換算差額が216百万円増加したこと等によりその他包括利益を△370百万円計上したこと、配当金162百万円、その他資本性金融商品の所有者への分配を172百万円支払ったこと等があったためです。その結果、親会社の所有者に帰属する持分合計は32,990百万円となり、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末の34.2%から当連結会計年度末は33.6%となりました。
b. キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末比1,950百万円増加し、5,237百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は9,107百万円(前連結会計年度は8,732百万円の収入)となりました。税引前当期利益1,470百万円、減価償却費及び償却費5,947百万円、営業債権及びその他の債権の減少957百万円等の収入があったことによるものです。
在庫削減に取り組むことに加え、改善傾向にある需要を受け仕入を増加させたことにより、運転資本が縮小しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は6,669百万円(前連結会計年度は8,133百万円の支出)となりました。有形固定資産の売却による収入108百万円等があったものの、生産設備拡充のため積極的な設備投資で有形固定資産の取得による支出5,989百万円、無形資産の取得による支出776百万円等の支出があったことによるものです。
新型コロナウイルス感染症の世界的感染拡大の影響で取引先の都合によるプロジェクトの延期があり、機械装置等への設備投資額は前連結会計年度に比べ1,364百万円縮小し、5,989百万円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は447百万円(前連結会計年度は1,261百万円の支出)となりました。有利子負債が1,018百万円純増したことによる収入があったものの、その他資本性金融商品の所有者に対する分配の支払額203百万円、リース債務の返済による支出948百万円等の支出があったことによるものです。
新型コロナウイルス感染症による不透明な事業環境下において手元流動性を確保するため、有利子負債を増加させたことで、現金及び現金同等物を前連結会計年度末と比べて1,950百万円増やし5,237百万円としました。ネット有利子負債残高は822百万円減少しました。
なお、永久劣後特約付ローンは、元本の弁済の定めがなく利息の任意繰延が可能なことなどから、「資本性金融商品」に分類されるため、永久劣後特約付ローンによる調達額から発行費用を控除した額4,850百万円を「その他資本性金融商品の発行による収入」として計上しています。
②経営成績
当連結会計年度の当社グループは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により第1四半期連結会計期間には春節前後からの中国において実施された経済活動の制限や移動制限の影響で中国において生産活動を行うことが出来ず、また、アジアのサプライチェーンも機能が低下しました。第2四半期連結会計期間に入ると中国における生産活動は回復し、アジアのサプライチェーンも機能してきましたが、欧米における新型コロナウイルス感染症の感染拡大によるロックダウン、顧客工場の操業停止等で車載関連の売上収益が大幅に落ち込みました。
第3四半期連結会計期間に入ると欧米において経済活動が再開され、車載関連の売上も回復を見せ、順調に稼働している中国工場での生産が売上収益を下支えしました。第4四半期連結会計期間に入っても車載関連の売上収益は順調な回復が続きました。
家電製品向けは米中関係悪化により一部顧客向け製品が減少したものの、PC、タブレットはテレワークの普及により需要拡大、インダストリー分野は太陽光発電向け、医療分野及び家電生産設備向けが好調に推移する等、年間を通して家電製品関連、インダストリー分野は堅調に推移しましたが、車載関連では年前半の落ち込みをカバーすることは出来ず、2020年12月期連結会計年度の売上収益は前年同期比10.5%減の84,417百万円に留まりました。車載関連は上半期北米、欧州が低迷していたものの、下半期は回復傾向が見え、EV、HEV向け製品の売上が伸びました。
収益面では、第1四半期連結会計期間は中国で、第2四半期連結会計期間は欧米で工場の操業度が大きく落ち込んだことで固定費負担が収益を圧迫しました。第3、第4四半期連結会計期間には操業度も回復を見せましたが、年前半での落ち込みをカバーするまでには至りませんでした。
年間を通じて固定費削減、販売管理費の節減に取り組み、収益性の改善に努めました。また、新型コロナウイルス感染症の関連で生産拠点を中心に当社グループ会社が所在する地域の幾つかにおいては、当該地域の法制度により法人が負担すべきとされる社会保険料や休業手当などの一時的減免等の1,204百万円の政府補助を受けました。また、中国の土地リース解約によるリース債務の解消により550百万円の利益を計上しました。
一方で、売上の好調なスマートフォン関連において、一部の顧客取引先の戦略変更があったため、生産設備の減損損失474百万円を計上しました。
その結果、営業利益は前年同期比19.9%減の2,838百万円となりました。税引前当期利益は同32.7%減の1,470百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同47.7%減の828百万円となりました。また、ROEは前連結会計年度の4.7%から当連結会計年度は2.5%となりました。
なお、為替レートの年間平均は1ドル=107.02円、1ユーロ=121.44円、1人民元=15.40円、銅価格の年間平均は1トン当たり5,895米ドルでした。また、2020年度の四半期ごとの業績は以下のとおりでした。
(報告セグメントの状況)
当連結会計年度における報告セグメントの状況は次のとおりであります。
1)アジア・パシフィック事業
アジア・パシフィック事業では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で上半期大きく需要が落ち込んだことから、当連結会計年度の売上収益は前期比10.6%減の53,725百万円になりました。減収の影響、セールス・ミックスや操業度低下等の影響で、セグメント利益は同27.1%減の1,933百万円となりました。
2)EU事業
EU事業では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響でロックダウン、工場操業停止等があり、車載関連の受注が上半期に大きく落ち込んだため、当連結会計年度の売上収益は前期比10.3%減の30,691百万円となりました。減収の影響、セールス・ミックスや操業度低下等の影響でセグメント利益は同23.5%減の1,097百万円となりました。
(単位:百万円)
(市場別の状況)
車載関連は新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響で、第1四半期連結会計期間には春節前後からの中国において実施された経済活動の制限や移動制限の影響で中国において生産活動を行うことが出来ず、第2四半期連結会計期間に入ると中国における生産活動は回復したものの、欧米における新型コロナウイルス感染症の感染拡大によるロックダウン、顧客工場の操業停止等で車載関連の受注が大幅に落ち込みました。第3四半期連結会計期間に入ると欧米において経済活動が再開され、車載関連の売上も回復を見せ、順調に稼働している中国工場での生産が売上収益を下支えしました。第4四半期連結会計期間に入っても車載関連の売上収益は順調な回復が続きました。また、EV/xEV関連売上はコロナ禍においても堅調に推移しましたが、上半期の落ち込みが大きく、車載関連の売上収益は前連結会計年度比15.2%減の48,289百万円に留まりました。
家電製品関連では、巣ごもり需要の効果もあり、白物家電、ノートパソコン、タブレット、データセンター用の分野の売上は堅調、特に下半期からの受注は好調に推移しましたが、一部主要顧客の戦略変更、および米中関係の悪化により、前連結会計年度比7.1%減の19,110百万円の売上収益となりました。
一方、インダストリー分野も車載同様新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響で厳しい環境の中、脱炭素化の動きもあり欧米の太陽光発電用設備が好調に推移し、メディカル関連も堅調に推移したことから前連結会計年度比1.6%増の17,017百万円の売上収益になりました。
(市場別売上の内訳)
③生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.当社グループの売上収益の10%以上を占める顧客グループが存在しており、当該顧客グループから生じた売上収益は以下のとおりです。
(単位:百万円)
(2)重要な判断を要する会計方針および見積り
(のれんおよび識別された無形資産、および有形固定資産の減損)
過去に行われた企業結合から生じたのれんおよび識別された無形資産、および有形固定資産については、年1回連結会計年度末または減損の兆候が表れたと判断された時点で減損の判定を行います。減損の兆候が表れたと判断されるのは、当初想定・設定された事業計画の大幅な下方修正や市況の重大な変化が生じた場合であり、当社グループ経営者は的確な判断に必要な内部・外部の情報については、タイムリーに関係事業部門から収集し、定期的にそれら収集した情報を討議検討する体制を取っております。
のれんおよび識別された無形資産、および有形固定資産の減損テストでは、回収可能価額を合理的に見積り帳簿価額と回収可能価額の比較を行います。資産、資金生成単位または資金生成単位グループの回収可能価額は、使用価値と処分費用控除後の公正価値のうちいずれか高い方の金額で算定しております。使用価値の算定においては経営者の判断が必要となりその判断に重要な影響を与えます。経営者は見積りにあたり見積り時点で把握しうる経営計画、内部・外部に存在する情報、社内に蓄積された経験を総合的に勘案したうえで達成可能性が十分に高い事業計画を基礎として、見積りの不確実性も考慮したうえで、合理的な価額を算定します。
のれんおよび識別された無形資産の使用価値は将来5年間の割引キャッシュ・フローおよび永続価値の合計額で設定され、割引率は当該資産固有のリスクを反映したものを用い、3年目以降のキャッシュ・フロー及び永続価値は不確実性を考慮し成長率をゼロとして見積りを行っております。
当連結会計年度においては、のれんおよび識別された無形資産については回収可能価額が帳簿価額を超えているため減損損失の認識を行いませんでした。
当社グループが保有する有形固定資産の使用価値は、当該資産、資金生成単位または資金生成単位グループにおいて主要な資産の耐用年数を元にした将来割引キャッシュ・フローにより算定されます。
当第2四半期連結会計期間において家電製品市場向け一部製品群につき、顧客の経営戦略変更により当製品群の製造に特化した製造機械設備のキャッシュ・インフローが見込めなくなったため、帳簿価額を現時点で見込まれる回収可能価額まで904百万円減額いたしました。
減損損失の認識を受けて当該製品群を供給していた顧客と当社グループ間で損失負担につき相対による協議を行っておりましたが、減損した一部の機械設備を再活用する形で当社から顧客への新たな製品を供給することにつき合意がなされたため、当第4四半期会計期間に再活用可能と判断された機械設備に係る減損損失の戻入429百万円を行いました。
当社グループは引き続き、残りの機械設備の損失負担に係る協議を顧客と継続しており、回収が可能となった時点で回収可能相当額を収益として認識する予定であります。
(リース資産およびリース債務)
当社グループは、借手としてのリース取引について、リース開始日またはリース期間の延長が見込まれた時点で使用権資産およびリース債務を認識しております。使用権資産およびリース債務の簿価の算定においては、当社が当該リース資産を使用すると想定される期間を合理的に見積り、その期間に支払うリース料を追加借入利子率により割り引いた現在価値で測定しております。
このリース期間の見積りには経営者の判断が伴います。経営者は当該リース資産の使用目的・使用状況、リース契約の諸条件、金融市場および原資産を調達する市況等に係る内部・外部の情報、過去から蓄積された経験を総合的に勘案し、合理的なリース期間を見積っており、当社グループのリース期間は1年-50年と見積もられています。
当連結会計年度において新たに契約した、またはリース期間の延長によりリース期間が見積もられて計上されたリース資産および債務の額は1,440百万円であり、前連結会計年度から繰り越されたものも含め、当連結会計年度末のリース債務の合計残高は4,081百万円であります。
(繰延税金資産)
当社グループの繰延税金資産は、会計上の資産および負債の帳簿価額と税務上の資産および負債の金額との一時差異に基づいて、期末日に施行または実質的に施行される法律に従い一時差異が解消される時に適用されることが予測される税率を用いて算定し、将来減算一時差異、繰越欠損金の一部または全部が将来課税所得に対して利用できる可能性を考慮しております。
繰延税金資産の回収可能性の評価においては、将来予定される重要な繰延税金負債の取り崩し、予想される将来課税所得およびタックスプランニングを考慮しております。
予想される将来課税所得およびタックスプランニングの算定には経営者の判断が伴います。経営者は外部・内部の取得可能な情報を元に5年若しくは7年間の達成可能性が十分に高い事業計画を基礎として、過去の課税所得水準、見積りの不確実性も考慮したうえで合理的に算定し、予想される将来課税所得およびスケジューリングを行います。このスケジューリングにより将来利用できないと判定された将来減算一時差異については、評価性引当金を計上しております。
過去および当連結会計年度において発生した繰越欠損金につき、スケジューリングにより当連結会計年度末において評価性引当金の対象とされた繰越欠損金の残高は2,900百万円であります。
2020年の世界経済は新型コロナウイルス感染症の流行に翻弄されました。上半期には各国はロックダウンや移動制限等により経済活動が制限されました。制限解除後、新型コロナウイルス感染症が最初に流行した中国は政府の積極的関与で成長軌道に戻り、欧米も各国が打ち出した経済政策により回復に向かいましたが、欧米主要国において新型コロナウイルスの感染者数の増加傾向が続いており、これを受けて欧州各国においては外出制限や店舗の営業停止措置などが再導入され、社会・経済活動は再び抑制される状況になっています。
当社グループは新型コロナウイルス感染症の感染が拡大する中、各拠点の状況に合わせて在宅勤務を実施するなど、全ての拠点で新型コロナウイルス感染防止策を徹底し、通常の稼働を維持するための体制を確保しました。コロナ禍でも生産性を落とすことなく業務を遂行するため、業務プロセスの見直しを進めたほか、生産体制の地産地消対応とともに、デザイン、開発のグローバル化に柔軟に対応できるグローバル技術体制の構築を進めました。また、在宅勤務が定着する中でオフィス・スペースの有効活用を進め、本社オフィスと新富町オフィスを統合しました。
①財政状態および経営成績の状況
a. 財政状態
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は98,063百万円となり、前連結会計年度末比1,502百万円増加しました。営業債権及びその他の債権、在庫削減に取組み棚卸資産等が減少したものの、手元流動を確保するため現金及び現金同等物が増加し、流動資産は441百万円増加しました。また、のれん、無形資産の償却が進んだものの、有形固定資産、工場の生産キャパシティの拡充のため使用権資産等が増加したことにより、非流動資産は1,060百万円増加しました。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は63,505百万円となり、前連結会計年度末比1,538百万円増加しました。また、ネット有利子負債残高は、前連結会計年度末に比べ822百万円減少しました。
1年内返済予定又は償還予定の長期有利子負債、短期有利子負債等が減少したことから、流動負債が656百万円減少しました。リース債務等が減少したものの、長期有利子負債等が増加したため、非流動負債が2,194百万円増加しました。
新型コロナウイルス感染症の感染が拡大し先行きの不透明感が増す中で、当社グループでは、6か月先までのローリング・フォーキャストを毎月実施し、資金管理を行いました。また、銀行団のオープン・コミットメント・ラインを86億円から171億円への増額、永久劣後ローンの見直し等に取り組み、当連結会計年度末におけるネット有利子負債残高は新型コロウイルス感染症拡大前の前連結会計年度末から822百万円減少しました。相対的に金利水準の高い外貨建て借入金の割合が借入金全体の95%以上となっているため、借入金の平均金利は1.7%となっています。当連結会計年度は円安/中国人民元高が大きく進行したため、円建て製品原価が上昇し、また、資金需要が旺盛な中国人民元転による為替差損が発生しました。なお、当社グループの有形固定資産の内95%が国外の有形固定資産となっています。
(資本)
当連結会計年度末の資本合計は前連結会計年度末比36百万円減少し、34,557百万円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益が828百万円あったものの、負の在外営業活動体の換算差額が216百万円増加したこと等によりその他包括利益を△370百万円計上したこと、配当金162百万円、その他資本性金融商品の所有者への分配を172百万円支払ったこと等があったためです。その結果、親会社の所有者に帰属する持分合計は32,990百万円となり、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末の34.2%から当連結会計年度末は33.6%となりました。
b. キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末比1,950百万円増加し、5,237百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は9,107百万円(前連結会計年度は8,732百万円の収入)となりました。税引前当期利益1,470百万円、減価償却費及び償却費5,947百万円、営業債権及びその他の債権の減少957百万円等の収入があったことによるものです。
在庫削減に取り組むことに加え、改善傾向にある需要を受け仕入を増加させたことにより、運転資本が縮小しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は6,669百万円(前連結会計年度は8,133百万円の支出)となりました。有形固定資産の売却による収入108百万円等があったものの、生産設備拡充のため積極的な設備投資で有形固定資産の取得による支出5,989百万円、無形資産の取得による支出776百万円等の支出があったことによるものです。
新型コロナウイルス感染症の世界的感染拡大の影響で取引先の都合によるプロジェクトの延期があり、機械装置等への設備投資額は前連結会計年度に比べ1,364百万円縮小し、5,989百万円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は447百万円(前連結会計年度は1,261百万円の支出)となりました。有利子負債が1,018百万円純増したことによる収入があったものの、その他資本性金融商品の所有者に対する分配の支払額203百万円、リース債務の返済による支出948百万円等の支出があったことによるものです。
新型コロナウイルス感染症による不透明な事業環境下において手元流動性を確保するため、有利子負債を増加させたことで、現金及び現金同等物を前連結会計年度末と比べて1,950百万円増やし5,237百万円としました。ネット有利子負債残高は822百万円減少しました。
なお、永久劣後特約付ローンは、元本の弁済の定めがなく利息の任意繰延が可能なことなどから、「資本性金融商品」に分類されるため、永久劣後特約付ローンによる調達額から発行費用を控除した額4,850百万円を「その他資本性金融商品の発行による収入」として計上しています。
②経営成績
当連結会計年度の当社グループは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により第1四半期連結会計期間には春節前後からの中国において実施された経済活動の制限や移動制限の影響で中国において生産活動を行うことが出来ず、また、アジアのサプライチェーンも機能が低下しました。第2四半期連結会計期間に入ると中国における生産活動は回復し、アジアのサプライチェーンも機能してきましたが、欧米における新型コロナウイルス感染症の感染拡大によるロックダウン、顧客工場の操業停止等で車載関連の売上収益が大幅に落ち込みました。
第3四半期連結会計期間に入ると欧米において経済活動が再開され、車載関連の売上も回復を見せ、順調に稼働している中国工場での生産が売上収益を下支えしました。第4四半期連結会計期間に入っても車載関連の売上収益は順調な回復が続きました。
家電製品向けは米中関係悪化により一部顧客向け製品が減少したものの、PC、タブレットはテレワークの普及により需要拡大、インダストリー分野は太陽光発電向け、医療分野及び家電生産設備向けが好調に推移する等、年間を通して家電製品関連、インダストリー分野は堅調に推移しましたが、車載関連では年前半の落ち込みをカバーすることは出来ず、2020年12月期連結会計年度の売上収益は前年同期比10.5%減の84,417百万円に留まりました。車載関連は上半期北米、欧州が低迷していたものの、下半期は回復傾向が見え、EV、HEV向け製品の売上が伸びました。
収益面では、第1四半期連結会計期間は中国で、第2四半期連結会計期間は欧米で工場の操業度が大きく落ち込んだことで固定費負担が収益を圧迫しました。第3、第4四半期連結会計期間には操業度も回復を見せましたが、年前半での落ち込みをカバーするまでには至りませんでした。
年間を通じて固定費削減、販売管理費の節減に取り組み、収益性の改善に努めました。また、新型コロナウイルス感染症の関連で生産拠点を中心に当社グループ会社が所在する地域の幾つかにおいては、当該地域の法制度により法人が負担すべきとされる社会保険料や休業手当などの一時的減免等の1,204百万円の政府補助を受けました。また、中国の土地リース解約によるリース債務の解消により550百万円の利益を計上しました。
一方で、売上の好調なスマートフォン関連において、一部の顧客取引先の戦略変更があったため、生産設備の減損損失474百万円を計上しました。
その結果、営業利益は前年同期比19.9%減の2,838百万円となりました。税引前当期利益は同32.7%減の1,470百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同47.7%減の828百万円となりました。また、ROEは前連結会計年度の4.7%から当連結会計年度は2.5%となりました。
なお、為替レートの年間平均は1ドル=107.02円、1ユーロ=121.44円、1人民元=15.40円、銅価格の年間平均は1トン当たり5,895米ドルでした。また、2020年度の四半期ごとの業績は以下のとおりでした。
| 第1四半期 | 第2四半期 | 第3四半期 | 第4四半期 | 2020年度合計 | |
| 売上収益 | 20,573 | 17,588 | 22,325 | 23,930 | 84,417 |
| 営業利益 | △260 | △954 | 1,331 | 2,721 | 2,838 |
(報告セグメントの状況)
当連結会計年度における報告セグメントの状況は次のとおりであります。
1)アジア・パシフィック事業
アジア・パシフィック事業では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で上半期大きく需要が落ち込んだことから、当連結会計年度の売上収益は前期比10.6%減の53,725百万円になりました。減収の影響、セールス・ミックスや操業度低下等の影響で、セグメント利益は同27.1%減の1,933百万円となりました。
2)EU事業
EU事業では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響でロックダウン、工場操業停止等があり、車載関連の受注が上半期に大きく落ち込んだため、当連結会計年度の売上収益は前期比10.3%減の30,691百万円となりました。減収の影響、セールス・ミックスや操業度低下等の影響でセグメント利益は同23.5%減の1,097百万円となりました。
(単位:百万円)
| 2019年12月期 | 2020年12月期 | |||
| 事業区分 | 売上収益 | セグメント利益 | 売上収益 | セグメント利益 |
| アジア・パシフィック事業 | 60,073 | 2,651 | 53,725 | 1,933 |
| EU事業 | 34,210 | 1,435 | 30,691 | 1,097 |
| 合 計 | 94,283 | 4,087 | 84,417 | 3,031 |
(市場別の状況)
車載関連は新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響で、第1四半期連結会計期間には春節前後からの中国において実施された経済活動の制限や移動制限の影響で中国において生産活動を行うことが出来ず、第2四半期連結会計期間に入ると中国における生産活動は回復したものの、欧米における新型コロナウイルス感染症の感染拡大によるロックダウン、顧客工場の操業停止等で車載関連の受注が大幅に落ち込みました。第3四半期連結会計期間に入ると欧米において経済活動が再開され、車載関連の売上も回復を見せ、順調に稼働している中国工場での生産が売上収益を下支えしました。第4四半期連結会計期間に入っても車載関連の売上収益は順調な回復が続きました。また、EV/xEV関連売上はコロナ禍においても堅調に推移しましたが、上半期の落ち込みが大きく、車載関連の売上収益は前連結会計年度比15.2%減の48,289百万円に留まりました。
家電製品関連では、巣ごもり需要の効果もあり、白物家電、ノートパソコン、タブレット、データセンター用の分野の売上は堅調、特に下半期からの受注は好調に推移しましたが、一部主要顧客の戦略変更、および米中関係の悪化により、前連結会計年度比7.1%減の19,110百万円の売上収益となりました。
一方、インダストリー分野も車載同様新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響で厳しい環境の中、脱炭素化の動きもあり欧米の太陽光発電用設備が好調に推移し、メディカル関連も堅調に推移したことから前連結会計年度比1.6%増の17,017百万円の売上収益になりました。
(市場別売上の内訳)
③生産、受注及び販売の実績a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) | 前年同期比(%) |
| アジア・パシフィック事業(百万円) | 53,719 | 91.2 |
| EU事業(百万円) | 30,683 | 89.4 |
| 合計(百万円) | 84,403 | 90.6 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) | 当連結会計年度末 (2020年12月31日現在) | ||
| 受注高 | 前年比(%) | 受注残高 | 前年比(%) | |
| アジア・パシフィック事業(百万円) | 54,785 | 106.5 | 7,889 | 115.5 |
| EU事業(百万円) | 30,735 | 95.2 | 9,439 | 100.5 |
| 合計(百万円) | 85,521 | 102.1 | 17,329 | 106.8 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) | |
| 売上収益 | 前年同期比(%) | |
| アジア・パシフィック事業(百万円) | 53,725 | 89.4 |
| EU事業(百万円) | 30,691 | 89.7 |
| 合計(百万円) | 84,417 | 89.5 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.当社グループの売上収益の10%以上を占める顧客グループが存在しており、当該顧客グループから生じた売上収益は以下のとおりです。
(単位:百万円)
| 2019年12月期 | 2020年12月期 | |||
| 売上収益 | 割合(%) | 売上収益 | 割合(%) | |
| アジア・パシフィック事業およびEU事業 | 13,883 | 14.7% | 11,614 | 13.8% |
| アジア・パシフィック事業 | 9,746 | 10.3% | 8,498 | 10.1% |
(2)重要な判断を要する会計方針および見積り
(のれんおよび識別された無形資産、および有形固定資産の減損)
過去に行われた企業結合から生じたのれんおよび識別された無形資産、および有形固定資産については、年1回連結会計年度末または減損の兆候が表れたと判断された時点で減損の判定を行います。減損の兆候が表れたと判断されるのは、当初想定・設定された事業計画の大幅な下方修正や市況の重大な変化が生じた場合であり、当社グループ経営者は的確な判断に必要な内部・外部の情報については、タイムリーに関係事業部門から収集し、定期的にそれら収集した情報を討議検討する体制を取っております。
のれんおよび識別された無形資産、および有形固定資産の減損テストでは、回収可能価額を合理的に見積り帳簿価額と回収可能価額の比較を行います。資産、資金生成単位または資金生成単位グループの回収可能価額は、使用価値と処分費用控除後の公正価値のうちいずれか高い方の金額で算定しております。使用価値の算定においては経営者の判断が必要となりその判断に重要な影響を与えます。経営者は見積りにあたり見積り時点で把握しうる経営計画、内部・外部に存在する情報、社内に蓄積された経験を総合的に勘案したうえで達成可能性が十分に高い事業計画を基礎として、見積りの不確実性も考慮したうえで、合理的な価額を算定します。
のれんおよび識別された無形資産の使用価値は将来5年間の割引キャッシュ・フローおよび永続価値の合計額で設定され、割引率は当該資産固有のリスクを反映したものを用い、3年目以降のキャッシュ・フロー及び永続価値は不確実性を考慮し成長率をゼロとして見積りを行っております。
当連結会計年度においては、のれんおよび識別された無形資産については回収可能価額が帳簿価額を超えているため減損損失の認識を行いませんでした。
当社グループが保有する有形固定資産の使用価値は、当該資産、資金生成単位または資金生成単位グループにおいて主要な資産の耐用年数を元にした将来割引キャッシュ・フローにより算定されます。
当第2四半期連結会計期間において家電製品市場向け一部製品群につき、顧客の経営戦略変更により当製品群の製造に特化した製造機械設備のキャッシュ・インフローが見込めなくなったため、帳簿価額を現時点で見込まれる回収可能価額まで904百万円減額いたしました。
減損損失の認識を受けて当該製品群を供給していた顧客と当社グループ間で損失負担につき相対による協議を行っておりましたが、減損した一部の機械設備を再活用する形で当社から顧客への新たな製品を供給することにつき合意がなされたため、当第4四半期会計期間に再活用可能と判断された機械設備に係る減損損失の戻入429百万円を行いました。
当社グループは引き続き、残りの機械設備の損失負担に係る協議を顧客と継続しており、回収が可能となった時点で回収可能相当額を収益として認識する予定であります。
(リース資産およびリース債務)
当社グループは、借手としてのリース取引について、リース開始日またはリース期間の延長が見込まれた時点で使用権資産およびリース債務を認識しております。使用権資産およびリース債務の簿価の算定においては、当社が当該リース資産を使用すると想定される期間を合理的に見積り、その期間に支払うリース料を追加借入利子率により割り引いた現在価値で測定しております。
このリース期間の見積りには経営者の判断が伴います。経営者は当該リース資産の使用目的・使用状況、リース契約の諸条件、金融市場および原資産を調達する市況等に係る内部・外部の情報、過去から蓄積された経験を総合的に勘案し、合理的なリース期間を見積っており、当社グループのリース期間は1年-50年と見積もられています。
当連結会計年度において新たに契約した、またはリース期間の延長によりリース期間が見積もられて計上されたリース資産および債務の額は1,440百万円であり、前連結会計年度から繰り越されたものも含め、当連結会計年度末のリース債務の合計残高は4,081百万円であります。
(繰延税金資産)
当社グループの繰延税金資産は、会計上の資産および負債の帳簿価額と税務上の資産および負債の金額との一時差異に基づいて、期末日に施行または実質的に施行される法律に従い一時差異が解消される時に適用されることが予測される税率を用いて算定し、将来減算一時差異、繰越欠損金の一部または全部が将来課税所得に対して利用できる可能性を考慮しております。
繰延税金資産の回収可能性の評価においては、将来予定される重要な繰延税金負債の取り崩し、予想される将来課税所得およびタックスプランニングを考慮しております。
予想される将来課税所得およびタックスプランニングの算定には経営者の判断が伴います。経営者は外部・内部の取得可能な情報を元に5年若しくは7年間の達成可能性が十分に高い事業計画を基礎として、過去の課税所得水準、見積りの不確実性も考慮したうえで合理的に算定し、予想される将来課税所得およびスケジューリングを行います。このスケジューリングにより将来利用できないと判定された将来減算一時差異については、評価性引当金を計上しております。
過去および当連結会計年度において発生した繰越欠損金につき、スケジューリングにより当連結会計年度末において評価性引当金の対象とされた繰越欠損金の残高は2,900百万円であります。