有価証券報告書-第17期(平成30年1月1日-平成30年12月31日)
※当社グループは当連結会計年度(2018年1月1日から2018年12月31日まで)よりIFRSを適用しており、前連結会計年度の数値もIFRSに組み替えて比較分析を行っております。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績」)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定により、IFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針および、将来に関する仮定および報告期間末における見積もりの不確実性の要因となる事項は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
(2) 財政状態の状況
(単位:億円)
当連結会計年度末の資産合計は10,552億円で、前連結会計年度末と比べ808億円の減少となりました。これは、主に償却などにより、有形固定資産および無形資産が減少したことなどによるものであります。資本合計は6,010億円で、前連結会計年度末と比べ224億円の増加となりました。これは、その他の資本の構成要素が減少した一方で、当連結会計年度において、親会社の所有者に帰属する当期利益を510億円計上したことなどによるものであります。 自己資本は、前連結会計年度末と比べ224億円増加し、自己資本比率は56.7%となりました。また、有利子負債は、前連結会計年度末と比べ361億円の減少となりました。これらの結果、D/Eレシオは0.33倍となりました。
(3) 経営成績の状況
① 連結業績の状況
(単位:億円)
当連結会計年度における連結業績は以下のとおりであります。
(売上収益)
当連結会計年度の売上収益は、前連結会計年度と比べ2.9%減少し7,565億円となりました。これは、主に、世界経済の不透明感の高まりを背景に当社グループが注力する自動車分野や産業分野などでの需要が軟化したことや、前連結会計年度における流通在庫の積み上がりの反動を受けたことなどによるものであります。
(半導体売上収益)
当連結会計年度の半導体売上収益は、前連結会計年度と比べ3.4%減少し7,403億円となりました。
当社グループの主要な事業内容である「自動車向け事業」、「産業向け事業」、「ブロードベースド向け事業」およびこれらに属さない「その他半導体」の各売上収益は、以下のとおりであります。
<自動車向け事業>:3,984億円
自動車向け事業には、自動車のエンジンや車体などを制御する半導体を提供する「車載制御」とカーナビゲーションなどの車載情報機器向け半導体を提供する「車載情報」が含まれております。当事業において、当社グループはそれぞれマイクロコントローラ、SoC(system-on-a-chip)、アナログ半導体およびパワー半導体を中心に提供しております。 当連結会計年度における自動車向け事業の売上収益は、前連結会計年度と比べ3.6%減少し3,984億円となりました。「車載制御」および「車載情報」の売上収益が共に減少したことによるものであります。
<産業向け事業>:1,872億円
産業向け事業には、スマート社会を支える「スマートファクトリー」、「スマートホーム」および「スマートインフラ」が含まれております。当事業において、当社グループはそれぞれマイクロコントローラおよびSoCを中心に提供しています。
当連結会計年度における産業向け事業の売上収益は、前連結会計年度と比べ4.8%減少し1,872億円となりました。「スマートファクトリー」、「スマートホーム」および「スマートインフラ」のいずれについても売上収益が減少したことによるものであります。
<ブロードベースド向け事業>:1,513億円
ブロードベースド向け事業は、分野を問わない幅広い用途を対象としており、当事業において、当社グループは「汎用マイクロコントローラ」および「汎用アナログ半導体」を中心に提供しております。
当連結会計年度におけるブロードベースド向け事業の売上収益は、前連結会計年度と比べ0.3%減少し1,513億円となりました。「汎用アナログ半導体」の売上収益が増加したものの、「汎用マイクロコントローラ」の売上収益が減少したことによるものであります。
<その他半導体>:34億円 その他半導体には、主に受託生産やロイヤルティ収入が含まれております。
(その他売上収益)
その他売上収益には、当社の設計および生産子会社が行っている半導体の受託開発、受託生産などが含まれております。
当連結会計年度のその他売上収益は、前連結会計年度と比べ26.9%増加し、162億円となりました。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は682億円となり、前連結会計年度と比べ337億円の減少となりました。これは、自動車および産業分野向けの売上収益が減少したことに加え、当社製造委託先との製造委託契約を見直したことによる一時的な支払費用などのその他費用が増加したことなどによるものであります。
(当期利益)
当連結会計年度の当期利益は511億円となり、前連結会計年度と比べ510億円の減少となりました。これは、営業利益の減少に加え、前連結会計年度で発生した米国子会社同士の合併に伴う繰延税金資産の計上による税金費用の一時的な減少により、前連結会計年度と比べ税金費用が増加したことなどによるものであります。
当社グループは、2016年11月2日に中期成長戦略を公表しております。当社グループでは、注力市場に経営資源を集中投下することで、当社グループが対象とする半導体市場の中期成長戦略策定当時の成長見込みに対して、半導体売上は2倍の成長率を実現し、売上成長、生産効率の最適化、製品ミックスの改善およびインターシルの統合に伴い、売上収益総利益率は50%、売上収益営業利益率は20%以上とすることを目標に掲げております。
なお、上記中期成長戦略については、IDT社買収完了後に更新・公表予定であります。
(注)中期成長戦略における業績目標は、Non-GAAPベースの数値であります。Non-GAAP業績値は、財務会計上の数値(GAAP)から非経常項目やその他特定の調整項目を控除もしくは調整したものであります。具体的には、企業買収に伴い、認識した無形固定資産の償却額およびその他のPPA(取得原価の配分)影響額、企業買収関連費用、株式報酬費用や当社グループが控除すべきと判断する一過性の利益や損失などを控除もしくは調整しております。Non-GAAPベースの数値は、当社グループの恒常的な経営成績の理解を促進する有用な情報を提供する指標と判断しております。
② 生産、受注及び販売の状況
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品群であっても、その性能、構造、形式などは必ずしも一様ではないこと、受注生産形態をとらない製品も多いことなどから、品目ごとに生産規模、受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため、生産、受注および販売の状況については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」における半導体売上収益の主要な事業内容に関連付けて示しております。
なお、主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(注) 上表金額には消費税等を含んでおりません。
(4) キャッシュ・フローの状況
(単位:億円)
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは1,705億円の収入となりました。これは主として、営業債務及びその他の債務の支払いや法人所得税等の支払いがあったものの、税引前利益を677億円計上したこと、およびその中に含まれる減価償却費及び償却費などの非資金損益項目を調整したことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは809億円の支出となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出を計上したことなどによるものであります。
この結果、当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フローは896億円の収入となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、374億円の支出となりました。これは主として、主要取引銀行などへ借入契約の返済を行ったことなどによるものであります。
現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末残高と比べ493億円増加し、1,888億円となりました。
(5) 流動性および資金の源泉
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保すること、および健全なバランスシートを維持することを基本方針としております。資金の源泉の安定的な確保のため、当社は、主要取引銀行である㈱三菱東京UFJ銀行、㈱みずほ銀行、三井住友信託銀行㈱および三菱UFJ信託銀行㈱へ既存の金銭消費貸借契約に基づく借入金を返済するとともに、新たに長期的な運転資金の確保を目的として2016年9月28日付で主要取引銀行との間で1,500億円のタームローンおよび500億円のコミットメントラインの設定に係る契約を締結し、同年9月30日付で当該タームローンを実行しました。なお、当該コミットメントラインに伴う借入を2017年12月期第1四半期中に実行しております。また、成長戦略の推進に係る資金の確保を目的として、同年10月5日付で主要取引銀行との間で500億円のタームローンに係る契約を締結しました。当該タームローンは2017年12月期第1四半期中に実行しております。
当連結会計年度末における借入金、およびリース債務を含む有利子負債の残高は1,950億円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,888億円となっております。
(6) オフバランス取引
当社グループは、資産効率を高めるために、特定の売上債権等の流動化を適宜行っております。当連結会計年度末における流動化残高は168億円であります。
また、製造設備の陳腐化による価値下落リスクの回避および収支の平準化を目的としたオペレーティング・リースを行っております。当連結会計年度末における解約不能オペレーティング・リース契約に基づく将来の最低リース料総額は128億円であります。
(7) 並行開示情報
連結財務諸表規則(第7章および第8章を除く。以下「日本基準」)により作成した要約連結財務諸表および要約連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更は、次のとおりであります。
なお、日本基準により作成した要約連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
また、日本基準により作成した要約連結財務諸表については、百万円未満を四捨五入して記載しております。
① 要約連結貸借対照表
② 要約連結損益計算書及び要約連結包括利益計算書
要約連結損益計算書
要約連結包括利益計算書
③ 要約連結株主資本等変動計算書
前連結会計年度(自 2017年1月1日 至 2017年12月31日)
当連結会計年度(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)
④ 要約連結キャッシュ・フロー計算書
⑤ 要約連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更
前連結会計年度(自 2017年1月1日 至 2017年12月31日)
(連結の範囲に関する事項)
合併、譲渡、清算により減少した会社 5社
ルネサスデザイン㈱他4社
買収および設立により増加した会社 25社
主な新規連結子会社は、次のとおりであります。
Intersil Corporation, Intersil International Operations Sdn. Bhd., Intersil Luxembourg S.a.r.l
当連結会計年度(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)
(連結の範囲に関する事項)
合併、譲渡、清算により減少した会社 3社
ルネサスエレクトロニクス・アメリカ社(※)他2社
買収および設立により増加した会社 1社
※2018年1月1日付で、ルネサスエレクトロニクス・アメリカ社は旧Intersil Corporation(以下「旧イ
ンターシル社」という。)に吸収合併され、消滅しております。また旧インターシル社はルネサスエレク
トロニクス・アメリカ社に商号変更しております。なお、ルネサスエレクトロニクス・アメリカ社は、特
定子会社に該当するものであります。
(持分法の適用に関する事項)
2018年8月1日付で、当社が保有する株式会社ルネサスイーストンの株式の一部売却に伴い、同社は当社
の持分法適用関連会社から除外されております。
(表示方法の変更)
(「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」の早期適用に伴う変更)
「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日。以下「税効果会計基準一部改正」という。)が当連結会計年度末に係る連結財務諸表から適用できるようになったことに伴い、当連結会計年度から税効果会計基準一部改正を適用し、繰延税金資産は投資その他の資産の区分に表示し、繰延税金負債は固定負債の区分に表示する方法に変更しております。
この結果、前連結会計年度の連結貸借対照表において、「流動資産」の「繰延税金資産」13,365百万円の内、2,167百万円は「投資その他の資産」の「繰延税金資産」に表示しており、また、11,198百万円は「固定負債」の「繰延税金負債」と相殺しております。
(8) 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、次のとおりであります。
前連結会計年度(自 2017年1月1日 至 2017年12月31日)
「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 43.初度適用」をご参照ください。
当連結会計年度(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)
(のれんの償却)
日本基準では20年以内の合理的な償却期間を設定し、定額法により償却を行っておりましたが、IFRSでは償却を行わず、毎期減損テストを実施しております。この結果、IFRSでは日本基準に比べ販売費及び一般管理費が20,679百万円減少しております。
(表示組替)
日本基準において営業外収益、営業外費用、特別利益および特別損失に区分していた項目を、IFRSにおいては金融関連項目(受取利息、受取配当金、支払利息および為替差損益等)を「金融収益」または「金融費用」として、それ以外の項目は、各項目の性質に応じて、「その他の収益」、「その他の費用」、「持分法による投資損益」などに表示しております。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績」)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定により、IFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針および、将来に関する仮定および報告期間末における見積もりの不確実性の要因となる事項は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
(2) 財政状態の状況
(単位:億円)
前連結会計年度末 (2017年12月31日) | 当連結会計年度末 (2018年12月31日) | 前連結会計年度末比 増(減) | |
資 産 合 計 | 11,360 | 10,552 | △808 |
資 本 合 計 | 5,786 | 6,010 | 224 |
自 己 資 本 | 5,757 | 5,981 | 224 |
自己資本比率(%) | 50.7 | 56.7 | 6.0 |
有 利 子 負 債 | 2,311 | 1,950 | △361 |
D/Eレシオ(倍) | 0.40 | 0.33 | △0.07 |
当連結会計年度末の資産合計は10,552億円で、前連結会計年度末と比べ808億円の減少となりました。これは、主に償却などにより、有形固定資産および無形資産が減少したことなどによるものであります。資本合計は6,010億円で、前連結会計年度末と比べ224億円の増加となりました。これは、その他の資本の構成要素が減少した一方で、当連結会計年度において、親会社の所有者に帰属する当期利益を510億円計上したことなどによるものであります。 自己資本は、前連結会計年度末と比べ224億円増加し、自己資本比率は56.7%となりました。また、有利子負債は、前連結会計年度末と比べ361億円の減少となりました。これらの結果、D/Eレシオは0.33倍となりました。
(3) 経営成績の状況
① 連結業績の状況
(単位:億円)
前連結会計年度 (2017年1月1日~ 2017年12月31日) | 当連結会計年度 (2018年1月1日~ 2018年12月31日) | 前期比増(減) | ||
売上収益 | 7,793 | 7,565 | △228 | △2.9% |
(半導体売上収益) | 7,665 | 7,403 | △262 | △3.4% |
(その他売上収益) | 127 | 162 | 34 | 26.9% |
営業利益 | 1,019 | 682 | △337 | △33.0% |
当期利益 | 1,021 | 511 | △510 | △50.0% |
米ドル為替レート(円) | 112 | 110 | - | - |
ユーロ為替レート(円) | 127 | 131 | - | - |
当連結会計年度における連結業績は以下のとおりであります。
(売上収益)
当連結会計年度の売上収益は、前連結会計年度と比べ2.9%減少し7,565億円となりました。これは、主に、世界経済の不透明感の高まりを背景に当社グループが注力する自動車分野や産業分野などでの需要が軟化したことや、前連結会計年度における流通在庫の積み上がりの反動を受けたことなどによるものであります。
(半導体売上収益)
当連結会計年度の半導体売上収益は、前連結会計年度と比べ3.4%減少し7,403億円となりました。
当社グループの主要な事業内容である「自動車向け事業」、「産業向け事業」、「ブロードベースド向け事業」およびこれらに属さない「その他半導体」の各売上収益は、以下のとおりであります。
<自動車向け事業>:3,984億円
自動車向け事業には、自動車のエンジンや車体などを制御する半導体を提供する「車載制御」とカーナビゲーションなどの車載情報機器向け半導体を提供する「車載情報」が含まれております。当事業において、当社グループはそれぞれマイクロコントローラ、SoC(system-on-a-chip)、アナログ半導体およびパワー半導体を中心に提供しております。 当連結会計年度における自動車向け事業の売上収益は、前連結会計年度と比べ3.6%減少し3,984億円となりました。「車載制御」および「車載情報」の売上収益が共に減少したことによるものであります。
<産業向け事業>:1,872億円
産業向け事業には、スマート社会を支える「スマートファクトリー」、「スマートホーム」および「スマートインフラ」が含まれております。当事業において、当社グループはそれぞれマイクロコントローラおよびSoCを中心に提供しています。
当連結会計年度における産業向け事業の売上収益は、前連結会計年度と比べ4.8%減少し1,872億円となりました。「スマートファクトリー」、「スマートホーム」および「スマートインフラ」のいずれについても売上収益が減少したことによるものであります。
<ブロードベースド向け事業>:1,513億円
ブロードベースド向け事業は、分野を問わない幅広い用途を対象としており、当事業において、当社グループは「汎用マイクロコントローラ」および「汎用アナログ半導体」を中心に提供しております。
当連結会計年度におけるブロードベースド向け事業の売上収益は、前連結会計年度と比べ0.3%減少し1,513億円となりました。「汎用アナログ半導体」の売上収益が増加したものの、「汎用マイクロコントローラ」の売上収益が減少したことによるものであります。
<その他半導体>:34億円 その他半導体には、主に受託生産やロイヤルティ収入が含まれております。
(その他売上収益)
その他売上収益には、当社の設計および生産子会社が行っている半導体の受託開発、受託生産などが含まれております。
当連結会計年度のその他売上収益は、前連結会計年度と比べ26.9%増加し、162億円となりました。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は682億円となり、前連結会計年度と比べ337億円の減少となりました。これは、自動車および産業分野向けの売上収益が減少したことに加え、当社製造委託先との製造委託契約を見直したことによる一時的な支払費用などのその他費用が増加したことなどによるものであります。
(当期利益)
当連結会計年度の当期利益は511億円となり、前連結会計年度と比べ510億円の減少となりました。これは、営業利益の減少に加え、前連結会計年度で発生した米国子会社同士の合併に伴う繰延税金資産の計上による税金費用の一時的な減少により、前連結会計年度と比べ税金費用が増加したことなどによるものであります。
当社グループは、2016年11月2日に中期成長戦略を公表しております。当社グループでは、注力市場に経営資源を集中投下することで、当社グループが対象とする半導体市場の中期成長戦略策定当時の成長見込みに対して、半導体売上は2倍の成長率を実現し、売上成長、生産効率の最適化、製品ミックスの改善およびインターシルの統合に伴い、売上収益総利益率は50%、売上収益営業利益率は20%以上とすることを目標に掲げております。
なお、上記中期成長戦略については、IDT社買収完了後に更新・公表予定であります。
(注)中期成長戦略における業績目標は、Non-GAAPベースの数値であります。Non-GAAP業績値は、財務会計上の数値(GAAP)から非経常項目やその他特定の調整項目を控除もしくは調整したものであります。具体的には、企業買収に伴い、認識した無形固定資産の償却額およびその他のPPA(取得原価の配分)影響額、企業買収関連費用、株式報酬費用や当社グループが控除すべきと判断する一過性の利益や損失などを控除もしくは調整しております。Non-GAAPベースの数値は、当社グループの恒常的な経営成績の理解を促進する有用な情報を提供する指標と判断しております。
② 生産、受注及び販売の状況
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品群であっても、その性能、構造、形式などは必ずしも一様ではないこと、受注生産形態をとらない製品も多いことなどから、品目ごとに生産規模、受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため、生産、受注および販売の状況については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」における半導体売上収益の主要な事業内容に関連付けて示しております。
なお、主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
前連結会計年度 | 当連結会計年度 | |||
金額(百万円) | 比率(%) | 金額(百万円) | 比率(%) | |
㈱リョーサン | 106,526 | 13.7 | 94,804 | 12.5 |
(注) 上表金額には消費税等を含んでおりません。
(4) キャッシュ・フローの状況
(単位:億円)
前連結会計年度 (2017年1月1日~2017年12月31日) | 当連結会計年度 (2018年1月1日~2018年12月31日) | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 1,736 | 1,705 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △4,539 | △809 |
フリー・キャッシュ・フロー | △2,803 | 896 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | 751 | △374 |
現金及び現金同等物の期首残高 | 3,543 | 1,395 |
現金及び現金同等物の期末残高 | 1,395 | 1,888 |
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは1,705億円の収入となりました。これは主として、営業債務及びその他の債務の支払いや法人所得税等の支払いがあったものの、税引前利益を677億円計上したこと、およびその中に含まれる減価償却費及び償却費などの非資金損益項目を調整したことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは809億円の支出となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出を計上したことなどによるものであります。
この結果、当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フローは896億円の収入となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、374億円の支出となりました。これは主として、主要取引銀行などへ借入契約の返済を行ったことなどによるものであります。
現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末残高と比べ493億円増加し、1,888億円となりました。
(5) 流動性および資金の源泉
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保すること、および健全なバランスシートを維持することを基本方針としております。資金の源泉の安定的な確保のため、当社は、主要取引銀行である㈱三菱東京UFJ銀行、㈱みずほ銀行、三井住友信託銀行㈱および三菱UFJ信託銀行㈱へ既存の金銭消費貸借契約に基づく借入金を返済するとともに、新たに長期的な運転資金の確保を目的として2016年9月28日付で主要取引銀行との間で1,500億円のタームローンおよび500億円のコミットメントラインの設定に係る契約を締結し、同年9月30日付で当該タームローンを実行しました。なお、当該コミットメントラインに伴う借入を2017年12月期第1四半期中に実行しております。また、成長戦略の推進に係る資金の確保を目的として、同年10月5日付で主要取引銀行との間で500億円のタームローンに係る契約を締結しました。当該タームローンは2017年12月期第1四半期中に実行しております。
当連結会計年度末における借入金、およびリース債務を含む有利子負債の残高は1,950億円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,888億円となっております。
(6) オフバランス取引
当社グループは、資産効率を高めるために、特定の売上債権等の流動化を適宜行っております。当連結会計年度末における流動化残高は168億円であります。
また、製造設備の陳腐化による価値下落リスクの回避および収支の平準化を目的としたオペレーティング・リースを行っております。当連結会計年度末における解約不能オペレーティング・リース契約に基づく将来の最低リース料総額は128億円であります。
(7) 並行開示情報
連結財務諸表規則(第7章および第8章を除く。以下「日本基準」)により作成した要約連結財務諸表および要約連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更は、次のとおりであります。
なお、日本基準により作成した要約連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
また、日本基準により作成した要約連結財務諸表については、百万円未満を四捨五入して記載しております。
① 要約連結貸借対照表
(単位:百万円) | ||
前連結会計年度 (2017年12月31日) | 当連結会計年度 (2018年12月31日) | |
資産の部 | ||
流動資産 | 389,967 | 396,186 |
固定資産 | ||
有形固定資産 | 267,341 | 242,609 |
無形固定資産 | 334,644 | 288,284 |
投資その他の資産 | 59,522 | 40,711 |
固定資産合計 | 661,507 | 571,604 |
資産合計 | 1,051,474 | 967,790 |
負債の部 | ||
流動負債 | 281,381 | 231,442 |
固定負債 | 258,195 | 204,790 |
負債合計 | 539,576 | 436,232 |
純資産の部 | ||
株主資本 | 485,493 | 541,985 |
その他の包括利益累計額 | 21,659 | △17,983 |
新株予約権 | 2,311 | 5,165 |
非支配株主持分 | 2,435 | 2,391 |
純資産合計 | 511,898 | 531,558 |
負債純資産合計 | 1,051,474 | 967,790 |
② 要約連結損益計算書及び要約連結包括利益計算書
要約連結損益計算書
(単位:百万円) | ||
前連結会計年度 (自 2017年1月1日 至 2017年12月31日) | 当連結会計年度 (自 2018年1月1日 至 2018年12月31日) | |
売上高 | 780,261 | 757,360 |
売上原価 | 427,463 | 420,743 |
売上総利益 | 352,798 | 336,617 |
販売費及び一般管理費 | 274,398 | 269,833 |
営業利益 | 78,400 | 66,784 |
営業外収益 | 2,061 | 2,634 |
営業外費用 | 5,173 | 4,288 |
経常利益 | 75,288 | 65,130 |
特別利益 | 15,369 | 8,224 |
特別損失 | 5,865 | 17,708 |
税金等調整前当期純利益 | 84,792 | 55,646 |
法人税等 | 7,517 | 986 |
当期純利益 | 77,275 | 54,660 |
非支配株主に帰属する当期純利益 | 79 | 65 |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 77,196 | 54,595 |
要約連結包括利益計算書
(単位:百万円) | ||
前連結会計年度 (自 2017年1月1日 至 2017年12月31日) | 当連結会計年度 (自 2018年1月1日 至 2018年12月31日) | |
当期純利益 | 77,275 | 54,660 |
その他の包括利益合計 | 9,899 | △39,750 |
包括利益 | 87,174 | 14,910 |
(内訳) | ||
親会社株主に係る包括利益 | 86,946 | 14,953 |
非支配株主に係る包括利益 | 228 | △43 |
③ 要約連結株主資本等変動計算書
前連結会計年度(自 2017年1月1日 至 2017年12月31日)
(単位:百万円) | |||||
株主資本 | その他の 包括利益累計額 | 新株予約権 | 非支配株主持分 | 純資産合計 | |
当期首残高 | 408,253 | 11,909 | 23 | 2,208 | 422,393 |
当期変動額 | 77,240 | 9,750 | 2,288 | 227 | 89,505 |
当期末残高 | 485,493 | 21,659 | 2,311 | 2,435 | 511,898 |
当連結会計年度(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)
(単位:百万円) | |||||
株主資本 | その他の 包括利益累計額 | 新株予約権 | 非支配株主持分 | 純資産合計 | |
当期首残高 | 486,797 | 21,659 | 2,311 | 2,435 | 513,202 |
当期変動額 | 55,188 | △39,642 | 2,854 | △44 | 18,356 |
当期末残高 | 541,985 | △17,983 | 5,165 | 2,391 | 531,558 |
④ 要約連結キャッシュ・フロー計算書
(単位:百万円) | ||
前連結会計年度 (自 2017年1月1日 至 2017年12月31日) | 当連結会計年度 (自 2018年1月1日 至 2018年12月31日) | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 164,222 | 164,157 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △432,635 | △61,339 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | 63,243 | △50,633 |
現金及び現金同等物に係る換算差額 | △9,572 | △2,910 |
現金及び現金同等物の増減額(△は減少) | △214,742 | 49,275 |
現金及び現金同等物の期首残高 | 354,287 | 139,545 |
現金及び現金同等物の期末残高 | 139,545 | 188,820 |
⑤ 要約連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更
前連結会計年度(自 2017年1月1日 至 2017年12月31日)
(連結の範囲に関する事項)
合併、譲渡、清算により減少した会社 5社
ルネサスデザイン㈱他4社
買収および設立により増加した会社 25社
主な新規連結子会社は、次のとおりであります。
Intersil Corporation, Intersil International Operations Sdn. Bhd., Intersil Luxembourg S.a.r.l
当連結会計年度(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)
(連結の範囲に関する事項)
合併、譲渡、清算により減少した会社 3社
ルネサスエレクトロニクス・アメリカ社(※)他2社
買収および設立により増加した会社 1社
※2018年1月1日付で、ルネサスエレクトロニクス・アメリカ社は旧Intersil Corporation(以下「旧イ
ンターシル社」という。)に吸収合併され、消滅しております。また旧インターシル社はルネサスエレク
トロニクス・アメリカ社に商号変更しております。なお、ルネサスエレクトロニクス・アメリカ社は、特
定子会社に該当するものであります。
(持分法の適用に関する事項)
2018年8月1日付で、当社が保有する株式会社ルネサスイーストンの株式の一部売却に伴い、同社は当社
の持分法適用関連会社から除外されております。
(表示方法の変更)
(「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」の早期適用に伴う変更)
「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日。以下「税効果会計基準一部改正」という。)が当連結会計年度末に係る連結財務諸表から適用できるようになったことに伴い、当連結会計年度から税効果会計基準一部改正を適用し、繰延税金資産は投資その他の資産の区分に表示し、繰延税金負債は固定負債の区分に表示する方法に変更しております。
この結果、前連結会計年度の連結貸借対照表において、「流動資産」の「繰延税金資産」13,365百万円の内、2,167百万円は「投資その他の資産」の「繰延税金資産」に表示しており、また、11,198百万円は「固定負債」の「繰延税金負債」と相殺しております。
(8) 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、次のとおりであります。
前連結会計年度(自 2017年1月1日 至 2017年12月31日)
「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 43.初度適用」をご参照ください。
当連結会計年度(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)
(のれんの償却)
日本基準では20年以内の合理的な償却期間を設定し、定額法により償却を行っておりましたが、IFRSでは償却を行わず、毎期減損テストを実施しております。この結果、IFRSでは日本基準に比べ販売費及び一般管理費が20,679百万円減少しております。
(表示組替)
日本基準において営業外収益、営業外費用、特別利益および特別損失に区分していた項目を、IFRSにおいては金融関連項目(受取利息、受取配当金、支払利息および為替差損益等)を「金融収益」または「金融費用」として、それ以外の項目は、各項目の性質に応じて、「その他の収益」、「その他の費用」、「持分法による投資損益」などに表示しております。