有価証券報告書-第18期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)

【提出】
2020/03/27 15:27
【資料】
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【項目】
91項目
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績」)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定により、IFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針および、将来に関する仮定および報告期間末における見積もりの不確実性の要因となる事項は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
(2) 財政状態の状況
(単位:億円)
前連結会計年度末
(2018年12月31日)
当連結会計年度末
(2019年12月31日)
前連結会計年度末比
増(減)
資 産 合 計10,55216,6746,122
資 本 合 計6,0106,236226
親会社の所有者に帰属する持分5,9816,207226
親会社所有者帰属持分比率(%)56.737.2△19.5
有 利 子 負 債1,9507,8595,909
D/Eレシオ(倍)0.331.270.94

当連結会計年度末の資産合計は16,674億円で、前連結会計年度末と比べ6,122億円の増加となりました。これは、 第1四半期連結会計期間でのIDT社の買収により、のれんが増加したことなどによるものであります。資本合計は 6,236億円で、前連結会計年度末と比べ226億円の増加となりました。これは主に繰延ヘッジ損益の減少により、そ の他の資本の構成要素が増加したことなどによるものであります。 親会社の所有者に帰属する持分は、前連結会計年度末と比べ226億円増加し、親会社所有者帰属持分比率は37.2%となりました。有利子負債は、借入金の増加により、前連結会計年度末と比べ5,909億円の増加となりました。これらの結果、D/Eレシオは1.27倍となりました。
(3) 経営成績の状況
当社グループは、経営者が意思決定する際に使用する社内指標(以下「Non-GAAP指標」)およびIFRSに基づく指標の双方によって、連結経営成績を開示しております。
Non-GAAP営業利益は、IFRSに基づく営業利益(以下「IFRS営業利益」)から、非経常項目やその他特定の調整項目を一定のルールに基づいて控除または調整したものです。当社グループの恒常的な経営成績を理解するために有用な情報と判断しており、当社グループはNon-GAAPベースで予想値を開示しております。具体的には、企業買収に伴い、認識した無形資産の償却額およびその他のPPA(取得原価の配分)影響額、企業買収関連費用、株式報酬費用や当社グループが控除すべきと判断する一過性の利益や損失などを控除または調整しております。
なお、当連結会計年度末において企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、当連結会計年度の連結財務諸表については、取得原価の配分額の重要な見直しが反映されております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表注記 7.企業結合」をご参照ください。
さらに、2019年3月にIDT社を買収完了した後、2事業本部体制に再編したことに伴い、当社グループは、2019年12月期第3四半期から開示情報について、当社グループの主要な事業内容である「自動車向け事業」、「産業・インフラ・IoT向け事業」に変更しました。なお、上記変更に伴い、当社グループがこれまで開示していた「半導体売上収益」については、開示区分を廃止しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表注記 6.事業セグメント」をご参照ください。
(注) Non-GAAP指標の開示に際しては、米国証券取引委員会(U.S. Securities and Exchange Commission)が定める基準を参照しておりますが、同基準に完全に準拠しているものではありません。
① 当連結会計年度の業績(Non-GAAPベース)
(単位:億円)
前連結会計年度
(2018年1月1日~
2018年12月31日)
当連結会計年度
(2019年1月1日~
2019年12月31日)
前期比増(減)
Non-GAAP売上収益7,5657,182△383△5.1%
自動車3,8973,711△185△4.8%
産業・インフラ・IoT3,4663,297△169△4.9%
Non-GAAP営業利益(率)1,040
(13.8%)
931
(13.0%)
△110
(△0.8pt)
△10.6%
自動車162
(4.1%)
310
(8.3%)
+148
(+4.2pts)
+91.7%
産業・インフラ・IoT805
(23.2%)
591
(17.9%)
△215
(△5.3pts)
△26.7%
米ドル為替レート(円)110109
ユーロ為替レート(円)131123

(注)上記表の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表注記 6.事業セグメン
ト」をご参照ください。
当連結会計年度における業績は、以下のとおりです。
(Non-GAAP売上収益)
当連結会計年度のNon-GAAP売上収益は、前連結会計年度と比べ5.1%減少し7,182億円となりました。これは、主に世界経済の不透明感の高まりを背景に当社グループが注力する自動車分野と産業・インフラ・IoT分野での需要が軟化したことなどによるものです。
(Non-GAAP営業利益(率))
当連結会計年度のNon-GAAP営業利益は931億円となり、前連結会計年度と比べ110億円の減少となりました。これは、自動車向け事業および産業・インフラ・IoT向け事業のいずれについても、売上収益が減少したことなどによるものです。その結果、当連結会計年度のNon-GAAP営業利益率は、13.0%となり、前連結会計年度と比べ0.8ポイントの減少となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
<自動車向け事業>自動車向け事業には、自動車のエンジンや車体などを制御する半導体を提供する「車載制御」とカーナビゲーションなどの車載情報機器向け半導体を提供する「車載情報」が含まれております。当事業において、当社グループはそれぞれマイクロコントローラ、SoC、アナログ半導体およびパワー半導体を中心に提供しております。
当連結会計年度における自動車向け事業のNon-GAAP売上収益は、前連結会計年度と比べ4.8%減少し3,711億円となりました。「車載制御」および「車載情報」の売上収益が共に減少したことによるものであります。
当連結会計年度における自動車向け事業のNon-GAAP営業利益は、売上収益が減少したものの、R&D(研究開発費)やSG&A(販売費及び一般管理費)を抑制し、前連結会計年度と比べ148億円増加し310億円となりました。
<産業・インフラ・IoT向け事業>産業・インフラ・IoT向け事業には、スマート社会を支える「産業」、「インフラストラクチャー」および「IoT」が含まれております。当事業において、当社グループはそれぞれマイクロコントローラ、SoCおよびアナログ半導体を中心に提供しております。
当連結会計年度における産業・インフラ・IoT向け事業のNon-GAAP売上収益は、前連結会計年度と比べ4.9%減少し3,297億円となりました。「産業」、「インフラストラクチャー」および「IoT」のいずれについても売上収益が減少したことによるものであります。
当連結会計年度における産業・インフラ・IoT向け事業のNon-GAAP営業利益は、売上減による利益減により、前連結会計年度と比べ215億円減少し591億円となりました。
当社グループは2020年2月17日に中期の戦略および財務モデルをアップデートしております。当社グループでは、注力市場に経営資源を集中投下することで、Long-term targetとして市場を上回る売上成長率を実現し、生産効率の最適化、製品ミックスの改善およびIDT社の統合シナジーの発現などにより、Non-GAAPベースで売上総利益率50%、売上営業利益率20%以上とすることを目標に掲げております。
② Non-GAAP営業利益からIFRS営業利益への調整
当連結会計年度において、Non-GAAP営業利益で控除される無形資産および固定資産の償却費は476億円、株式報酬費用は120億円となりました。
(単位:億円)
前連結会計年度
(2018年1月1日~
2018年12月31日)
当連結会計年度
(2019年1月1日~
2019年12月31日)
Non-GAAP売上総利益(率)3,343(44.2%)3,163(44.0%)
無形資産および固定資産償却費△13△17
株式報酬費用△6△9
棚卸資産の時価評価額△113
その他非経常的な項目
および調整項目
6
IFRS売上総利益(率)3,324(43.9%)3,029(42.2%)
Non-GAAP営業利益(率)1,040(13.8%)931(13.0%)
無形資産および固定資産償却費△171△476
株式報酬費用△55△120
棚卸資産の時価評価額△113
その他非経常的な項目
および調整項目
△133△152
IFRS営業利益(率)682(9.0%)68(1.0%)

(注)その他非経常的な項目および調整項目には企業買収関連費用や当社グループが控除すべきと判断する一過性の利益や損失などが含まれています。
③ 当連結会計年度(2019年1月1日~2019年12月31日)の業績(GAAP、IFRS基準)
(単位:億円)
前連結会計年度
(2018年1月1日~
2018年12月31日)
当連結会計年度
(2019年1月1日~
2019年12月31日)
前期比増(減)
売上収益7,5657,182△383△5.1%
売上総利益(率)3,324(43.9%)3,029(42.2%)△295
(△1.8pts)
△8.9%
営業利益(率)682(9.0%)68(1.0%)△614
(△8.1pts)
△90.0%

④ 生産、受注及び販売の状況
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品群であっても、その性能、構造、形式などは必ずしも一様ではないこと、受注生産形態をとらない製品も多いことなどから、品目ごとに生産規模、受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため、生産、受注および販売の状況については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」におけるNon-GAAP売上収益のセグメントに関連付けて示しております。なお、主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
関連する報告セグメント名前連結会計年度当連結会計年度
金額(百万円)比率(%)金額(百万円)比率(%)
㈱リョーサン自動車および産業・インフラ・IoT94,80412.575,14610.5

(注) 上表金額には消費税等を含んでおりません。
(4) キャッシュ・フローの状況
(単位:億円)
前連結会計年度
(2018年1月1日~2018年12月31日)
当連結会計年度
(2019年1月1日~2019年12月31日)
営業活動によるキャッシュ・フロー1,7232,020
投資活動によるキャッシュ・フロー△809△7,422
フリー・キャッシュ・フロー914△5,402
財務活動によるキャッシュ・フロー△3935,005
現金及び現金同等物の期首残高1,3951,888
現金及び現金同等物の期末残高1,8881,465

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは2,020億円の収入となりました。これは主として、税引前利益の計上およびその中に含まれる減価償却費及び償却費などの非資金損益項目を調整したことや、棚卸資産の減少などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは7,422億円の支出となりました。これは主として、IDT社の株式を取得したことなどによるものであります。
この結果、当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フローは5,402億円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、5,005億円の収入となりました。これは主として、既存の借入契約の返済を行うとともにIDT社買収に必要な資金の調達および長期的な運転資金の確保を目的として主要取引先銀行から新たに借入を行ったことなどによるものであります。
(5) 流動性および資金の源泉
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保すること、および健全なバランスシートを維持することを基本方針としております。当社は、IDT社の買収に必要な資金の調達、および長期的な運転資金の確保を目的とした既存借入金の借り換えのため、2019年1月15日付で主要取引銀行である㈱三菱UFJ銀行、㈱みずほ銀行および三井住友信託銀行㈱等との間で、総額8,970億円のシンジケートローン契約を締結しました。このうち、2019年3月に6,980億円の実行可能期間付タームローンの借入を実行しました。また、2019年6月に既存のタームローンの借入を返済するとともに、1,490億円のタームローンの借入を実行しました。 当連結会計年度末における借入金の残高は7,717億円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,465億円となっております。
(6) オフバランス取引
当社グループは、資産効率を高めるために、特定の売上債権等の流動化を適宜行っております。当連結会計年度末における流動化残高は140億円であります。
(7) 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、次のとおりであります。
(のれんの償却)
日本基準では20年以内の合理的な償却期間を設定し、定額法により償却を行っておりましたが、IFRSでは償却を行わず、毎期減損テストを実施しております。この結果、IFRSでは日本基準に比べ販売費及び一般管理費が前連結会計年度は207億円減少、当連結会計年度は615億円減少しております。
(表示組替)
日本基準において営業外収益、営業外費用、特別利益および特別損失に区分していた項目を、IFRSにおいては金融関連項目(受取利息、受取配当金、支払利息および為替差損益等)を「金融収益」または「金融費用」として、それ以外の項目は、各項目の性質に応じて、「その他の収益」、「その他の費用」、「持分法による投資損益」などに表示しております。