有価証券報告書
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。なお、以下の記載事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。また、当連結会計年度から報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較は、前連結会計年度の数値を変更後のセグメントに組み替えた数値を用いて実施している。
(1) 経営成績の状況の概要及び分析・検討内容
当連結会計年度における世界経済は、各国の通商・金融政策に不透明感が生じたが、先進国を中心として概ね堅調に推移した。我が国経済も、雇用や所得の改善などにより、総じて緩やかな景気拡大が続いた。
このような状況の下、当連結会計年度における当社グループの受注高は、インダストリー&社会基盤セグメントが増加したものの、パワーセグメント、航空・防衛・宇宙セグメントが減少したことにより、前連結会計年度を3,999億75百万円(△9.4%)下回る3兆8,757億18百万円となった。
売上高は、インダストリー&社会基盤、パワー、航空・防衛・宇宙の各セグメントで増加したことにより、前連結会計年度を1,967億98百万円(+5.0%)上回る4兆1,108億16百万円となった。
一方、利益面では、航空・防衛・宇宙セグメント、インダストリー&社会基盤セグメントが減少したことなどにより、営業利益は前連結会計年度を240億13百万円(△16.0%)下回る1,265億30百万円、経常利益は前連結会計年度を98億31百万円(△7.9%)下回る1,144億62百万円となった。
また、固定資産売却益の計上があった前連結会計年度に比べて特別利益が減少したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度を172億35百万円(△19.6%)下回る704億84百万円となった。
セグメントの経営成績は、次のとおりである。
ア. パワー
世界的に低炭素化、再生可能エネルギーへの転換が加速する市場の影響等を受けて、コンベンショナルが大幅に減少したほか、GTCCの受注台数も大きく減少したことなどにより、受注高は前連結会計年度を2,888億49百万円(△16.7%)下回る1兆4,375億47百万円となった。
売上高は、火力発電システムの受注工事が着実に進捗したほか、航空機用エンジンの増加等により、前連結会計年度を455億61百万円(+3.1%)上回る1兆4,939億62百万円となった。
営業利益は、原子力機器が減少したものの、火力発電システムにおけるアフターサービスの採算が改善したことなどにより、前連結会計年度を8億80百万円(+0.8%)上回る1,089億80百万円となった。
イ. インダストリー&社会基盤
堅調に推移するインフラ投資を背景に製鉄機械が伸長したほか、先進国を中心とする景気の拡大基調を受けて、ターボチャージャ、物流機器、冷熱製品等が増加したことなどにより、受注高は、前連結会計年度を1,209億98百万円(+7.6%)上回る1兆7,113億88百万円となった。
売上高は、受注が堅調であった物流機器、ターボチャージャが増加したことに加え、商船も増加したことなどにより、前連結会計年度を1,519億5百万円(+8.7%)上回る1兆8,989億65百万円となった。
営業利益は、売上増による増加があったものの、交通システムや化学プラントで減少したことなどにより、前連結会計年度を92億40百万円(△18.4%)下回る408億53百万円となった。
ウ. 航空・防衛・宇宙
民間航空機でボーイング787向け主翼が増加したが、前年度に大型受注があった防衛航空機と飛しょう体が減少したことに加え、宇宙機器も減少したことなどにより、受注高は前連結会計年度を2,335億21百万円(△24.5%)下回る7,215億75百万円となった。
売上高は、H-ⅡAロケットの打上げ機数を伸ばした宇宙機器が増加したことなどにより、前連結会計年度を195億89百万円(+2.8%)上回る7,229億92百万円となった。
営業損益は、MRJ開発費用の増加等により、前連結会計年度から160億73百万円悪化し151億33百万円の損失となった。
エ. その他
受注高は前連結会計年度を469億67百万円(△29.3%)下回る1,135億10百万円、売上高は前連結会計年度を551億21百万円(△31.3%)下回る1,208億5百万円、営業利益は前連結会計年度を56億67百万円(△52.8%)下回る50億63百万円となった。
(2) 財政状態の状況の概要及び分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループの総資産は、前連結会計年度から56億73百万円増加し、5兆4,876億52百万円となった。
負債は、前連結会計年度から546億77百万円減少し、3兆3,231億83百万円となった。これは主として有利子負債が減少したことなどによるものである。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益704億84百万円の計上等により、前連結会計年度から603億51百万円増加し、2兆1,644億69百万円となった。
以上により、当連結会計年度の自己資本比率は33.3%(前連結会計年度末の32.5%から+0.8ポイント)となった。
(3) キャッシュ・フローの状況の概要及び分析・検討内容
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ568億32百万円(+23.4%)増加し、2,992億37百万円となった。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況の概要及び分析・検討内容は次のとおりである。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、3,451億9百万円の資金の増加となり、前連結会計年度に比べ2,491億96百万円(+259.8%)増加した。これは、バランスシート改善によるキャッシュ・フロー創出力の向上に取り組んだ結果、生産効率化によるたな卸資産圧縮や前受金獲得等により、運転資金負担が減少したことなどによるものである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、1,371億81百万円の資金の減少となり、前連結会計年度に比べ1,458億93百万円支出が増加した。これは、有形及び無形固定資産の売却による収入が減少した一方で、投資有価証券の取得による支出が増加したことなどによるものである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、1,521億13百万円の資金の減少となり、前連結会計年度に比べ99億64百万円支出が減少した。これは、社債の償還や長期借入金の返済による支出が増加した一方で、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーの返済による支出が減少したことなどによるものである。
(4) 戦略的現状と見通し
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり。
(5) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
(注)1.上記金額は、大型製品については契約金額に工事進捗度を乗じて算出計上し、その他の製品については完成数量に販売金額を乗じて算出計上している。
2.セグメント間の取引については、各セグメントの金額から消去している。
3.上記金額には、消費税等は含まれていない。
② 受注実績
(注)1.受注高については、「パワー」、「インダストリー&社会基盤」、「航空・防衛・宇宙」及び「その他」にはセグメント間の取引を含んでおり、「調整額」でセグメント間の取引を一括して消去している。
2.受注残高については、セグメント間の取引を各セグメントの金額から消去している。
また、「航空・防衛・宇宙」セグメントについては、MRJの過去の受注額を当連結会計年度から控除して表示している。
3.上記金額には、消費税等は含まれていない。
③ 販売実績
(注)1.「パワー」、「インダストリー&社会基盤」、「航空・防衛・宇宙」及び「その他」にはセグメント間の取引を含んでおり、「調整額」でセグメント間の取引を一括して消去している。
2.上記金額には、消費税等は含まれていない。
(6) 重要な会計方針及び見積
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。連結財務諸表の作成にあたり、期末時点での状況を基礎に、連結貸借対照表及び連結損益計算書に影響を与えるような項目・事象について見積を行う必要がある場合がある。
当社グループの重要な会計方針の下で、財政状態及び経営成績に影響を与える重要な項目・事象について見積を行う場合とは以下のとおりである。
ア. たな卸資産の評価
当社グループは、たな卸資産について、期末における収益性の低下の有無を判断し、収益性が低下していると判断されたものについては、帳簿価額を正味売却価額又は処分見込価額まで切り下げている。収益性の低下の有無に係る判定は、原則として個別品目ごとに、その特性や市況等を総合的に考慮して実施している。
また、受注工事に係るたな卸資産について、受注工事損失引当金の計上対象案件のうち、期末の仕掛品残高が期末の未引渡工事の契約残高を既に上回っている工事については、その上回った金額は仕掛品の評価損として計上し、収益性の低下を反映させている。
イ. 有価証券の評価
当社グループは、その他有価証券のうち時価のある有価証券について時価評価を行い、評価差額については税効果会計適用後の純額を、その他有価証券評価差額金として純資産の部に含めて表示している。時価が著しく下落して回復の見込がないと判断されるものについては減損処理を実施している。減損の判定は下落幅及び帳簿価額を下回った期間の長さを考慮して実施している。
また、時価を把握することが極めて困難と認められる有価証券については、実質価額の下落幅を考慮して減損の判定を行い、回復の見込がないと判断されるものについて減損処理を実施している。
ウ. 債権の回収可能性
当社グループは、金銭債権の回収可能性を評価して貸倒見積高を算定し、引当金を計上している。
貸倒見積高算定の対象となる債権は、日常の債権管理活動の中で、債権の計上月や弁済期限からの経過期間に債務者の信用度合等を加味して区分把握している。
貸倒見積高の算定に際しては、一般債権については貸倒実績率を適用し、貸倒懸念債権及び破産更生債権等については個別に相手先の財務状況等を考慮して、回収可能性を吟味している。
エ. 退職給付費用及び債務
当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しており、その主要な前提条件は退職給付債務の割引率及び年金資産の長期期待運用収益率である。
割引率は、期末における優良社債の利回りを基礎に設定している。年金資産の長期期待運用収益率は、現在及び予想される年金資産の配分と、年金資産を構成する多様な資産からの現在及び将来期待される長期の収益率を考慮して設定している。
オ. 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかの回収可能性を吟味し、回収が不確実であると考えられる部分に対して評価性引当額を計上して繰延税金資産を減額している。
回収可能性の判断に際しては、将来の課税所得の見積額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上している。
カ. 収益及び費用の計上基準
当社グループは、工事契約のうち期末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については工事進行基準により、その他については契約条件に基づく引渡し又は役務提供完了時点(見込品の場合は工場出荷時点)に収益を計上している。
工事進行基準の進捗率の見積は原価比例法によっており、進捗率の見積に用いる工事収益総額、工事原価総額、決算日における工事進捗度のすべてが信頼性をもって見積ることができる場合に、成果の確実性が認められる工事として工事進行基準を適用している。
また、未引渡工事のうち期末で損失が確実視され、かつ、その金額を合理的に見積ることができる工事については、翌期以降に発生が見込まれる損失を受注工事損失引当金に計上している。
キ. 固定資産の減損
当社グループの資産グルーピングは、主として戦略的事業評価制度における事業単位とし、賃貸用資産、遊休資産及び事業の廃止・移管に伴う処分見込資産は原則として個々の資産グループとして取り扱っている。当該資産又は資産グループが生み出す将来キャッシュ・フローが帳簿価格を下回った場合は、帳簿価額を回収可能価額まで減額している。回収可能価額は正味売却額と使用価値のいずれか高い方の金額としている。正味売却額は処分見込価格から処分見込費用を控除した額を使用しており、使用価値は将来キャッシュ・フローに基づき算定している。
(7) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営に影響を与える大きな要因としては、市場動向、為替動向、資材費動向、海外事業における個々の契約、事故・災害、ものづくり力低下等がある。
市場動向については、当社グループの事業が関係する市場の多くにおいては、国内外の巨大企業との熾烈なグローバル競争が今後も展開されると予想されることから、当社グループを取り巻く経営環境は依然として厳しい状況で推移するものと認識している。こうした中、当社グループは、グローバル市場におけるリスクへの対応力を高め、名実ともに存在感のある企業グループとして勝ち残り、成長していくため、事業規模の拡大と利益増大による財務基盤の強化を図るとともに、企業統治・業務執行体制を高度化していく。
為替動向については、当社グループの輸出・海外事業の取引が主に外貨建てで行われていることから、事業競争力や経営成績に与える影響が大きく、為替変動リスクを最小限に抑える必要がある。このため、海外調達や海外生産を拡大し外貨建て債務を増加させることで外貨建て債権に係る為替リスクの低減を図るとともに、円建て契約の推進やタイムリーな為替予約の実施等によるリスクヘッジにも取り組んでいく。
資材費動向については、鋼材、非鉄金属、原油等の価格上昇への対応、設計の標準化、部品の共有化、標準品の採用推進、包括契約・海外生産の拡大等に取り組むほか、資材取引先との関係を強化し、従来以上に密接な情報交換を行い、更なるコスト削減努力を行っていく。
海外事業における個々の契約については、現地調達資材の品質不良・納期遅延、現地労働者の技量不足や労働慣習の特異性に加え、契約条件の片務性等のリスクがある。これらのリスクを回避・低減するため、契約の締結前に、事業部門だけではなくコーポレート部門も関与し、現地で調達・労働契約等を締結する際の留意事項を確認するとともに、顧客との契約条件については徹底した事前検証を行い、片務的条件の排除を図っていく。
事故・災害については、現場作業に携わる作業員の意識改革など継続的な現場管理活動により、経営に重大な影響を与えるような事故・災害の事前抑制に努めていく。
ものづくり力低下については、特に世代交代に伴う技術・技能の伝承問題等が懸念されるが、生産プロセス革新に向けた合理化投資やものづくり技術等への研究開発投資を集中的に行うとともに、人材の強化・育成に取り組むことで、ものづくり基盤の維持・強化を図っていく。
(8) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
ア. キャッシュ・フロー計算書に係る分析
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、3,451億9百万円の資金の増加となり、前連結会計年度に比べ2,491億96百万円増加した。これは、バランスシート改善によるキャッシュ・フロー創出力の向上に取り組んだ結果、生産効率化によるたな卸資産圧縮や前受金獲得等により、運転資金負担が減少したことなどによるものである。
投資活動によるキャッシュ・フローは、1,371億81百万円の資金の減少となり、前連結会計年度に比べ1,458億93百万円支出が増加した。これは、有形及び無形固定資産の売却による収入が減少した一方で、投資有価証券の取得による支出が増加したことなどによるものである。
財務活動によるキャッシュ・フローは、1,521億13百万円の資金の減少となり、前連結会計年度に比べ99億64百万円支出が減少した。これは、社債の償還や長期借入金の返済による支出が増加した一方で、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーの返済のよる支出が減少したことなどによるものである。
イ. 資金需要の主な内容
当社グループの資金需要は、営業活動については、生産活動に必要な運転資金(材料・外注費及び人件費等)、受注獲得のための引合費用等の販売費、製品競争力強化・ものづくり力強化及び新規事業立上げに資するための研究開発費が主な内容である。投資活動については、事業伸長・生産性向上及び新規事業立上げを目的とした設備投資並びに事業遂行に関連した投資有価証券の取得が主な内容である。
今後、成長分野に対しては必要な設備投資や研究開発投資、投資有価証券の取得等を継続していく予定である。全体的には、将来見込まれる成長分野での資金需要も見据え、最新の市場環境や受注動向も勘案し、資産の圧縮及び投資案件の選別を行っていく予定である。
ウ. 有利子負債の内訳及び使途
平成30年3月31日現在の有利子負債の内訳は下記のとおりである。
当社グループは比較的工期の長い工事案件が多く、生産設備も大型機械設備を多く所有していることもあり、一定水準の安定的な運転資金及び設備資金を確保しておく必要がある。近年の事業規模拡大により、これら必要資金は増加する傾向にあるが、その一方で、引き続き資産圧縮に努め、期限の到来した借入金を返済してきた結果、当連結会計年度末の有利子負債の構成は、償還期限が1年以内のものが3,285億40百万円、償還期限が1年を超えるものが4,846億30百万円となり、合計で8,131億71百万円となった。
これらの有利子負債は事業活動に必要な運転資金、投資資金に使用しており、資金需要が見込まれる火力発電システム、民間航空機等の伸長分野を中心に使用していく予定である。
エ. 財務政策
当社グループは、運転資金、投資資金についてはまず営業キャッシュ・フローで獲得した資金を投入し、不足分について有利子負債の調達を実施している。
長期借入金、社債等の長期資金の調達については、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金の償還時期等を考慮の上、調達規模、調達手段を適宜判断して実施していくこととしている。
一方で、有利子負債を圧縮するため、キャッシュマネジメントシステムにより当社グループ内での余剰資金の有効活用を図っており、また、売上債権、たな卸資産の圧縮や固定資産の稼働率向上等を通じて資産効率の改善にも取り組んでいる。
自己株式については、事業計画の推進状況、当社の業績見通し、株価動向、財政状況及び金融市場環境の改善等を総合的に勘案して取得を検討していくこととしている。
(1) 経営成績の状況の概要及び分析・検討内容
当連結会計年度における世界経済は、各国の通商・金融政策に不透明感が生じたが、先進国を中心として概ね堅調に推移した。我が国経済も、雇用や所得の改善などにより、総じて緩やかな景気拡大が続いた。
このような状況の下、当連結会計年度における当社グループの受注高は、インダストリー&社会基盤セグメントが増加したものの、パワーセグメント、航空・防衛・宇宙セグメントが減少したことにより、前連結会計年度を3,999億75百万円(△9.4%)下回る3兆8,757億18百万円となった。
売上高は、インダストリー&社会基盤、パワー、航空・防衛・宇宙の各セグメントで増加したことにより、前連結会計年度を1,967億98百万円(+5.0%)上回る4兆1,108億16百万円となった。
一方、利益面では、航空・防衛・宇宙セグメント、インダストリー&社会基盤セグメントが減少したことなどにより、営業利益は前連結会計年度を240億13百万円(△16.0%)下回る1,265億30百万円、経常利益は前連結会計年度を98億31百万円(△7.9%)下回る1,144億62百万円となった。
また、固定資産売却益の計上があった前連結会計年度に比べて特別利益が減少したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度を172億35百万円(△19.6%)下回る704億84百万円となった。
セグメントの経営成績は、次のとおりである。
ア. パワー
世界的に低炭素化、再生可能エネルギーへの転換が加速する市場の影響等を受けて、コンベンショナルが大幅に減少したほか、GTCCの受注台数も大きく減少したことなどにより、受注高は前連結会計年度を2,888億49百万円(△16.7%)下回る1兆4,375億47百万円となった。
売上高は、火力発電システムの受注工事が着実に進捗したほか、航空機用エンジンの増加等により、前連結会計年度を455億61百万円(+3.1%)上回る1兆4,939億62百万円となった。
営業利益は、原子力機器が減少したものの、火力発電システムにおけるアフターサービスの採算が改善したことなどにより、前連結会計年度を8億80百万円(+0.8%)上回る1,089億80百万円となった。
イ. インダストリー&社会基盤
堅調に推移するインフラ投資を背景に製鉄機械が伸長したほか、先進国を中心とする景気の拡大基調を受けて、ターボチャージャ、物流機器、冷熱製品等が増加したことなどにより、受注高は、前連結会計年度を1,209億98百万円(+7.6%)上回る1兆7,113億88百万円となった。
売上高は、受注が堅調であった物流機器、ターボチャージャが増加したことに加え、商船も増加したことなどにより、前連結会計年度を1,519億5百万円(+8.7%)上回る1兆8,989億65百万円となった。
営業利益は、売上増による増加があったものの、交通システムや化学プラントで減少したことなどにより、前連結会計年度を92億40百万円(△18.4%)下回る408億53百万円となった。
ウ. 航空・防衛・宇宙
民間航空機でボーイング787向け主翼が増加したが、前年度に大型受注があった防衛航空機と飛しょう体が減少したことに加え、宇宙機器も減少したことなどにより、受注高は前連結会計年度を2,335億21百万円(△24.5%)下回る7,215億75百万円となった。
売上高は、H-ⅡAロケットの打上げ機数を伸ばした宇宙機器が増加したことなどにより、前連結会計年度を195億89百万円(+2.8%)上回る7,229億92百万円となった。
営業損益は、MRJ開発費用の増加等により、前連結会計年度から160億73百万円悪化し151億33百万円の損失となった。
エ. その他
受注高は前連結会計年度を469億67百万円(△29.3%)下回る1,135億10百万円、売上高は前連結会計年度を551億21百万円(△31.3%)下回る1,208億5百万円、営業利益は前連結会計年度を56億67百万円(△52.8%)下回る50億63百万円となった。
(2) 財政状態の状況の概要及び分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループの総資産は、前連結会計年度から56億73百万円増加し、5兆4,876億52百万円となった。
負債は、前連結会計年度から546億77百万円減少し、3兆3,231億83百万円となった。これは主として有利子負債が減少したことなどによるものである。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益704億84百万円の計上等により、前連結会計年度から603億51百万円増加し、2兆1,644億69百万円となった。
以上により、当連結会計年度の自己資本比率は33.3%(前連結会計年度末の32.5%から+0.8ポイント)となった。
(3) キャッシュ・フローの状況の概要及び分析・検討内容
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ568億32百万円(+23.4%)増加し、2,992億37百万円となった。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況の概要及び分析・検討内容は次のとおりである。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、3,451億9百万円の資金の増加となり、前連結会計年度に比べ2,491億96百万円(+259.8%)増加した。これは、バランスシート改善によるキャッシュ・フロー創出力の向上に取り組んだ結果、生産効率化によるたな卸資産圧縮や前受金獲得等により、運転資金負担が減少したことなどによるものである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、1,371億81百万円の資金の減少となり、前連結会計年度に比べ1,458億93百万円支出が増加した。これは、有形及び無形固定資産の売却による収入が減少した一方で、投資有価証券の取得による支出が増加したことなどによるものである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、1,521億13百万円の資金の減少となり、前連結会計年度に比べ99億64百万円支出が減少した。これは、社債の償還や長期借入金の返済による支出が増加した一方で、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーの返済による支出が減少したことなどによるものである。
(4) 戦略的現状と見通し
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり。
(5) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) | |
| 金額(百万円) | 前連結会計年度比(%) | |
| パワー | 1,445,709 | △3.6 |
| インダストリー&社会基盤 | 1,968,059 | +13.1 |
| 航空・防衛・宇宙 | 722,193 | +4.3 |
| その他 | 39,879 | △32.6 |
| 合計 | 4,175,841 | +4.6 |
(注)1.上記金額は、大型製品については契約金額に工事進捗度を乗じて算出計上し、その他の製品については完成数量に販売金額を乗じて算出計上している。
2.セグメント間の取引については、各セグメントの金額から消去している。
3.上記金額には、消費税等は含まれていない。
② 受注実績
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) | |||
| 受注高(百万円) | 前連結会計年度比(%) | 受注残高(百万円) | 前連結会計年度比(%) | |
| パワー | 1,437,547 | △16.7 | 3,634,818 | +0.1 |
| インダストリー&社会基盤 | 1,711,388 | +7.6 | 1,265,978 | △15.9 |
| 航空・防衛・宇宙 | 721,575 | △24.5 | 1,204,513 | △36.1 |
| その他 | 113,510 | △29.3 | 6,311 | △25.7 |
| 調整額 | △108,302 | ― | ― | ― |
| 合計 | 3,875,718 | △9.4 | 6,111,621 | △13.0 |
(注)1.受注高については、「パワー」、「インダストリー&社会基盤」、「航空・防衛・宇宙」及び「その他」にはセグメント間の取引を含んでおり、「調整額」でセグメント間の取引を一括して消去している。
2.受注残高については、セグメント間の取引を各セグメントの金額から消去している。
また、「航空・防衛・宇宙」セグメントについては、MRJの過去の受注額を当連結会計年度から控除して表示している。
3.上記金額には、消費税等は含まれていない。
③ 販売実績
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) | |
| 金額(百万円) | 前連結会計年度比(%) | |
| パワー | 1,493,962 | +3.1 |
| インダストリー&社会基盤 | 1,898,965 | +8.7 |
| 航空・防衛・宇宙 | 722,992 | +2.8 |
| その他 | 120,805 | △31.3 |
| 調整額 | △125,909 | ― |
| 合計 | 4,110,816 | +5.0 |
(注)1.「パワー」、「インダストリー&社会基盤」、「航空・防衛・宇宙」及び「その他」にはセグメント間の取引を含んでおり、「調整額」でセグメント間の取引を一括して消去している。
2.上記金額には、消費税等は含まれていない。
(6) 重要な会計方針及び見積
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。連結財務諸表の作成にあたり、期末時点での状況を基礎に、連結貸借対照表及び連結損益計算書に影響を与えるような項目・事象について見積を行う必要がある場合がある。
当社グループの重要な会計方針の下で、財政状態及び経営成績に影響を与える重要な項目・事象について見積を行う場合とは以下のとおりである。
ア. たな卸資産の評価
当社グループは、たな卸資産について、期末における収益性の低下の有無を判断し、収益性が低下していると判断されたものについては、帳簿価額を正味売却価額又は処分見込価額まで切り下げている。収益性の低下の有無に係る判定は、原則として個別品目ごとに、その特性や市況等を総合的に考慮して実施している。
また、受注工事に係るたな卸資産について、受注工事損失引当金の計上対象案件のうち、期末の仕掛品残高が期末の未引渡工事の契約残高を既に上回っている工事については、その上回った金額は仕掛品の評価損として計上し、収益性の低下を反映させている。
イ. 有価証券の評価
当社グループは、その他有価証券のうち時価のある有価証券について時価評価を行い、評価差額については税効果会計適用後の純額を、その他有価証券評価差額金として純資産の部に含めて表示している。時価が著しく下落して回復の見込がないと判断されるものについては減損処理を実施している。減損の判定は下落幅及び帳簿価額を下回った期間の長さを考慮して実施している。
また、時価を把握することが極めて困難と認められる有価証券については、実質価額の下落幅を考慮して減損の判定を行い、回復の見込がないと判断されるものについて減損処理を実施している。
ウ. 債権の回収可能性
当社グループは、金銭債権の回収可能性を評価して貸倒見積高を算定し、引当金を計上している。
貸倒見積高算定の対象となる債権は、日常の債権管理活動の中で、債権の計上月や弁済期限からの経過期間に債務者の信用度合等を加味して区分把握している。
貸倒見積高の算定に際しては、一般債権については貸倒実績率を適用し、貸倒懸念債権及び破産更生債権等については個別に相手先の財務状況等を考慮して、回収可能性を吟味している。
エ. 退職給付費用及び債務
当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しており、その主要な前提条件は退職給付債務の割引率及び年金資産の長期期待運用収益率である。
割引率は、期末における優良社債の利回りを基礎に設定している。年金資産の長期期待運用収益率は、現在及び予想される年金資産の配分と、年金資産を構成する多様な資産からの現在及び将来期待される長期の収益率を考慮して設定している。
オ. 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかの回収可能性を吟味し、回収が不確実であると考えられる部分に対して評価性引当額を計上して繰延税金資産を減額している。
回収可能性の判断に際しては、将来の課税所得の見積額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上している。
カ. 収益及び費用の計上基準
当社グループは、工事契約のうち期末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については工事進行基準により、その他については契約条件に基づく引渡し又は役務提供完了時点(見込品の場合は工場出荷時点)に収益を計上している。
工事進行基準の進捗率の見積は原価比例法によっており、進捗率の見積に用いる工事収益総額、工事原価総額、決算日における工事進捗度のすべてが信頼性をもって見積ることができる場合に、成果の確実性が認められる工事として工事進行基準を適用している。
また、未引渡工事のうち期末で損失が確実視され、かつ、その金額を合理的に見積ることができる工事については、翌期以降に発生が見込まれる損失を受注工事損失引当金に計上している。
キ. 固定資産の減損
当社グループの資産グルーピングは、主として戦略的事業評価制度における事業単位とし、賃貸用資産、遊休資産及び事業の廃止・移管に伴う処分見込資産は原則として個々の資産グループとして取り扱っている。当該資産又は資産グループが生み出す将来キャッシュ・フローが帳簿価格を下回った場合は、帳簿価額を回収可能価額まで減額している。回収可能価額は正味売却額と使用価値のいずれか高い方の金額としている。正味売却額は処分見込価格から処分見込費用を控除した額を使用しており、使用価値は将来キャッシュ・フローに基づき算定している。
(7) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営に影響を与える大きな要因としては、市場動向、為替動向、資材費動向、海外事業における個々の契約、事故・災害、ものづくり力低下等がある。
市場動向については、当社グループの事業が関係する市場の多くにおいては、国内外の巨大企業との熾烈なグローバル競争が今後も展開されると予想されることから、当社グループを取り巻く経営環境は依然として厳しい状況で推移するものと認識している。こうした中、当社グループは、グローバル市場におけるリスクへの対応力を高め、名実ともに存在感のある企業グループとして勝ち残り、成長していくため、事業規模の拡大と利益増大による財務基盤の強化を図るとともに、企業統治・業務執行体制を高度化していく。
為替動向については、当社グループの輸出・海外事業の取引が主に外貨建てで行われていることから、事業競争力や経営成績に与える影響が大きく、為替変動リスクを最小限に抑える必要がある。このため、海外調達や海外生産を拡大し外貨建て債務を増加させることで外貨建て債権に係る為替リスクの低減を図るとともに、円建て契約の推進やタイムリーな為替予約の実施等によるリスクヘッジにも取り組んでいく。
資材費動向については、鋼材、非鉄金属、原油等の価格上昇への対応、設計の標準化、部品の共有化、標準品の採用推進、包括契約・海外生産の拡大等に取り組むほか、資材取引先との関係を強化し、従来以上に密接な情報交換を行い、更なるコスト削減努力を行っていく。
海外事業における個々の契約については、現地調達資材の品質不良・納期遅延、現地労働者の技量不足や労働慣習の特異性に加え、契約条件の片務性等のリスクがある。これらのリスクを回避・低減するため、契約の締結前に、事業部門だけではなくコーポレート部門も関与し、現地で調達・労働契約等を締結する際の留意事項を確認するとともに、顧客との契約条件については徹底した事前検証を行い、片務的条件の排除を図っていく。
事故・災害については、現場作業に携わる作業員の意識改革など継続的な現場管理活動により、経営に重大な影響を与えるような事故・災害の事前抑制に努めていく。
ものづくり力低下については、特に世代交代に伴う技術・技能の伝承問題等が懸念されるが、生産プロセス革新に向けた合理化投資やものづくり技術等への研究開発投資を集中的に行うとともに、人材の強化・育成に取り組むことで、ものづくり基盤の維持・強化を図っていく。
(8) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
ア. キャッシュ・フロー計算書に係る分析
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、3,451億9百万円の資金の増加となり、前連結会計年度に比べ2,491億96百万円増加した。これは、バランスシート改善によるキャッシュ・フロー創出力の向上に取り組んだ結果、生産効率化によるたな卸資産圧縮や前受金獲得等により、運転資金負担が減少したことなどによるものである。
投資活動によるキャッシュ・フローは、1,371億81百万円の資金の減少となり、前連結会計年度に比べ1,458億93百万円支出が増加した。これは、有形及び無形固定資産の売却による収入が減少した一方で、投資有価証券の取得による支出が増加したことなどによるものである。
財務活動によるキャッシュ・フローは、1,521億13百万円の資金の減少となり、前連結会計年度に比べ99億64百万円支出が減少した。これは、社債の償還や長期借入金の返済による支出が増加した一方で、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーの返済のよる支出が減少したことなどによるものである。
イ. 資金需要の主な内容
当社グループの資金需要は、営業活動については、生産活動に必要な運転資金(材料・外注費及び人件費等)、受注獲得のための引合費用等の販売費、製品競争力強化・ものづくり力強化及び新規事業立上げに資するための研究開発費が主な内容である。投資活動については、事業伸長・生産性向上及び新規事業立上げを目的とした設備投資並びに事業遂行に関連した投資有価証券の取得が主な内容である。
今後、成長分野に対しては必要な設備投資や研究開発投資、投資有価証券の取得等を継続していく予定である。全体的には、将来見込まれる成長分野での資金需要も見据え、最新の市場環境や受注動向も勘案し、資産の圧縮及び投資案件の選別を行っていく予定である。
ウ. 有利子負債の内訳及び使途
平成30年3月31日現在の有利子負債の内訳は下記のとおりである。
| (単位:百万円) |
| 合計 | 償還1年以内 | 償還1年超 | |
| 短期借入金 | 229,584 | 229,584 | - |
| 長期借入金 | 348,586 | 68,956 | 279,630 |
| 社債 | 235,000 | 30,000 | 205,000 |
| 合計 | 813,171 | 328,540 | 484,630 |
当社グループは比較的工期の長い工事案件が多く、生産設備も大型機械設備を多く所有していることもあり、一定水準の安定的な運転資金及び設備資金を確保しておく必要がある。近年の事業規模拡大により、これら必要資金は増加する傾向にあるが、その一方で、引き続き資産圧縮に努め、期限の到来した借入金を返済してきた結果、当連結会計年度末の有利子負債の構成は、償還期限が1年以内のものが3,285億40百万円、償還期限が1年を超えるものが4,846億30百万円となり、合計で8,131億71百万円となった。
これらの有利子負債は事業活動に必要な運転資金、投資資金に使用しており、資金需要が見込まれる火力発電システム、民間航空機等の伸長分野を中心に使用していく予定である。
エ. 財務政策
当社グループは、運転資金、投資資金についてはまず営業キャッシュ・フローで獲得した資金を投入し、不足分について有利子負債の調達を実施している。
長期借入金、社債等の長期資金の調達については、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金の償還時期等を考慮の上、調達規模、調達手段を適宜判断して実施していくこととしている。
一方で、有利子負債を圧縮するため、キャッシュマネジメントシステムにより当社グループ内での余剰資金の有効活用を図っており、また、売上債権、たな卸資産の圧縮や固定資産の稼働率向上等を通じて資産効率の改善にも取り組んでいる。
自己株式については、事業計画の推進状況、当社の業績見通し、株価動向、財政状況及び金融市場環境の改善等を総合的に勘案して取得を検討していくこととしている。