有価証券報告書-第203期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/19 13:21
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当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。これらは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の経営方針・経営戦略等を踏まえて分析しています。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1) 経営成績の状況
① 連結業績の概況
世界経済は、中東情勢を発端とする原油価格高騰と供給制約により各国において景気減速やインフレなどのリスクが顕在化しています。更に、長期化する中国経済の停滞や米中関係の緊張、米国関税の影響も重なり、先行きは不透明さを増しています。
国内においては、好調な雇用・所得環境や個人消費の回復、設備投資の拡大など内需主導で緩やかな景気回復が続いているものの、今後の中東情勢や各国の政策、金融資本市場の動向などの経済への影響には引き続き注視が必要です。特に中東情勢の動向については、原油の供給制約により一部の事業で操業に影響が出始めており、当社グループとしても慎重に見極めて対応していきます。
このような経営環境の中で、当連結会計年度における当社グループの連結受注高は、航空宇宙システム事業で減少となったものの、車両事業、精密機械・ロボット事業などでの増加により、前期比で増加となりました。連結売上収益については、パワースポーツ&エンジン事業を中心とした各事業での増収により、前期比で増収となりました。利益面に関しては、事業利益は、パワースポーツ&エンジン事業での減益はあったものの、エネルギーソリューション&マリン事業、精密機械・ロボット事業での増益などにより、前期比で増益となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、事業利益の増加や為替差損益の改善などにより、前期比で増益となりました。
この結果、当社グループの連結受注高は前期比1,084億円増加の2兆7,391億円、連結売上収益は前期比1,819億円増収の2兆3,112億円、事業利益は前期比19億円増益の1,451億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期比201億円増益の1,081億円となりました。また、事業利益率は6.3%、税後ROIC※は9.0%、ROEは13.7%となりました。なお、株価変動による資本構成の変化等を反映し、資本コスト(WACC)は約10%と算出しています。
2024年に判明した当社グループの潜水艦修繕事業及び舶用エンジン事業における不正事案については、特別調査委員会による中間報告を同年12月及び2025年1月に公表しました。また、両事案に関する類似案件の有無に係る追加調査についても、その調査結果を2025年12月に公表しました。
同追加調査をもって特別調査委員会による調査は完了しましたが、当社グループでは度重なるコンプライアンス事案の判明並びに両事案の特別調査委員会からの報告を重く受け止めるとともに、提言された再発防止策も踏まえて、引き続き社長を委員長とするコンプライアンス特別推進委員会主導のもと、グループ全体のコンプライアンス・ガバナンス体制の強化に向けた実効性の高い再発防止策に徹底して取り組み、皆様からの信頼回復に全力で努めてまいります。
本件の影響額は当連結会計年度の期末日時点の見積もりに基づいて反映しておりますが、今後開示すべき事項が発生した場合は速やかに公表いたします。
※ 税後ROIC = (親会社の所有者に帰属する当期利益 + 支払利息 × (1 - 実効税率)) ÷ 投下資本
(純有利子負債の期首・期末平均 + 自己資本の期首・期末平均)
② セグメント別業績の概要
航空宇宙システム事業
抜本的な防衛力強化や航空旅客需要の回復による需要の増加が期待される中で、連結受注高は、民間航空機向け分担製造品や民間航空エンジン分担製造品などが増加したものの、防衛省向けの大口案件の受注があった前期に比べ719億円減少の8,109億円となりました。
連結売上収益は、防衛省向けや民間航空機向け分担製造品などが増加したことにより、前期に比べ458億円増収の6,136億円となりました。
事業利益は、増収などにより、前期に比べ66億円増益の624億円となりました。
車両事業
国内市場はインバウンドの復調等により鉄道車両への投資が継続しており、海外市場は大都市の混雑緩和対策のための都市交通整備などに伴う需要が見込まれる中で、連結受注高は、前期に引き続きニューヨーク市交通局向け新型地下鉄電車を受注したことなどにより、前期に比べ675億円増加の3,191億円となりました。
連結売上収益は、国内・米国向けが増加したことなどにより、前期に比べ138億円増収の2,362億円となりました。
事業利益は、増収などにより、前期に比べ2億円増益の86億円となりました。
エネルギーソリューション&マリン事業
国内外の分散型電源需要やエネルギーインフラ整備需要は依然根強く、国内ごみ焼却設備の老朽化更新需要も継続しています。連結受注高は、前期に複数隻を受注したLPG/アンモニア運搬船などの減少はあったものの、国内向けごみ処理施設建替工事や国内向けLNG基地大型増強工事を受注したことなどにより、前期に比べ108億円増加の5,529億円となりました。
連結売上収益は、船舶海洋分野やプラント分野での増収などにより、前期に比べ354億円増収の4,335億円となりました。
事業利益は、増収や持分法による投資利益の増加などにより、前期に比べ107億円増益の550億円となりました。
精密機械・ロボット事業
中国建設機械市場は鉱山向け需要や輸出を中心に拡大傾向にあり、AI向け半導体の急成長と汎用メモリの深刻な不足により、半導体製造装置向けロボットの需要が高まる傾向にある中で、連結受注高は、中国建設機械市場向け油圧機器が増加したことなどにより、前期に比べ292億円増加の2,785億円となりました。
連結売上収益は、中国建設機械市場向け油圧機器が好調を維持していることや半導体製造装置向けロボットが増加したことなどにより、前期に比べ176億円増収の2,591億円となりました。
事業利益は、増収や持分法による投資損益の改善などにより、前期に比べ73億円増益の143億円となりました。
パワースポーツ&エンジン事業
米国における関税措置を背景とした市場環境の変化やコスト構造の変化に加えて、中東情勢の影響が懸念される中で、連結売上収益は、北米向け四輪車や先進国向け二輪車の増加などにより、前期に比べ734億円増収の6,828億円となりました。
事業利益は、増収はあったものの、関税コストの上昇に加え、米国パワースポーツ市場における競争環境激化を背景とした採算性の低下、増産投資に伴う固定費の増加などにより、前期に比べ251億円減益の227億円となりました。
その他事業
連結売上収益は、前期に比べ43億円減収の858億円となりました。
事業利益は、前期に比べ18億円増益の70億円となりました。
当社グループは「グループビジョン2030」において、注力するフィールドを「安全安心リモート社会」「近未来モビリティ」「エネルギー・環境ソリューション」とし、手術支援ロボットや屋内配送ロボットなどの製品・サービスとAI・遠隔技術を組み合わせた病院経営の効率化支援などや、通常の物資輸送だけでなく災害時を含めた様々なケースでの活用を想定した無人ヘリコプタなどのモビリティの開発に取り組んでいます。また、水素エネルギーは我が国のカーボンニュートラルだけでなくエネルギー安全保障の観点からも重要性を増しており、液化水素サプライチェーン商用化実証を開始するなど、CO2分離・回収・利用事業などと合わせて早期実用化を目指しています。
(2) 財政状態の状況
(資産)
流動資産は、営業債権及びその他の債権などの増加により前期末に比べ2,321億円増加し、2兆2,560億円となりました。
非流動資産は、有形固定資産の増加などにより前期末に比べ755億円増加し、1兆685億円となりました。
この結果、総資産は前期末に比べ3,076億円増加の3兆3,246億円となりました。
(負債)
有利子負債は、前期末に比べ863億円減少の6,061億円となりました。
負債全体では、営業債務及びその他の債務や契約負債の増加などにより前期末に比べ842億円増加の2兆3,761億円となりました。
(資本)
資本は、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上などにより、前期末に比べ2,234億円増加の9,484億円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当期末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は前期末に比べ173億円減の1,154億円となりました。当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前期に比べ88億円減の1,400億円となりました。収入の主な内訳は、減価償却費及び償却費1,038億円、営業債務及びその他の債務の増加額667億円であり、支出の主な内訳は、営業債権及びその他の債権の増加額864億円、前渡金の増加額332億円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、前期に比べ168億円増の1,280億円となりました。これは主に有形固定資産の取得によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は、前期に比べ428億円増の332億円となりました。これは主に短期借入金の純減によるものです。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 財務政策
当社グループの運転資金・投資向け資金等の必要資金については、主として営業キャッシュ・フローで獲得した資金を財源としていますが、必要に応じて、短期的な資金については銀行借入やコマーシャル・ペーパーなど、設備投資資金・投融資資金等の長期的な資金については、設備投資・事業投資計画に基づき、金融市場動向や固定資産とのバランス、既存借入金及び既発行債の償還時期などを総合的に勘案し、長期借入金や社債などによって調達しています。
当社グループは上述の多様な資金調達源に加え、複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結しており、事業活動に必要な資金の流動性を確保しています。また、当社と国内子会社間、また海外の一部地域の関係会社間ではキャッシュ・マネジメント・システムによる資金融通を行っており、グループ内の資金効率向上に努めています。
② 資金需要の主な内容
当社グループの資金需要は、営業活動に係る資金支出では生産活動に必要な運転資金(材料費、外注費、人件費等)、受注活動又は販売促進のための販売費、新規事業の立ち上げや製品競争力の強化のための研究開発費などがあります。投資活動に係る資金支出には、事業の遂行、新規立ち上げ、生産性向上のための設備や施設への投資などがあります。
(5) 経営方針・経営戦略及び経営指標等に照らした経営成績等の分析・検討
当社グループは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標を事業利益率及びROICとし、事業利益率については2027年度に8%、2030年度に10%超の水準、税後ROICについては資本コスト(WACC)+3%以上を確保すべく努めていきます。なお、株価変動による資本構成の変化等を反映し、現状のWACCは約10%と算出しています。
2025年度は、事業利益1,451億円、事業利益率6.3%、税後ROIC9.0%とパワースポーツ&エンジン事業での減益はあったものの、エネルギーソリューション&マリン事業、精密機械・ロボット事業での増益などにより、前期比で増益となりました。
2026年度は、各事業の増収による増益に加え、エネルギーソリューション&マリン事業の採算性改善が進み、事業利益は1,700億円、事業利益率6.6%、税後ROIC8.6%を見込んでいます。なお、中東情勢による足元の当社グループの業績への影響については一定程度反映しています。収益性の向上及び有利子負債の圧縮に取り組み、掲げた見通しの超過達成に向けて取り組んでいきます。
「グループビジョン2030」においては、まずパワースポーツ&エンジン事業をはじめとする量産系事業がコロナ禍から立ち上がり、航空宇宙システム事業をはじめとする受注系事業の業績が回復・拡大し、更に水素や医療ロボットといった新規事業が収益の柱となって安定的な成長軌道を描くことを目指しています。現状はまさに受注系事業が成長軌道に回帰した段階であり、掲げた成長シナリオに沿って進捗していると考えています。為替の変動や関税政策動向をはじめ、中東情勢等、先行きへの不透明感はありますが、目標とする水準に向け、各事業における重点施策の着実な実行に加え、適正な販売価格の実現やコスト競争力の強化に継続的に取り組んでいきます。
また、2025年度のフリー・キャッシュ・フローに関しては120億円と2期連続の黒字となりました。引き続き収益性の向上及び運転資本の効率的な運用により安定的なキャッシュ・フローの獲得に努めていきます。
なお、前連結会計年度及び当連結会計年度の全社及びセグメントごとの事業利益率は、次のとおりです。
(単位:%)
セグメントの名称前連結会計年度当連結会計年度変動
航空宇宙システム9.810.20.4
車両3.83.7△0.1
エネルギーソリューション&マリン11.112.71.6
精密機械・ロボット2.95.62.7
パワースポーツ&エンジン7.93.3△4.6
その他5.98.32.4
全社6.76.3△0.4

精密機械・ロボット事業においては、増収や持分法による投資損益の改善などにより、前期に比べ2.7ポイント上昇しました。また、エネルギーソリューション&マリン事業においては、増収や持分法による投資利益の増加などにより、前期に比べ1.6ポイント上昇しました。一方で、パワースポーツ&エンジン事業においては、増収はあったものの、関税コストの上昇に加え、米国パワースポーツ市場における競争環境激化を背景とした採算性の低下、増産投資に伴う固定費の増加により4.6ポイント低下しました。その結果、全社では0.4ポイント低下となりました。
(6) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度におけるセグメントごとの生産実績は、次のとおりです。
セグメントの名称生産高(百万円)前期比増減(%)
航空宇宙システム533,220+6.8
車両211,285+10.7
エネルギーソリューション&マリン347,796△0.8
精密機械・ロボット223,066+3.5
パワースポーツ&エンジン543,276+21.3
その他93,502△5.1
合計1,952,147+8.3

(注) 金額は、生産高(製造原価)によっています。
② 受注実績
当連結会計年度におけるセグメントごとの受注実績は、次のとおりです。
セグメントの名称受注高(百万円)前期比増減(%)受注残高(百万円)前期比増減(%)
航空宇宙システム810,923△8.21,536,199+18.0
車両319,130+26.9613,581+18.0
エネルギーソリューション&マリン552,900+2.0943,569+14.3
精密機械・ロボット278,538+11.7110,803+21.2
パワースポーツ&エンジン681,787+11.51,219△45.7
その他95,917+2.851,468+22.6
合計2,739,195+4.13,256,839+17.0

(注) 1 パワースポーツ&エンジン事業については、主として見込み生産を行っていることから、受注高について売上収益と同額としていましたが、前連結会計年度に個別受注案件を獲得したため、その実績を考慮して表示しています。
2 セグメント間の取引については、受注高及び受注残高から相殺消去しています。
③ 販売実績
当連結会計年度におけるセグメントごとの販売実績は、次のとおりです。
セグメントの名称販売高(百万円)前期比増減(%)
航空宇宙システム613,691+8.1
車両236,203+6.3
エネルギーソリューション&マリン433,574+8.9
精密機械・ロボット259,146+7.3
パワースポーツ&エンジン682,812+12.1
その他85,839△4.8
合計2,311,267+8.5

(注) 1 販売高は、外部顧客に対する売上収益です。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
相手先前連結会計年度当連結会計年度
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
防衛省400,89018.8429,76918.6

(7) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されています。その作成においては、連結財政状態計算書上の資産、負債の計上額、及び連結損益計算書上の収益、費用の計上額に影響を与える見積り及び仮定を使用しています。
詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (4) 重要な会計上の見積り及び判断の利用」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しています。

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