四半期報告書-第121期第3四半期(令和1年10月1日-令和1年12月31日)

【提出】
2020/02/14 15:07
【資料】
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【項目】
47項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものである。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間における当社グループの業績は売上高7兆5,073億円と、前第3四半期連結累計期間(以下、「前年同累計期間」という。)に比べ1兆711億円(12.5%)の減収となった。営業利益は前年同累計期間に比べ2,594億円(82.7%)減少し、543億円となった。
営業外損益は871億円の利益となり、前年同累計期間に比べ710億円減少した。その結果、経常利益は1,414億円となり、前年同累計期間に比べ3,304億円(70.0%)の減益となった。特別損益は269億円の損失となり、前年同累計期間に比べ164億円悪化した。税金等調整前四半期純利益は1,145億円となり、前年同累計期間に比べ3,468億円(75.2%)の減益となった。親会社株主に帰属する四半期純利益は393億円となり、前年同累計期間に比べ2,774億円(87.6%)の減益となった。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間のキャッシュ・フローは、営業活動により8,103億円増加、投資活動により5,229億円減少、財務活動により2,149億円減少した。また、現金及び現金同等物に係る換算差額により193億円減少し、連結範囲の変更に伴い62億円増加した結果、現金及び現金同等物の当第3四半期連結会計期間末残高は、前連結会計年度末残高に対し594億円(4.4%)増加の1兆4,185億円となった。
(3) 生産及び販売の状況
生産実績
会社所在地生産台数(台)増減前年同累計期間比
前第3四半期連結累計期間当第3四半期連結累計期間(台)(%)
日本678,011584,974△93,037△13.7
米国613,184555,693△57,491△9.4
メキシコ548,411456,513△91,898△16.8
英国312,259243,723△68,536△21.9
スペイン68,04444,507△23,537△34.6
ロシア41,51040,920△590△1.4
タイ128,483109,387△19,096△14.9
インドネシア6,9422,808△4,134△59.6
フィリピン3,2884,05676823.4
インド137,646150,40712,7619.3
南アフリカ27,53826,414△1,124△4.1
ブラジル83,97381,444△2,529△3.0
アルゼンチン5,0388,0773,03960.3
エジプト14,53312,028△2,505△17.2
合計2,668,8602,320,951△347,909△13.0

(注)台数集約期間は2019年4月から2019年12月までである。
販売実績
仕向地販売台数(連結売上台数:台)増減前年同累計期間比
前第3四半期連結累計期間当第3四半期連結累計期間(台)(%)
日本400,311369,099△31,212△7.8
北米1,376,8141,173,175△203,639△14.8
内、米国1,043,274890,864△152,410△14.6
欧州454,665390,803△63,862△14.0
アジア248,177222,620△25,557△10.3
その他437,477379,184△58,293△13.3
合計2,917,4442,534,881△382,563△13.1

(注)台数集約期間は、アジアに含まれる中国、台湾は2019年1月から2019年9月まで、日本、北米、欧州、その他、並びに中国、台湾を除くアジアは2019年4月から2019年12月までである。
(4) セグメントの業績
(事業セグメント)
a. 自動車事業
当第3四半期連結累計期間における当社グループのグローバル販売台数(小売り)は3,697千台となり前年同累計期間に対し8.1%減となった。
自動車事業の業績については、売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は6兆7,921億円と、前年同累計期間に比べ1兆404億円(13.3%)の減収となった。営業損失は1,310億円と前年同累計期間に比べ2,419億円の悪化となった。主な悪化要因は、購買コスト削減による改善はあったものの、販売台数の減少によるものである。
b. 販売金融事業
販売金融事業の売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は、8,737億円と、前年同累計期間に比べ254億円(2.8%)の減収となった。営業利益は、1,779億円と、前年同累計期間に比べ48億円(2.6%)の減益となった。
(地域セグメント)
a.日本
国内の全体需要は前年同累計期間に対し1.7%減少し、当社グループの国内販売台数も前年同累計期間に対し6.9%減の381千台となった。その結果、市場占有率は10.4%となった。
売上高(所在地間の内部売上高を含む)は、3兆354億円と、前年同累計期間に比べ4,094億円(11.9%)の減収となった。
営業利益は96億円となり、前年同累計期間に比べ1,615億円(94.4%)の減益となった。
主な減益要因は、購買コスト削減による増益はあったものの、販売台数の減少によるものである。
b.北米
米国の全体需要は前年同累計期間に対し0.9%減少し、当社グループの販売台数も前年同累計期間に対し9.1%減の980千台となった。その結果、市場占有率は7.5%となった。メキシコとカナダを含む北米市場では前年同累計期間に対し10.2%減の1,281千台となった。
売上高(所在地間の内部売上高を含む)は、3兆9,821億円と、前年同累計期間に比べ5,816億円(12.7%)の減収となった。
営業利益は582億円となり、前年同累計期間に比べ567億円(49.4%)の減益となった。
主な減益要因は、購買コスト削減による増益はあったものの、販売台数の減少によるものである。
c.欧州
欧州の全体需要は前年同累計期間に対し2.0%増加した一方で、ロシアを除く当社グループの販売台数は前年同累計期間に対し15.4%減の331千台、市場占有率は2.4%となった。ロシアにおける当社グループの販売台数は前年同累計期間に対し20.3%減の65千台となった。
売上高(所在地間の内部売上高を含む)は、1兆1,194億円と、前年同累計期間に比べ2,356億円(17.4%)の減収となった。
営業損失は259億円となり、前年同累計期間に比べ17億円の悪化となった。
主な悪化要因は、購買コスト削減による改善はあったものの、販売台数の減少によるものである。
d.アジア
中国を除くアジア市場の販売台数は前年同累計期間に比べ12.5%減の168千台となり、アジア地域における売上高(所在地間の内部売上高を含む)は1兆445億円と、前年同累計期間に比べ1,320億円(11.2%)の減収となった。
営業利益は327億円となり、前年同累計期間に比べ215億円(39.8%)の減益となった。
中国の全体需要は前年同累計期間に対し10.7%減少し、当社グループの販売台数も前年同累計期間に対し0.4%減の1,091千台となり、市場占有率は6.3%となった。なお、合弁会社である東風日産有限公司の業績は、持分法による投資利益として営業外利益に計上している。
e.その他
大洋州、中近東、アフリカ、メキシコを除く中南米における当社グループの販売台数は前年同累計期間に対し11.1%減の380千台となった。
売上高(所在地間の内部売上高を含む)は6,606億円となり、前年同累計期間に比べ1,661億円(20.1%)の減収となった。
営業損失は35億円となり、前年同累計期間に比べ10億円の悪化となった。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
a.キャッシュ・フローの状況
営業活動
営業活動による収入は8,103億円となり、前年同累計期間の7,525億円の収入に対し578億円の収入の増加となった。これは主として、税金等調整前四半期純利益の減少及び売上債権の減少幅が小さくなったものの、販売金融債権の減少幅が大きくなったことによるものである。
投資活動
投資活動による支出は5,229億円となり、前年同累計期間の6,780億円の支出に対し1,551億円減少した。これは主として、固定資産の取得による支出が増加したものの、リース車両の純支出(取得と売却の純額)が減少したこと、拘束性預金の純減少が大きくなったことによるものである。
財務活動
財務活動による支出は2,149億円となり、前年同累計期間の707億円の収入に対し2,856億円増加した。これは主として、長期借入れによる収入が増加したものの、長期借入金の返済による支出、社債の発行による収入の減少及び社債の償還による支出が増加したことによるものである。
また、現金及び現金同等物に係る換算差額により193億円減少し、連結範囲の変更に伴い62億円増加した結果、現金及び現金同等物の当第3四半期連結会計期間末残高は、前連結会計年度末残高に対し594億円(4.4%)増加の1兆4,185億円となった。
b.財務政策
金融市場の急激な環境変化などにより、資金の流動性には注視が必要であるが、当社グループは、現金及び現金同等物に加え、世界の主要銀行とコミットメントライン契約を締結しており、必要とされる充分な流動性を確保していると考えている。
(6) 経営方針・経営戦略等
当社グループは、人々の生活を豊かにすることをビジョンに掲げ、その実現のために、独自性に溢れ、革新的なクルマやサービスを創造し、その目に見える優れた価値を、アライアンスのもとに全てのステークホルダーに提供していくことを目指していく。
当社グループは、2017年11月8日に、今後6年間どのような成長を果たし、その先の更なる成長へ向けてどのように準備を進めるのかを念頭に、新しい中期計画「Nissan M.O.V.E. to 2022」を発表した。当該中期計画は、当社グループが常に前進し、進化を果たしていくことを表し、以下のドライバーにより構成されている。
・Mobility(モビリティー)
・Operational Excellence(オペレーション・エクセレンス)
・Value to Customers(カスタマーバリュー)
・Electrification(電動化)
「Nissan M.O.V.E. to 2022」のミッションとしては、これまで「日産パワー88」で築いた強固な事業基盤をもとに、ルノー及び三菱自動車工業(株)とのアライアンスの利点を活かし、以下を目指す。
① 健全な収益性と安定したフリー・キャッシュ・フローを確保しながら、持続可能な成長を実現する。
② 「技術の日産」のDNAを活かし、自動車産業における技術及びビジネスの進化をリードする。
直面する課題に対するリカバリープランとして、米国事業のリカバリー、事業及び投資効率の適正化、新商品、新技術、「ニッサン インテリジェント モビリティ」を軸にした着実な成長、という三点を主な取り組みとした事業改革計画を2019年5月14日に発表した。営業利益率8%から6%への大幅な見直しとなるが、従来の規模拡大路線から、より持続可能な成長路線への変換を目指していく。
当社とルノー及び三菱自動車工業(株)は、2019年3月にアライアンス オペレーティング ボード(以下、アライアンス ボード)を新たに設立する意向を表明した。アライアンス ボードによるオペレーション上の意思決定は、アライアンスのWIN-WINの精神に則り、同ボードメンバーの合意に基づき、行われる。同ボードはパートナー3社の価値の拡大を実現する、新たな手法の提案及び実行を推進する為、具体的なテーマに沿ったプロジェクトを立ち上げていく。アライアンスボードは、日産、ルノー及び三菱自動車工業(株)が力を合わせて急速な変化及び競争の激化に直面する世界の自動車業界においてトップの座に立つための一助となるべく設立される。
当社グループは、これから先10年から15年の間に本格的に訪れるであろう大きな技術革新、そしてそれに伴う市場やお客様の変化を見据え、「Nissan M.O.V.E. to 2022」に取り組むことによりそのミッションを果たしていく。
(7) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間における事業上及び財務上の対処すべき課題は、次のとおりである。
2017年に発覚した完成検査に係る不適切な取扱いに関する一連の問題以降、法令順守の状況について自主点検を行ってきた。その一環として、完成検査時の燃費・排出ガスの測定に関する調査の中で、一部の排出ガス・燃費測定試験において不適切な行為があったことを把握した。それを踏まえて見直した対策や昨年来実施してきた再発防止策の振り返りを含めた実施状況の進捗を国土交通省に報告した。2018年12月19日、当社が完成検査に係る不適切事案に関し、国土交通省より業務改善指導を受けた。これを受けて、当社の業務改善状況等につき2019年5月17日、9月4日及び12月13日に国土交通省に報告した。当社の自主点検において判明した事とはいえ、このような事案が継続していたことを厳粛に受け止め、引き続き、安全確保を第一に、法規・法令遵守に関する仕組み・体制・プロセスの総点検を全社的な活動として徹底的に行っていく。
当社の元代表取締役が金融商品取引法違反(虚偽有価証券報告書提出罪)で起訴されるとともに、元代表取締役会長においては会社法違反(特別背任罪)でも起訴された。併せて当社自身も金融商品取引法違反により起訴された。当社はこの事態を重く受け止め、独立第三者及び独立社外取締役で構成されるガバナンス改善特別委員会を設置し、2019年3月27日に同委員会からガバナンスの改善策及び、将来にわたり事業活動を行っていくための基盤となる健全なガバナンス体制の在り方についての提言をまとめた報告書を受領した。これを受け、当社は指名委員会等設置会社へ移行した。
当社は、2019年9月9日の取締役会において、監査委員会よりゴーン氏らの不正行為に関する社内調査の報告を受けた。2019年9月9日付の「元会長らによる不正行為に関する社内調査報告について」と題する適時開示に記載したとおり、本報告では、ゴーン氏らによる不正行為を認定している。そのうち、ゴーン氏の会社資産の私的流用等及び販売代理店に対する奨励金支払いに関する不適切な行為は、以下のとおりである。2019年9月9日以降、当四半期報告書提出日時点において、下記の内容に特段の変更は生じていない。今後、下記の内容に重要な進展が生じた場合には、法令等に基づき開示する。
A) ゴーン氏の会社資産の私的流用等
ゴーン氏は、以下を含む様々な方法で当社の資産を私的に流用した。
・将来性のある技術に投資するとの名目で子会社Zi-A Capital社を設立させ、同社の投資資金のうち約2,700万米ドルを、ブラジル(リオデジャネイロ)及びレバノン(ベイルート)所在のゴーン元会長個人のための住宅の購入に流用したほか、会社資金で秘密裏に購入又は賃借した住宅を私的に利用した。
・2003年から10年以上にわたり、実体のないコンサルティング契約に基づくコンサルタント報酬名目で実姉に合計75万米ドルを超える金銭を支払った。
・コーポレートジェットを自身及び家族の私的用途に使用した。
・会社の資金を家族の旅費支払いや、個人的な贈答品支払いなどに宛てた。
・業務上の必要性がないにもかかわらず自身の出身国の大学への200万米ドルを超える寄付を会社資金で行わせた。
・2008年、ゴーン氏は個人的に締結した為替スワップ契約のもと約18億5,000万円の含み損を抱え、事実と異なる取引内容を取締役会に説明したうえ為替スワップ契約を当社に承継させて、かかる含み損を当社に承継させた(金融当局の指摘を受け、2009年、当該為替スワップ契約は秘密裏にゴーン氏の関連企業に再承継された)。
・2018年4月以降、三菱自動車工業株式会社との間で設立した合弁会社から、給与・契約金名目での取締役会決議を欠く支払い合計780万ユーロを受領した。
B) 販売代理店に対する奨励金支払いに関する不適切な行為
ゴーン氏は、国外の知人から私的な資金援助を得ていることを当社取締役会及び関係部署に秘したまま、当社子会社から当該知人の経営する企業に対し、自身とその直属の特定少数の部下が承認すれば金銭支出が可能となる予備費予算(CEO リザーブ)を使用して、特別ビジネスプロジェクト費用などの名目で合計1,470万米ドルの支払いを行わせた。
また、国外の販売代理店の関係者からゴーン氏自身又はその関係企業に対して数千万米ドルの支払いがなされていることを当社取締役会及び関係部署に秘したまま、当社子会社から当該販売代理店に対し、CEO リザーブを使用して、販売奨励金名目で合計3,200万米ドルの支払いを行わせた。
当社は、既に英領バージン諸島においてゴーン氏及びその関係者を相手に、豪華ヨットに対する仮処分命令を申立て、同命令を得た上で、損害賠償等を求めて訴訟を提起し、また2020年2月12日には日本国内においてもゴーン氏に対する損害賠償請求を提起しているが、本社内調査結果を踏まえ、今後も、ゴーン氏らの責任を明確にすべく、ゴーン氏等の法令違反や不正行為によって被った損害の賠償請求のための提訴を含めた必要な対応をとっていく方針である。
金融庁長官から、2019年12月13日付で審判手続開始決定通知書を受領した。これにつき、当社は、課徴金に係る事実及び納付すべき課徴金の額を認める旨の答弁書を2019年12月23日に提出した。今後、当社は金融庁から発出される課徴金納付命令に従い、当該課徴金を納付する。
指名委員会の選出による経営層の新体制が2019年12月に発足、内部監査による監督機能を強化したこと、などに見られるように、種々の再発防止策に取り組んでいる。
当社は、2020年1月16日に東京証券取引所に提出した改善状況報告書に記載した改善措置の継続的実施を含め、これからも必要な改善を随時検討するなど、引き続きガバナンスの向上に努めるとともに、企業風土の改革、企業倫理の再構築、企業情報の適切な開示、コンプライアンスを遵守した経営に努めていく所存であることを表明している。
(8) 研究開発活動
当社グループは、将来にわたって持続性のある車社会の実現に向けて、環境や安全など様々な分野での研究開発活動を積極的に行っている。
当第3四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発費の金額は3,963億円である。