有価証券報告書-第154期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/25 9:33
【資料】
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【項目】
162項目

対処すべき課題

(1) 会社の経営の基本方針
当社は、お客さまをはじめとするステークホルダーの皆様から信頼され、選ばれ続けるブランドとなることを目指し、全社一丸となって事業活動を推進すべく、下記の「コーポレートビジョン」を策定しています。
私たちはクルマをこよなく愛しています。
人々と共に、クルマを通じて豊かな人生を過ごしていきたい。
未来においても地球や社会とクルマが共存している姿を思い描き、どんな困難にも独創的な発想で挑戦し続けています。
1.カーライフを通じて人生の輝きを人々に提供します。
2.地球や社会と永続的に共存するクルマをより多くの人々に提供します。
3.挑戦することを真剣に楽しみ、独創的な“道(どう)”を極め続けます。
(2) 経営環境及び対処すべき課題
中期経営計画(2020年3月期~2025年3月期)
自動車業界は今、100年に一度の変革期の中にあります。CASE(コネクティビティ技術/自動運転技術/シェアード・サービス/電動化技術といった新技術の総称)に代表される時代の要請に応えていくために、クルマの企画、開発、製造、販売、サービスなど多くの領域で変革が求められます。当社は、2019年5月に公表した中期経営方針では、この変革期を乗り越え、次の100年に向けた最初のステージとして、今後6年間に取り組むべき3つの領域「独自の商品・顧客体験への投資」「ブランド価値を低下させる支出の抑制」「遅れている領域への投資」を定めました。
中期経営方針を公表して以降、全体最適の視点で、ブランド価値の向上とブランド価値を低下させる支出の抑制に向けた優先課題の特定と、施策と目標の具体化を進め、それらを反映した中期経営計画を2019年11月に公表しました。この変革期を乗り越え、持続的な成長を続けるために、「人と共に創る独自性」を経営方針に置いた中期経営計画の推進に取り組んでまいります。
中期経営計画主要施策
①独自の商品・顧客体験 -ブランド価値向上への投資-
■技術・商品
・CASE時代を乗り切る技術開発・商品化計画を着実に推進
・少ないモデル数でグローバルに電動化技術を含む様々なパワートレインによるバリエーション展開で世界中のお客様の多種多様な使い方、嗜好をカバー
・電動化を含むパワートレインのバリエーション拡大、先進技術拡大により、価格カバレッジの拡大への挑戦
・Large商品群は、単に高価格を目指すのではなく、非常に高い商品価値に対して、納得感のある価格で提供
■販売・顧客体験・ネットワーク
・商品・ブランド価値を体感いただけるデジタル・リアル双方への投資
- 現場スタッフがお客様に接する余裕を持つための投資
- 居心地よく過ごせる空間への投資
- お客様イベント・体験の充実への投資
②ブランド価値を低下させる支出の抑制
■変動・固定販促費
・販売の質的向上による支出の抑制
・お客様の資産であるクルマの残価を高い状態で維持
・支払い方法の多様化に対する競合力ある対応
■品質問題の抑制
・自動車の技術が複雑化する中で、品質問題の未然防止に努め、早期発見と早期解決により品質対応費用を削減
③遅れている領域への投資
・インフラへの投資(米国新工場の建設、IT投資など)
・仲間づくりへの投資(アライアンスパートナーとの協業など)
・環境安全への投資
中期経営計画 財務指標
中期経営計画の最終年度となる2025年3月期の財務指標は以下のとおりです。
2025年3月期指標
売上約4.5兆円
収益性安定的利益創出
ROS:5%以上/ROE:10%以上
将来投資設備投資+開発投資:売上高比7-8%(平均)
販売ネットワーク、顧客体験、インフラ、従業員/働く環境等
財務基盤ネットキャッシュ維持
株主還元安定的に配当性向30%以上
販売台数約180万台

(3) 新型コロナウイルス感染症への対応について
(これまでの取り組み)
3月中旬以降、世界的な感染拡大により、グローバルで販売が急激に減少し、同時に販売会社での在庫が増加しました。販売減少及び在庫増に対し、工場の操業停止を行うなど生産調整を実施し、在庫の適正化を行いました。現在、販売は徐々に回復基調にあり、7月には国内工場を昼夜勤務の2直操業に再開します。今後も各国の販売や在庫の状況を注視しながら、感染が再び拡大するリスクも視野に入れ、慎重かつ柔軟に対応していきます。
なお、販売減少に伴い売上収入が縮小する中、国内外の子会社を含め、資金確保のために緊急支出抑制と資金調達を行いました。また、地元の取引先様には、必要に応じて資金繰りや雇用維持の協議を継続的に進めています。
(今後の取り組み)
コロナ禍の影響で世界の自動車需要回復の見通しは不透明であり、また厳しい状況も想定されます。この事業環境に対して、中期経営方針は維持しながらも、あらゆる領域での効率化を最大限に図った上で、中期経営計画の施策や目標は、その規模やタイミングの見直しを行っていきます。
なお、早急に対応すべき具体的な取り組みは以下の通りです。
① あらゆる費用の効率化を目指すこと
② 2020年3月期に実現させた販売の質を維持しながら、売上・台数の成長を両立させ、いち早く成長軌道に戻すこと
③ 在庫の量と質を改善し、売上を増やすとともに、キャッシュ創出力の見直しを行うこと
④ 将来の成長のための研究開発活動や設備投資は、効率を追求しながら実行すること
今回のコロナ禍の厳しい経験を梃子に、経営改革を加速し、今後の経済危機に対してもより危機耐性を高めたビジネス構造の構築を目指してまいります。
※ 文中における将来に関する事項につきましては、本報告書提出時点において当社グループが判断した一定の前提に基づいたものであります。これらの記載は実際の結果とは異なる可能性があり、その達成を保証するものではありません。