有価証券報告書-第112期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
なお、当連結会計年度より、作業くずの売却収入の計上区分の変更を行っており、遡及処理後の数値で前年同期比較を行っております。
(1) 経営成績
当連結会計年度における世界経済は、米中貿易摩擦の影響や英国のEU離脱、中東地域における地政学的リスクの顕在化の影響等を受け、年度前半は特に中国や欧州で輸出が不振となり生産が低迷したことにより、景気の減速感が一層強まりました。年度後半になると、米中間の対立が幾分和らぎ、世界経済の先行きに対する楽観的な見方が広がりましたが、2020年に入り、新型コロナウイルス感染症拡大の問題が顕在化したことで急速に悪化しました。
わが国経済においては、世界経済の減速に伴う設備投資の減少が目立ち、景気の下振れが懸念される状況が続いたものの、当連結会計年度前半は個人消費等の堅調な内需に支えられて緩やかな持ち直しが見られました。しかしその後、消費税率の引き上げや大型台風による自然災害の影響等により内需が落ち込む中、2020年に入ると新型コロナウイルス感染症の拡大の問題が打撃となり、景気は年度末にかけて急速に悪化いたしました。
当社グループの主要産業分野である自動車業界につきましては、国内新車販売台数(2019年度)は、4年連続で500万台を超えたものの、前年度から減少し約503万台となりました。また、世界最大の市場である中国の新車販売台数(2019年暦年)も、前年から減少し約2,576万台強となり、米中貿易摩擦のあおりで市場が低迷し、2年連続のマイナスとなりました。さらに米国の新車販売台数(同)につきましても、約1,705万台と前年から減少となりました。このように米中貿易摩擦の影響等による自動車販売の落ち込みから、2019年の世界新車販売台数は約9,027万台と前年から減少し低調な結果となりましたが、2020年は、新型コロナウイルス感染症拡大による影響の本格化により極めて厳しい状況となることが見込まれます。
非自動車分野における造船業界につきましては、2019年の世界の新造船受注量は環境規制強化によって新造船への更新が控えられた影響もあり、前年から減少し、日本における2019年度末時点の輸出船手持工事量につきましても減少したものの、世界の新造船竣工量は、4年ぶりに増加に転じました。しかし、世界の船腹過剰状況は解消に至っておらず、本格的な新造船需要回復の軌道へと進むにはしばらく時間がかかるものと思われます。
一方、建設機械業界につきましては、2019年度の内需は環境規制に伴う駆け込み需要の反動減から回復し、建設機械出荷額は2年連続の増加となりました。一方、外需は、北米、欧州、アジアの三大輸出先を中心に海外需要が低迷して、3年ぶりの減少となり、その結果、国内外の需要も減少となりました。
さらに、当社関連の一般産業分野につきましては、内需は主要産業の設備投資が一巡したことに加え、米中貿易摩擦の影響で設備投資が抑制され、外需においても中国のみならず、北米・欧州の主要地域で受注が減少し、総じて低調な推移となりました。
このような市場環境下、当連結会計年度における当社グループ全体の業績につきましては、売上高は前年同期に比べ7.0%減収の100,159百万円(前連結会計年度は107,718百万円)となりました。
利益面につきましては、非自動車用軸受のセグメントにおいて海外の新規顧客の取り込み等もあって前年同期比約20%の増益効果がありました。一方、自動車用エンジン軸受及び自動車用エンジン以外軸受のセグメントにおいては、世界的な景気減速の影響を受けてマイナスとなりました。また、自動車用軸受以外部品のセグメントにおいても、当社の連結子会社である株式会社飯野製作所の国内外拠点の集約・再編費用及びタイにおけるアルミダイカスト製品向け新会社の稼働に向けた初期費用等が発生した結果、営業利益は前年同期に比べ42.6%減益の4,168百万円(前連結会計年度は7,262百万円)となりました。また、目標とする経営指標の売上高営業利益率は4.2%(前連結会計年度は6.7%)となりました。
経常利益につきましては、前年同期に比べ44.8%減益の3,660百万円(前連結会計年度は6,630百万円)となりました。また、売上高経常利益率は3.7%(前連結会計年度は6.2%)となりました。
また、親会社株主に帰属する当期純利益は、固定資産売却益として3,909百万円を計上したものの、固定資産の減損損失2,051百万円を計上したことから、前年同期に比べ33.7%減益の2,740百万円(前連結会計年度は4,135百万円)となりました。また、売上高当期純利益率は2.7%(前連結会計年度は3.8%)となりました。
1株当たり当期純利益は58円22銭(前連結会計年度は93円72銭)、目標とする経営指標であります自己資本利益率は4.9%(前連結会計年度は7.9%)となりました。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大に関する経営者の想定に関しては、後述の「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりです。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
なお、セグメント間の内部売上高又は振替高は、セグメントの売上高に含めております。
① 自動車用エンジン軸受
国内の2019年度の新車販売台数は、前年度より減少し、海外も、中国を中心にアジア諸国全体で減少となり、欧米においてはほぼ横ばいとなりました。 そのため、当社グループの国内外での売上高は減少となりました。
これらの結果、売上高は前年同期に比べ5.9%減収の60,982百万円となり、セグメント利益は前年同期に比べ13.7%減益の7,285百万円となりました。
② 自動車用エンジン以外軸受
世界的な自動車市場の需要減少の影響を受け、売上高は前年同期に比べ8.7%減収の15,515百万円、セグメント利益は前年同期に比べ23.3%減益の2,550百万円となりました。
③ 非自動車用軸受
・船舶分野
国内外の受注量においては総じて回復基調が続き、低速・中速ディーゼル用エンジン軸受の需要が底堅く推移しました。特に海外向けの低速ディーゼル用エンジン軸受については、海外の新規顧客の取り込みでシェア拡大にも寄与し、売上高も増加となりました。
・建設機械分野
国内は底堅い需要があるものの、海外は中国、米国、東南アジア等の需要が低迷し、売上高は減少となりました。
・一般産業分野におけるエネルギー分野
エネルギー市場における化石燃料の発電市場全般については、CO2削減の観点から厳しい環境が続いているものの、高効率型の火力発電向けのガスタービンや蒸気タービン用軸受の受注増があり、売上高は増加となりました。
これら船舶分野及び一般産業分野におけるエネルギー分野の売上増が寄与した結果、売上高は前年同期に比べ7.7%増収の10,683百万円となり、セグメント利益は前年同期に比べ19.9%増益の1,632百万円となりました。
④ 自動車用軸受以外部品
・アルミダイカスト製品
世界的な自動車生産の落ち込みによる受注の減少から、売上高は前年度に比べ減少しました。また、タイの既存工場の合理化による継続的な利益創出の努力により収益改善効果がみられたものの、タイの新会社(DMキャスティングテクノロジー(タイ)CO., LTD.)の稼働に向けた初期費用の増加により減益となりました。
・曲げパイプ、ノックピン、NC切削品などの部品
海外は底堅い需要で推移しましたが、売上高は、国内需要の落ち込みにより前年度に比べて減少し、また、生産合理化に向けた国内外の生産拠点の集約及び再編による一時的な費用の増加等もあり、減益となりました。
これらの結果、売上高は前年同期に比べ15.2%減収の13,758百万円となり、セグメント損失は812百万円となり、前年同期のセグメント利益217百万円から1,030百万円の減少となりました。
⑤ その他
米中貿易摩擦による景気後退への懸念から、工作機械・各種産業機械をはじめとした全般的な設備投資や建設機械等の需要の減速等を受け、電気二重層キャパシタ用電極シート、金属系無潤滑軸受事業及びポンプ関連製品事業に不動産賃貸事業等を加えた当セグメントの売上高は、前年同期に比べ11.3%減収の2,441百万円となり、セグメント利益は前年同期に比べ24.6%減益の528百万円となりました。
上記の経営成績を分析・検討しました結果、当社としては、前述の「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4)会社の対処すべき課題 <第1の柱:既存事業の磨き上げ>」に記載のとおり、対処してまいります。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 受注実績
得意先の生産計画の内示等による見込生産が主体であるため記載を省略しております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 財政状態
(総資産)
当連結会計年度における総資産は、前連結会計年度末に比ベ1.4%減少し159,539百万円となりました。
これは主に受取手形及び売掛金が減少したことによります。
(純資産)
当連結会計年度における純資産は、前連結会計年度に比ベ1.7%減少し64,168百万円となりました。
これは主に自己株式が増加したことによります。
(自己資本比率)
当連結会計年度における自己資本比率は、主に負債が減少したことにより前連結会計年度に比ベ0.1ポイント増加し35.1%となりました。
(1株当たり純資産額)
当連結会計年度における1株当たり純資産額は、前連結会計年度に比ベ20円81銭増加し1,212円66銭となりました。
(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べ2,042百万円(11.9%)の増加となり19,170百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動において獲得した資金は12,822百万円となり、前連結会計年度に比べ1,112百万円(9.5%)の収入の増加となりました。これは主に税金等調整前当期純利益5,331百万円、減価償却費9,517百万円によります。
前連結会計年度との主な差額は、固定資産売却損益が3,909百万円増加した一方で、減損損失が2,051百万円増加し、売上債権の増減額が4,276百万円増加したことです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動において使用した資金は7,297百万円となり、前連結会計年度に比べ1,835百万円(33.6%)の支出の増加となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出9,376百万円によります。
前連結会計年度との主な差額は、条件付取得対価に係る公正価値の変動額が1,850百万円減少したことです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動において使用した資金は3,553百万円となり、前連結会計年度に比べ2,807百万円の支出の増加となりました。これは主に自己株式の取得による支出1,122百万円、配当金の支払額1,659百万円によります。
前連結会計年度との主な差額は、長期借入金の返済による支出が7,704百万円減少し、短期借入金の純増減額が9,756百万円増加した一方、長期借入れによる収入が12,190百万円減少し、株式の発行による収入が2,259百万円減少し、自己株式の処分による収入が4,468百万円減少したことです。
② 資金需要
当社グループにおける主な資金需要は、製品製造のための材料・部品等の購入費、製造費用、製品・商品の仕入、販売費及び一般管理費、運転資金及び設備投資資金です。
設備投資の概況については、「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」に記載のとおりです。
③ 資金調達の状況
当社グループの運転資金及び設備投資資金は主として内部資金により充当し、必要に応じて借入れによる資金調達を実施することを基本方針としております。
当連結会計年度の当社グループの設備投資資金につきましては、内部資金と借入れにより充当いたしました。
また、当社グループは当連結会計年度末で現金及び預金を22,475百万円保有しておりますが、新型コロナウイルス感染拡大による生産数量の減少などの不確実性に対処するため、当社グループが当連結会計年度末に保有する当座貸越契約の借入未実行残高22,466百万円に加え、当社において、追加でコロナ対策ファンドによる短期借入並びにコミットメントラインの新規設定を相応の金額で取り組むほか、子会社においても、短期借入枠の増額等を進めており、十分な手元資金の確保に努めております。今後は、資本の効率化と財務の安全性確保を重視しつつ、有利子負債の圧縮を視野にいれながら、バランスのとれた財務運営を目指してまいります。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の年度別返済額は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 ⑤連結附属明細表 借入金等明細表」に記載のとおりです。
④ 財務戦略
収益力強化・キャッシュマネジメントにより有利子負債を削減しながら、既存事業の競争力維持のため年平均10,000百万円程度の投資を継続します。さらに、自動車用エンジン軸受関連の投資は、市場の縮小が急速に進む可能性に備え、中期経営計画期間後半について慎重に対処しつつ、研究開発、新規事業、M&A等については積極的に投資を行う等、自己資本比率35%を念頭に財務の健全性を確保しつつ、成長分野へ積極投資を試みます。
また、投資効率改善のためにハードルレートの見直し、投資後の効果測定を厳格に行うことで投資の精度を上げる等、健全な設備投資を試みます。
当社株主に対する安定的な配当を継続しながら、自己資本利益率(ROE)は株主資本コストを意識して2023年度に10.0%の達成を目指しており、運転資金の効率化や通常投資の見直し等、さらなるキャッシュ・フローの改善を進めます。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成する上では、固定資産の減損損失、繰延税金資産の回収可能性など様々な会計上の見積りを行うことが必要となりますが、会計基準では、会計上の見積りを「資産及び負債や収益または費用等の額に不確実性がある場合において、財務諸表作成時に入手可能な情報に基づいて、その合理的な金額を算出すること」と定義されております。
① 新型コロナウイルス感染拡大における会計上の見積りの仮定
新型コロナウイルス感染症の感染拡大は経済及び企業活動に広範に影響を与える事象であり、自動車メーカー等の生産台数の落ち込みの程度及び回復の時期を予測することは困難であるため、「第5 経理の状況 1連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載の仮定をおいて、会計上の見積りを行っております。なお、当該仮定は不確実性が高く、影響が長期化した場合においては追加的な固定資産の減損損失や繰延税金資産の取崩しが発生する可能性があります。
② のれんを含む無形資産の評価
株式会社飯野ホールディング、ATAキャスティングテクノロジージャパン株式会社とその子会社におけるのれんを含む無形資産の評価は、のれんが帰属する資産グループに関連する資産を含めた資産にのれんを加えたより大きな単位で行っております。これらの資産グループに固定資産の減損会計を適用するにあたり、回収可能価額は使用価値に基づき、直近の事業環境を反映させた事業計画に基づく将来キャッシュ・フローを用いて、減損の認識の要否の判定を行っております。いずれものれんの残存償却年数を経済的残存使用年数とした上で、当該期間経過時の回収可能価額は、当該時点における営業利益見込に基づき算定しております。
使用価値の算定に最も影響を及ぼす仮定は、事業計画及び割引率であり、割引率は、資金生成単位の属する国における株式市場の要求利回り及び金利水準を合理的に反映する率を使用しております。
当連結会計年度においては、いずれの会社においても無形固定資産に関する減損損失を認識することはありませんでした。しかし、将来の予測不能なビジネスの前提条件や経営環境の変化による、将来キャッシュ・フローの下落を引き起こすような見積りの変化が、これらの評価に不利に影響し、結果として、のれんを含む無形固定資産の減損損失を認識することになる可能性があります。
③ 大同メタルヨーロッパLTD.における売掛金の評価
大同メタルヨーロッパLTD.において、売掛金の不適切な消込を原因として、入金が遅延した売掛金の把握及び督促に関する活動が適時に行われなかった事実が判明いたしました。当社グループは売掛金の入金消込作業を遡及的に実施し、得意先への督促及び回収を進めており、この結果を踏まえ、主として回収期日からの経過期間に基づき貸倒引当金を計算しております。得意先への督促活動は継続しておりますが、回収実績が当社グループの見積りと乖離した場合には、貸倒引当金の追加計上または取崩しが発生する可能性があります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
なお、当連結会計年度より、作業くずの売却収入の計上区分の変更を行っており、遡及処理後の数値で前年同期比較を行っております。
(1) 経営成績
当連結会計年度における世界経済は、米中貿易摩擦の影響や英国のEU離脱、中東地域における地政学的リスクの顕在化の影響等を受け、年度前半は特に中国や欧州で輸出が不振となり生産が低迷したことにより、景気の減速感が一層強まりました。年度後半になると、米中間の対立が幾分和らぎ、世界経済の先行きに対する楽観的な見方が広がりましたが、2020年に入り、新型コロナウイルス感染症拡大の問題が顕在化したことで急速に悪化しました。
わが国経済においては、世界経済の減速に伴う設備投資の減少が目立ち、景気の下振れが懸念される状況が続いたものの、当連結会計年度前半は個人消費等の堅調な内需に支えられて緩やかな持ち直しが見られました。しかしその後、消費税率の引き上げや大型台風による自然災害の影響等により内需が落ち込む中、2020年に入ると新型コロナウイルス感染症の拡大の問題が打撃となり、景気は年度末にかけて急速に悪化いたしました。
当社グループの主要産業分野である自動車業界につきましては、国内新車販売台数(2019年度)は、4年連続で500万台を超えたものの、前年度から減少し約503万台となりました。また、世界最大の市場である中国の新車販売台数(2019年暦年)も、前年から減少し約2,576万台強となり、米中貿易摩擦のあおりで市場が低迷し、2年連続のマイナスとなりました。さらに米国の新車販売台数(同)につきましても、約1,705万台と前年から減少となりました。このように米中貿易摩擦の影響等による自動車販売の落ち込みから、2019年の世界新車販売台数は約9,027万台と前年から減少し低調な結果となりましたが、2020年は、新型コロナウイルス感染症拡大による影響の本格化により極めて厳しい状況となることが見込まれます。
非自動車分野における造船業界につきましては、2019年の世界の新造船受注量は環境規制強化によって新造船への更新が控えられた影響もあり、前年から減少し、日本における2019年度末時点の輸出船手持工事量につきましても減少したものの、世界の新造船竣工量は、4年ぶりに増加に転じました。しかし、世界の船腹過剰状況は解消に至っておらず、本格的な新造船需要回復の軌道へと進むにはしばらく時間がかかるものと思われます。
一方、建設機械業界につきましては、2019年度の内需は環境規制に伴う駆け込み需要の反動減から回復し、建設機械出荷額は2年連続の増加となりました。一方、外需は、北米、欧州、アジアの三大輸出先を中心に海外需要が低迷して、3年ぶりの減少となり、その結果、国内外の需要も減少となりました。
さらに、当社関連の一般産業分野につきましては、内需は主要産業の設備投資が一巡したことに加え、米中貿易摩擦の影響で設備投資が抑制され、外需においても中国のみならず、北米・欧州の主要地域で受注が減少し、総じて低調な推移となりました。
このような市場環境下、当連結会計年度における当社グループ全体の業績につきましては、売上高は前年同期に比べ7.0%減収の100,159百万円(前連結会計年度は107,718百万円)となりました。
利益面につきましては、非自動車用軸受のセグメントにおいて海外の新規顧客の取り込み等もあって前年同期比約20%の増益効果がありました。一方、自動車用エンジン軸受及び自動車用エンジン以外軸受のセグメントにおいては、世界的な景気減速の影響を受けてマイナスとなりました。また、自動車用軸受以外部品のセグメントにおいても、当社の連結子会社である株式会社飯野製作所の国内外拠点の集約・再編費用及びタイにおけるアルミダイカスト製品向け新会社の稼働に向けた初期費用等が発生した結果、営業利益は前年同期に比べ42.6%減益の4,168百万円(前連結会計年度は7,262百万円)となりました。また、目標とする経営指標の売上高営業利益率は4.2%(前連結会計年度は6.7%)となりました。
経常利益につきましては、前年同期に比べ44.8%減益の3,660百万円(前連結会計年度は6,630百万円)となりました。また、売上高経常利益率は3.7%(前連結会計年度は6.2%)となりました。
また、親会社株主に帰属する当期純利益は、固定資産売却益として3,909百万円を計上したものの、固定資産の減損損失2,051百万円を計上したことから、前年同期に比べ33.7%減益の2,740百万円(前連結会計年度は4,135百万円)となりました。また、売上高当期純利益率は2.7%(前連結会計年度は3.8%)となりました。
1株当たり当期純利益は58円22銭(前連結会計年度は93円72銭)、目標とする経営指標であります自己資本利益率は4.9%(前連結会計年度は7.9%)となりました。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大に関する経営者の想定に関しては、後述の「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりです。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
なお、セグメント間の内部売上高又は振替高は、セグメントの売上高に含めております。
① 自動車用エンジン軸受
国内の2019年度の新車販売台数は、前年度より減少し、海外も、中国を中心にアジア諸国全体で減少となり、欧米においてはほぼ横ばいとなりました。 そのため、当社グループの国内外での売上高は減少となりました。
これらの結果、売上高は前年同期に比べ5.9%減収の60,982百万円となり、セグメント利益は前年同期に比べ13.7%減益の7,285百万円となりました。
② 自動車用エンジン以外軸受
世界的な自動車市場の需要減少の影響を受け、売上高は前年同期に比べ8.7%減収の15,515百万円、セグメント利益は前年同期に比べ23.3%減益の2,550百万円となりました。
③ 非自動車用軸受
・船舶分野
国内外の受注量においては総じて回復基調が続き、低速・中速ディーゼル用エンジン軸受の需要が底堅く推移しました。特に海外向けの低速ディーゼル用エンジン軸受については、海外の新規顧客の取り込みでシェア拡大にも寄与し、売上高も増加となりました。
・建設機械分野
国内は底堅い需要があるものの、海外は中国、米国、東南アジア等の需要が低迷し、売上高は減少となりました。
・一般産業分野におけるエネルギー分野
エネルギー市場における化石燃料の発電市場全般については、CO2削減の観点から厳しい環境が続いているものの、高効率型の火力発電向けのガスタービンや蒸気タービン用軸受の受注増があり、売上高は増加となりました。
これら船舶分野及び一般産業分野におけるエネルギー分野の売上増が寄与した結果、売上高は前年同期に比べ7.7%増収の10,683百万円となり、セグメント利益は前年同期に比べ19.9%増益の1,632百万円となりました。
④ 自動車用軸受以外部品
・アルミダイカスト製品
世界的な自動車生産の落ち込みによる受注の減少から、売上高は前年度に比べ減少しました。また、タイの既存工場の合理化による継続的な利益創出の努力により収益改善効果がみられたものの、タイの新会社(DMキャスティングテクノロジー(タイ)CO., LTD.)の稼働に向けた初期費用の増加により減益となりました。
・曲げパイプ、ノックピン、NC切削品などの部品
海外は底堅い需要で推移しましたが、売上高は、国内需要の落ち込みにより前年度に比べて減少し、また、生産合理化に向けた国内外の生産拠点の集約及び再編による一時的な費用の増加等もあり、減益となりました。
これらの結果、売上高は前年同期に比べ15.2%減収の13,758百万円となり、セグメント損失は812百万円となり、前年同期のセグメント利益217百万円から1,030百万円の減少となりました。
⑤ その他
米中貿易摩擦による景気後退への懸念から、工作機械・各種産業機械をはじめとした全般的な設備投資や建設機械等の需要の減速等を受け、電気二重層キャパシタ用電極シート、金属系無潤滑軸受事業及びポンプ関連製品事業に不動産賃貸事業等を加えた当セグメントの売上高は、前年同期に比べ11.3%減収の2,441百万円となり、セグメント利益は前年同期に比べ24.6%減益の528百万円となりました。
上記の経営成績を分析・検討しました結果、当社としては、前述の「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4)会社の対処すべき課題 <第1の柱:既存事業の磨き上げ>」に記載のとおり、対処してまいります。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比増減(%) |
| 自動車用エンジン軸受 | 60,557 | △6.6 |
| 自動車用エンジン以外軸受 | 13,372 | △7.8 |
| 非自動車用軸受 | 10,911 | 4.6 |
| 自動車用軸受以外部品 | 13,373 | △15.6 |
| 報告セグメント計 | 98,216 | △7.0 |
| その他 | 1,416 | △23.9 |
| 合計 | 99,632 | △7.3 |
(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 受注実績
得意先の生産計画の内示等による見込生産が主体であるため記載を省略しております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比増減(%) |
| 自動車用エンジン軸受 | 60,508 | △6.1 |
| 自動車用エンジン以外軸受 | 13,817 | △8.2 |
| 非自動車用軸受 | 10,645 | 7.6 |
| 自動車用軸受以外部品 | 13,444 | △16.7 |
| 報告セグメント計 | 98,415 | △6.7 |
| その他 | 1,743 | △21.5 |
| 合計 | 100,159 | △7.0 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 財政状態
(総資産)
当連結会計年度における総資産は、前連結会計年度末に比ベ1.4%減少し159,539百万円となりました。
これは主に受取手形及び売掛金が減少したことによります。
(純資産)
当連結会計年度における純資産は、前連結会計年度に比ベ1.7%減少し64,168百万円となりました。
これは主に自己株式が増加したことによります。
(自己資本比率)
当連結会計年度における自己資本比率は、主に負債が減少したことにより前連結会計年度に比ベ0.1ポイント増加し35.1%となりました。
(1株当たり純資産額)
当連結会計年度における1株当たり純資産額は、前連結会計年度に比ベ20円81銭増加し1,212円66銭となりました。
(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べ2,042百万円(11.9%)の増加となり19,170百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動において獲得した資金は12,822百万円となり、前連結会計年度に比べ1,112百万円(9.5%)の収入の増加となりました。これは主に税金等調整前当期純利益5,331百万円、減価償却費9,517百万円によります。
前連結会計年度との主な差額は、固定資産売却損益が3,909百万円増加した一方で、減損損失が2,051百万円増加し、売上債権の増減額が4,276百万円増加したことです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動において使用した資金は7,297百万円となり、前連結会計年度に比べ1,835百万円(33.6%)の支出の増加となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出9,376百万円によります。
前連結会計年度との主な差額は、条件付取得対価に係る公正価値の変動額が1,850百万円減少したことです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動において使用した資金は3,553百万円となり、前連結会計年度に比べ2,807百万円の支出の増加となりました。これは主に自己株式の取得による支出1,122百万円、配当金の支払額1,659百万円によります。
前連結会計年度との主な差額は、長期借入金の返済による支出が7,704百万円減少し、短期借入金の純増減額が9,756百万円増加した一方、長期借入れによる収入が12,190百万円減少し、株式の発行による収入が2,259百万円減少し、自己株式の処分による収入が4,468百万円減少したことです。
② 資金需要
当社グループにおける主な資金需要は、製品製造のための材料・部品等の購入費、製造費用、製品・商品の仕入、販売費及び一般管理費、運転資金及び設備投資資金です。
設備投資の概況については、「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」に記載のとおりです。
③ 資金調達の状況
当社グループの運転資金及び設備投資資金は主として内部資金により充当し、必要に応じて借入れによる資金調達を実施することを基本方針としております。
当連結会計年度の当社グループの設備投資資金につきましては、内部資金と借入れにより充当いたしました。
また、当社グループは当連結会計年度末で現金及び預金を22,475百万円保有しておりますが、新型コロナウイルス感染拡大による生産数量の減少などの不確実性に対処するため、当社グループが当連結会計年度末に保有する当座貸越契約の借入未実行残高22,466百万円に加え、当社において、追加でコロナ対策ファンドによる短期借入並びにコミットメントラインの新規設定を相応の金額で取り組むほか、子会社においても、短期借入枠の増額等を進めており、十分な手元資金の確保に努めております。今後は、資本の効率化と財務の安全性確保を重視しつつ、有利子負債の圧縮を視野にいれながら、バランスのとれた財務運営を目指してまいります。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の年度別返済額は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 ⑤連結附属明細表 借入金等明細表」に記載のとおりです。
④ 財務戦略
収益力強化・キャッシュマネジメントにより有利子負債を削減しながら、既存事業の競争力維持のため年平均10,000百万円程度の投資を継続します。さらに、自動車用エンジン軸受関連の投資は、市場の縮小が急速に進む可能性に備え、中期経営計画期間後半について慎重に対処しつつ、研究開発、新規事業、M&A等については積極的に投資を行う等、自己資本比率35%を念頭に財務の健全性を確保しつつ、成長分野へ積極投資を試みます。
また、投資効率改善のためにハードルレートの見直し、投資後の効果測定を厳格に行うことで投資の精度を上げる等、健全な設備投資を試みます。
当社株主に対する安定的な配当を継続しながら、自己資本利益率(ROE)は株主資本コストを意識して2023年度に10.0%の達成を目指しており、運転資金の効率化や通常投資の見直し等、さらなるキャッシュ・フローの改善を進めます。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成する上では、固定資産の減損損失、繰延税金資産の回収可能性など様々な会計上の見積りを行うことが必要となりますが、会計基準では、会計上の見積りを「資産及び負債や収益または費用等の額に不確実性がある場合において、財務諸表作成時に入手可能な情報に基づいて、その合理的な金額を算出すること」と定義されております。
① 新型コロナウイルス感染拡大における会計上の見積りの仮定
新型コロナウイルス感染症の感染拡大は経済及び企業活動に広範に影響を与える事象であり、自動車メーカー等の生産台数の落ち込みの程度及び回復の時期を予測することは困難であるため、「第5 経理の状況 1連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載の仮定をおいて、会計上の見積りを行っております。なお、当該仮定は不確実性が高く、影響が長期化した場合においては追加的な固定資産の減損損失や繰延税金資産の取崩しが発生する可能性があります。
② のれんを含む無形資産の評価
株式会社飯野ホールディング、ATAキャスティングテクノロジージャパン株式会社とその子会社におけるのれんを含む無形資産の評価は、のれんが帰属する資産グループに関連する資産を含めた資産にのれんを加えたより大きな単位で行っております。これらの資産グループに固定資産の減損会計を適用するにあたり、回収可能価額は使用価値に基づき、直近の事業環境を反映させた事業計画に基づく将来キャッシュ・フローを用いて、減損の認識の要否の判定を行っております。いずれものれんの残存償却年数を経済的残存使用年数とした上で、当該期間経過時の回収可能価額は、当該時点における営業利益見込に基づき算定しております。
使用価値の算定に最も影響を及ぼす仮定は、事業計画及び割引率であり、割引率は、資金生成単位の属する国における株式市場の要求利回り及び金利水準を合理的に反映する率を使用しております。
当連結会計年度においては、いずれの会社においても無形固定資産に関する減損損失を認識することはありませんでした。しかし、将来の予測不能なビジネスの前提条件や経営環境の変化による、将来キャッシュ・フローの下落を引き起こすような見積りの変化が、これらの評価に不利に影響し、結果として、のれんを含む無形固定資産の減損損失を認識することになる可能性があります。
③ 大同メタルヨーロッパLTD.における売掛金の評価
大同メタルヨーロッパLTD.において、売掛金の不適切な消込を原因として、入金が遅延した売掛金の把握及び督促に関する活動が適時に行われなかった事実が判明いたしました。当社グループは売掛金の入金消込作業を遡及的に実施し、得意先への督促及び回収を進めており、この結果を踏まえ、主として回収期日からの経過期間に基づき貸倒引当金を計算しております。得意先への督促活動は継続しておりますが、回収実績が当社グループの見積りと乖離した場合には、貸倒引当金の追加計上または取崩しが発生する可能性があります。