有価証券報告書-第151期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(平成31年1月31日内閣府令第3号)による改正後の「企業内容等の開示に関する内閣府令」第二号様式記載上の注意(32)の規定を当事業年度に係る有価証券報告書から適用しています。
(1)業績等の概要
① 業績
| 売上高 (百万円) | 営業利益 (百万円) | 税引前利益 (百万円) | 親会社の所有者に帰属する当期利益 (百万円) | 基本的1株当たり 当期利益 (円) | |
| 当連結会計年度 | 793,862 | 28,281 | 20,117 | 8,147 | 5.97 |
| 前連結会計年度 | 786,497 | 81,029 | 76,665 | 57,064 | 41.71 |
| 増減率(%) | 0.9 | △65.1 | △73.8 | △85.7 | △85.7 |
当連結会計年度における世界経済は、全体としては緩やかな回復が続くことが期待されたものの、米中貿易摩擦やEU離脱に関する英国の動向等から不透明な状況が続きました。わが国経済については、輸出や生産の一部に弱さがみられるものの、企業収益、雇用情勢が改善し、個人消費に持ち直しの動きが見られるなど、緩やかな回復傾向が続きました。
このような経営環境の中、当社グループは2017年3月期を初年度とする5カ年の中期経営計画「2016経営基本計画(16CSP)」の基本的な考え方である「"Business to Specialist" Company」および「One Olympus」に基づき、事業運営を行ってきたことに加え、2019年1月には真のグローバル・メディカル・テクノロジーカンパニーへの飛躍を目指した企業変革プラン「Transform Olympus」を発表し、持続的な発展に向けた取り組みを推し進めてまいりました。
当社グループの連結売上高は、医療事業、科学事業の増収により、7,938億62百万円(前期比0.9%増)となりました。営業利益については、医療事業は米国司法省との司法取引契約締結に伴う費用96億53百万円等の一時費用の計上により減益となりました。一方、科学事業は増収により増益となりました。加えて、証券訴訟の損害賠償請求の和解に伴う解決金193億80百万円や映像事業の生産拠点の再編に伴う費用61億74百万円、中国生産子会社に対する訴訟の判決に伴う損害賠償に対する引当金38億17百万円、および当社の海外子会社が行った間接税に係る自主調査に関して追加的に徴収が見込まれる税額53億28百万円の引当金計上等により、営業利益は282億81百万円(前期比65.1%減)となりました。また、為替差損の計上に伴う金融費用の増加に伴い、親会社の所有者に帰属する当期利益は81億47百万円(前期比85.7%減)となりました。
主力の医療事業においては、消化器内視鏡分野が製品ライフサイクル後半の中でも堅調に推移したほか、16CSPで高い成長を期待する外科分野では、日本、欧州で前期に本格導入した「VISERA ELITE Ⅱ(ビセラ・エリート・ツー)」および、エネルギーデバイスの「THUNDERBEAT(サンダービート)」の販売が好調に推移し、北米においては、前期に買収した米国 Image Stream Medical 社とのシナジーにより、4K外科内視鏡とシステムインテグレーション製品の販売が堅調に推移し、過去最高の売上高を更新しました。
一方で、映像事業においては生産拠点の再編に伴い一部既存製品の供給や新製品数に制約が生じたことに加え、ミラーレスカメラの競合環境が激化した影響により減収減益となりました。
また、当期においては、当社グループ全体で939億68百万円の研究開発費を投じるとともに、668億30百万円の設備投資を実施しました。
為替相場は前期と比べ、対米ドルは前年並み、対ユーロは円高で推移しました。期中の平均為替レートは、1米ドル=110.91円(前期は110.85円)、1ユーロ=128.41円(前期は129.70円)となり、売上高は対ユーロで円高の影響を受け前期比34億73百万円の減収要因、営業利益については一部通貨がユーロに対して通貨安となったため前期比7億58百万円の増益要因となりました。
セグメントの業績は次のとおりです。
| 売上高 | 営業利益又は営業損失(△) | |||||
| 前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 増減率 (%) | 前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 増減率 (%) | |
| 医療 | 616,331 | 634,301 | 2.9 | 121,784 | 111,934 | △8.1 |
| 科学 | 100,016 | 104,225 | 4.2 | 6,425 | 8,135 | 26.6 |
| 映像 | 60,298 | 48,679 | △19.3 | △1,200 | △18,268 | - |
| その他 | 9,852 | 6,657 | △32.4 | △4,966 | △3,521 | - |
| 小計 | 786,497 | 793,862 | 0.9 | 122,043 | 98,280 | △19.5 |
| 消去又は全社 | - | - | - | △41,014 | △69,999 | - |
| 連結計 | 786,497 | 793,862 | 0.9 | 81,029 | 28,281 | △65.1 |
(注) 製品系列を基礎として設定された事業に、販売市場の類似性を加味してセグメント区分を行っています。
医療事業
医療事業の連結売上高は6,343億1百万円(前期比2.9%増)、営業利益は1,119億34百万円(前期比8.1%減)となりました。
消化器内視鏡分野においては、主力の内視鏡基幹システムが製品サイクル後半にあるものの、堅調に推移しました。外科分野においては、外科手術用内視鏡システムの新製品「VISERA ELITE Ⅱ(ビセラ・エリート・ツー)」が好調に推移したほか、バイポーラ高周波と超音波の統合エネルギーデバイス「THUNDERBEAT(サンダービート)」が引き続き売上を伸ばしました。処置具分野においては、膵胆管等の内視鏡診断・治療に使用するシングルユース製品などの販売が好調でした。
医療事業の営業損益は、米国司法省との司法取引契約締結に伴う費用を計上したこと等により、減益となりました。
科学事業 科学事業の連結売上高は1,042億25百万円(前期比4.2%増)、営業利益は81億35百万円(前期比26.6%増)となりました。
病院及びライフサイエンス研究向けの生物顕微鏡は、北米や中国で好調に推移しました。
また、工業用顕微鏡は半導体、電子部品向けの販売が好調だったことに加え、非破壊検査機器も石油ガス市場向けを中心に中国、アジアで売上を伸ばし、増収となりました。
科学事業の営業損益は、増収と費用の効率的なコントロールにより、増益となりました。
映像事業
映像事業の連結売上高は486億79百万円(前期比19.3%減)、営業損失は182億68百万円(前年は12億円の営業損失)となりました。
生産拠点の再編に伴い一部既存製品の供給や新製品数に制約が生じたことに加え、ミラーレスカメラの競合環境が激化した影響により、映像事業の売上は減収となりました。
映像事業の営業損益は、減収および生産拠点の再編に伴う費用ならびに、減損損失19億90百万円を計上したこと等により、損失を計上しました。
その他事業
その他事業の連結売上高は66億57百万円(前期比32.4%減)、営業損失は35億21百万円(前期は49億66百万円の営業損失)となりました。
コンパクトカメラのレンズユニットの外販を終了したこと等により、その他事業の売上高は、減収となりました。その他事業の営業損益は、事業ドメインへの経営資源の集中を進めるべく、非事業ドメインの整理を行い、前連結会計年度に子会社の事業譲渡を行ったこと等により、損失幅が縮小しました。
② 財政状態の状況
(単位:百万円)
| 前期末 | 当期末 | 増 減 | 増減率(%) | |
| 資産合計 | 978,663 | 932,030 | △46,633 | △4.8 |
| 資本合計 | 444,259 | 442,387 | △1,872 | △0.4 |
| 親会社所有者帰属 持分比率 | 45.2% | 47.3% | 2.1% | - |
当期末は、資産合計が、前期末に比べ466億33百万円減少し、9,320億30百万円となりました。
資産合計は、棚卸資産が143億14百万円増加、有形固定資産が86億65百万円増加、繰延税金資産が101億32百万円増加した一方、現金及び現金同等物が768億13百万円減少、無形資産が41億2百万円減少しました。
負債合計は、流動負債の社債及び借入金が290億84百万円減少、非流動負債の社債及び借入金が375億55百万円減少したこと等により、前期末に比べ447億61百万円減少し、4,896億43百万円となりました。
資本合計は、前期末に比べ18億72百万円減少し、4,423億87百万円となりました。主な要因は、親会社の所有者に帰属する当期利益81億47百万円による利益剰余金の増加、配当95億59百万円による利益剰余金の減少、その他の資本構成要素が24億24百万円減少したこと等によるものです。
以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は前期末の45.2%から47.3%となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
| 前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 増減 (百万円) | |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 95,146 | 66,943 | △28,203 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | △53,312 | △60,296 | △6,984 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | △51,058 | △82,948 | △31,890 |
| 現金及び現金同等物期末残高 | 191,239 | 114,563 | △76,676 |
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比較して766億76百万円減少し、1,145億63百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により増加した資金は669億43百万円(前連結会計年度は951億46百万円の増加)となりました。主な増加要因は、税引前利益201億17百万円の計上、減価償却費及び償却費586億69百万円の非資金項目の調整によるものです。主な減少要因は、棚卸資産の増加額143億57百万円及び法人所得税の支払額211億93百万円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動により減少した資金は602億96百万円(前連結会計年度は533億12百万円の減少)となりました。主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出470億94百万円、無形資産の取得による支出143億72百万円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動により減少した資金は829億48百万円(前連結会計年度は510億58百万円の減少)となりました。主な減少要因は、長期借入金の返済による支出643億2百万円、社債の償還による支出250億円、配当金の支払額95億59百万円等によるものです。主な増加要因は、長期借入による収入94億25百万円、社債の発行による収入99億47百万円等によるものです。
(2)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
| セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前期比(%) |
| 医療 | 616,983 | 11.8 |
| 科学 | 103,258 | 11.4 |
| 映像 | 46,878 | △24.6 |
| その他 | 1,551 | △56.6 |
| 計 | 768,670 | 8.2 |
(注)1 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
② 仕入実績
| セグメントの名称 | 仕入高(百万円) | 前期比(%) |
| 医療 | - | - |
| 科学 | - | - |
| 映像 | - | - |
| その他 | 2,213 | 5.4 |
| 計 | 2,213 | 5.4 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
③ 受注実績
当社グループの製品は見込生産を主体としているため、受注状況の記載を省略しています。
④ 販売実績
| セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前期比(%) |
| 医療 | 634,301 | 2.9 |
| 科学 | 104,225 | 4.2 |
| 映像 | 48,679 | △19.3 |
| その他 | 6,657 | △32.4 |
| 計 | 793,862 | 0.9 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(3)経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は当連結会計年度現在において判断したものです。
① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析
当社グループは2016年3月に策定した中期経営計画「2016経営基本計画(16CSP)」において、戦略遂行の成果
を、株主資本利益率(ROE)、営業利益率、EBITDA成長率、自己資本比率(親会社所有者帰属持分比率)の4つの
経営目標でモニタリングしております。
当連結会計年度における株主資本利益率(ROE)は1.8%(前期比11.8ポイント悪化)、営業利益率は3.6%(前期比6.7ポイント悪化)、EBITDA成長率は△35.1%(前期のプラス成長よりマイナス成長に転換)、自己資本比率(親会社所有者帰属持分比率)は47.3%(前期比2.1ポイント改善)となり、自己資本比率は借入金の返済により改善するも、その他の指標については、一時費用の計上により収益性が下がったことから悪化となりました。
16CSPの目標水準に向けて、財務上の健全性確保および収益性と資産効率性を高めるという事業活動の改革に
より、ROE重視の経営を推進してまいります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る状況
(i) キャッシュ・フロー
「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
(ⅱ) 財務政策
当社グループは、安定した財務基盤の維持と、適正な財務レバレッジのコントロールによる資本効率向上の両立を財務政策の基本方針としています。この基本方針のもと、自己資本比率の水準を50%程度に保ち、且つ格付投資情報センター等の格付においてA格(安定的)の維持を目指しています。また、コマーシャルペーパーや公募社債の発行等、資金調達手段の多様化による調達コストの低減にも取り組んでいます。
(ⅲ) 資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループ製品製造のための材料および部品の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。営業費用の主なものは人件費および広告・販売促進費等のマーケティング費用です。当社グループの研究開発費は様々な営業費用の一部として計上されていますが、研究開発に携わる従業員の人件費が研究開発費の主要な部分を占めています。また、当社グループの投資資金需要のうち主なものは、主力の製造拠点である国内工場および欧米を中心とした修理拠点の統合、新設など、医療事業を中心とした生産効率向上のための設備投資です。将来の成長に向けた戦略的な資金需要に対しては、財務健全性の維持と資本効率性の向上を両立させながら積極的に対応していく方針です。
(ⅳ) 資金調達
当社グループの運転資金および設備投資資金は、主として内部資金により充当し、必要に応じ金融機関からの借入や社債による資金調達を実施しています。これらの借入金および社債について、営業活動から得られるキャッシュ・フローによって十分に完済できるとともに、引き続き今後の成長に必要となる資金を適切に調達することが可能であると考えています。また、主要な取引先金融機関とは良好な取引関係を維持しており、さらに格付投資情報センターの格付はA格(安定的)となっていることから、安定的かつ低コストでの資金調達が適時滞りなく実施可能と認識しています。加えて、主要通貨(ドル・ユーロ・円)によるグローバルコミットメントラインを設定しており、緊急時の流動性確保にも備えています。
③ 重要な会計方針および見積り
当社グループは、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しています。重要な会計方針及び見積りの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。
(4)経営成績等の状況の概況に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は以下のとおりです。
なお、当該差異の金額については、当社グループは日本基準に基づく連結財務諸表を作成していないため、一定の仮定を設定して算出した概算額で記載しています。
① のれんの償却
日本基準では20年以内の合理的な年数で均等償却していましたが、IFRSでは移行日以降の償却を停止し、毎期減損テストを実施しています。
上記により、IFRSでは日本基準に比べ販売費及び一般管理費が9,452百万円減少しています。
② 開発費の資産計上
研究開発に係る支出について、日本基準では費用処理していましたが、IFRSでは一部の支出について資産計上の要件を満たすため、無形資産として認識しています。また、資産計上に伴い償却が発生しています。
上記により、IFRSでは日本基準に比べ無形資産が33,329百万円増加しています。
③ 退職後給付
日本基準では数理計算上の差異及び過去勤務費用について、その発生時にその他の包括利益を通じて純資産の部に計上したうえで、従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数による定額法により費用処理していました。IFRSでは数理計算上の差異については、発生時にその他の包括利益を通じてその他の資本の構成要素で認識した後、直ちに利益剰余金に振替えています。また、過去勤務費用については、発生時にその全額を純損益として認識しています。
上記により、IFRSでは日本基準に比べ利益剰余金が11,376百万円減少しています。