訂正有価証券報告書-第117期(平成29年1月1日-平成29年12月31日)

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2018/04/23 9:03
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有報資料

以下は、当グループ(当社及びその連結子会社。以下、当該項目では「当社」という。)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関連する情報です。文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2018年3月29日)現在において判断しております。
はじめに
当社は、複写機、複合機、レーザープリンター、カメラ、インクジェットプリンター、診断機器、半導体露光装置及びFPD露光装置を世界的に事業展開する企業グループであります。また、企業の成長と発展を果たすことにより、世界の繁栄と人類の幸福に貢献することを、経営指針としております。
1.主要業績評価指標
当社の事業経営に用いられる主要業績評価指標(Key Performance Indicators。以下「KPI」という。)は以下のとおりであります。
(収益及び利益率)
当社は、真のグローバル・エクセレント・カンパニーを目指し邁進しておりますが、経営において重点を置いている指標の1つに収益が挙げられます。以下は経営者が重要だと捉えている収益に関連したKPIであります。
売上高はKPIの1つと考えております。当社は主に製品、またそれに関連したサービスから売上を計上しています。売上高は、当社製品への需要、会計期間内における取引の数量や規模、新製品の評判、また販売価格の変動といった要因によって変化し、その他にも市場でのシェア、市場環境等も売上高を変化させる要因です。さらに製品グループ別の売上高は売上の中でも重要な指標の1つであり、市場のトレンドに当社の経営が対応しているかというような内容を測定するための目安となります。
売上高総利益率は収益性を測るもう1つのKPIです。当社は開発革新活動を通して、より早く新製品を投入することで、値崩れせず価格面での競争力を保持できるよう、製品開発におけるリードタイムの短縮を図ってきました。さらに、生産革新活動を通して、コストダウンの成果も挙げてきました。こうした成果が当社の売上高総利益率の改善に繋がってきており、今後も開発革新、生産革新といった活動を推進してまいります。
営業利益率及び売上高研究開発費比率も当社のKPIとして考えており、これらについて当社は2つの面からの方策をとっております。1つは、販売費及び一般管理費そのものを統制し低減に努めていること、もう1つは将来の利益を生み出す技術に対する研究開発費を一定の水準に維持していくことです。現在の市場における優位性を保持しつつ、他市場における可能性も開拓していくために必要なことであり、そうした投資が将来の事業の成功の基盤となります。
(キャッシュ・フロー経営)
当社はキャッシュ・フロー経営にも重点を置いております。以下の指標は、経営者が重要だと捉えているキャッシュ・フロー経営に関連したKPIです。
たな卸資産回転日数はKPIの1つであり、サプライチェーン・マネジメントの成果を測る目安となります。たな卸資産は陳腐化及び劣化する等のリスクを内在しており、その資産価値が著しく下がることで、当社の業績に悪影響を及ぼすこともありえます。こうしたリスクを軽減するためには、サプライチェーン・マネジメントの強化により、たな卸資産の圧縮及び製品コスト等の回収を早期化させるために生産リードタイムを短縮させ、一方で販売の機会損失を防ぐため適正水準の製品在庫を保持していく活動の継続が重要であると考えられます。
また有利子負債依存度も当社のKPIの1つであります。当社のような製造業では、開発、生産、販売等のプロセスを経て、事業が実を結ぶまでには、一般に長い期間を要するため、堅固な財務体質を構築することは重要なことであると考えます。今後も当社は主に通常の営業活動からのキャッシュ・フローで、流動性や設備投資に対応してまいります。
総資産に占める株主資本の割合を示す株主資本比率も、当社におけるKPIの1つとしております。株主資本を潤沢に持つことは、長期的な視点に立って高水準の投資を継続することにつながり、短期的な業績悪化にも揺るがない事業運営を可能にします。特に、研究開発に重点を置く当社にとっては、財務の安全性を確保することは、非常に重要なことであると考えられます。
2.重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、米国において一般に公正妥当と認められた会計原則に基づいて作成されております。また当社は、連結財務諸表を作成するために、種々の見積りと仮定を行っております。これらの見積り及び仮定は将来の市場状況、売上増加率、利益率、割引率等の見積り及び仮定を含んでおります。当社は、これらの見積り及び仮定は合理的であると考えておりますが、実際の業績は異なる可能性があります。それらは連結財務諸表上の資産、負債、収益、費用の計上金額及び偶発資産・偶発債務の開示情報に影響を及ぼします。その内容は「注記事項」に記載しておりますが、中でも連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられるものは、以下のとおりであります。
(1)長期性資産の減損
基準書360「有形固定資産」に準拠し、有形固定資産や償却対象の無形固定資産などの長期性資産は、帳簿価額が回収できないという事象や状況の変化が生じた場合に、減損に関する検討を実施しております。帳簿価額が割引前将来見積キャッシュ・フローを上回っていた場合には、帳簿価額が公正価値を超過する金額について減損を認識しております。公正価値の決定は、見積り及び仮定に基づいて行っております。
(2)有形固定資産
有形固定資産は取得原価により計上しております。減価償却方法は、定額法で償却している一部の資産を除き、定率法を適用しております。
(3)企業結合
企業買収は取得法で処理しております。取得法では、取得した全ての有形及び無形資産並びに引き継いだ全ての負債を、支配獲得日における公正価値に基づき認識及び測定します。公正価値の決定には、将来キャッシュ・フローの予測、割引率、資本収益率、及びその他の利用可能な市場データに基づく見積りなどの、重要な判断や見積りを伴います。また、将来キャッシュ・フローの予測は、被買収会社の実績や、過去及び将来に想定される趨勢、市場や経済状況などの多くの要素に基づいております。
(4)のれん及びその他の無形固定資産
のれん及び耐用年数が確定できないその他の無形固定資産は償却を行わず、代わりに毎年第4四半期に、または潜在的な減損の兆候があればより頻繁に減損テストを行っております。全てののれんは、企業結合のシナジー効果から便益を享受する報告単位に配分されます。報告単位の公正価値が、当該報告単位に割り当てられた帳簿価額を下回る場合には、当該差額をその報告単位に配分されたのれんの帳簿価額を限度とし、のれんの減損損失として認識しております。報告単位の公正価値は、主として割引キャッシュ・フロー分析に基づいて決定されており、将来キャッシュ・フロー及び割引率等の見積りを伴います。将来キャッシュ・フローの見積りは、主として将来の成長率に関する当社の予測に基づいております。割引率の見積りは、主として関連する市場及び産業データ並びに特定のリスク要因を考慮した、加重平均資本コストに基づいて決定しております。当社は、2017年第4四半期に行った減損テストの結果、オフィスビジネスユニットに属する商業印刷事業の公正価値が帳簿価額を下回っていたことから、当該差額をのれんの減損損失として認識しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 注8 のれん及びその他の無形固定資産」及び「注20 公正価値の開示」に記載のとおりであります。なお、上記商業印刷事業以外の報告単位については、個々の報告単位の公正価値が帳簿価額を超過しており、減損のリスクが見込まれる報告単位はないと判断しております。しかし、メディカルシステムビジネスユニット、及び産業機器その他ビジネスユニットに含まれるネットワークカメラ事業に帰属するのれんについては、近年の買収に起因するものであることから、公正価値が帳簿価額を超過する割合が相対的に低くなっており、これらの事業の将来キャッシュ・フローが想定よりも減少した場合、減損損失を認識する可能性があります。なお、当該事業に帰属するのれんの帳簿価額はそれぞれ499,915百万円及び235,172百万円となっております。
耐用年数の見積りが可能な無形固定資産は、主としてソフトウェア、商標、特許権及び技術資産、ライセンス料、顧客関係であります。なお、ソフトウェアは主として3年から6年で、商標は15年で、特許権及び技術資産は7年から17年で、ライセンス料は7年で、顧客関係は11年から15年で定額償却しております。
(5)法人税等の不確実性
当社は、法人税等の不確実性の評価及び見積りにおいて多くの要素を考慮しており、それらの要素には、税務当局との解決の金額及び可能性、並びに税法上の技術的な解釈を含んでおります。不確実性に関する実際の解決が見積りと異なるのは不可避的であり、そのような差異が連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
(6)繰延税金資産の評価
当社は、繰延税金資産に対して定期的に実現可能性の評価を行っております。繰延税金資産の実現は、主に将来の課税所得の予測によるところが大きく、課税所得の予測は将来の市場動向や当社の事業活動が順調に継続すること、その他の要因により変化します。課税所得の予測に影響を与える要因が変化した場合には評価性引当金の設定が必要な場合があり、当社では繰延税金資産の実現可能性がないと判断した際には、繰延税金資産を修正し、損益計算書上の法人税等に繰り入れ、当期純利益が減少いたします。
(7)未払退職及び年金費用
未払退職及び年金費用は数理計算によって認識しており、その計算には前提条件として基礎率を用いています。割引率、期待運用収益率といった基礎率については、市場金利などの実際の経済状況を踏まえて設定しております。その他の基礎率としては、昇給率、死亡率などがあります。これらの基礎率の変更により、将来の退職及び年金費用が影響を受ける可能性があります。
基礎率と実際の結果が異なる場合は、その差異が累積され将来期間にわたって償却されます。これにより実際の結果は、通常、将来の年金費用に影響を与えます。当社はこれらの基礎率が適切であると考えておりますが、実際の結果との差異は将来の年金費用に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度の連結財務諸表の作成においては、給付債務の計算に使用する割引率には国内制度、海外制度ではそれぞれ加重平均後で0.6%、2.2%を、長期期待収益率には国内制度、海外制度ではそれぞれ加重平均後で3.1%、4.2%を使用しております。割引率を設定するにあたっては、現在利用可能で、かつ、年金受給が満期となる間に利用可能と予想される高格付けで確定利付の公社債の収益率に関し利用可能な情報を参考に決定しております。また長期期待収益率の設定にあたっては、年金資産が構成される資産カテゴリー別の過去の実績及び将来の期待に基づいて収益率を決定しております。
割引率の低下(上昇)は、勤務費用及び数理計算上の差異の償却額を増加(減少)させるとともに、利息費用を減少(増加)させます。割引率が0.5%低下した場合、予測給付債務は約1,020億円増加します。
長期期待収益率の低下(上昇)は、期待運用収益を減少(増加)させ、かつ数理計算上の差異の償却額を増加(減少)させるため、期間純年金費用を増加(減少)させます。長期期待収益率が0.5%低下した場合、翌連結会計年度の期間純年金費用は約49億円増加します。
2006年12月31日に、基準書715「給付-退職給付」の積立状況の認識及び開示に関する規程を適用しております。これにより年金制度の積立状況(すなわち、年金資産の公正価値と退職給付債務の差額)を連結貸借対照表で認識しており、対応する調整を税効果調整後で、その他の包括利益(損失)累計額に計上しております。
(8)新会計基準
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 注1 新会計基準」に記載のとおりであります。
3.経営成績の分析
(1)売上高
当連結会計年度は、世界経済に総じて年初の想定を上回る回復が見られました。こうした中、新製品や高付加価値製品の拡販に努め、また、TMSCの新規連結影響もあったことにより、売上高は前連結会計年度比19.9%増の4兆800億円となりました。
当連結会計年度の海外での売上高は、連結売上高の78.3%を占めます。海外での売上高の計算は、円と外貨の為替レートの変動に影響されます。製品の現地生産及び海外からの部品や材料調達等によりその影響を抑えておりますが、為替レートの変動は当社の経営成績に大きな影響を与える可能性があります。
当連結会計年度の米ドル及びユーロの平均為替レートはそれぞれ112.13円及び126.69円と、前連結会計年度に比べて米ドルは約4円円安、ユーロは約6円円安で推移しました。米ドルとの為替レートの変動により約425億円の売上高増加、ユーロとの変動で約430億円の売上高増加、その他の通貨との変動で108億円の売上増加影響がありました。その結果、当連結会計年度の為替による売上高の増加影響は約962億円となりました。
(2)売上原価
売上原価は、主として原材料費、購入部品費、工場の人件費から構成されます。原材料費のうち海外調達される原材料については、海外の市場価格や為替レートの変動による影響を受け、当社の売上原価に影響を与えます。売上原価にはこれらの他に有形固定資産の減価償却費、修繕費、光熱費、賃借料などが含まれております。売上高に対する売上原価の比率は、当連結会計年度51.2%、前連結会計年度50.8%となりました。
(3)売上総利益
当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度と比べ19.0%増加の1兆9,927億円となりました。また売上総利益率は、プロダクトミックスの影響を受けて前連結会計年度より0.4ポイント悪化し48.8%となりました。
(4)営業費用
営業費用は、主に人件費、研究開発費、広告宣伝費であります。営業費用は、円安のため外貨建ての営業費用が円換算後で増加したことや、TMSCの新規取得影響、のれんの減損損失を計上したことなどにより、前連結会計年度比15.0%増加し1兆6,612億円となりました。
(5)営業利益
当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度比44.8%増加の3,315億円でありました。営業利益率は1.4ポイント好転して8.1%となりました。
(6)営業外収益及び費用
当連結会計年度の営業外収益及び費用は、主に保有株式の信託化に伴う退職給付信託設定益や為替差損により、前連結会計年度から66億円好転し、224億円の収益となりました。
(7)税引前当期純利益
当連結会計年度の税引前当期純利益は3,539億円で、前連結会計年度比44.6%の増収となりました。また、売上高に対する比率は8.7%でした。
(8)法人税等
当連結会計年度の法人税等は153億円増加し、実効税率は27.7%でした。実効税率が日本の法定実効税率を下回っているのは、のれんの減損損失の影響により一部相殺されたものの、主に米国の税制改正による2017年における税率変更に伴う繰延税金負債取崩し及び試験研究費の税額控除のためです。
(9)当社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の当社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比60.6%の増益である2,419億円となりました。また、売上高当期純利益率は5.9%となりました。
4.海外事業と外国通貨による取引
当社の販売活動は様々な地域で現地通貨により行っている一方、売上原価は円の占める割合が比較的高くなっております。当社の現在の事業構造を鑑みると、円高影響は売上高や売上高総利益率に対してマイナス要因となります。こうした為替相場の変動による財務リスクを軽減することを目的に、当社は為替先物契約を主とした金融派生商品を利用した取引を実施しております。
海外における売上高利益率は、主に販売活動を中心としているため、国内の売上高利益率と比較すると低くなっております。一般的に販売活動は、当社が行っている生産活動ほど収益性は高くありません。
5.流動性と資金源泉
(1)現金及び現金同等物
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度から916億円増加して、7,218億円となりました。当社の現金及び現金同等物は主に円と米ドルを中心としておりますが、その他の外貨でも保有しております。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、増益となったことにより前連結会計年度に比べて903億円増加し、5,906億円の収入となりました。営業活動によるキャッシュ・フローは、主に顧客からの現金受取によるキャッシュ・イン・フローと、部品や材料、販売費及び一般管理費、研究開発費、法人税の支払いによるキャッシュ・アウト・フローとなっております。
当連結会計年度におけるキャッシュ・イン・フローの増加は、売上高の増加に伴い、顧客からの現金回収が増加したことによるものであります。当社の回収率に重要な変化はありません。また部品や材料、販売費及び一般管理費、研究開発費の支払いによるキャッシュ・アウト・フローの増加は、主に売上高の増加に起因しております。法人税の支払いによるキャッシュ・アウト・フローの減少は、前連結会計年度の課税所得の減少によるものです。
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度にTMSCの買収対価の支払いがあったことにより、前連結会計年度より6,721億円減少し1,650億円の支出となりました。
当社は、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを控除した純額をフリーキャッシュ・フローと定義しており、当連結会計年度のフリーキャッシュ・フローは、前連結会計年度の3,368億円の赤字から、7,624億円増加し、4,255億円の収入となりました。
当社は、キャッシュ・フロー経営に重点を置いているため、フリーキャッシュ・フローを常時モニタリングしております。フリーキャッシュ・フローは当社の現在の流動性や財務活動の使途を理解する上で重要であり、また投資家の理解のためにも有用であると考えております。当社は資金の調達源泉を明らかにするために、米国において一般に公正妥当と認められた会計原則による連結キャッシュ・フロー計算書や連結貸借対照表と併せて、米国会計基準以外の財務指標(Non-GAAP財務指標)である、フリーキャッシュ・フローを分析しております。なお、最も直接的に比較可能な米国会計原則に基づき作成された指標とフリーキャッシュ・フローの照合調整表は以下のとおりです。
(単位 億円)

第117期
営業活動によるキャッシュ・フロー5,906
投資活動によるキャッシュ・フロー△1,650
フリーキャッシュ・フロー4,255

当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、1,629億円の配当金支払いと1,266億円の長期債務の返済に加え、自己株式取得のため500億円の支払いを行ったことにより3,405億円の支出となりました。なお、当連結会計年度の1株当たりの配当は、160.00円の配当を実施しました。
当社は、流動性や必要資本を満たすため、増資、社債発行、借入といった外部からの様々な資金調達方法をとることが可能です。当社は、これまでどおりの資金調達や資本市場からの資金調達が可能であり、また将来においても可能であり続けると認識しておりますが、経済情勢の急激な悪化やその他状況によっては、当社の流動性や将来における長期の資金調達に影響を与える可能性があります。
短期借入金(1年以内に返済する長期債務を含む)は前連結会計年度末の19億円から子会社の新規連結により374億円増加し、当連結会計年度末には393億円となりました。長期債務(1年以内に返済する長期債務は除く)は前連結会計年度末の6,113億円から長期債務の返済により1,181億円減少し、当連結会計年度末には4,932億円となりました。
当社の固定債務は、主に銀行借入とリース債務によって構成されています。
当社は、グローバルな資本市場から資金調達をするために、ムーディーズ・インベスターズ・サービスとスタンダード&プアーズの2つの格付機関から信用格付を得ております。それに加えて、当社は日本の資本市場からも資金調達するために、日本の格付会社である格付投資情報センターからも信用格付を得ております。2018年3月9日現在、当社の負債格付は、ムーディーズ・インべスターズ・サービス:Aa3(長期);スタンダード&プアーズ:AA-(長期)、A-1+(短期);格付投資情報センター:AA+(長期)であります。当社では、現時点で負債の返済を早めるような格付低下の要因は発生しておりません。当社の信用格付が下がる場合は、借入れコストの増加につながります。
(2)在庫の適正化
当社の最新の在庫水準の最適化の方針は、運転資金を最小化し、在庫の陳腐化のリスクを避け、一方で予期せぬ天災発生時でも販売活動を継続できるようにするため、適切なバランスを維持していくことであります。当社の在庫回転日数は、当連結会計年度、前連結会計年度末時点でそれぞれ、49日、59日となりましたが、前連結会計年度末にはTMSCを新規に連結した影響が含まれております。なお、TMSC新規連結影響を除いた場合、前連結会計年度末の在庫回転日数は50日となります。
(3)設備投資
当連結会計年度における設備投資は、前連結会計年度の1,716億円から241億円減少し、1,475億円になりました。翌連結会計年度につきましては、当社の設備投資は2,000億円に達する見込みであります。
(4)退職給付債務への事業主拠出
当社の確定給付型年金への拠出額は、当連結会計年度506億円、前連結会計年度146億円であり、確定拠出型年金への拠出額は、当連結会計年度190億円、前連結会計年度176億円であります。また、一部の子会社が加入している複数事業主制度への拠出額は、当連結会計年度42億円、前連結会計年度35億円であります。
(5)運転資本
当連結会計年度における運転資本(流動資産から流動負債を控除した額)は、前連結会計年度の1兆1,164億円から68億円増加し、1兆1,232億円になりました。当社の運転資本は、予測できる将来需要に対して十分であると認識しております。当社の必要資本は、設備投資に関わる支出の水準及び時期といった全社的な事業計画に基づいております。流動比率(流動負債に対する流動資産の割合)は当連結会計年度は2.01、前連結会計年度は2.14であります。
(6)総資本当社株主に帰属する当期純利益率
総資本利益率(当社株主に帰属する当期純利益を前年度末及び当年度末の総資産平均で除した割合)は、当連結会計年度では4.7%、前連結会計年度は3.1%であります。
(7)株主資本当社株主に帰属する当期純利益率
株主資本利益率(当社株主に帰属する当期純利益を前年度末及び当年度末の株主資本平均で除した割合)は、当連結会計年度は8.6%となり、前連結会計年度の5.2%から増加いたしました。
(8)有利子負債依存度
当連結会計年度における短期借入金及び長期借入金は、前連結会計年度末の6,131億円より805億円減少し5,326億円となり、有利子負債依存度(総資産に対する有利子負債の割合)で表すと10.2%になります。前連結会計年度の有利子負債依存度は11.9%でした。
6.研究開発及び特許
当社は、2016年から5ヶ年計画「グローバル優良企業グループ構想フェーズⅤ」をスタートさせました。本フェーズにおいては、「戦略的大転換を果たし、新たな成長に挑戦する」をスローガンに、研究開発にかかわる重要戦略としては「原価率45%を実現する新生産システムの確立」、「新規事業の強化拡大と将来事業の創出」及び「オープンイノベーションによる研究開発力の強化」を掲げております。
「原価率45%を実現する新生産システムの確立」においては、開発・調達・生産・製造が一体となった日本のマザー工場機能を強化するとともに、ロボットの高精度化やIoT・ビッグデータ・AIなどの次世代技術の導入による生産技術の高度化を進め、トータルコストダウンを追及していきます。「新規事業の強化拡大と将来事業の創出」においては、現行事業の横展開による関連多角化の強化として、従来とは異なる分野における当社技術の応用可能性を探り、新たな事業の創出・拡大を図ります。また、商業印刷、ネットワークカメラ、ライフサイエンスなど将来有望な分野に重点的に開発投資を行い、補強的なM&Aも駆使して事業の早期拡大を図ります。「オープンイノベーションによる研究開発力の強化」においては、より開かれた研究開発体制を構築し、広く世界から最先端技術情報を取り入れて、開発のスピードアップや効果的な成果につなげます。特に基礎研究の分野について、国内外の大学や研究機関、ベンチャーとも広く連携し、共同研究・委託研究を推進します。
2014年に日本国内閣府の革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)に採択された「イノベーティブな可視化技術による新成長産業の創出」においては、非侵襲・無被曝な医療検査装置の実現に向けて研究開発を進めております。また、2013年に開設した米国ヘルスケアオプティクスリサーチラボにおいては、マサチューセッツ総合病院及びブリガム・アンド・ウィメンズ病院との間で生体医学に関する光イメージングや医用ロボットなどに関する共同研究を進めております。TMSCにおいては、仏ボルドー大学と超高分解能技術を搭載したMRIの共同研究を開始しました。
開発効率の向上に向けては、光学設計を含めた画像形成プロセスの一貫シミュレーションシステムや、製品作動音解析、熱気流解析などのシミュレーションシステムを開発し、これらのシミュレーターによって製品開発期間の短縮及び試作台数、開発費用の削減を実現しております。
研究開発費は、当連結会計年度3,301億円、前連結会計年度3,024億円でした。売上高研究開発費比率は、当連結会計年度8.1%、前連結会計年度8.9%でした。
当社は、強い特許ポートフォリオに守られた製品は他社の追随を容易に許さず、市場や業界における標準化活動などでも中心的な役割を果たせるとの認識をもっております。IFI CLAIMS® Patent Servicesが発表した2017年の米国特許取得件数ランキングにおいて、当社は第3位となりました。
7.トレンド情報
当社は、オフィス、イメージングシステム、メディカルシステム、産業機器その他の分野において、開発、生産から販売、サービスにわたる事業活動を営んでおります。
オフィスビジネスユニット
当社は、パーソナル向け、オフィス向け、さらにプロダクションプリント向けのプリンター、複写機、複合機の、開発・製造・販売及びメンテナンス、アフターサービスを行っております。また、ソフトウェア及びサービス、ソリューションビジネスを通して顧客に付加価値を提供しております。当社の製品はSOHO、中堅・中小企業から大企業及びプロダクションプリントのプロフェッショナルに至るまで、幅広い分野を網羅しております。近年の複写機業界では、ユーザーの志向がモノクロからカラー製品に、またハードウェアからサービスとソリューションにシフトしてきております。特にプロダクション印刷市場では、短納期、オンデマンド印刷やバリアブルデータ印刷への需要がますます強まっております。またコネクティビティ、セキュリティ、モバイル対応、システム・インテグレーション、ビジネスワークフロー、クラウドを利用したウェブサービスなどの高い付加価値の提供が重要となっております。これらの付加価値要素を複合機などのハードウェアと合わせて、お客様にソリューションとして提供することが求められております。当社は変化の激しい市場環境においても、今後も市場での優位性を維持してまいります。2017年に当社は、A3オフィス向けカラー複合機「imageRUNNER ADVANCE C3500」シリーズを発売し、操作性、生産性に優れたimageRUNNER ADVANCE第三世代の製品ラインアップを完成させました。また高速機分野におきましては、モノクロ機の「varioPRINT 140シリーズ」と「VarioPrint 6330シリーズ」を発売致しました。出力速度の高速化を実現したこれら製品ラインアップの一新により、短納期や多品種少量生産のニーズに広く対応します。
ソリューションにおいては、当社は組み込み型アプリケーションプラットフォーム「MEAP」を他社に先行して開発し、オフィス業務にあわせて複合機を最適化できる環境を提供してまいりました。当社は、imageRUNNERADVANCEの世界を拡大するソフトウェア imageWAREシリーズとuniFLOW、ワークフローを自動化するソフトウェア「Enterprise Imaging Platform(EIP)」、複合機を管理し、総保有コストを削減する「キヤノンMDS」等を提供し、ソリューション対応力をさらに強化しております。市場動向に沿って、今後もさらなる競争力の維持及び向上に向けて、ますます高度化する顧客の需要に応えるべく、製品群のさらなる充実とソリューション対応力の強化を図るとともに、販売力の強化に努めてまいります。
レーザープリンターについては、より付加価値の高い中高速機、特に複合機の拡販に注力し、販売数量及び市場シェアの拡大を果たしました。一方、スマートフォン、クラウド環境の普及等でユーザーのプリントスタイルが変化する中、プリント需要の減少による市場全体の成長鈍化が懸念されているのに加え、競合メーカー各社の攻勢による競争の激化とそれに伴う著しい価格下落は大きな脅威となっております。そのような環境下において、当社は各種の技術的イノベーションによる契約ビジネス市場での競争力強化や、地域別・機種別のきめ細かい販売戦略の立案・実行により、数量・シェア拡大モメンタムの加速をはかっていきます。加えて、一層のコストダウン、サプライチェーンの最適化を通じた事業効率の最大化を目指してまいります。
イメージングシステムビジネスユニット
当社は、デジタルカメラやデジタルビデオカメラと同様に、レンズや様々な関連アクセサリーを製造、販売しております。
レンズ交換式デジタルカメラでは、5年ぶりに刷新した一眼レフカメラの小型・軽量フルサイズセンサーモデル「EOS6D Mark II」や入門モデルでありながら上位機種に迫るハイスペックを搭載したミラーレスカメラ「EOS M100」をはじめとする新製品6機種を投入し、ラインアップの更なる強化を図ってまいりました。これら新製品の投入効果もあり、レンズ交換式デジタルカメラの販売シェアは、米国、欧州、日本といった主要地域において引き続き1位を獲得しております。レンズ交換式デジタルカメラにおいては、撮影領域のより一層の拡大を目指し、更なる高画質化、小型・軽量化、動画機能/ネットワーク機能の充実など、最先端の技術をベースとした新しい製品を提供することにより、今後も成長を目指してまいります。
レンズ交換式デジタルカメラ用交換レンズでは、7機種の新製品を投入いたしました。交換レンズラインアップはEFシネマレンズを含め、現在90本以上となります。コアケイパビリティーを高める事により当社は、優れた光学技術力、新規要素技術開発を基に開発された高性能、高品質のレンズを市場に投入してきており、他メーカーに対する競争力を維持しております。
コンパクトデジタルカメラ市場は、全体としては縮小傾向にありますが、比較的大きいセンサーサイズのプレミアムカテゴリーは堅調に推移しております。2017年下期に、当社はコンパクトカメラで初めてAPS-CサイズCMOSセンサーを搭載したフラグシップモデル「PowerShot G1 X Mark III」を投入いたしました。今後もプレミアムラインを強化し、収益性の向上を図ってまいります。また当社は、プレミアムモデルを含め、2017年は6機種の新製品を投入いたしました。今後もフルラインアップを維持しお客様の幅広いニーズに応えてまいります。
コンパクトフォトプリンターでは、スマートデバイスからのフォトプリント需要が拡大しており、当社販売は好調に推移しております。「SELPHY」は、簡単な操作性・優れた携帯性・高画質プリントという強みを持ち合わせ、各地域で高いプレゼンスを維持しております。2017年下期には更なる使いやすさを追求した「SELPHY CP1300」を投入し、好調に推移しています。今後更に新規需要を開拓し、市場を牽引してまいります。
デジタルビデオカメラ市場では、他のさまざまな機器に動画撮影機能が搭載されるようになり、従来型のビデオカメラの市場規模は縮小傾向にあります。このような環境において、当社は、高画質を主とした差別化戦略を採用してまいります。プロフェッショナル用ビデオカメラの分野では、当社は、新フォーマット「Cinema RAW Light」による4K映像の撮影が可能なデジタルシネマカメラ「EOS C200/C200B 」及び4K/60Pの映像を光学15倍の新開発ズームレンズで撮影可能な「XF405/400」を発売いたしました。今後も幅広いジャンルに対応した製品群を投入することで、映像制作市場における確固たる地位確立を目指してまいります。
ビジネス用途プロジェクター市場は、高解像度・インストール分野が引き続き堅調に成長しております。当社はこの市場に、WUXGA・4Kの高解像度プロジェクターを中心に、高い光学技術力を活かした商品のラインアップを拡充しております。2017年は、レーザー光源の4Kプロジェクター4機種、LCOSパネル搭載のWUXGAモデル2機種を発売いたしました。特にレーザー光源の4Kプロジェクター「4K600STZ」「4K600Z」は世界最小最軽量(*1)を実現しており、メンテナンスフリーや設置性向上など、高画質に加えお客様の多様な使用環境にも対応することができました。今後も4Kを初め高解像度のラインアップを拡充し、更にお客様のご要望にお応えすることで事業拡大を目指してまいります。
(*1)レーザー光源を搭載したネイティブ4K解像度以上5,000lmクラスのプロジェクターにおいて。2017年11月末日現在。(当社調べ)
放送用HDTVレンズ市場は、先進国におけるスポーツ中継需要や新興国におけるHD化の需要が堅調に推移しており、当社は依然高い商品力で高いシェアを維持しております。そのような中、欧州・アジアを中心に、2/3型4Kレンズの引き合いが増加し始めており、今後更に製品ラインアップの充実を計ってまいります。
一方、EFシネマレンズの新シリーズ「COMPACT-SERVO」第二弾として、多様な撮影スタイルに応じた優れた操作性と運用性を持ち、4K及びHDカメラに対応する光学性能を備えた動画撮影用ズームレンズ「CN-E70-200mm T4.4 L IS KAS S(*2)」を市場に投入し、好評を博しております。
(*2) スーパー35mm対応。 35mmフルサイズ換算で、107-307mm相当。
インクジェットプリンターは、技術の進化とともに、家庭用のみならず、ポスター印刷などの商業用、オフィスのビジネスプリンター、さらにはプロフェッショナルが求める高画質な写真印刷まで、幅広い分野で使われるようになってきております。
当社は高画質と高速印刷を同時に実現できる高密度プリントヘッド技術「FINE」(Full-photolithography Inkjet Nozzle Engineering )をコア技術として、これらのニーズ全てに応える幅広いラインアップを揃えております。家庭用では、本体の小型化、高級感のあるデザイン、クラウドやスマートフォン、タブレットPCとの連携を強めるCanon PRINT Inkjetといったソリューションの提供、便利な前面・背面双方からの給紙機構の採用、より大きく見やすい液晶タッチパネルの搭載といった機能やサービスの充実により、ユーザーの使いやすさと満足度の向上を図っております。
当社は2014年に、ニーズが広がりつつあるSOHO市場に向けビジネスインクジェットプリンターの新ブランド「MAXIFY」を立ち上げ、2016年にはネットワーク管理機能を充実させた新モデルを投入いたしました。「MAXIFY」は、当社インクジェットプリンターの特性を生かし、高生産性・高画質とともに、高い経済性も同時に実現しております。
また2016年からは、内蔵インクタンクにより高生産性と低ランニングコストを実現した大容量インクタンクモデルを、主に新興国市場のビジネスユース向けに投入しております。
大判インクジェットプリンターは、プロフェッショナルのあらゆる高度な写真印刷ニーズに応えるべく、新顔料インクとクロマオプティマイザーによる12色「LUCIA PROインク」や新画像処理エンジン「L-COA PRO」を搭載し、色の再現性や暗部領域での表現力を大幅に向上させたA2サイズ対応の「imagePROGRAF PRO-1000」 に始まり60インチサイズのフラッグシップモデル「imagePROGRAF PRO-6000」に至るまで全ての顧客のニーズに応える製品ラインアップを2017年までに完成致しました。これらの製品本体には、当社の高級一眼レフカメラ同様、当社最高峰の写真画質を実現するものだけに許された「RED LINE」がプリンターとして初めてデザインされております。このようにカメラとプリンターを擁する当社ならではの高い製品技術力を存分に活かし、フォトプリンティングの分野及びグラフィック市場においても更なる事業拡大を図っております。
また当社は、2012年に「FINE」技術の応用による新ヘッドを搭載した「DreamLabo5000」を発売、業務用フォトプリンター市場への参入を果たしました。
フラットベッドスキャナに関しても、当社はCIS (Contact Image Sensor)搭載の「CanoScan LiDE」シリーズ及び、CCD (Charge-Coupled Devices)搭載の高解像度モデルをラインアップし、堅調な販売により高いシェアを堅持しております。
メディカルシステムビジネスユニット
当社は、疾病の早期診断、早期治療のためCT、MRI、超音波診断装置、X線診断装置などの画像診断装置や検査機器、ヘルスケアICTソリューションを開発、製造し、世界140カ国以上に提供しております。病院経営に貢献し、患者さんに優しい医療システム・サービスをお届けし、これからも変わらず医療に貢献してまいります。
当期における医療機器の国内市場は横ばいで推移しましたが、米国・欧州における市場は回復傾向にあり、新興国では人口増加や疾病構造の変化等により医療ニーズが高まっています。このような状況下、当ビジネスユニットは、主力のCTが堅調に推移しました。
当社は、確実な診断に結びつくための高精細画像に徹底した拘りを持っております。たとえば、2017年上期に国内販売を開始した、従来に比べ面内・体軸方向にそれぞれ2倍の空間分解能が得られる、世界初の高精細CT装置「Aquilion Precision」や、2017年初に日本経済新聞社による2016年日経優秀製品・サービス賞の最優秀賞を受賞した超音波診断装置「Aplio i」シリーズ等があげられます。
今後は、精密設計や生産技術、センサ技術や画像処理技術といった様々な力を医療機器の製品開発や製造サービスに活用することで新たな付加価値を産み出し、さらなる医療への貢献を果たしてまいります。
コンポーネント事業においては、新興国需要拡大及びコンピューテッド・ラジオグラフィー(CR)からデジタル・ラジオグラフィー(DR)への移行に伴い、X線撮影機器市場は堅調に伸びています。一方、ハイエンド製品では欧米コンポーネントメーカーとの技術競争、またコモディティ化が進行する普及装置では中・韓メーカーとの価格競争が激しくなっております。そうした市場環境の中、DR製品ビジネスにおいては、防水性を高め、軽量化を実現した「CXDI-710C Wireless」シリーズを上期にリリースした結果、大幅に販売台数を伸ばしています。今後の成長分野である動画分野では、透視撮影装置、血管造影装置市場への販売を積極的に展開しております。X線管及びX線検出器他においては、当社の高信頼性コア技術(高電圧真空技術、液体金属軸受及び、ヨウ化セシウム(CsI)蒸着技術等)を基に、コスト競争力を向上させ、好調な販売を展開しております。
眼科診断機器においては、今後も成長が見込まれるOCT(光干渉断層計)の分野で、造影剤を使用しない検査で網膜血管描出を実現するOCT アンギオグラフィーソフトウェアをリリースしており、激化する市場競争に対応しております。
産業機器その他ビジネスユニット
半導体露光装置市場では、データセンター向け3D-NANDフラッシュメモリの需要拡大を背景にメモリ向け露光装置の設備投資が好調に推移しました。また、i線露光装置の市場では、IoT関連で多様化するデバイスや社会的要請が高まり安定的な市場が見込める車載向け半導体の設備投資も堅調に推移しました。後工程露光装置の市場では、半導体チップの高集積化・薄型化への要求が一段と高まっており、TSV工程等の大容量メモリ向け量産における需要が期待されております。
当社では、多様化する半導体アプリケーションに柔軟に対応するため、顧客要望を製品開発の初期段階から反映させる「デザインイン」型のビジネススタイルが定着し、高付加価値製品の開発が順調に進んでおります。急速に普及が進むIoTや車載向け半導体デバイス製造においては、実績のあるプロセスでの多品種対応が求められることから、200mmウエハー対応としてi線ステッパー「FPA-3030i5+」や昨年発売を開始したKrFステッパー「FPA-3030EX6」に加え、高い生産性と業界最高水準の重ね合わせ精度を実現したi線ステッパー「FPA-5550iZ2」やKrFスキャナー「FPA-6300ES6a」の200mm対応オプションもラインアップに加え幅広い市場のニーズに応えてまいります。また、世界で初めてナノインプリント技術を用いた半導体製造装置用のマスクを低コストで複製する、量産用マスクレプリカ製造装置「FPA-1100NR2」を製品化し市場へ投入いたしました。
FPD露光装置市場は、モバイル機器に高精細な有機ELパネルを供給するパネルメーカーの投資が活況を呈しており、中小型向けは好調に推移しました。TVやモニタ市場においても有機ELディスプレイ搭載の動きに加え、画面サイズの大型化と高精細化が進んでおり、面積ベースで市場の拡大が継続する見通しです。最新スマートフォンへの採用が本格化し、有機ELディスプレイの需要が急拡大している中、中小型パネル向け露光装置「MPAsp-E813」は、新設計のミラー光学系と照明系の採用により世界最高レベルの解像力を実現し、生産性と高いオーバーレイ精度を両立した高精細パネルの生産用に最適な装置です。有機ELディスプレイ市場の拡大に合わせて、更なるシェア拡大を目指してまいります。また、大型TVも画質の向上が進んでおり、有機ELディスプレイ搭載TVへのニーズも高まっています。「MPAsp-H803」は世界最高レベルの解像力を達成、更なる大画面かつ高精細なパネル生産に対応してまいります。
ネットワークカメラについては、セキュリティ用途への利用が定着し、高画質モデルの販売が拡大しています。また近年は、録画にとどまらず、映像解析ソフトウェアとの組み合わせにより、安全管理の予防的措置や、生産性向上/顧客満足度向上への活用も期待されております。2017年上期には、屋外軒下設置が可能な「VB-S30VE」や光学3.5倍ズームレンズを搭載したボックス型「VB-S910F」など3機種と、当社とアクシス社が共同開発した「AXIS Q1659」を発売し、2017年下期には、低照度性能を向上させた「VB-H45」や独自の親水コーティングを採用した赤外照明搭載・屋外環境対応の「VB-H761LVE-H」などネットワークカメラ12機種と映像人物の年齢層・性別を推定するソフトウェア「Profile Analyzer Version 1.0」など4種類の映像解析ソフトウェアを発売しました。また、暗闇でもカラー撮影が可能な「ME20F-SHN」を2018年に市場投入することを発表しました。今後も、グループ各社の技術を融合し、市場ニーズに最適なネットワークビデオソリューションをタイムリーに提供することで、更なる成長を目指してまいります。

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