訂正有価証券報告書-第196期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/11/11 14:02
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当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
当社グループは当連結会計年度より、従来の日本基準に替えてIFRSを適用しており、前連結会計年度の数値をIFRSに組替えて比較分析を行っております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針選択の判断と適用を前提とし、決算においては資産・負債の残高、報告期間における収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについて、経営者は、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、その性質上、実際の結果と異なる可能性があります。
重要な会計方針及び見積りの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針、4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。
(2) 経営成績等の状況の概要並びに経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 経営成績
当連結会計年度における経営環境を振り返りますと、米中貿易摩擦をはじめとする保護主義の広まりなどにより、世界経済は全体として減速傾向にありました。米国は好調さを維持した一方、中国は貿易摩擦などにより力強さを欠き、欧州では低成長が継続しました。国内は、消費税率引き上げ前の駆け込み需要等により穏やかに拡大しましたが、その後の東日本を直撃した台風等により成長のペースを落としました。このような中、昨年末からの新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大により、世界経済全体が大きな打撃を受けました。
当社グループは上記のような経済環境の下、中期経営計画「Make Waves 1.0」の1年目として、4つの重点戦略「顧客ともっと繋がる」「新たな価値を創造する」「生産性を向上する」「事業を通じて社会に貢献する」に取り組みました。
「顧客ともっと繋がる」につきましては、国内外の店舗や教室を、これまでの単なる販売やレッスンの場から、お客さまに体験してもらい、ヤマハの価値を感じてもらう「ブランド価値発信拠点」という位置づけに再定義し、その実現に向けた活動がスタートいたしました。またEC(電子商取引)の活用も進んでいます。楽器事業では、インドの多様な音楽文化に対応したポータブルキーボード「PSR-I500」等、多様なニーズに合わせた商品を発売いたしました。音響機器事業では、ワイヤレスヘッドホン・イヤホンの発売等、ドメインの拡大を通じ、顧客と広く繋がるための取組みが進みました。
「新たな価値を創造する」につきましては、高度な物理モデル音源によるオルガン音色を搭載したステージキーボード「YC61」や、騒がしいオープンスペースにおいても遠隔会議を可能にするUCスピーカーフォン「YVC-330」等、技術×感性のヤマハならではの製品を生み出しました。新たな価値の創造に向けた「飽くなき表現力の向上」に関する取組みも進んでいます。その一つの成果として、ヤマハフルートを使用したマトヴェイ・デョーミン氏が、チャイコフスキー国際コンクール木管部門で優勝を飾りました。また、AIを使った取組みも進んでおり、活動の一部がメディアに取り上げられ、注目されました。
「生産性を向上する」につきましては、インド工場の稼働本格化や、中国蘇州工場でのピアノフレーム製造開始、インドネシア工場のIoT等を活用したスマートファクトリー化、グローバル集中購買の進展等、各工場で様々なコスト低減施策が進みました。また価格の適正化についても計画に沿って進捗しています。
「事業を通じて社会に貢献する」につきましては、器楽教育普及の取組みが、インドネシアに加えインドやベトナム等でも進み、中期経営計画3年目の目標である累計100万人に対し累計39万人に達しました。また、認証木材使用率向上に関しても中期経営計画3年目の目標である50%に向け、計画通り進捗しています。
当連結会計年度からの3年間を対象とした中期経営計画「Make Waves 1.0」における2022年3月期の経営目標「事業利益率 13.8%」「ROE 11.5%」「EPS 270円」は、当連結会計年度においてそれぞれ11.2%、10.1%、194円71銭となりました。
(イ)セグメントごとの売上収益の状況
当連結会計年度の売上収益は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うマイナス影響137億円、為替のマイナス影響131億円、および部品・装置事業の市況低迷により、前期に対し201億45百万円(4.6%)減少の4,142億27百万円となりました。
楽器事業は新型コロナウイルス感染拡大の影響99億円や為替のマイナス影響91億円を含め、前期に対し101億円(3.6%)減少の2,693億71百万円となりました。
商品別では、ピアノは、先進国を中心にトランスアコースティック等の高付加価値商品が伸長しましたが、店舗販売の比重が高く、主要市場である中国で新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、減収となりました。電子楽器は、ECの活況やポータブルキーボードの新商品効果もあり、増収となりました。管楽器は、日本を除き増収となり、弦打楽器は、新商品効果やEC等の販路政策の効果でギターの売上げが伸長し、増収となりました。
地域別では、日本は少子高齢化の市場構造下で、消費税増税による消費減少や新型コロナウイルス感染拡大による店舗・教室の閉鎖の影響もあり、減収となりました。北米では、ピアノは減収となりましたが、電子楽器やギターの販売は堅調に推移しました。中国では、内陸部への販売網の拡充やEC対応が進捗したものの、第4四半期で新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け前年並みとなり、欧州及びその他の地域では、一部の地域で新型コロナウイルス感染拡大の影響があったものの、全ての商品カテゴリーで増収となりました。
音響機器事業は、新型コロナウイルス感染拡大の影響35億円や為替のマイナス影響38億円を含め前期に対し、57億51百万円(4.8%)減少の1,143億92百万円となりました。
商品別では、業務用音響機器では増収となりましたが、オーディオ、ICT機器では減収となりました。
オーディオでは、主力製品のAVレシーバーの市場縮退や北米を中心とした新型コロナウイルス感染拡大の影響等により減収となりました。業務用音響機器では、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、ライブ市場の悪化や納入遅延の影響もありましたが、国内の音響設備工事で想定通りの納入が進んだことなどから増収となりました。
その他の事業の売上収益は、前期に対し42億94百万円(12.4%)減少の304億62百万円となりました。
部品・装置事業では、電子デバイスは、車載関連モジュールが計画通り伸長し、アミューズメント向けも堅調に推移したものの、FA機器は、米中貿易摩擦や新型コロナウイルス感染拡大の影響による設備投資縮減の影響を受け、減収となりました。
(ロ)売上原価と販売費及び一般管理費
売上原価は、前期に対し94億円(3.7%)減少の2,459億67百万円となりました。売上原価率は、前期から0.6ポイント上昇し59.4%となりました。
売上総利益は前期に対し、107億45百万円(6.0%)減少の1,682億59百万円となりました。売上総利益率は、前期から0.6ポイント下落し40.6%となりました。
また、販売費及び一般管理費は、前期に比べ43億52百万円(3.4%)減少し、1,219億7百万円となりました。売上収益販売管理費比率は、前期から0.3ポイント上昇し29.4%となりました。
(ハ)事業利益
事業利益は、前期に対し63億93百万円(12.1%)減少の463億52百万円となりました。
報告セグメントごとの事業利益では、楽器事業は、為替のマイナス影響48億円を含め、前期に対し30億64百万円(7.5%)減少の377億50百万円となりました。音響機器事業は、為替のマイナス影響17億円を含め、前期に対し10億43百万円(10.9%)減少の85億71百万円となりました。その他の事業は、前期に対し22億84百万円(98.7%)減少の30百万円となりました。
要因別には、コストダウン(34億円)や販売管理費の減少(10億円)等の増益要因がありましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響や、為替影響(65億円)、部品・装置その他の事業の悪化(23億円)、海外生産拠点の労務費上昇等による製造コストアップ(14億円)等の減益影響により、前期に比べ減益となりました。
(注)事業利益とは、売上総利益から販売費及び一般管理費を控除して算出した日本基準の営業利益に相当するものです。
(ニ)その他の収益及びその他の費用
その他の収益は、前期に対し12億48百万円(80.1%)増加の28億6百万円となりました。その他の費用は、前期に対し43億37百万円(291.5%)増加の58億26百万円となりました。その他の費用は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う操業停止損13億86百万円及び固定資産の減損損失33億30百万円を計上したことにより増加しました。
(ホ)金融収益及び金融費用
金融収益は、前期に対し3億16百万円(6.8%)増加の49億68百万円となりました。金融費用は、前期に対し74百万円(7.4%)増加の10億83百万円となりました。
(ヘ)税引前当期利益
税引前当期利益は、前期に対し92億46百万円(16.4%)減少し472億25百万円となりました。売上収益税引前当期利益率は、前期から1.6ポイント下落し11.4%となりました。
(ト)法人所得税費用
法人所得税費用は、前期に対し35億63百万円(22.2%)減少の125億21百万円となりました。主として、税引前当期利益の減少により減少となりました。
(チ)親会社の所有者に帰属する当期利益
親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期に対し57億15百万円(14.2%)減少の346億21百万円となりました。基本的1株当たり当期利益は、前期の222円12銭から194円71銭となりました。
(リ)為替変動とリスクヘッジ
海外子会社の売上収益は、期中平均レートで換算しております。当連結会計年度の米ドルの期中平均レートは前期に対し約2円円高の109円となり、前期に対し約22億円の減収影響となりました。また、ユーロの期中平均レートは前期に対し約7円円高の121円となり、前期に対し約51億円の減収影響となりました。また、人民元など、米ドル、ユーロ以外の通貨は、前年同期に対し約58億円の減収影響となり、売上収益全体では、前期に対し約131億円の減収影響となりました。
また、事業利益につきましては、米ドルは充当(マリー)効果により、決済レートの変動による為替影響は概ねヘッジできているものの、海外子会社の事業利益の換算等により、約4億円の減益影響となりました。ユーロの決済レートは、前期に対し約9円円高の122円となり、約41億円の減益影響となりました。また、他の通貨を含めた全体では前期に対し約65億円の減益影響となりました。
(ヌ)生産、受注及び販売の状況
(a) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
金額(百万円)前年同期比(%)
楽器212,39399.8
音響機器112,10596.6
その他25,52178.4
合計350,02096.8

(注) 1 金額は平均販売価格によっており、セグメント間の内部振替後の数値によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(b) 受注実績
当社グループは、製品の性質上、原則として見込生産を行っております。
(c) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
金額(百万円)前年同期比(%)
楽器269,37196.4
音響機器114,39295.2
その他30,46287.6
合計414,22795.4

(注) 1 金額は外部顧客に対する売上収益であります。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前期末の5,159億24百万円から418億90百万円(8.1%)減少し、4,740億34百万円となりました。
流動資産は、前期末から126億29百万円(4.5%)減少し、2,701億89百万円となり、非流動資産は、292億61百万円(12.6%)減少し、2,038億44百万円となりました。非流動資産では、海外工場の建設、設備の更新改修を中心として減価償却費を上回る設備投資を行い有形固定資産が増加しました。一方で、保有有価証券の時価下落等に伴い金融資産が減少したほか、為替変動の影響もあり、全体では大幅な減少となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前期末の1,569億17百万円から93億33百万円(5.9%)減少し、1,475億84百万円となりました。
流動負債は、前期末から12億94百万円(1.3%)減少し、991億49百万円となり、非流動負債は、前期末から80億38百万円(14.2%)減少し、484億34百万円となりました。
当連結会計年度末の資本合計は、前期末の3,590億7百万円から325億57百万円(9.1%)減少し、3,264億50百万円となりました。保有有価証券の時価下落や為替変動の影響によりその他の資本の構成要素が減少しました。また、株主還元として取締役会決議に基づく自己株式の取得を230億66百万円行いました。
③ キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期に比べ31億43百万円減少(前期は215億88百万円減少)し、期末残高は926億71百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は、主として税引前当期利益により、571億62百万円(前期に得られた資金は355億20百万円)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、主として有形固定資産及び無形資産等の取得による支出により、210億67百万円(前期に使用した資金は231億1百万円)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は、自己株式の取得による支出、配当金の支払額等により、364億22百万円(前期に使用した資金は339億93百万円)となりました。
(イ)資金需要
当社グループにおける主な資金需要は、製品製造のための材料、部品等の購入、労務費など製造費用と、商品の仕入、販売費及び一般管理費等、営業費用の運転資金及び設備投資資金、並びにM&Aや資本提携を目的とした投資資金であります。
当連結会計年度の設備投資額は、前期の159億56百万円から45億89百万円(28.8%)増加し、205億45百万円となりました。海外工場の建設、設備の更新改修を中心として減価償却費(111億56百万円)を超える設備投資を行っております。
研究開発費は、前期の249億26百万円から1億12百万円(0.4%)減少し、248億14百万円となりました。売上収益研究開発費比率は前期の5.7%から0.3ポイント上昇し、6.0%となりました。
(ロ)資金調達
運転資金及び設備投資資金について、一部の子会社において借入金により調達しております。借入については通常、会社ごとに現地通貨による短期借入を行っておりますが、借入金額・期間・金利等を勘案し、長期借入を行う場合があります。なお、当社及び国内子会社、一部の海外子会社についてはグループファイナンスを実施しております。
(3) 並行開示情報
連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下、「日本基準」という。)により作成した要約連結財務諸表、要約連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更は、次のとおりであります。
なお、日本基準により作成した当連結会計年度の要約連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
また、日本基準により作成した要約連結財務諸表については、百万円未満を切捨てして記載しております。
① 要約連結貸借対照表(日本基準)
(単位:百万円)
前連結会計年度
(2019年3月31日)
当連結会計年度
(2020年3月31日)
資産の部
流動資産281,608269,851
固定資産233,153216,418
資産合計514,762486,270
負債の部
流動負債80,49582,002
固定負債51,49455,474
負債合計131,990137,477
純資産の部
株主資本332,707334,630
その他の包括利益累計額48,98713,094
非支配株主持分1,0761,067
純資産合計382,771348,792
負債純資産合計514,762486,270


② 要約連結損益計算書及び要約連結包括利益計算書(日本基準)
要約連結損益計算書
(単位:百万円)
前連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
売上高437,416417,076
売上原価255,291245,583
売上総利益182,124171,493
販売費及び一般管理費126,094120,811
営業利益56,03050,681
営業外収益6,7426,860
営業外費用4,3494,637
経常利益58,42352,904
特別利益3,042342
特別損失9804,389
税金等調整前当期純利益60,48548,857
法人税等16,66713,182
当期純利益43,81735,674
非支配株主に帰属する当期純利益63103
親会社株主に帰属する当期純利益43,75335,571

要約連結包括利益計算書
(単位:百万円)
前連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
当期純利益43,81735,674
その他の包括利益△25,487△35,929
包括利益18,330△255
(内訳)
親会社株主に係る包括利益18,300△304
非支配株主に係る包括利益2949

③ 要約連結株主資本等変動計算書(日本基準)
前連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
(単位:百万円)
株主資本その他の
包括利益累計額
非支配株主持分純資産合計
当期首残高315,04871,4701,826388,345
当期変動額17,659△22,483△749△5,573
当期末残高332,70748,9871,076382,771

当連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
(単位:百万円)
株主資本その他の
包括利益累計額
非支配株主持分純資産合計
当期首残高332,70848,9871,076382,771
当期変動額1,921△35,892△8△33,978
当期末残高334,63013,0941,067348,792


④ 要約連結キャッシュ・フロー計算書(日本基準)
(単位:百万円)
前連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
営業活動によるキャッシュ・フロー30,23453,482
投資活動によるキャッシュ・フロー△23,092△21,067
財務活動によるキャッシュ・フロー△28,479△32,742
現金及び現金同等物に係る換算差額△250△2,816
現金及び現金同等物の増減額(△は減少)△21,587△3,143
現金及び現金同等物の期首残高117,40395,815
現金及び現金同等物の期末残高95,81592,671

⑤ 要約連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更(日本基準)
当連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
(会計方針の変更)
当連結会計年度より、海外子会社では、IFRSを適用しております。IFRSの適用は、2018年4月1日を移行日としており、前連結連結会計年度末における純資産への累積的影響額については、当連結会計年度の期首の純資産へ反映しております。結果として、株主資本の期首残高が0百万円増加しております。
また、各海外子会社のIFRS適用にあたり、IFRS第16号「リース」を適用しております。この影響により、当連結会計年度の要約連結貸借対照表において、使用権資産が8,113百万円、リース負債が8,444百万円増加してております。また、要約連結キャッシュ・フロー計算書において、営業活動によるキャッシュ・フローが2,162百万円増加し、財務活動によるキャッシュ・フローが同額減少しております。
(4) 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
前連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 37.初度適用」をご参照ください。
当連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
連結財務諸表の作成にあたり、当社グループが従来採用していた日本基準とIFRSとの主要な差異は、次のとおりであります。
(退職給付に係る費用)
数理計算上の差異及び過去勤務費用について、日本基準では発生時にその他の包括利益として認識し、主としてその発生時における従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数により費用処理しておりますが、IFRSでは、数理計算上の差異は、発生時にその他の包括利益として認識し、直ちに利益剰余金へ振替を行い、過去勤務費用は発生時の純損益として認識しております。また、日本基準では退職給付債務に割引率を乗じて利息費用を、年金資産に期待運用収益率を乗じて期待運用収益をそれぞれ認識しておりましたが、IFRSでは、確定給付資産(負債)の純額に割引率を乗じた金額を利息費用として純損益で認識しております。
この影響により、IFRSでは、日本基準に比べて売上原価並びに販売費及び一般管理費が1,819百万円増加しております。
(土地再評価差額金)
一部の事業用の土地について、日本基準では「土地の再評価に関する法律」(平成10年3月31日公布法律第34号)及び「土地の再評価に関する法律の一部を改正する法律」(平成11年3月31日公布法律第24号)に基づき再評価を行っておりましたが,IFRSでは、取得原価に基づき評価しております。この影響により、IFRSでは、日本基準に比べ有形固定資産が29,899百万円減少しております。
(リース)
当社及び国内子会社において、IFRS 第16号「リース」を適用しております。この影響により、IFRSでは、日本基準に比べ使用権資産が10,116百万円増加し、リース負債が12,750百万円増加しております。また、営業活動によるキャッシュ・フローが3,679百万円増加し、財務活動によるキャッシュ・フローが同額減少しています。