有価証券報告書-第73期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により厳しい状況が続きました。個人消費は、2020年4月に発せられた緊急事態宣言期間の落ち込みからは回復に転じていますが、感染症収束の見通しは立っておらず、依然先行き不透明な状況が続いております。コンテンツ市場においては、巣ごもり需要によるコンテンツ消費の増加や、非接触型消費へのシフトによるEC及びデジタルコンテンツ市場の成長加速など、消費傾向の変化が生まれました。また、ライブエンタテインメント市場は、中止や延期が相次ぎ、非常に厳しい状況にあります。このような環境下において、2020年の出版業界は、コンテンツを届け続けていただいた出版社様、それを店頭で販売し続けていただいた書店様のご尽力もあり、紙の出版物の販売額は対前年99%、電子書籍は同128%、合計では同104.8%と2年連続のプラス成長となりました。
当連結会計年度の売上高は5,210億円(前年同期比1.0%増)、50億円の増収となりました。売上原価は4,522億円(前年同期比1.1%増)、49億円増加し、売上総利益は687億円(前年同期比0.2%増)、1億円の増益という結果となりました。
販売費及び一般管理費は、646億円(前年同期比2.3%減)となりました。
この結果、営業利益は41億円(前年同期比67.8%増)、経常利益は44億円(前年同期比81.0%増)となりました。特別損益については、固定資産除却損4億円、店舗閉鎖損失1億円、減損損失1億円等を計上しております。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は24億円(前年同期比212.2%増)となりました。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。
a.出版物等販売事業
当セグメントの売上高は5,148億円(前年同期比0.9%増)、営業利益は17億円(前年同期比481.0%増)となりました。
卸売関連は「鬼滅の刃」の大ヒットと、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う巣ごもり需要が大きな追い風となりました。店頭売上の回復に加え、各種施策による返品率の低下に伴う流通コスト減少、及び固定費の削減により黒字に転じました。
小売関連においても、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言の発出により、大型商業施設内店舗の一時的な休業や営業時間短縮などの影響がありましたが、それを除けば、年間を通じて売上は好調に推移しました。増収に加え、店舗運営・本部コスト削減、赤字店舗の削減等の取組が奏功し、増益となりました。
b.不動産事業
当セグメントの売上高は25億円(前年同期比3.2%減)、営業利益は11億円(前年同期比5.1%減)となりました。新お茶の水ビルディングを含むオフィスビル4棟の空室率は引き続き1%を切る水準で堅調に推移しておりますが、新型コロナウイルス感染症拡大を受け、商業店舗に支援を行った結果、減収となりました。
c.コンテンツ事業
当セグメントの売上高は19億円(前年同期比12.5%増)、営業利益は5億円(前年同期比7.0%増)となりました。男性向けコミックは前期より減少しましたが、女性向けコミックは大幅増加、加えて海外コミックの国内展開及び自社コミックの海外展開とも売上が好調で、増収に寄与しました。
d.その他事業
その他事業は、売上高76億円(前年同期比58.6%増)、営業利益は1億円(前年同期は営業損失12百万円)となりました。大幅な増収となりましたが、グループの事業再編による影響(グループ内IT部門、管理部門の統合及びグループ内業務の受託)が大きく、その影響を除くと、前年並みの水準です。
日販テクシード㈱が担当するIT事業は、外販部門が堅調に推移し、増収となりました。㈱ASHIKARIが運営するブックホテル「箱根本箱」は2020年8月に開業2周年を迎え、稼働率・売上ともに好調に推移しております。グリーン事業を行う日本緑化企画㈱は、話題の商業施設、高級ホテル、店舗の植栽事業の受注やグリーンレンタルが順調に伸長しております。
②生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 出版物等販売事業(百万円) | 514,821 | 100.9 |
| 不動産事業(百万円) | 2,204 | 97.9 |
| コンテンツ事業(百万円) | 1,913 | 111.5 |
| 報告セグメント計(百万円) | 518,939 | 100.9 |
| その他事業(百万円) | 2,070 | 118.1 |
| 合計(百万円) | 521,010 | 101.0 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による財政状態等の状況に関する認識及び分析・検討内容
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っておりますが、これらの見積りは不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
詳細につきましては、「第5 経理の状況1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものにつきましては、「第5 経理の状況1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は453億円となり、前連結会計年度末に比べて15億円増加いたしました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は74億円(前年同期は57億円の使用)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益37億円に売上債権の減少等による資金の増加分と仕入債務の減少等による資金の減少分を加減した結果であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は46億円(前年同期は37億円の使用)となりました。
これは主に、投資有価証券の取得や有形固定資産の取得による資金の減少によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は13億円(前年同期は10億円の獲得)となりました。
これは主に、借入金の返済によるものです。
③資金需要
当社グループの事業活動において運転資金需要の主なものは、出版物等販売事業における商品仕入代金の他、輸
配送等に係る営業販売費や、各事業における一般管理費等であります。
また、設備資金需要としては、新規事業投資、物流拠点の維持管理や新規出店のための有形固定資産投資他、業
務効率化のためのシステム投資等であります。
④財務政策
当社グループの主要業務である出版物等販売事業に係る商品仕入代金や輸配送に係る支払資金に関しては、自己
資金または、金融機関からの借入を資金の流動性の源泉としております。
また、金融機関には十分な借入枠を有しており、当社グループの事業活動に必要な運転、設備資金の調達は今後
も十分可能であると考えております。