有価証券報告書-第70期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、緩やかな回復基調が続いており、雇用・所得環境は改善の傾向にあります。しかしながら出版業界におきましては、2017年の販売金額が対前年6.9%減の1兆3,701億円と、依然として厳しい状況が続いております。
このような状況の中、当社グループは「独立と連携」をキーワードにグループで成長することを志向し諸施策を遂行してまいりました。
当連結会計年度は中期経営計画「Breakthrough」の最終年度にあたり、経営方針である「出版流通改革」、「個客接点の拡大」、「成長領域の拡大」の実現に向け、引き続き「書店」の価値向上に取り組んでまいりました。しかしながら、売上減少のトレンドを跳ね返すまでに至りませんでした。
当連結会計年度の売上高は5,790億円となり、前年同期比7.3%減、453億円の減収となりました。売上原価は5,065億円、対前連結会計年度で423億円減少し、売上総利益は725億円(前年同期比4.0%減)、前連結会計年度を29億円下回る結果となりました。
販売費及び一般管理費は、701億円(前年同期比4.3%減)となりました。
この結果、営業利益は23億円(前年同期比7.2%増)、経常利益は25億円(前年同期比5.9%増)となりました。特別損益については、固定資産売却益2億円、減損損失3億円等を計上しております。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は7億円(前年同期比75.1%増)となり、減収増益となりました。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。
a.出版物等販売事業
当セグメントの売上高は5,751億円(前年同期比7.4%減)、営業利益は6億円(前年同期比53.4%減)となりました。
「出版流通改革」については、返品率低減によって生まれた利益を還元する「PARTNERS契約」やインセンティブ付き商品企画である「Profit企画」の拡大を図り、書店様のマージンアップに取り組みました。「Profit企画」においては、ムック、ビジネス書、実用書ジャンルの対象銘柄を大幅に拡大し、対象銘柄の店頭在庫を絶えず補充することで、還元金額の増加に繋げました。
また、「近刊予約サービス」を構築し、書店様がこれまで電話やFAXで行っていた近刊予約をオンラインで行えるようにしました。これにより、近刊情報のデータから検索と予約発注が可能になり、利便性を向上させました。書店様からの新刊お申し込み部数を満数出荷する「アドバンスMD」や、全国の売上ランキング上位銘柄の欠品補充発注を代行する「リリーフA(エース)」を拡大するなど、書店様の商品調達の各局面に合わせて、書店様の意思を反映した仕入の実現や発注労力を低減する取り組みを拡大しました。
「個客接点の拡大」については、店頭のタブレット端末から在庫検索・注文取り寄せができる専用アプリ「attaplus!(アッタプラス)」の導入店舗数が319店となり、前期より47店拡大しました。店頭お取り寄せサービスを提供するスマートフォンアプリ「ほんらぶ」は、加盟書店様への送客を実現するツールとしてご好評をいただいております。書籍情報サイト「ほんのひきだし」は、新刊発売情報や著者インタビューなど、様々な切り口の情報を多数配信した結果、ページビューが増加しました。
店頭活性化施策として、「祭」を開催しました。実施店の店頭売上前年比は、総じて未実施店よりも良好な結果となりました。
「成長領域の拡大」については、本を取り巻くすべてのものを取り扱う「everything around BOOKS」をキーワードとし、特に、文具・雑貨やエンタメ関連(検定、イベント、版権出資、映像制作など)を中心に各施策に取り組みました。
文具・雑貨の取り組みでは、店頭価値を高める商材として開発した、書店向け文具雑貨パッケージ「Sta×2(スタスタ)」の導入店舗数が262店となりました。本と親和性の高い雑貨を書店店頭で展開するプライベートブランド「Hmmm!? (ん!?)」の導入店は1,032店に達しました。
エンタメ関連の取り組みでは、本や文具から派生するイベントを企画・実行しました。恒例イベントとして定着した「パンのフェス」は、開催回数を年2回に拡大し、2017年秋は12万人、2018年春は13万人を超えるお客様にご来場いただきました。また、文具好きが文具を楽しめるイベントとして、2017年12月に「文具女子博」を開催しました。3日間で2万5,000人ものお客様にご来場いただき、多数のメディアから注目を浴びました。
海外関連においては、ドリル本や東野圭吾作品を中心に、翻訳出版の重版が増加しました。また、新たに開始した知育雑貨の中国への輸出販売においては、SNSを駆使した販売施策が奏功しました。
上記のような諸施策に取り組んでまいりましたが、雑誌・コミックスやDVD・CDのレンタル・セル商品のダウントレンドの影響が大きく、大幅な減収となりました。加えて、運送費の値上げや最低賃金の上昇等による、販売費の増加を要因に、収益性が悪化しており、本業である出版流通業は減収減益となりました。
小売業は、2017年10月1日付で㈱BSM社をグループ書店を統括する中間持株会社と位置付け、社名をNICリテールズ㈱としました。NICリテールズ㈱の役割は、グループ書店が一体となって改革を進めることにあります。グループ書店の損益構造の改革を最優先課題として掲げ、店舗の収益力強化と徹底した本部機能の効率化に取り組みました。
各グループ書店の店頭においては、文具・雑貨売場の拡大や店頭イベント開催による集客力の強化を図り、粗利益を増加させました。一方で、不採算であった15店舗の閉鎖や、本部経費の圧縮を図ることで大幅な経費削減を実現しました。その結果、グループ書店全体で営業赤字から営業黒字に転換することができました。
b.不動産事業
当セグメントの売上高は24億円(前年同期比6.0%増)、営業利益は10億円(前年同期比29.8%増)となりました。新お茶の水ビルディングは、外部賃貸の拡大により収益の改善を図りました。また、旧北海道支店及び旧東北支店を売却し、新たに仙台市の収益物件ビルを取得しました。加えて、フリーレント期間の終了や名古屋ビル、堂島ビルの空室率減少により増収増益となりました。
c.コンテンツ事業
当セグメントの売上高は10億円(前年同期比82.3%増)、営業利益は4億円(前年同期比92.0%増)となりまし
た。
d.その他事業
その他事業では情報システム事業等により、売上高44億円(前年同期比16.1%減)、営業利益は1億円(前年同期比41.4%増)となりました。
情報システム関連では、日販コンピュータテクノロジイ㈱において、「テクノロジーを使った教育事業」を展開しました。感情認識パーソナルロボット「Pepper」を使用した小学生向けのプログラミング教室を開催し、好評を博しました。
宿泊施設運営事業部門では、本を通じて新しいライフスタイルを提案し、「本との出会いの空間」を作ることを目的に、㈱ASHIKARIを設立しました。当社所有の保養所「あしかり」を、国内外の良書2万冊を集め、本に囲まれて“暮らす”ように滞在できるブックホテル「箱根本箱」へとリノベーションして運営していきます。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は494億円となり、前連結会計年度末に比べて225億円増加いたしました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は233億円(前年同期は10億円の獲得)となりました。
これは主に税金等調整前当期純利益20億円に売上債権の減少と仕入債務の増加等による資金の増加分を加減した結果であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は1億円(前年同期は31億円の使用)となりました。
これは主に有形固定資産の取得と投資有価証券の取得による資金の減少と有形固定資産の売却と有価証券の償還による資金の増加を加減した結果であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は7億円(前年同期は29億円の使用)となりました。
これは主に自己株式の取得と長期借入金の返済による資金の減少と短期借入金の増加による資金の増加を加減した結果であります。
③生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 出版物等販売事業(百万円) | 575,100 | 92.7 |
| 不動産事業(百万円) | 1,934 | 113.9 |
| コンテンツ事業(百万円) | 1,044 | 183.2 |
| 報告セグメント計(百万円) | 578,079 | 92.8 |
| その他事業(百万円) | 1,025 | 72.7 |
| 調整額(百万円) | △10 | - |
| 合計(百万円) | 579,094 | 92.7 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のと
おり、当連結会計期間より、報告セグメントの区分を変更しております。前年同期比については、前連結会計
年度の数値を変更後のセグメントに組み替えた数値で比較しております。
4 コンテンツ事業を構成する㈱ファンギルドは2016年7月設立のため、前年同期比の計算に使用している前連結
会計年度の実績は、2016年7月から2017年3月の9ヶ月分となっております。
5 前連結会計年度の調整額は、52百万円であります。