有価証券報告書-第66期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/24 15:08
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【項目】
143項目
(1)経営成績の分析
当連結会計年度は、国家を挙げてデジタル化が大きく推進された一方、新型コロナウィルス感染症拡大により過去に例を見ない全世界での経済活動の停滞が懸念される状況が続いております。エネルギー業界では、ICTの破壊的進化を背景に経済のバーチャル化が進み、多様化する地域社会における変化に対応した、サブスクリプションサービスを典型とした新たなサービスが次々と生まれています。事業競争の中心は、ITを駆使した新たな地域コミュニティーの組成に及び、その進化は規制の存在意義にまで影響を及ぼし、国家の規制による監視から、ブロックチェーンなどに代表される、公正で改ざんのできない公共監視体制に移行する過渡期とも言われています。エネルギー自由化は正にこの試金石であり、コンサバティブで横並びのサービスから、新たなイノベーションによる、安全で、安価で、利便性が高く、受益者ストレスのないサービスとして提供され始めています。
また、全世界的なESGの潮流の中で、国内においてもエネルギー消費効率の高い各種機器の普及や、一般家庭における省エネ意識の向上といった、二酸化炭素排出削減の対策が進んでおります。当社グループにおいては、LPガスという事業の性質上、最も排出量削減効果が期待される物流過程で意欲的な取組を行なっています。従来から環境負荷の少ないLPガスを営業用自動車の燃料として利用するなどの施策を行ってまいりましたが、本年からは更に一歩進み、独自開発のスマートメーター「スペース蛍」による自動検針の実現によって、人による検針で生み出されていた二酸化炭素排出量を大きく削減することに成功しつつあります。
当社グループは最先端テクノロジーへの投資が、トップラインの拡大、企業価値の持続的成長を決定づけるという考えのもと、ICT技術によるイノベーションの創出に取り組み続けております。20年3月期において、当社グループのICTへの取組は、「スペース蛍」、「夢の絆・川崎」に代表されるように、完成から実装、そして他社との共有へと新たなステージに前進しました。
「スペース蛍」とは、株式会社ソラコムとの協業から生まれた、ガスメーターをオンライン化し、ガス使用量をリアルタイムに計測するIOT装置です。20年2月からLPガス全てのお客様(88万件)に設置を始め、21年3月までに設置完了する見込みであり、今後、都市ガスのお客様(41万件)にも設置を進めていく予定です。
「夢の絆・川崎」とは、世界最大級のLPガス充填基地で、貯蔵タンクのガス残量・ガスボンベ在庫本数・ガス充填機の稼働状況をリアルタイムに把握する技術や、RFID、自動認証等により車両やガスボンベ、人などの位置情報等をリアルタイムに把握するDXの実装し、21年3月期中に完成予定です。

「スペース蛍」と「夢の絆・川崎」は共に、LPG物流の全てをリアルタイムにコネクトすることで、「予測」に基づいてきたLPG物流の概念を「実績」に基づく姿に進化させ、「生産」と「消費」をリアルタイムで管理するLPG DXを構築するものであり、ビッグデータ収集統合基盤「ニチガスストリーム」にデータ連携されるものです。また、当社はこれらのテクノロジーを他事業者にサービスとして提供することで、イノベーションをエネルギー業界全体で競業、協業にかかわらず共有し、その利益を地域社会に還元します。
新型コロナウィルス感染症の影響に関しましては、当社はLPガス・都市ガスともに家庭用のガス販売を主力としており、当連結会計年度の業績に大きな影響はありませんでした。翌年度以降につきましても、業務用ガス販売量が減少すると想定しておりますが、底堅い需要家庭用のガス販売に支えられることから、影響は限定的であり、当社全体としては、粗利・営業利益共に増益の予想をしております。新型コロナウィルスの影響による生活様式の変化に対応したニーズをくみ取るよう、DXを実装した最先端ICTの取組をより一層、スピード感をもって前にすすめてまいります。
定量面においては、当連結会計年度は、当社グループのガスのお客様数を前年同期末に比べ90千世帯、電気のお客様数を85千世帯増大させ、お客様基盤を順調に広げております。
当連結会計年度の売上総利益につきましては、前年を上回る暖冬ではありましたが、顧客数の増加に加え、LPガス原料価格の低下によるマージンの良化、新都市ガスの採算性の向上、電気事業及びプラットフォーム事業の貢献等により63,365百万円(前年比9.2%増)となりました。
また、IOTを駆使した業務の効率化やオペレーションの見直しに加え、費用対効果を徹底した経費の使用に努め、販管費を適切にコントロールした結果、営業利益は11,519百万円(前年比29.0%増)、経常利益は10,682百万円(同44.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は7,742百万円(同78.9%増)を計上し、大幅な増益となりました。
当連結会計年度のセグメント別の経営成績は次のとおりであります。
[LPガス事業](附帯事業としてLP機器・工事の他、電気事業、プラットフォーム事業等を含む。)
事業の革新とデジタル化推進の下で、主力であるLPガス事業については、20年3月期において最優先事業として位置づけ、経営資源を投入いたしました。この取組みはお客様数の増加、解約数の減少という形で、お客様数を前年同期末に比べ41千件(計画比+6千件)増加と結実しております。業界における事業売買の動向活発化も当社には追い風となっており、この動きは拡大しながらそのスピードを一層増していくと考えています。
また、当連結会計年度は、顧客の増加に加え、LPガス原料価格が前期に比べ低く推移し、マージンが良化し、LPガス売上総利益は38,537百万円と前年同期に比べ2,461百万円(前年同期比6.8%増)増加いたしました。
附帯事業の売上総利益は3,288百万円と前年同期に比べ1,214百万円(前年同期比58.6%増)増加しております。昨年末より開始した電力の小売事業は、その商品性に合ったファミリー層を中心に顧客数を伸ばしながら、収益も伴った形で、順調に事業拡大を遂げ、20年3月期末時点においてお客様セット率を6.4%とし,売上総利益458百万円を当期中に計上、附帯事業の売上総利益増加に貢献いたしました。都市ガス小売事業参入を支援するプラットフォームサービス事業も、利用企業の増加により売上総利益561百万円(前年同期比155.0%増)と増大しております。
① お客様件数
セグメントの名称前連結会計年度
(2019年3月31日)
当連結会計年度
(2020年3月31日)
LPガス事業(千件)※852877
電気事業(千件)15100

※ガスメーターの取付件数に基づいております。
② 販売実績
区分前連結会計年度
(2018年4月1日~2019年3月31日)
当連結会計年度
(2019年4月1日~2020年3月31日)
LPガス(百万円)56,82456,295
附帯事業(百万円)10,61717,152
合計(百万円)67,44273,447

③ 売上総利益
区分前連結会計年度
(2018年4月1日~2019年3月31日)
当連結会計年度
(2019年4月1日~2020年3月31日)
LPガス(百万円)36,07638,537
附帯事業(百万円)2,0743,288
合計(百万円)38,15041,826

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
[都市ガス事業]
自由化後の都市ガス事業は、自由化の進捗を鑑みながら、その収益性を踏まえた上で拡大をしていくものと位置づけております。都市ガス事業におきましては、契約中のお客様に力点をおいて電気とのセット販売をすすめ、他社への切替を防ぐとともに、新規契約を積み上げ、旧都市ガス・新都市ガス合わせてお客様数を49千件(計画比△26千件)純増させました。新都市ガス事業においては、アプローチする顧客層を再定義し、収益性を意識しながら契約数の積み上げにあたった結果、目標とする契約数には及びませんでしたが、お客様への新規加入割引サービス等、収支管理を徹底したことにより、採算性が向上、ガス販売量の増加と相俟って、都市ガス事業(機器、受注工事他含む)の売上総利益は21,539百万円と前年同期に比べ1,648百万円(前年同期比8.29%増)増加いたしました。
①お客様件数
セグメントの名称前連結会計年度
(2019年3月31日)
当連結会計年度
(2020年3月31日)
旧都市事業(千件)411412
新都市事業(千件)232280

②販売実績
区分前連結会計年度
(2018年4月1日~2019年3月31日)
当連結会計年度
(2019年4月1日~2020年3月31日)
都市ガス(百万円)47,22651,172
機器、受注工事他(百万円)7,9097,876
合計(百万円)55,13559,048

③売上総利益
セグメントの名称前連結会計年度
(2018年4月1日~2019年3月31日)
当連結会計年度
(2019年4月1日~2020年3月31日)
都市ガス(百万円)18,72120,286
機器、受注工事他(百万円)1,1701,253
合計(百万円)19,89121,539

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社グループは販売を主として行っており、セグメントごとに生産規模及び受注実績を金額あるいは数量で示すことは行っておりません。
(2)キャッシュ・フローの状況の分析並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(基本方針)
資本効率を重視する当社は、堅調な業績を背景に成長投資と株主還元を両立させながら、総資産及び自己資本比率を適正水準にコントロールしております。
手許資金は最低限とするべく、グループ内の資金についても、一元管理するキャッシュマネジメントシステムを導入するなど取組を続け、過去3年間で、その金額を減少させました。原則は、仕入れ高の1か月+α程度を大きく超えないようコントロールしております。
獲得した資金は、LPガス、都市ガスの各事業セグメントのステージに合わせ、キャッシュを生む力と資産効率を重視し、持続的な企業価値向上のための投資に振り向けております。また、株主還元についても、”不要な資本を持たない”という大方針の下、実質100%の還元を目標に実施しております。
営業活動によるキャッシュフローを上回る資金需要が発生した場合には、1)手元資金、2)金融機関からの借入で調達いたします。なお、借入を行う際には、適正自己資本比率を45~50%として、その範囲でコントロールしております。
(新型コロナウィルス感染症の影響)
新型コロナウイルス感染症による経済の不安定な状況を踏まえました時、この状況に一定の見通しがつくまでは、不測の事態に対応できる資金調達力、安定した財務基盤の充実を優先する方針です。経済環境に目途がつくまでは、手元のキャッシュを厚く持ちながら、不安定性に十分に対応できる自己資本を保有してまいります。
当社は、当連結会計年度末時点で165億円の現金同等物を保有し、また、取引銀行との良好な関係に基づき、各行に十分な借入枠を有しており、今後の不透明な経済の中の事業活動に十分な資金と財務基盤を有しております。
(当連結事業会計年度のキャッシュフローの分析)
1)営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度は、税金等調整前当期純利益が増加(前年同期比2,967百万円増加)した一方、決済のタイミングが影響して売上債権が増加(前年同期比2,490百万円増加、マイナスの影響)し、法人税等の支払も増加(前年同期比599百万円増加)したため、営業活動によるキャッシュ・フローは前年同期比824百万円増の15,975百万円となりました。
2)投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度は、LP事業のデポやハブ充填基地「夢の絆・川崎」等の投資2,874百万円に加え、都市ガス事業のパイプラインの入替等の投資6,367百万円を実施しております。また、LPG物流改革のためのシステム開発等や「ニチガスストリーム」の強化等のIT投資に2,012百万円、LPガス事業者のM&A投資に2,545百万円支出いたしました。一方、2020年3月に「夢の絆」充填基地隣地の投資不動産売却取引により収入が18,955百万円があり、投資活動によるキャッシュ・フローは4,679百万円の収入(前年同期26,846百万円の支出)となりました。
3)財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度は、自己株式の取得及び配当の株主還元による支出を8,394百万円(前年同期比1,877百万円増加)及び借入による支出を12,954百万円(前年同期5,970百万円の収入)した結果、前年同期比20,760万円増となる22,330百万円の支出となりました
(当連結事業会計年度の財政状態の分析)
当連結会計年度末の資産の部は、ハブ充填基地「夢の絆・川崎」の隣地でありました投資不動産の売却収入を、預金と借入の両建を避ける観点から、借入返済にあて、また、固定資産の活用の見直し及び評価をすすめ、総資産を前連結会計年度末から8,746(6.2%減)百万円減少させ、132,521百万円としました。この結果、ROAは3.0%から5.8%に向上しました。負債の部は、借入の返済をすすめた結果、前連結会計年度末から8,037百万円(11.1%減)減少し64,165百万円、純資産の部は、親株主に帰属する当期純利益が計上された一方、自己株式の取得及び配当の支払いにより減少し、前連結会計年度末から709百万円(1.0%減)減少した68,355百万円となりました。その結果、自己資本比率は51.6%となり安定した財務体質を維持しております。
(3)重要な会計上の見積もり及び当該見積もりに用いた仮定
①海外投融資の貸倒引当金(固定)及び繰延税金資産
当連結会計年度末において、当社の米国における関連会社であるStrategic Power Holdings, L.L.C. 及びその子会社に対する貸付金等について、貸倒引当金4,605百万円を計上いたしました。
1)2期連続損失計上により財務状況が著しく悪化したこと、2)19/12月期業績見込みを踏まえても短期間での急激な業績回復は見込めないことから、債権残高全額に対して引当を計上いたいしました。現在、事業の建て直しを図るものの、回収の可能性は極めて低く、撤退の可能性を視野へ入れていることから繰延税金資産2,092百万円を計上しております。
②新型コロナウィルス感染症の影響
当連結会計年度末において、新型コロナウィルス感染症の拡大による事業環境の悪化による売上債権の貸倒損失に備え、貸倒引当(流動)を一部積み増しましたが、当社グループの財政状態及び経営成績に与える影響は軽微であります。また、その他に新型コロナウィルス感染症の拡大に起因した翌期以降に発生する損失の可能性が予見される事象なはく、引当金等の会計上の見積もりによる計上はしておりません。

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