有価証券報告書-第67期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)経営成績の分析
当連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症の世界的流行により経済活動は制限され、持ち直しの動きが一部で見えつつも、再度感染者数が増加に転じるなど、予断を許さない状況が継続しております。一方で、リモート学習や在宅勤務の浸透等、最近のニューノーマルと言われる生活様式の変化は、我が国のデジタルトランスフォーメーション(DX)をこれまでになく加速させました。我々は今、歴史的な大転換期の渦中におり、エネルギー業界も、かつてないスピードで事業の再定義が求められています。
新型コロナウイルス感染症の拡大は、企業経営においてSDGsやESGを重視し、社会システムの再定義や共創社会を実現しようという全世界的な潮流をより確かなものとしました。同時に、同感染症の流行は、ウイルス同様に世界規模で人類に影響を及ぼす地球温暖化に関しても、企業に、脱炭素経営へのシフトという取り組みを迫っております。
当社はデジタルによるイノベーションで新たな社会課題を解決し、中長期的な企業価値の向上を目指す方針であり、SDGsやESGに対して積極的に取り組んでまいりました。また、脱炭素社会への取り組みは地球全体のサステナビリティにとって重要な課題であると認識しており、当社は、2020年の統合報告書の中でCO2削減計画を公表しました。当社のLPG託送サービスを業界各社に利用してもらうことにより業界全体のCO2排出量を約50%削減すること、および非化石由来の電源調達や省エネガス機器の普及を促進することで、2030年に世帯あたりのCO2排出量を約50%削減することを目標としています。また、2050年までにCO2ネットゼロ達成に向けた取り組みも進めてまいります。
2021年3月16日、LPガス業界における新たな絆の起点となるLPガスハブ充填基地「夢の絆・川崎」(夢の絆)が、ついに初稼働の日を迎えました。当該施設は、海外を含む多くの異業種と連携し、最新テクノロジーを組み込んだ世界最大規模のDX実装自動化LPガス充填基地です。夢の絆はビッグデータを活用し、オープンイノベーションで新たな社会的価値を創出する「共創プラットフォーム」でありますが、当社にとって、これはSDG16(平和と公正をすべての人に)およびSDG17(パートナーシップで目標を達成しよう)の実行基盤として位置付けられるものでもあります。夢の絆においては、独自のアルゴリズムを搭載した高性能カメラや生体認証セキュリティゲートによって、車両や人間、容器の情報が全て自動認証でデータ化します。また、これらのデータと顧客宅に設置された自動検針ツール「スペース蛍」から送信されるガス消費量データや物流拠点内の容器在庫データをシステム連携し、AI解析によって最適な製造(充填)計画を算出します。つまり、充填基地、物流拠点、スペース蛍、業務システム「雲の宇宙船」が連動してリアルタイムにデータ連携し、トレーサビリティの全てを完全に可視化することで、これまで以上に効率の高い物流システムを実現します。

当社は、夢の絆を自社活用するだけでなく、LPガスプラットフォームとして他事業者に提供し、「LPG託送サービス」を開始します。このサービスは、最新技術で他社から提供されるデータのセキュリティを強固に担保する公平・公正な仕組みを構築できたことにより提供可能となりました。当該サービスの利用事業者は、自社で設備や人員を保有せずとも、充填や配送など当社独自の高効率な仕組みを使って事業運営が可能となります。当社は、プラットフォームの使用対価を事業者から受領し、新たな収益の仕組みを築きます。LPガス事業において、テクノロジーによる情報の民主化でSDG16の「平和と公正をすべての人に」を実現し、他社とのアライアンスでSDG17「パートナーシップで目標を達成しよう」も果たし、新たな共創価値の実現を目指してまいります。
地域社会を支えるエネルギー事業者としては、コロナ禍だからこそ、お客さまのニーズや要望に応えて、社員がリアルに、かつスピーディに対応できることが必要になります。人手に頼る必要性のない業務については極力デジタル人材を自社で開発して、オペレーションの各所に取り入れ、人が行ったほうがよりよい業務に人的リソースを投入できるよう、DXを進めてまいります。例えば夢の絆では、従来業界で最もコストがかかり労働集約型であった物流に関して、DXの力で自動化をすすめ、人を介する部分を極限まで減らし、結果としてコスト競争力をこれまでになく高めることに成功しております。コスト削減の取り組みが後手に回れば、カーボンニュートラル社会に向けたエネルギー間競争で置き去りになるという危機意識も、夢の絆という共創環境の実現に繋がっております。
このような最先端テクノロジーを駆使した取り組みは、来たるデータドリブン社会を想定し、各自が所有するプライベートデータを、プライバシーを担保してプラットフォーム上で共有する事が共創の大前提であるとの認識の下での挑戦であります。社会の共有物であるビッグデータを個社の利益の為に使うのではなく、エネルギー業界全体で競業・協業にかかわらず共有連携し、自前主義から脱却し、パートナーシップによって地域貢献を目指すものであります。ICTの取り組みの成果を他事業者との差別化(競争)に使用するのではなく、むしろ他事業者との共創の原資として、多様化する地域課題に向き合い、持続的成長のスピードを速め、真のエネルギー自由化に向けた挑戦を続けてまいります。
事業革新とDX推進の下、LPガス事業については、当連結会計年度においても最優先事業として位置づけ、経営資源を投入いたしました。「ウィズコロナ」時代のニーズに則し、デジタルを活用した非対面での新たな営業活動も積極的に展開しております。また、事業集約化の動向が活発になっており、この動きを捉えた活動は、顧客数の増加という形で着実に結実しております。電気事業においては、その商品性に合ったファミリー層を中心に、ガスとセットで顧客数を伸ばしながら、収益も伴った形で順調に事業拡大を遂げております。当社は、今後においては、ガスと電気とのセット販売を大前提として、顧客基盤の拡大と拡充に努めてまいります。ガスと電気のセット販売をはじめ、多くの異業種企業が、当社のお客様コミュニティに対して、自社の商品を販売するプラスプランなど、異業種と連携したシェアリングエコノミー構築のためのこれまでの取り組みが奏功し、当社の新たな基盤事業の成長は確実にドライブがかかってきたと認識しております。今後は更なる革新を進めつつ、企業価値向上に邁進してまいります。
定量面に関しましては、売上高は143,490百万円と前年同期比10,993百万円(同+8.3%)の増収、売上総利益は67,791百万円と同4,426百万円(同+7.0%)の増益、営業利益も13,627百万円と同2,108百万円(同+18.3%)の増益、そして、親会社株主に帰属する当期純利益も9,373百万円と同1,630百万円(同+21.1%)の増益と、大幅増収増益の決算となりました。売上総利益の増加は、家庭用ガス販売量の伸長、電気事業の順調な顧客基盤の拡大によるものです。家庭用ガス販売量は、顧客の増加に加えて、コロナウィルス感染症の拡大による在宅時間の長期化が追い風となりました。電気事業では、顧客数を123千件増加させながら、電源を安定確保し年末年始の電源スポット価格急騰の影響を受けずに安定的に利幅を確保、大きな増益となりました。加えて、販管費のコントロールにも注力、販管費の増加幅(2,318百万円)を、売上総利益の増加幅(4,426百万円)の概ね半分に抑えることに成功し、営業利益段階でも増益を果たしました。
当期間のセグメント別の概況は次のとおりであります。
[LPガス事業] (附帯事業としてLP機器・工事の他、プラットフォーム事業等を含む)
LPガス事業セグメントの売上高は71,030百万円(前年同期比3,001百万円増)、LPガス事業による売上総利益が40,763百万円(同2,225百万円増)、附帯事業による売上総利益が3,585百万円(同739百万円増)となりました。
LPガス事業による売上総利益の増加は、コロナの影響により業務用のガス販売が減少したものの、お客様の増加に加え、緊急事態宣言下での在宅時間の増加並びに前期よりも冬期の気温が低く推移したことによる家庭用ガスの販売量増大(同7.2%増)によるものです。当期のお客様増加数は、上期の積極的な商圏買収に加え、堅調にお客様数を積み重ねたことで、年間計画40千件に対して、当期間で40.4千件と計画を上回りました。
また、附帯事業による売上総利益の増加は、プラットフォーム事業による売上総利益の増大(同210百万円)によるものです。プラットフォームの利用企業が増加しながら、利用企業の顧客も拡大しているためです。また、ガス器具のデジタルオーダーシステムである「タノミマスター」も一定の収益貢献をいたしました。そして翌期からは、ガスメーターをオンライン化する「スペース蛍」の外部販売が始まり、収益化が開始する予定です。
[電気事業]
電気事業セグメントの売上高は18,171百万円(前年同期比12,752百万円増)、売上総利益は1,608百万円(同1,166百万円増)と大幅に増加いたしました。
電気事業による売上及び売上総利益の増加は、既存のガス利用のお客様を中心に顧客基盤を順調に広げていること、そして、電源調達が安定した価格で行われているためです。当期のお客様増加数は、年間計画120千件に対して123千件と計画を上回り、電気セット率は前期末6.4%から当期末13.7%に上昇いたしました。なお、電源調達が安定した価格で行われている理由は、当社と東京電力グループとの広範な提携関係により、卸売市場を介さずに電源を調達することが出来ているためです。今期、市場の電源価格が高騰いたしましたが、安定した価格で電源を調達し利益を確保することができました。
[都市ガス事業] (附帯事業として都市ガス機器・工事等を含む)
都市ガス事業セグメントの売上高は54,288百万円(前年同期比4,760百万円減)、都市ガス事業による売上総利益が20,645百万円(同359百万増)、附帯事業による売上総利益が1,189百万円(同64百万円減)となりました。
都市ガス事業による売上総利益の増加は、LPガス同様、コロナの影響で業務用ガスの販売量が減少(同△8.5%減)したものの、家庭用ガスの販売量の増大(同6.3%増)による影響が上回ったためです。また、お客様数の増加数は計画30千件のところ、26千件の増加となりました。これは、都市ガス事業において、電気のセット化や長期の契約が期待できるお客様、ガスの高使用量世帯のお客様等、収益性を意識した新規契約の積み上げを重視したためです。引き続きこの方針を堅持し、顧客基盤を拡大しながら、収益性を高めてまいります。
(2)キャッシュ・フローの状況の分析並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(基本方針)
当社は資本の収益性(ROE)を高めることを目的として、投下資本利益率(ROIC)の向上に努めております。
具体的には、収益性の高い資産(LP ガスとI T)に資本を集中して投下しながら、 一方で、低収益資産を売却するなどして、バランスシートの中身を入れ替え、総資産規模を膨らますことなく、資産の収益力を向上させております。また、不要な株主資本をお預かりしないために、ビジネスの状況を踏まえた適正な自己資本比率を45~50%と定め、それを上回る株主資本は、配当と自社株買いの形で、株主の皆様に還元させて頂いております。
手許資金は最低限とするべく、グループ内の資金についても、一元管理するキャッシュマネジメントシステムを導入するなど取組を続け、過去3年間で、その金額を減少させました。原則は、仕入れ高の1か月+α程度を大きく超えないようコントロールしております。
(当連結事業年度の財政状態の分析)
当社は、株主資本のパフォーマンスを高めることが、バランスシートコントロールの目的と認識しております。
この目的の下、資産においては、全体の規模を意識しながら、高収益な資産(LPガスとICT)の構成比率を高めることで収益力を増し、資本の調達においては、借入を有効に活用することで自己資本比率を適正水準にコントロールし、高水準の株主還元を行い、不要な株主資本をお預かりしないようにしております。この施策を続けてきた結果、純利益は増加する一方で、株主資本はほぼ一定で推移し、株主資本のパフォーマンス、即ちROEは毎年向上し、前期末11.3%から当期末13.6%まで切り上がりました。
当期末の資産の部は、140,120百万円と前期末から7,599百万円(5.7%増)増加いたしました。総資産の増加は、夢の絆の建設の完成、スペース蛍の据付、商圏買収の投資により固定資産が増加したためです。また、当期末の負債の部は、70,778百万円と前期末から6,612 百万円(10.3%増)増加、純資産の部は、69,342百万円と前期末から987百万円(1.4%増)増加いたしました。負債の増加は、資産の増加を、スペース蛍に関わるリース債務に加え、短期・長期借入金の調達によって賄ったためです。また、純資産の増加は、当期の純利益が期初の予想を上回った結果、配当の支払や自己株式の取得の株主還元を一部上回ったことによるものであり、自己資本比率49.5%にコントロールしております。
(当連結事業会計年度のキャッシュフローの分析)
当期末における現金及び現金同等物は、12,411百万円と前期末から4,117百万円減少いたしました。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動によるキャッシュフローは、16,068百万円の収入(前年同期比92百万円増加)となりました。主に税金等調整前当期純利益の増加(同3,106百万円増加)が法人税等の支払額の増加(同2,492百万円増加)を上回ったことによるものです。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動によるキャッシュフローは、14,513百万円の支出(前年同期4,679百万円の収入)となりました。支出の主な要因は、「夢の絆・川崎」等の有形固定資産投資の増加(前年同期比3,013百万円増加)によるものです。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動によるキャッシュフローは、5,706百万円の支出(同16,623百万円減少)となりました。支出の減少の主な要因は、前年同期と比較して長期・短期借入の返済を減少させたことによるものです。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症の世界的流行により経済活動は制限され、持ち直しの動きが一部で見えつつも、再度感染者数が増加に転じるなど、予断を許さない状況が継続しております。一方で、リモート学習や在宅勤務の浸透等、最近のニューノーマルと言われる生活様式の変化は、我が国のデジタルトランスフォーメーション(DX)をこれまでになく加速させました。我々は今、歴史的な大転換期の渦中におり、エネルギー業界も、かつてないスピードで事業の再定義が求められています。
新型コロナウイルス感染症の拡大は、企業経営においてSDGsやESGを重視し、社会システムの再定義や共創社会を実現しようという全世界的な潮流をより確かなものとしました。同時に、同感染症の流行は、ウイルス同様に世界規模で人類に影響を及ぼす地球温暖化に関しても、企業に、脱炭素経営へのシフトという取り組みを迫っております。
当社はデジタルによるイノベーションで新たな社会課題を解決し、中長期的な企業価値の向上を目指す方針であり、SDGsやESGに対して積極的に取り組んでまいりました。また、脱炭素社会への取り組みは地球全体のサステナビリティにとって重要な課題であると認識しており、当社は、2020年の統合報告書の中でCO2削減計画を公表しました。当社のLPG託送サービスを業界各社に利用してもらうことにより業界全体のCO2排出量を約50%削減すること、および非化石由来の電源調達や省エネガス機器の普及を促進することで、2030年に世帯あたりのCO2排出量を約50%削減することを目標としています。また、2050年までにCO2ネットゼロ達成に向けた取り組みも進めてまいります。
2021年3月16日、LPガス業界における新たな絆の起点となるLPガスハブ充填基地「夢の絆・川崎」(夢の絆)が、ついに初稼働の日を迎えました。当該施設は、海外を含む多くの異業種と連携し、最新テクノロジーを組み込んだ世界最大規模のDX実装自動化LPガス充填基地です。夢の絆はビッグデータを活用し、オープンイノベーションで新たな社会的価値を創出する「共創プラットフォーム」でありますが、当社にとって、これはSDG16(平和と公正をすべての人に)およびSDG17(パートナーシップで目標を達成しよう)の実行基盤として位置付けられるものでもあります。夢の絆においては、独自のアルゴリズムを搭載した高性能カメラや生体認証セキュリティゲートによって、車両や人間、容器の情報が全て自動認証でデータ化します。また、これらのデータと顧客宅に設置された自動検針ツール「スペース蛍」から送信されるガス消費量データや物流拠点内の容器在庫データをシステム連携し、AI解析によって最適な製造(充填)計画を算出します。つまり、充填基地、物流拠点、スペース蛍、業務システム「雲の宇宙船」が連動してリアルタイムにデータ連携し、トレーサビリティの全てを完全に可視化することで、これまで以上に効率の高い物流システムを実現します。

当社は、夢の絆を自社活用するだけでなく、LPガスプラットフォームとして他事業者に提供し、「LPG託送サービス」を開始します。このサービスは、最新技術で他社から提供されるデータのセキュリティを強固に担保する公平・公正な仕組みを構築できたことにより提供可能となりました。当該サービスの利用事業者は、自社で設備や人員を保有せずとも、充填や配送など当社独自の高効率な仕組みを使って事業運営が可能となります。当社は、プラットフォームの使用対価を事業者から受領し、新たな収益の仕組みを築きます。LPガス事業において、テクノロジーによる情報の民主化でSDG16の「平和と公正をすべての人に」を実現し、他社とのアライアンスでSDG17「パートナーシップで目標を達成しよう」も果たし、新たな共創価値の実現を目指してまいります。
地域社会を支えるエネルギー事業者としては、コロナ禍だからこそ、お客さまのニーズや要望に応えて、社員がリアルに、かつスピーディに対応できることが必要になります。人手に頼る必要性のない業務については極力デジタル人材を自社で開発して、オペレーションの各所に取り入れ、人が行ったほうがよりよい業務に人的リソースを投入できるよう、DXを進めてまいります。例えば夢の絆では、従来業界で最もコストがかかり労働集約型であった物流に関して、DXの力で自動化をすすめ、人を介する部分を極限まで減らし、結果としてコスト競争力をこれまでになく高めることに成功しております。コスト削減の取り組みが後手に回れば、カーボンニュートラル社会に向けたエネルギー間競争で置き去りになるという危機意識も、夢の絆という共創環境の実現に繋がっております。
このような最先端テクノロジーを駆使した取り組みは、来たるデータドリブン社会を想定し、各自が所有するプライベートデータを、プライバシーを担保してプラットフォーム上で共有する事が共創の大前提であるとの認識の下での挑戦であります。社会の共有物であるビッグデータを個社の利益の為に使うのではなく、エネルギー業界全体で競業・協業にかかわらず共有連携し、自前主義から脱却し、パートナーシップによって地域貢献を目指すものであります。ICTの取り組みの成果を他事業者との差別化(競争)に使用するのではなく、むしろ他事業者との共創の原資として、多様化する地域課題に向き合い、持続的成長のスピードを速め、真のエネルギー自由化に向けた挑戦を続けてまいります。
事業革新とDX推進の下、LPガス事業については、当連結会計年度においても最優先事業として位置づけ、経営資源を投入いたしました。「ウィズコロナ」時代のニーズに則し、デジタルを活用した非対面での新たな営業活動も積極的に展開しております。また、事業集約化の動向が活発になっており、この動きを捉えた活動は、顧客数の増加という形で着実に結実しております。電気事業においては、その商品性に合ったファミリー層を中心に、ガスとセットで顧客数を伸ばしながら、収益も伴った形で順調に事業拡大を遂げております。当社は、今後においては、ガスと電気とのセット販売を大前提として、顧客基盤の拡大と拡充に努めてまいります。ガスと電気のセット販売をはじめ、多くの異業種企業が、当社のお客様コミュニティに対して、自社の商品を販売するプラスプランなど、異業種と連携したシェアリングエコノミー構築のためのこれまでの取り組みが奏功し、当社の新たな基盤事業の成長は確実にドライブがかかってきたと認識しております。今後は更なる革新を進めつつ、企業価値向上に邁進してまいります。
定量面に関しましては、売上高は143,490百万円と前年同期比10,993百万円(同+8.3%)の増収、売上総利益は67,791百万円と同4,426百万円(同+7.0%)の増益、営業利益も13,627百万円と同2,108百万円(同+18.3%)の増益、そして、親会社株主に帰属する当期純利益も9,373百万円と同1,630百万円(同+21.1%)の増益と、大幅増収増益の決算となりました。売上総利益の増加は、家庭用ガス販売量の伸長、電気事業の順調な顧客基盤の拡大によるものです。家庭用ガス販売量は、顧客の増加に加えて、コロナウィルス感染症の拡大による在宅時間の長期化が追い風となりました。電気事業では、顧客数を123千件増加させながら、電源を安定確保し年末年始の電源スポット価格急騰の影響を受けずに安定的に利幅を確保、大きな増益となりました。加えて、販管費のコントロールにも注力、販管費の増加幅(2,318百万円)を、売上総利益の増加幅(4,426百万円)の概ね半分に抑えることに成功し、営業利益段階でも増益を果たしました。
当期間のセグメント別の概況は次のとおりであります。
[LPガス事業] (附帯事業としてLP機器・工事の他、プラットフォーム事業等を含む)
LPガス事業セグメントの売上高は71,030百万円(前年同期比3,001百万円増)、LPガス事業による売上総利益が40,763百万円(同2,225百万円増)、附帯事業による売上総利益が3,585百万円(同739百万円増)となりました。
LPガス事業による売上総利益の増加は、コロナの影響により業務用のガス販売が減少したものの、お客様の増加に加え、緊急事態宣言下での在宅時間の増加並びに前期よりも冬期の気温が低く推移したことによる家庭用ガスの販売量増大(同7.2%増)によるものです。当期のお客様増加数は、上期の積極的な商圏買収に加え、堅調にお客様数を積み重ねたことで、年間計画40千件に対して、当期間で40.4千件と計画を上回りました。
また、附帯事業による売上総利益の増加は、プラットフォーム事業による売上総利益の増大(同210百万円)によるものです。プラットフォームの利用企業が増加しながら、利用企業の顧客も拡大しているためです。また、ガス器具のデジタルオーダーシステムである「タノミマスター」も一定の収益貢献をいたしました。そして翌期からは、ガスメーターをオンライン化する「スペース蛍」の外部販売が始まり、収益化が開始する予定です。
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 増減率(%) | |
| 売上総利益(百万円) | ||||
| ガス | 38,537 | 40,763 | 2,225 | 5.8% |
| 機器、工事、プラットフォーム他 | 2,846 | 3,585 | 739 | 26.0% |
| お客様数(千件) | ||||
| 877 | 918 | 41 | 4.7% | |
| ガス販売量(千トン) | ||||
| 家庭用 | 181 | 194 | 13 | 7.2% |
| 業務用 | 129 | 117 | △12 | △9.3% |
[電気事業]
電気事業セグメントの売上高は18,171百万円(前年同期比12,752百万円増)、売上総利益は1,608百万円(同1,166百万円増)と大幅に増加いたしました。
電気事業による売上及び売上総利益の増加は、既存のガス利用のお客様を中心に顧客基盤を順調に広げていること、そして、電源調達が安定した価格で行われているためです。当期のお客様増加数は、年間計画120千件に対して123千件と計画を上回り、電気セット率は前期末6.4%から当期末13.7%に上昇いたしました。なお、電源調達が安定した価格で行われている理由は、当社と東京電力グループとの広範な提携関係により、卸売市場を介さずに電源を調達することが出来ているためです。今期、市場の電源価格が高騰いたしましたが、安定した価格で電源を調達し利益を確保することができました。
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 増減率(%) | |
| 売上総利益(百万円) | 442 | 1,608 | 1,166 | 263.8% |
| お客様数(千件) | 101 | 224 | 123 | 121.8% |
| 電気販売量(GWh) | 215 | 774 | 559 | 260.0% |
[都市ガス事業] (附帯事業として都市ガス機器・工事等を含む)
都市ガス事業セグメントの売上高は54,288百万円(前年同期比4,760百万円減)、都市ガス事業による売上総利益が20,645百万円(同359百万増)、附帯事業による売上総利益が1,189百万円(同64百万円減)となりました。
都市ガス事業による売上総利益の増加は、LPガス同様、コロナの影響で業務用ガスの販売量が減少(同△8.5%減)したものの、家庭用ガスの販売量の増大(同6.3%増)による影響が上回ったためです。また、お客様数の増加数は計画30千件のところ、26千件の増加となりました。これは、都市ガス事業において、電気のセット化や長期の契約が期待できるお客様、ガスの高使用量世帯のお客様等、収益性を意識した新規契約の積み上げを重視したためです。引き続きこの方針を堅持し、顧客基盤を拡大しながら、収益性を高めてまいります。
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 増減率(%) | |
| 売上総利益(百万円) | ||||
| ガス | 20,286 | 20,645 | 359 | 1.8% |
| 機器、受注工事他 | 1,253 | 1,189 | △64 | △5.1% |
| お客様数 (千件) | ||||
| 旧都市 | 413 | 417 | 4 | 1.0% |
| 新都市 | 280 | 302 | 22 | 7.9% |
| ガス販売量(千トン) | ||||
| 家庭用 | 174 | 185 | 11 | 6.3% |
| 業務用 | 223 | 204 | △19 | △8.5% |
(2)キャッシュ・フローの状況の分析並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(基本方針)
当社は資本の収益性(ROE)を高めることを目的として、投下資本利益率(ROIC)の向上に努めております。
具体的には、収益性の高い資産(LP ガスとI T)に資本を集中して投下しながら、 一方で、低収益資産を売却するなどして、バランスシートの中身を入れ替え、総資産規模を膨らますことなく、資産の収益力を向上させております。また、不要な株主資本をお預かりしないために、ビジネスの状況を踏まえた適正な自己資本比率を45~50%と定め、それを上回る株主資本は、配当と自社株買いの形で、株主の皆様に還元させて頂いております。
手許資金は最低限とするべく、グループ内の資金についても、一元管理するキャッシュマネジメントシステムを導入するなど取組を続け、過去3年間で、その金額を減少させました。原則は、仕入れ高の1か月+α程度を大きく超えないようコントロールしております。
(当連結事業年度の財政状態の分析)
当社は、株主資本のパフォーマンスを高めることが、バランスシートコントロールの目的と認識しております。
この目的の下、資産においては、全体の規模を意識しながら、高収益な資産(LPガスとICT)の構成比率を高めることで収益力を増し、資本の調達においては、借入を有効に活用することで自己資本比率を適正水準にコントロールし、高水準の株主還元を行い、不要な株主資本をお預かりしないようにしております。この施策を続けてきた結果、純利益は増加する一方で、株主資本はほぼ一定で推移し、株主資本のパフォーマンス、即ちROEは毎年向上し、前期末11.3%から当期末13.6%まで切り上がりました。
当期末の資産の部は、140,120百万円と前期末から7,599百万円(5.7%増)増加いたしました。総資産の増加は、夢の絆の建設の完成、スペース蛍の据付、商圏買収の投資により固定資産が増加したためです。また、当期末の負債の部は、70,778百万円と前期末から6,612 百万円(10.3%増)増加、純資産の部は、69,342百万円と前期末から987百万円(1.4%増)増加いたしました。負債の増加は、資産の増加を、スペース蛍に関わるリース債務に加え、短期・長期借入金の調達によって賄ったためです。また、純資産の増加は、当期の純利益が期初の予想を上回った結果、配当の支払や自己株式の取得の株主還元を一部上回ったことによるものであり、自己資本比率49.5%にコントロールしております。
(当連結事業会計年度のキャッシュフローの分析)
当期末における現金及び現金同等物は、12,411百万円と前期末から4,117百万円減少いたしました。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動によるキャッシュフローは、16,068百万円の収入(前年同期比92百万円増加)となりました。主に税金等調整前当期純利益の増加(同3,106百万円増加)が法人税等の支払額の増加(同2,492百万円増加)を上回ったことによるものです。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動によるキャッシュフローは、14,513百万円の支出(前年同期4,679百万円の収入)となりました。支出の主な要因は、「夢の絆・川崎」等の有形固定資産投資の増加(前年同期比3,013百万円増加)によるものです。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動によるキャッシュフローは、5,706百万円の支出(同16,623百万円減少)となりました。支出の減少の主な要因は、前年同期と比較して長期・短期借入の返済を減少させたことによるものです。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。