四半期報告書-第91期第3四半期(平成27年9月1日-平成27年11月30日)

【提出】
2016/01/14 10:19
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33項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、本四半期報告書提出日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)業績の状況
当第3四半期連結累計期間(平成27年3月1日~平成27年11月30日)は、中国経済の減速をはじめ、アジア新興国の景気の下振れ懸念等により業況判断には慎重さが見られたものの、円安や原油安等に伴う企業業績の良好な推移、雇用情勢の改善等を背景とし、国内景気は緩やかな回復基調が続きました。個人消費については、外国人観光客の旺盛な消費に代表されるインバウンド需要が拡大する一方で、食料品や日用品の相次ぐ値上がり等が重荷となり、消費支出が減少に転じる等、総じて力強さを欠く状況となりました。このような環境の中、当社は、グループ横断的に進める地域起点の商品展開及びサービスの拡充に加え、相場高が続く生鮮品の価格訴求や関連フェアの開催等、お客さまの家計負担の軽減につながる取り組みを全国のグループ小売店舗で推し進め、集客力の向上と事業競争力の強化を図りました。これらの結果、連結営業収益は6兆360億49百万円(対前年同期比118.9%)となり、同累計期間として過去最高となりました。営業利益は808億51百万円(同163.8%)、経常利益は819億88百万円(同143.9%)となりましたが、四半期純損益につきましては、新規連結企業の段階取得に係る差益の減少に加え、税率変更の影響を含めた法人税等合計の増加、少数株主利益の増加などが主な要因となり、174億74百万円の四半期純損失(前年同期より468億38百万円の減益)となりました。
当社は、さらなるグループ成長を目指し、共通戦略として推進する「アジア」「都市」「シニア」「デジタル」の「4シフトの加速」及び「商品本位の改革」への継続的な経営資源の配分とともに、これら成長戦略を支える事業及び組織再編を実施しました。
<グループ共通戦略の推進>・イオンモール㈱は10月、ベトナムの首都ハノイにおける1号店として「イオンモール ロンビエン」をオープンしました。同月、マレーシアでは、イオンマレーシア(AEON CO.(M)BHD.)がペラ州イポー市に地域最大級となるSC(ショッピングセンター)「イオンモール イポー クレバン」を、タイでは、イオンタイランド(AEON(Thailand)CO.,LTD.)が「イオンシラチャ SC」をチョンブリ県にオープンする等、グループ一体となってアセアン地域での事業展開を推進しました。
<事業・組織再編>・イオンモール㈱は11月、㈱ダイエーの子会社で商業施設の開発・管理運営を行う㈱OPAとイオンリテール㈱のビブレ・フォーラス事業部が統合した会社を平成28年3月1日付で完全子会社化することを決定しました。統合後の新会社は「都市シフト」の一翼を担う企業として事業拠点の拡大や既存施設の活性化、ビジネスモデルの革新等を図り、魅力ある都市型商業施設づくりを進めます。
・ウエルシアホールディングス㈱(以下、ウエルシアHDという。)は、当社の連結子会社である㈱CFSコーポレーション(以下、CFSという。)を9月1日付で完全子会社化しました。本統合により両社が有する「調剤事業」の強みをより高めていくとともに、ウエルシアHDが有する郊外型店舗の運営ノウハウとCFSが持つ都市型カウンセリング営業のノウハウを相互交流させ、収益向上を目指します。
セグメントの業績は次のとおりであります。
なお、第1四半期連結会計期間より、報告セグメントとして記載する事業セグメントを変更しており、当第3四半期連結累計期間の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。
①GMS事業
GMS(総合スーパー)事業は、営業収益2兆592億41百万円(対前年同期比104.4%)となりました。営業損益は、11月の高気温影響や、新店2店舗及び既存店舗の活性化費用等の要因により、258億39百万円の営業損失(前年同期より105億53百万円の減益)となりました。
イオンリテール㈱は、当第3四半期連結会計期間において新店2店舗の開設及び13店舗の大型既存店活性化を実施し、開店直後より売上高を大きく伸ばしました。また、同社は地域密着の深耕に向け、10月、新潟県でSM(スーパーマーケット)15店舗を運営する清水商事㈱を連結子会社化し、マックスバリュ東北㈱が有する新潟県内のSM7店舗を平成28年3月1日付で承継することを決定しました。これらの事業再編に加え、同社では、地域主導となる独自企画の販促展開や地場商材の拡充、また、健康志向の高まりに伴い需要が拡大する「ヘルス&ウエルネス」分野への取り組み等を進めた結果、当第3四半期連結累計期間における既存店売上高が対前年同期比99.1%(内訳は衣料97.7%、食品99.9%、住居余暇98.3%)となりました。直営荒利益率については、値入率の改善や在庫の適正化に努めた結果、前年同期を0.1ポイント上回りました。また、既存店販管費は、店舗運営の効率化等の経費コントロールに努め、対前年同期比99.5%となりました。
②SM・DS事業
SM・DS(ディスカウントストア)事業は、営業収益2兆2,916億79百万円(対前年同期比126.9%)、営業利益74億99百万円(前年同期より218億51百万円の増益)となりました。
展開地域を首都圏・京阪神地域に集中し、食品への特化を図る㈱ダイエーは9月、東京都文京区の「ダイエー小石川店」及び大阪府堺市の「ダイエーグルメシティ中もず店」をそれぞれリニューアルオープンしました。両店舗は、都市部の居住者向けSMとして開発を進める新業態「都市型SM」であり、商圏のお客さまのニーズを着実に捉える売場づくりを推進しました。11月にも、東京都、大阪府、兵庫県で運営する3店舗をそれぞれ「都市型SM」にリニューアルし、首都圏・京阪神地域における一層のシェア拡大を図る等、当第3四半期の収益改善に寄与しました。
ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス㈱は、同社のグループ会社である㈱マルエツ、㈱カスミ及びマックスバリュ関東㈱の3社による共同調達や共同販促の展開を拡大し、シナジー効果の創出と集客の向上を図りました。中でも、㈱マルエツは、これら施策の推進とともに、「セミ・セルフレジ」や伝票レス会計の導入等、店舗運営と後方部門の合理化を行い、収益性を一層向上させました。
マックスバリュ中部㈱は、商圏特性及びお客さまのライフスタイル変化への対応を図るべく、既存店舗の活性化とともに、即食・簡便商品の品揃え拡充や地域の特産品を使用した惣菜商品の開発等、商品力を高める取り組みに注力し、既存店売上高を拡大しました。
③小型店事業
小型店事業は、営業収益2,713億52百万円(対前年同期比116.7%)、営業利益20億43百万円(同155.7%)となりました。
ミニストップ㈱は、強みとする店内加工ファストフード部門の収益力を一層高めるべく、マスメディアを活用したプロモーション活動、並びに新商品の開発や商品リニューアル等を強化しました。コンビニエンス部門において、チルド弁当を中心に米飯類が好調な売れ行きとなったほか、品揃えの拡充と適正な在庫量の管理に努めた調理パンやサラダ等の販売が伸長しました。これらの取り組みの結果、国内の既存店日販は対前年同期比100.6%と順調に推移しました。海外では、韓国ミニストップ(MINISTOP KOREA CO.,LTD)や青島ミニストップ(Qingdao Ministop Co.,Ltd.)が新商品の投入や商品の品質向上に取り組み、既存店売上高は好調に推移しました。また、韓国をはじめとした各国でのドミナント出店の継続により、韓国、中国及びその他出店国を含む当第3四半期連結会計期間末の海外店舗数は2,738店舗となりました。
④ドラッグ・ファーマシー事業
ドラッグ・ファーマシー事業は、営業収益4,406億74百万円(対前年同期比372.7%)、営業利益123億54百万円(同601.1%)となりました。
ウエルシアHDは、異業種・異業態の参入が加速するドラッグストア業界でのシェア拡大及び経営の効率化に向け、新たに完全子会社化したCFSと、基幹システム、物流拠点、POSシステム、及び販促施策等の統合準備を進めました。既存店舗においては、化粧品のカウンセリング販売の強化や調剤部門の好調な業績が奏功し、収益は大幅に増加しました。
⑤総合金融事業
総合金融事業は、営業収益2,582億15百万円(対前年同期比111.4%)、営業利益355億23百万円(同122.7%)となりました。
イオンフィナンシャルサービス㈱は、クレジット事業において、店舗でのタブレット端末を活用した入会手続きの簡便化や審査プロセスの見直しによるカード発行期間の短縮、若年層のお客さまを対象としたカード会員募集を継続的に推進し、国内カード有効会員数が2,546万人(前期末より92万人の増加)と順調に増加しました。銀行業では、デジタルサイネージや諸届のタブレット受付等のデジタル化の取り組みに加え、住宅ローンの審査スピード改善に向けた審査拠点の増設、並びに投資信託販売におけるインターネットサービスの拡充等、お客さまの利便性と効率性を高める取り組みに注力しました。電子マネー事業では、サッカーを通じた地域振興を目的に、「サッカー大好きWAON」の発行を継続する等、地域に根ざした取り組みが奏功し、当第3四半期連結会計期間末における電子マネー「WAON」の累計発行枚数は約5,380万枚、取扱高は1兆4,988億円(対前年同期比106.9%)と伸長しました。海外事業では、香港、タイ、マレーシアの海外主要3社を中心に、債権管理部門の集約や重複部門の統合等による業務効率の改善に継続して努めました。
⑥ディベロッパー事業
ディベロッパー事業は、営業収益1,991億64百万円(対前年同期比112.0%)、営業利益304億96百万円(同108.0%)となりました。
イオンモール㈱は、当第3四半期連結累計期間において国内4箇所のSCを開設、11箇所の既存SCをリニューアルしました。
国内では、これら既存SCにおける新規テナント導入や既存テナントの業態変更・移転等の大型活性化に加え、社会行事・地域特性に応じた販促企画やモール空間を利用したイベント等を開催し、集客を図りました。海外においては、中国北京市・天津エリアにおける既存SCの専門店売上高及び客数が前年同期を上回って推移したほか、アセアン地域では、カンボジアにおける同社の1号SC「イオンモール プノンペン」のオープン後1年間の来店客数が1,500万人を上回るほか、インドネシアでは、5月30日に開設した1号SC「イオンモールBSD CITY」が好調に推移しました。
⑦サービス・専門店事業
サービス・専門店事業は、営業収益5,513億76百万円(対前年同期比104.9%)、営業利益185億23百万円(同112.5%)となりました。
イオンディライト㈱は、国内の大型商業施設や医療関連施設、及び駐日外国公館等へ新たに管理サービスの提供を開始しました。清掃事業では、市場が拡大する病院・介護施設でのシェア獲得に向け、独自に確立した衛生清掃モデルを軸に大規模病院を中心とした受託を進めたほか、事業基盤のさらなる強化を目的に10月28日、清掃業務を主として事業展開する㈱白青舎への公開買い付けを実施しました。
㈱ジーフットは、東京証券取引所市場第一部へ上場を果たし、積極的な出店及び改装を実施しました。また、各メーカーとの共同販促や独占販売商品、並びにプライベートブランド商品の開発を推進し、収益を順調に拡大しました。
⑧国際事業(連結対象期間は主として1月から9月)
国際事業は、営業収益3,180億80百万円(対前年同期比117.0%)となりました。営業損益については、マレーシアにおける4月のGST(物品・サービス税)導入による消費への影響に加え、中国における先行投資等により、24億61百万円の営業損失(前年同期より44億20百万円の減益)となりました。
マレーシアでは、節約志向に対応したセールスの拡大や、最寄品の価格維持と拡充を継続するほか、年間の最大商戦の一つとなるムスリムの断食明けを祝う祭日「ハリラヤ」関連商材を早期展開し、集客を図りました。
(2)財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前期末から3,952億75百万円増加し、8兆2,550億78百万円(前期末比105.0%)となりました。前期末からの増加の主な要因は、㈱カスミ及びその子会社を連結子会社化したこと等により有形固定資産が1,660億38百万円、銀行業における貸出金が2,389億33百万円増加したこと等によるものです。
負債は、前期末から3,851億86百万円増加し、6兆4,150億9百万円(同106.4%)となりました。前期末からの増加の主な要因は、短期借入金や長期借入金(1年内返済予定含む)が2,333億90百万円、コマーシャル・ペーパーが618億80百万円、銀行業における預金が605億65百万円それぞれ増加したこと等によるものです。
純資産は、前期末から100億88百万円増加し、1兆8,400億69百万円(同100.6%)となりました。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
会社の支配に関する基本方針
① 基本方針の内容及びその実現に資する取り組みの概要
イオンは、お客さまへの貢献を永遠の使命とし最もお客さま志向に徹する企業集団であり、小売業と関連産業を通してお客さまのより豊かな生活に貢献すべく、事業を展開してまいりました。お客さまを原点に平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献するという不変の理念を堅持し、お客さま満足の実践と継続的な企業価値の向上に努めてきており、この理念がイオンの企業価値の根幹をなしています。また、イオンの企業価値は、継続的かつ長期的な企業成長や同士・朋友との協力・提携に加え、雇用の確保、生活文化の向上や環境保全・社会貢献など様々な価値を包含し形成されているものです。
これらの正しい商売の実践と社会的責任を全うするためには、長期的視野でイオンの理念を具現化していくことが必要であり、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、上記のイオンの企業価値を維持、発展させていく者でなければならないと考えています。
② 不適切な支配の防止のための取り組みの概要
当社株式は、金融商品取引所(証券取引所)に上場され自由な売買が可能ですが、万一短期的な利益を追求するグループ等による買収が開始されて不公正な買収提案がなされると、株主の皆さまに結果として不利益を与えるおそれもあります。買収提案を受け入れるか否かは株主の皆さまの判断によるべきものですが、買収提案のあった際に、株主の皆さまが、十分かつ正確な情報と十分な時間のもとにご判断いただけるように十分な資料提供をするように所定の手順をふむことを求めるとともに、明らかに株主一般の利益を害すると判断される買収行為には対策を講じることができるように、「当社株式の大量取得行為に関わる対応方針(買収防衛策)継続の件」を平成27年5月27日開催の第90期定時株主総会に付議し、株主の皆さまのご承認をいただきました。
これは「事前警告型」買収防衛策であり、当社議決権の20%以上の株式取得を行おうとする者に対しては、大量株式取得者らの概要、取得対価の算定根拠、買取方法、買収資金源、買収後の経営方針等につき当社への十分な情報提供を行うことなどの買収ルールの遵守を要請します。
当社取締役会は、大量株式取得者が登場し次第、その事実を開示するとともに、外部の専門家1名以上と社外取締役から成る独立委員会を設置し、提供された情報(追加提供を求める場合にも意向表明書受領日から60日以内の日を最終回答期限とします)をもとに、同委員会に意見を求め、その意見を最大限尊重した上で、所定の評価期間(60日間または90日間)内に、当該買収提案に対する評価結果等を発表します。この取締役会及び独立委員会においては、判断の客観性をさらに高めるため、適宜他の専門家にも意見を求めることができます。また、上記ルールが守られない場合や、株式の高値買戻要求や高値売抜けが目的であると推測されるなど、株主の皆さまの利益が害されることが明らかである場合には、所定の評価期間の経過を待たずに、当社取締役会が新株発行、新株予約権発行などの対抗策をとり得ることとします。なお、大量株式取得者の権利行使が制限される行使条件差別型新株予約権を発行するときは、株主の皆さまにわずらわしい手続をしていただかなくてもいいように、会社による取得条項付とさせていただきます。また、対抗措置の内容・採否は、取締役としての善管注意義務に従い、原則として取締役会が決定・実施していきますが、例外的には、その内容・効果等に鑑みて株主の皆さまのご判断を仰ぐべきであるとして、当社株主総会にその採否をご決議いただくことがあります。
株主の皆さまには、手続の各段階において、適時に十分に情報開示し、ご判断に供していただけるようにして
いきます。
なお、この買収防衛策の有効期間は平成30年5月に開催予定の定時株主総会の終結時までです。
③ 上記②の取り組みについての基本方針等との整合性に係る取締役会の判断
大量株式取得者に要請する各種資料は、大量株式取得者らの概要だけでなく、資金面の背景及び資金スキーム、株式取得方法の適法性に関する事項、買収後の経営計画等であり、これらの資料開示を通じて、イオンの理念(上記基本方針)に対する大量株式取得者の具体的な態度が明示されることになるとともに、何よりも、株主の皆さまの判断材料が充実したものになります。
従って、当社取締役会は、上記対応方針は、上記基本方針及び当社の株主の共同の利益に沿うものであり、また、当社役員の地位の維持を目的とするものではないと判断しています。
(4)研究開発活動
該当事項はありません。