有価証券報告書-第25期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善等を背景に、引き続き緩やかな回復基調が続きました。個人消費も緩やかな持ち直しの動きで推移しました。一方、先行きについては、通商問題の動向やアジア新興国等における経済・政策の不確実性、金融資本市場の変動の影響等に留意する状況が続いています。
このような経済状況のもと、当社グループは、中長期における事業規模の拡大及び収益力の向上に向けて、中期経営計画に基づき、国内既存事業の拡大、海外展開の推進、新規事業の育成など様々な取り組みを進めました。
また、2018年10月に、株式会社NEW ARTから株式会社NEW ART HOLDINGSに商号変更し、ホールディングカンパニーとしての経営基盤を整えてまいりました。
当連結会計年度における当社グループの業績は、売上面では、主力のブライダルジュエリー事業が好調に推移したことに加えてアート事業の絵画取引の増加により、売上高は175億85百万円(前期比22.8%増)となりました。
利益面では、ブライダルジュエリー事業の売上増加に加えて全身美容事業の黒字化により、営業利益は25億26百万円(前期比210.2%増)、経常利益は23億88百万円(前期比229.3%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、仮想通貨関連事業(IT関連事業)の撤退に伴う貸倒引当金繰入額の計上及び結婚式場に係る固定資産(チャペル)の減損処理の実施等により特別損失7億8百万円を計上し、9億16百万円(前期比872.8%増)となりました。
セグメントごとの状況は以下のとおりであります。
ブライダルジュエリー事業
当連結会計年度におけるブライダルジュエリー事業の売上高は125億38百万円(前期比28.2%増)、セグメント利益は29億円(前期比87.5%増)となりました。
ブライダルジュエリー事業につきましては、国内においてテレビCMやWEB広告等の集客強化により来店客数が増加すると同時に、販売員のスキル向上により成約率も上昇しました。さらに海外においても国内同様に順調に推移したことから売上高が増加し、赤字幅が減少したため、前期と比べ大幅な増収増益を達成することができました。
新規の店舗展開につきましては、2019年3月に台湾で3店舗目となる銀座ダイヤモンドシライシ新光三越台南西門店(新天地店)を台湾台南市にオープンしました。2019年3月末における「銀座ダイヤモンドシライシ」の国内店舗は44店舗、海外店舗は4店舗、「エクセルコ ダイヤモンド」の国内店舗は28店舗、海外店舗は1店舗になります。
全身美容事業
当連結会計年度における全身美容事業の売上高は27億73百万円(前期比3.6%増)、セグメント利益は74百万円(前期はセグメント損失2億82百万円)となりました。
全身美容事業につきましては、売上拡大及び利益率の改善を図るための施策として、店舗統合、顧客層の見直し、商品構成の変更、化粧品事業への取り組み、広告宣伝費の見直し等を実施した結果、黒字化が達成され、前期と比べ増収増益となりました。2019年3月末における国内店舗は25店舗、海外店舗は2店舗となります。
アート事業
当連結会計年度におけるアート事業の売上高は18億75百万円(前期比27.0%増)、セグメント利益は73百万円(前期比3.7%減)となりました。
アート事業につきましては、第4四半期に絵画取引が増加しましたが、粗利率が低下したため、前期と比べ増収減益となりました。同事業においては、株式会社ニューアート・フィンテックにおいて、アートと金融を組み合わせた新規事業としてアートファンドの立ち上げの実現に向けてパートナー企業と準備を堅実に進めており、新しいビジネス展開にも注力しています。
その他事業
当連結会計年度におけるその他事業の売上高は4億11百万円(前期比4.9%増)、セグメント利益は31百万円(前期はセグメント損失1億81百万円)となりました。
その他事業につきましては、スポーツ関連事業の株式会社ニューアート・クレイジーにおいて、ゴルフの一流シャフトブランドである「CRAZY」の認知拡大を図ると同時に新製品開発に力を入れています。
また、2018年12月に、当社が保有するIT関連(仮想通貨関連)事業の株式会社ニューアート・テクノロジーの全株式を売却したことにより、同社は当連結会計年度より連結子会社でなくなりました。
注)セグメントの業績数値は、セグメント間の内部売上高又は振替高を調整前の金額で記載しています。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、資金という)は、前連結会計年度末に比べ、7億19百万円増加し、20億2百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況と要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、16億49百万円(前年同期は8億30百万円の支出)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益18億16百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、2億53百万円(前年同期比5億17百万円減)となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出1億61百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は、6億84百万円(前年同期は1億38百万円の収入)となりました。これは主として、短期及び長期借入れによる収入14億98百万円に対して、短期及び長期借入金の返済による支出20億61百万円によるものであります。
③販売の実績
販売実績
当連結会計年度のセグメント別販売実績は次のとおりであります。
セグメントの名称 | 主な販売・サービスの名称など | 当連結会計年度(千円) (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 前年同期比(%) | 構成比(%) |
ブライダルジュエリー事業 | 宝飾品の販売・サービス | 12,536,596 | 28.2% | 71.3% |
全身美容事業 | エステティックサロンの運営、 化粧品等の販売 | 2,761,746 | 3.2% | 15.7% |
アート事業 | 美術品等の販売 | 1,875,537 | 27.0% | 10.7% |
その他事業 | ゴルフ用品の販売等 | 411,420 | 5.2% | 2.3% |
合 計 | 17,585,301 | 22.8% | 100.0% |
(注)1. 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
2. セグメント間の取引については、相殺消去しております。
3. 「ブライダルジュエリー事業」は、ブライダルジュエリー販売、ウェディング送客サービス、ティアラ・レンタルサービス及びファッションジュエリー販売の売上となっております。
4. 「全身美容事業」は、エステ施術サービス、化粧品、栄養食品及び美容機器販売の売上となっております。
5. 「アート事業」は美術品販売の売上となっております。
6. 「その他事業」はゴルフクラブ用カーボンシャフトの製造、ゴルフ用品の販売等による売上となっております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における資産、負債の報告金額及び収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断及び仮定を使用することが必要となります。当社グループの経営陣は連結財務諸表作成の基礎となる見積り、判断及び仮定を過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計基準等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、前期と比べ32億64百万円増加し、175億85百万円(前期比22.8%増)となりました。これは主力のブライダルジュエリー事業が好調に推移したことに加えて、アート事業の絵画取引の増加によるものです。各報告セグメントの外部顧客に対する売上高の連結売上高に占める割合は、ブライダルジュエリー事業が71.3%、全身美容事業が15.7%、アート事業が10.7%、その他事業が2.3%となりました。
(売上総利益)
当連結会計年度における売上総利益は、前期と比べ21億65百万円増加し、107億10百万円(前期比25.3%増)となりました。また、売上総利益率は、前期に比べ1.2ポイント増加し、60.9%となりました。
(営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、積極的なマーケティング活動を推進及び新規出店等に伴う広告宣伝費、地代家賃、給与手当の増加により、前期と比べ4億53百万円増加し、81億83百万円(前期比5.9%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は前期と比べ17億12百万円増加し、25億26百万円(前期比210.2%増)となりました。
(経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は、前期と比べ微増に止まり、3百万円(前期比0.9%増)となりました。
当連結会計年度における営業外費用は、前期と比べ49百万円増加し、1億41百万円(前期比53.1%増)となりました。
以上の結果、経常利益は、前期と比べ16億63百万円増加し、23億88百万円(前期比229.3%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における特別利益は、子会社株式売却益1億36百万円となりました。
当連結会計年度における特別損失は、減損損失、子会社株式評価損、貸倒引当金繰入額及びその他を含む7億8百万円(前期比932.2%増)となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期と比べ8億22百万円増加し、9億16百万円(前期比872.8%増)となりました。
財政状態の分析
(資産の部)
流動資産は、前期比16億43百万円増加(前期比16.9%増)し、113億79百万円となりました。これは、受取手形及び売掛金の増加8億89百万円並びに現金及び預金の増加7億19百万円などによるものであります。
固定資産は、前期比2億4百万円減少(前期比5.0%減)し、39億11百万円となりました。これは、工具、器具及び備品(純額)の減少及び減価償却費の計上により有形固定資産の減少1億75百万円などによるものであります。
この結果、総資産は、前連結会計年度末比14億38百万円増加(前期比10.4%増)し、152億90百万円となりました。
(負債の部)
流動負債は、前期比9億82百万円増加(前期比16.5%増)し、69億45百万円となりました。これは、前受金の増加5億20百万円及び未払法人税等の増加3億45百万円などによるものであります。
固定負債は、前期比3億63百万円減少(前期比29.5%減)し、8億70百万円となりました。主な要因としては、長期借入金の減少5億67百万円などによるものであります。
この結果、負債合計は前期比6億19百万円増加(前期比8.6%増)し、78億16百万円となりました。
(純資産の部)
純資産は、前期比8億19百万円増加(前期比12.3%増)し、74億74百万円となりました。これは、剰余金の配当97百万円がありました一方、親会社株主に帰属する当期純利益9億16百万円により、利益剰余金が8億18百万円増加したことなどによるものであります。
以上の結果、自己資本比率は48.9%(前期末は48.0%)となりました。
キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としています。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は40億99百万円となっています。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は20億2百万円となりました。これらのいわゆる手元流動性残高につきましては、当社の財政状態及び金融環境に応じ変動しています。
2019年3月期の達成・進捗状況
2019年3月期の達成・進捗状況は以下のとおりの結果となりました。
2019年3月期(計画) | 2019年3月期(実績) | 計画比 | |
売上高 | 14,800百万円 | 17,585百万円 | 2,785百万円増 (18.8%増) |
営業利益 | 1,250百万円 | 2,526百万円 | 1,276百万円増 (102.1%増) |
経常利益 | 1,210百万円 | 2,388百万円 | 1,178百万円増 (97.4%増) |
親会社株主に帰属する 当期純利益 | 680百万円 | 916百万円 | 236百万円増 (34.7%増) |
2019年3月期につきましては、国内ブライダルジュエリー事業が好調に推移したため、売上高、営業利益ともに、前回発表予想を大幅に上回り、売上高は当初計画比2,785百万円増(18.8%増)、営業利益は計画比1,276百万円増(102.1%増)、経常利益は計画比1,178百万円増(97.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は236百万円増(34.7%増)となりました。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(3)次期の見通し
当社は、持株会社体制のもと各事業の責任体制の明確化を図り、事業間のシナジー効果の最大化、機動的な組織再編、戦略的な事業提携、コーポレートガバナンスの強化等、グループ各社が事業環境の変化に柔軟に対応できる体制を構築することで、更なる事業の成長及び企業価値の最大化を目指していきます。 当社は、ブライダルジュエリー事業が好調に推移していることを主要因として、前期に策定した中期経営計画(2019年3月期から2021年3月期)の数値目標を2年前倒しで達成することができました。 次期においては、海外事業の新規出店を着実に行いつつ集客力を強化し、売上の向上に努め、早期黒字化に向けた取り組みを推進します。国内及び海外双方の事業展開により、高い成長を実現してまいります。 国内既存事業の更なる拡大、海外展開の推進、新規事業の育成、利益を生み出す筋肉質な組織の構築を図ることで、売上高を拡大し、売上高営業利益率20%以上を目指してまいります。 ブライダルジュエリー事業につきましては、将来の事業展開を見据えた、積極的なマーケティング活動及びブランドのイメージ強化に加えて、店舗営業力の強化に取り組んできました。次期につきましては、国内店舗の業績向上に一層注力し、新規出店のみならず、引き続き既存店の統廃合も推進してまいります。また、エクセルコ ダイヤモンドのブランド認知の向上を図ってまいります。
全身美容事業につきましては、中期的な売上の拡大及び収益性の向上を図るため、顧客満足度や会員継続を高める施策を実施しつつ、構造改革を推し進めています。お客様のニーズにあった新しい商品やサービスの開発を推進し、化粧品や栄養食品等の物販商品の販売強化を図ります。 アート事業につきましては、現在行なっている美術品の販売に加えて、新たな事業を開始することを検討しており、パートナー企業と準備を進めています。 その他事業につきましては、ゴルフ製品の国内市場の強化に加えて、海外にファンが多いことより、海外の販売ルートの開拓を進めています。また、製造部門の強化、新製品の開発を積極的に行っていきます。 以上の結果、当社グループの2020年3月期の連結業績予想は、売上高184億円、営業利益27億50百万円、経常利益27億10百万円、親会社株主に帰属する当期純利益17億70百万円を見込んでいます。
※本資料の上記の予想は、有価証券報告書提出日現在において、入手可能な情報に基づき作成したものであり、実際の業績は業況の変化や予期せぬ事象の発生などによって、大きく異なる結果となる可能性があります。