有価証券報告書-第36期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/30 9:03
【資料】
PDFをみる
【項目】
135項目
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、当社グループに関する経営成績等の分析・検討内容は原則として連結財務諸表に基づいた内容であります。
また、本文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響により経済活動が停滞した後、段階的に改善に向かっておりましたが、感染が再拡大したことにより不透明な状況が続いております。
このような状況のもと当社は、従業員のテレワーク及びオンライン研修等の定着が進んだことで、新型コロナウイルス感染拡大の大きな影響を受けることなく、景気変動の影響を受けにくい小売電力サービスを中心としたお客様から継続して利用料を頂く収益モデルであるストックサービスの拡大を方針として選択と集中を進めました。
当連結会計年度の業績は、売上収益が前年同期の45,887百万円から4,557百万円減少し、41,329百万円(前年同期比9.9%減)となりました。
営業利益は、前年同期の6,254百万円から771百万円減少し、5,483百万円(前年同期比12.3%減)となり、税引前利益は、前年同期の6,282百万円から733百万円減少し、5,548百万円(前年同期比11.7%減)となりました。
親会社の所有者に帰属する当期利益は、前年同期の3,897百万円から662百万円減少し、3,234百万円(前年同期比17.0%減)となりました。
事業構成の変化に伴い、当連結会計年度より報告セグメントを「ネットワークインフラ事業」「法人ソリューション事業」「その他事業」に変更しました。以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えて比較分析しており、主なセグメント別の業績を示すと、次のとおりであります。
(ネットワークインフラ事業)
ネットワークインフラ事業では、小売電力・光回線等のお客様インフラや節水装置等のストックサービスの企画・開発・販売・運営を行っております。
小売電力サービスにおいて2020年12月中旬から日本卸電力取引所(JEPX)での取引価格の高騰が始まり、2021年1月には想定を超える取引価格となりました。JEPXでの取引価格は1月下旬には正常化しましたが、セグメント利益は高騰の影響を受ける結果となりました。当社では、お客様への影響を最小限に抑える取り組みを行い、既存のお客様の解約抑止及び新たなお客様への販売活動に取り組んだ結果、自社ブランド「エフエネでんき」の契約数は順調に増加し、売上収益は前年対比で大幅に増加しました。
光回線自社ブランド「ひかり速トク」、節水装置「JET」等も安定した収益源となっており堅調に推移しております。また、新たなストックサービスとして、LINEの公式アカウントの制作・運用の代行サービス「Links」の販売を開始しました。
以上により、売上収益は前年同期の16,729百万円から4,076百万円増加し、20,805百万円となり、セグメント利益(営業利益)は、前年同期の1,556百万円から747百万円減少し、809百万円となりました。
(法人ソリューション事業)
法人ソリューション事業では、中小企業及び個人事業主向けにUTM(統合脅威管理:Unified Threat Management)、ファイルサーバ・セキュリティ商品、環境関連商品、情報通信機器等の販売・施工・保守サービスを行っております。
法人ソリューション事業においては、各地域に存在していた直販会社を株式会社エフティコミュニケーションズに統合し、指示命令系統を統一しました。UTM、ファイルサーバー、情報通信機器の販売が引き続き堅調に推移しました。また、環境関連商品につきましてはウイルス対策商品として光触媒による空気浄化装置の販売を開始し、セグメント利益の増加に寄与しております。
以上により、売上収益は前年同期の20,119百万円から908百万円減少し、19,210百万円となり、セグメント利益(営業利益)は、前年同期の3,662百万円から520百万円増加し、4,182百万円となりました。
(その他事業)
ネットワークインフラ事業と法人ソリューション事業以外をその他事業として集約しております。
第1四半期は新型コロナウイルス感染拡大による工事遅延等の影響で、蓄電池の販売が減少いたしましたが、蓄電池の販売会社である株式会社アローズコーポレーションの当社が保有する株式の一部を譲渡したことにより2020年6月をもって連結子会社から持分法適用関連会社となり、その後2020年9月をもって保有する株式の全部を譲渡したことにより持分法適用関連会社から除外しております。
また、前連結会計年度には海外法人の売却損益が含まれており、当連結会計年度には株式会社アレクソンと株式会社アローズコーポレーションの売却損益が含まれております。株式会社アレクソンは、当社が保有する株式の全部を譲渡したことにより2020年7月をもって連結子会社から外れました。
以上により、売上収益は前年同期の10,295百万円から8,279百万円減少し、2,015百万円となり、セグメント利益(営業利益)は、前年同期の1,443百万円から618百万円減少し、825百万円となりました。
仕入及び販売の実績は、次のとおりであります。
①仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
項目当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比
セグメントの名称金額(百万円)(%)
ネットワークインフラ事業12,055156.1
法人ソリューション事業6,00591.8
その他事業7028.5
合計18,76283.4

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 金額には、消費税等は含まれておりません。
3 前年同期比については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えて比較分析しております。
②販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
項目当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比
セグメントの名称金額(百万円)(%)
ネットワークインフラ事業20,789124.4
法人ソリューション事業18,57796.5
その他事業1,96319.8
合計41,32990.1

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 金額には、消費税等は含まれておりません。
3 前年同期比については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えて比較分析しております。
4 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
前連結会計年度当連結会計年度
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
NTT・TCリース株式会社
(法人ソリューション事業)
6,34113.86,01214.5
株式会社クレディセゾン
(法人ソリューション事業)
5,03011.04,36910.6

(注) NTTファイナンス株式会社のリース事業は2020年7月よりNTT・TCリース株式会社に分社化されております。
(2)財政状態
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べて8,314百万円増加し、27,336百万円となりました。これは、現金及び現金同等物が3,872百万円、営業債権及びその他の債権が4,727百万円増加したこと等によるものであります。
非流動資産は、前連結会計年度末に比べて297百万円減少し13,171百万円となりました。これは、契約コストが1,028百万円増加したものの、有形固定資産が761百万円、使用権資産が400百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。
この結果、資産合計は、前連結会計年度末に比べて8,017百万円増加し、40,507百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べて9,514百万円増加し、17,934百万円となりました。これは、コミットメントラインでの資金調達により有利子負債(流動)が8,548百万円増加したほか、その他の流動負債が795百万円増加したこと等によるものであります。
非流動負債は、前連結会計年度末に比べて1,882百万円減少し、6,682百万円となりました。これは、有利子負債(非流動)が2,664百万円減少したものの、繰延税金負債が738百万円増加したこと等によるものであります。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて7,631百万円増加し、24,616百万円となりました。
(資本)
資本合計は、前連結会計年度末に比べて385百万円増加し、15,890百万円となりました。これは、利益剰余金が親会社の所有者に帰属する当期利益により3,234百万円増加したものの、剰余金の配当により1,982百万円減少したこと、及び自己株式を878百万円取得したこと等によるものであります。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金流動性に係る情報
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ3,872百円増加し、12,775百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの現状とそれらの要因並びに資本の財源及び資金の流動性につきましては次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,143百万円の支出(前連結会計年度は1,144百万円の収入)となりました。これは、税引前利益の計上5,548百万円に加え、契約コストを含む減価償却費が4,434百万円、営業債務及びその他の債務の増加が1,350百万円あったものの、契約コストの増加が4,498百万円、営業債権及びその他の債権の増加が6,017百万円、法人所得税の支払額が2,386百万円あったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、456百万円(前連結会計年度比40百万円減)の収入となりました。これは、有形固定資産及び無形資産の取得による支出が623百万円あったものの、子会社の支配喪失による収入が625百万円及び関連会社の売却による収入178百万円並びに貸付金の回収による収入が241百万円あったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、4,611百万円の収入(前連結会計年度は4,539百万円の支出)となりました。これは、短期有利子負債純増による収入が7,207百万円があったものの、配当金の支払額が1,978百万円、自己株式の取得による支出が878百万円あったこと等によるものであります。
(主要な資金需要及び財源)
当社グループの主要な資金需要は、商品販売のための仕入、外注費、販売費及び電力サービスの顧客獲得の為の販売手数料、一般管理費等の営業費用並びに当社グループの設備新設、改修及び移転等に係る投資であります。
また、当社グループの新たな収益源の多様化及び継続的な成長・拡大を図るため、新規事業の開発やM&Aによる投資も行ってまいります。
これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、金融機関からの借入及び社債発行等による資金調達にて対応していくこととしております。
(資金の流動性)
手許の運転資金につきましては、定期的な報告に基づき当社財務部門が適時に資金繰計画を作成・更新することにより管理しており、一時的な余資は安全性の高い金融資産で運用し、資金の流動性リスクに備えております。
また、当社及び一部の国内子会社においては、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入することで、各社における資金の一元管理を行い資金効率の向上を図っております。
(4)重要な会計上の見積及び当該見積に用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。
(5)提出会社が将来にわたって事業活動を継続するとの前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況その他提出会社の経営に重要な影響を及ぼす事象
該当事項はありません。
なお、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性のある主なリスクにつきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。
(6)戦略的状況と見通し
新型コロナウイルス感染症拡大の影響が長期化すれば、企業収益や設備投資などへの影響が懸念され、内外経済がさらに下振れするリスクに十分注意する必要があります。当社グループは、社員への感染防止対策を実行することで感染リスクの軽減を図っておりますが、国内の感染拡大が長引き、外出自粛の長期化等により当社の顧客層への影響が大きくなった場合には売上収益が減少するリスクがあります。
このような状況の中、当社グループの今後の見通しについては以下の通りであります。
(ネットワークインフラ事業)
引き続き、小売電力サービス自社ブランド「エフエネでんき」の契約顧客数の更なる拡大を法人・コンシューマ両面で取り組んでまいります。更に、顧客に対するアップセル商品の企画・開発・販売を行い、更なるストック収益の拡大を進めてまいります。また、節水装置自社製品「JET」に加えて、前年より販売開始したLINEの公式アカウントの制作・運用の代行サービス「Links」の販売を進めると共に、新たな自社ストックサービスの企画・開発を進めてまいります。
(法人ソリューション事業)
情報通信サービス及び環境サービスにおきましては、好調なUTM・ファイルサーバー等に加えて、光触媒による空気浄化装置等のウイルス対策商品の販売を進めてまいります。
グループ全体を通して新規パートナー企業の開拓、当社グループの既存事業とのシナジーが図れる国内企業のM&A等、業容の拡大に積極的に取り組んでまいります。
以上により、2022年3月期の連結業績予想につきましては、売上収益43,000百万円、営業利益6,000百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益3,600百万円としております。