有価証券報告書-第24期(2025/04/01-2026/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループは、当連結会計年度より従来の日本基準に替えてIFRSを適用しており、前連結会計年度の数値もIFRSに組み替えて比較分析を行っています。当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等)の状況の概要は、次のとおりです。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済は、米国の通商政策による悪影響が限定的に留まり、全体として緩やかに持ち直しました。米国はAI関連の設備投資や個人消費を中心に底堅さを維持した一方で、わが国経済は、物価上昇等を背景とした内需の弱さがみられ回復のペースは緩やかなものに留まりました。東京海上グループを取り巻く環境は、先行きの不透明感が増す昨今の地政学リスク、気候変動による災害の激甚化、サイバーリスクの増大等もあり、一層複雑化しています。
このような情勢のもと当社グループの当連結会計年度の財政状態および経営成績は、以下のとおりとなりました。
資産合計は、前連結会計年度末に比べて2兆5,052億円増加し、33兆26億円となりました。負債合計は、前連結会計年度末に比べて1兆5,655億円増加し、24兆9,502億円となりました。資本合計は、前連結会計年度末に比べて9,397億円増加し、8兆523億円となりました。
保険サービス損益は、保険収益が7兆6,935億円、保険サービス費用が6兆1,143億円、再保険損益が△4,295億円となった結果、前連結会計年度に比べて1,869億円増加し、1兆1,496億円となりました。また金融損益は投資損益が6,665億円、保険金融損益が△6,413億円となった結果、前連結会計年度に比べて55億円減少し、252億円となりました。
これらの結果、保険サービス損益、金融損益にその他の損益を加減した当連結会計年度の税引前利益は、前連結会計年度に比べて1,543億円増加し、7,507億円となりました。税引前利益に法人所得税費用などを加減した親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べて808億円増加し、5,312億円となりました。
報告セグメント別の状況は、以下のとおりです。
国内損害保険事業においては、保険収益は、前連結会計年度に比べて1,055億円増加し、3兆406億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べて1,039億円増加し、2,375億円となりました。
国内生命保険事業においては、契約上のサービス・マージン(以下、CSM)残高は、前連結会計年度に比べて318億円増加し、1兆1,497億円となりました。保険収益は、前連結会計年度に比べて14億円減少し、2,654億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べて1,238億円減少し、2,048億円の損失となりました。
海外保険事業においては、保険収益は、前連結会計年度に比べて1,992億円増加し、4兆4,483億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べて1,121億円増加し、5,027億円となりました。
ソリューション・その他事業においては、その他の収益は、前連結会計年度に比べて1,494億円増加し、3,276億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べて26億円増加し、145億円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、以下のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、法人所得税の支払額の増加等により、前連結会計年度に比べて6,233億円収入が減少し、1兆3,905億円の収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、子会社の取得による支出の増加などにより、前連結会計年度に比べて2,220億円支出が増加し、4,027億円の支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、資金調達目的の債券貸借取引受入担保金の純増減額の増加などにより、前連結会計年度に比べて5,818億円支出が減少し、6,420億円の支出となりました。
これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より3,925億円増加し、2兆3,324億円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループの主たる事業である保険業としての特性から、該当する情報がないので記載していません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。
なお、本項に含まれる将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下、連結財務諸表規則)第312条の規定によりIFRSに準拠して作成しています。その作成には、経営者による会計方針の選択適用、合理的な見積りを必要としますが、実際には見積りと異なる結果となることもあります。
当社の連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針ならびに重要な会計上の見積りおよび判断は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3. 重要性がある会計方針 および 4. 重要な会計上の見積りおよび判断」をご参照ください。
② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、以下のとおりです。なお、当社グループの課題認識および経営成績に重要な影響を与えるリスクについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営環境及び対処すべき課題」および「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです。
a)経営成績の分析
当連結会計年度の状況については、以下のとおりです。
連結主要指標
当連結会計年度の経営成績は、海外保険事業および国内損害保険事業における増収に加え、国内自然災害に係る発生保険金の減少や北米子会社を中心とする良好な保険引受成績などにより、保険サービス損益が改善しました。一方、国内生命保険事業における資産・負債管理の一環として実施した債券売却に伴う損失が増加したことなどにより、金融損益は減少しました。
主要指標の増減については以下のとおりです。
保険収益は、海外保険事業および国内損害保険事業における増収などにより、前連結会計年度に比べて2,973億円増加し、7兆6,935億円となりました。保険サービス費用は前連結会計年度に比べて483億円増加した一方で、再保険損益は再保険金回収の減少などにより、前連結会計年度に比べて620億円減少しました。
この結果、保険サービス損益は1,869億円増加し、1兆1,496億円となりました。
金融損益は、海外保険事業において投資損益が改善した一方で、国内生保事業において債券売却損を計上した影響などにより、前連結会計年度に比べて55億円減少し、252億円となりました。
保険サービス損益、金融損益にその他の損益を加減した当連結会計年度の税引前利益は、前連結会計年度に比べて1,543億円増加し、7,507億円となりました。税引前利益に法人所得税費用などを加減した親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べて808億円増加し、5,312億円となりました。
報告セグメント別の状況は、以下のとおりです。
[国内損害保険事業]
国内損害保険事業において、東京海上日動は、「本当に信頼されるお客様起点の会社」になるため、引き続き「Re-New(新しい会社につくりかえる)」の取組みを推進しました。これまで以上にお客様の声を保険契約プロセスの改善や事故に遭われたお客様への対応に活用することで、お客様からの評価は着実に向上しています。また、「リスクソリューション(保険+α)で次代を支える会社」として、保険金支払いに留まらない事前(リスクや損害の発生の抑制)・事後(早期復旧や再発防止)の領域における商品・サービスの提供も進めています。
多様化・複雑化する社会課題に対し、グリーントランスフォーメーション(化石燃料をクリーンエネルギーに転換して活用していくための変革)、ヘルスケア、中小企業、サイバーリスクおよびレジリエンス(自然災害等の被害の極小化および早期復旧)を重点分野として定め、社会課題解決に貢献することを通じた新たなマーケット創造をめざし取組みを推進しました。
サイバーリスク分野では、中小企業専門のセキュリティ支援会社との協業によるセキュリティ診断やネットワークの遠隔監視等のサービスを提供しており、ご好評をいただいています。サイバー攻撃等に起因する第三者への損害賠償金や、原因調査・システム復旧等にかかる費用を幅広く補償するサイバーリスク保険と合わせて、近年急増しているサイバー攻撃への事前の備えとして、企業のセキュリティ対策を支援していきます。
東京海上グループのダイレクト損害保険事業でのさらなる成長を実現するため、2025年10月、イーデザイン損保を東京海上ダイレクトへ商号変更しました。これを契機に、手軽さや先進性を魅力としたダイレクトビジネスモデルの強化にも取り組んでいます。保険代理店およびダイレクトの双方でお客様から選ばれる保険グループとなることをめざします。
上記のとおり事業に取り組んだ結果、保険収益は、前連結会計年度に比べて1,055億円増加し、3兆406億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、当年度の自然災害が減少したことを主因として、前連結会計年度に比べて1,039億円増加し、2,375億円となりました。
(注)諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額です。
[国内生命保険事業]
国内生命保険事業において、東京海上日動あんしん生命は、金融庁から、乗合代理店との適切な関係性の構築に向けた取組みにかかる報告徴求命令を2025年8月に受領し、同年9月に同命令に基づく報告を行いました。乗合代理店に対する指導・教育・管理の強化を徹底すると同時に、創業以来の理念に立ち返り、「お客様本位」を基軸とした健全な業務運営の定着に向けて、不断の改善に取り組んでいます。
あんしん生命は、保障・健康増進・資産形成を重点領域と定め、中堅・中小企業、シニア層および就労世代それぞれのニーズに対応した商品・サービスを開発し、強みである生損一体のビジネスモデルを活かしつつ、お客様をお守りする領域の拡大に取り組んでいます。
2025年9月には、一時払終身保険「あんしん夢終身」を発売しました。健康状態にかかわらず一生涯の死亡保障を確保でき、終活・相続のお悩みを相談できるサービスも利用いただける、お客様の資産形成・相続対策のニーズにお応えする商品です。また、がんの最新治療等に関する費用に対し最大1億円の保障を付帯できる「あんしんがん治療保険」が引き続きご好評をいただくなど、同社は2026年「オリコン顧客満足度調査」の「がん保険ランキング」において、3年連続で総合1位を獲得しました。
各国における金融政策転換等によって、市場・経済環境の不確実性が増しているなか、資産と負債の総合管理(ALM)を基本とした資産運用に継続的に取り組み、既に引き受けている生命保険契約の長期負債の一部を2025年度も再保険会社に出再するなど、金利リスクコントロールの多様化および高度化に努めました。
上記のとおり事業に取り組んだ結果、CSM残高は、前連結会計年度に比べて318億円増加し、1兆1,497億円となりました。保険収益は、前連結会計年度に比べて14億円減少し、2,654億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、債券売却損を主因として、前連結会計年度に比べて1,238億円減少し、2,048億円の損失となりました。
(注)諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額です。
[海外保険事業]
海外保険事業においては、グループ全体のグローバルな成長と分散の効いたポートフォリオの構築を実現すべく、持続的な内部成長と戦略的なM&Aを取組みの両輪としています。また、グループ各社の優れたノウハウを相互に活用し、保険料収入の拡大、資産運用の高度化、業務効率の向上等のシナジー実現にも幅広く取り組みました。
成長戦略の一環として、グループ会社各社が既存事業を強化する「ボルトオンM&A」を積極的に実行しています。2025年度は、米国において、今後の市場拡大が見込めるクラシックカー向けの保険代理店事業や、農畜産物の価格変動リスクに対し保険とソリューションをワンストップで提供する会社を買収しました。
世界中の各拠点が事業の成長実現をめざし、新たな保険商品の開発、高度な保険引受能力や専門性の活用、市場環境を踏まえた保険料率の見直しおよび販売チャネルの拡充による保険引受利益の拡大にも引き続き取り組んでいます。
2025年度は、北米のフィラデルフィア社、デルファイ社およびピュア社が過去最高益を達成しました。
上記のとおり事業に取り組んだ結果、保険収益は、北米およびブラジルの子会社における引受拡大等に伴う増収を主因に、前連結会計年度に比べて1,992億円増加し、4兆4,483億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、北米の子会社における好調な保険引受ならびに前年度のキャピタルロス増加の反動を主因として、前連結会計年度に比べて1,121億円増加し、5,027億円となりました。
(注)諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額です。
[ソリューション・その他事業]
東京海上グループは、多様化・複雑化するお客様や社会の課題やリスクに対して最適な保険商品を提供し、「お客様や社会の“いざ” をお守りする」ことに加え、多様なリスクや損害そのものを減らすソリューションを提供しお客様や社会の“いつも” を支えている姿をめざしています。
ID&Eグループは、「世界をすみよくする」というミッションを果たすため、コンサルティング事業、都市空間事業およびエネルギー事業を主力事業として、世界各地で国づくり・まちづくりに貢献しています。長年、国内外の公共事業で培った高い技術力をもとに、社会の強靭化に直結するソリューションを保有しており、特に、コンサルティング事業については、東京海上グループが有する強固な顧客基盤を活用しながら、急拡大する民間防災市場に本格参入しました。建設コンサルティング業界国内最大手である同社の高度な技術と、東京海上日動が持つ膨大なリスク情報と保険金支払データを掛け合わせることで、災害レジリエンスにおける現状把握、対策実行、経済的補償(保険)および復旧・維持管理を一気通貫で支援し、現状復旧に留まらない「Build Back Better(被災前よりも強靭な状態への再建)」を実現していきます。
東京海上グループが中心となって物流会社8社と立ち上げた物流コンソーシアム「baton」において、2026年2月には国内初となる複数の物流事業者による中継輸送(ドライバー交替方式)の実証運行を開始しました。実証運行の検証を経て、対象路線の拡大や事業者向けアプリケーションの開発を進め、トラックのドライバー不足への対応、稼働率・積載率の向上等を図り、日本の物流産業のさらなる発展に貢献していきます。
東京海上アセットマネジメントは、年金の運用受託や投資信託の運用等、安定的な収益基盤であるアセットマネジメント事業に取り組んでいます。特に、年金基金等のお客様から運用商品やお客様本位の取組みを総合的にご評価いただいており、格付投資情報センター(R&I)が選定する「R&I顧客満足大賞2026」の年金部門において、「優秀賞」を受賞しました。
上記のとおり事業に取り組んだ結果、その他の収益は、前年度期中に買収したID&Eグループの損益を当年度からは通期で取り込んだことを主因に、前連結会計年度に比べて1,494億円増加し、3,276億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、上記その他収益の増加等を主因として、前連結会計年度に比べて26億円増加し、145億円となりました。
(注)諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額です。
b)財政状態の分析
当連結会計年度の状況については、以下のとおりです。
[資産]
当連結会計年度末の資産合計は、再保険契約資産の増加などにより、前連結会計年度に比べて2兆5,052億円増加し、33兆26億円となりました。
[負債]
当連結会計年度末の負債合計は、保険契約負債の増加などにより、前連結会計年度に比べて1兆5,655億円増加し、24兆9,502億円となりました。
[資本]
当連結会計年度末の資本合計は、利益剰余金の増加などにより、前連結会計年度に比べて9,397億円増加し、8兆523億円となりました。
c)資金の流動性に係る情報
当社グループの短期的な資金需要として、主に日々の保険金の支払等がありますが、強固なリスク管理態勢の下で保険事業を運営し、安定的にプラスの営業キャッシュ・フローを確保することにより、十分な流動性を保持しています。また、大規模自然災害による大口の支払や市場の混乱等により資金繰りが悪化する局面に備え、流動性の高い債券を保有すること等により、適切な流動性管理を行っています。
事業投資等の中長期的な資金需要に対しては、グループ内の自己資金を活用するほか、外部からの資金調達を行う等、資金需要の性質に応じて適切な資金源を確保しています。
d)目標とする経営指標の分析
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針 ③目標とする経営指標等」に記載のとおりです。
(3)並行開示情報
連結財務諸表規則(第3編から第6編までを除く。以下、日本基準)により作成した要約連結財務諸表、要約連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更は、次のとおりです。
なお、日本基準により作成した要約連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。また、百万円未満を切り捨てて記載しています。
要約連結貸借対照表(日本基準)
要約連結損益計算書及び要約連結包括利益計算書(日本基準)
要約連結損益計算書
要約連結包括利益計算書
要約連結株主資本等変動計算書(日本基準)
前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
要約連結キャッシュ・フロー計算書(日本基準)
要約連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更
前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
(連結範囲の変更)
当連結会計年度より、ID&Eホールディングス株式会社他95社は、株式の取得等により子会社となったため連結の範囲に含めています。
当連結会計年度より、Tysons Corner Owner, LLCは、重要性が低下したため連結の範囲から除いています。
(持分法適用の範囲の変更)
当連結会計年度より、ID&Eホールディングス株式会社の株式を取得したことに伴い、同社の関連会社10社を持分法適用の範囲に含めています。
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
(連結範囲の変更)
当連結会計年度より、Agrihedge, Inc. 他21社は、株式の取得等により子会社となったため連結の範囲に含めています。
当連結会計年度より、Qdos Holdings Limited 他2社は、清算結了等により連結の範囲から除いています。
(持分法適用の範囲の変更)
当連結会計年度より、Newa Insurance (Cambodia) Plc.他1社は、影響力が低下したこと等により持分法適用の範囲から除いています。
経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
「第5.経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 37.IFRSの初度適用」に記載のとおりです。
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
(投資有価証券(資本性))
日本基準においてその他有価証券に分類した株式は、売却損益および減損損失を純損益として認識しておりましたが、IFRSでは一部を除きFVOCIに指定し、公正価値の変動額をその他の包括利益として認識し、当該金融資産の認識を中止した場合には、その他の包括利益累計額を利益剰余金に振替えています。また、日本基準においては、非上場株式は原則として取得原価で測定していましたが、IFRSでは公正価値で測定しています。
この結果、IFRSの投資損益は、日本基準のこれに相当する項目に比べて、763,874百万円減少しています。また、IFRSでは日本基準に比べて、その他の包括利益(税効果調整後)が441,377百万円増加しています。
(保険契約および再保険契約)
日本基準およびIFRSにおける測定方法および表示方法には、次のとおり大きく異なる部分があることから、「認識および測定の差異」として日本基準における計上額の全額を取り消し、IFRSにおける計上額の全額を改めて計上しています。
・分類および測定
日本基準においては、国内会社は保険業法および保険業法施行規則に基づき、在外子会社は実務対応報告第18号「連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取扱い」に基づきIFRSまたは米国会計基準に準拠して保険契約準備金を積み立てています。一方、IFRSでは「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」に基づいて測定された保険契約を資産または負債として計上しています。日本基準およびIFRSにおける測定方法は、保険料配分アプローチ(以下、PAA)を適用して測定する契約に係る残存カバーに係る資産および負債については概ね類似していますが、同契約に係る発生保険金に係る資産および負債ならびにPAAを適用せずに測定する契約に係る資産および負債については、主に次の差異があります。
・日本基準においては、生命保険の大宗および損害保険の一部に係る資産および負債を除き割引計算を行っていませんでしたが、IFRSでは原則として見積将来キャッシュ・フローに貨幣の時間価値を反映させて測定しています。
・日本基準においては、明示的にはリスク調整を考慮していませんでしたが、IFRSでは非金融リスクに係るリスク調整を反映させて測定しています。
・日本基準においては、明示的に未稼得利益を認識していませんでしたが、IFRSでは未稼得利益をCSMとして認識しています。
・日本基準においては、原則として契約締結時点における見積りの前提に基づいていましたが、IFRSでは期末日現在における見積りに基づいて測定しています。
・日本基準においては、主に国内保険会社において、新契約費は保険負債から控除せず、また発生時に費用として認識していましたが、IFRSでは保険獲得キャッシュ・フロー(新契約費)は保険負債から控除され、また規則的な方法で各期間に配分して保険収益および保険サービス費用を認識しています。
・日本基準において「貸付金」に含めていた保険約款貸付金を、IFRSでは「保険契約資産」、「保険契約負債」に含めています。
・日本基準において「その他資産」または「その他の負債」に含めていた発行した保険契約および保有する再保険契約に係る債権債務等を、IFRSでは「保険契約資産」、「保険契約負債」、「再保険契約資産」、「再保険契約負債」に含めています。
・日本基準において保有する再保険契約に係る資産を「支払備金」または「責任準備金等」から控除していましたが、IFRSでは保有する再保険契約に係る資産および負債を「再保険契約資産」および「再保険契約負債」として区分掲記しています。
この結果、IFRSの保険契約資産、保険契約負債、再保険契約資産および再保険契約負債の純額(負債)は、日本基準のこれらに相当する項目の純額(負債)に比べて、5,512,957百万円減少しています。
・保険収益の表示
日本基準においては、「保険引受収益」に保険契約者から収受した時点で認識する収入保険料に加えて、保険契約準備金の一部である責任準備金および支払備金の各々について、減少した場合にその減少分を「責任準備金等戻入額」、「支払備金戻入額」として含めていましたが、IFRSにおける「保険収益」にはサービスの提供に応じた収益を含めています。また、この「保険収益」からは投資要素を除外しています。
・保険サービス費用の表示
日本基準においては、「保険引受費用」に保険契約者に支払った時点で認識する支払保険金に加えて、保険契約準備金の一部である責任準備金および支払備金の各々について、増加した場合にその増加分を「責任準備金等繰入額」、「支払備金繰入額」として含めていましたが、IFRSにおける「保険サービス費用」には、発生保険金に係る負債の増減を含めています。
日本基準における「保険引受費用」には新契約費および維持費の双方を発生時に認識していますが、IFRSにおける「保険サービス費用」では、保険獲得キャッシュ・フローについては保険期間に配分して費用認識しています。また、この「保険サービス費用」からは投資要素を除外しています。
(のれん)
日本基準においてはのれんについて一定期間で均等償却していましたが、IFRSでは移行日以降の償却を停止し、減損テストを実施しています。この結果、IFRSの一般管理費は、日本基準のこれに相当する項目に比べて、88,861百万円減少しています。
当社グループは、当連結会計年度より従来の日本基準に替えてIFRSを適用しており、前連結会計年度の数値もIFRSに組み替えて比較分析を行っています。当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等)の状況の概要は、次のとおりです。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済は、米国の通商政策による悪影響が限定的に留まり、全体として緩やかに持ち直しました。米国はAI関連の設備投資や個人消費を中心に底堅さを維持した一方で、わが国経済は、物価上昇等を背景とした内需の弱さがみられ回復のペースは緩やかなものに留まりました。東京海上グループを取り巻く環境は、先行きの不透明感が増す昨今の地政学リスク、気候変動による災害の激甚化、サイバーリスクの増大等もあり、一層複雑化しています。
このような情勢のもと当社グループの当連結会計年度の財政状態および経営成績は、以下のとおりとなりました。
資産合計は、前連結会計年度末に比べて2兆5,052億円増加し、33兆26億円となりました。負債合計は、前連結会計年度末に比べて1兆5,655億円増加し、24兆9,502億円となりました。資本合計は、前連結会計年度末に比べて9,397億円増加し、8兆523億円となりました。
保険サービス損益は、保険収益が7兆6,935億円、保険サービス費用が6兆1,143億円、再保険損益が△4,295億円となった結果、前連結会計年度に比べて1,869億円増加し、1兆1,496億円となりました。また金融損益は投資損益が6,665億円、保険金融損益が△6,413億円となった結果、前連結会計年度に比べて55億円減少し、252億円となりました。
これらの結果、保険サービス損益、金融損益にその他の損益を加減した当連結会計年度の税引前利益は、前連結会計年度に比べて1,543億円増加し、7,507億円となりました。税引前利益に法人所得税費用などを加減した親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べて808億円増加し、5,312億円となりました。
報告セグメント別の状況は、以下のとおりです。
国内損害保険事業においては、保険収益は、前連結会計年度に比べて1,055億円増加し、3兆406億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べて1,039億円増加し、2,375億円となりました。
国内生命保険事業においては、契約上のサービス・マージン(以下、CSM)残高は、前連結会計年度に比べて318億円増加し、1兆1,497億円となりました。保険収益は、前連結会計年度に比べて14億円減少し、2,654億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べて1,238億円減少し、2,048億円の損失となりました。
海外保険事業においては、保険収益は、前連結会計年度に比べて1,992億円増加し、4兆4,483億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べて1,121億円増加し、5,027億円となりました。
ソリューション・その他事業においては、その他の収益は、前連結会計年度に比べて1,494億円増加し、3,276億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べて26億円増加し、145億円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、以下のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、法人所得税の支払額の増加等により、前連結会計年度に比べて6,233億円収入が減少し、1兆3,905億円の収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、子会社の取得による支出の増加などにより、前連結会計年度に比べて2,220億円支出が増加し、4,027億円の支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、資金調達目的の債券貸借取引受入担保金の純増減額の増加などにより、前連結会計年度に比べて5,818億円支出が減少し、6,420億円の支出となりました。
これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より3,925億円増加し、2兆3,324億円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループの主たる事業である保険業としての特性から、該当する情報がないので記載していません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。
なお、本項に含まれる将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下、連結財務諸表規則)第312条の規定によりIFRSに準拠して作成しています。その作成には、経営者による会計方針の選択適用、合理的な見積りを必要としますが、実際には見積りと異なる結果となることもあります。
当社の連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針ならびに重要な会計上の見積りおよび判断は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3. 重要性がある会計方針 および 4. 重要な会計上の見積りおよび判断」をご参照ください。
② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、以下のとおりです。なお、当社グループの課題認識および経営成績に重要な影響を与えるリスクについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営環境及び対処すべき課題」および「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです。
a)経営成績の分析
当連結会計年度の状況については、以下のとおりです。
連結主要指標
| (単位:百万円) | ||||
| 前連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) | 増減 | 増減率 | |
| 保険収益 | 7,396,221 | 7,693,560 | 297,338 | 4.0% |
| 保険サービス費用 | 6,066,020 | 6,114,387 | 48,366 | 0.8% |
| 再保険損益 | △367,482 | △429,502 | △62,020 | - |
| 保険サービス損益 | 962,718 | 1,149,670 | 186,951 | 19.4% |
| 金融損益 | 30,794 | 25,240 | △5,553 | △18.0% |
| その他の収益 | 210,637 | 379,540 | 168,903 | 80.2% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 450,423 | 531,255 | 80,831 | 17.9% |
当連結会計年度の経営成績は、海外保険事業および国内損害保険事業における増収に加え、国内自然災害に係る発生保険金の減少や北米子会社を中心とする良好な保険引受成績などにより、保険サービス損益が改善しました。一方、国内生命保険事業における資産・負債管理の一環として実施した債券売却に伴う損失が増加したことなどにより、金融損益は減少しました。
主要指標の増減については以下のとおりです。
保険収益は、海外保険事業および国内損害保険事業における増収などにより、前連結会計年度に比べて2,973億円増加し、7兆6,935億円となりました。保険サービス費用は前連結会計年度に比べて483億円増加した一方で、再保険損益は再保険金回収の減少などにより、前連結会計年度に比べて620億円減少しました。
この結果、保険サービス損益は1,869億円増加し、1兆1,496億円となりました。
金融損益は、海外保険事業において投資損益が改善した一方で、国内生保事業において債券売却損を計上した影響などにより、前連結会計年度に比べて55億円減少し、252億円となりました。
保険サービス損益、金融損益にその他の損益を加減した当連結会計年度の税引前利益は、前連結会計年度に比べて1,543億円増加し、7,507億円となりました。税引前利益に法人所得税費用などを加減した親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べて808億円増加し、5,312億円となりました。
報告セグメント別の状況は、以下のとおりです。
[国内損害保険事業]
国内損害保険事業において、東京海上日動は、「本当に信頼されるお客様起点の会社」になるため、引き続き「Re-New(新しい会社につくりかえる)」の取組みを推進しました。これまで以上にお客様の声を保険契約プロセスの改善や事故に遭われたお客様への対応に活用することで、お客様からの評価は着実に向上しています。また、「リスクソリューション(保険+α)で次代を支える会社」として、保険金支払いに留まらない事前(リスクや損害の発生の抑制)・事後(早期復旧や再発防止)の領域における商品・サービスの提供も進めています。
多様化・複雑化する社会課題に対し、グリーントランスフォーメーション(化石燃料をクリーンエネルギーに転換して活用していくための変革)、ヘルスケア、中小企業、サイバーリスクおよびレジリエンス(自然災害等の被害の極小化および早期復旧)を重点分野として定め、社会課題解決に貢献することを通じた新たなマーケット創造をめざし取組みを推進しました。
サイバーリスク分野では、中小企業専門のセキュリティ支援会社との協業によるセキュリティ診断やネットワークの遠隔監視等のサービスを提供しており、ご好評をいただいています。サイバー攻撃等に起因する第三者への損害賠償金や、原因調査・システム復旧等にかかる費用を幅広く補償するサイバーリスク保険と合わせて、近年急増しているサイバー攻撃への事前の備えとして、企業のセキュリティ対策を支援していきます。
東京海上グループのダイレクト損害保険事業でのさらなる成長を実現するため、2025年10月、イーデザイン損保を東京海上ダイレクトへ商号変更しました。これを契機に、手軽さや先進性を魅力としたダイレクトビジネスモデルの強化にも取り組んでいます。保険代理店およびダイレクトの双方でお客様から選ばれる保険グループとなることをめざします。
上記のとおり事業に取り組んだ結果、保険収益は、前連結会計年度に比べて1,055億円増加し、3兆406億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、当年度の自然災害が減少したことを主因として、前連結会計年度に比べて1,039億円増加し、2,375億円となりました。
| (単位:百万円) | ||||
| 前連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) | 増減 | 増減率 | |
| 保険収益 | 2,935,093 | 3,040,655 | 105,562 | 3.6% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 133,580 | 237,541 | 103,960 | 77.8% |
(注)諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額です。
[国内生命保険事業]
国内生命保険事業において、東京海上日動あんしん生命は、金融庁から、乗合代理店との適切な関係性の構築に向けた取組みにかかる報告徴求命令を2025年8月に受領し、同年9月に同命令に基づく報告を行いました。乗合代理店に対する指導・教育・管理の強化を徹底すると同時に、創業以来の理念に立ち返り、「お客様本位」を基軸とした健全な業務運営の定着に向けて、不断の改善に取り組んでいます。
あんしん生命は、保障・健康増進・資産形成を重点領域と定め、中堅・中小企業、シニア層および就労世代それぞれのニーズに対応した商品・サービスを開発し、強みである生損一体のビジネスモデルを活かしつつ、お客様をお守りする領域の拡大に取り組んでいます。
2025年9月には、一時払終身保険「あんしん夢終身」を発売しました。健康状態にかかわらず一生涯の死亡保障を確保でき、終活・相続のお悩みを相談できるサービスも利用いただける、お客様の資産形成・相続対策のニーズにお応えする商品です。また、がんの最新治療等に関する費用に対し最大1億円の保障を付帯できる「あんしんがん治療保険」が引き続きご好評をいただくなど、同社は2026年「オリコン顧客満足度調査」の「がん保険ランキング」において、3年連続で総合1位を獲得しました。
各国における金融政策転換等によって、市場・経済環境の不確実性が増しているなか、資産と負債の総合管理(ALM)を基本とした資産運用に継続的に取り組み、既に引き受けている生命保険契約の長期負債の一部を2025年度も再保険会社に出再するなど、金利リスクコントロールの多様化および高度化に努めました。
上記のとおり事業に取り組んだ結果、CSM残高は、前連結会計年度に比べて318億円増加し、1兆1,497億円となりました。保険収益は、前連結会計年度に比べて14億円減少し、2,654億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、債券売却損を主因として、前連結会計年度に比べて1,238億円減少し、2,048億円の損失となりました。
| (単位:百万円) | ||||
| 前連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) | 増減 | 増減率 | |
| CSM残高 | 1,117,952 | 1,149,767 | 31,814 | 2.9% |
| 保険収益 | 266,877 | 265,448 | △1,428 | △0.5% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益(△は損失) | △80,979 | △204,860 | △123,880 | - |
(注)諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額です。
[海外保険事業]
海外保険事業においては、グループ全体のグローバルな成長と分散の効いたポートフォリオの構築を実現すべく、持続的な内部成長と戦略的なM&Aを取組みの両輪としています。また、グループ各社の優れたノウハウを相互に活用し、保険料収入の拡大、資産運用の高度化、業務効率の向上等のシナジー実現にも幅広く取り組みました。
成長戦略の一環として、グループ会社各社が既存事業を強化する「ボルトオンM&A」を積極的に実行しています。2025年度は、米国において、今後の市場拡大が見込めるクラシックカー向けの保険代理店事業や、農畜産物の価格変動リスクに対し保険とソリューションをワンストップで提供する会社を買収しました。
世界中の各拠点が事業の成長実現をめざし、新たな保険商品の開発、高度な保険引受能力や専門性の活用、市場環境を踏まえた保険料率の見直しおよび販売チャネルの拡充による保険引受利益の拡大にも引き続き取り組んでいます。
2025年度は、北米のフィラデルフィア社、デルファイ社およびピュア社が過去最高益を達成しました。
上記のとおり事業に取り組んだ結果、保険収益は、北米およびブラジルの子会社における引受拡大等に伴う増収を主因に、前連結会計年度に比べて1,992億円増加し、4兆4,483億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、北米の子会社における好調な保険引受ならびに前年度のキャピタルロス増加の反動を主因として、前連結会計年度に比べて1,121億円増加し、5,027億円となりました。
| (単位:百万円) | ||||
| 前連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) | 増減 | 増減率 | |
| 保険収益 | 4,249,062 | 4,448,332 | 199,270 | 4.7% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 390,583 | 502,750 | 112,167 | 28.7% |
(注)諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額です。
[ソリューション・その他事業]
東京海上グループは、多様化・複雑化するお客様や社会の課題やリスクに対して最適な保険商品を提供し、「お客様や社会の“いざ” をお守りする」ことに加え、多様なリスクや損害そのものを減らすソリューションを提供しお客様や社会の“いつも” を支えている姿をめざしています。
ID&Eグループは、「世界をすみよくする」というミッションを果たすため、コンサルティング事業、都市空間事業およびエネルギー事業を主力事業として、世界各地で国づくり・まちづくりに貢献しています。長年、国内外の公共事業で培った高い技術力をもとに、社会の強靭化に直結するソリューションを保有しており、特に、コンサルティング事業については、東京海上グループが有する強固な顧客基盤を活用しながら、急拡大する民間防災市場に本格参入しました。建設コンサルティング業界国内最大手である同社の高度な技術と、東京海上日動が持つ膨大なリスク情報と保険金支払データを掛け合わせることで、災害レジリエンスにおける現状把握、対策実行、経済的補償(保険)および復旧・維持管理を一気通貫で支援し、現状復旧に留まらない「Build Back Better(被災前よりも強靭な状態への再建)」を実現していきます。
東京海上グループが中心となって物流会社8社と立ち上げた物流コンソーシアム「baton」において、2026年2月には国内初となる複数の物流事業者による中継輸送(ドライバー交替方式)の実証運行を開始しました。実証運行の検証を経て、対象路線の拡大や事業者向けアプリケーションの開発を進め、トラックのドライバー不足への対応、稼働率・積載率の向上等を図り、日本の物流産業のさらなる発展に貢献していきます。
東京海上アセットマネジメントは、年金の運用受託や投資信託の運用等、安定的な収益基盤であるアセットマネジメント事業に取り組んでいます。特に、年金基金等のお客様から運用商品やお客様本位の取組みを総合的にご評価いただいており、格付投資情報センター(R&I)が選定する「R&I顧客満足大賞2026」の年金部門において、「優秀賞」を受賞しました。
上記のとおり事業に取り組んだ結果、その他の収益は、前年度期中に買収したID&Eグループの損益を当年度からは通期で取り込んだことを主因に、前連結会計年度に比べて1,494億円増加し、3,276億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、上記その他収益の増加等を主因として、前連結会計年度に比べて26億円増加し、145億円となりました。
| (単位:百万円) | ||||
| 前連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) | 増減 | 増減率 | |
| その他の収益 | 178,191 | 327,646 | 149,455 | 83.9% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 11,844 | 14,515 | 2,671 | 22.6% |
(注)諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額です。
b)財政状態の分析
当連結会計年度の状況については、以下のとおりです。
[資産]
当連結会計年度末の資産合計は、再保険契約資産の増加などにより、前連結会計年度に比べて2兆5,052億円増加し、33兆26億円となりました。
[負債]
当連結会計年度末の負債合計は、保険契約負債の増加などにより、前連結会計年度に比べて1兆5,655億円増加し、24兆9,502億円となりました。
[資本]
当連結会計年度末の資本合計は、利益剰余金の増加などにより、前連結会計年度に比べて9,397億円増加し、8兆523億円となりました。
c)資金の流動性に係る情報
当社グループの短期的な資金需要として、主に日々の保険金の支払等がありますが、強固なリスク管理態勢の下で保険事業を運営し、安定的にプラスの営業キャッシュ・フローを確保することにより、十分な流動性を保持しています。また、大規模自然災害による大口の支払や市場の混乱等により資金繰りが悪化する局面に備え、流動性の高い債券を保有すること等により、適切な流動性管理を行っています。
事業投資等の中長期的な資金需要に対しては、グループ内の自己資金を活用するほか、外部からの資金調達を行う等、資金需要の性質に応じて適切な資金源を確保しています。
d)目標とする経営指標の分析
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針 ③目標とする経営指標等」に記載のとおりです。
(3)並行開示情報
連結財務諸表規則(第3編から第6編までを除く。以下、日本基準)により作成した要約連結財務諸表、要約連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更は、次のとおりです。
なお、日本基準により作成した要約連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。また、百万円未満を切り捨てて記載しています。
要約連結貸借対照表(日本基準)
| (単位:百万円) | ||
| 前連結会計年度 (2025年3月31日) | 当連結会計年度 (2026年3月31日) | |
| 資産の部 | ||
| 現金及び現金同等物 | 1,071,138 | 1,033,052 |
| 買現先勘定 | 299,812 | - |
| 買入金銭債権 | 3,051,927 | 3,962,550 |
| 金銭の信託 | 7 | 314 |
| 有価証券 | 19,262,988 | 18,615,916 |
| 貸付金 | 3,140,328 | 3,052,348 |
| 有形固定資産 | 562,056 | 683,416 |
| 無形固定資産 | 1,158,132 | 1,327,070 |
| その他資産 | 2,578,281 | 3,065,601 |
| 退職給付に係る資産 | 16,967 | 20,849 |
| 繰延税金資産 | 112,395 | 217,913 |
| 支払承諾見返 | 1,528 | 1,410 |
| 貸倒引当金 | △18,225 | △18,505 |
| 資産の部合計 | 31,237,340 | 31,961,940 |
| 負債の部 | ||
| 保険契約準備金 | 23,178,787 | 23,263,893 |
| 社債 | 227,246 | 226,995 |
| その他負債 | 2,101,900 | 2,346,342 |
| 退職給付に係る負債 | 223,866 | 213,295 |
| 賞与引当金 | 140,268 | 154,190 |
| 株式給付引当金 | 3,622 | 3,925 |
| 特別法上の準備金 | 150,455 | 159,381 |
| 繰延税金負債 | 103,089 | 133,643 |
| 負ののれん | 3,030 | 1,289 |
| 支払承諾 | 1,528 | 1,410 |
| 負債の部合計 | 26,133,794 | 26,504,368 |
| 純資産の部 | ||
| 株主資本 | 3,021,956 | 3,394,747 |
| その他の包括利益累計額 | 2,054,886 | 2,025,600 |
| 非支配株主持分 | 26,702 | 37,223 |
| 純資産の部合計 | 5,103,545 | 5,457,571 |
| 負債及び純資産の部合計 | 31,237,340 | 31,961,940 |
要約連結損益計算書及び要約連結包括利益計算書(日本基準)
要約連結損益計算書
| (単位:百万円) | ||
| 前連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) | |
| 経常収益 | 8,440,114 | 8,872,277 |
| 保険引受収益 | 6,275,529 | 6,527,988 |
| 資産運用収益 | 1,988,646 | 1,984,577 |
| その他経常収益 | 175,938 | 359,711 |
| 経常費用 | 6,980,107 | 7,523,647 |
| 保険引受費用 | 4,993,332 | 5,278,975 |
| 資産運用費用 | 544,633 | 554,145 |
| 営業費及び一般管理費 | 1,401,394 | 1,650,600 |
| その他経常費用 | 40,747 | 39,924 |
| 経常利益 | 1,460,007 | 1,348,630 |
| 特別利益 | 10,354 | 7,965 |
| 特別損失 | 20,089 | 21,628 |
| 税金等調整前当期純利益 | 1,450,272 | 1,334,967 |
| 法人税等合計 | 396,529 | 347,470 |
| 当期純利益 | 1,053,742 | 987,496 |
| 非支配株主に帰属する当期純利益 | △1,533 | 7,068 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1,055,276 | 980,428 |
要約連結包括利益計算書
| (単位:百万円) | ||
| 前連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) | |
| 当期純利益 | 1,053,742 | 987,496 |
| その他の包括利益 | △604,252 | △25,360 |
| 包括利益 | 449,490 | 962,135 |
| (内訳) | ||
| 親会社株主に帰属する包括利益 | 448,182 | 951,124 |
| 非支配株主に帰属する包括利益 | 1,307 | 11,010 |
要約連結株主資本等変動計算書(日本基準)
前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
| (単位:百万円) | |||||
| 株主資本 | その他の包括 利益累計額 | 新株予約権 | 非支配株主持分 | 純資産合計 | |
| 当期首残高 | 2,514,622 | 2,661,980 | 33 | 6,704 | 5,183,341 |
| 当期変動額 | 507,334 | △607,093 | △33 | 19,997 | △79,795 |
| 当期末残高 | 3,021,956 | 2,054,886 | - | 26,702 | 5,103,545 |
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
| (単位:百万円) | |||||
| 株主資本 | その他の包括 利益累計額 | 新株予約権 | 非支配株主持分 | 純資産合計 | |
| 当期首残高 | 3,021,956 | 2,054,886 | - | 26,702 | 5,103,545 |
| 当期変動額 | 372,791 | △29,286 | - | 10,521 | 354,025 |
| 当期末残高 | 3,394,747 | 2,025,600 | - | 37,223 | 5,457,571 |
要約連結キャッシュ・フロー計算書(日本基準)
| (単位:百万円) | ||
| 前連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) | |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 1,345,080 | 584,259 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | 164,619 | 639,725 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | △1,188,437 | △624,251 |
| 現金及び現金同等物に係る換算差額 | 61,550 | 15,541 |
| 現金及び現金同等物の増減額(△は減少) | 382,813 | 615,275 |
| 現金及び現金同等物の期首残高 | 1,086,981 | 1,469,794 |
| 現金及び現金同等物の期末残高 | 1,469,794 | 2,085,069 |
要約連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更
前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
(連結範囲の変更)
当連結会計年度より、ID&Eホールディングス株式会社他95社は、株式の取得等により子会社となったため連結の範囲に含めています。
当連結会計年度より、Tysons Corner Owner, LLCは、重要性が低下したため連結の範囲から除いています。
(持分法適用の範囲の変更)
当連結会計年度より、ID&Eホールディングス株式会社の株式を取得したことに伴い、同社の関連会社10社を持分法適用の範囲に含めています。
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
(連結範囲の変更)
当連結会計年度より、Agrihedge, Inc. 他21社は、株式の取得等により子会社となったため連結の範囲に含めています。
当連結会計年度より、Qdos Holdings Limited 他2社は、清算結了等により連結の範囲から除いています。
(持分法適用の範囲の変更)
当連結会計年度より、Newa Insurance (Cambodia) Plc.他1社は、影響力が低下したこと等により持分法適用の範囲から除いています。
経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
「第5.経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 37.IFRSの初度適用」に記載のとおりです。
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
(投資有価証券(資本性))
日本基準においてその他有価証券に分類した株式は、売却損益および減損損失を純損益として認識しておりましたが、IFRSでは一部を除きFVOCIに指定し、公正価値の変動額をその他の包括利益として認識し、当該金融資産の認識を中止した場合には、その他の包括利益累計額を利益剰余金に振替えています。また、日本基準においては、非上場株式は原則として取得原価で測定していましたが、IFRSでは公正価値で測定しています。
この結果、IFRSの投資損益は、日本基準のこれに相当する項目に比べて、763,874百万円減少しています。また、IFRSでは日本基準に比べて、その他の包括利益(税効果調整後)が441,377百万円増加しています。
(保険契約および再保険契約)
日本基準およびIFRSにおける測定方法および表示方法には、次のとおり大きく異なる部分があることから、「認識および測定の差異」として日本基準における計上額の全額を取り消し、IFRSにおける計上額の全額を改めて計上しています。
・分類および測定
日本基準においては、国内会社は保険業法および保険業法施行規則に基づき、在外子会社は実務対応報告第18号「連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取扱い」に基づきIFRSまたは米国会計基準に準拠して保険契約準備金を積み立てています。一方、IFRSでは「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」に基づいて測定された保険契約を資産または負債として計上しています。日本基準およびIFRSにおける測定方法は、保険料配分アプローチ(以下、PAA)を適用して測定する契約に係る残存カバーに係る資産および負債については概ね類似していますが、同契約に係る発生保険金に係る資産および負債ならびにPAAを適用せずに測定する契約に係る資産および負債については、主に次の差異があります。
・日本基準においては、生命保険の大宗および損害保険の一部に係る資産および負債を除き割引計算を行っていませんでしたが、IFRSでは原則として見積将来キャッシュ・フローに貨幣の時間価値を反映させて測定しています。
・日本基準においては、明示的にはリスク調整を考慮していませんでしたが、IFRSでは非金融リスクに係るリスク調整を反映させて測定しています。
・日本基準においては、明示的に未稼得利益を認識していませんでしたが、IFRSでは未稼得利益をCSMとして認識しています。
・日本基準においては、原則として契約締結時点における見積りの前提に基づいていましたが、IFRSでは期末日現在における見積りに基づいて測定しています。
・日本基準においては、主に国内保険会社において、新契約費は保険負債から控除せず、また発生時に費用として認識していましたが、IFRSでは保険獲得キャッシュ・フロー(新契約費)は保険負債から控除され、また規則的な方法で各期間に配分して保険収益および保険サービス費用を認識しています。
・日本基準において「貸付金」に含めていた保険約款貸付金を、IFRSでは「保険契約資産」、「保険契約負債」に含めています。
・日本基準において「その他資産」または「その他の負債」に含めていた発行した保険契約および保有する再保険契約に係る債権債務等を、IFRSでは「保険契約資産」、「保険契約負債」、「再保険契約資産」、「再保険契約負債」に含めています。
・日本基準において保有する再保険契約に係る資産を「支払備金」または「責任準備金等」から控除していましたが、IFRSでは保有する再保険契約に係る資産および負債を「再保険契約資産」および「再保険契約負債」として区分掲記しています。
この結果、IFRSの保険契約資産、保険契約負債、再保険契約資産および再保険契約負債の純額(負債)は、日本基準のこれらに相当する項目の純額(負債)に比べて、5,512,957百万円減少しています。
・保険収益の表示
日本基準においては、「保険引受収益」に保険契約者から収受した時点で認識する収入保険料に加えて、保険契約準備金の一部である責任準備金および支払備金の各々について、減少した場合にその減少分を「責任準備金等戻入額」、「支払備金戻入額」として含めていましたが、IFRSにおける「保険収益」にはサービスの提供に応じた収益を含めています。また、この「保険収益」からは投資要素を除外しています。
・保険サービス費用の表示
日本基準においては、「保険引受費用」に保険契約者に支払った時点で認識する支払保険金に加えて、保険契約準備金の一部である責任準備金および支払備金の各々について、増加した場合にその増加分を「責任準備金等繰入額」、「支払備金繰入額」として含めていましたが、IFRSにおける「保険サービス費用」には、発生保険金に係る負債の増減を含めています。
日本基準における「保険引受費用」には新契約費および維持費の双方を発生時に認識していますが、IFRSにおける「保険サービス費用」では、保険獲得キャッシュ・フローについては保険期間に配分して費用認識しています。また、この「保険サービス費用」からは投資要素を除外しています。
(のれん)
日本基準においてはのれんについて一定期間で均等償却していましたが、IFRSでは移行日以降の償却を停止し、減損テストを実施しています。この結果、IFRSの一般管理費は、日本基準のこれに相当する項目に比べて、88,861百万円減少しています。