有価証券報告書-第31期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)
1.経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
(1) 経営成績
当社グループは2020年6月5日に創業30周年を迎え、新たなビジョンを「世界中のあらゆる世代のライフサポートカンパニー」と定め、2020年11月に「中長期ビジョン2020」を発表いたしました。1990年の創業以来、特に会社員層の将来不安を解消するため、「超長寿社会を見据えた資産づくり」を目的としたアパートメント経営の新たなビジネスモデルを構築、その後事業を拡大し、現在ではゼネコン、エネルギー、ライフケアの各事業や、不動産ファンドの組成、海外での事業展開等、幅広い事業体を構築し、グループシナジーを活かしたサービスを提供しております。今後は国内のみならず、国内で発展させた独自の成功モデルを海外においても再現し、当社グループのサービスを必要とするあらゆる人々へ、国境を超え、世代を超えてご提供いたします。
当期(2020年12月期)における世界経済の状況は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、世界的な経済活動の停滞が見られ、わが国においても製造業の業況判断指標(DI)は2020年6月を底に景況感の持ち直しを示しているものの、依然としてマイナス値であり、当面は極めて厳しく不透明な状況が続くものと見込まれております。
このような事業環境の下、当社グループにおきましては、お客様を始めとする関係者の皆様並びに従業員の安全確保を重視し、新型コロナウイルス感染防止対策を実施するとともに、感染予防を徹底した営業活動を実施し、私募REIT組成、ライフケア事業の拡大、DX推進等、グループ全体の持続的な成長及び企業価値向上に努めてまいりました。
その結果、当連結会計年度の当社グループの業績は、売上高は952億13百万円(前年同期比0.5%減少)、営業利益は88億85百万円(前年同期比8.9%減少)、経常利益は84億90百万円(前年同期比5.8%減少)、親会社株主に帰属する当期純利益は59億52百万円(前年同期比1.3%増加)となりました。
セグメント別の業績の概況は次のとおりであります。
なお、各セグメントにおける売上高につきましては「セグメント間の内部売上高又は振替高」を含んだ金額を
記載しております。
① 不動産セールス事業
アパートメント販売では、会社員層を中心に、アパートメント経営を通した将来の資産づくりのご提案に努めてまいりました。当社グループが手がける商品は、主要都市圏の駅近という立地条件の良さ、IoT化により利便性・安全性が向上した「インテリジェントアパート」等、顧客体験(UX)を向上させた物件の強みを活かし、新規受注(契約)、及び既存顧客からの追加受注を獲得する等、引き続きお客様からご支持をいただいております。
マンション販売では、首都圏において都会的で利便性の高いデザイン性を重視したデザイナーズ仕様の物件を主に個人投資家向けに区分販売するとともに、シノケンリート投資法人(私募REIT)に対しては、東京23区内に所在する6棟のマンションを一括で販売いたしました。なお、新型コロナウイルスの感染防止対策を徹底して行う中で、営業活動を一部縮小しており、特にマンション販売において、対面交渉減少等の影響を受け、販売戸数が減少いたしました。
これらの結果、売上高は519億96百万円(前年同期比8.5%減少)、セグメント利益は52億46百万円(前年同期比18.7%減少)となりました。
② 不動産サービス事業
当連結会計年度末において、賃貸物件のオーナー様より管理を受託している賃貸管理戸数は39,045戸となり、2020年1月~12月の平均で99%を超える入居率となっております。また、分譲マンションの管理組合様より管理を受託しているマンション管理戸数は7,184戸となり、物件の資産価値の維持・向上及び管理組合様向けサービスの向上に努めております。賃貸管理戸数、マンション管理戸数の他、家賃等の債務保証件数、保険契約数等も堅調に増加いたしました。
新型コロナウイルス感染拡大と長期化により、入退去件数が当初計画より減少したことによる入退去時の収益機会の減少等、一定の影響を受けた他、トラストDXの推進等、不動産テック領域への先行投資を実施しております。
これらの結果、売上高は192億47百万円(前年同期比15.4%増加)、セグメント利益は32億61百万円(前年同期比5.6%減少)となりました。
③ ゼネコン事業
㈱小川建設は、明治42年創業の老舗ゼネコンであり、110年を超える歴史と技術、信頼と実績により、既存顧客からのリピート受注のみならず幅広い顧客への営業活動が奏功し、新規受注も順調に積み増した他、受注済みの請負工事の進捗も順調に推移いたしました。一方、資材費及び人材不足による人件費の高騰等から、利益率が低下しております。なお、新型コロナウイルス感染拡大により、一部の物件で一時的に工事遅延が発生したものの、軽微な影響にとどまっております。
これらの結果、売上高は234億3百万円(前年同期比0.7%増加)、セグメント利益は14億47百万円(前年同期比12.2%減少)となりました。
④ エネルギー事業
エネルギー事業は、LPGリテール(LPガスの小売)とパワーリテール(電力の小売)の2事業で構成されており、入居者様にとって入居時の契約のしやすさとリーズナブルな価格提案が強みであり、当連結会計年度末においての契約数は、LPGリテールは契約が38,581件、パワーリテールは24,370件となり順調に増加いたしました。また、新型コロナウイルス感染拡大への対策により、入居者様の在宅の時間が相対的に増えた影響でガス・電気の消費量も増加傾向にあります。
これらの結果、売上高は28億48百万円(前年同期比11.4%増加)、セグメント利益は6億48百万円(前年同期比8.4%増加)となりました。
⑤ ライフケア事業
ライフケア事業は、高齢者向け施設のサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)施設、通所介護(デイサービス)事業、訪問介護事業、居宅介護支援事業、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)施設及び小規模多機能型居宅介護事業の他、2020年6月より開始した障がいを持つ児童向けの事業として放課後等デイサービス事業を行い、各施設を主として保有し運営を行っております。また、都市部における単身高齢者が増加する一方で、賃貸物件への入居条件が厳しい現状に対し、高齢者が低価格で入居でき、かつ遠隔見守り・駆けつけサービス等の安心サポートが付いているオリジナルサービス、「高齢者安心サポート付き賃貸住宅(寿らいふプラン)」が好評を得ております。
さらに、新型コロナウイルスの感染が拡大する中でも、ご利用者様、スタッフ等の安全衛生を第一に、全サービスを中断することなく継続しております。また、ご利用者様の入居期間が長期化傾向にあり、各種介護サービスの提供機会が増加いたしました。
これらの結果、売上高は16億72百万円(前年同期比8.4%増加)、セグメント利益は2億49百万円(前年同期比49.9%増加)となりました。
⑥ その他
その他においては、インドネシア首都ジャカルタ中心部において「桜テラス」ブランドのサービスアパートメントを開発から施工・運営まで一貫体制で展開しており、現在2棟目、3棟目を着工し、続いて4棟目の建設を計画している他、投資運用業では、インドネシア金融庁等と共同で、ジャンビ州のトランスミグラシ(移住民)個人向けのミューチュアルファンド(投資信託)組成を決定し、現地の金融機関にご協力いただき、販売準備を行っております。また、上海、シンガポールでは不動産の賃貸・売買仲介事業を行っております。
これらの結果、売上高は1億52百万円(前年同期比18.1%増加)、セグメント利益は17百万円(前年同期はセグメント損失2億95百万円)となりました。
(2) 財政状態
(資産の部)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて22億2百万円増加し、881億59百万円となりました。この主な要因は、現金及び預金が63億52百万円、不動産事業支出金が26億35百万円、投資その他の資産が15億83百万円及び受取手形・完成工事未収入金が8億8百万円増加し、販売用不動産が93億83百万円減少したことによるものであります。
(負債の部)
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べて19億52百万円減少し、465億93百万円となりました。この主な要因は、長期借入金が13億29百万円、不動産事業未払金が6億6百万円減少したことによるものであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べて41億54百万円増加し、415億66百万円となりました。この主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が44億円増加したことによるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ62億77百万円増加し、349億31百万円となりました。
なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、121億6百万円の収入(前連結会計年度は281億36百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上額84億90百万円、たな卸資産の減少額67億47百万円といった増加要因が、法人税等の支払額34億50百万円といった減少要因を上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、26億66百万円の支出(前連結会計年度は11億32百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出11億92百万円及び関係会社株式の取得による支出10億円が生じたことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、31億30百万円の支出(前連結会計年度は207億27百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入れによる収入101億85百万円といった増加要因があった一方、長期借入金の返済による支出112億25百万円及び配当金の支払額15億51百万円といった減少要因があったことによるものであります。
(4) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当連結会計年度の売上高、営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益の計画に対する達成状況は以下のとおりであり、その概要は「(1) 経営成績」に記載のとおりであります。
(単位:千円)
(5) 受注及び販売の実績
当社グループは、不動産セールス事業、不動産サービス事業、ゼネコン事業、エネルギー事業、ライフケア事業及びその他の事業を行っておりますが、受注実績は不動産セールス事業及びゼネコン事業についてのみ記載しております。
なお、セグメント間の内部売上高又は振替高の取引を含めた金額を記載しており、金額には消費税等は含まれておりません。
① 受注実績
② 販売実績
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、10%未満のため記載を省略しております。
③ 受注残高
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであり、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、必要と思われる見積りは、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」の「会計方針に関する事項」に記載のとおりであり、合理的な基準に基づき実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表の作成において、損益又は資産の状況に影響を与える見積り、判断は、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づいた合理的と考えられる要因を考慮した上で実施しておりますが、結果として、このような見積りと実績が異なる場合があります。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析・検討内容
「1.経営成績等の状況の概要」に記載しております。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。
(4) 経営戦略の現状と見通しについて
「1.経営成績等の状況の概要」に記載しております。
また、今後の見通しとしては、新型コロナウイルス感染拡大により、国内外の経済環境に大きな影響を与え、依然として先行き不透明な状況が続くと想定しております。当不動産業界におきましては、政府の経済政策や日銀の金融政策等に伴う低金利を背景として、投資家需要は継続するものと予想されます。
不動産セールス事業につきましては、単身者の増加傾向も相俟って、引き続き底堅い需要を見込んでおります。従来の個人向け販売だけでなく、新たな販売チャネルとしてREIT向けを加えております。2020年7月に組成し、運用を開始した100億円規模の私募REITに、2021年中に200億円規模の資産を追加取得し、総額300億円程度の資産規模で東京証券取引所へ上場することを目指し準備を進めております。不動産サービス事業及びエネルギー事業は好調を維持しており、ストックビジネスとして一層の拡大を図ってまいります。ゼネコン事業は、国内受注は引き続き好調に推移しており、今後も更なる受注増加を見込んでおります。ライフケア事業は、当社グループが運営するサービス付き高齢者向け住宅が高い入居率で推移する等、当社グループのサービスに対しお客様から高いご支持を頂いております。また、2021年夏までには、インドネシアの大学等との提携に基づき、介護の特定技能人材が来日し、各施設に配属される予定です。これにより慢性的な人材不足が徐々に解消され、より質の高いサービスを提供していけるものと考えております。今後も業界の慢性的な人材不足を補う介護人材の育成や、その他幅広い分野での人材確保・育成及び紹介等も視野にライフケア事業の一環として模索してまいります。その他、海外事業といたしましては、インドネシアにおいて、桜テラスの2棟目、3棟目を着工し、4棟目の開発を進めております。完成後には、自社で保有し賃貸事業収益を拡大する、或いは同国内で外資系初の認可をうけた当社グループが運営するREITに売却し、その売却益とアセットマネジメントフィーを得る等、最適な出口シナリオを見極めてまいります。また、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、業務の効率化のみならず、顧客体験(UX)ベースの高付加価値商品及びサービスを開発し、中長期的な成長に必要な組織強化や業務改革、またテクノロジーや金融等の成長領域への重点投資、及びM&Aやアライアンス戦略を推進してまいります。
当社グループはアパートメント販売以外の事業で既に営業利益の約80%を構成しており、当社グループが個人向けアパートメント販売に依存することなく、事業間の相乗効果(シナジー)が効率的かつ安定的に発揮され、いかなる経済環境の変化にも柔軟に対応できる経営基盤が構築されつつあり、引き続き持続的な企業価値の向上に努めてまいります。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
キャッシュ・フローの分析については、「1.経営成績等の状況の概要」に記載しております。
また、当社グループの資金需要のうち主なものは、不動産セールス事業の土地仕入及び建築資金、ゼネコン事業の運転資金等であります。当社グループは、事業活動に必要な資金を安定的に維持・確保するため、自己資金を活用する他、金融機関より借入金や社債によって調達しており、金利情勢に注意を払いつつ、適切なコストで安定的に資金を確保することを基本方針としております。
なお、主要取引行等とは調達枠を設けた融資契約を締結する等、資金調達における流動性を補完するとともに、金融機関と良好な関係を維持継続してまいります。
(6) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループは、これまで、会社員層が抱える定年退職後の経済不安の解消を目的に、将来へ向けての資産づくりの手段として、現行のアパートメント経営の提案を進めてまいりました。今後は、個人向け販売に加え、不動産ファンドやREIT向け販売を強化し、融資環境の変化に左右されにくい不動産セールス事業の体制を構築するとともに、組成した不動産ファンドやREITを機関投資家向けに販売することや、クラウドファンディングの活用による小口販売等、チャネルの多様化を推し進め、様々な属性のお客様との接点を増やすことで顧客ベースの拡大を図ってまいります。不動産サービス事業及びエネルギー事業等のストックビジネスも引き続き利益構成の比重を増やし、外部環境に左右されにくい安定収益源として、より一層強固にしてまいります。
一方、ライフケア事業(介護分野)では、急速に進行する高齢化、それに伴う労働力不足の問題に対して、インドネシアの大学等との人材に関する提携を拡充させ、早期に人材確保・育成スキームを構築してまいります。テクノロジーの活用については、M&Aを含めた体制の拡充を進め、当社グループが提唱する、「誰もが簡単に、安全に不動産を活用できる、「不動産のサービス化=REaaS(Real Estate as a Service)」を推進してまいります。
当社グループ全体といたしましては、積極的なM&A等も視野にビジネスの拡大とグローバル化を進め、30年以上にわたり築いてきた国内での当社グループのプレゼンスを今後は海外でも高めてまいります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
(1) 経営成績
当社グループは2020年6月5日に創業30周年を迎え、新たなビジョンを「世界中のあらゆる世代のライフサポートカンパニー」と定め、2020年11月に「中長期ビジョン2020」を発表いたしました。1990年の創業以来、特に会社員層の将来不安を解消するため、「超長寿社会を見据えた資産づくり」を目的としたアパートメント経営の新たなビジネスモデルを構築、その後事業を拡大し、現在ではゼネコン、エネルギー、ライフケアの各事業や、不動産ファンドの組成、海外での事業展開等、幅広い事業体を構築し、グループシナジーを活かしたサービスを提供しております。今後は国内のみならず、国内で発展させた独自の成功モデルを海外においても再現し、当社グループのサービスを必要とするあらゆる人々へ、国境を超え、世代を超えてご提供いたします。
当期(2020年12月期)における世界経済の状況は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、世界的な経済活動の停滞が見られ、わが国においても製造業の業況判断指標(DI)は2020年6月を底に景況感の持ち直しを示しているものの、依然としてマイナス値であり、当面は極めて厳しく不透明な状況が続くものと見込まれております。
このような事業環境の下、当社グループにおきましては、お客様を始めとする関係者の皆様並びに従業員の安全確保を重視し、新型コロナウイルス感染防止対策を実施するとともに、感染予防を徹底した営業活動を実施し、私募REIT組成、ライフケア事業の拡大、DX推進等、グループ全体の持続的な成長及び企業価値向上に努めてまいりました。
その結果、当連結会計年度の当社グループの業績は、売上高は952億13百万円(前年同期比0.5%減少)、営業利益は88億85百万円(前年同期比8.9%減少)、経常利益は84億90百万円(前年同期比5.8%減少)、親会社株主に帰属する当期純利益は59億52百万円(前年同期比1.3%増加)となりました。
セグメント別の業績の概況は次のとおりであります。
なお、各セグメントにおける売上高につきましては「セグメント間の内部売上高又は振替高」を含んだ金額を
記載しております。
① 不動産セールス事業
アパートメント販売では、会社員層を中心に、アパートメント経営を通した将来の資産づくりのご提案に努めてまいりました。当社グループが手がける商品は、主要都市圏の駅近という立地条件の良さ、IoT化により利便性・安全性が向上した「インテリジェントアパート」等、顧客体験(UX)を向上させた物件の強みを活かし、新規受注(契約)、及び既存顧客からの追加受注を獲得する等、引き続きお客様からご支持をいただいております。
マンション販売では、首都圏において都会的で利便性の高いデザイン性を重視したデザイナーズ仕様の物件を主に個人投資家向けに区分販売するとともに、シノケンリート投資法人(私募REIT)に対しては、東京23区内に所在する6棟のマンションを一括で販売いたしました。なお、新型コロナウイルスの感染防止対策を徹底して行う中で、営業活動を一部縮小しており、特にマンション販売において、対面交渉減少等の影響を受け、販売戸数が減少いたしました。
これらの結果、売上高は519億96百万円(前年同期比8.5%減少)、セグメント利益は52億46百万円(前年同期比18.7%減少)となりました。
② 不動産サービス事業
当連結会計年度末において、賃貸物件のオーナー様より管理を受託している賃貸管理戸数は39,045戸となり、2020年1月~12月の平均で99%を超える入居率となっております。また、分譲マンションの管理組合様より管理を受託しているマンション管理戸数は7,184戸となり、物件の資産価値の維持・向上及び管理組合様向けサービスの向上に努めております。賃貸管理戸数、マンション管理戸数の他、家賃等の債務保証件数、保険契約数等も堅調に増加いたしました。
新型コロナウイルス感染拡大と長期化により、入退去件数が当初計画より減少したことによる入退去時の収益機会の減少等、一定の影響を受けた他、トラストDXの推進等、不動産テック領域への先行投資を実施しております。
これらの結果、売上高は192億47百万円(前年同期比15.4%増加)、セグメント利益は32億61百万円(前年同期比5.6%減少)となりました。
③ ゼネコン事業
㈱小川建設は、明治42年創業の老舗ゼネコンであり、110年を超える歴史と技術、信頼と実績により、既存顧客からのリピート受注のみならず幅広い顧客への営業活動が奏功し、新規受注も順調に積み増した他、受注済みの請負工事の進捗も順調に推移いたしました。一方、資材費及び人材不足による人件費の高騰等から、利益率が低下しております。なお、新型コロナウイルス感染拡大により、一部の物件で一時的に工事遅延が発生したものの、軽微な影響にとどまっております。
これらの結果、売上高は234億3百万円(前年同期比0.7%増加)、セグメント利益は14億47百万円(前年同期比12.2%減少)となりました。
④ エネルギー事業
エネルギー事業は、LPGリテール(LPガスの小売)とパワーリテール(電力の小売)の2事業で構成されており、入居者様にとって入居時の契約のしやすさとリーズナブルな価格提案が強みであり、当連結会計年度末においての契約数は、LPGリテールは契約が38,581件、パワーリテールは24,370件となり順調に増加いたしました。また、新型コロナウイルス感染拡大への対策により、入居者様の在宅の時間が相対的に増えた影響でガス・電気の消費量も増加傾向にあります。
これらの結果、売上高は28億48百万円(前年同期比11.4%増加)、セグメント利益は6億48百万円(前年同期比8.4%増加)となりました。
⑤ ライフケア事業
ライフケア事業は、高齢者向け施設のサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)施設、通所介護(デイサービス)事業、訪問介護事業、居宅介護支援事業、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)施設及び小規模多機能型居宅介護事業の他、2020年6月より開始した障がいを持つ児童向けの事業として放課後等デイサービス事業を行い、各施設を主として保有し運営を行っております。また、都市部における単身高齢者が増加する一方で、賃貸物件への入居条件が厳しい現状に対し、高齢者が低価格で入居でき、かつ遠隔見守り・駆けつけサービス等の安心サポートが付いているオリジナルサービス、「高齢者安心サポート付き賃貸住宅(寿らいふプラン)」が好評を得ております。
さらに、新型コロナウイルスの感染が拡大する中でも、ご利用者様、スタッフ等の安全衛生を第一に、全サービスを中断することなく継続しております。また、ご利用者様の入居期間が長期化傾向にあり、各種介護サービスの提供機会が増加いたしました。
これらの結果、売上高は16億72百万円(前年同期比8.4%増加)、セグメント利益は2億49百万円(前年同期比49.9%増加)となりました。
⑥ その他
その他においては、インドネシア首都ジャカルタ中心部において「桜テラス」ブランドのサービスアパートメントを開発から施工・運営まで一貫体制で展開しており、現在2棟目、3棟目を着工し、続いて4棟目の建設を計画している他、投資運用業では、インドネシア金融庁等と共同で、ジャンビ州のトランスミグラシ(移住民)個人向けのミューチュアルファンド(投資信託)組成を決定し、現地の金融機関にご協力いただき、販売準備を行っております。また、上海、シンガポールでは不動産の賃貸・売買仲介事業を行っております。
これらの結果、売上高は1億52百万円(前年同期比18.1%増加)、セグメント利益は17百万円(前年同期はセグメント損失2億95百万円)となりました。
(2) 財政状態
(資産の部)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて22億2百万円増加し、881億59百万円となりました。この主な要因は、現金及び預金が63億52百万円、不動産事業支出金が26億35百万円、投資その他の資産が15億83百万円及び受取手形・完成工事未収入金が8億8百万円増加し、販売用不動産が93億83百万円減少したことによるものであります。
(負債の部)
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べて19億52百万円減少し、465億93百万円となりました。この主な要因は、長期借入金が13億29百万円、不動産事業未払金が6億6百万円減少したことによるものであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べて41億54百万円増加し、415億66百万円となりました。この主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が44億円増加したことによるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ62億77百万円増加し、349億31百万円となりました。
なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、121億6百万円の収入(前連結会計年度は281億36百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上額84億90百万円、たな卸資産の減少額67億47百万円といった増加要因が、法人税等の支払額34億50百万円といった減少要因を上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、26億66百万円の支出(前連結会計年度は11億32百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出11億92百万円及び関係会社株式の取得による支出10億円が生じたことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、31億30百万円の支出(前連結会計年度は207億27百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入れによる収入101億85百万円といった増加要因があった一方、長期借入金の返済による支出112億25百万円及び配当金の支払額15億51百万円といった減少要因があったことによるものであります。
(4) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当連結会計年度の売上高、営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益の計画に対する達成状況は以下のとおりであり、その概要は「(1) 経営成績」に記載のとおりであります。
(単位:千円)
2020年12月期 連結会計年度 (実績) | 2020年12月期 連結業績予想 (2020年2月14日開示) | 達成率 (%) | 2020年12月期 連結業績予想 (2020年11月11日開示) | 達成率 (%) | |
売上高 | 95,213,851 | 102,000,000 | 93.3 | 96,000,000 | 99.1 |
営業利益 | 8,885,785 | 10,500,000 | 84.6 | 8,800,000 | 100.9 |
経常利益 | 8,490,133 | 10,000,000 | 84.9 | 8,300,000 | 102.2 |
親会社株主に帰属 する当期純利益 | 5,952,344 | 7,000,000 | 85.0 | 5,900,000 | 100.8 |
(5) 受注及び販売の実績
当社グループは、不動産セールス事業、不動産サービス事業、ゼネコン事業、エネルギー事業、ライフケア事業及びその他の事業を行っておりますが、受注実績は不動産セールス事業及びゼネコン事業についてのみ記載しております。
なお、セグメント間の内部売上高又は振替高の取引を含めた金額を記載しており、金額には消費税等は含まれておりません。
① 受注実績
セグメントの名称 | 金額(千円) | 前年同期比(%) | |
不動産セールス事業 | 41,016,251 | 187.5 | |
内、アパートメント販売 | 23,628,718 | 458.3 | |
内、マンション販売 | 17,387,533 | 104.0 | |
ゼネコン事業 | 23,725,490 | 98.3 | |
計 | 64,741,742 | 140.7 |
② 販売実績
セグメントの名称 | 金額(千円) | 前年同期比(%) | |
不動産セールス事業 | 51,996,386 | 91.5 | |
内、アパートメント販売 | 34,466,482 | 94.4 | |
内、マンション販売 | 17,529,904 | 86.1 | |
不動産サービス事業 | 19,247,193 | 115.4 | |
ゼネコン事業 | 23,403,597 | 100.7 | |
エネルギー事業 | 2,848,891 | 111.4 | |
ライフケア事業 | 1,672,643 | 108.4 | |
その他 | 152,692 | 118.1 | |
合計 | 99,321,405 | 98.3 |
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、10%未満のため記載を省略しております。
③ 受注残高
セグメントの名称 | 金額(千円) | 前年同期比(%) | |
不動産セールス事業 | 2,569,698 | 18.9 | |
内、アパートメント販売 | 1,963,140 | 15.3 | |
内、マンション販売 | 606,558 | 80.9 | |
ゼネコン事業 | 19,018,776 | 101.7 | |
計 | 21,588,474 | 66.9 |
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであり、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、必要と思われる見積りは、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」の「会計方針に関する事項」に記載のとおりであり、合理的な基準に基づき実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表の作成において、損益又は資産の状況に影響を与える見積り、判断は、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づいた合理的と考えられる要因を考慮した上で実施しておりますが、結果として、このような見積りと実績が異なる場合があります。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析・検討内容
「1.経営成績等の状況の概要」に記載しております。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。
(4) 経営戦略の現状と見通しについて
「1.経営成績等の状況の概要」に記載しております。
また、今後の見通しとしては、新型コロナウイルス感染拡大により、国内外の経済環境に大きな影響を与え、依然として先行き不透明な状況が続くと想定しております。当不動産業界におきましては、政府の経済政策や日銀の金融政策等に伴う低金利を背景として、投資家需要は継続するものと予想されます。
不動産セールス事業につきましては、単身者の増加傾向も相俟って、引き続き底堅い需要を見込んでおります。従来の個人向け販売だけでなく、新たな販売チャネルとしてREIT向けを加えております。2020年7月に組成し、運用を開始した100億円規模の私募REITに、2021年中に200億円規模の資産を追加取得し、総額300億円程度の資産規模で東京証券取引所へ上場することを目指し準備を進めております。不動産サービス事業及びエネルギー事業は好調を維持しており、ストックビジネスとして一層の拡大を図ってまいります。ゼネコン事業は、国内受注は引き続き好調に推移しており、今後も更なる受注増加を見込んでおります。ライフケア事業は、当社グループが運営するサービス付き高齢者向け住宅が高い入居率で推移する等、当社グループのサービスに対しお客様から高いご支持を頂いております。また、2021年夏までには、インドネシアの大学等との提携に基づき、介護の特定技能人材が来日し、各施設に配属される予定です。これにより慢性的な人材不足が徐々に解消され、より質の高いサービスを提供していけるものと考えております。今後も業界の慢性的な人材不足を補う介護人材の育成や、その他幅広い分野での人材確保・育成及び紹介等も視野にライフケア事業の一環として模索してまいります。その他、海外事業といたしましては、インドネシアにおいて、桜テラスの2棟目、3棟目を着工し、4棟目の開発を進めております。完成後には、自社で保有し賃貸事業収益を拡大する、或いは同国内で外資系初の認可をうけた当社グループが運営するREITに売却し、その売却益とアセットマネジメントフィーを得る等、最適な出口シナリオを見極めてまいります。また、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、業務の効率化のみならず、顧客体験(UX)ベースの高付加価値商品及びサービスを開発し、中長期的な成長に必要な組織強化や業務改革、またテクノロジーや金融等の成長領域への重点投資、及びM&Aやアライアンス戦略を推進してまいります。
当社グループはアパートメント販売以外の事業で既に営業利益の約80%を構成しており、当社グループが個人向けアパートメント販売に依存することなく、事業間の相乗効果(シナジー)が効率的かつ安定的に発揮され、いかなる経済環境の変化にも柔軟に対応できる経営基盤が構築されつつあり、引き続き持続的な企業価値の向上に努めてまいります。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
キャッシュ・フローの分析については、「1.経営成績等の状況の概要」に記載しております。
また、当社グループの資金需要のうち主なものは、不動産セールス事業の土地仕入及び建築資金、ゼネコン事業の運転資金等であります。当社グループは、事業活動に必要な資金を安定的に維持・確保するため、自己資金を活用する他、金融機関より借入金や社債によって調達しており、金利情勢に注意を払いつつ、適切なコストで安定的に資金を確保することを基本方針としております。
なお、主要取引行等とは調達枠を設けた融資契約を締結する等、資金調達における流動性を補完するとともに、金融機関と良好な関係を維持継続してまいります。
(6) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループは、これまで、会社員層が抱える定年退職後の経済不安の解消を目的に、将来へ向けての資産づくりの手段として、現行のアパートメント経営の提案を進めてまいりました。今後は、個人向け販売に加え、不動産ファンドやREIT向け販売を強化し、融資環境の変化に左右されにくい不動産セールス事業の体制を構築するとともに、組成した不動産ファンドやREITを機関投資家向けに販売することや、クラウドファンディングの活用による小口販売等、チャネルの多様化を推し進め、様々な属性のお客様との接点を増やすことで顧客ベースの拡大を図ってまいります。不動産サービス事業及びエネルギー事業等のストックビジネスも引き続き利益構成の比重を増やし、外部環境に左右されにくい安定収益源として、より一層強固にしてまいります。
一方、ライフケア事業(介護分野)では、急速に進行する高齢化、それに伴う労働力不足の問題に対して、インドネシアの大学等との人材に関する提携を拡充させ、早期に人材確保・育成スキームを構築してまいります。テクノロジーの活用については、M&Aを含めた体制の拡充を進め、当社グループが提唱する、「誰もが簡単に、安全に不動産を活用できる、「不動産のサービス化=REaaS(Real Estate as a Service)」を推進してまいります。
当社グループ全体といたしましては、積極的なM&A等も視野にビジネスの拡大とグローバル化を進め、30年以上にわたり築いてきた国内での当社グループのプレゼンスを今後は海外でも高めてまいります。