有価証券報告書-第29期(平成30年1月1日-平成30年12月31日)
1.経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次の通りであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、経済政策や金融政策等による企業業績や雇用環境の改善が続くなかで、個人消費も堅調に推移しました。しかしながら、米国と中国との間での貿易摩擦による世界経済の不確実性等により、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
当不動産業界におきましては、用地価格、建築コストおよび人件費高騰等の懸念の他、一部の事業領域で減速感は生じているものの、建設需要も継続していること等から、その市場動向は堅調に推移しております。
このような環境のもと当社グループは、不動産販売事業、不動産管理関連事業、ゼネコン事業、エネルギー事業、介護事業との連携により、グループ全体の企業価値向上に努めてまいりました。
その結果、当連結会計年度の当社グループの業績は、売上高は9期連続で過去最高となる1,113億90百万円(前期比5.1%増加)、営業利益は118億43百万円(前期比8.3%減少)、経常利益は106億99百万円(前期比12.3%減少)、親会社株主に帰属する当期純利益は74億15百万円(前期比12.6%減少)となりました。
なお、セグメント別の業績の概況は次のとおりであります。
① 不動産販売事業
アパート販売では、サラリーマン・公務員層に対し将来の資産形成を目的としたアパート経営の提案を行なうとともに、アパート用地の確保、新規受注(契約)の獲得に努めてまいりました。
当社グループが手がける商品は、駅近で利便性の高いデザイナーズ物件であるため、需要は底堅く推移しましたが、一部金融機関の不適切融資に端を発する金融機関の個人向け融資審査期間の長期化等の影響を受け、アパートの販売(引渡し)件数は前期比でほぼ横ばいでの推移となりました。
また、マンション販売では、首都圏において投資用に特化したデザイナーズ仕様の物件を区分販売してまいりました。
これらの結果、売上高は778億78百万円(前期比2.1%減少)、また利益面については、マンション販売において、前期には異例な土地のみの分譲取引を行ったこと、及びグループ内取引の見直しを行い、前期まで計上していたグループ内の子会社からの手数料収入を当期から無くしたこと等により、セグメント利益は90億1百万円(前期比20.5%減少)となりました。
② 不動産管理関連事業
賃貸物件のオーナー様より管理を受託している物件の入居率の維持・向上を目指し、広告活動やリーシング力を強化する等入居促進に努め、当連結会計年度末における賃貸管理戸数は33,197戸となりました。
また、マンションの管理組合様より管理を受託している物件の資産価値の維持・向上および管理組合様向けサービスレベルの向上に努め、当連結会計年度末におけるマンション管理戸数は6,302戸となり、賃貸管理並びにマンション管理戸数ともに順調に増加いたしました。
その他、家賃等の債務保証は、入居者向け保証件数の拡大に向けた保証プランの充実や新規顧客の獲得を図るとともに保証家賃等の回収率向上に努め、少額短期保険は、保険商品の充実を図り新規契約の獲得に努めてまいりました。
これらの結果、売上高は132億3百万円(前期比29.0%増加)、利益面についてはグループ内取引の見直しを行い、前期まで計上していたグループ内の子会社への手数料支出を当期から無くしたこと等によりセグメント利益は25億67百万円(前期比71.3%増加)となりました。
③ ゼネコン事業
小川建設は、明治42年創業の老舗ゼネコンであり、110年間にわたる歴史と技術、信頼と実績により、既存顧客からのリピート受注のみならず幅広い顧客への営業活動が奏功し新規受注を増加させている他、受注済みの請負工事の進捗も順調に推移いたしました。
その結果、売上高は168億54百万円(前期比24.5%増加)、セグメント利益は15億45百万円(前期比6.3%増加)となりました。
④ エネルギー事業
LPガスの小売販売では、当連結会計年度末において供給世帯数が32,899世帯、電力の小売販売では、当連結会計年度末において契約が16,472件となり順調に増加いたしました。
その結果、売上高は18億71百万円(前期比56.0%増加)、セグメント利益は3億85百万円(前期比71.8%増加)となりました。
⑤ 介護事業
介護事業は、サービス付き高齢者向け住宅、通所介護(デイサービス)施設、認知症対応型グループホーム及び小規模多機能型居宅介護施設を主として保有・運営を行っており、各施設の入居率の維持・向上を図るとともに、介護関連サービスの更なる充実に努めてまいりました。
その結果、売上高は14億51百万円(前期比15.5%増加)、セグメント利益は1億94百万円(前期比106.1%増加)となりました。
⑥ その他
その他は、海外において、上海、シンガポールでは不動産の賃貸・売買仲介事業を行っているほか、インドネシアの首都ジャカルタにおいて「桜テラス」ブランドによる投資用アパート事業を開発から施工までの一貫体制で展開しており、複数案件の開発が進行しております。
また、国内においては、民泊運営事業会社との業務提携を開始したほか、IoTデバイス技術を活用したアパート“Shinoken Smart Apartment”の販売を開始するなど、新たな取組みを始めております。
これらの結果、売上高は1億30百万円(前期比6.5%減少)、セグメント利益は1億78百万円(前期比1.8%減少)となりました。
(2) 財政状態
(資産の部)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて101億58百万円増加し、1,011億30百万円となりました。この主な要因は、不動産事業支出金が16億29百万円減少したものの、販売用不動産が98億10百万円、受取手形・完成工事未収入金が15億63百万円増加したことによるものであります。
(負債の部)
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べて39億66百万円増加し、685億48百万円となりました。この主な要因は、短期借入金が34億3百万円、工事未払金が8億95百万円増加したことによるものであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べて61億92百万円増加し、325億82百万円となりました。この主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が63億63百万円増加したことによるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ6億62百万円減少し、223億72百万円となりました。
なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、8億19百万円の支出(前連結会計年度は24億7百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上額108億55百万円、仕入債務の増加額14億12百万円といった増加要因があった一方、たな卸資産の増加額79億79百万円及び法人税等の支払額48億80百万円といった減少要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、7億25百万円の支出(前連結会計年度は14億96百万円の支出)となりました。これは主に、関係会社株式の売却による収入4億66百万円といった増加要因があった一方、有形固定資産の取得による支出10億20百万円といった減少要因があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、8億54百万円の収入(前連結会計年度は90億4百万円の収入)となりました。これは主に、長期借入れによる収入89億円及び短期借入金の純増加額44億10百万円といった増加要因が、長期借入金の返済による支出101億89百万円、配当金の支払額10億51百万円及び社債の償還による支出9億42百万円といった減少要因を上回ったことによるものであります。
(4) 受注及び販売の実績
① 受注実績
当社グループは、不動産販売事業、不動産管理関連事業、ゼネコン事業、エネルギー事業、介護事業及びその他の事業を行っておりますが、受注実績は不動産販売事業及びゼネコン事業についてのみ記載しております。
(注) 金額には、消費税等は含まれておりません。
② 販売実績
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 金額には、消費税等は含まれておりません。
3 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、10%未満のため記載を省略しております。
③ 受注残高
(注) 金額には、消費税等は含まれておりません。
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成31年3月27日)現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、必要と思われる見積りは、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」の「会計方針に関する事項」に記載のとおりであり、合理的な基準に基づき実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表の作成において、損益又は資産の状況に影響を与える見積り、判断は、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づいた合理的と考えられる要因を考慮した上で実施しておりますが、結果として、このような見積りと実績が異なる場合があります。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析・検討内容
「1.経営成績等の状況の概要」に記載しております。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。
(4) 経営戦略の現状と見通し、経営者の問題認識と今後の方針について
「1.経営成績等の状況の概要」に記載しております。
また、今後の見通しとしては、政府の経済政策や日銀の金融政策等により企業業績や雇用環境は緩やかな改善傾向が継続しており、当不動産業界におきましても金融緩和に伴う投資家の投資姿勢は継続することが見込まれますが、その市場動向は一時的な好況から適正化に向けた市場環境へ移行しつつあります。前述の一部金融機関の不適切融資に端を発する問題は、次期以降も当社グループのアパート販売の業績へ一定の影響を与えるものと予想しております。
一方、マンション販売につきましては、平成31年の首都圏におけるマンション年間供給戸数が、平成30年とほぼ横ばいの37,000戸程度と予測されており(㈱不動産経済研究所調べ)、株式・債券市場に対する不透明感が高まってきている中において安定的投資商品としての相対的優位性の高まりをみせております。当社グループにおきましてもマンション販売領域は次期以降も安定的に利益を創出する事業基盤として位置付けていけるものと考えております。
ゼネコン事業は、国内受注は好調を見込み海外展開も推進してまいります。不動産管理関連事業(不動産サービス)や介護事業(ライフケア)は好調を維持し一層のストックビジネスの拡大を図ってまいります。
当社グループはアパート販売以外の事業で既に経常利益の3分の2以上を構成しており、当社グループが個人向けアパート販売に依存することなく、事業間の相乗効果(シナジー)が効率的・効果的に発揮され、いかなる経済環境の変化にも柔軟に対応できる経営基盤が構築されつつあります。特に介護事業は、当社グループが運営するサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)がほぼ100%近い入居率で推移するなど、当社グループのサービスに対しお客様から高いご支持を頂いていることからも、次期以降も注力する事業領域と考えております。「介護事業」は今後、サービス提供領域を生活支援全般と捉え、「ライフケア事業」と名称を変更し、高齢者・要介護者だけでなく、ニーズの大きいご家族やシノケン物件の入居者様への生涯を通した様々な生活支援サービスを展開するプラットフォームとしての役割を果たしてまいります。また、業界の慢性的な人材不足を補う介護人材の育成や、その他幅広い分野での人材育成・派遣等もライフケア事業の一環として模索してまいります。
最後に、個人向けアパート販売は、一定の減速を余儀なくされるものの、アセットマネジメント事業の第一弾として当期にリリースしたHTT(ハーモニーテラス東京)-1号ファンドが好調な運用パフォーマンスを実現しており、今後は国内外で機関投資家向けの不動産ファンドの商品を拡充することで、個人向け融資環境の動向に影響されない新たな販売チャネルとして大きな役割を果たしていくものと考えております。これらアセットマネジメント事業の収益計画は、現時点では、次期業績見通しには織り込んではいませんが、東京23区内の当社グループのアパート物件に限定した不動産ファンド並びにREIT組成に向けた開発は既に着手しており、リリースした際には、当該決算期以降の業績見通しの上振れ要素として力強く貢献できるものと認識しております。
このようにアパート販売については、個人向け販売並びに機関投資家向け不動産ファンド・REIT等を活用した様々な販売手法によって外部環境に左右されない強固な事業基盤を構築してまいります。また、お客様の生涯を通したサポート(ライフサポート)が当社グループのミッションであることを再認識し、安定収益基盤となるサービス分野へビジネストランスフォーメーションを加速させ、持続的な企業価値の向上に努めてまいります。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
キャッシュ・フローの分析については、「1.経営成績等の状況の概要」に記載しております。
また、当社グループの資金需要のうち主なものは、不動産販売事業の土地仕入及び建築資金、ゼネコン事業の運転資金等であります。当社グループは、事事業活動に必要な資金を安定的に維持・確保するため、自己資金を活用するほか、金融機関より借入金や社債によって調達しており、金利情勢に注意を払いつつ、適切なコストで安定的に資金を確保することを基本方針としております。
なお、主要取引行等とは調達枠を設けた融資契約を締結する等、資金調達における流動性を補完するとともに、金融機関と良好な関係を維持継続してまいります。
(6) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループは、様々な社会課題に応える企業でありたい、という企業理念のもと、特にサラリーマン層の将来の経済不安を解決する、『資産づくり』を目的とした投資用アパート経営の現行モデルを発案・提案し、同ビジネスモデルのリーディングカンパニーとして、その推進を図ってまいりました。
今日においては、不動産販売事業(アパート販売、マンション販売)のみならず、不動産管理関連事業、ゼネコン事業、エネルギー事業(LPガス及び電力の小売販売等)の事業領域の拡大・拡充を図る一方、近年においては、急速に進行する超高齢化社会に対応するため、介護事業にも積極的に取り組んでまいりました。
また、活動拠点として、国内においては首都圏、札幌、仙台、名古屋、大阪及び福岡を中心とした主要都市を事業基盤とし、海外においては上海、シンガポール及びインドネシアを中心に営業活動を展開しております。
今後につきましては、上述の各事業を密接に連携させることで創出される高いシナジー効果を最大限に発揮するとともに、「人生100年時代」に突入したことを強く意識し、お客様の生涯に渡って寄り添った「ライフサポート」を提供できる社会的企業への成長を目指してまいります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次の通りであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、経済政策や金融政策等による企業業績や雇用環境の改善が続くなかで、個人消費も堅調に推移しました。しかしながら、米国と中国との間での貿易摩擦による世界経済の不確実性等により、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
当不動産業界におきましては、用地価格、建築コストおよび人件費高騰等の懸念の他、一部の事業領域で減速感は生じているものの、建設需要も継続していること等から、その市場動向は堅調に推移しております。
このような環境のもと当社グループは、不動産販売事業、不動産管理関連事業、ゼネコン事業、エネルギー事業、介護事業との連携により、グループ全体の企業価値向上に努めてまいりました。
その結果、当連結会計年度の当社グループの業績は、売上高は9期連続で過去最高となる1,113億90百万円(前期比5.1%増加)、営業利益は118億43百万円(前期比8.3%減少)、経常利益は106億99百万円(前期比12.3%減少)、親会社株主に帰属する当期純利益は74億15百万円(前期比12.6%減少)となりました。
なお、セグメント別の業績の概況は次のとおりであります。
① 不動産販売事業
アパート販売では、サラリーマン・公務員層に対し将来の資産形成を目的としたアパート経営の提案を行なうとともに、アパート用地の確保、新規受注(契約)の獲得に努めてまいりました。
当社グループが手がける商品は、駅近で利便性の高いデザイナーズ物件であるため、需要は底堅く推移しましたが、一部金融機関の不適切融資に端を発する金融機関の個人向け融資審査期間の長期化等の影響を受け、アパートの販売(引渡し)件数は前期比でほぼ横ばいでの推移となりました。
また、マンション販売では、首都圏において投資用に特化したデザイナーズ仕様の物件を区分販売してまいりました。
これらの結果、売上高は778億78百万円(前期比2.1%減少)、また利益面については、マンション販売において、前期には異例な土地のみの分譲取引を行ったこと、及びグループ内取引の見直しを行い、前期まで計上していたグループ内の子会社からの手数料収入を当期から無くしたこと等により、セグメント利益は90億1百万円(前期比20.5%減少)となりました。
② 不動産管理関連事業
賃貸物件のオーナー様より管理を受託している物件の入居率の維持・向上を目指し、広告活動やリーシング力を強化する等入居促進に努め、当連結会計年度末における賃貸管理戸数は33,197戸となりました。
また、マンションの管理組合様より管理を受託している物件の資産価値の維持・向上および管理組合様向けサービスレベルの向上に努め、当連結会計年度末におけるマンション管理戸数は6,302戸となり、賃貸管理並びにマンション管理戸数ともに順調に増加いたしました。
その他、家賃等の債務保証は、入居者向け保証件数の拡大に向けた保証プランの充実や新規顧客の獲得を図るとともに保証家賃等の回収率向上に努め、少額短期保険は、保険商品の充実を図り新規契約の獲得に努めてまいりました。
これらの結果、売上高は132億3百万円(前期比29.0%増加)、利益面についてはグループ内取引の見直しを行い、前期まで計上していたグループ内の子会社への手数料支出を当期から無くしたこと等によりセグメント利益は25億67百万円(前期比71.3%増加)となりました。
③ ゼネコン事業
小川建設は、明治42年創業の老舗ゼネコンであり、110年間にわたる歴史と技術、信頼と実績により、既存顧客からのリピート受注のみならず幅広い顧客への営業活動が奏功し新規受注を増加させている他、受注済みの請負工事の進捗も順調に推移いたしました。
その結果、売上高は168億54百万円(前期比24.5%増加)、セグメント利益は15億45百万円(前期比6.3%増加)となりました。
④ エネルギー事業
LPガスの小売販売では、当連結会計年度末において供給世帯数が32,899世帯、電力の小売販売では、当連結会計年度末において契約が16,472件となり順調に増加いたしました。
その結果、売上高は18億71百万円(前期比56.0%増加)、セグメント利益は3億85百万円(前期比71.8%増加)となりました。
⑤ 介護事業
介護事業は、サービス付き高齢者向け住宅、通所介護(デイサービス)施設、認知症対応型グループホーム及び小規模多機能型居宅介護施設を主として保有・運営を行っており、各施設の入居率の維持・向上を図るとともに、介護関連サービスの更なる充実に努めてまいりました。
その結果、売上高は14億51百万円(前期比15.5%増加)、セグメント利益は1億94百万円(前期比106.1%増加)となりました。
⑥ その他
その他は、海外において、上海、シンガポールでは不動産の賃貸・売買仲介事業を行っているほか、インドネシアの首都ジャカルタにおいて「桜テラス」ブランドによる投資用アパート事業を開発から施工までの一貫体制で展開しており、複数案件の開発が進行しております。
また、国内においては、民泊運営事業会社との業務提携を開始したほか、IoTデバイス技術を活用したアパート“Shinoken Smart Apartment”の販売を開始するなど、新たな取組みを始めております。
これらの結果、売上高は1億30百万円(前期比6.5%減少)、セグメント利益は1億78百万円(前期比1.8%減少)となりました。
(2) 財政状態
(資産の部)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて101億58百万円増加し、1,011億30百万円となりました。この主な要因は、不動産事業支出金が16億29百万円減少したものの、販売用不動産が98億10百万円、受取手形・完成工事未収入金が15億63百万円増加したことによるものであります。
(負債の部)
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べて39億66百万円増加し、685億48百万円となりました。この主な要因は、短期借入金が34億3百万円、工事未払金が8億95百万円増加したことによるものであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べて61億92百万円増加し、325億82百万円となりました。この主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が63億63百万円増加したことによるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ6億62百万円減少し、223億72百万円となりました。
なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、8億19百万円の支出(前連結会計年度は24億7百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上額108億55百万円、仕入債務の増加額14億12百万円といった増加要因があった一方、たな卸資産の増加額79億79百万円及び法人税等の支払額48億80百万円といった減少要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、7億25百万円の支出(前連結会計年度は14億96百万円の支出)となりました。これは主に、関係会社株式の売却による収入4億66百万円といった増加要因があった一方、有形固定資産の取得による支出10億20百万円といった減少要因があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、8億54百万円の収入(前連結会計年度は90億4百万円の収入)となりました。これは主に、長期借入れによる収入89億円及び短期借入金の純増加額44億10百万円といった増加要因が、長期借入金の返済による支出101億89百万円、配当金の支払額10億51百万円及び社債の償還による支出9億42百万円といった減少要因を上回ったことによるものであります。
(4) 受注及び販売の実績
① 受注実績
当社グループは、不動産販売事業、不動産管理関連事業、ゼネコン事業、エネルギー事業、介護事業及びその他の事業を行っておりますが、受注実績は不動産販売事業及びゼネコン事業についてのみ記載しております。
セグメントの名称 | 金額(千円) | 前年同期比(%) | |
不動産販売事業 | 68,574,282 | 82.3% | |
内、アパート販売 | 48,688,585 | 73.4% | |
内、マンション販売 | 19,885,697 | 117.5% | |
ゼネコン事業 | 19,781,740 | 125.1% | |
計 | 88,356,022 | 89.2% |
(注) 金額には、消費税等は含まれておりません。
② 販売実績
セグメントの名称 | 金額(千円) | 前年同期比(%) | |
不動産販売事業 | 77,878,182 | 97.9% | |
内、アパート販売 | 60,660,266 | 98.8% | |
内、マンション販売 | 17,217,916 | 94.5% | |
不動産管理関連事業 | 13,203,851 | 129.0% | |
ゼネコン事業 | 16,854,459 | 124.5% | |
エネルギー事業 | 1,871,393 | 156.0% | |
介護事業 | 1,451,634 | 115.5% | |
その他 | 130,840 | 93.5% | |
合計 | 111,390,361 | 105.1% |
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 金額には、消費税等は含まれておりません。
3 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、10%未満のため記載を省略しております。
③ 受注残高
セグメントの名称 | 金額(千円) | 前年同期比(%) | |
不動産販売事業 | 48,517,988 | 83.9% | |
内、アパート販売 | 44,144,109 | 78.6% | |
内、マンション販売 | 4,373,878 | 256.3% | |
ゼネコン事業 | 14,462,343 | 125.3% | |
計 | 62,980,331 | 90.8% |
(注) 金額には、消費税等は含まれておりません。
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成31年3月27日)現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、必要と思われる見積りは、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」の「会計方針に関する事項」に記載のとおりであり、合理的な基準に基づき実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表の作成において、損益又は資産の状況に影響を与える見積り、判断は、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づいた合理的と考えられる要因を考慮した上で実施しておりますが、結果として、このような見積りと実績が異なる場合があります。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析・検討内容
「1.経営成績等の状況の概要」に記載しております。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。
(4) 経営戦略の現状と見通し、経営者の問題認識と今後の方針について
「1.経営成績等の状況の概要」に記載しております。
また、今後の見通しとしては、政府の経済政策や日銀の金融政策等により企業業績や雇用環境は緩やかな改善傾向が継続しており、当不動産業界におきましても金融緩和に伴う投資家の投資姿勢は継続することが見込まれますが、その市場動向は一時的な好況から適正化に向けた市場環境へ移行しつつあります。前述の一部金融機関の不適切融資に端を発する問題は、次期以降も当社グループのアパート販売の業績へ一定の影響を与えるものと予想しております。
一方、マンション販売につきましては、平成31年の首都圏におけるマンション年間供給戸数が、平成30年とほぼ横ばいの37,000戸程度と予測されており(㈱不動産経済研究所調べ)、株式・債券市場に対する不透明感が高まってきている中において安定的投資商品としての相対的優位性の高まりをみせております。当社グループにおきましてもマンション販売領域は次期以降も安定的に利益を創出する事業基盤として位置付けていけるものと考えております。
ゼネコン事業は、国内受注は好調を見込み海外展開も推進してまいります。不動産管理関連事業(不動産サービス)や介護事業(ライフケア)は好調を維持し一層のストックビジネスの拡大を図ってまいります。
当社グループはアパート販売以外の事業で既に経常利益の3分の2以上を構成しており、当社グループが個人向けアパート販売に依存することなく、事業間の相乗効果(シナジー)が効率的・効果的に発揮され、いかなる経済環境の変化にも柔軟に対応できる経営基盤が構築されつつあります。特に介護事業は、当社グループが運営するサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)がほぼ100%近い入居率で推移するなど、当社グループのサービスに対しお客様から高いご支持を頂いていることからも、次期以降も注力する事業領域と考えております。「介護事業」は今後、サービス提供領域を生活支援全般と捉え、「ライフケア事業」と名称を変更し、高齢者・要介護者だけでなく、ニーズの大きいご家族やシノケン物件の入居者様への生涯を通した様々な生活支援サービスを展開するプラットフォームとしての役割を果たしてまいります。また、業界の慢性的な人材不足を補う介護人材の育成や、その他幅広い分野での人材育成・派遣等もライフケア事業の一環として模索してまいります。
最後に、個人向けアパート販売は、一定の減速を余儀なくされるものの、アセットマネジメント事業の第一弾として当期にリリースしたHTT(ハーモニーテラス東京)-1号ファンドが好調な運用パフォーマンスを実現しており、今後は国内外で機関投資家向けの不動産ファンドの商品を拡充することで、個人向け融資環境の動向に影響されない新たな販売チャネルとして大きな役割を果たしていくものと考えております。これらアセットマネジメント事業の収益計画は、現時点では、次期業績見通しには織り込んではいませんが、東京23区内の当社グループのアパート物件に限定した不動産ファンド並びにREIT組成に向けた開発は既に着手しており、リリースした際には、当該決算期以降の業績見通しの上振れ要素として力強く貢献できるものと認識しております。
このようにアパート販売については、個人向け販売並びに機関投資家向け不動産ファンド・REIT等を活用した様々な販売手法によって外部環境に左右されない強固な事業基盤を構築してまいります。また、お客様の生涯を通したサポート(ライフサポート)が当社グループのミッションであることを再認識し、安定収益基盤となるサービス分野へビジネストランスフォーメーションを加速させ、持続的な企業価値の向上に努めてまいります。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
キャッシュ・フローの分析については、「1.経営成績等の状況の概要」に記載しております。
また、当社グループの資金需要のうち主なものは、不動産販売事業の土地仕入及び建築資金、ゼネコン事業の運転資金等であります。当社グループは、事事業活動に必要な資金を安定的に維持・確保するため、自己資金を活用するほか、金融機関より借入金や社債によって調達しており、金利情勢に注意を払いつつ、適切なコストで安定的に資金を確保することを基本方針としております。
なお、主要取引行等とは調達枠を設けた融資契約を締結する等、資金調達における流動性を補完するとともに、金融機関と良好な関係を維持継続してまいります。
(6) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループは、様々な社会課題に応える企業でありたい、という企業理念のもと、特にサラリーマン層の将来の経済不安を解決する、『資産づくり』を目的とした投資用アパート経営の現行モデルを発案・提案し、同ビジネスモデルのリーディングカンパニーとして、その推進を図ってまいりました。
今日においては、不動産販売事業(アパート販売、マンション販売)のみならず、不動産管理関連事業、ゼネコン事業、エネルギー事業(LPガス及び電力の小売販売等)の事業領域の拡大・拡充を図る一方、近年においては、急速に進行する超高齢化社会に対応するため、介護事業にも積極的に取り組んでまいりました。
また、活動拠点として、国内においては首都圏、札幌、仙台、名古屋、大阪及び福岡を中心とした主要都市を事業基盤とし、海外においては上海、シンガポール及びインドネシアを中心に営業活動を展開しております。
今後につきましては、上述の各事業を密接に連携させることで創出される高いシナジー効果を最大限に発揮するとともに、「人生100年時代」に突入したことを強く意識し、お客様の生涯に渡って寄り添った「ライフサポート」を提供できる社会的企業への成長を目指してまいります。