有価証券報告書-第112期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
(1) 経営成績
当連結会計年度のわが国経済は、雇用・所得環境の改善などにより、緩やかな回復基調で推移していたが、米中貿易摩擦の長期化や中東情勢の不安定化、さらに「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」の影響により景気は大幅に下押しされ、厳しい状況となった。
このような情勢のなか、伊予鉄グループでは、交通・観光・まちづくりを柱とした総合企業グループを目指し、「安全・安心」を最大の使命とした経営理念のもと、各種施策を実施した。しかし、新型コロナウイルスの影響により、主体事業である交通事業のほか、流通及びレジャー・サービス事業において利用客が大幅に減少した。
この結果、当連結会計年度の経営成績については、営業収益について新型コロナウイルスの影響による飲食業などの減収により、前連結会計年度に比べ1.3%減の584億482万7千円となり、諸経費節減に努めたものの、運輸業等営業費及び売上原価と販売費及び一般管理費を控除した営業利益は、前連結会計年度に比べ30.2%減の12億3,337万3千円となった。
営業外損益については、支払利息の減少などにより、営業外収益から営業外費用を差し引いた純額は、2億5,616万3千円の利益計上となった。
以上の結果、経常利益は前連結会計年度に比べ29.5%減の14億8,953万7千円となった。
特別損益については、工事負担金等受入額が増加したものの、固定資産除却損の増加などにより、特別利益から特別損失を差し引いた純額は6億856万5千円の損失計上となった。
以上の結果、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ45.4%減の8億8,097万1千円となり、法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額、非支配株主に帰属する当期純利益を加減した親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ49.8%減の5億3,887万6千円となった。
また、当連結会計年度は「3ヵ年 中期経営計画」において策定した売上571億1,606万6千円に対し102.3%の目標達成率、営業利益15億1,217万5千円に対し81.6%の目標達成率となり、売上は目標を上回ったものの、営業利益は達成することはできなかった。依然として厳しい経営環境が続くが、今後も、当社グループにおいては、前連結会計年度に引き続き中核事業である運輸事業の再生を基本に諸施策に取組み、経営の効率化と業績の向上に努め、経営基盤を強化すべく施策を実施する考えである。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりである。
① 交通部門
鉄軌道事業において、伊予鉄道㈱では、花火大会など沿線イベントの旅客需要に応じた増便及び最終便の延長運行を行い、利便性の向上を図った。市内電車では、流線形のデザインや乗り心地の良さが好評な新型LRT車両(低床式)5000形を2両追加導入し、6両での運行体制となった。道後温泉駅では、多言語音声翻訳アプリを搭載したタブレット端末やキャッシュレス決済サービスを導入し、インバウンド対応を図った。また、大手町駅には点字ブロックを設置し、バリアフリー化を推進した。安全輸送対策については、レール交換やPCまくらぎ敷設工事などを計画的に実施した。
自動車事業において、伊予鉄バス㈱では、高速バス東京線で、トランクの空きスペースを活用した「貨客混載輸送」を開始した。これは国土交通省による物流総合効率化計画の一環として、高速バス路線では全国初の認定を受けた事業で、柑橘など県産品の新たな流通サービスによる地域活性化及び物流効率化による環境負荷の低減を目指した。また、高速バス高松線では、三島川之江インターバス停での旅客取り扱いを開始し、松山エリアと三島川之江インター間の利便性向上を図った。貸切バス部門では、松山初となる大型クルーズ船の寄港時に、スムーズな旅客輸送体制を整備したほか、松山-台北線の就航にあわせた送迎バスを運行するなどインバウンド需要への対応を図った。
伊予鉄南予バス㈱では、営業エリアにおける著しい少子高齢化や過疎化の進行などにより、大変厳しい経営環境が続くなか、行政と連携した大洲市内中心部循環バス「ぐるりんおおず」の運行のほか、需要に合った路線再編による収支改善に取り組んだ。
電車・バス・タクシーで使える「ICい~カード」については、オートチャージ機能付きでポイントが通常の4倍となる「い~カードゴールド」の普及促進のため、Web申し込みシステムの導入や各種入会キャンペーンなどを積極的に実施した。
以上の結果、鉄軌道事業営業収益は前年度に比べ1.0%減の35億1,692万7千円となり、自動車事業営業収益は前年度に比べ4.0%減の42億1,021万4千円となった。
乗用自動車事業において、伊予鉄タクシー㈱では、砥部焼体験や酒蔵見学などができる「観光タクシー」の商品充実や各種キャッシュレス決済を導入し、新規顧客及びインバウンド需要の獲得に努めた。
以上の結果、乗用自動車事業営業収益は前年度に比べ1.5%減の4億7,017万4千円となった。
このような状況のなか、交通事業では、新型コロナウイルスの影響により、学校の臨時休校をはじめ、各種イベントの中止、旅行や出張の自粛など、公共交通機関を利用した「人の移動」が大幅に減少した。感染防止対策として、乗務員のマスク着用や点呼時の体温測定のほか、車内の換気、駅改札への手指消毒液設置などを行った。
この結果、交通部門の営業収益は前連結会計年度に比べ3.2%減の76億9,208万3千円(消去後)となった。
(営業成績)
(鉄軌道事業の運輸成績)
(自動車事業の運輸成績)
(乗用自動車事業の運輸成績)
② 流通部門
百貨店業において、㈱伊予鉄髙島屋では、依然として厳しい経営環境が続くなか、上質で百貨店らしい品揃え・演出を強化し、米宝飾ブランド「ティファニー」など新規ブランドの導入を進め、店舗の魅力向上を図った。また、各種新規催事や「dポイントキャンペーン」などを積極的に展開し、集客と新規顧客の獲得に努めた。しかし、昨年10月の消費増税に加え、新型コロナウイルスの影響により、来店客数が減少した。
以上の結果、百貨店業営業収益は前年度に比べ0.2%減の342億6,213万3千円となった。
自動車販売修理業において、愛媛日野自動車㈱では、新社屋及び整備工場が昨年11月に竣工し、施設の耐震性を強化するとともに、整備部門では最新設備による安全及び生産性の向上を図った。また、伊予鉄オート㈱では、マツダ車の販売を中心とした積極的な営業活動を行った。
以上の結果、自動車販売修理業営業収益は前年度に比べ0.5%増の90億7,826万2千円となった。
この結果、流通部門の営業収益は前連結会計年度に比べ0.3%減の414億4,467万5千円(消去後)となった。
(営業成績)
③ 不動産部門
不動産賃貸業において、当社では、伊予鉄市駅西駐車場の耐震工事が2月に完成し、安全性が向上した。松山空港いよてつショップでは、インバウンド需要及び新規顧客獲得のため、キャッシュレス決済サービスの充実を図り、利用促進に努めた。梅津寺では、社有地を有効活用し、昨年12月、柑橘の加工や物品販売のほか、カフェを営む「みきゃんパーク梅津寺」を誘致した。また、「平成30年7月豪雨」の影響で観覧できない状況が続いていた「秋山真之銅像」を「秋山好古銅像」のある見晴山に移設・再整備し、観光振興に努めた。
この結果、不動産部門の営業収益は前連結会計年度に比べ3.2%減の21億1,051万4千円(消去後)となった。
(営業成績)
④ その他部門
航空代理店事業において、当社では、全日本空輸㈱の営業系総代理店として、インターネットを活用した「出張航空券手配システム」の販路拡大に取り組んだ。
以上の結果、航空代理店事業営業収益は前年度に比べ7.1%減の4,687万7千円となった。
飲食業において、㈱伊予鉄会館では、プライベートブランドのお菓子「みきゃんの恋シリーズ」の開発・販売に取り組み、販路拡大に努めた。また、レストラン部門では、新メニューを積極的に導入し、新規顧客の獲得を目指した。しかし、新型コロナウイルスの影響により、宴会や貸ホールの予約キャンセルが相次いだ。また、松山空港や百貨店などに出店しているレストランのほか、サービスエリアなども利用客が激減するなど、大変厳しい状況となった。
以上の結果、飲食業営業収益は前年度に比べ6.0%減の35億2,720万8千円となった。
旅行業において、㈱伊予鉄トラベルでは、グループ力を活かした法人営業を強化するとともに、募集旅行の充実及び積極的な営業販売を展開した。また、順拝旅行は「友引遍路(住職と一緒に参拝し、法話も聞ける日帰りバスツアー)」など新たな企画による新規顧客の獲得に努めた。
以上の結果、旅行業営業収益は前年度に比べ10.9%増の6億9,322万7千円となった。
労働者派遣業において、伊予鉄総合企画㈱では、有効求人倍率上昇により人材派遣事業が低調に推移したが、人手不足や働き方改革に伴う生産性向上・業務効率化が求められるなか、RPA(パソコンのソフトウェアによる定型業務の自動化)事業の営業活動を本格化し、デジタル技術の開発者育成に向けて四国初拠点となる「!(びっくり)センター愛媛」を開設した。広告事業においては、新たな広告媒体であるインターネット広告の営業を強化し、顧客ニーズにあったプランを積極的に提案した。
以上の結果、労働者派遣業営業収益は前年度に比べ3.0%減の29億7,346万6千円となった。
前払式特定取引業において、㈱いよてつ友の会では、会員数の拡大に向け6月と11月に「新規会員獲得キャンペーン」を実施した。また、会員獲得の取り組みにより増加した会員の利用促進に向けて7月、9月、12月および3月に「お買物カード・お買物券ご利用キャンペーン」を実施して営業収入の拡大に取り組んだ。
以上の結果、前払式特定取引業営業収益は前年度に比べ2.7%減の2億4,022万6千円となった。
スポーツ業において、伊予鉄不動産㈱では、イヨテツスポーツセンター及びボウリングセンターで各種イベントを積極的に開催し、来場者及び競技人口の拡大に努めた。
以上の結果、スポーツ業営業収益は前年度に比べ4.0%減の8億8,147万9千円となった。
クレジットカード事業において、㈱いよてつカードサービスでは、大手カード会社との競争激化などにより厳しい経営環境が続くなか、昨年10月よりキャッシュレス消費者還元事業に参画し、クレジットカード利用促進に努めた。また、偽造防止効果の高いICチップ付きクレジットカードへの切り替えを行い、セキュリティ対策を強化した。
以上の結果、クレジットカード事業営業収益は前年度に比べ4.3%増の4億5,588万5千円となった。
レジャー・サービス事業を営む各事業会社においても、新型コロナウイルスの影響により、経営環境は大変厳しい状況となった。このため、営業面の対策として、利用実態に合わせた営業時間の短縮や効率的な人員配置を進め、経費節減に努めた。
この結果、その他部門の営業収益は前連結会計年度に比べ4.1%減の71億5,755万2千円(消去後)となった。
(営業成績)
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりである。
当社グループの流通部門を除く運輸部門他は、サービス業が多い。そのため生産、受注については、金額あるいは数量で示すことにしていないが、販売の状況については、各セグメントごとの業績に関連付けて示している。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の財政状態は、総資産について前連結会計年度末に比べ4.8%減の624億3,852万2千円となった。
流動資産は、現金及び預金が減少したことにより、前連結会計年度末に比べ11.7%減の195億1,658万3千円となった。
固定資産は、投資有価証券の減少により、前連結会計年度末に比べ1.3%減の429億2,193万8千円となった。
当連結会計年度末の負債の合計は、前連結会計年度末に比べ9.2%減の225億8,635万8千円となった。
流動負債は、支払手形及び買掛金の減少により、前連結会計年度末に比べ10.4%減の167億5,338万円となった。
固定負債は、長期借入金が増加したが、繰延税金負債の減少により、前連結会計年度末に比べ5.5%減の58億3,297万8千円となった。
当連結会計年度末の純資産は、その他有価証券評価差額金の減少により、前連結会計年度末に比べ2.1%減の398億5,216万3千円となった。
今後も、当社グループは、経営環境の変化に対応した効果的な事業運営を進め、利用客の利便性の向上や収益性の増加を目的とした効率的な設備投資を継続的に行い、財務基盤の強化に努めて行く考えである。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、92億7,863万1千円(対前連結会計年度末20億8,544万2千円減少)となった。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりである。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は16億3,860万1千円(対前連結会計年度26億7,936万1千円減少)となった。これは主に税金等調整前当期純利益によるものである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は35億9,147万1千円(対前連結会計年度2億2,376万3千円減少)となった。これは主に有形固定資産の取得によるものである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は1億3,257万2千円(対前連結会計年度10億2,881万1千円減少)となった。これは主に短期借入金の返済によるものである。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、安全輸送の完遂を最優先課題とし、バス車両等の設備投資を自己資金及び借入金にて継続的に実施していく予定である。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いているが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性がある。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりである。
(a)繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断している。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより判断している。
収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性を判断するにあたっては、一時差異等の解消見込年度及び繰戻・繰越期間における課税所得を見積っている。課税所得は、過年度実績や予算の数値を、経営環境等の外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報と整合的に修正し見積っている。当該見積りには、新型コロナウイルスによる人の移動の減少を加味した収支見込みや売上高の対前年増減率などを用いている。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性がある。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
(1) 経営成績
当連結会計年度のわが国経済は、雇用・所得環境の改善などにより、緩やかな回復基調で推移していたが、米中貿易摩擦の長期化や中東情勢の不安定化、さらに「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」の影響により景気は大幅に下押しされ、厳しい状況となった。
このような情勢のなか、伊予鉄グループでは、交通・観光・まちづくりを柱とした総合企業グループを目指し、「安全・安心」を最大の使命とした経営理念のもと、各種施策を実施した。しかし、新型コロナウイルスの影響により、主体事業である交通事業のほか、流通及びレジャー・サービス事業において利用客が大幅に減少した。
この結果、当連結会計年度の経営成績については、営業収益について新型コロナウイルスの影響による飲食業などの減収により、前連結会計年度に比べ1.3%減の584億482万7千円となり、諸経費節減に努めたものの、運輸業等営業費及び売上原価と販売費及び一般管理費を控除した営業利益は、前連結会計年度に比べ30.2%減の12億3,337万3千円となった。
営業外損益については、支払利息の減少などにより、営業外収益から営業外費用を差し引いた純額は、2億5,616万3千円の利益計上となった。
以上の結果、経常利益は前連結会計年度に比べ29.5%減の14億8,953万7千円となった。
特別損益については、工事負担金等受入額が増加したものの、固定資産除却損の増加などにより、特別利益から特別損失を差し引いた純額は6億856万5千円の損失計上となった。
以上の結果、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ45.4%減の8億8,097万1千円となり、法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額、非支配株主に帰属する当期純利益を加減した親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ49.8%減の5億3,887万6千円となった。
また、当連結会計年度は「3ヵ年 中期経営計画」において策定した売上571億1,606万6千円に対し102.3%の目標達成率、営業利益15億1,217万5千円に対し81.6%の目標達成率となり、売上は目標を上回ったものの、営業利益は達成することはできなかった。依然として厳しい経営環境が続くが、今後も、当社グループにおいては、前連結会計年度に引き続き中核事業である運輸事業の再生を基本に諸施策に取組み、経営の効率化と業績の向上に努め、経営基盤を強化すべく施策を実施する考えである。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりである。
① 交通部門
鉄軌道事業において、伊予鉄道㈱では、花火大会など沿線イベントの旅客需要に応じた増便及び最終便の延長運行を行い、利便性の向上を図った。市内電車では、流線形のデザインや乗り心地の良さが好評な新型LRT車両(低床式)5000形を2両追加導入し、6両での運行体制となった。道後温泉駅では、多言語音声翻訳アプリを搭載したタブレット端末やキャッシュレス決済サービスを導入し、インバウンド対応を図った。また、大手町駅には点字ブロックを設置し、バリアフリー化を推進した。安全輸送対策については、レール交換やPCまくらぎ敷設工事などを計画的に実施した。
自動車事業において、伊予鉄バス㈱では、高速バス東京線で、トランクの空きスペースを活用した「貨客混載輸送」を開始した。これは国土交通省による物流総合効率化計画の一環として、高速バス路線では全国初の認定を受けた事業で、柑橘など県産品の新たな流通サービスによる地域活性化及び物流効率化による環境負荷の低減を目指した。また、高速バス高松線では、三島川之江インターバス停での旅客取り扱いを開始し、松山エリアと三島川之江インター間の利便性向上を図った。貸切バス部門では、松山初となる大型クルーズ船の寄港時に、スムーズな旅客輸送体制を整備したほか、松山-台北線の就航にあわせた送迎バスを運行するなどインバウンド需要への対応を図った。
伊予鉄南予バス㈱では、営業エリアにおける著しい少子高齢化や過疎化の進行などにより、大変厳しい経営環境が続くなか、行政と連携した大洲市内中心部循環バス「ぐるりんおおず」の運行のほか、需要に合った路線再編による収支改善に取り組んだ。
電車・バス・タクシーで使える「ICい~カード」については、オートチャージ機能付きでポイントが通常の4倍となる「い~カードゴールド」の普及促進のため、Web申し込みシステムの導入や各種入会キャンペーンなどを積極的に実施した。
以上の結果、鉄軌道事業営業収益は前年度に比べ1.0%減の35億1,692万7千円となり、自動車事業営業収益は前年度に比べ4.0%減の42億1,021万4千円となった。
乗用自動車事業において、伊予鉄タクシー㈱では、砥部焼体験や酒蔵見学などができる「観光タクシー」の商品充実や各種キャッシュレス決済を導入し、新規顧客及びインバウンド需要の獲得に努めた。
以上の結果、乗用自動車事業営業収益は前年度に比べ1.5%減の4億7,017万4千円となった。
このような状況のなか、交通事業では、新型コロナウイルスの影響により、学校の臨時休校をはじめ、各種イベントの中止、旅行や出張の自粛など、公共交通機関を利用した「人の移動」が大幅に減少した。感染防止対策として、乗務員のマスク着用や点呼時の体温測定のほか、車内の換気、駅改札への手指消毒液設置などを行った。
この結果、交通部門の営業収益は前連結会計年度に比べ3.2%減の76億9,208万3千円(消去後)となった。
(営業成績)
| 種別 | 当連結会計年度 (2019/4~2020/3) | |
| 営業収益(千円) | 対前期増減率(%) | |
| 鉄軌道事業 | 3,516,927 | △1.0 |
| 自動車事業 | 4,210,214 | △4.0 |
| 乗用自動車事業 | 470,174 | △1.5 |
| 消去 | 505,233 | 7.8 |
| 営業収益 | 7,692,083 | △3.2 |
(鉄軌道事業の運輸成績)
| 種別 | 単位 | 当連結会計年度 (2019/4~2020/3) | 対前期増減率(%) | |
| 営業日数 | 日 | 366 | 0.3 | |
| 営業キロ | キロ | 43.5 | 0.0 | |
| 客車走行キロ | キロ | 5,394,503 | △0.2 | |
| 延人キロ | 千キロ | 89,281 | △1.0 | |
| 旅客人員 | 定期 | 千人 | 8,504 | 0.4 |
| 定期外 | 千人 | 10,607 | △2.9 | |
| 計 | 千人 | 19,112 | △1.5 | |
| 旅客運輸収入 | 定期 | 千円 | 1,099,333 | 1.2 |
| 定期外 | 千円 | 2,053,845 | △3.0 | |
| 計 | 千円 | 3,153,178 | △1.5 | |
| 運輸雑収 | 千円 | 363,748 | 3.5 | |
| 収入合計 | 千円 | 3,516,927 | △1.0 | |
| 乗車効率 | % | 14.1 | △1.4 | |
| (注) 乗車効率の算出は | 延人キロ | による |
| 客車走行キロ×平均客車定員 |
(自動車事業の運輸成績)
| 種別 | 単位 | 当連結会計年度 (2019/4~2020/3) | 対前期増減率(%) |
| 営業日数 | 日 | 366 | 0.3 |
| 走行キロ | 千キロ | 13,117 | 0.2 |
| 旅客人員 | 千人 | 8,630 | △2.3 |
| 旅客運送収入 | 千円 | 3,816,536 | △4.8 |
| 運送雑収 | 千円 | 393,677 | 4.3 |
| 収入合計 | 千円 | 4,210,214 | △4.0 |
(乗用自動車事業の運輸成績)
| 種別 | 単位 | 当連結会計年度 (2019/4~2020/3) | 対前期増減率(%) |
| 営業日数 | 日 | 366 | 0.3 |
| 走行キロ | 千キロ | 2,856 | 0.5 |
| 旅客人員 | 千人 | 455 | △4.6 |
| 旅客運送収入 | 千円 | 438,589 | △2.8 |
| 運送雑収 | 千円 | 31,584 | 20.8 |
| 収入合計 | 千円 | 470,174 | △1.5 |
② 流通部門
百貨店業において、㈱伊予鉄髙島屋では、依然として厳しい経営環境が続くなか、上質で百貨店らしい品揃え・演出を強化し、米宝飾ブランド「ティファニー」など新規ブランドの導入を進め、店舗の魅力向上を図った。また、各種新規催事や「dポイントキャンペーン」などを積極的に展開し、集客と新規顧客の獲得に努めた。しかし、昨年10月の消費増税に加え、新型コロナウイルスの影響により、来店客数が減少した。
以上の結果、百貨店業営業収益は前年度に比べ0.2%減の342億6,213万3千円となった。
自動車販売修理業において、愛媛日野自動車㈱では、新社屋及び整備工場が昨年11月に竣工し、施設の耐震性を強化するとともに、整備部門では最新設備による安全及び生産性の向上を図った。また、伊予鉄オート㈱では、マツダ車の販売を中心とした積極的な営業活動を行った。
以上の結果、自動車販売修理業営業収益は前年度に比べ0.5%増の90億7,826万2千円となった。
この結果、流通部門の営業収益は前連結会計年度に比べ0.3%減の414億4,467万5千円(消去後)となった。
(営業成績)
| 種別 | 当連結会計年度 (2019/4~2020/3) | |
| 営業収益(千円) | 対前期増減率(%) | |
| 百貨店業 | 34,262,133 | △0.2 |
| 自動車販売修理業 | 9,078,262 | 0.5 |
| 消去 | 1,895,719 | 5.9 |
| 営業収益 | 41,444,675 | △0.3 |
③ 不動産部門
不動産賃貸業において、当社では、伊予鉄市駅西駐車場の耐震工事が2月に完成し、安全性が向上した。松山空港いよてつショップでは、インバウンド需要及び新規顧客獲得のため、キャッシュレス決済サービスの充実を図り、利用促進に努めた。梅津寺では、社有地を有効活用し、昨年12月、柑橘の加工や物品販売のほか、カフェを営む「みきゃんパーク梅津寺」を誘致した。また、「平成30年7月豪雨」の影響で観覧できない状況が続いていた「秋山真之銅像」を「秋山好古銅像」のある見晴山に移設・再整備し、観光振興に努めた。
この結果、不動産部門の営業収益は前連結会計年度に比べ3.2%減の21億1,051万4千円(消去後)となった。
(営業成績)
| 種別 | 当連結会計年度 (2019/4~2020/3) | |
| 営業収益(千円) | 対前期増減率(%) | |
| 不動産賃貸業 | 4,046,882 | 0.6 |
| 消去 | 1,936,367 | 5.1 |
| 営業収益 | 2,110,514 | △3.2 |
④ その他部門
航空代理店事業において、当社では、全日本空輸㈱の営業系総代理店として、インターネットを活用した「出張航空券手配システム」の販路拡大に取り組んだ。
以上の結果、航空代理店事業営業収益は前年度に比べ7.1%減の4,687万7千円となった。
飲食業において、㈱伊予鉄会館では、プライベートブランドのお菓子「みきゃんの恋シリーズ」の開発・販売に取り組み、販路拡大に努めた。また、レストラン部門では、新メニューを積極的に導入し、新規顧客の獲得を目指した。しかし、新型コロナウイルスの影響により、宴会や貸ホールの予約キャンセルが相次いだ。また、松山空港や百貨店などに出店しているレストランのほか、サービスエリアなども利用客が激減するなど、大変厳しい状況となった。
以上の結果、飲食業営業収益は前年度に比べ6.0%減の35億2,720万8千円となった。
旅行業において、㈱伊予鉄トラベルでは、グループ力を活かした法人営業を強化するとともに、募集旅行の充実及び積極的な営業販売を展開した。また、順拝旅行は「友引遍路(住職と一緒に参拝し、法話も聞ける日帰りバスツアー)」など新たな企画による新規顧客の獲得に努めた。
以上の結果、旅行業営業収益は前年度に比べ10.9%増の6億9,322万7千円となった。
労働者派遣業において、伊予鉄総合企画㈱では、有効求人倍率上昇により人材派遣事業が低調に推移したが、人手不足や働き方改革に伴う生産性向上・業務効率化が求められるなか、RPA(パソコンのソフトウェアによる定型業務の自動化)事業の営業活動を本格化し、デジタル技術の開発者育成に向けて四国初拠点となる「!(びっくり)センター愛媛」を開設した。広告事業においては、新たな広告媒体であるインターネット広告の営業を強化し、顧客ニーズにあったプランを積極的に提案した。
以上の結果、労働者派遣業営業収益は前年度に比べ3.0%減の29億7,346万6千円となった。
前払式特定取引業において、㈱いよてつ友の会では、会員数の拡大に向け6月と11月に「新規会員獲得キャンペーン」を実施した。また、会員獲得の取り組みにより増加した会員の利用促進に向けて7月、9月、12月および3月に「お買物カード・お買物券ご利用キャンペーン」を実施して営業収入の拡大に取り組んだ。
以上の結果、前払式特定取引業営業収益は前年度に比べ2.7%減の2億4,022万6千円となった。
スポーツ業において、伊予鉄不動産㈱では、イヨテツスポーツセンター及びボウリングセンターで各種イベントを積極的に開催し、来場者及び競技人口の拡大に努めた。
以上の結果、スポーツ業営業収益は前年度に比べ4.0%減の8億8,147万9千円となった。
クレジットカード事業において、㈱いよてつカードサービスでは、大手カード会社との競争激化などにより厳しい経営環境が続くなか、昨年10月よりキャッシュレス消費者還元事業に参画し、クレジットカード利用促進に努めた。また、偽造防止効果の高いICチップ付きクレジットカードへの切り替えを行い、セキュリティ対策を強化した。
以上の結果、クレジットカード事業営業収益は前年度に比べ4.3%増の4億5,588万5千円となった。
レジャー・サービス事業を営む各事業会社においても、新型コロナウイルスの影響により、経営環境は大変厳しい状況となった。このため、営業面の対策として、利用実態に合わせた営業時間の短縮や効率的な人員配置を進め、経費節減に努めた。
この結果、その他部門の営業収益は前連結会計年度に比べ4.1%減の71億5,755万2千円(消去後)となった。
(営業成績)
| 種別 | 当連結会計年度 (2019/4~2020/3) | |
| 営業収益(千円) | 対前期増減率(%) | |
| 航空代理店事業 | 46,877 | △7.1 |
| 飲食業 | 3,527,208 | △6.0 |
| 旅行業 | 693,227 | 10.9 |
| 労働者派遣業 | 2,973,466 | △3.0 |
| 前払式特定取引業 | 240,226 | △2.7 |
| スポーツ業 | 881,479 | △4.0 |
| クレジットカード事業 | 455,885 | 4.3 |
| 消去 | 1,660,819 | 1.9 |
| 営業収益 | 7,157,552 | △4.1 |
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりである。
当社グループの流通部門を除く運輸部門他は、サービス業が多い。そのため生産、受注については、金額あるいは数量で示すことにしていないが、販売の状況については、各セグメントごとの業績に関連付けて示している。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の財政状態は、総資産について前連結会計年度末に比べ4.8%減の624億3,852万2千円となった。
流動資産は、現金及び預金が減少したことにより、前連結会計年度末に比べ11.7%減の195億1,658万3千円となった。
固定資産は、投資有価証券の減少により、前連結会計年度末に比べ1.3%減の429億2,193万8千円となった。
当連結会計年度末の負債の合計は、前連結会計年度末に比べ9.2%減の225億8,635万8千円となった。
流動負債は、支払手形及び買掛金の減少により、前連結会計年度末に比べ10.4%減の167億5,338万円となった。
固定負債は、長期借入金が増加したが、繰延税金負債の減少により、前連結会計年度末に比べ5.5%減の58億3,297万8千円となった。
当連結会計年度末の純資産は、その他有価証券評価差額金の減少により、前連結会計年度末に比べ2.1%減の398億5,216万3千円となった。
今後も、当社グループは、経営環境の変化に対応した効果的な事業運営を進め、利用客の利便性の向上や収益性の増加を目的とした効率的な設備投資を継続的に行い、財務基盤の強化に努めて行く考えである。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、92億7,863万1千円(対前連結会計年度末20億8,544万2千円減少)となった。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりである。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は16億3,860万1千円(対前連結会計年度26億7,936万1千円減少)となった。これは主に税金等調整前当期純利益によるものである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は35億9,147万1千円(対前連結会計年度2億2,376万3千円減少)となった。これは主に有形固定資産の取得によるものである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は1億3,257万2千円(対前連結会計年度10億2,881万1千円減少)となった。これは主に短期借入金の返済によるものである。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、安全輸送の完遂を最優先課題とし、バス車両等の設備投資を自己資金及び借入金にて継続的に実施していく予定である。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いているが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性がある。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりである。
(a)繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断している。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより判断している。
収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性を判断するにあたっては、一時差異等の解消見込年度及び繰戻・繰越期間における課税所得を見積っている。課税所得は、過年度実績や予算の数値を、経営環境等の外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報と整合的に修正し見積っている。当該見積りには、新型コロナウイルスによる人の移動の減少を加味した収支見込みや売上高の対前年増減率などを用いている。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性がある。