有価証券報告書-第107期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/27 14:07
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138項目
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、戦後最長の景気拡大とも言われている一方、その実感は家計には波及されていないことに加え、10月に控える消費増税により将来の不安が増しているのが実情であるといえます。また、未だ不透明感が増している米中貿易摩擦については、日本経済さらには製造業の街である浜松市に及ぼす影響について、今後注視していく必要があります。
このような状況の中、当社グループは3ヵ年中期経営計画「サバイブ2020」の初年度として、今ある強みを再確認し、その強みを独自性に進化させるよう取り組む中、昨年6月に静岡トヨタ自動車の全株式を取得、10月に遠鉄自動車学校と浜松自動車学校の合併を実施するなど経営基盤の強化に努めました。
当連結会計年度の業績につきましては、営業収益2,138億3千6百万円(前連結会計年度比19.8%増加)、経常利益61億9千1百万円(前連結会計年度比30.9%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は37億1千6百万円(前連結会計年度比74.6%増加)となりました。
以下、セグメント別の概況をご報告申しあげます。
運輸事業
運輸事業の営業収益は157億5千6百万円(前連結会計年度比2.0%減少)となり、前連結会計年度に比べ3億1千3百万円の減収となりました。営業利益は3億4千2百万円(同77.1%増加)となり、前連結会計年度に比べ1億4千9百万円の増益となりました。
イ 提出会社の運輸成績表(鉄道事業)
種別単位第107期
(2018年4月1日
~2019年3月31日)
対前期増減率(%)
営業日数3650.0%
営業キロ17.80.0%
客車走行キロ千㎞2,506△1.6%
乗車人員定期千人4,2432.1%
定期外千人5,9761.6%
千人10,2191.8%
運輸収入
旅客収入定期千円513,1722.5%
定期外千円1,154,9972.2%
手小荷物千円77△4.9%
千円1,668,2472.3%
運輸雑収千円94,9032.7%
合計千円1,763,1502.3%
1日平均収入千円4,8312.3%
乗車効率%22.45.2%

(注)乗車効率算出方法 =延人キロ(輸送人員 × 平均乗車キロ)× 100
定員キロ(客車走行キロ × 平均定員)

ロ 提出会社の運輸成績表(一般乗合旅客自動車運送事業)
種別単位第107期
(2018年4月1日
~2019年3月31日)
対前期増減率(%)
営業日数3650.0%
営業キロ (注)1,025.74△3.7%
走行キロ千㎞16,663△3.8%
乗車人員定期千人8,447△1.2%
定期外千人15,448△1.4%
千人23,896△1.3%
運送収入
旅客収入定期千円1,193,487△2.1%
定期外千円4,145,913△1.8%
手小荷物・郵便物
収入
千円7140.0%
千円5,340,115△1.9%
運送雑収千円153,405△1.0%
合計千円5,493,520△1.8%
1日平均収入千円15,051△1.8%

(注) 2006年10月1日の道路運送法改正により自主運行バス路線(合計22.03㎞)が当社の営業路線となっております。
ハ 提出会社の運輸成績表(一般貸切旅客自動車運送事業)
種別単位第107期
(2018年4月1日
~2019年3月31日)
対前期増減率(%)
営業日数365△0.0%
走行キロ千㎞6,537△4.2%
乗車人員千人1,309△2.2%
運送収入
旅客収入千円2,884,359△4.8%
運送雑収千円120,003△5.7%
合計千円3,004,363△4.9%
1日平均収入千円8,231△4.9%


ニ 運輸事業の業種別営業成績
業種別当連結会計年度
(2018年4月1日~2019年3月31日)
営業収益(千円)対前期増減率(%)
鉄道事業1,763,1502.3
一般乗合旅客自動車運送事業5,493,520△1.8
一般貸切旅客自動車運送事業3,004,363△4.9
自動車整備・関連サービス事業717,7527.1
一般乗用旅客自動車運送事業4,560,420△2.5
その他320,121△9.9
セグメント内消去△102,873△9.3
合計15,756,455△2.0

レジャーサービス事業
レジャーサービス事業の営業収益は92億8千5百万円(前連結会計年度比11.2%減少)となり、前連結会計年度に比べ11億6千9百万円の減収となりました。営業利益は1億8千9百万円(同50.7%減少)となり、前連結会計年度に比べ1億9千5百万円の減益となりました。
営業成績
業種別当連結会計年度
(2018年4月1日~2019年3月31日)
営業収益(千円)対前期増減率(%)
旅行業2,079,994△0.0
ホテル・旅館業、遊園地事業13,448,816△13.5
セグメント内消去△6,243,262△12.9
合計9,285,548△11.2

リテールサービス事業
リテールサービス事業の営業収益は901億6千4百万円(前連結会計年度比0.8%減少)となり、前連結会計年度に比べ7億5千7百万円の減収となりました。営業利益は10億4千7百万円(同1.7%減少)となり、前連結会計年度に比べ1千8百万円の減益となりました。
営業成績
業種別当連結会計年度
(2018年4月1日~2019年3月31日)
営業収益(千円)対前期増減率(%)
百貨店業34,060,698△2.3
食品スーパー業55,222,190△0.3
サービスエリア物品販売業1,253,4837.9
セグメント内消去△371,624△27.3
合計90,164,747△0.8


モビリティサービス事業
モビリティサービス事業の営業収益は693億2千4百万円(前連結会計年度比105.9%増加)となり、前連結会計年度に比べ356億6千1百万円の増収となりました。営業利益は11億8千万円(同306.8%増加)となり、前連結会計年度に比べ8億9千万円の増益となりました。
営業成績
業種別当連結会計年度
(2018年4月1日~2019年3月31日)
営業収益(千円)対前期増減率(%)
自動車販売業62,857,514146.3
石油製品販売業9,094,022△2.0
アクアクララ事業154,7007.2
セグメント内消去△2,781,848118.5
合計69,324,388105.9

不動産事業
不動産事業の営業収益は173億2千3百万円(前連結会計年度比0.8%増加)となり、前連結会計年度に比べ1億3千4百万円の増収となりました。営業利益は12億7千5百万円(同28.4%増加)となり、前連結会計年度に比べ2億8千2百万円の増益となりました。
営業成績
業種別当連結会計年度
(2018年4月1日~2019年3月31日)
営業収益(千円)対前期増減率(%)
不動産業13,674,7271.6
建設工事業4,226,0318.6
セグメント内消去△577,063244.7
合計17,323,6950.8

保険事業
保険事業の営業収益は26億3千万円(前連結会計年度比8.8%増加)となり、前連結会計年度に比べ2億1千2百万円の増収となりました。営業利益は6億7千8百万円(同4.5%減少)となり、前連結会計年度に比べ3千2百万円の減益となりました。
営業成績
業種別当連結会計年度
(2018年4月1日~2019年3月31日)
営業収益(千円)対前期増減率(%)
保険代理業2,630,3698.8
セグメント内消去
合計2,630,3698.8


その他
その他の営業収益は156億3千1百万円(前連結会計年度比11.2%増加)となり、前連結会計年度に比べ15億7千7百万円の増収となりました。営業利益は8億8千3百万円(同139.6%増加)となり、前連結会計年度に比べ5億1千4百万円の増益となりました。
営業成績
業種別当連結会計年度
(2018年4月1日~2019年3月31日)
営業収益(千円)対前期増減率(%)
食品検査事業154,2594.3
介護事業3,165,34014.7
自動車運転教習業3,124,5821.2
健康スポーツ業695,298△0.6
業務請負業、ビル管理業3,899,0646.8
情報サービス業4,842,66522.6
セグメント内消去△250,0432.0
合計15,631,16911.2

財政状態
(資産の部)
当連結会計年度末における資産の部の残高は1,855億4千8百万円となり、前連結会計年度末に比べ434億5千2百万円増加しております。これは主に、受取手形、売掛金及び未収運賃が194億7千5百万円増加したことによるものであります。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債の部の残高は1,381億4千3百万円となり、前連結会計年度末に比べ403億5千7百万円増加しております。これは主に、長期借入金が193億7千2百万円増加したことによるものであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産の部の残高は474億5百万円となり、前連結会計年度末に比べ30億9千4百万円増加しております。これは主に、利益剰余金が32億8千4百万円増加したことによるものであります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下資金という。)は、前連結会計年度末に比べ5億5千6百万円増加し、当連結会計年度末には51億2百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は121億5千4百万円(前連結会計年度比64.2%増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益58億7千4百万円と減価償却費79億4千8百万円により生じた資金が、法人税等の支払額18億3千3百万円等の資金の使用を上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は204億4千8百万円(同189.2%増加)となりました。これは主に、子会社株式の取得に48億9千1百万円及び長期貸付金の実行に71億3千万円支出したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は88億5千万円(同1972.8%増加)となりました。これは主に、短期及び長期借入れによる収入が、短期及び長期借入金の返済による支出を96億4千6百万円上回ったこと等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループにおいては、生産及び受注に該当する事項がないため記載を省略しております。
販売の状況については、「① 財政状態及び経営成績の状況」における各セグメントの業績に関連付けて記載しています。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、本項に記載した予想、予見、見込み、見通し、方針、所存等の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、将来に関する事項には、不確実性を内在しており、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性もありますので、ご留意下さい。
経営成績の分析
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。各セグメントの営業収益は、セグメント間取引を含んでおりません。
(運輸事業)
鉄道・乗合バス事業におきましては、昨年7月に継続定期券のネット決済及びセルフ発行を実施したほか、乗合バス事業では、運行実態に即した所要時分の見直しを実施し、お客様の利便性向上と現場の業務負担軽減に取り組みました。また、新車21両(乗合バス13両・貸切バス8両)を導入し、継続的な車両更新を進めました。貸切・空港・高速バス事業では、昨年11月よりドライブレコーダーと一体型のデジタルタコグラフを順次導入し、運行管理体制の強化に努めました。
タクシー事業におきましては、昨年8月にスマートフォンでタクシーの手配ができるアプリの利用促進のほか、本年2月に配車システムを更新し、電話注文時の自動音声受付の拡充による待ち時間の短縮等、お客様の利便性向上に努めました。また、高齢者や車いす使用者など、様々な方が利用しやすい安全性能に優れたジャパンタクシーを70台導入し、総保有台数は99台となりました。
以上の結果、運輸事業の営業収益は、153億5百万円(前連結会計年度比1.6%減少)となりました。
(リテールサービス事業)
百貨店業におきましては、遠鉄百貨店では、「見やすく買いやすい売場」をコンセプトに、昨年4月に本館地下1階食料品フロア生鮮・鮮魚・青果コーナーを14年ぶりにリニューアルいたしました。また、新館1階に県西部初登場となる人気コスメブランド「スリー」などを導入し、売場の魅力向上に努めました。
食品スーパー業におきましては、遠鉄ストアでは、昨年10月に鮮魚・精肉・惣菜商品の製造加工を一括して行うプロセスセンターを開設し、更なる安全・安心、品質・品揃えなどの商品力ならびに生産性向上に努めました。また、本年1月に篠原店、3月に天王店をリニューアルし、お客様の支持が高い惣菜などの売場を拡大するとともに、陳列・補充がしやすい省力化什器の導入により生産性向上に努めました。
以上の結果、リテールサービス事業の営業収益は、899億4千3百万円(前連結会計年度比0.7%減少)となりました。
(モビリティサービス事業)
自動車販売業におきましては、静岡トヨタ自動車では、昨年6月に登場した新型クラウンの販売が好調に推移したほか、8月にレクサス和田、9月にレクサス静岡駿河をリニューアルし、お客様がより快適に過ごせる上質な店舗づくりに努めました。ネッツトヨタ浜松では、本年1月に袋井店を移転オープンし、商談待合スペースの充実等によるお客様の満足度向上に努める一方、従業員向けに会議室、休憩室を確保するなど、職場環境の改善を図りました。トヨタレンタリース浜松では、昨年11月に静岡営業所を静岡トヨタ自動車本社内に開設し、静岡トヨタ自動車との連携強化を図るとともにエリア拡大による営業強化に取り組みました。
石油製品販売業におきましては、遠鉄石油では、洗車・コーティング業務において、カーコーティングと手洗い洗車の専門店であるキーパープロショップ森田店を中心に、ネッツトヨタ浜松との連携を強化し、収益の拡大に努めました。
以上の結果、モビリティサービス事業の営業収益は、677億5千5百万円(前連結会計年度比109.8%増加)となりました。
(レジャーサービス事業)
旅行業におきましては、バンビツアーでは、遠州鉄道創立75周年の特別記念コースの販売が好調に推移したほか、ウォーキング人気の高まりに着目して企画した「歩くコース」の定着化等により、本年1月にツアー参加者累計が1,000万人を突破いたしました。
ホテル・旅館業におきましては、遠鉄観光開発では、昨年7月より電子マネー決済サービスをはじめとするキャッシュレス決済サービスを全施設の主要箇所において順次導入し、お客様の利便性向上に努めました。
浜名湖パルパルでは、本年3月にモンテゾーンのメリーゴーランド付近に、くつろぎ広場を新設するとともに、体験型アトラクション「トマトーナのもりもりトマトーレ」を導入し、魅力ある遊園地づくりに努めました。
以上の結果、レジャーサービス事業の営業収益は、90億9千2百万円(前連結会計年度比11.3%減少)となりました。

(不動産事業)
不動産業におきましては、住宅事業では、昨年10月に大型分譲地「ブライトヒルズ袋井堀越の丘」を販売開始するなど、分譲住宅100棟、分譲土地84区画をお引渡しいたしました。注文住宅では、本年1月に中区早出町にエネルギー効率や断熱性の高さによって、エネルギー消費量の収支ゼロを目指すとともにIoTによる快適な暮らしを提案する次世代型モデルハウス「ブライトS-ZEH」をオープンするなど、顧客拡大に努めました。その結果、122棟の受注と113棟のお引渡しをいたしました。不動産仲介業では、昨年5月に浜松東不動産営業所を移転オープンし、収益の拡大を図りました。また、本年1月に掛川不動産営業所を車での来店が便利な遠鉄ホーム掛川住宅プラザ内へ移転し、住まいに関するご相談にワンストップでお応えできる総合窓口としてリニューアルオープンいたしました。分譲マンションでは、「ブライトタウン小池」の販売が順調に推移するなど、63戸をお引渡しするとともに、昨年9月に「ブライトタウン磐田フレシア」、11月に「ブライトタウン早出ザ・テラス」を販売開始いたしました。
建設工事業におきましては、遠鉄建設では、公共工事の受注拡大に努め、浜松科学館大規模改修工事、エコパスタジアム照明設備改修工事を実施するなど、収益の拡大に努めました。また、太陽光発電事業で新たに3ヵ所、発電規模計1,900kwの太陽光発電所を建設し、売電を開始いたしました。
以上の結果、不動産事業の営業収益は、161億8百万円(前連結会計年度比3.8%増加)となりました。
(保険事業)
保険代理業におきましては、昨年8月に東京営業所を開設し、関東圏の営業エリア拡大に努めました。
以上の結果、保険事業の営業収益は、26億3千万円(前連結会計年度比8.8%増加)となりました。
(その他)
介護事業におきましては、昨年4月に14拠点目となる介護付有料老人ホーム「ラクラス富塚レジデンス」を開設し、収益の拡大に努めました。
業務請負業におきましては、遠鉄アシストでは、指定管理施設の受託拡大に努め、昨年12月から中区中沢町「浜松市防災学習センター」の指定管理を開始しております。
自動車運転教習業におきましては、遠鉄自動車学校では、昨年10月に浜松自動車学校と合併し、高齢者講習受付業務の一元化や合宿生獲得に向けた専用サイトの開設など営業体制の確立によりお客様の利便性向上を図るとともに顧客拡大に努めました。
以上の結果、その他の事業の営業収益は、130億1百万円(前連結会計年度比9.8%増加)となりました。
次期の見通しについて
当社グループといたしましては、2023年のありたい姿の実現に向けた第二ステップとして、「なくてはならない商品、サービスへの集中」、「間接部門の集約による付加価値向上」、「強みを独自性に進化させる人材の輩出」、「新たなIT技術による仕組みの構築」を重点政策とする新3ヵ年中期経営計画「サバイブ2020」に基づき、さらに経営の質を高めグループ総合力を強化し連結業績の向上を図ってまいります。
現時点において、次期の業績は次のとおり見込んでおります。
区分2018年度
(当連結会計年度)
2019年度計画当連結会計年度比(%)
営業収益(百万円)213,836218,300102.1
営業利益(百万円)5,8214,00068.7
経常利益(百万円)6,1914,30069.5
親会社株主に帰属する
当期純利益(百万円)
3,7162,50067.3
1株当たり当期純利益51円70銭34円78銭67.3