有価証券報告書-第160期(2024/04/01-2025/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度におけるヤマトグループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
ⅰ.財政状態
総資産は1兆2,674億28百万円となり、前連結会計年度末に比べ856億46百万円増加しました。
負債は6,670億77百万円となり、前連結会計年度末に比べ772億76百万円増加しました。
純資産は6,003億50百万円となり、前連結会計年度末に比べ83億69百万円増加しました。
ⅱ.経営成績
当連結会計年度における経済環境は、世界的なインフレ傾向に落ち着きが見られる中、国内においては、物価上昇に対する価格転嫁の動きが続くなど足元の景況感は改善傾向にあり、実質賃金の減少に歯止めがかかりつつあるものの、個人消費の低迷、人手不足の深刻化など、依然として本格的な景気回復が見通しづらい状況にあります。
このような状況下、ヤマトグループは、経営理念に掲げる「豊かな社会の実現への貢献」を通じた持続的な企業価値の向上を実現するため、中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」に基づき、宅急便ネットワークの強靭化による基盤領域の利益成長、ビジネスソリューションの提供を通じた法人ビジネス領域の拡大、多様化する顧客や社会のニーズに応える新たなビジネスモデルの事業化およびグループ経営基盤の強化など「経済価値」を生み出すとともに、社会の持続可能性に向けた「環境価値」「社会価値」を創造する取組みを推進しています。
当連結会計年度の連結業績は、以下のとおりとなりました。
当連結会計年度の営業収益は1兆7,626億96百万円となり、前連結会計年度に比べ40億69百万円の増収となりました。これは、収益構成の変革に向けた取組みにより、投函サービスの収入は減少したものの、宅配便の収入が増加したことおよびM&Aの実施を含め法人ビジネスが拡大したことなどによるものです。
営業費用は1兆7,484億90百万円となり、前連結会計年度に比べ299億23百万円増加しました。これは、外部環境の変化による時給単価の上昇やパートナー企業に対する委託単価の上昇が継続した中で、ラストマイル領域は経営資源の適正配置や「置き配」ニーズへの対応などにより生産性が向上したものの、輸送領域のオペレーション見直しおよび新たなビジネスモデルの事業化に向けた費用が先行して増加したことなどによるものです。
この結果、当連結会計年度の営業利益は142億6百万円となり、前連結会計年度に比べ258億53百万円の減益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、バランスシート・マネジメントの強化に取り組む中で、投資有価証券売却益や固定資産売却益を計上したことなどにより379億37百万円となり、前連結会計年度に比べ3億11百万円の増益となりました。
<ヤマトグループ全体としての取組み>イ.宅急便ネットワークの強靭化と提供価値の拡大
社会的インフラとしての宅急便ネットワークをより効率的かつ持続的な形に強靭化するため、引き続き、ネットワーク・オペレーションの構造改革を推進しています。業務量変動への柔軟な対応や拠点間輸送の効率化、荷待ち時間の短縮などを実現するため、小規模・多店舗展開してきたラストマイル集配拠点の集約・大型化やターミナル機能の再定義、デジタルテクノロジーを活用した作業指示の自動化や業務量に応じた経営資源の最適配置、バックオフィスの業務プロセス改革などに取り組んでいます。
また、輸送サービスのラインアップ拡充や個人向け会員サービス「クロネコメンバーズ」を通じた顧客体験価値の向上、宅配便3商品の「カーボンニュートラル配送」などにより、お客様への提供価値を拡大するとともに、外部環境の変化を踏まえた届出運賃の年次での見直しおよび法人顧客との契約の見直しなど、適正な運賃・料金収受に向けた取組みを推進しています。
当連結会計年度においては、引き続き「クロネコメンバーズ」会員のお客様からの指定に基づき、宅急便および宅急便コンパクトの「置き配」サービスを提供するなど、より多くのお客様に快適な受け取り体験を提供するとともに、再配達の削減、物流の効率化や温室効果ガス(GHG)排出量の削減に向けた取組みを推進しました。また、小さな荷物の配送ニーズに応えるため、専用資材の事前購入により全国一律420円で荷物が送れる「こねこ便420」の東京都での拡販を推進しました。
ロ.法人ビジネス領域の拡大
世界の政治・経済とサプライチェーンのブロック化や環境問題などのリスク要因が増大し、企業は対応を求められる中、ヤマトグループは変化を機会と捉え、サプライチェーン全体に拡がる法人顧客の経営課題の解決を目指すソリューションビジネスを成長領域と位置づけています。国内外の倉庫や貨物専用機(フレイター)を含めた輸配送ネットワーク、ロジスティクスや通関、不動産関連のノウハウといったグループ経営資源を活かした付加価値の高いソリューションを提供することで、利益成長を目指しています。
コントラクト・ロジスティクス事業については、エクスプレス事業とのシナジーを重視し、宅配便を利用する法人顧客の課題解決や事業成長を支援するソリューションの提供を通じて、宅配便のさらなる利用拡大や提供価値に応じたプライシングの適正収受、新たなロジスティクス収入の獲得などの取組みを強化しています。
グローバル事業については、サプライチェーンの変化を好機と捉え、これまで宅急便で培った国内の膨大な顧客基盤を活かしつつ、オートモーティブやハイテク、食品産業など、ヤマトグループが強みを発揮している領域のさらなる拡大に努めるとともに、日本、米国・メキシコ、中国、インド、東南アジアを中心に営業力の強化を進めています。また、フォワーディングの混載効率向上や越境ECへの提案強化、注力地域の内需拡大に伴う物流需要の取込みなどに取り組んでいます。
なお、コントラクト・ロジスティクス事業とグローバル事業の拡大を加速させるため、自律的な成長施策に加え、M&Aや戦略的業務提携の検討も推進しています。当連結会計年度においては、株式会社ナカノ商会の発行済株式の87.74%を取得して連結子会社とし、コントラクト・ロジスティクス事業の拡大、エクスプレス事業とのシナジー創出、両社リソースの共同利用等のコストシナジー創出に向けたPMI(経営統合プロセス)を推進しています。
ハ.新たなビジネスモデルの事業化
持続可能な未来の実現に向けて、既存の経営資源を活用しつつ、パートナーとともに、多様化する顧客や社会のニーズに応える新たなビジネスモデルの事業化を推進しています。
モビリティ事業については、車両整備サービスを基盤に、ヤマトグループ内での環境投資や実証実験を通じて蓄積したEV、太陽光発電設備、エネルギーマネジメントなどのノウハウを活用し、車両を使用する事業者様の脱炭素化に向けた取組みを推進しています。当連結会計年度においては、温室効果ガス(GHG)削減計画の立案からEV・充電器の導入・運用支援、メンテナンス、エネルギーマネジメント、再生可能エネルギー由来電力の供給までワンストップで提供する「EVライフサイクルサービス」を開始しました。加えて、宅急便で培った法人顧客や物流事業者とのパートナーシップ、輸配送ネットワーク・オペレーション構築のノウハウを活かし、安定した輸送力の確保と環境に配慮した持続可能なサプライチェーンを構築するため、Sustainable Shared Transport株式会社が中心となり、荷主企業や物流事業者など多様なステークホルダーが参画できる共同輸配送のオープンプラットフォームを活用したサービスの提供を2025年2月より開始しました。
また、安定的なスピード輸送の提供による新たな需要の獲得と流通拡大による地域経済の活性化、輸送サービス品質の維持・向上を図るため、成田、羽田、新千歳、北九州、那覇の各空港をつなぐ貨物専用機(フレイター)を運航しています。引き続き、生鮮品や機械類、アパレルなどスピード輸送を求めるお客様への拡販を推進するとともに、お客様のさらなるニーズに対応していきます。
さらに、地域社会の多様なニーズに応えるため、荷物の発送・受取サービスに留まらない新たなサービス提供を目指す地域密着型店舗「ネコサポ」の展開や、IoT電球「HelloLight」を活用した「クロネコ見守りサービス ハローライト訪問プラン」の拡販などに取り組むとともに、地域創生に向けた取組み強化を目的として資本・業務提携を実施した、ふるさと納税代行事業者とともに、地方自治体に向けた地域情報の発信や魅力的な返礼品の開発、寄附サイトの運営代行、管理システムの提供、返礼品の流通加工やラストマイル配送に至る一貫したソリューションの提供を通じて、ふるさと納税市場におけるシェア拡大を図るとともに、地域産品の流通や観光振興などに取り組んでいます。
なお、従業員の健康リスクが高い傾向にある自動車運送事業者様における、健康管理や健康に起因する事故防止に向けた取組みを支援するため、医薬品卸売事業者と連携して「株式会社MY MEDICA(マイメディカ)」を設立し、2025年2月よりオンライン医療サービス「MY MEDICA」の提供を開始しました。
ニ.グループ経営基盤の強化
ヤマトグループは、持続的な企業価値向上を実現するための基盤として、引き続き、人事戦略、デジタル戦略を推進し、サステナブル経営およびコーポレート・ガバナンスの強化に取り組んでいます。
人事戦略については、事業構造改革と連動した人材の最適配置を優先課題として、組織・要員の適正化と評価・報酬制度の見直しに取り組んでいます。また、付加価値を創出する人材の育成に向けて、自主・自律的なキャリア形成を促進する人材マネジメント体系の整備・運用を推進しています。そして、多様な社員の働きやすさと働きがいを向上させるため、多様化する社員のライフプランに適合する福利厚生制度の構築や社員の健康管理・健康増進施策を推進するとともに、ダイバーシティの推進や人権デューデリジェンスの実施、女性活躍の推進に継続的に取り組んでいます。
デジタル戦略については、DX推進体制を強化し、デジタル基盤を活用したお客様への提供価値の拡大や「仕分け作業」や「運び方」、「働き方」の変革、バックオフィスの業務プロセス改革など、事業と一体となったDX推進に取り組んでいます。
サステナブル経営の強化については、中長期的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現に向けた2つのビジョン「つなぐ、未来を届ける、グリーン物流」「共創による、フェアで、“誰一人取り残さない”社会の実現への貢献」に基づき、特定した重要課題(マテリアリティ)に対する取組みを強化しています。
環境の領域については、「2050年温室効果ガス(GHG)排出実質ゼロ(自社排出)」および「2030年温室効果ガス(GHG)排出量48%削減(2021年3月期比)」の実現に向け、引き続き「EV23,500台の導入」「太陽光発電設備810基の導入」「再生可能エネルギー由来電力の使用率向上」などの施策を推進するとともに、サプライチェーン(Scope3)における実質排出量の把握や削減目標の設定などに取り組んでいます。当連結会計年度においては、川崎市の脱炭素先行地域において、官民連携により再生可能エネルギー由来電力を地産地消で100%使用する営業所の稼働を開始しました。本営業所は、物流拠点に最適化したヤマト運輸独自のエネルギーマネジメントシステム(EMS)を導入しており、営業所内の電力使用量、太陽光発電設備での発電量、蓄電池の充放電量をリアルタイムで可視化・自動で調整し、効率的なエネルギーマネジメントを行うとともに、最大使用電力を制御することで、電力コストの低減を図っています。なお、2025年1月にヤマトエナジーマネジメント株式会社を設立しました。今後は同社が中心となり、ヤマトグループのみならず車両を使用する事業者様に対し、ヤマトグループの拠点や各地域の発電事業者が発電した再生可能エネルギー由来電力などを提供することで、物流の脱炭素化を推進し、企業と社会の発展に取り組んでいきます。
社会の領域については、引き続き、人命の尊重を最優先とし、社員やパートナーの安全・健康に対する取組みを強化するとともに、多様な社員が活躍できる職場環境に向けた整備を進めています。そして、社会の諸課題に向き合い、ビジネスパートナーとの定期的な協議の実施や、課題の早期発見と解消のための体制・プロセス・仕組みの整備など、適切な関係に基づくサステナブル・サプライチェーンの構築を推進しています。
コーポレート・ガバナンスの強化については、引き続き、経営の監督と執行の分離、経営の透明性の維持・強化などに取り組むとともに、株主・投資家との建設的な対話や情報開示の充実を通じて、持続的な企業価値向上に努めています。
<セグメント別の概況>当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前連結会計年度比較については、前連結会計年度の数値を変更後の報告セグメントの区分に組み替えて分析しています。
○エクスプレス事業
イ.エクスプレス事業は、個人および法人のお客様に対し、宅急便を中心とした国内輸配送サービスを提供しており、サービスラインアップの拡充や個人向け会員サービス「クロネコメンバーズ」を通じた顧客体験価値の向上、宅配便3商品の「カーボンニュートラル配送」などにより、お客様への提供価値を拡大するとともに、外部環境の変化を踏まえた届出運賃の年次での見直しおよび法人顧客との契約の見直しなど、適正な運賃・料金収受を推進しています。また、EC化の進展や少子高齢化・過疎化の進展、労働力不足や気候変動のさらなる深刻化を踏まえ、社会的インフラとしての宅急便ネットワークをより効率的かつ持続的な形に強靭化するため、ネットワーク・オペレーションの構造改革を推進しています。
ロ.当連結会計年度においては、引き続き、外部環境の変化によるコスト上昇を踏まえ、届出運賃・料金を改定した上で、基盤である宅急便部門における小口法人・個人のお客様に対する営業強化および法人部門における大口法人のお客様の課題解決や事業成長を支援するソリューション提供を見据えた新規取引の拡大、既存のお客様に対する提供価値に応じた適正な運賃・料金収受の取組みを推進しました。また、「クロネコメンバーズ」会員のお客様からの指定に基づく、宅急便および宅急便コンパクトの「置き配」サービスの提供など、より多くのお客様に快適な受け取り体験を提供するとともに、再配達の削減、物流の効率化や温室効果ガス(GHG)排出量の削減に向けた取組みを推進しました。加えて、小さな荷物の配送ニーズに応えるため、専用資材の事前購入により全国一律420円で荷物が送れる「こねこ便420」の東京都での拡販を推進しました。
ネットワーク・オペレーションの構造改革については、業務量変動への柔軟な対応や拠点間輸送の効率化、荷待ち時間の短縮などを実現するため、小規模・多店舗展開してきたラストマイル集配拠点の集約・大型化やターミナル機能の再定義、デジタルテクノロジーを活用した作業指示の自動化や業務量に応じた経営資源の最適配置、バックオフィスの業務プロセス改革などの取組みを推進しました。
ハ.外部顧客への営業収益は、収益構成の変革に向けた取組みにより宅配便の収入が増加したものの、投函サービスの収入減少などにより1兆5,347億10百万円となり、前連結会計年度に比べ0.9%減少しました。営業費用は、ラストマイル領域は経営資源の適正配置や「置き配」ニーズへの対応などにより生産性が向上したものの、輸送領域のオペレーション見直しおよび新たなビジネスモデルの事業化に向けた費用が先行して増加したことなどにより前連結会計年度に比べ86億93百万円増加した結果、営業損失は128億99百万円となりました。
○コントラクト・ロジスティクス事業
イ.コントラクト・ロジスティクス事業は、宅配便を利用する法人顧客の課題解決や事業成長を支援するソリューションを提供しています。エクスプレス事業とのシナジーを重視し、宅配便のさらなる利用拡大や提供価値に応じた適正な運賃・料金収受、新たなロジスティクス収入の獲得などに取り組んでいます。
ロ.当連結会計年度においては、引き続き、セールスドライバーがお客様との接点から得る気づきなどの情報を活用し、各地域に配置した法人営業担当者が最適な提案を行えるよう営業体制の強化を図るとともに、より付加価値の高いサプライチェーンソリューションの提案やオペレーションの品質・生産性改善を加速させるため、地域特性を踏まえた組織・人材の適正化などに取り組みました。また、株式会社ナカノ商会の発行済株式の87.74%を取得して連結子会社とし、コントラクト・ロジスティクス事業の拡大、エクスプレス事業とのシナジー創出、両社リソースの共同利用等のコストシナジー創出などに向けたPMI(経営統合プロセス)を推進しています。
ハ.外部顧客への営業収益は、前連結会計年度の新型コロナウイルスワクチンや大型リコール案件に関するロジスティクスの反動減が影響したものの、株式会社ナカノ商会の連結子会社化などにより970億74百万円となり、前連結会計年度に比べ9.0%増加しました。営業利益は、オペレーションの効率化を進めたものの営業収益の減少を補うには至らず55億82百万円となり、前連結会計年度に比べ41億20百万円減少しました。
○グローバル事業
イ.グローバル事業は、日本国内および海外事業会社が連携し、国際フォワーディングや国際エクスプレス、海外現地におけるコントラクト・ロジスティクス等を組み合わせ、法人顧客のグローバルサプライチェーン全体を最適化するソリューションを提供しています。サプライチェーンの変化を好機と捉え、これまで宅急便で培った国内の膨大な顧客基盤を活かしつつ、オートモーティブやハイテク、食品産業などヤマトグループが強みを発揮している領域のさらなる拡大に努めるとともに、日本、米国・メキシコ、中国、インド、東南アジアを中心に営業力の強化を進めています。
ロ.当連結会計年度においては、引き続き、フォワーディングの混載効率向上や、拡大する越境ECへの提案強化、注力地域の内需拡大に伴う物流需要の取込みなどを推進しました。また、地政学的リスクおよび機会を踏まえ、東南アジア-欧州間におけるトラックと鉄道による国際複合一貫輸送サービスや、米国とメキシコとの国境における通関手続きを必要としない「空港間保税転送」を活用した、迅速で定時性の高い越境トラック輸送サービスを提供するなど、グローバルサプライチェーンの強靭化に取り組みました。
ハ.外部顧客への営業収益は、越境ECの取扱数量の増加などにより859億50百万円となり、前連結会計年度に比べ16.1%増加しました。営業利益は、越境ECの取扱数量増加による営業収益の拡大に加え、国際フォワーディングの混載効率向上などにより90億27百万円となり、前連結会計年度に比べ23億64百万円増加しました。
(参考)
クロネコゆうメールの前連結会計年度の実績は、クロネコDM便の実績を含みます。
○モビリティ事業
イ.モビリティ事業は、運送事業者様の安全運行と車両稼働時間の拡大に資する、稼働を止めない車両整備サービスを提供しています。また、これまでヤマトグループ内での環境投資や実証実験を通じて蓄積したEV、太陽光発電設備、エネルギーマネジメントなどのノウハウを活用し、車両を使用する事業者様の脱炭素化に向けて、温室効果ガス(GHG)削減計画の立案からEV・充電器の導入・運用支援、メンテナンス、エネルギーマネジメント、再生可能エネルギー由来電力の供給を、事業者様がワンストップで利用できる「EVライフサイクルサービス」の拡販を推進しています。
ロ.当連結会計年度においては、作業効率と社員の働きやすさを追求した車両整備工場の稼動など、需要の多い地域においてさらなるネットワーク強化を図るとともに、車両整備サービスの拡販と適正単価の収受に取り組みました。また「EVライフサイクルサービス」のファーストユーザーとして、医薬品卸売業の事業者様への提供を開始しました。
ハ.外部顧客への営業収益は、契約車両台数の増加に加え、適正単価の収受などにより205億5百万円となり、前連結会計年度に比べ1.7%増加しました。営業利益は、車両の整備や回送における委託費の増加などにより37億81百万円となり、前連結会計年度に比べ3億51百万円減少しました。
○その他
イ.ヤマトグループが保有するITやコールセンター、金融サービスなどの機能は、お客様のサプライチェーン全体に対する提供価値拡大に向けた取組みを支えています。当連結会計年度においては、引き続き、お客様の業務効率化とエンドユーザーの利便性向上に資するITサービスの提供などを推進しました。
ロ.外部顧客への営業収益は244億55百万円となり、前連結会計年度に比べ22億79百万円減少しました。また、営業利益は82億円となり、前連結会計年度に比べ77百万円増加しました。
<その他の取組み>イ.ヤマトグループは、人命の尊重を最優先とし、安全に対する様々な取組みを実施しており、輸送を主な事業とするグループ各社を中心に、安全管理規程の策定および管理体制の構築、年度計画の策定など、運輸安全マネジメントに取り組んでいます。当連結会計年度においては、引き続き「こども交通安全教室」を幼稚園・小学校などで開催するとともに、グループ全体での「交通事故ゼロ運動」や全国のドライバーが安全運転の技能や知識を競い合う「全国安全大会」を開催するなど、安全意識の向上を図る取組みを推進しました。
ロ.ヤマトグループは、豊かな地域づくりがヤマトグループの成長と発展の基盤であると考え、地域社会の健全で持続的な発展とそこに暮らす人々の質の高い生活の確保を目指し、企業市民活動に取り組んでいます。環境の領域では、全国にネットワークを有する企業グループとして、地域の豊かな自然を将来に繋げていくため、次世代を担う子どもたちへの環境教育をサポートする「クロネコヤマト環境教室」を、2005年から全国で3,000回以上開催しており、累計参加人数は約26万人となりました。また、地域コミュニティの領域では、お客様や地域の皆様に対する感謝の気持ちを込めて、年齢や地域の枠を超えたすべての皆様へ本物の音楽をお届けすることを目的とした音楽宅急便「クロネコ ファミリーコンサート」を、1986年から全国で361回開催しており、累計参加人数は約59万人となりました。
ハ.ヤマトグループは、社会とともに持続的に発展する企業を目指し、公益財団法人ヤマト福祉財団を中心に、障がい者が自主的に働く喜びを実感できる社会の実現に向けて様々な活動を行っています。具体的には、パン製造・販売を営むスワンベーカリーにおける積極的な雇用や、就労に必要な技術や知識の訓練を行う就労支援施設の運営など、障がい者の経済的な自立支援を継続的に行っています。
② キャッシュ・フローの状況
○営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは477億32百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ収入が166億1百万円減少しました。これは主に、未払費用の増減額が124億75百万円、未払消費税等の増減額が87億50百万円減少したこと、および売上債権の増減額が73億21百万円増加した一方で、法人税等の支払額が174億38百万円減少したことによるものです。
○投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは443億56百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出が219億21百万円増加しました。これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が353億7百万円あった一方で、投資有価証券の売却による収入が125億26百万円増加したことによるものです。
○財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは94億21百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ収支が401億99百万円増加しました。これは主に、借入れによる収入が418億63百万円増加したことおよび自己株式の取得による支出が189億28百万円減少した一方で、社債の発行による収入が199億28百万円減少したことによるものです。
以上により、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は2,080億57百万円となり、前連結会計年度末に比べ133億54百万円増加しました。
③ 生産、受注及び販売の実績
セグメントごとの営業収益は次のとおりであります。
なお、ヤマトグループは、貨物運送事業を中心とするサービスを主要な商品としているため、生産および受注の実績は記載を省略しております。
また、当連結会計年度から経営体制を変更したことに伴い、変更後の報告セグメントの区分に基づくセグメント別営業収益の内容を開示しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点によるヤマトグループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
ⅰ.財政状態
総資産は1兆2,674億28百万円となり、前連結会計年度末に比べ856億46百万円増加しました。これは主に、株式会社ナカノ商会の株式を取得したことにより顧客関連資産が258億27百万円、のれんが158億27百万円および有形固定資産が129億39百万円増加したことによるものです。
負債は6,670億77百万円となり、前連結会計年度末に比べ772億76百万円増加しました。これは主に、借入金が695億83百万円増加したことによるものです。
純資産は6,003億50百万円となり、前連結会計年度末に比べ83億69百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益が379億37百万円となったことおよび退職給付会計における割引率の見直しなどにより退職給付に係る調整額が172億79百万円増加した一方で、剰余金の配当を157億97百万円実施したことに加え、自己株式を310億86百万円取得したことによるものです。
以上により、自己資本比率は前連結会計年度末の49.6%から46.5%となりました。
ⅱ.経営成績
当連結会計年度の営業収益は1兆7,626億96百万円となり、前連結会計年度に比べ40億69百万円の増収となりました。これは、収益構成の変革に向けた取組みにより、投函サービスの収入は減少したものの、宅配便の収入が増加したことおよびM&Aの実施を含め法人ビジネスが拡大したことなどによるものです。
営業費用は1兆7,484億90百万円となり、前連結会計年度に比べ299億23百万円増加しました。これは、外部環境の変化による時給単価の上昇やパートナー企業に対する委託単価の上昇が継続した中で、ラストマイル領域は経営資源の適正配置や「置き配」ニーズへの対応などにより生産性が向上したものの、輸送領域のオペレーション見直しおよび新たなビジネスモデルの事業化に向けた費用が先行して増加したことなどによるものです。
この結果、当連結会計年度の営業利益は142億6百万円となり、前連結会計年度に比べ258億53百万円の減益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、バランスシート・マネジメントの強化に取り組む中で、投資有価証券売却益や固定資産売却益を計上したことなどにより379億37百万円となり、前連結会計年度に比べ3億11百万円の増益となりました。
1株当たり当期純利益は111.87円となり、前連結会計年度に比べ4.64円増加しました。
○エクスプレス事業
外部顧客への営業収益は、収益構成の変革に向けた取組みにより宅配便の収入が増加したものの、投函サービスの収入減少などにより1兆5,347億10百万円となり、前連結会計年度に比べ0.9%減少しました。営業費用は、ラストマイル領域は経営資源の適正配置や「置き配」ニーズへの対応などにより生産性が向上したものの、輸送領域のオペレーション見直しおよび新たなビジネスモデルの事業化に向けた費用が先行して増加したことなどにより前連結会計年度に比べ86億93百万円増加した結果、営業損失は128億99百万円となりました。
○コントラクト・ロジスティクス事業
外部顧客への営業収益は、前連結会計年度の新型コロナウイルスワクチンや大型リコール案件に関するロジスティクスの反動減が影響したものの、株式会社ナカノ商会の連結子会社化などにより970億74百万円となり、前連結会計年度に比べ9.0%増加しました。営業利益は、オペレーションの効率化を進めたものの営業収益の減少を補うには至らず55億82百万円となり、前連結会計年度に比べ41億20百万円減少しました。
○グローバル事業
外部顧客への営業収益は、越境ECの取扱数量の増加などにより859億50百万円となり、前連結会計年度に比べ16.1%増加しました。営業利益は、越境ECの取扱数量増加による営業収益の拡大に加え、国際フォワーディングの混載効率向上などにより90億27百万円となり、前連結会計年度に比べ23億64百万円増加しました。
○モビリティ事業
外部顧客への営業収益は、契約車両台数の増加に加え、適正単価の収受などにより205億5百万円となり、前連結会計年度に比べ1.7%増加しました。営業利益は、車両の整備や回送における委託費の増加などにより37億81百万円となり、前連結会計年度に比べ3億51百万円減少しました。
○その他
外部顧客への営業収益は244億55百万円となり、前連結会計年度に比べ22億79百万円減少しました。また、営業利益は82億円となり、前連結会計年度に比べ77百万円増加しました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報
ⅰ.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
ⅱ.資本の財源及び資金の流動性
ヤマトグループは、2027年3月期を最終年度とする中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」に基づき「持続可能な未来の実現に貢献する価値創造企業」を目指し、経済価値のみならず環境価値、社会価値を同時に創出していくことで、中長期的な企業価値向上を実現していく取組みを推進しています。本中期経営計画期間においては、オペレーションの効率化に資する拠点戦略やDX推進などへの成長投資を実施するとともに、お客様に対する環境負荷の少ない物流サービスの提供とオペレーションのエネルギー効率向上の両立を通じた低炭素社会の実現に向けて、EVや太陽光発電設備等への環境投資も実施します。なお、成長領域であるコントラクト・ロジスティクス事業およびグローバル事業では、自律的な成長施策に加え、M&Aや戦略的業務提携も活用していきます。
上記計画を財務面から支えるため、バランスシート・マネジメントの強化に取り組み、固定資産の流動化等を適宜検討するとともに、キャッシュの創出状況、保有現預金や自己資本比率等の状況、グループ資金の有効活用など、財務の健全性と効率性を意識しながら、必要に応じて金融機関からの借入および社債の発行を通じた資金調達を実施していきます。財務の健全性の観点から自己資本比率は45~50%程度、D/Eレシオ(負債資本倍率)は0.3~0.5倍程度を目安とします。株主還元については、親会社株主に帰属する当期純利益を基準とする配当性向40%以上、総還元性向50%以上を目標とし、自己株式の取得については、成長投資の進捗状況、キャッシュ・フローの動向、株価等の観点を踏まえ、柔軟に検討していきます。
③ 目標とする指標の達成状況等
中期経営計画の最終年度となる2027年3月期において、連結営業収益2兆~2兆4,000億円、連結営業利益1,200~1,600億円(連結営業利益率6%以上)、ROE12%以上、ROIC8%以上の達成を目標として設定しています。なお、当計画および数値目標については、初年度である2025年3月期の業績および当計画の進捗状況、事業環境の変化等を踏まえ、精査しています。数値目標を修正する場合には、決定次第、情報開示を行い、株主・投資家の皆様との建設的な対話に努めていきます。
④ 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定
ヤマトグループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。
重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
当連結会計年度におけるヤマトグループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
ⅰ.財政状態
総資産は1兆2,674億28百万円となり、前連結会計年度末に比べ856億46百万円増加しました。
負債は6,670億77百万円となり、前連結会計年度末に比べ772億76百万円増加しました。
純資産は6,003億50百万円となり、前連結会計年度末に比べ83億69百万円増加しました。
ⅱ.経営成績
当連結会計年度における経済環境は、世界的なインフレ傾向に落ち着きが見られる中、国内においては、物価上昇に対する価格転嫁の動きが続くなど足元の景況感は改善傾向にあり、実質賃金の減少に歯止めがかかりつつあるものの、個人消費の低迷、人手不足の深刻化など、依然として本格的な景気回復が見通しづらい状況にあります。
このような状況下、ヤマトグループは、経営理念に掲げる「豊かな社会の実現への貢献」を通じた持続的な企業価値の向上を実現するため、中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」に基づき、宅急便ネットワークの強靭化による基盤領域の利益成長、ビジネスソリューションの提供を通じた法人ビジネス領域の拡大、多様化する顧客や社会のニーズに応える新たなビジネスモデルの事業化およびグループ経営基盤の強化など「経済価値」を生み出すとともに、社会の持続可能性に向けた「環境価値」「社会価値」を創造する取組みを推進しています。
当連結会計年度の連結業績は、以下のとおりとなりました。
| 区分 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 伸率(%) | |
| 営業収益 | (百万円) | 1,758,626 | 1,762,696 | 4,069 | 0.2 |
| 営業利益 | (百万円) | 40,059 | 14,206 | △25,853 | △64.5 |
| 経常利益 | (百万円) | 40,458 | 19,587 | △20,871 | △51.6 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | (百万円) | 37,626 | 37,937 | 311 | 0.8 |
当連結会計年度の営業収益は1兆7,626億96百万円となり、前連結会計年度に比べ40億69百万円の増収となりました。これは、収益構成の変革に向けた取組みにより、投函サービスの収入は減少したものの、宅配便の収入が増加したことおよびM&Aの実施を含め法人ビジネスが拡大したことなどによるものです。
営業費用は1兆7,484億90百万円となり、前連結会計年度に比べ299億23百万円増加しました。これは、外部環境の変化による時給単価の上昇やパートナー企業に対する委託単価の上昇が継続した中で、ラストマイル領域は経営資源の適正配置や「置き配」ニーズへの対応などにより生産性が向上したものの、輸送領域のオペレーション見直しおよび新たなビジネスモデルの事業化に向けた費用が先行して増加したことなどによるものです。
この結果、当連結会計年度の営業利益は142億6百万円となり、前連結会計年度に比べ258億53百万円の減益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、バランスシート・マネジメントの強化に取り組む中で、投資有価証券売却益や固定資産売却益を計上したことなどにより379億37百万円となり、前連結会計年度に比べ3億11百万円の増益となりました。
<ヤマトグループ全体としての取組み>イ.宅急便ネットワークの強靭化と提供価値の拡大
社会的インフラとしての宅急便ネットワークをより効率的かつ持続的な形に強靭化するため、引き続き、ネットワーク・オペレーションの構造改革を推進しています。業務量変動への柔軟な対応や拠点間輸送の効率化、荷待ち時間の短縮などを実現するため、小規模・多店舗展開してきたラストマイル集配拠点の集約・大型化やターミナル機能の再定義、デジタルテクノロジーを活用した作業指示の自動化や業務量に応じた経営資源の最適配置、バックオフィスの業務プロセス改革などに取り組んでいます。
また、輸送サービスのラインアップ拡充や個人向け会員サービス「クロネコメンバーズ」を通じた顧客体験価値の向上、宅配便3商品の「カーボンニュートラル配送」などにより、お客様への提供価値を拡大するとともに、外部環境の変化を踏まえた届出運賃の年次での見直しおよび法人顧客との契約の見直しなど、適正な運賃・料金収受に向けた取組みを推進しています。
当連結会計年度においては、引き続き「クロネコメンバーズ」会員のお客様からの指定に基づき、宅急便および宅急便コンパクトの「置き配」サービスを提供するなど、より多くのお客様に快適な受け取り体験を提供するとともに、再配達の削減、物流の効率化や温室効果ガス(GHG)排出量の削減に向けた取組みを推進しました。また、小さな荷物の配送ニーズに応えるため、専用資材の事前購入により全国一律420円で荷物が送れる「こねこ便420」の東京都での拡販を推進しました。
ロ.法人ビジネス領域の拡大
世界の政治・経済とサプライチェーンのブロック化や環境問題などのリスク要因が増大し、企業は対応を求められる中、ヤマトグループは変化を機会と捉え、サプライチェーン全体に拡がる法人顧客の経営課題の解決を目指すソリューションビジネスを成長領域と位置づけています。国内外の倉庫や貨物専用機(フレイター)を含めた輸配送ネットワーク、ロジスティクスや通関、不動産関連のノウハウといったグループ経営資源を活かした付加価値の高いソリューションを提供することで、利益成長を目指しています。
コントラクト・ロジスティクス事業については、エクスプレス事業とのシナジーを重視し、宅配便を利用する法人顧客の課題解決や事業成長を支援するソリューションの提供を通じて、宅配便のさらなる利用拡大や提供価値に応じたプライシングの適正収受、新たなロジスティクス収入の獲得などの取組みを強化しています。
グローバル事業については、サプライチェーンの変化を好機と捉え、これまで宅急便で培った国内の膨大な顧客基盤を活かしつつ、オートモーティブやハイテク、食品産業など、ヤマトグループが強みを発揮している領域のさらなる拡大に努めるとともに、日本、米国・メキシコ、中国、インド、東南アジアを中心に営業力の強化を進めています。また、フォワーディングの混載効率向上や越境ECへの提案強化、注力地域の内需拡大に伴う物流需要の取込みなどに取り組んでいます。
なお、コントラクト・ロジスティクス事業とグローバル事業の拡大を加速させるため、自律的な成長施策に加え、M&Aや戦略的業務提携の検討も推進しています。当連結会計年度においては、株式会社ナカノ商会の発行済株式の87.74%を取得して連結子会社とし、コントラクト・ロジスティクス事業の拡大、エクスプレス事業とのシナジー創出、両社リソースの共同利用等のコストシナジー創出に向けたPMI(経営統合プロセス)を推進しています。
ハ.新たなビジネスモデルの事業化
持続可能な未来の実現に向けて、既存の経営資源を活用しつつ、パートナーとともに、多様化する顧客や社会のニーズに応える新たなビジネスモデルの事業化を推進しています。
モビリティ事業については、車両整備サービスを基盤に、ヤマトグループ内での環境投資や実証実験を通じて蓄積したEV、太陽光発電設備、エネルギーマネジメントなどのノウハウを活用し、車両を使用する事業者様の脱炭素化に向けた取組みを推進しています。当連結会計年度においては、温室効果ガス(GHG)削減計画の立案からEV・充電器の導入・運用支援、メンテナンス、エネルギーマネジメント、再生可能エネルギー由来電力の供給までワンストップで提供する「EVライフサイクルサービス」を開始しました。加えて、宅急便で培った法人顧客や物流事業者とのパートナーシップ、輸配送ネットワーク・オペレーション構築のノウハウを活かし、安定した輸送力の確保と環境に配慮した持続可能なサプライチェーンを構築するため、Sustainable Shared Transport株式会社が中心となり、荷主企業や物流事業者など多様なステークホルダーが参画できる共同輸配送のオープンプラットフォームを活用したサービスの提供を2025年2月より開始しました。
また、安定的なスピード輸送の提供による新たな需要の獲得と流通拡大による地域経済の活性化、輸送サービス品質の維持・向上を図るため、成田、羽田、新千歳、北九州、那覇の各空港をつなぐ貨物専用機(フレイター)を運航しています。引き続き、生鮮品や機械類、アパレルなどスピード輸送を求めるお客様への拡販を推進するとともに、お客様のさらなるニーズに対応していきます。
さらに、地域社会の多様なニーズに応えるため、荷物の発送・受取サービスに留まらない新たなサービス提供を目指す地域密着型店舗「ネコサポ」の展開や、IoT電球「HelloLight」を活用した「クロネコ見守りサービス ハローライト訪問プラン」の拡販などに取り組むとともに、地域創生に向けた取組み強化を目的として資本・業務提携を実施した、ふるさと納税代行事業者とともに、地方自治体に向けた地域情報の発信や魅力的な返礼品の開発、寄附サイトの運営代行、管理システムの提供、返礼品の流通加工やラストマイル配送に至る一貫したソリューションの提供を通じて、ふるさと納税市場におけるシェア拡大を図るとともに、地域産品の流通や観光振興などに取り組んでいます。
なお、従業員の健康リスクが高い傾向にある自動車運送事業者様における、健康管理や健康に起因する事故防止に向けた取組みを支援するため、医薬品卸売事業者と連携して「株式会社MY MEDICA(マイメディカ)」を設立し、2025年2月よりオンライン医療サービス「MY MEDICA」の提供を開始しました。
ニ.グループ経営基盤の強化
ヤマトグループは、持続的な企業価値向上を実現するための基盤として、引き続き、人事戦略、デジタル戦略を推進し、サステナブル経営およびコーポレート・ガバナンスの強化に取り組んでいます。
人事戦略については、事業構造改革と連動した人材の最適配置を優先課題として、組織・要員の適正化と評価・報酬制度の見直しに取り組んでいます。また、付加価値を創出する人材の育成に向けて、自主・自律的なキャリア形成を促進する人材マネジメント体系の整備・運用を推進しています。そして、多様な社員の働きやすさと働きがいを向上させるため、多様化する社員のライフプランに適合する福利厚生制度の構築や社員の健康管理・健康増進施策を推進するとともに、ダイバーシティの推進や人権デューデリジェンスの実施、女性活躍の推進に継続的に取り組んでいます。
デジタル戦略については、DX推進体制を強化し、デジタル基盤を活用したお客様への提供価値の拡大や「仕分け作業」や「運び方」、「働き方」の変革、バックオフィスの業務プロセス改革など、事業と一体となったDX推進に取り組んでいます。
サステナブル経営の強化については、中長期的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現に向けた2つのビジョン「つなぐ、未来を届ける、グリーン物流」「共創による、フェアで、“誰一人取り残さない”社会の実現への貢献」に基づき、特定した重要課題(マテリアリティ)に対する取組みを強化しています。
環境の領域については、「2050年温室効果ガス(GHG)排出実質ゼロ(自社排出)」および「2030年温室効果ガス(GHG)排出量48%削減(2021年3月期比)」の実現に向け、引き続き「EV23,500台の導入」「太陽光発電設備810基の導入」「再生可能エネルギー由来電力の使用率向上」などの施策を推進するとともに、サプライチェーン(Scope3)における実質排出量の把握や削減目標の設定などに取り組んでいます。当連結会計年度においては、川崎市の脱炭素先行地域において、官民連携により再生可能エネルギー由来電力を地産地消で100%使用する営業所の稼働を開始しました。本営業所は、物流拠点に最適化したヤマト運輸独自のエネルギーマネジメントシステム(EMS)を導入しており、営業所内の電力使用量、太陽光発電設備での発電量、蓄電池の充放電量をリアルタイムで可視化・自動で調整し、効率的なエネルギーマネジメントを行うとともに、最大使用電力を制御することで、電力コストの低減を図っています。なお、2025年1月にヤマトエナジーマネジメント株式会社を設立しました。今後は同社が中心となり、ヤマトグループのみならず車両を使用する事業者様に対し、ヤマトグループの拠点や各地域の発電事業者が発電した再生可能エネルギー由来電力などを提供することで、物流の脱炭素化を推進し、企業と社会の発展に取り組んでいきます。
社会の領域については、引き続き、人命の尊重を最優先とし、社員やパートナーの安全・健康に対する取組みを強化するとともに、多様な社員が活躍できる職場環境に向けた整備を進めています。そして、社会の諸課題に向き合い、ビジネスパートナーとの定期的な協議の実施や、課題の早期発見と解消のための体制・プロセス・仕組みの整備など、適切な関係に基づくサステナブル・サプライチェーンの構築を推進しています。
コーポレート・ガバナンスの強化については、引き続き、経営の監督と執行の分離、経営の透明性の維持・強化などに取り組むとともに、株主・投資家との建設的な対話や情報開示の充実を通じて、持続的な企業価値向上に努めています。
<セグメント別の概況>当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前連結会計年度比較については、前連結会計年度の数値を変更後の報告セグメントの区分に組み替えて分析しています。
○エクスプレス事業
イ.エクスプレス事業は、個人および法人のお客様に対し、宅急便を中心とした国内輸配送サービスを提供しており、サービスラインアップの拡充や個人向け会員サービス「クロネコメンバーズ」を通じた顧客体験価値の向上、宅配便3商品の「カーボンニュートラル配送」などにより、お客様への提供価値を拡大するとともに、外部環境の変化を踏まえた届出運賃の年次での見直しおよび法人顧客との契約の見直しなど、適正な運賃・料金収受を推進しています。また、EC化の進展や少子高齢化・過疎化の進展、労働力不足や気候変動のさらなる深刻化を踏まえ、社会的インフラとしての宅急便ネットワークをより効率的かつ持続的な形に強靭化するため、ネットワーク・オペレーションの構造改革を推進しています。
ロ.当連結会計年度においては、引き続き、外部環境の変化によるコスト上昇を踏まえ、届出運賃・料金を改定した上で、基盤である宅急便部門における小口法人・個人のお客様に対する営業強化および法人部門における大口法人のお客様の課題解決や事業成長を支援するソリューション提供を見据えた新規取引の拡大、既存のお客様に対する提供価値に応じた適正な運賃・料金収受の取組みを推進しました。また、「クロネコメンバーズ」会員のお客様からの指定に基づく、宅急便および宅急便コンパクトの「置き配」サービスの提供など、より多くのお客様に快適な受け取り体験を提供するとともに、再配達の削減、物流の効率化や温室効果ガス(GHG)排出量の削減に向けた取組みを推進しました。加えて、小さな荷物の配送ニーズに応えるため、専用資材の事前購入により全国一律420円で荷物が送れる「こねこ便420」の東京都での拡販を推進しました。
ネットワーク・オペレーションの構造改革については、業務量変動への柔軟な対応や拠点間輸送の効率化、荷待ち時間の短縮などを実現するため、小規模・多店舗展開してきたラストマイル集配拠点の集約・大型化やターミナル機能の再定義、デジタルテクノロジーを活用した作業指示の自動化や業務量に応じた経営資源の最適配置、バックオフィスの業務プロセス改革などの取組みを推進しました。
ハ.外部顧客への営業収益は、収益構成の変革に向けた取組みにより宅配便の収入が増加したものの、投函サービスの収入減少などにより1兆5,347億10百万円となり、前連結会計年度に比べ0.9%減少しました。営業費用は、ラストマイル領域は経営資源の適正配置や「置き配」ニーズへの対応などにより生産性が向上したものの、輸送領域のオペレーション見直しおよび新たなビジネスモデルの事業化に向けた費用が先行して増加したことなどにより前連結会計年度に比べ86億93百万円増加した結果、営業損失は128億99百万円となりました。
○コントラクト・ロジスティクス事業
イ.コントラクト・ロジスティクス事業は、宅配便を利用する法人顧客の課題解決や事業成長を支援するソリューションを提供しています。エクスプレス事業とのシナジーを重視し、宅配便のさらなる利用拡大や提供価値に応じた適正な運賃・料金収受、新たなロジスティクス収入の獲得などに取り組んでいます。
ロ.当連結会計年度においては、引き続き、セールスドライバーがお客様との接点から得る気づきなどの情報を活用し、各地域に配置した法人営業担当者が最適な提案を行えるよう営業体制の強化を図るとともに、より付加価値の高いサプライチェーンソリューションの提案やオペレーションの品質・生産性改善を加速させるため、地域特性を踏まえた組織・人材の適正化などに取り組みました。また、株式会社ナカノ商会の発行済株式の87.74%を取得して連結子会社とし、コントラクト・ロジスティクス事業の拡大、エクスプレス事業とのシナジー創出、両社リソースの共同利用等のコストシナジー創出などに向けたPMI(経営統合プロセス)を推進しています。
ハ.外部顧客への営業収益は、前連結会計年度の新型コロナウイルスワクチンや大型リコール案件に関するロジスティクスの反動減が影響したものの、株式会社ナカノ商会の連結子会社化などにより970億74百万円となり、前連結会計年度に比べ9.0%増加しました。営業利益は、オペレーションの効率化を進めたものの営業収益の減少を補うには至らず55億82百万円となり、前連結会計年度に比べ41億20百万円減少しました。
○グローバル事業
イ.グローバル事業は、日本国内および海外事業会社が連携し、国際フォワーディングや国際エクスプレス、海外現地におけるコントラクト・ロジスティクス等を組み合わせ、法人顧客のグローバルサプライチェーン全体を最適化するソリューションを提供しています。サプライチェーンの変化を好機と捉え、これまで宅急便で培った国内の膨大な顧客基盤を活かしつつ、オートモーティブやハイテク、食品産業などヤマトグループが強みを発揮している領域のさらなる拡大に努めるとともに、日本、米国・メキシコ、中国、インド、東南アジアを中心に営業力の強化を進めています。
ロ.当連結会計年度においては、引き続き、フォワーディングの混載効率向上や、拡大する越境ECへの提案強化、注力地域の内需拡大に伴う物流需要の取込みなどを推進しました。また、地政学的リスクおよび機会を踏まえ、東南アジア-欧州間におけるトラックと鉄道による国際複合一貫輸送サービスや、米国とメキシコとの国境における通関手続きを必要としない「空港間保税転送」を活用した、迅速で定時性の高い越境トラック輸送サービスを提供するなど、グローバルサプライチェーンの強靭化に取り組みました。
ハ.外部顧客への営業収益は、越境ECの取扱数量の増加などにより859億50百万円となり、前連結会計年度に比べ16.1%増加しました。営業利益は、越境ECの取扱数量増加による営業収益の拡大に加え、国際フォワーディングの混載効率向上などにより90億27百万円となり、前連結会計年度に比べ23億64百万円増加しました。
(参考)
| 区分 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 伸率(%) | |
| 宅急便・宅急便コンパクト・EAZY | (百万個) | 1,886 | 1,961 | 75 | 4.0 |
| ネコポス・クロネコゆうパケット | (百万個) | 409 | 391 | △18 | △4.5 |
| クロネコゆうメール | (百万冊) | 626 | 110 | △516 | △82.4 |
クロネコゆうメールの前連結会計年度の実績は、クロネコDM便の実績を含みます。
○モビリティ事業
イ.モビリティ事業は、運送事業者様の安全運行と車両稼働時間の拡大に資する、稼働を止めない車両整備サービスを提供しています。また、これまでヤマトグループ内での環境投資や実証実験を通じて蓄積したEV、太陽光発電設備、エネルギーマネジメントなどのノウハウを活用し、車両を使用する事業者様の脱炭素化に向けて、温室効果ガス(GHG)削減計画の立案からEV・充電器の導入・運用支援、メンテナンス、エネルギーマネジメント、再生可能エネルギー由来電力の供給を、事業者様がワンストップで利用できる「EVライフサイクルサービス」の拡販を推進しています。
ロ.当連結会計年度においては、作業効率と社員の働きやすさを追求した車両整備工場の稼動など、需要の多い地域においてさらなるネットワーク強化を図るとともに、車両整備サービスの拡販と適正単価の収受に取り組みました。また「EVライフサイクルサービス」のファーストユーザーとして、医薬品卸売業の事業者様への提供を開始しました。
ハ.外部顧客への営業収益は、契約車両台数の増加に加え、適正単価の収受などにより205億5百万円となり、前連結会計年度に比べ1.7%増加しました。営業利益は、車両の整備や回送における委託費の増加などにより37億81百万円となり、前連結会計年度に比べ3億51百万円減少しました。
○その他
イ.ヤマトグループが保有するITやコールセンター、金融サービスなどの機能は、お客様のサプライチェーン全体に対する提供価値拡大に向けた取組みを支えています。当連結会計年度においては、引き続き、お客様の業務効率化とエンドユーザーの利便性向上に資するITサービスの提供などを推進しました。
ロ.外部顧客への営業収益は244億55百万円となり、前連結会計年度に比べ22億79百万円減少しました。また、営業利益は82億円となり、前連結会計年度に比べ77百万円増加しました。
<その他の取組み>イ.ヤマトグループは、人命の尊重を最優先とし、安全に対する様々な取組みを実施しており、輸送を主な事業とするグループ各社を中心に、安全管理規程の策定および管理体制の構築、年度計画の策定など、運輸安全マネジメントに取り組んでいます。当連結会計年度においては、引き続き「こども交通安全教室」を幼稚園・小学校などで開催するとともに、グループ全体での「交通事故ゼロ運動」や全国のドライバーが安全運転の技能や知識を競い合う「全国安全大会」を開催するなど、安全意識の向上を図る取組みを推進しました。
ロ.ヤマトグループは、豊かな地域づくりがヤマトグループの成長と発展の基盤であると考え、地域社会の健全で持続的な発展とそこに暮らす人々の質の高い生活の確保を目指し、企業市民活動に取り組んでいます。環境の領域では、全国にネットワークを有する企業グループとして、地域の豊かな自然を将来に繋げていくため、次世代を担う子どもたちへの環境教育をサポートする「クロネコヤマト環境教室」を、2005年から全国で3,000回以上開催しており、累計参加人数は約26万人となりました。また、地域コミュニティの領域では、お客様や地域の皆様に対する感謝の気持ちを込めて、年齢や地域の枠を超えたすべての皆様へ本物の音楽をお届けすることを目的とした音楽宅急便「クロネコ ファミリーコンサート」を、1986年から全国で361回開催しており、累計参加人数は約59万人となりました。
ハ.ヤマトグループは、社会とともに持続的に発展する企業を目指し、公益財団法人ヤマト福祉財団を中心に、障がい者が自主的に働く喜びを実感できる社会の実現に向けて様々な活動を行っています。具体的には、パン製造・販売を営むスワンベーカリーにおける積極的な雇用や、就労に必要な技術や知識の訓練を行う就労支援施設の運営など、障がい者の経済的な自立支援を継続的に行っています。
② キャッシュ・フローの状況
○営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは477億32百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ収入が166億1百万円減少しました。これは主に、未払費用の増減額が124億75百万円、未払消費税等の増減額が87億50百万円減少したこと、および売上債権の増減額が73億21百万円増加した一方で、法人税等の支払額が174億38百万円減少したことによるものです。
○投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは443億56百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出が219億21百万円増加しました。これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が353億7百万円あった一方で、投資有価証券の売却による収入が125億26百万円増加したことによるものです。
○財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは94億21百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ収支が401億99百万円増加しました。これは主に、借入れによる収入が418億63百万円増加したことおよび自己株式の取得による支出が189億28百万円減少した一方で、社債の発行による収入が199億28百万円減少したことによるものです。
以上により、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は2,080億57百万円となり、前連結会計年度末に比べ133億54百万円増加しました。
③ 生産、受注及び販売の実績
セグメントごとの営業収益は次のとおりであります。
なお、ヤマトグループは、貨物運送事業を中心とするサービスを主要な商品としているため、生産および受注の実績は記載を省略しております。
また、当連結会計年度から経営体制を変更したことに伴い、変更後の報告セグメントの区分に基づくセグメント別営業収益の内容を開示しております。
| セグメントの名称 | 前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 比 較 増減率 (%) | |||
| 収入 | 金額 (百万円) | 構成比 (%) | 金額 (百万円) | 構成比 (%) | ||
| エクスプレス事業 | 運送収入 | 1,527,583 | 86.9 | 1,514,931 | 85.9 | △0.8 |
| 物流支援収入 | 49,191 | 2.8 | 47,606 | 2.7 | △3.2 | |
| その他 | 42,522 | 2.4 | 41,009 | 2.3 | △3.6 | |
| 内部売上消去 | △70,697 | △4.0 | △68,837 | △3.9 | △2.6 | |
| 計 | 1,548,598 | 88.1 | 1,534,710 | 87.1 | △0.9 | |
| コントラクト・ ロジスティクス事業 | 運送収入 | 10,123 | 0.6 | 18,825 | 1.1 | 86.0 |
| 物流支援収入 | 88,113 | 5.0 | 81,916 | 4.6 | △7.0 | |
| その他 | 1,955 | 0.1 | 5,121 | 0.3 | 161.8 | |
| 内部売上消去 | △11,118 | △0.6 | △8,789 | △0.5 | △21.0 | |
| 計 | 89,073 | 5.1 | 97,074 | 5.5 | 9.0 | |
| グローバル事業 | 運送収入 | 6,157 | 0.4 | 6,510 | 0.4 | 5.7 |
| 物流支援収入 | 96,084 | 5.5 | 116,480 | 6.6 | 21.2 | |
| その他 | 3,533 | 0.2 | 3,745 | 0.2 | 6.0 | |
| 内部売上消去 | △31,719 | △1.8 | △40,786 | △2.3 | 28.6 | |
| 計 | 74,055 | 4.2 | 85,950 | 4.9 | 16.1 | |
| モビリティ事業 | その他 | 57,115 | 3.2 | 57,630 | 3.3 | 0.9 |
| 内部売上消去 | △36,952 | △2.1 | △37,125 | △2.1 | 0.5 | |
| 計 | 20,163 | 1.1 | 20,505 | 1.2 | 1.7 | |
| その他 | その他 | 96,785 | 5.5 | 71,872 | 4.1 | △25.7 |
| 内部売上消去 | △70,050 | △4.0 | △47,417 | △2.7 | △32.3 | |
| 計 | 26,734 | 1.5 | 24,455 | 1.4 | △8.5 | |
| 合 計 | 1,758,626 | 100.0 | 1,762,696 | 100.0 | 0.2 | |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点によるヤマトグループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
ⅰ.財政状態
総資産は1兆2,674億28百万円となり、前連結会計年度末に比べ856億46百万円増加しました。これは主に、株式会社ナカノ商会の株式を取得したことにより顧客関連資産が258億27百万円、のれんが158億27百万円および有形固定資産が129億39百万円増加したことによるものです。
負債は6,670億77百万円となり、前連結会計年度末に比べ772億76百万円増加しました。これは主に、借入金が695億83百万円増加したことによるものです。
純資産は6,003億50百万円となり、前連結会計年度末に比べ83億69百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益が379億37百万円となったことおよび退職給付会計における割引率の見直しなどにより退職給付に係る調整額が172億79百万円増加した一方で、剰余金の配当を157億97百万円実施したことに加え、自己株式を310億86百万円取得したことによるものです。
以上により、自己資本比率は前連結会計年度末の49.6%から46.5%となりました。
ⅱ.経営成績
当連結会計年度の営業収益は1兆7,626億96百万円となり、前連結会計年度に比べ40億69百万円の増収となりました。これは、収益構成の変革に向けた取組みにより、投函サービスの収入は減少したものの、宅配便の収入が増加したことおよびM&Aの実施を含め法人ビジネスが拡大したことなどによるものです。
営業費用は1兆7,484億90百万円となり、前連結会計年度に比べ299億23百万円増加しました。これは、外部環境の変化による時給単価の上昇やパートナー企業に対する委託単価の上昇が継続した中で、ラストマイル領域は経営資源の適正配置や「置き配」ニーズへの対応などにより生産性が向上したものの、輸送領域のオペレーション見直しおよび新たなビジネスモデルの事業化に向けた費用が先行して増加したことなどによるものです。
この結果、当連結会計年度の営業利益は142億6百万円となり、前連結会計年度に比べ258億53百万円の減益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、バランスシート・マネジメントの強化に取り組む中で、投資有価証券売却益や固定資産売却益を計上したことなどにより379億37百万円となり、前連結会計年度に比べ3億11百万円の増益となりました。
1株当たり当期純利益は111.87円となり、前連結会計年度に比べ4.64円増加しました。
○エクスプレス事業
外部顧客への営業収益は、収益構成の変革に向けた取組みにより宅配便の収入が増加したものの、投函サービスの収入減少などにより1兆5,347億10百万円となり、前連結会計年度に比べ0.9%減少しました。営業費用は、ラストマイル領域は経営資源の適正配置や「置き配」ニーズへの対応などにより生産性が向上したものの、輸送領域のオペレーション見直しおよび新たなビジネスモデルの事業化に向けた費用が先行して増加したことなどにより前連結会計年度に比べ86億93百万円増加した結果、営業損失は128億99百万円となりました。
○コントラクト・ロジスティクス事業
外部顧客への営業収益は、前連結会計年度の新型コロナウイルスワクチンや大型リコール案件に関するロジスティクスの反動減が影響したものの、株式会社ナカノ商会の連結子会社化などにより970億74百万円となり、前連結会計年度に比べ9.0%増加しました。営業利益は、オペレーションの効率化を進めたものの営業収益の減少を補うには至らず55億82百万円となり、前連結会計年度に比べ41億20百万円減少しました。
○グローバル事業
外部顧客への営業収益は、越境ECの取扱数量の増加などにより859億50百万円となり、前連結会計年度に比べ16.1%増加しました。営業利益は、越境ECの取扱数量増加による営業収益の拡大に加え、国際フォワーディングの混載効率向上などにより90億27百万円となり、前連結会計年度に比べ23億64百万円増加しました。
○モビリティ事業
外部顧客への営業収益は、契約車両台数の増加に加え、適正単価の収受などにより205億5百万円となり、前連結会計年度に比べ1.7%増加しました。営業利益は、車両の整備や回送における委託費の増加などにより37億81百万円となり、前連結会計年度に比べ3億51百万円減少しました。
○その他
外部顧客への営業収益は244億55百万円となり、前連結会計年度に比べ22億79百万円減少しました。また、営業利益は82億円となり、前連結会計年度に比べ77百万円増加しました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報
ⅰ.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
ⅱ.資本の財源及び資金の流動性
ヤマトグループは、2027年3月期を最終年度とする中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」に基づき「持続可能な未来の実現に貢献する価値創造企業」を目指し、経済価値のみならず環境価値、社会価値を同時に創出していくことで、中長期的な企業価値向上を実現していく取組みを推進しています。本中期経営計画期間においては、オペレーションの効率化に資する拠点戦略やDX推進などへの成長投資を実施するとともに、お客様に対する環境負荷の少ない物流サービスの提供とオペレーションのエネルギー効率向上の両立を通じた低炭素社会の実現に向けて、EVや太陽光発電設備等への環境投資も実施します。なお、成長領域であるコントラクト・ロジスティクス事業およびグローバル事業では、自律的な成長施策に加え、M&Aや戦略的業務提携も活用していきます。
上記計画を財務面から支えるため、バランスシート・マネジメントの強化に取り組み、固定資産の流動化等を適宜検討するとともに、キャッシュの創出状況、保有現預金や自己資本比率等の状況、グループ資金の有効活用など、財務の健全性と効率性を意識しながら、必要に応じて金融機関からの借入および社債の発行を通じた資金調達を実施していきます。財務の健全性の観点から自己資本比率は45~50%程度、D/Eレシオ(負債資本倍率)は0.3~0.5倍程度を目安とします。株主還元については、親会社株主に帰属する当期純利益を基準とする配当性向40%以上、総還元性向50%以上を目標とし、自己株式の取得については、成長投資の進捗状況、キャッシュ・フローの動向、株価等の観点を踏まえ、柔軟に検討していきます。
③ 目標とする指標の達成状況等
中期経営計画の最終年度となる2027年3月期において、連結営業収益2兆~2兆4,000億円、連結営業利益1,200~1,600億円(連結営業利益率6%以上)、ROE12%以上、ROIC8%以上の達成を目標として設定しています。なお、当計画および数値目標については、初年度である2025年3月期の業績および当計画の進捗状況、事業環境の変化等を踏まえ、精査しています。数値目標を修正する場合には、決定次第、情報開示を行い、株主・投資家の皆様との建設的な対話に努めていきます。
④ 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定
ヤマトグループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。
重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。