有価証券報告書-第155期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度におけるヤマトグループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
ⅰ.財政状態
総資産は1兆1,007億39百万円となり、前連結会計年度に比べ229億20百万円減少しました。
負債は5,379億4百万円となり、前連結会計年度に比べ123億66百万円減少しました。
純資産は5,628億35百万円となり、前連結会計年度に比べ105億53百万円減少しました。
ⅱ.経営成績
当連結会計年度における経済環境は、第3四半期までは企業業績が底堅さを維持し緩やかな回復基調が続いていたものの、2020年1月以降は世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い大幅に悪化しており、今後の感染拡大ペースや収束時期が不透明な中、内外経済環境の回復が見通せない状況にあります。
一方、物流業界においては、消費スタイルの急速な変化によりEC市場が拡大する中、第3四半期までは国内労働需給の逼迫や消費増税の影響による個人消費の低迷などにより厳しい経営環境が継続していたことに加え、2020年1月以降は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う世界的な製造業の生産活動や貿易の停滞、移動の制限によるインバウンド需要の急激な減少、サービス業を中心とした営業自粛など経済活動全般が縮小しており、今後の経営環境への影響が不透明な状況にあります。
このような状況下、ヤマトグループは高品質なサービスを提供し続けるため、「働き方改革」を経営の中心に据え、「デリバリー事業の構造改革」、「非連続成長を実現するための収益・事業構造改革」、「持続的に成長していくためのグループ経営構造改革」の3つの改革を柱とする中期経営計画「KAIKAKU 2019 for NEXT100」に基づき、ヤマトグループが持続的に成長していくための経営基盤の強化に取り組むとともに、新型コロナウイルス感染症の拡大に対応し、お客様、社員の安全を最優先に、宅急便をはじめとする物流サービスの継続に取り組みました。
デリバリー事業においては、収益力の回復に向けて、プライシングの適正化や新規顧客への営業を推進するとともに、コストコントロールの強化に取り組みました。また、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う需要と物流の変化に応えるべく、社会的インフラである宅急便ネットワークの安定稼働に取り組みました。
ノンデリバリー事業においては、グループ各社の強みを活かした既存サービスの拡充に取り組むとともに、グループ全体でアカウントマネジメントを強化し、お客様の課題解決に当たるソリューション営業を積極的に推進しました。
当連結会計年度の連結業績は以下のとおりとなりました。
上記のとおり、営業収益は1兆6,301億46百万円となり、前連結会計年度に比べ48億31百万円の増収となりました。これは主に、デリバリー事業の構造改革を推進した中で、宅急便単価が上昇したことによるものです。営業費用は1兆5,854億45百万円となり、前連結会計年度に比べ184億75百万円増加しました。これは主に、集配体制の構築に向けて増員などを進めたことで、委託費は減少したものの、人件費が増加したことなどによるものです。
この結果、営業利益は447億1百万円となり、前連結会計年度に比べ136億44百万円の減益となりました。
経常利益は、海外関連会社に係るのれんの減損を持分法による投資損失として計上したことなどにより406億25百万円となりました。
これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は223億24百万円となり、前連結会計年度に比べ33億58百万円の減益となりました。
<ヤマトグループ全体としての取組み>イ.ヤマトグループは、グループの原点である「全員経営」を実践するため、「働き方改革」を最優先課題とし、ヤマト運輸株式会社の「働き方改革室」、グループ各社の「働き方創造委員会」を中心に、社員がより「働きやすさ」と「働きがい」を持ち、イキイキと働ける労働環境の整備に全社一丸で取り組みました。また、各事業が一体となって付加価値の高い事業モデルを創出し、日本経済の成長戦略と、国際競争力の強化に貢献する「バリュー・ネットワーキング」構想を推進するとともに、事業の創出・成長の基盤となる健全な企業風土の醸成に取り組みました。
ロ.健全な企業風土の醸成に向けて、引き続き輸送体制の整備やデジタルテクノロジーの活用による業務量の見える化など、業務の効率性・信頼性を向上させる施策を推進するとともに、安全施策や環境施策、地域活性化に向けた取組み、グループガバナンスの抜本的かつ包括的な再構築など、持続的成長に向けたESGの取組みを積極的に推進しました。
ハ.「バリュー・ネットワーキング」構想の更なる進化に向け、ヤマトグループのネットワークを活かした高付加価値モデルの創出に取り組みました。国内外のお客様の様々なニーズに対応するために、既存のラストワンマイルネットワークに加え、「羽田クロノゲート」、「沖縄国際物流ハブ」、関東・中部・関西の主要都市を繋ぐ各ゲートウェイなどの革新的なネットワーク基盤を効果的に活用するとともに、グループ全体でアカウントマネジメントの強化に取り組みました。
ニ.グローバル市場に対しては、クロスボーダー物流の拡大に対応するため、日本・東アジア・東南アジア・欧州・米州の5極間の連携と各地域の機能強化を推進するとともに、グローバル関連事業のマネジメント強化に取り組みました。また、既にヤマトグループ8社が取得した小口保冷配送サービスに関する国際規格の認証を活用し、高付加価値なクロスボーダー・ネットワークの構築を積極的に推進しました。
ホ.EC市場を中心としたお客様の利便性向上を図るため、オープン型宅配便ロッカーネットワークの構築を積極的に推進するなど、手軽に荷物の受け取りと発送ができる環境の整備に取り組むとともに、自動運転技術の活用など、次世代物流サービスの開発に取り組みました。また、深刻化する労働力不足などの社会的課題や、益々拡大するEC市場に対応するため、物流全体におけるデジタル化の推進による集配、作業、事務の効率化や、輸送効率を高めネットワーク全体を最適化するための幹線ネットワークの構造改革にも取り組みました。
へ.持続的に成長していくためのグループ経営構造改革を推進し、今後のヤマトグループにおける中長期の経営のグランドデザインとして経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」を策定するとともに、顧客接点の強化、生産性の向上に向けた宅急便のデジタルトランスフォーメーションや、ECエコシステムの確立に向けた大手EC事業者様との協業による物流サービス構築の取組みなどを推進しました。
<事業フォーメーション別の概況>○デリバリー事業
宅急便、クロネコDM便の取扱数量は以下のとおりです。
イ.デリバリー事業は、お客様にとって一番身近なインフラとなり、豊かな社会の実現に貢献するために、宅急便を中心とした事業の展開に取り組んでいます。
ロ.消費スタイルの急速な変化によりEC市場が拡大する中、第3四半期までは国内労働需給の逼迫や消費増税の影響による個人消費の低迷などにより厳しい経営環境が継続していた状況の下、収益力の回復に向けて、プライシングの適正化や新規顧客への営業を推進するとともに、コストコントロールの強化に取り組みました。また、物流全体におけるデジタル化の推進による集配、作業、事務の効率化や、輸送効率を高めネットワーク全体を最適化するための幹線ネットワークの構造改革にも取り組みました。2020年1月以降は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う世界的な製造業の生産活動や貿易の停滞、移動の制限によるインバウンド需要の急激な減少、サービス業を中心とした営業自粛など経済活動全般が縮小している状況下、需要と物流の変化に応えるべく、社会的インフラである宅急便ネットワークの安定稼働に取り組みました。
ハ.成長が続くEC市場に対しては、お客様のライフスタイルの変化により多様化するニーズに合わせて、小さな荷物を手軽に送ることができる「宅急便コンパクト」、「ネコポス」の拡販を進めるとともに、複数のフリマサイトと連携し、発送窓口の拡大を推進しました。当連結会計年度においては、引き続きフリマサイトやEC事業者様と連携し、個人のお客様が商品をコンビニエンスストアやオープン型宅配便ロッカー(PUDOステーション)から簡単に発送できる環境や、お客様が商品を購入した場合に、受け取り場所として宅急便センターやコンビニエンスストア、PUDOステーションを指定できる環境を整備し、利便性の向上を図りました。また、個人のお客様については、宅急便の発送手続きをスマートフォンで完結でき、オンライン決済や匿名配送などを利用できるサービスの拡販を推進しました。
ニ.法人のお客様については、お客様の経営課題を的確に把握し、その課題に沿ったソリューション提案を積極的に推進しました。当連結会計年度においては、グループ連携のもと引き続きアカウントマネジメントを強化し、グループの経営資源を活用した付加価値の高い提案を行い、収益性の向上に取り組みました。
ホ.地域の課題解決に向けて、複数の自治体や企業と連携し、買い物困難者の支援、高齢者の見守り支援など、住民へのサービス向上に取り組みました。また、観光支援や地域産品の販路拡大支援など、地元産業の活性化につながる取組みを推進しました。
ヘ.営業収益は、デリバリー事業の構造改革を推進した中で、宅急便単価が上昇したことなどにより1兆3,100億67百万円となり、前連結会計年度に比べ1.0%増加しました。営業利益は、委託費は減少したものの、人件費が増加したことなどにより272億49百万円となり、前連結会計年度に比べ33.2%減少しました。
○BIZ-ロジ事業
イ.BIZ-ロジ事業は、宅急便ネットワークをはじめとした経営資源に、ロジスティクス機能、メンテナンス・リコール対応機能、医療機器の洗浄機能、国際輸送機能などを組み合わせることにより、お客様に革新的な物流システムを提供しています。
ロ.EC向けサービスとしては、受発注対応から在庫の可視化、スピード出荷などの多様なサービスをワンストップで提供しています。また、医療機器関連事業者様に向けたサービスとしては、配送だけでなく、病院から返却された手術用工具の洗浄、メンテナンス、再貸出までトータルにサポートし、お客様の物流改革を支援しています。当連結会計年度においては、既存のお客様を中心にサービスの拡販を推進しました。
ハ.営業収益は、EC向けサービスにおけるプライシング適正化による一部顧客の取扱い減少などにより1,439億34百万円となり、前連結会計年度に比べ2.4%減少しました。営業利益は物流拠点の見直しによる効率化などにより49億75百万円となり、前連結会計年度に比べ49.5%増加しました。
○ホームコンビニエンス事業
イ.ホームコンビニエンス事業は、法人のお客様の社員向けに提供している引越サービスに不適切な請求があった事態を受けて、引き続き、引越事業の抜本的な見直し、商品設計の見直しなど再発防止に取り組んでいます。当連結会計年度においては、個人のお客様向けに新たな単身者向け引越サービス「わたしの引越」の提供を開始し、品質向上と提供エリアの拡大に取り組みました。
ロ.営業収益は、引越サービス休止による影響に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大などにより引越需要が減少したことなどにより278億5百万円となり、前連結会計年度に比べ16.8%減少しました。利益面においては、営業損失が100億61百万円となりました。
○e-ビジネス事業
イ.e-ビジネス事業は、お客様の業務プロセスの効率化や潜在的な課題の解決に向けて、情報機能に物流機能、決済機能を融合させたソリューションプラットフォームビジネスを積極的に展開しています。また、グループの事業成長を加速させるため、従来のITにとどまらず、AIやIoTなどを用いた新技術の活用を推進しています。
ロ.お客様の業務効率化に向けたサービスとして、金融業界向けには、お手続き時の本人確認書類や必要書類を、スマホやパソコンなどWeb上にアップロードすることで、契約者様が安全・簡単に書類提出できる「証明書類Web取得サービス」を提供しています。当連結会計年度においては、中古品の買取やECの返品で必要となる企業から個人への支払いを、個人が希望する電子マネー等でキャッシュレスに受け取ることができる「マルチバリューチャージサービス」の拡販を推進しました。
ハ.営業収益は、消費税率引上げに伴うキャッシュレス・ポイント還元事業に関するシステム構築などの業務受託や、PCなどIT資産の機器調達から資産管理までトータルでサポートする「IT資産運用最適化サービス」の拡販が進んだことなどにより305億79百万円となり、前連結会計年度に比べ15.0%増加しました。営業利益は106億68百万円となり、前連結会計年度に比べ22.1%増加しました。
○フィナンシャル事業
イ.フィナンシャル事業は、通販商品の代金回収、企業間の決済、および車両のリースなど、お客様の様々なニーズにお応えする決済・金融サービスを展開しています。
ロ.決済サービスに関しては、主力商品である「宅急便コレクト」の提供に加えて、ネット総合決済サービス「クロネコwebコレクト」や「クロネコ代金後払いサービス」、電子マネー決済機能の利用拡大を推進しています。当連結会計年度においては、今後も拡大が見込まれるEC市場に対して、事業者様が新規参入するために必要なショッピングカート機能、決済、配送をワンストップで支援できる「らくうるカート」の拡販に取り組みました。また、「クロネコ代金後払いサービス」については、購入者様に払込票を郵送する従来の「払込票タイプ」に加え、商品受け取り後にスマートフォンの画面上で多様な決済方法を選択できる「スマホタイプ」の拡販に取り組みました。
ハ.営業収益は、「クロネコwebコレクト」や「クロネコ代金後払いサービス」の利用が増加しているものの、決済ニーズの変化による代引き市場の縮小などに伴い、「宅急便コレクト」の取扱いが減少したことなどにより770億72百万円となり、前連結会計年度に比べ3.6%減少しました。営業利益は63億22百万円となり、前連結会計年度にリース事業において計上した在庫評価損の反動等により、前連結会計年度に比べ1.3%増加しました。
○オートワークス事業
イ.オートワークス事業は、物流事業者様へ「車両整備における利便性の向上」、「整備費用の削減」という価値を提供するとともに、「物流施設、設備機器の維持保全・職場環境改善」やこれらの資産を対象に「お客様のリスクマネジメントに繋がる最適な保険提案」という機能を付加することで、お客様の資産稼働率を高めるサービスを展開しています。
ロ.当連結会計年度においては、お客様との定期的なコミュニケーションによるメンテナンスサービスの拡販に取り組み、利用が拡大しました。
ハ.営業収益は、燃料販売量が減少したことなどにより249億22百万円となり、前連結会計年度に比べ4.1%減少しました。営業利益は42億95百万円となり、前連結会計年度に比べ3.1%減少しました。
○その他
イ.「JITBOXチャーター便」は、複数の企業グループのネットワークを用いたボックス輸送を通じて、お客様に「適時納品」や「多頻度適量納品」という付加価値を提供しています。当連結会計年度においては、既存のサービスが好調であったことにより、利用が着実に拡大しました。
ロ.営業利益は、ヤマトホールディングス株式会社がグループ各社から受け取る配当金などを除いて18億93百万円となり、前連結会計年度に比べ14.7%減少しました。
イ.ヤマトグループは、人命の尊重を最優先とし、安全に対する様々な取組みを実施しており、輸送を主な事業とするグループ各社を中心に、安全管理規程の策定および管理体制の構築、年度計画の策定など、運輸安全マネジメントに取り組んでいます。当連結会計年度においては、グループ全体で安全意識の向上を図るため、海外を含めたグループ全体で「交通事故ゼロ運動」を実施するとともに、ヤマト運輸株式会社が「第9回全国安全大会」を開催し、安全意識や運転技術の向上に取り組みました。また、子どもたちに交通安全の大切さを伝える「こども交通安全教室」を1998年より継続して全国の保育所・幼稚園・小学校などで開催しており、累計参加人数は約340万人となりました。
ロ.ヤマトグループは、社会的インフラとしてお客様をはじめ社会の信頼に応えていくために、コンプライアンス経営を推進し、労働時間管理ルールの見直しや社員の新しい働き方を創造するなど、社員が「働きやすさ」と「働きがい」を持ち、イキイキと働ける労働環境の整備を進め、「働き方改革」に全社を挙げて取り組みました。その結果、総労働時間の短縮や年次有給休暇の取得率向上などが進むとともに、社員の働く意識も改善しました。
ハ.ヤマトグループは、グループ経営の健全性を高めるため、当社に設置した「グループガバナンス改革室」が中心となり、グループガバナンスの抜本的かつ包括的な再構築に取り組みました。当連結会計年度においては、グループ全体の倫理観の醸成、更なる理念の浸透および業務での実践を促進するため、企業理念を構成する企業姿勢、社員行動指針の一部改訂を行い、全社員への倫理教育を推進するとともに、グループ全体の商品審査体制の強化やグループ各社でコンプライアンス強化を担当する人材の育成などに取り組みました。
ニ.ヤマトグループは、気候変動や大気汚染、資源減少、生物多様性の損失などが、持続可能な社会の実現にとって重要な課題であることを認識しています。気候変動への対策としては、CO2の排出がより少ない車両へのシフトや小型商用EVトラックの導入、自動車を使わない集配などに取り組んでいます。当連結会計年度においては、主要都市間の幹線輸送の効率化によるCO2排出量の低減および長距離輸送を担うドライバーの負担軽減に資する「スーパーフルトレーラSF25」の運行区間を、従来の関東(神奈川県)・関西(大阪府)間から九州(福岡県)まで伸長しました。また、次世代を担う子どもたちへの環境教育をサポートする「クロネコヤマト環境教室」を2005年より継続して全国各地で開催しており、累計参加人数は約25万人となりました。
ホ.ヤマトグループは、より持続的な社会的価値の創造に向けて、社会と価値を共有するCSV(クリエーティング・シェアード・バリュー=共有価値の創造)という概念に基づいた取組みを推進しています。当連結会計年度においては、過疎化や高齢化が進む中山間地域等のバス・鉄道路線網の維持と物流の効率化による地域住民の生活サービス向上を目的とする「客貨混載」を推進しました。また、訪日外国人など増加する観光客の利便性向上と地域経済の活性化に向けて、手荷物預かりや宿泊施設への手荷物当日配送などを拡大し、手ぶら観光サービスの取組みを推進しました。ライフステージの変化が進む都市郊外部においては、拠点を活用した地域コミュニティの活性化や、買い物・家事代行などくらしのサポートサービスを提供することで、地域住民が快適に生活できる町づくりを支援する取組みを推進しました。全国各地で高齢者の見守り支援や観光支援、地域産品の販路拡大支援など、ヤマトグループの経営資源を活用した地域活性化や課題解決に行政と連携して取り組み、案件数の累計は検討段階のものを含め1,102件となりました。
ヘ.ヤマトグループは、社会とともに持続的に発展する企業を目指し、公益財団法人ヤマト福祉財団を中心に、障がい者が自主的に働く喜びを実感できる社会の実現に向けて様々な活動を行っています。具体的には、パン製造・販売を営むスワンベーカリーにおける積極的な雇用や、クロネコDM便の委託配達を通じた働く場の提供、就労に必要な技術や知識の訓練を行う就労支援施設の運営など、障がい者の経済的な自立支援を継続的に行っています。
ト.ヤマトグループは「サステナビリティの取組み~環境と社会を組み込んだ経営~」を、2020年1月に策定した中長期の経営のグランドデザインである経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」における基盤構造改革の一つとして位置づけました。持続可能な未来を切り拓く将来の姿として掲げた「つなぐ、未来を届ける、グリーン物流」、「共創による、フェアで、“誰一人取り残さない”社会の実現への貢献」という2つのビジョンの下、人や資源、情報を高度につなぎ、輸送をより効率化させることで、環境や生活、経済によりよい物流の実現を目指し、特定した重要課題に対する取組みを推進していきます。
② キャッシュ・フローの状況
○営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは744億33百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ436億60百万円減少しました。これは主に、税金等調整前当期純利益が445億81百万円となり、収入が76億76百万円減少したこと、仕入債務の増減額が155億40百万円減少したこと、および法人税等の支払額が162億89百万円増加したことによるものであります。
○投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは499億43百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ49億28百万円減少しました。これは主に、有形固定資産の売却による収入が89億27百万円、投資有価証券の売却による収入が18億97百万円増加した一方で、有形固定資産の取得による支出が67億94百万円増加したことによるものであります。
○財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは223億68百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出が485億78百万円減少しました。これは主に、前連結会計年度の社債の償還による支出100億円が当連結会計年度において発生しなかったこと、および借入金の収支による収入が561億42百万円増加した一方で、自己株式の取得による支出が156億87百万円増加したことによるものであります。
以上により、当連結会計年度における現金及び現金同等物は1,966億62百万円となり、前連結会計年度末に比べ20億12百万円増加しました。
③ 生産、受注及び販売の実績
セグメントごとの事業別営業収益は次のとおりであります。
なお、ヤマトグループは、貨物運送事業を中心とするサービスを主要な商品としているため、生産および受注の実績は記載を省略しております。
各事業の機能強化および経営効率化などを目的として、主に次のとおり事業区分を変更し、あわせて前連結会計年度の数値を組み替えて表示しております。
※1.BIZ-ロジ事業において、当連結会計年度より、次のとおり事業区分を変更しております。
・プロダクツロジスティクスをその他に含めて表示しております。
・販売物流サービス、マルチメンテナンス、テクニカルネットワーク、e-ロジソリューションの4事業およびその他に含めていたメディカルロジスティクス、ドキュメンツロジスティクス、e-オンデマンドソリューション、セットアップ・ロジソリューションの4事業を、ロジスティクスとして表示しております。
※2.ホームコンビニエンス事業において、当連結会計年度より、ビジネスコンビニエンスをホームコンビニエンスに含めて表示しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点によるヤマトグループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
ⅰ.財政状態
総資産は1兆1,007億39百万円となり、前連結会計年度に比べ229億20百万円減少しました。これは主に、持分法による投資損失の計上や、時価評価や売却などにより投資有価証券が137億2百万円減少したこと、およびフィナンシャル事業等において受取手形及び売掛金が61億78百万円減少したことなどによるものであります。
負債は5,379億4百万円となり、前連結会計年度に比べ123億66百万円減少しました。これは主に、デリバリー事業等において固定資産購入に係る債務が129億57百万円減少したこと、およびフィナンシャル事業等において支払手形及び買掛金が118億56百万円減少した一方で、借入金が92億円増加したことによるものであります。
純資産は5,628億35百万円となり、前連結会計年度に比べ105億53百万円減少しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益が223億24百万円となったこと、剰余金の配当を114億33百万円実施したことに加え、自己株式を156億85百万円取得したことによるものであります。
以上により、自己資本比率は前連結会計年度と同一の50.4%となりました。
ⅱ.経営成績
営業収益は1兆6,301億46百万円となり、前連結会計年度に比べ48億31百万円の増収となりました。これは主に、デリバリー事業の構造改革を推進した中で、宅急便単価が上昇したことによるものです。営業費用は1兆5,854億45百万円となり、前連結会計年度に比べ184億75百万円増加しました。これは主に、集配体制の構築に向けて増員などを進めたことで、委託費は減少したものの、人件費が増加したことなどによるものです。
この結果、営業利益は447億1百万円となり、前連結会計年度に比べ136億44百万円の減益となりました。
経常利益は、海外関連会社に係るのれんの減損を持分法による投資損失として計上したことなどにより406億25百万円となりました。
これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は223億24百万円となり、前連結会計年度に比べ33億58百万円の減益となりました。
1株当たり当期純利益は56.78円となり、前連結会計年度に比べ8.36円減少しました。
○デリバリー事業
営業収益は、デリバリー事業の構造改革を推進した中で、宅急便単価が上昇したことなどにより1兆3,100億67百万円となり、前連結会計年度に比べ1.0%増加しました。営業利益は、委託費は減少したものの、人件費が増加したことなどにより272億49百万円となり、前連結会計年度に比べ33.2%減少しました。
○BIZ-ロジ事業
営業収益は、EC向けサービスにおけるプライシング適正化による一部顧客の取扱い減少などにより1,439億34百万円となり、前連結会計年度に比べ2.4%減少しました。営業利益は物流拠点の見直しによる効率化などにより49億75百万円となり、前連結会計年度に比べ49.5%増加しました。
○ホームコンビニエンス事業
営業収益は、引越サービス休止による影響に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大などにより引越需要が減少したことなどにより278億5百万円となり、前連結会計年度に比べ16.8%減少しました。利益面においては、営業損失が100億61百万円となりました。
○e-ビジネス事業
営業収益は、消費税率引上げに伴うキャッシュレス・ポイント還元事業に関するシステム構築などの業務受託や、PCなどIT資産の機器調達から資産管理までトータルでサポートする「IT資産運用最適化サービス」の拡販が進んだことなどにより305億79百万円となり、前連結会計年度に比べ15.0%増加しました。営業利益は106億68百万円となり、前連結会計年度に比べ22.1%増加しました。
○フィナンシャル事業
営業収益は、「クロネコwebコレクト」や「クロネコ代金後払いサービス」の利用が増加しているものの、決済ニーズの変化による代引き市場の縮小などに伴い、「宅急便コレクト」の取扱いが減少したことなどにより770億72百万円となり、前連結会計年度に比べ3.6%減少しました。営業利益は63億22百万円となり、前連結会計年度にリース事業において計上した在庫評価損の反動等により、前連結会計年度に比べ1.3%増加しました。
○オートワークス事業
営業収益は、燃料販売量が減少したことなどにより249億22百万円となり、前連結会計年度に比べ4.1%減少しました。営業利益は42億95百万円となり、前連結会計年度に比べ3.1%減少しました。
○その他
営業利益は、ヤマトホールディングス株式会社がグループ各社から受け取る配当金などを除いて18億93百万円となり、前連結会計年度に比べ14.7%減少しました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報
ⅰ.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
ⅱ.資本の財源及び資金の流動性
ヤマトグループは、ネットワーク構築、デジタル・イノベーション関連などの事業継続および事業成長に対する投資計画に照らし、キャッシュ創出状況、保有現預金や自己資本比率水準等の財務の健全性と効率性を意識しながら、必要資金についてはグループ資金を活用するとともに、金融機関からの借入および社債発行により対応しております。また、フィナンシャル事業においては、信用購入あっせん業を行っており、運転資金については主にグループ資金を活用し対応しております。
なお、財務の健全性の観点から自己資本比率は50%前後を意識し、格付け水準(R&I格付投資情報センター/AA-)の維持に努めてまいります。株主還元については、親会社株主に帰属する当期純利益を基準とする配当性向30%、総還元性向50%を目安とし実施してまいります。
③ 目標とする指標の達成状況等
ヤマトグループは、高品質なサービスを提供し続けるため、「働き方改革」を経営の中心に据え、「デリバリー事業の構造改革」、「非連続成長を実現するための収益・事業構造改革」、「持続的に成長していくためのグループ経営構造改革」の3つの改革を柱とする中期経営計画「KAIKAKU 2019 for NEXT100」に基づき、ヤマトグループが持続的に成長していくための経営基盤の強化に取り組んでまいりました。
最終年度となる2020年3月期において、連結営業収益1兆6,700億円、連結営業利益720億円(連結営業利益率4.3%)、ROE7.7%を目標としておりましたが、実績は連結営業収益1兆6,301億46百万円、連結営業利益447億1百万円(連結営業利益率2.7%)、ROE4.0%となりました。
「働き方改革」については、総労働時間の改善やワークライフバランスを推進するなど、社員が働きやすく、働きがいのある環境整備を実施し、社員の働き方意識調査の結果も上昇するなど、着実に進捗しました。また、「デリバリー事業の構造改革」では、プライシングの適正化や、タッチポイント拡充による集配効率向上など収益性向上に向けた土台を構築したことなど、経営基盤強化に一定の成果があったと評価しております。
2021年3月期以降については、2020年1月に策定した今後のヤマトグループにおける中長期の経営のグランドデザインである経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」を着実に遂行し、持続的な成長を目指してまいります。
④ 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定
ヤマトグループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。
重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
当連結会計年度におけるヤマトグループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
ⅰ.財政状態
総資産は1兆1,007億39百万円となり、前連結会計年度に比べ229億20百万円減少しました。
負債は5,379億4百万円となり、前連結会計年度に比べ123億66百万円減少しました。
純資産は5,628億35百万円となり、前連結会計年度に比べ105億53百万円減少しました。
ⅱ.経営成績
当連結会計年度における経済環境は、第3四半期までは企業業績が底堅さを維持し緩やかな回復基調が続いていたものの、2020年1月以降は世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い大幅に悪化しており、今後の感染拡大ペースや収束時期が不透明な中、内外経済環境の回復が見通せない状況にあります。
一方、物流業界においては、消費スタイルの急速な変化によりEC市場が拡大する中、第3四半期までは国内労働需給の逼迫や消費増税の影響による個人消費の低迷などにより厳しい経営環境が継続していたことに加え、2020年1月以降は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う世界的な製造業の生産活動や貿易の停滞、移動の制限によるインバウンド需要の急激な減少、サービス業を中心とした営業自粛など経済活動全般が縮小しており、今後の経営環境への影響が不透明な状況にあります。
このような状況下、ヤマトグループは高品質なサービスを提供し続けるため、「働き方改革」を経営の中心に据え、「デリバリー事業の構造改革」、「非連続成長を実現するための収益・事業構造改革」、「持続的に成長していくためのグループ経営構造改革」の3つの改革を柱とする中期経営計画「KAIKAKU 2019 for NEXT100」に基づき、ヤマトグループが持続的に成長していくための経営基盤の強化に取り組むとともに、新型コロナウイルス感染症の拡大に対応し、お客様、社員の安全を最優先に、宅急便をはじめとする物流サービスの継続に取り組みました。
デリバリー事業においては、収益力の回復に向けて、プライシングの適正化や新規顧客への営業を推進するとともに、コストコントロールの強化に取り組みました。また、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う需要と物流の変化に応えるべく、社会的インフラである宅急便ネットワークの安定稼働に取り組みました。
ノンデリバリー事業においては、グループ各社の強みを活かした既存サービスの拡充に取り組むとともに、グループ全体でアカウントマネジメントを強化し、お客様の課題解決に当たるソリューション営業を積極的に推進しました。
当連結会計年度の連結業績は以下のとおりとなりました。
| 区分 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 伸率(%) | |
| 営業収益 | (百万円) | 1,625,315 | 1,630,146 | 4,831 | 0.3 |
| 営業利益 | (百万円) | 58,345 | 44,701 | △13,644 | △23.4 |
| 経常利益 | (百万円) | 54,259 | 40,625 | △13,633 | △25.1 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | (百万円) | 25,682 | 22,324 | △3,358 | △13.1 |
上記のとおり、営業収益は1兆6,301億46百万円となり、前連結会計年度に比べ48億31百万円の増収となりました。これは主に、デリバリー事業の構造改革を推進した中で、宅急便単価が上昇したことによるものです。営業費用は1兆5,854億45百万円となり、前連結会計年度に比べ184億75百万円増加しました。これは主に、集配体制の構築に向けて増員などを進めたことで、委託費は減少したものの、人件費が増加したことなどによるものです。
この結果、営業利益は447億1百万円となり、前連結会計年度に比べ136億44百万円の減益となりました。
経常利益は、海外関連会社に係るのれんの減損を持分法による投資損失として計上したことなどにより406億25百万円となりました。
これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は223億24百万円となり、前連結会計年度に比べ33億58百万円の減益となりました。
<ヤマトグループ全体としての取組み>イ.ヤマトグループは、グループの原点である「全員経営」を実践するため、「働き方改革」を最優先課題とし、ヤマト運輸株式会社の「働き方改革室」、グループ各社の「働き方創造委員会」を中心に、社員がより「働きやすさ」と「働きがい」を持ち、イキイキと働ける労働環境の整備に全社一丸で取り組みました。また、各事業が一体となって付加価値の高い事業モデルを創出し、日本経済の成長戦略と、国際競争力の強化に貢献する「バリュー・ネットワーキング」構想を推進するとともに、事業の創出・成長の基盤となる健全な企業風土の醸成に取り組みました。
ロ.健全な企業風土の醸成に向けて、引き続き輸送体制の整備やデジタルテクノロジーの活用による業務量の見える化など、業務の効率性・信頼性を向上させる施策を推進するとともに、安全施策や環境施策、地域活性化に向けた取組み、グループガバナンスの抜本的かつ包括的な再構築など、持続的成長に向けたESGの取組みを積極的に推進しました。
ハ.「バリュー・ネットワーキング」構想の更なる進化に向け、ヤマトグループのネットワークを活かした高付加価値モデルの創出に取り組みました。国内外のお客様の様々なニーズに対応するために、既存のラストワンマイルネットワークに加え、「羽田クロノゲート」、「沖縄国際物流ハブ」、関東・中部・関西の主要都市を繋ぐ各ゲートウェイなどの革新的なネットワーク基盤を効果的に活用するとともに、グループ全体でアカウントマネジメントの強化に取り組みました。
ニ.グローバル市場に対しては、クロスボーダー物流の拡大に対応するため、日本・東アジア・東南アジア・欧州・米州の5極間の連携と各地域の機能強化を推進するとともに、グローバル関連事業のマネジメント強化に取り組みました。また、既にヤマトグループ8社が取得した小口保冷配送サービスに関する国際規格の認証を活用し、高付加価値なクロスボーダー・ネットワークの構築を積極的に推進しました。
ホ.EC市場を中心としたお客様の利便性向上を図るため、オープン型宅配便ロッカーネットワークの構築を積極的に推進するなど、手軽に荷物の受け取りと発送ができる環境の整備に取り組むとともに、自動運転技術の活用など、次世代物流サービスの開発に取り組みました。また、深刻化する労働力不足などの社会的課題や、益々拡大するEC市場に対応するため、物流全体におけるデジタル化の推進による集配、作業、事務の効率化や、輸送効率を高めネットワーク全体を最適化するための幹線ネットワークの構造改革にも取り組みました。
へ.持続的に成長していくためのグループ経営構造改革を推進し、今後のヤマトグループにおける中長期の経営のグランドデザインとして経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」を策定するとともに、顧客接点の強化、生産性の向上に向けた宅急便のデジタルトランスフォーメーションや、ECエコシステムの確立に向けた大手EC事業者様との協業による物流サービス構築の取組みなどを推進しました。
<事業フォーメーション別の概況>○デリバリー事業
宅急便、クロネコDM便の取扱数量は以下のとおりです。
| 区分 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 伸率(%) | |
| 宅急便 | (百万個) | 1,803 | 1,799 | △3 | △0.2 |
| クロネコDM便 | (百万冊) | 1,211 | 987 | △224 | △18.5 |
イ.デリバリー事業は、お客様にとって一番身近なインフラとなり、豊かな社会の実現に貢献するために、宅急便を中心とした事業の展開に取り組んでいます。
ロ.消費スタイルの急速な変化によりEC市場が拡大する中、第3四半期までは国内労働需給の逼迫や消費増税の影響による個人消費の低迷などにより厳しい経営環境が継続していた状況の下、収益力の回復に向けて、プライシングの適正化や新規顧客への営業を推進するとともに、コストコントロールの強化に取り組みました。また、物流全体におけるデジタル化の推進による集配、作業、事務の効率化や、輸送効率を高めネットワーク全体を最適化するための幹線ネットワークの構造改革にも取り組みました。2020年1月以降は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う世界的な製造業の生産活動や貿易の停滞、移動の制限によるインバウンド需要の急激な減少、サービス業を中心とした営業自粛など経済活動全般が縮小している状況下、需要と物流の変化に応えるべく、社会的インフラである宅急便ネットワークの安定稼働に取り組みました。
ハ.成長が続くEC市場に対しては、お客様のライフスタイルの変化により多様化するニーズに合わせて、小さな荷物を手軽に送ることができる「宅急便コンパクト」、「ネコポス」の拡販を進めるとともに、複数のフリマサイトと連携し、発送窓口の拡大を推進しました。当連結会計年度においては、引き続きフリマサイトやEC事業者様と連携し、個人のお客様が商品をコンビニエンスストアやオープン型宅配便ロッカー(PUDOステーション)から簡単に発送できる環境や、お客様が商品を購入した場合に、受け取り場所として宅急便センターやコンビニエンスストア、PUDOステーションを指定できる環境を整備し、利便性の向上を図りました。また、個人のお客様については、宅急便の発送手続きをスマートフォンで完結でき、オンライン決済や匿名配送などを利用できるサービスの拡販を推進しました。
ニ.法人のお客様については、お客様の経営課題を的確に把握し、その課題に沿ったソリューション提案を積極的に推進しました。当連結会計年度においては、グループ連携のもと引き続きアカウントマネジメントを強化し、グループの経営資源を活用した付加価値の高い提案を行い、収益性の向上に取り組みました。
ホ.地域の課題解決に向けて、複数の自治体や企業と連携し、買い物困難者の支援、高齢者の見守り支援など、住民へのサービス向上に取り組みました。また、観光支援や地域産品の販路拡大支援など、地元産業の活性化につながる取組みを推進しました。
ヘ.営業収益は、デリバリー事業の構造改革を推進した中で、宅急便単価が上昇したことなどにより1兆3,100億67百万円となり、前連結会計年度に比べ1.0%増加しました。営業利益は、委託費は減少したものの、人件費が増加したことなどにより272億49百万円となり、前連結会計年度に比べ33.2%減少しました。
○BIZ-ロジ事業
イ.BIZ-ロジ事業は、宅急便ネットワークをはじめとした経営資源に、ロジスティクス機能、メンテナンス・リコール対応機能、医療機器の洗浄機能、国際輸送機能などを組み合わせることにより、お客様に革新的な物流システムを提供しています。
ロ.EC向けサービスとしては、受発注対応から在庫の可視化、スピード出荷などの多様なサービスをワンストップで提供しています。また、医療機器関連事業者様に向けたサービスとしては、配送だけでなく、病院から返却された手術用工具の洗浄、メンテナンス、再貸出までトータルにサポートし、お客様の物流改革を支援しています。当連結会計年度においては、既存のお客様を中心にサービスの拡販を推進しました。
ハ.営業収益は、EC向けサービスにおけるプライシング適正化による一部顧客の取扱い減少などにより1,439億34百万円となり、前連結会計年度に比べ2.4%減少しました。営業利益は物流拠点の見直しによる効率化などにより49億75百万円となり、前連結会計年度に比べ49.5%増加しました。
○ホームコンビニエンス事業
イ.ホームコンビニエンス事業は、法人のお客様の社員向けに提供している引越サービスに不適切な請求があった事態を受けて、引き続き、引越事業の抜本的な見直し、商品設計の見直しなど再発防止に取り組んでいます。当連結会計年度においては、個人のお客様向けに新たな単身者向け引越サービス「わたしの引越」の提供を開始し、品質向上と提供エリアの拡大に取り組みました。
ロ.営業収益は、引越サービス休止による影響に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大などにより引越需要が減少したことなどにより278億5百万円となり、前連結会計年度に比べ16.8%減少しました。利益面においては、営業損失が100億61百万円となりました。
○e-ビジネス事業
イ.e-ビジネス事業は、お客様の業務プロセスの効率化や潜在的な課題の解決に向けて、情報機能に物流機能、決済機能を融合させたソリューションプラットフォームビジネスを積極的に展開しています。また、グループの事業成長を加速させるため、従来のITにとどまらず、AIやIoTなどを用いた新技術の活用を推進しています。
ロ.お客様の業務効率化に向けたサービスとして、金融業界向けには、お手続き時の本人確認書類や必要書類を、スマホやパソコンなどWeb上にアップロードすることで、契約者様が安全・簡単に書類提出できる「証明書類Web取得サービス」を提供しています。当連結会計年度においては、中古品の買取やECの返品で必要となる企業から個人への支払いを、個人が希望する電子マネー等でキャッシュレスに受け取ることができる「マルチバリューチャージサービス」の拡販を推進しました。
ハ.営業収益は、消費税率引上げに伴うキャッシュレス・ポイント還元事業に関するシステム構築などの業務受託や、PCなどIT資産の機器調達から資産管理までトータルでサポートする「IT資産運用最適化サービス」の拡販が進んだことなどにより305億79百万円となり、前連結会計年度に比べ15.0%増加しました。営業利益は106億68百万円となり、前連結会計年度に比べ22.1%増加しました。
○フィナンシャル事業
イ.フィナンシャル事業は、通販商品の代金回収、企業間の決済、および車両のリースなど、お客様の様々なニーズにお応えする決済・金融サービスを展開しています。
ロ.決済サービスに関しては、主力商品である「宅急便コレクト」の提供に加えて、ネット総合決済サービス「クロネコwebコレクト」や「クロネコ代金後払いサービス」、電子マネー決済機能の利用拡大を推進しています。当連結会計年度においては、今後も拡大が見込まれるEC市場に対して、事業者様が新規参入するために必要なショッピングカート機能、決済、配送をワンストップで支援できる「らくうるカート」の拡販に取り組みました。また、「クロネコ代金後払いサービス」については、購入者様に払込票を郵送する従来の「払込票タイプ」に加え、商品受け取り後にスマートフォンの画面上で多様な決済方法を選択できる「スマホタイプ」の拡販に取り組みました。
ハ.営業収益は、「クロネコwebコレクト」や「クロネコ代金後払いサービス」の利用が増加しているものの、決済ニーズの変化による代引き市場の縮小などに伴い、「宅急便コレクト」の取扱いが減少したことなどにより770億72百万円となり、前連結会計年度に比べ3.6%減少しました。営業利益は63億22百万円となり、前連結会計年度にリース事業において計上した在庫評価損の反動等により、前連結会計年度に比べ1.3%増加しました。
○オートワークス事業
イ.オートワークス事業は、物流事業者様へ「車両整備における利便性の向上」、「整備費用の削減」という価値を提供するとともに、「物流施設、設備機器の維持保全・職場環境改善」やこれらの資産を対象に「お客様のリスクマネジメントに繋がる最適な保険提案」という機能を付加することで、お客様の資産稼働率を高めるサービスを展開しています。
ロ.当連結会計年度においては、お客様との定期的なコミュニケーションによるメンテナンスサービスの拡販に取り組み、利用が拡大しました。
ハ.営業収益は、燃料販売量が減少したことなどにより249億22百万円となり、前連結会計年度に比べ4.1%減少しました。営業利益は42億95百万円となり、前連結会計年度に比べ3.1%減少しました。
○その他
イ.「JITBOXチャーター便」は、複数の企業グループのネットワークを用いたボックス輸送を通じて、お客様に「適時納品」や「多頻度適量納品」という付加価値を提供しています。当連結会計年度においては、既存のサービスが好調であったことにより、利用が着実に拡大しました。
ロ.営業利益は、ヤマトホールディングス株式会社がグループ各社から受け取る配当金などを除いて18億93百万円となり、前連結会計年度に比べ14.7%減少しました。
ロ.ヤマトグループは、社会的インフラとしてお客様をはじめ社会の信頼に応えていくために、コンプライアンス経営を推進し、労働時間管理ルールの見直しや社員の新しい働き方を創造するなど、社員が「働きやすさ」と「働きがい」を持ち、イキイキと働ける労働環境の整備を進め、「働き方改革」に全社を挙げて取り組みました。その結果、総労働時間の短縮や年次有給休暇の取得率向上などが進むとともに、社員の働く意識も改善しました。
ハ.ヤマトグループは、グループ経営の健全性を高めるため、当社に設置した「グループガバナンス改革室」が中心となり、グループガバナンスの抜本的かつ包括的な再構築に取り組みました。当連結会計年度においては、グループ全体の倫理観の醸成、更なる理念の浸透および業務での実践を促進するため、企業理念を構成する企業姿勢、社員行動指針の一部改訂を行い、全社員への倫理教育を推進するとともに、グループ全体の商品審査体制の強化やグループ各社でコンプライアンス強化を担当する人材の育成などに取り組みました。
ニ.ヤマトグループは、気候変動や大気汚染、資源減少、生物多様性の損失などが、持続可能な社会の実現にとって重要な課題であることを認識しています。気候変動への対策としては、CO2の排出がより少ない車両へのシフトや小型商用EVトラックの導入、自動車を使わない集配などに取り組んでいます。当連結会計年度においては、主要都市間の幹線輸送の効率化によるCO2排出量の低減および長距離輸送を担うドライバーの負担軽減に資する「スーパーフルトレーラSF25」の運行区間を、従来の関東(神奈川県)・関西(大阪府)間から九州(福岡県)まで伸長しました。また、次世代を担う子どもたちへの環境教育をサポートする「クロネコヤマト環境教室」を2005年より継続して全国各地で開催しており、累計参加人数は約25万人となりました。
ホ.ヤマトグループは、より持続的な社会的価値の創造に向けて、社会と価値を共有するCSV(クリエーティング・シェアード・バリュー=共有価値の創造)という概念に基づいた取組みを推進しています。当連結会計年度においては、過疎化や高齢化が進む中山間地域等のバス・鉄道路線網の維持と物流の効率化による地域住民の生活サービス向上を目的とする「客貨混載」を推進しました。また、訪日外国人など増加する観光客の利便性向上と地域経済の活性化に向けて、手荷物預かりや宿泊施設への手荷物当日配送などを拡大し、手ぶら観光サービスの取組みを推進しました。ライフステージの変化が進む都市郊外部においては、拠点を活用した地域コミュニティの活性化や、買い物・家事代行などくらしのサポートサービスを提供することで、地域住民が快適に生活できる町づくりを支援する取組みを推進しました。全国各地で高齢者の見守り支援や観光支援、地域産品の販路拡大支援など、ヤマトグループの経営資源を活用した地域活性化や課題解決に行政と連携して取り組み、案件数の累計は検討段階のものを含め1,102件となりました。
ヘ.ヤマトグループは、社会とともに持続的に発展する企業を目指し、公益財団法人ヤマト福祉財団を中心に、障がい者が自主的に働く喜びを実感できる社会の実現に向けて様々な活動を行っています。具体的には、パン製造・販売を営むスワンベーカリーにおける積極的な雇用や、クロネコDM便の委託配達を通じた働く場の提供、就労に必要な技術や知識の訓練を行う就労支援施設の運営など、障がい者の経済的な自立支援を継続的に行っています。
ト.ヤマトグループは「サステナビリティの取組み~環境と社会を組み込んだ経営~」を、2020年1月に策定した中長期の経営のグランドデザインである経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」における基盤構造改革の一つとして位置づけました。持続可能な未来を切り拓く将来の姿として掲げた「つなぐ、未来を届ける、グリーン物流」、「共創による、フェアで、“誰一人取り残さない”社会の実現への貢献」という2つのビジョンの下、人や資源、情報を高度につなぎ、輸送をより効率化させることで、環境や生活、経済によりよい物流の実現を目指し、特定した重要課題に対する取組みを推進していきます。
② キャッシュ・フローの状況
○営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは744億33百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ436億60百万円減少しました。これは主に、税金等調整前当期純利益が445億81百万円となり、収入が76億76百万円減少したこと、仕入債務の増減額が155億40百万円減少したこと、および法人税等の支払額が162億89百万円増加したことによるものであります。
○投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは499億43百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ49億28百万円減少しました。これは主に、有形固定資産の売却による収入が89億27百万円、投資有価証券の売却による収入が18億97百万円増加した一方で、有形固定資産の取得による支出が67億94百万円増加したことによるものであります。
○財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは223億68百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出が485億78百万円減少しました。これは主に、前連結会計年度の社債の償還による支出100億円が当連結会計年度において発生しなかったこと、および借入金の収支による収入が561億42百万円増加した一方で、自己株式の取得による支出が156億87百万円増加したことによるものであります。
以上により、当連結会計年度における現金及び現金同等物は1,966億62百万円となり、前連結会計年度末に比べ20億12百万円増加しました。
③ 生産、受注及び販売の実績
セグメントごとの事業別営業収益は次のとおりであります。
なお、ヤマトグループは、貨物運送事業を中心とするサービスを主要な商品としているため、生産および受注の実績は記載を省略しております。
| セグメ | ントの名称 | 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 比 較 増減率 (%) | ||
| 事業 | 金額 (百万円) | 構成比 (%) | 金額 (百万円) | 構成比 (%) | ||
| デリバリー 事業 | 宅急便 | 1,199,084 | 73.8 | 1,217,572 | 74.7 | 1.5 |
| クロネコDM便 | 73,062 | 4.5 | 64,104 | 3.9 | △12.3 | |
| エキスプレス | 41,615 | 2.6 | 41,608 | 2.6 | △0.0 | |
| その他 | 100,698 | 6.2 | 97,496 | 6.0 | △3.2 | |
| 内部売上消去 | △117,237 | △7.2 | △110,713 | △6.8 | △5.6 | |
| 計 | 1,297,222 | 79.8 | 1,310,067 | 80.4 | 1.0 | |
| BIZ-ロジ 事業 | ロジスティクス ※1 | 101,012 | 6.2 | 99,414 | 6.1 | △1.6 |
| 貿易物流サービス | 41,829 | 2.6 | 41,796 | 2.6 | △0.1 | |
| その他 ※1 | 31,568 | 1.9 | 31,669 | 1.9 | 0.3 | |
| 内部売上消去 | △26,973 | △1.7 | △28,946 | △1.8 | 7.3 | |
| 計 | 147,437 | 9.1 | 143,934 | 8.8 | △2.4 | |
| ホームコンビニ エンス事業 | ホームコンビニエンス ※2 | 46,040 | 2.8 | 39,210 | 2.4 | △14.8 |
| 内部売上消去 | △12,636 | △0.8 | △11,404 | △0.7 | △9.7 | |
| 計 | 33,404 | 2.1 | 27,805 | 1.7 | △16.8 | |
| e-ビジネス 事業 | カードソリューション | 9,373 | 0.6 | 11,529 | 0.7 | 23.0 |
| ITオペレーティング | 7,470 | 0.5 | 8,138 | 0.5 | 8.9 | |
| e-通販 ソリューション | 5,844 | 0.4 | 6,190 | 0.4 | 5.9 | |
| その他 | 50,827 | 3.1 | 53,309 | 3.3 | 4.9 | |
| 内部売上消去 | △46,922 | △2.9 | △48,589 | △3.0 | 3.6 | |
| 計 | 26,592 | 1.6 | 30,579 | 1.9 | 15.0 | |
| フィナンシャル 事業 | ペイメント | 32,162 | 2.0 | 29,448 | 1.8 | △8.4 |
| リース | 40,181 | 2.5 | 40,306 | 2.5 | 0.3 | |
| クレジット ファイナンス | 3,479 | 0.2 | 3,344 | 0.2 | △3.9 | |
| その他 | 7,056 | 0.4 | 6,848 | 0.4 | △2.9 | |
| 内部売上消去 | △2,913 | △0.2 | △2,875 | △0.2 | △1.3 | |
| 計 | 79,966 | 4.9 | 77,072 | 4.7 | △3.6 | |
| オートワークス 事業 | トラック ソリューション | 50,486 | 3.1 | 49,806 | 3.1 | △1.3 |
| その他 | 9,620 | 0.6 | 8,734 | 0.5 | △9.2 | |
| 内部売上消去 | △34,121 | △2.1 | △33,618 | △2.1 | △1.5 | |
| 計 | 25,985 | 1.6 | 24,922 | 1.5 | △4.1 | |
| セグメ | ントの名称 | 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 比 較 増減率 (%) | ||
| 事業 | 金額 (百万円) | 構成比 (%) | 金額 (百万円) | 構成比 (%) | ||
| その他 | JITBOX チャーター便 | 12,609 | 0.8 | 13,373 | 0.8 | 6.1 |
| その他 | 51,651 | 3.2 | 71,724 | 4.4 | 38.9 | |
| 内部売上消去 | △49,556 | △3.0 | △69,334 | △4.3 | 39.9 | |
| 計 | 14,705 | 0.9 | 15,763 | 1.0 | 7.2 | |
| 合 計 | 1,625,315 | 100.0 | 1,630,146 | 100.0 | 0.3 | |
各事業の機能強化および経営効率化などを目的として、主に次のとおり事業区分を変更し、あわせて前連結会計年度の数値を組み替えて表示しております。
※1.BIZ-ロジ事業において、当連結会計年度より、次のとおり事業区分を変更しております。
・プロダクツロジスティクスをその他に含めて表示しております。
・販売物流サービス、マルチメンテナンス、テクニカルネットワーク、e-ロジソリューションの4事業およびその他に含めていたメディカルロジスティクス、ドキュメンツロジスティクス、e-オンデマンドソリューション、セットアップ・ロジソリューションの4事業を、ロジスティクスとして表示しております。
※2.ホームコンビニエンス事業において、当連結会計年度より、ビジネスコンビニエンスをホームコンビニエンスに含めて表示しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点によるヤマトグループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
ⅰ.財政状態
総資産は1兆1,007億39百万円となり、前連結会計年度に比べ229億20百万円減少しました。これは主に、持分法による投資損失の計上や、時価評価や売却などにより投資有価証券が137億2百万円減少したこと、およびフィナンシャル事業等において受取手形及び売掛金が61億78百万円減少したことなどによるものであります。
負債は5,379億4百万円となり、前連結会計年度に比べ123億66百万円減少しました。これは主に、デリバリー事業等において固定資産購入に係る債務が129億57百万円減少したこと、およびフィナンシャル事業等において支払手形及び買掛金が118億56百万円減少した一方で、借入金が92億円増加したことによるものであります。
純資産は5,628億35百万円となり、前連結会計年度に比べ105億53百万円減少しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益が223億24百万円となったこと、剰余金の配当を114億33百万円実施したことに加え、自己株式を156億85百万円取得したことによるものであります。
以上により、自己資本比率は前連結会計年度と同一の50.4%となりました。
ⅱ.経営成績
営業収益は1兆6,301億46百万円となり、前連結会計年度に比べ48億31百万円の増収となりました。これは主に、デリバリー事業の構造改革を推進した中で、宅急便単価が上昇したことによるものです。営業費用は1兆5,854億45百万円となり、前連結会計年度に比べ184億75百万円増加しました。これは主に、集配体制の構築に向けて増員などを進めたことで、委託費は減少したものの、人件費が増加したことなどによるものです。
この結果、営業利益は447億1百万円となり、前連結会計年度に比べ136億44百万円の減益となりました。
経常利益は、海外関連会社に係るのれんの減損を持分法による投資損失として計上したことなどにより406億25百万円となりました。
これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は223億24百万円となり、前連結会計年度に比べ33億58百万円の減益となりました。
1株当たり当期純利益は56.78円となり、前連結会計年度に比べ8.36円減少しました。
○デリバリー事業
営業収益は、デリバリー事業の構造改革を推進した中で、宅急便単価が上昇したことなどにより1兆3,100億67百万円となり、前連結会計年度に比べ1.0%増加しました。営業利益は、委託費は減少したものの、人件費が増加したことなどにより272億49百万円となり、前連結会計年度に比べ33.2%減少しました。
○BIZ-ロジ事業
営業収益は、EC向けサービスにおけるプライシング適正化による一部顧客の取扱い減少などにより1,439億34百万円となり、前連結会計年度に比べ2.4%減少しました。営業利益は物流拠点の見直しによる効率化などにより49億75百万円となり、前連結会計年度に比べ49.5%増加しました。
○ホームコンビニエンス事業
営業収益は、引越サービス休止による影響に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大などにより引越需要が減少したことなどにより278億5百万円となり、前連結会計年度に比べ16.8%減少しました。利益面においては、営業損失が100億61百万円となりました。
○e-ビジネス事業
営業収益は、消費税率引上げに伴うキャッシュレス・ポイント還元事業に関するシステム構築などの業務受託や、PCなどIT資産の機器調達から資産管理までトータルでサポートする「IT資産運用最適化サービス」の拡販が進んだことなどにより305億79百万円となり、前連結会計年度に比べ15.0%増加しました。営業利益は106億68百万円となり、前連結会計年度に比べ22.1%増加しました。
○フィナンシャル事業
営業収益は、「クロネコwebコレクト」や「クロネコ代金後払いサービス」の利用が増加しているものの、決済ニーズの変化による代引き市場の縮小などに伴い、「宅急便コレクト」の取扱いが減少したことなどにより770億72百万円となり、前連結会計年度に比べ3.6%減少しました。営業利益は63億22百万円となり、前連結会計年度にリース事業において計上した在庫評価損の反動等により、前連結会計年度に比べ1.3%増加しました。
○オートワークス事業
営業収益は、燃料販売量が減少したことなどにより249億22百万円となり、前連結会計年度に比べ4.1%減少しました。営業利益は42億95百万円となり、前連結会計年度に比べ3.1%減少しました。
○その他
営業利益は、ヤマトホールディングス株式会社がグループ各社から受け取る配当金などを除いて18億93百万円となり、前連結会計年度に比べ14.7%減少しました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報
ⅰ.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
ⅱ.資本の財源及び資金の流動性
ヤマトグループは、ネットワーク構築、デジタル・イノベーション関連などの事業継続および事業成長に対する投資計画に照らし、キャッシュ創出状況、保有現預金や自己資本比率水準等の財務の健全性と効率性を意識しながら、必要資金についてはグループ資金を活用するとともに、金融機関からの借入および社債発行により対応しております。また、フィナンシャル事業においては、信用購入あっせん業を行っており、運転資金については主にグループ資金を活用し対応しております。
なお、財務の健全性の観点から自己資本比率は50%前後を意識し、格付け水準(R&I格付投資情報センター/AA-)の維持に努めてまいります。株主還元については、親会社株主に帰属する当期純利益を基準とする配当性向30%、総還元性向50%を目安とし実施してまいります。
③ 目標とする指標の達成状況等
ヤマトグループは、高品質なサービスを提供し続けるため、「働き方改革」を経営の中心に据え、「デリバリー事業の構造改革」、「非連続成長を実現するための収益・事業構造改革」、「持続的に成長していくためのグループ経営構造改革」の3つの改革を柱とする中期経営計画「KAIKAKU 2019 for NEXT100」に基づき、ヤマトグループが持続的に成長していくための経営基盤の強化に取り組んでまいりました。
最終年度となる2020年3月期において、連結営業収益1兆6,700億円、連結営業利益720億円(連結営業利益率4.3%)、ROE7.7%を目標としておりましたが、実績は連結営業収益1兆6,301億46百万円、連結営業利益447億1百万円(連結営業利益率2.7%)、ROE4.0%となりました。
「働き方改革」については、総労働時間の改善やワークライフバランスを推進するなど、社員が働きやすく、働きがいのある環境整備を実施し、社員の働き方意識調査の結果も上昇するなど、着実に進捗しました。また、「デリバリー事業の構造改革」では、プライシングの適正化や、タッチポイント拡充による集配効率向上など収益性向上に向けた土台を構築したことなど、経営基盤強化に一定の成果があったと評価しております。
2021年3月期以降については、2020年1月に策定した今後のヤマトグループにおける中長期の経営のグランドデザインである経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」を着実に遂行し、持続的な成長を目指してまいります。
④ 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定
ヤマトグループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。
重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。