有価証券報告書-第158期(2022/04/01-2023/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度におけるヤマトグループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
ⅰ.財政状態
総資産は1兆1,075億87百万円となり、前連結会計年度末に比べ207億32百万円増加しました。
負債は4,911億56百万円となり、前連結会計年度末に比べ25億35百万円増加しました。
純資産は6,164億30百万円となり、前連結会計年度末に比べ181億96百万円増加しました。
ⅱ.経営成績
当連結会計年度における経済環境は、新型コロナウイルス感染症の影響は弱まり、経済活動の正常化に向けた動きが進んでいるものの、国際情勢の不安定化に伴うエネルギー価格の高止まりや原材料価格の高騰などの世界的なインフレに対し、米欧主要中央銀行の継続的な金融引き締めなどにより、世界経済の減速傾向が強まっています。さらに国内においても物価上昇に伴い、個人消費が停滞しているなど、依然として本格的な景気回復が見通しづらい状況にあります。
また、新型コロナウイルス感染症を契機としたテレワークの定着、診療や教育分野におけるサービスのオンライン化など、消費行動や生活様式が変化し、産業のEC化が進展しています。
このような状況下、ヤマトグループは経営理念に掲げる「豊かな社会の実現への貢献」を通じた持続的な企業価値の向上を実現するため、グループ各社の経営資源を結集したグループ経営体制の下、2024年3月期を最終年度とする中期経営計画「Oneヤマト2023」に基づき、生活様式の変化と流通構造の変化に対応するサプライチェーンの変革に向けて、お客様や社会のニーズに対し総合的な価値提供に取り組みました。
当連結会計年度の連結業績は、以下のとおりとなりました。
当連結会計年度の営業収益は1兆8,006億68百万円となり、前連結会計年度に比べ70億50百万円の増収となりました。これは、成長が続くEC領域への対応により荷物の取扱数量が増加したことや、お客様の物流最適化に注力したことなどによるものです。
営業費用は1兆7,405億83百万円となり、前連結会計年度に比べ241億64百万円増加しました。これは、時給単価や燃料単価、電気代などの上昇に加え、拡大するEC需要に対応するために構築しているEC物流ネットワークと既存ネットワークにおける輸配送オペレーションの適正化を進める途上にあることなど、中期経営計画「Oneヤマト2023」の推進に伴う費用が増加したことによるものです。
この結果、当連結会計年度の営業利益は600億85百万円となり、前連結会計年度に比べ171億14百万円の減益となりました。
<ヤマトグループ全体としての取組み>ヤマトグループは、引き続き、社員の衛生管理に留意しながら、宅急便をはじめとする物流サービスの安定提供に取り組みました。そして、中期経営計画「Oneヤマト2023」に基づき、お客様や社会の多様化するニーズに対し総合的な価値提供を拡大させるため、以下の取組みを進めています。
イ.法人顧客への価値提供の拡大
拡大するEC需要や法人のお客様のサプライチェーンの変化に対応し、セールスドライバーと法人営業担当者が連携してお客様の課題解決に取り組むとともに、拠点と輸配送ネットワークを最大活用し、在庫の適正化と納品・配送のリードタイム短縮を両立させて物流コストの最適化を支援するなど、引き続き、お客様のサプライチェーン全体に対する価値提供に取り組みました。
ロ.ネットワーク・オペレーションの構造改革
拡大するEC需要に対し、都市部を中心に、仕分け・輸送からラストマイルまでのオペレーションプロセスを簡素化したEC物流ネットワークの構築を進めています。その上で、業務量の繁閑に応じて、より柔軟に対応するため、小規模・多店舗展開してきた宅急便営業所の集約・大型化やターミナル機能の再定義、ITシステムを活用した作業オペレーションの効率化を進めるとともに、安全・品質・働きやすさの向上などの取組みを推進するなど、引き続き、物流ネットワーク全体の生産性向上および、オペレーティングコストの適正化に取り組みました。
ハ.持続的な企業価値向上を実現する戦略の推進
持続的な企業価値向上を実現すべく、中期経営計画「Oneヤマト2023」では、データ戦略とイノベーション戦略の推進、経営体制の刷新とガバナンスの強化、人事戦略、資本効率の向上、およびサステナブル経営の強化に取り組んでいます。
デジタル戦略については、データ活用のさらなる高度化に向けて、引き続きデジタルデータの整備とデジタル基盤の強化を図るとともに、デジタルデータを活用したサービスおよび、オペレーションの改善を進めています。
イノベーション戦略については、スタートアップの発掘と連携、投資を通じた新規事業の共創など、オープンイノベーションに向けた取組みを進めています。
人事戦略については、社員が自らの成長に自律的に取り組み、多様な人材が活躍できる複線型人材マネジメント体系の構築を進めるなど、社員が創出する価値を最大化するための環境整備に取り組んでいます。
ガバナンスの強化については、経営の監督と執行の分離、経営の透明性の維持、強化など、コーポレート・ガバナンスの高度化に継続して取り組むとともに、意思決定のスピードを重視したガバナンスの強化を進めています。
サステナブル経営の強化については、持続的な成長と持続可能な社会の発展を両立するため「つなぐ、未来を届ける、グリーン物流」「共創による、フェアで、“誰一人取り残さない”社会の実現への貢献」という2つのビジョンのもと、人や資源、情報を高度につなぎ、輸送をより効率化させるなど、環境と社会に配慮した経営を推進しています。特に環境については、「2050年温室効果ガス(GHG)排出実質ゼロ(自社排出)」および「2030年温室効果ガス(GHG)排出量48%削減(2020年度比)」の実現に向け、「EV20,000台の導入」「太陽光発電設備810基の導入」「再生可能エネルギー由来電力の使用率向上」などの施策を推進しています。また、2022年9月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明するとともに、同提言に基づき、事業活動に影響を及ぼす気候変動のリスクと機会に関する情報を、当社コーポレートサイトに開示しました。今後も気候変動や社会課題への対応など、サステナビリティの取組みを加速させ、持続可能な企業成長を推進していきます。
<セグメント別の概況>○リテール部門
イ.リテール部門は、宅急便をはじめとする高品質な小口輸送サービスを提供しています。そして、グループ全体のビジネスの起点として、生活様式やビジネス環境に伴うお客様の変化を第一線の社員が汲み取り、法人営業担当者と連携してグループの経営資源を活用したソリューション提案を行うなど、宅急便のサービス提供によって生み出されるお客様との接点という利点を活かし、お客様のニーズに応える価値提供に取り組んでいます。また、5,000万人以上にご登録いただいている「クロネコメンバーズ」、法人のお客様150万社以上にご利用いただいている「ヤマトビジネスメンバーズ」を中心に「送る」「受け取る」をより便利にするサービスの提供や、輸送以外の生活・ビジネスに役立つ様々なサービスの拡充に取り組んでいます。
ロ.当連結会計年度は、さらなる顧客体験の向上に向け、スマートフォンを使って法人のお客様における宅急便の発送手続きを効率化するサービスを開始するとともに、キャッシュレス化の促進に向けて、スマートフォンに対応した新たな決済サービス「にゃんPay」を開始しました。また、宅急便のweb集荷依頼サービスにおける機能の拡充や、フリマ事業者様、マンションの宅配ロッカーサービス事業者様と連携し、マンションの宅配ロッカーから非対面で商品を発送できる機能を拡充するなど、お客様の利便性向上に取り組みました。
ハ.外部顧客への営業収益は、多様化するニーズに応じた最適な荷物の発送やお届けに取り組んだ結果8,945億74百万円となり、前連結会計年度に比べ0.1%増加しました。営業費用は、中期経営計画「Oneヤマト2023」の推進に伴う費用が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ5.1%増加し、営業利益は前連結会計年度に比べ121億65百万円減少しました。
○法人部門
イ.法人部門は、ビジネスの中・上流領域を含む企業物流のサプライチェーン全体への価値提供を推進するため、物流オペレーションの改善や効率化に留まらず、お客様の経営判断に資するサプライチェーンマネジメント(SCM)戦略の企画立案、より実効性のあるプロジェクトの構築や管理運営まで担うアカウント営業の強化に取り組んでいます。
ロ.成長が続くEC需要が集中する都市部において、仕分け・輸送からラストマイルまでのオペレーションプロセスを簡素化したEC物流ネットワークの構築を推進しています。また、大手EC事業者様との連携のもと、オンラインショッピングモールに出店するEC事業者様の物流最適化に向けて、受注から出荷・配送までの全部または一部の機能を代行するサービスの拡販とさらなる利便性の向上に取り組んでいます。さらに、需要が拡大する越境ECにおいては、輸入通関に関わるシステムと国内配送ネットワークを円滑に連携し、お届けまでのリードタイム短縮を実現する取組みを推進しています。
ハ.また、実店舗とECのオムニチャネルでの販売体制の構築を進める小売業の事業者様に対し、集約・大型化した拠点と輸配送ネットワークを組み合わせ、お客様のオムニチャネルでの販売在庫を流動化し、在庫と物流を一元管理して最適化する取組みを推進しています。さらに、店舗向け商品ならびに公式通販サイト向け商品の調達から保管、梱包、配送までのすべての物流業務をヤマトグループが一括管理するなど、総合的な価値提供に資する提案営業に注力しています。
ニ.当連結会計年度においては、総合食品メーカー様と原材料調達から販売に至るサプライチェーン全体の最適化に向けた「共創ロジスティクスパートナーシップ協定」を締結するとともに、タイヤメーカー様の物流・在庫の最適化による総ロジスティクスコストの削減、タイヤメーカー様のお客様に対する価値向上、GHG排出量の可視化・削減による環境負荷が少ない物流の実現などを目指す「リードロジスティクスパートナー契約」を締結しました。また、ヤマト運輸株式会社の仕分けターミナルと保冷機能が一体となった拠点を活用した、食品販売事業者様のD2C(Direct to Consumer/消費者直接取引)流通スキームを構築するとともに、ファッション企業様とサステナブルなサプライチェーン実現に向けた「ロジスティクスパートナーシップ協定」や、外食産業の事業環境の変化に対応した持続可能なサプライチェーン構築に向けた「リードロジスティクスパートナー協定」を締結するなど、引き続き、ヤマトグループの経営資源を最大限に活用し、サプライチェーンの「End to End」に対する提供価値の拡大に取り組んでいます。
ホ.外部顧客への営業収益は、EC需要拡大への対応や法人顧客の物流最適化に向けた取組みを推進したことなどにより8,460億53百万円となり、前連結会計年度に比べ4.2%増加しました。営業費用は、中期経営計画「Oneヤマト2023」の推進に伴う費用が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ3.4%増加し、営業利益は前連結会計年度に比べ40億40百万円減少しました。
(参考)
○その他
イ.当連結会計年度においては、引き続き、複数の企業グループのネットワークを用いたボックス輸送や車両整備サービスの拡販に取り組みました。
ロ.外部顧客への営業収益は600億40百万円となり、前連結会計年度に比べ31.8%減少しました。また、営業利益は139億円となり、前連結会計年度に比べ26億58百万円減少しました。
イ.ヤマトグループは、人命の尊重を最優先とし、安全に対する様々な取組みを実施しており、輸送を主な事業とするグループ各社を中心に、安全管理規程の策定および管理体制の構築、年度計画の策定など、運輸安全マネジメントに取り組んでいます。当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえて開催を見送っていた「こども交通安全教室」を幼稚園・小学校などで再開しました。また、安全の意識向上を図るため、グループ全体で「交通事故ゼロ運動」「労働災害防止運動」を実施しました。
ロ.ヤマトグループは、企業価値の最大化を経営上の最重要課題の一つとして位置付け、コーポレート・ガバナンスの取組みの中で、経営体制の強化に向けた施策を実践しています。そして、グループ企業理念に基づき、法と社会的規範に則った事業活動を展開するとともに、コンプライアンス経営を推進しています。
ハ.ヤマトグループは、中長期の経営のグランドデザインである経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」で掲げた2つのビジョン「つなぐ、未来を届ける、グリーン物流」と「共創による、フェアで、“誰一人取り残さない”社会の実現への貢献」のもと、「サステナブル中期計画2023[環境・社会]」を策定し、サステナブル経営の強化に取り組んでいます。
ニ.このうち「環境」の分野では、事業活動の環境負荷を減らすため総量目標に加え、資材や車など、物流業界として革新的な技術の普及に貢献できる分野についても目標を定めるとともに、多様なパートナーと協働したグリーン物流や、環境負荷が少ない商品・サービスの提供を目標とし、環境価値の創出に取り組んでいます。また、カーボンニュートラルの実現に向けた取組みとして、2022年7月、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に採択された、当社単独提案事業「グリーンデリバリーの実現に向けたEVの導入・運用」と、共同提案事業「商用電動車普及に向けたエネルギーマネジメントシステムの構築・大規模実証」についても引き続き推進しています。
ホ.また、「社会」の分野では、人材の多様性を尊重し、社員が活躍できる職場環境を整備するとともに、社会の諸課題に向き合い、共創による地域づくりを推進するなど、豊かな社会の実現に取り組んでいます。引き続き、ヤマトグループ社員向けの「ユニバーサルマナー検定」により、障がい者のご自宅や宅急便営業所での荷物の受け取り・発送における適切なサポートなど、ユニバーサルマナー向上のための知識の習得と、顧客対応責任者を中心とした浸透活動を通じて、人権・多様性を尊重する社会の実現に貢献します。
ヘ.ヤマトグループは、より持続的な社会的価値の創造に向けて、社会と価値を共有するCSV(クリエーティング・シェアード・バリュー=共有価値の創造)という概念に基づいた取組みを推進しています。引き続き、地域社会の健全で持続的な発展と地域の皆様の安心・快適な生活をサポートする地域密着のコミュニティ拠点として「ネコサポステーション」を運営し、家事サポートサービスや、IoT電球「HelloLight」を活用した「クロネコ見守りサービスハローライト訪問プラン」を展開するなど、生活全般に関わる相談窓口の設置、地域の皆様が交流できるイベント開催などに取り組んでいます。また、2023年3月、地域社会の一員として地域社会との共生を図るスポーツビジネスを手掛ける事業者様と物流パートナーシップ契約を締結しました。今後、オフィシャルロジスティクスパートナーとして、ヤマトグループの物流ネットワークや経営資源を活かし、スポーツ施設内の景観やお客様の導線を配慮した最適な物流を構築することで、スポーツ施設と街が一体となった持続可能な地域社会の実現に貢献していきます。
ト.ヤマトグループは、社会とともに持続的に発展する企業を目指し、公益財団法人ヤマト福祉財団を中心に、障がい者が自主的に働く喜びを実感できる社会の実現に向けて様々な活動を行っています。具体的には、パン製造・販売を営むスワンベーカリーにおける積極的な雇用や、クロネコDM便の委託配達を通じた働く場の提供、就労に必要な技術や知識の訓練を行う就労支援施設の運営など、障がい者の経済的な自立支援を継続的に行っています。
② キャッシュ・フローの状況
○営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは899億53百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ収入が379億37百万円増加しました。これは主に、未払消費税等の増減額が270億53百万円増加したこと、法人税等の支払額が255億78百万円減少したことおよび税金等調整前当期純利益が568億15百万円となり、収入が242億24百万円減少したことによるものであります。
○投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは494億20百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出が95億22百万円減少しました。これは主に、前連結会計年度において連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出が73億13百万円あったことおよびその他の支出が77億69百万円、有形固定資産の取得による支出が53億43百万円減少した一方で、投資有価証券の売却による収入が139億22百万円減少したことによるものであります。
○財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは386億17百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出が158億38百万円減少しました。これは主に、前連結会計年度において長期借入金を140億円返済したことによるものであります。
以上により、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は1,832億25百万円となり、前連結会計年度末に比べ26億21百万円増加しました。
③ 生産、受注及び販売の実績
セグメントごとの営業収益は次のとおりであります。
なお、ヤマトグループは、貨物運送事業を中心とするサービスを主要な商品としているため、生産および受注の実績は記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点によるヤマトグループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
ⅰ.財政状態
総資産は1兆1,075億87百万円となり、前連結会計年度末に比べ207億32百万円増加しました。これは主に、リテール部門を中心に拠点の新設をしたことや車両運搬具を取得したことにより有形固定資産が131億38百万円、および繰延税金資産が100億93百万円増加したことによるものであります。
負債は4,911億56百万円となり、前連結会計年度末に比べ25億35百万円増加しました。これは主に、リース債務が73億84百万円増加した一方で、短期借入金が50億円減少したことによるものであります。
純資産は6,164億30百万円となり、前連結会計年度末に比べ181億96百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益が458億98百万円となった一方で、剰余金の配当を167億83百万円実施したことに加え、自己株式を100億1百万円取得したことなどによるものであります。
以上により、自己資本比率は前連結会計年度の54.3%から55.1%となりました。
ⅱ.経営成績
当連結会計年度の営業収益は1兆8,006億68百万円となり、前連結会計年度に比べ70億50百万円の増収となりました。これは、成長が続くEC領域への対応により荷物の取扱数量が増加したことや、お客様の物流最適化に注力したことなどによるものです。
営業費用は1兆7,405億83百万円となり、前連結会計年度に比べ241億64百万円増加しました。これは、時給単価や燃料単価、電気代などの上昇に加え、拡大するEC需要に対応するために構築しているEC物流ネットワークと既存ネットワークにおける輸配送オペレーションの適正化を進める途上にあることなど、中期経営計画「Oneヤマト2023」の推進に伴う費用が増加したことによるものです。
この結果、当連結会計年度の営業利益は600億85百万円となり、前連結会計年度に比べ171億14百万円の減益となりました。
経常利益は、持分法による投資損失が39億15百万円増加したことに加え、前連結会計年度において投資事業組合運用益を45億10百万円計上したことなどにより、前連結会計年度に比べ262億64百万円減益の580億66百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益が133億42百万円減少した一方で、前連結会計年度において退職給付制度改定費用を149億99百万円計上したことおよび当連結会計年度において海外連結子会社の清算が承認され繰延税金資産を計上したことなどに伴い法人税等調整額が62億98百万円減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ100億57百万円減益の458億98百万円となりました。
1株当たり当期純利益は126.64円となり、前連結会計年度に比べ24.39円減少しました。
○リテール部門
外部顧客への営業収益は、多様化するニーズに応じた最適な荷物の発送やお届けに取り組んだ結果8,945億74百万円となり、前連結会計年度に比べ0.1%増加しました。営業費用は、中期経営計画「Oneヤマト2023」の推進に伴う費用が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ5.1%増加し、営業利益は前連結会計年度に比べ121億65百万円減少しました。
○法人部門
外部顧客への営業収益は、EC需要拡大への対応や法人顧客の物流最適化に向けた取組みを推進したことなどにより8,460億53百万円となり、前連結会計年度に比べ4.2%増加しました。営業費用は、中期経営計画「Oneヤマト2023」の推進に伴う費用が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ3.4%増加し、営業利益は前連結会計年度に比べ40億40百万円減少しました。
○その他
外部顧客への営業収益は600億40百万円となり、前連結会計年度に比べ31.8%減少しました。また、営業利益は139億円となり、前連結会計年度に比べ26億58百万円減少しました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報
ⅰ.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
ⅱ.資本の財源及び資金の流動性
ヤマトグループは、ネットワーク構築、デジタル・イノベーション関連などの事業継続および事業成長に対する投資計画に照らし、キャッシュ創出状況、保有現預金や自己資本比率水準等の財務の健全性と効率性を意識しながら、必要資金についてはグループ資金を活用するとともに、金融機関からの借入および社債発行により対応しております。
なお、財務の健全性の観点から自己資本比率は50%前後を意識し、格付け水準(R&I格付投資情報センター/AA-)の維持に努めてまいります。株主還元については、親会社株主に帰属する当期純利益を基準とする配当性向30%、総還元性向50%を目安とし実施してまいります。
③ 目標とする指標の達成状況等
ヤマトグループは、サプライチェーン全体の変革を支援することで、個人、法人のお客様、そして社会全体に対する価値提供を目指す中期経営計画「Oneヤマト2023」の最終年度となる2024年3月期において、連結営業収益2兆円、連結営業利益1,200億円(連結営業利益率6.0%)、ROE10.0%の達成を目標としております。
当連結会計年度の営業収益は1兆8,006億68百万円となり、前連結会計年度に比べ70億50百万円の増収となりました。これは、成長が続くEC領域への対応により荷物の取扱数量が増加したことや、お客様の物流最適化に注力したことなどによるものです。
営業費用は1兆7,405億83百万円となり、前連結会計年度に比べ241億64百万円増加しました。これは、時給単価や燃料単価、電気代などの上昇に加え、拡大するEC需要に対応するために構築しているEC物流ネットワークと既存ネットワークにおける輸配送オペレーションの適正化を進める途上にあることなど、中期経営計画「Oneヤマト2023」の推進に伴う費用が増加したことによるものです。この結果、当連結会計年度の営業利益は600億85百万円となり、前連結会計年度に比べ171億14百万円の減益となりました。
中期経営計画の最終年度である2024年3月期の連結業績見通しについては、物価高や消費動向など外的環境の変化などを考慮し、連結営業収益1兆8,600億円、連結営業利益800億円(連結営業利益率4.3%)、ROE8.3%に見直しております。
なお、ヤマト運輸株式会社は、2023年4月3日より届出運賃等を改定しました。今後も外部環境の変化による影響を踏まえ、毎年、届出運賃等を見直しながら、物流パートナー等に対し適時適切に対応していくことなどにより、輸配送ネットワークの維持・強化と、お客様により良いサービスを提供し続ける環境を構築していきます。
また、引き続き、ネットワーク・オペレーションの構造改革および、法人ビジネス領域の拡大に取り組むことで、持続的な事業成長を実現していきます。
④ 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定
ヤマトグループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。
重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
当連結会計年度におけるヤマトグループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
ⅰ.財政状態
総資産は1兆1,075億87百万円となり、前連結会計年度末に比べ207億32百万円増加しました。
負債は4,911億56百万円となり、前連結会計年度末に比べ25億35百万円増加しました。
純資産は6,164億30百万円となり、前連結会計年度末に比べ181億96百万円増加しました。
ⅱ.経営成績
当連結会計年度における経済環境は、新型コロナウイルス感染症の影響は弱まり、経済活動の正常化に向けた動きが進んでいるものの、国際情勢の不安定化に伴うエネルギー価格の高止まりや原材料価格の高騰などの世界的なインフレに対し、米欧主要中央銀行の継続的な金融引き締めなどにより、世界経済の減速傾向が強まっています。さらに国内においても物価上昇に伴い、個人消費が停滞しているなど、依然として本格的な景気回復が見通しづらい状況にあります。
また、新型コロナウイルス感染症を契機としたテレワークの定着、診療や教育分野におけるサービスのオンライン化など、消費行動や生活様式が変化し、産業のEC化が進展しています。
このような状況下、ヤマトグループは経営理念に掲げる「豊かな社会の実現への貢献」を通じた持続的な企業価値の向上を実現するため、グループ各社の経営資源を結集したグループ経営体制の下、2024年3月期を最終年度とする中期経営計画「Oneヤマト2023」に基づき、生活様式の変化と流通構造の変化に対応するサプライチェーンの変革に向けて、お客様や社会のニーズに対し総合的な価値提供に取り組みました。
当連結会計年度の連結業績は、以下のとおりとなりました。
| 区分 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 伸率(%) | |
| 営業収益 | (百万円) | 1,793,618 | 1,800,668 | 7,050 | 0.4 |
| 営業利益 | (百万円) | 77,199 | 60,085 | △17,114 | △22.2 |
| 経常利益 | (百万円) | 84,330 | 58,066 | △26,264 | △31.1 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | (百万円) | 55,956 | 45,898 | △10,057 | △18.0 |
当連結会計年度の営業収益は1兆8,006億68百万円となり、前連結会計年度に比べ70億50百万円の増収となりました。これは、成長が続くEC領域への対応により荷物の取扱数量が増加したことや、お客様の物流最適化に注力したことなどによるものです。
営業費用は1兆7,405億83百万円となり、前連結会計年度に比べ241億64百万円増加しました。これは、時給単価や燃料単価、電気代などの上昇に加え、拡大するEC需要に対応するために構築しているEC物流ネットワークと既存ネットワークにおける輸配送オペレーションの適正化を進める途上にあることなど、中期経営計画「Oneヤマト2023」の推進に伴う費用が増加したことによるものです。
この結果、当連結会計年度の営業利益は600億85百万円となり、前連結会計年度に比べ171億14百万円の減益となりました。
<ヤマトグループ全体としての取組み>ヤマトグループは、引き続き、社員の衛生管理に留意しながら、宅急便をはじめとする物流サービスの安定提供に取り組みました。そして、中期経営計画「Oneヤマト2023」に基づき、お客様や社会の多様化するニーズに対し総合的な価値提供を拡大させるため、以下の取組みを進めています。
イ.法人顧客への価値提供の拡大
拡大するEC需要や法人のお客様のサプライチェーンの変化に対応し、セールスドライバーと法人営業担当者が連携してお客様の課題解決に取り組むとともに、拠点と輸配送ネットワークを最大活用し、在庫の適正化と納品・配送のリードタイム短縮を両立させて物流コストの最適化を支援するなど、引き続き、お客様のサプライチェーン全体に対する価値提供に取り組みました。
ロ.ネットワーク・オペレーションの構造改革
拡大するEC需要に対し、都市部を中心に、仕分け・輸送からラストマイルまでのオペレーションプロセスを簡素化したEC物流ネットワークの構築を進めています。その上で、業務量の繁閑に応じて、より柔軟に対応するため、小規模・多店舗展開してきた宅急便営業所の集約・大型化やターミナル機能の再定義、ITシステムを活用した作業オペレーションの効率化を進めるとともに、安全・品質・働きやすさの向上などの取組みを推進するなど、引き続き、物流ネットワーク全体の生産性向上および、オペレーティングコストの適正化に取り組みました。
ハ.持続的な企業価値向上を実現する戦略の推進
持続的な企業価値向上を実現すべく、中期経営計画「Oneヤマト2023」では、データ戦略とイノベーション戦略の推進、経営体制の刷新とガバナンスの強化、人事戦略、資本効率の向上、およびサステナブル経営の強化に取り組んでいます。
デジタル戦略については、データ活用のさらなる高度化に向けて、引き続きデジタルデータの整備とデジタル基盤の強化を図るとともに、デジタルデータを活用したサービスおよび、オペレーションの改善を進めています。
イノベーション戦略については、スタートアップの発掘と連携、投資を通じた新規事業の共創など、オープンイノベーションに向けた取組みを進めています。
人事戦略については、社員が自らの成長に自律的に取り組み、多様な人材が活躍できる複線型人材マネジメント体系の構築を進めるなど、社員が創出する価値を最大化するための環境整備に取り組んでいます。
ガバナンスの強化については、経営の監督と執行の分離、経営の透明性の維持、強化など、コーポレート・ガバナンスの高度化に継続して取り組むとともに、意思決定のスピードを重視したガバナンスの強化を進めています。
サステナブル経営の強化については、持続的な成長と持続可能な社会の発展を両立するため「つなぐ、未来を届ける、グリーン物流」「共創による、フェアで、“誰一人取り残さない”社会の実現への貢献」という2つのビジョンのもと、人や資源、情報を高度につなぎ、輸送をより効率化させるなど、環境と社会に配慮した経営を推進しています。特に環境については、「2050年温室効果ガス(GHG)排出実質ゼロ(自社排出)」および「2030年温室効果ガス(GHG)排出量48%削減(2020年度比)」の実現に向け、「EV20,000台の導入」「太陽光発電設備810基の導入」「再生可能エネルギー由来電力の使用率向上」などの施策を推進しています。また、2022年9月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明するとともに、同提言に基づき、事業活動に影響を及ぼす気候変動のリスクと機会に関する情報を、当社コーポレートサイトに開示しました。今後も気候変動や社会課題への対応など、サステナビリティの取組みを加速させ、持続可能な企業成長を推進していきます。
<セグメント別の概況>○リテール部門
イ.リテール部門は、宅急便をはじめとする高品質な小口輸送サービスを提供しています。そして、グループ全体のビジネスの起点として、生活様式やビジネス環境に伴うお客様の変化を第一線の社員が汲み取り、法人営業担当者と連携してグループの経営資源を活用したソリューション提案を行うなど、宅急便のサービス提供によって生み出されるお客様との接点という利点を活かし、お客様のニーズに応える価値提供に取り組んでいます。また、5,000万人以上にご登録いただいている「クロネコメンバーズ」、法人のお客様150万社以上にご利用いただいている「ヤマトビジネスメンバーズ」を中心に「送る」「受け取る」をより便利にするサービスの提供や、輸送以外の生活・ビジネスに役立つ様々なサービスの拡充に取り組んでいます。
ロ.当連結会計年度は、さらなる顧客体験の向上に向け、スマートフォンを使って法人のお客様における宅急便の発送手続きを効率化するサービスを開始するとともに、キャッシュレス化の促進に向けて、スマートフォンに対応した新たな決済サービス「にゃんPay」を開始しました。また、宅急便のweb集荷依頼サービスにおける機能の拡充や、フリマ事業者様、マンションの宅配ロッカーサービス事業者様と連携し、マンションの宅配ロッカーから非対面で商品を発送できる機能を拡充するなど、お客様の利便性向上に取り組みました。
ハ.外部顧客への営業収益は、多様化するニーズに応じた最適な荷物の発送やお届けに取り組んだ結果8,945億74百万円となり、前連結会計年度に比べ0.1%増加しました。営業費用は、中期経営計画「Oneヤマト2023」の推進に伴う費用が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ5.1%増加し、営業利益は前連結会計年度に比べ121億65百万円減少しました。
○法人部門
イ.法人部門は、ビジネスの中・上流領域を含む企業物流のサプライチェーン全体への価値提供を推進するため、物流オペレーションの改善や効率化に留まらず、お客様の経営判断に資するサプライチェーンマネジメント(SCM)戦略の企画立案、より実効性のあるプロジェクトの構築や管理運営まで担うアカウント営業の強化に取り組んでいます。
ロ.成長が続くEC需要が集中する都市部において、仕分け・輸送からラストマイルまでのオペレーションプロセスを簡素化したEC物流ネットワークの構築を推進しています。また、大手EC事業者様との連携のもと、オンラインショッピングモールに出店するEC事業者様の物流最適化に向けて、受注から出荷・配送までの全部または一部の機能を代行するサービスの拡販とさらなる利便性の向上に取り組んでいます。さらに、需要が拡大する越境ECにおいては、輸入通関に関わるシステムと国内配送ネットワークを円滑に連携し、お届けまでのリードタイム短縮を実現する取組みを推進しています。
ハ.また、実店舗とECのオムニチャネルでの販売体制の構築を進める小売業の事業者様に対し、集約・大型化した拠点と輸配送ネットワークを組み合わせ、お客様のオムニチャネルでの販売在庫を流動化し、在庫と物流を一元管理して最適化する取組みを推進しています。さらに、店舗向け商品ならびに公式通販サイト向け商品の調達から保管、梱包、配送までのすべての物流業務をヤマトグループが一括管理するなど、総合的な価値提供に資する提案営業に注力しています。
ニ.当連結会計年度においては、総合食品メーカー様と原材料調達から販売に至るサプライチェーン全体の最適化に向けた「共創ロジスティクスパートナーシップ協定」を締結するとともに、タイヤメーカー様の物流・在庫の最適化による総ロジスティクスコストの削減、タイヤメーカー様のお客様に対する価値向上、GHG排出量の可視化・削減による環境負荷が少ない物流の実現などを目指す「リードロジスティクスパートナー契約」を締結しました。また、ヤマト運輸株式会社の仕分けターミナルと保冷機能が一体となった拠点を活用した、食品販売事業者様のD2C(Direct to Consumer/消費者直接取引)流通スキームを構築するとともに、ファッション企業様とサステナブルなサプライチェーン実現に向けた「ロジスティクスパートナーシップ協定」や、外食産業の事業環境の変化に対応した持続可能なサプライチェーン構築に向けた「リードロジスティクスパートナー協定」を締結するなど、引き続き、ヤマトグループの経営資源を最大限に活用し、サプライチェーンの「End to End」に対する提供価値の拡大に取り組んでいます。
ホ.外部顧客への営業収益は、EC需要拡大への対応や法人顧客の物流最適化に向けた取組みを推進したことなどにより8,460億53百万円となり、前連結会計年度に比べ4.2%増加しました。営業費用は、中期経営計画「Oneヤマト2023」の推進に伴う費用が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ3.4%増加し、営業利益は前連結会計年度に比べ40億40百万円減少しました。
(参考)
| 区分 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 伸率(%) | |
| 宅急便・宅急便コンパクト・EAZY | (百万個) | 1,890 | 1,926 | 35 | 1.9 |
| ネコポス | (百万個) | 384 | 413 | 28 | 7.4 |
| クロネコDM便 | (百万冊) | 824 | 800 | △23 | △2.9 |
○その他
イ.当連結会計年度においては、引き続き、複数の企業グループのネットワークを用いたボックス輸送や車両整備サービスの拡販に取り組みました。
ロ.外部顧客への営業収益は600億40百万円となり、前連結会計年度に比べ31.8%減少しました。また、営業利益は139億円となり、前連結会計年度に比べ26億58百万円減少しました。
ロ.ヤマトグループは、企業価値の最大化を経営上の最重要課題の一つとして位置付け、コーポレート・ガバナンスの取組みの中で、経営体制の強化に向けた施策を実践しています。そして、グループ企業理念に基づき、法と社会的規範に則った事業活動を展開するとともに、コンプライアンス経営を推進しています。
ハ.ヤマトグループは、中長期の経営のグランドデザインである経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」で掲げた2つのビジョン「つなぐ、未来を届ける、グリーン物流」と「共創による、フェアで、“誰一人取り残さない”社会の実現への貢献」のもと、「サステナブル中期計画2023[環境・社会]」を策定し、サステナブル経営の強化に取り組んでいます。
ニ.このうち「環境」の分野では、事業活動の環境負荷を減らすため総量目標に加え、資材や車など、物流業界として革新的な技術の普及に貢献できる分野についても目標を定めるとともに、多様なパートナーと協働したグリーン物流や、環境負荷が少ない商品・サービスの提供を目標とし、環境価値の創出に取り組んでいます。また、カーボンニュートラルの実現に向けた取組みとして、2022年7月、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に採択された、当社単独提案事業「グリーンデリバリーの実現に向けたEVの導入・運用」と、共同提案事業「商用電動車普及に向けたエネルギーマネジメントシステムの構築・大規模実証」についても引き続き推進しています。
ホ.また、「社会」の分野では、人材の多様性を尊重し、社員が活躍できる職場環境を整備するとともに、社会の諸課題に向き合い、共創による地域づくりを推進するなど、豊かな社会の実現に取り組んでいます。引き続き、ヤマトグループ社員向けの「ユニバーサルマナー検定」により、障がい者のご自宅や宅急便営業所での荷物の受け取り・発送における適切なサポートなど、ユニバーサルマナー向上のための知識の習得と、顧客対応責任者を中心とした浸透活動を通じて、人権・多様性を尊重する社会の実現に貢献します。
ヘ.ヤマトグループは、より持続的な社会的価値の創造に向けて、社会と価値を共有するCSV(クリエーティング・シェアード・バリュー=共有価値の創造)という概念に基づいた取組みを推進しています。引き続き、地域社会の健全で持続的な発展と地域の皆様の安心・快適な生活をサポートする地域密着のコミュニティ拠点として「ネコサポステーション」を運営し、家事サポートサービスや、IoT電球「HelloLight」を活用した「クロネコ見守りサービスハローライト訪問プラン」を展開するなど、生活全般に関わる相談窓口の設置、地域の皆様が交流できるイベント開催などに取り組んでいます。また、2023年3月、地域社会の一員として地域社会との共生を図るスポーツビジネスを手掛ける事業者様と物流パートナーシップ契約を締結しました。今後、オフィシャルロジスティクスパートナーとして、ヤマトグループの物流ネットワークや経営資源を活かし、スポーツ施設内の景観やお客様の導線を配慮した最適な物流を構築することで、スポーツ施設と街が一体となった持続可能な地域社会の実現に貢献していきます。
ト.ヤマトグループは、社会とともに持続的に発展する企業を目指し、公益財団法人ヤマト福祉財団を中心に、障がい者が自主的に働く喜びを実感できる社会の実現に向けて様々な活動を行っています。具体的には、パン製造・販売を営むスワンベーカリーにおける積極的な雇用や、クロネコDM便の委託配達を通じた働く場の提供、就労に必要な技術や知識の訓練を行う就労支援施設の運営など、障がい者の経済的な自立支援を継続的に行っています。
② キャッシュ・フローの状況
○営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは899億53百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ収入が379億37百万円増加しました。これは主に、未払消費税等の増減額が270億53百万円増加したこと、法人税等の支払額が255億78百万円減少したことおよび税金等調整前当期純利益が568億15百万円となり、収入が242億24百万円減少したことによるものであります。
○投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは494億20百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出が95億22百万円減少しました。これは主に、前連結会計年度において連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出が73億13百万円あったことおよびその他の支出が77億69百万円、有形固定資産の取得による支出が53億43百万円減少した一方で、投資有価証券の売却による収入が139億22百万円減少したことによるものであります。
○財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは386億17百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出が158億38百万円減少しました。これは主に、前連結会計年度において長期借入金を140億円返済したことによるものであります。
以上により、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は1,832億25百万円となり、前連結会計年度末に比べ26億21百万円増加しました。
③ 生産、受注及び販売の実績
セグメントごとの営業収益は次のとおりであります。
なお、ヤマトグループは、貨物運送事業を中心とするサービスを主要な商品としているため、生産および受注の実績は記載を省略しております。
| セグメントの名称 | 前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 比 較 増減率 (%) | |||
| 収入 | 金額 (百万円) | 構成比 (%) | 金額 (百万円) | 構成比 (%) | ||
| リテール部門 | 運送収入 | 1,144,359 | 63.8 | 1,191,264 | 66.2 | 4.1 |
| 物流支援収入 | 3,587 | 0.2 | 3,352 | 0.2 | △6.6 | |
| その他 | 28,183 | 1.6 | 25,858 | 1.4 | △8.3 | |
| 内部売上消去 | △282,733 | △15.8 | △325,901 | △18.1 | 15.3 | |
| 計 | 893,396 | 49.8 | 894,574 | 49.7 | 0.1 | |
| 法人部門 | 運送収入 | 598,306 | 33.4 | 617,221 | 34.3 | 3.2 |
| 物流支援収入 | 249,637 | 13.9 | 259,525 | 14.4 | 4.0 | |
| その他 | 33,022 | 1.8 | 33,357 | 1.9 | 1.0 | |
| 内部売上消去 | △68,780 | △3.8 | △64,051 | △3.6 | △6.9 | |
| 計 | 812,185 | 45.3 | 846,053 | 47.0 | 4.2 | |
| その他 | 運送収入 | 50,967 | 2.8 | 24,616 | 1.4 | △51.7 |
| その他 | 176,558 | 9.8 | 155,187 | 8.6 | △12.1 | |
| 内部売上消去 | △139,490 | △7.8 | △119,763 | △6.7 | △14.1 | |
| 計 | 88,035 | 4.9 | 60,040 | 3.3 | △31.8 | |
| 合 計 | 1,793,618 | 100.0 | 1,800,668 | 100.0 | 0.4 | |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点によるヤマトグループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
ⅰ.財政状態
総資産は1兆1,075億87百万円となり、前連結会計年度末に比べ207億32百万円増加しました。これは主に、リテール部門を中心に拠点の新設をしたことや車両運搬具を取得したことにより有形固定資産が131億38百万円、および繰延税金資産が100億93百万円増加したことによるものであります。
負債は4,911億56百万円となり、前連結会計年度末に比べ25億35百万円増加しました。これは主に、リース債務が73億84百万円増加した一方で、短期借入金が50億円減少したことによるものであります。
純資産は6,164億30百万円となり、前連結会計年度末に比べ181億96百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益が458億98百万円となった一方で、剰余金の配当を167億83百万円実施したことに加え、自己株式を100億1百万円取得したことなどによるものであります。
以上により、自己資本比率は前連結会計年度の54.3%から55.1%となりました。
ⅱ.経営成績
当連結会計年度の営業収益は1兆8,006億68百万円となり、前連結会計年度に比べ70億50百万円の増収となりました。これは、成長が続くEC領域への対応により荷物の取扱数量が増加したことや、お客様の物流最適化に注力したことなどによるものです。
営業費用は1兆7,405億83百万円となり、前連結会計年度に比べ241億64百万円増加しました。これは、時給単価や燃料単価、電気代などの上昇に加え、拡大するEC需要に対応するために構築しているEC物流ネットワークと既存ネットワークにおける輸配送オペレーションの適正化を進める途上にあることなど、中期経営計画「Oneヤマト2023」の推進に伴う費用が増加したことによるものです。
この結果、当連結会計年度の営業利益は600億85百万円となり、前連結会計年度に比べ171億14百万円の減益となりました。
経常利益は、持分法による投資損失が39億15百万円増加したことに加え、前連結会計年度において投資事業組合運用益を45億10百万円計上したことなどにより、前連結会計年度に比べ262億64百万円減益の580億66百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益が133億42百万円減少した一方で、前連結会計年度において退職給付制度改定費用を149億99百万円計上したことおよび当連結会計年度において海外連結子会社の清算が承認され繰延税金資産を計上したことなどに伴い法人税等調整額が62億98百万円減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ100億57百万円減益の458億98百万円となりました。
1株当たり当期純利益は126.64円となり、前連結会計年度に比べ24.39円減少しました。
○リテール部門
外部顧客への営業収益は、多様化するニーズに応じた最適な荷物の発送やお届けに取り組んだ結果8,945億74百万円となり、前連結会計年度に比べ0.1%増加しました。営業費用は、中期経営計画「Oneヤマト2023」の推進に伴う費用が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ5.1%増加し、営業利益は前連結会計年度に比べ121億65百万円減少しました。
○法人部門
外部顧客への営業収益は、EC需要拡大への対応や法人顧客の物流最適化に向けた取組みを推進したことなどにより8,460億53百万円となり、前連結会計年度に比べ4.2%増加しました。営業費用は、中期経営計画「Oneヤマト2023」の推進に伴う費用が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ3.4%増加し、営業利益は前連結会計年度に比べ40億40百万円減少しました。
○その他
外部顧客への営業収益は600億40百万円となり、前連結会計年度に比べ31.8%減少しました。また、営業利益は139億円となり、前連結会計年度に比べ26億58百万円減少しました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報
ⅰ.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
ⅱ.資本の財源及び資金の流動性
ヤマトグループは、ネットワーク構築、デジタル・イノベーション関連などの事業継続および事業成長に対する投資計画に照らし、キャッシュ創出状況、保有現預金や自己資本比率水準等の財務の健全性と効率性を意識しながら、必要資金についてはグループ資金を活用するとともに、金融機関からの借入および社債発行により対応しております。
なお、財務の健全性の観点から自己資本比率は50%前後を意識し、格付け水準(R&I格付投資情報センター/AA-)の維持に努めてまいります。株主還元については、親会社株主に帰属する当期純利益を基準とする配当性向30%、総還元性向50%を目安とし実施してまいります。
③ 目標とする指標の達成状況等
ヤマトグループは、サプライチェーン全体の変革を支援することで、個人、法人のお客様、そして社会全体に対する価値提供を目指す中期経営計画「Oneヤマト2023」の最終年度となる2024年3月期において、連結営業収益2兆円、連結営業利益1,200億円(連結営業利益率6.0%)、ROE10.0%の達成を目標としております。
当連結会計年度の営業収益は1兆8,006億68百万円となり、前連結会計年度に比べ70億50百万円の増収となりました。これは、成長が続くEC領域への対応により荷物の取扱数量が増加したことや、お客様の物流最適化に注力したことなどによるものです。
営業費用は1兆7,405億83百万円となり、前連結会計年度に比べ241億64百万円増加しました。これは、時給単価や燃料単価、電気代などの上昇に加え、拡大するEC需要に対応するために構築しているEC物流ネットワークと既存ネットワークにおける輸配送オペレーションの適正化を進める途上にあることなど、中期経営計画「Oneヤマト2023」の推進に伴う費用が増加したことによるものです。この結果、当連結会計年度の営業利益は600億85百万円となり、前連結会計年度に比べ171億14百万円の減益となりました。
中期経営計画の最終年度である2024年3月期の連結業績見通しについては、物価高や消費動向など外的環境の変化などを考慮し、連結営業収益1兆8,600億円、連結営業利益800億円(連結営業利益率4.3%)、ROE8.3%に見直しております。
なお、ヤマト運輸株式会社は、2023年4月3日より届出運賃等を改定しました。今後も外部環境の変化による影響を踏まえ、毎年、届出運賃等を見直しながら、物流パートナー等に対し適時適切に対応していくことなどにより、輸配送ネットワークの維持・強化と、お客様により良いサービスを提供し続ける環境を構築していきます。
また、引き続き、ネットワーク・オペレーションの構造改革および、法人ビジネス領域の拡大に取り組むことで、持続的な事業成長を実現していきます。
④ 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定
ヤマトグループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。
重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。