有価証券報告書-第156期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度におけるヤマトグループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
ⅰ.財政状態
総資産は1兆899億91百万円となり、前連結会計年度に比べ107億48百万円減少しました。
負債は5,057億4百万円となり、前連結会計年度に比べ322億円減少しました。
純資産は5,842億87百万円となり、前連結会計年度に比べ214億52百万円増加しました。
ⅱ.経営成績
当連結会計年度における経済環境は、世界的な新型コロナウイルス感染症の影響で停滞していた経済活動が再開したことに伴い、製造業を中心に景況感の改善がみられたものの、今後の感染状況や収束時期が不透明な中、国内外において感染が再拡大するなど、依然として内外経済環境の回復が見通せない状況にあります。また、新型コロナウイルス感染症の影響により、テレワークの推進、診療や教育分野におけるサービスのオンライン化など、ライフスタイルやビジネス環境が変化し、全産業のEC化が加速しています。
このような状況下、ヤマトグループはお客様、社会のニーズに応える「新たな物流のエコシステム」を創出することで、豊かな社会の創造に持続的な貢献を果たしていくため、中長期の経営のグランドデザインである経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」に基づき、2021年4月からの新たな経営体制に先んじてグループ経営資源を結集しながら、宅急便のデジタルトランスフォーメーション、ECエコシステムの確立、法人向け物流事業の強化の3つの事業構造改革と、グループ経営体制の刷新、データ・ドリブン経営への転換、サステナビリティの取組みの3つの基盤構造改革を推進しました。当連結会計年度においては、新型コロナウイルスの今後の感染状況や収束時期が不透明な中、お客様、社員の安全を最優先に、宅急便をはじめとする物流サービスの継続に取り組みました。その中で、ライフスタイルやビジネス環境の変化によりお客様に生じる課題の把握に努め、加速する全産業のEC化に対応し、新配送サービスの拡販と更なる利便性の向上を推進しました。そして、グループ全体でアカウントマネジメントを強化し、遠隔医療分野における遠隔処方領域やGIGAスクール構想を進める教育分野における新たなニーズへの対応、店舗、EC双方における最適なサプライチェーンを構築するソリューションの提供などに取り組みました。また、データ・ドリブン経営への転換を推進し、データ分析に基づく需要予測により経営資源を最適配置し、集配および幹線輸送の効率化を図るとともに、配送パートナーとの連携のもと新たな配送ネットワークを構築することで、集配キャパシティの拡大とコストの適正化を推進しました。
当連結会計年度の連結業績は以下のとおりとなりました。
上記のとおり営業収益は1兆6,958億67百万円となり、前連結会計年度に比べ657億20百万円の増収となりました。これは主に、成長が加速するEC領域に対応した結果、荷物の取扱数量が増加したことによるものです。営業費用は1兆6,037億45百万円となり、前連結会計年度に比べ183億円増加しました。これは主に、荷物の取扱数量が増加する中、データ分析に基づく経営資源の最適配置による集配効率の向上や幹線輸送、仕分け作業の効率化推進により費用の適正化に努めたことなどによるものです。
この結果、当連結会計年度の営業利益は921億21百万円となり、前連結会計年度に比べ474億20百万円の増益となりました。
<ヤマトグループ全体としての取組み>イ.新型コロナウイルス感染症に対応し、お客様に安心して宅急便をご利用いただくため、社員の衛生管理に最大限留意するとともに、非対面での荷物のお届けや接客時の感染防止対策の実施、ホームページなどを活用した情報発信などに取り組み、宅急便をはじめとする物流サービスの継続に取り組みました。
ロ.持続的に成長していくためのグループ経営構造改革を推進し、今後のヤマトグループにおける中長期の経営のグランドデザインとして策定した経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」に基づき、2021年4月からの新たな経営体制に先んじてグループ経営資源を結集しながら、3つの事業構造改革と3つの基盤構造改革に向けた取組みを推進しました。
ハ.社員がお客様にしっかりと向き合う「全員経営」を推進するため、デジタルトランスフォーメーションによる物流オペレーションの効率化、標準化を推進するとともに、データ分析に基づく需要や業務量予測、経営資源の最適配置など、客観的かつ科学的な意思決定を実現するデータ・ドリブン経営への転換に取り組みました。
ニ.社会のニーズに応え、ECの高い成長力を取り込むため、産業のEC化に特化した物流サービスの創出およびECエコシステムの確立に向けた取組みを推進しました。当連結会計年度においては、大手EC事業者様との協業により、EC利用者様、EC事業者様、配送事業者の全てをデジタル情報でリアルタイムにつなぐことで、購入、配送、受け取りの利便性と安全性、効率性を向上させる新配送サービス「EAZY(イージー)」の拡販を推進しました。また、受け取りのさらなる利便性向上に向け、オートロックマンションにお住まいのお客様に自宅前などへの置き配を提供する、デジタルキーを活用した新しい機能の追加に取り組みました。オンラインショッピングモールに出店するEC事業者様の物流最適化に向けては、受注から出荷・配送までの運営にかかる業務の全体または一部機能を代行するサービスの拡販とさらなる利便性の向上に取り組みました。そして、デジタルテクノロジーを有するパートナーとの提携のもと、ECで購入した商品をスーパーやドラッグストアなどお客様の生活導線上の店舗で受け取ることができるサービスの拡販を推進するとともに、新たな「運創」モデルの構築に向けて、ライブ動画配信事業者様と連携し、ライブコマース機能を活用した生産者向け販売支援の取組みを開始しました。
ホ.法人向け物流事業の強化に向けて、グループ各社に点在する専門人材、流通機能や物流機能、物流拠点を結ぶ幹線ネットワークなど法人向けの経営資源を結集し、お客様の課題解決に向けた取組みを推進するとともに、精度の高いリアルタイムの情報を軸としたソリューションを提供するためのデータ基盤の構築などに取り組みました。また、引き続き、海外事業のマネジメント強化を推進しました。当連結会計年度においては、ライフスタイルやビジネス環境の変化によりお客様に生じる課題の把握に努め、遠隔医療分野における遠隔処方領域やGIGAスクール構想を進める教育分野における新たなニーズへの対応、店舗、EC双方における最適なサプライチェーンを構築するソリューションの提供などに取り組みました。また、個別化医療の進展を見据えた物流課題の解決に向けた超低温帯での遺伝子検査用試薬の混載輸送を開始するとともに、社会インフラの一員として接種体制の整備に貢献すべく、新型コロナウイルスワクチンのロジスティクスに取り組みました。
ヘ.持続的な成長と持続可能な社会の発展を両立するため、サステナビリティの取組みを推進し、環境と社会を組み込んだ経営を実践すべく、「つなぐ、未来を届ける、グリーン物流」、「共創による、フェアで、“誰一人取り残さない”社会の実現への貢献」という2つのビジョンのもと、人や資源、情報を高度につなぎ、輸送をより効率化させることで、環境や生活、経済によりよい物流の実現を目指し、特定した重要課題に対する取組みを推進しました。
ト.お客様、社会のニーズに正面から向き合う経営をさらに強化するため、顧客セグメント単位の全体最適な組織に変革し、経営のスピードをより速めるべくグループ経営体制の刷新に向けた取組みを推進しました。そして、2021年4月より、連結子会社のヤマト運輸株式会社とグループ7社を統合し、純粋持株会社の当社のもと、リテール事業本部を統括するリテール部門、法人事業本部・グローバルSCM事業本部・EC事業本部を統括する法人部門、機能本部およびコーポレート部門からなるグループ経営体制が始動しました。なお、このグループ経営体制の刷新に伴い、従来の6事業フォーメーションによるセグメントを、「リテール部門」と「法人部門」の2事業によるセグメントに変更する予定です。
チ.経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」に基づく取組みの進捗や成果を土台とし、生活様式や流通構造の急速な変化により加速する全産業のEC化を踏まえ、2024年3月期を最終年度とするヤマトグループ中期経営計画「Oneヤマト2023」を策定しました。本計画のもと当社グループは、名実ともに「Oneヤマト」に結集させた経営資源を最大限に活用し、サプライヤー・メーカーから生活者までのサプライチェーン全体の変革を支援することで、個人、法人のお客様そして社会全体に対する価値提供を目指していきます。
<事業フォーメーション別の概況>○デリバリー事業
宅急便、クロネコDM便の取扱数量は以下のとおりです。
イ.デリバリー事業は、お客様にとって一番身近なインフラとなり、豊かな社会の実現に貢献するために、宅急便を中心とした事業の展開に取り組んでいます。
ロ.当連結会計年度においては、新型コロナウイルスの今後の感染状況や収束時期が不透明な中、お客様、社員の安全を最優先に、宅急便ネットワークの安定稼働に取り組みました。また、物流全体におけるデジタル化の推進による集配、作業、事務の効率化や、輸送効率を高めネットワーク全体を最適化するための幹線ネットワークの構造改革を推進しました。
ハ.成長が加速するEC領域に対し、大手EC事業者様との協業により、EC利用者様、EC事業者様、配送事業者の全てをデジタル情報でリアルタイムにつなぐことで、購入、配送、受け取りの利便性と安全性、効率性を向上させる新配送サービス「EAZY」の拡販を推進するとともに、受け取りのさらなる利便性向上に向け、オートロックマンションにお住まいのお客様に自宅前などへの置き配を提供する、デジタルキーを活用した新たな機能の追加に取り組みました。そして、デジタルテクノロジーを有するパートナーとの提携のもと、ECで購入した商品をスーパーやドラッグストアなどお客様の生活導線上の店舗で受け取ることができるサービスの拡販を推進しました。また、新たな「運創」モデルの構築に向けて、ライブ動画配信事業者様と連携し、ライブコマース機能を活用した生産者向け販売支援の取組みを開始しました。
ニ.個人のお客様については、宅急便の発送手続きをスマートフォンで完結でき、オンライン決済や匿名配送などを利用できるサービスの提供により利便性の向上を図るとともに、キャッシュレス決済への対応によるさらなる利便性の向上に向けて、宅急便運賃の支払いなどについて、これまでの現金・電子マネー・オンライン決済に加えて、新たに6種類のQRコード決済を導入する環境を整備しました。法人のお客様については、ビジネス環境の変化によりお客様に生じる課題の把握に努め、グループ連携のもとアカウントマネジメントを強化し、遠隔処方領域において調剤薬局様に向けたソリューションを提供するなど、お客様の課題解決に当たる取組みを推進しました。
ホ.地域の課題解決に向けて、自治体や企業と連携し、買い物困難者の支援、高齢者の見守り支援など、住民へのサービス向上に取り組みました。特に、地域社会における独居高齢者の増加や地域コミュニティの希薄化、地域包括支援センターや民生委員など高齢者を見守る側の人材不足や高齢化、新型コロナウイルスの感染拡大により離れた家族に気軽に会いに行けない状況など、新たな課題が顕在化している高齢者に対する、外部との通信が可能なIoT電球とヤマト運輸の経営資源を活用した見守りサービスの提供地域を全国に拡大しました。また、地域産品の販路拡大支援など、地元産業の活性化につながる取組みを推進しました。
ヘ.営業収益は、成長が加速するEC領域に対応したことで、荷物の取扱数量が増加したことなどにより1兆4,189億93百万円となり、前連結会計年度に比べ8.3%増加しました。営業利益は、荷物の取扱数量が増加する中、データ分析に基づく経営資源の最適配置により集配効率を向上させたことや幹線輸送、仕分け作業の効率化を推進したことなどにより771億95百万円となり、前連結会計年度に比べ499億45百万円の増益となりました。
○BIZ-ロジ事業
イ.BIZ-ロジ事業は、宅急便ネットワークをはじめとした経営資源に、ロジスティクス機能、メンテナンス・リコール対応機能、医療機器の洗浄機能、国際輸送機能などを組み合わせることにより、お客様に革新的な物流システムを提供しています。
ロ.全産業のEC化が加速する中、ビジネス環境の変化により生じるお客様の課題に対応し、サプライチェーンの変革を支援するトータル物流ソリューションを提供するため、グループ一体となりアカウントマネジメントを推進しました。当連結会計年度においては、小売店舗を展開しながらEC領域の強化に取り組む事業者様に対し、ヤマトグループの強みである全国の拠点ネットワークと輸配送ネットワークのシームレスな結合とデジタル情報の可視化を通じ、店舗、EC双方における在庫の適正化、スピード納品、輸配送コストの低減など経営改善に資するサプライチェーン構築の最適化に取り組みました。そして、大手EC事業者様との連携のもと、オンラインショッピングモールに出店するEC事業者様の物流最適化に向けて、受注から出荷・配送までの運営にかかる業務の全体または一部機能を代行するサービスの拡販とさらなる利便性の向上に取り組みました。また、個別化医療の進展を見据えた物流課題の解決に向けて、マイナス70度以下の超低温帯での遺伝子検査用試薬の混載輸送を開始するとともに、社会インフラの一員として接種体制の整備に貢献すべく、新型コロナウイルスワクチンのロジスティクスに取り組みました。
ハ.営業収益は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う移動の制限や美術展の開催中止により海外生活支援サービスや美術品輸送の取扱いが減少したものの、医療・衛生用品の緊急輸送や増加する越境ECの需要を取り込んだことで貿易物流サービスの拡販が進んだことなどにより1,466億9百万円となり、前連結会計年度に比べ1.9%増加しました。営業利益は51億8百万円となり、前連結会計年度に比べ2.7%増加しました。
○ホームコンビニエンス事業
イ.ホームコンビニエンス事業は、お客様の便利で快適な生活の実現に向けて、ヤマトグループの全国ネットワークを活用し、生活支援事業に取り組んでいます。当連結会計年度においては、単身者向け引越サービス「わたしの引越」の提供エリアを全国に拡大し、拡販を推進しました。
ロ.営業収益は、新型コロナウイルス感染症の拡大などによる引越需要の減少や、「らくらく家財宅急便」のプライシング適正化による一部顧客の取扱い減少などにより268億47百万円となり、前連結会計年度に比べ3.4%減少しました。利益面においては、営業損失が56億99百万円となりました。
○e-ビジネス事業
イ.e-ビジネス事業は、お客様の業務プロセスの効率化や潜在的な課題の解決に向けて、情報機能に物流機能、決済機能を融合させたソリューションプラットフォームビジネスを積極的に展開しています。また、グループの事業成長を加速させるため、従来のITにとどまらず、AIやIoTなどを用いた新技術の活用を推進しています。
ロ.お客様の業務効率化とエンドユーザーの利便性向上に向けたサービスとして、中古品の買取やECの返品における企業から個人への支払いを、本人が希望する電子マネー等のキャッシュレス決済で支払うことができる「マルチバリューチャージサービス」を提供しています。当連結会計年度においては、同サービスの導入を希望する事業者様が、事前にシステム開発することなくスピーディーかつ安価にサービスを利用できる機能を付加し、拡販を推進しました。
ハ.営業収益は、成長が加速するEC領域に対応したことで、商品の受注・出荷業務を支援する「Web出荷コントロールサービス」の利用が拡大したものの、前期の軽減税率に対応したシステムサポートの反動減などにより284億17百万円となり、前連結会計年度に比べ7.1%減少しました。営業利益は、利益率が高い既存サービスの取扱いが堅調に推移したことなどにより116億69百万円となり、前連結会計年度に比べ9.4%増加しました。
○フィナンシャル事業
イ.フィナンシャル事業は、通販商品の代金回収、企業間の決済など、お客様の様々なニーズにお応えする決済・金融サービスを展開しています。
ロ.決済サービスに関しては、主力商品である「宅急便コレクト」の提供に加えて、ネット総合決済サービス「クロネコwebコレクト」や「クロネコ代金後払いサービス」、電子マネー決済機能の利用拡大を推進しています。当連結会計年度においては、ビジネス環境の変化により生じるお客様の課題に対応し、事業者様が新たにECを開始するために必要となるショッピングカート機能、決済、配送をワンストップで支援する「らくうるカート」の拡販を推進しました。
ハ.営業収益は、成長が加速するEC領域に対応したことで、「宅急便コレクト」や「クロネコwebコレクト」、「クロネコ代金後払いサービス」の利用が増加したものの、リース事業を展開するヤマトリース株式会社株式の一部譲渡に伴い連結範囲を変更したことなどにより396億71百万円となり、前連結会計年度に比べ48.5%減少しました。営業利益は62億76百万円となり、前連結会計年度に比べ0.7%減少しました。
○オートワークス事業
イ.オートワークス事業は、複数拠点を保有する中規模運送事業者様の安全運行と車両稼働時間の拡大に資する、稼働を止めない車両整備サービスを提供しています。また、「物流施設、設備機器の維持保全・職場環境改善」やこれらの資産および社員を対象に「お客様のリスクマネジメントに繋がる最適な保険提案」という機能を付加することで、お客様の資産稼働率を高めるサービスを展開しています。
ロ.当連結会計年度においては、作業効率を追求した整備工場「スーパーワークス」を新たに4拠点設置し、さらなるネットワーク強化を行うとともに、お客様との定期的なコミュニケーションによるメンテナンスサービスの拡販に取り組みました。
ハ.営業収益は、燃料販売量が減少したことなどにより218億33百万円となり、前連結会計年度に比べ12.4%減少しました。営業利益は36億円となり、前連結会計年度に比べ16.2%減少しました。
○その他
イ.「JITBOXチャーター便」は、複数の企業グループのネットワークを用いたボックス輸送を通じて、お客様に「適時納品」や「多頻度適量納品」という付加価値を提供しています。当連結会計年度においては、新型コロナウイルスの今後の感染状況や収束時期が不透明な中、引き続き、サービスの拡販に取り組みました。
ロ.営業利益は、ヤマトホールディングス株式会社がグループ各社から受け取る配当金などを除いて14億95百万円となり、前連結会計年度に比べ21.0%減少しました。
イ.ヤマトグループは、人命の尊重を最優先とし、安全に対する様々な取組みを実施しており、輸送を主な事業とするグループ各社を中心に、安全管理規程の策定および管理体制の構築、年度計画の策定など、運輸安全マネジメントに取り組んでいます。当連結会計年度においては、グループ全体で安全意識の向上を図るため、グループ全体で「交通事故ゼロ運動」を実施するとともに、安全運転に優れ無事故を続けるドライバーに対し、地域ごとに表彰を行うなどの取組みを推進しました。なお、子どもたちに交通安全の大切さを伝えることを目的として1998年より継続して全国の保育所・幼稚園・小学校などで実施している「こども交通安全教室」については、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえて開催を見送りました。
ロ.ヤマトグループは、グループ企業理念に基づき、法と社会的規範に則った事業活動を展開するとともに、コンプライアンス経営を推進しています。そして、グループにおける経営資源を有効活用し企業価値の最大化を図ることを経営上の最重要課題の一つとして位置付け、コーポレート・ガバナンスの取組みとして経営体制の強化に向けた施策を実践しています。また、グループ経営の健全性を高めるため、グループガバナンスのさらなる強化に取り組んでいます。当連結会計年度においては、グループ全体の商品審査体制の強化や内部通報制度の高度化などに取り組みました。
ハ.ヤマトグループは、約22万人の社員がグループ最大の財産であると認識し、社員満足を高めるとともに多様な人材から選ばれる会社となるため、社員が働きやすさと働きがいを持ちイキイキと働くことができる労働環境の整備に取り組んでいます。当連結会計年度においては、魅力ある人事制度の構築や、社員の自主・自律的な行動を促進する評価制度の導入、教育体系の再構築などに取り組みました。また、「働きやすさ」と「環境への配慮」を追求した新デザインの制服を導入し、CO₂削減に貢献する植物由来の素材を使用するとともに、機能性、安全性、快適性のさらなる向上を実現しました。
ニ.ヤマトグループは、気候変動が持続可能な社会の実現にとって重要な課題であることを認識し、気候変動に関わるリスクや機会の把握、評価に取り組んでいます。そして、長期目標として設定したCO₂排出実質ゼロ(自社排出)の実現に向けて、CO₂の排出がより少ない車両へのシフトやEVを含む次世代モビリティの開発および導入、自動車を使わない集配などを推進するとともに、主要都市間の幹線輸送の効率化によるCO₂排出量の低減および長距離輸送を担うドライバーの負担軽減に資する「スーパーフルトレーラSF25」運行の拡大などに取り組んでいます。当連結会計年度においては、多様な雇用機会の創出と集配効率のさらなる向上を目的とし、走行中CO₂を排出しない次世代集配モビリティの実証実験に取り組みました。また、走行中の燃費向上やCO₂排出低減に寄与し、今後の配送車両のEV化にも貢献する、小型モバイル冷凍機をメーカーと連携して開発し、導入を開始しました。なお、次世代を担う子どもたちへの環境教育をサポートすることを目的として2005年より継続して全国各地で実施している「クロネコヤマト環境教室」については、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえて開催を見送りました。
ホ.ヤマトグループは、より持続的な社会的価値の創造に向けて、社会と価値を共有するCSV(クリエーティング・シェアード・バリュー=共有価値の創造)という概念に基づいた取組みを推進しています。当連結会計年度においては、過疎化や高齢化が進む中山間地域等のバス・鉄道路線網の維持と物流の効率化による地域住民の生活サービス向上を目的とする「客貨混載」を推進しました。また、ライフステージの変化が進む都市郊外部においては、拠点を活用した地域コミュニティの活性化や、買い物・家事代行などくらしのサポートサービスを提供することで、地域住民が快適に生活できる町づくりを支援する取組みを推進しました。そして、地域社会における独居高齢者の増加や地域コミュニティの希薄化、地域包括支援センターや民生委員など高齢者を見守る側の人材不足や高齢化、新型コロナウイルスの感染拡大により離れた家族に気軽に会いに行けない状況など、新たな課題が顕在化している高齢者に対する、外部との通信が可能なIoT電球とヤマト運輸の経営資源を活用した見守りサービスの提供地域を全国に拡大しました。
ヘ.ヤマトグループは、社会とともに持続的に発展する企業を目指し、公益財団法人ヤマト福祉財団を中心に、障がい者が自主的に働く喜びを実感できる社会の実現に向けて様々な活動を行っています。具体的には、パン製造・販売を営むスワンベーカリーにおける積極的な雇用や、クロネコDM便の委託配達を通じた働く場の提供、就労に必要な技術や知識の訓練を行う就労支援施設の運営など、障がい者の経済的な自立支援を継続的に行っています。
ト.ヤマトグループは、持続的な成長と持続可能な社会の発展を両立するため、中長期の経営のグランドデザインである経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」に基づき、サステナビリティの取組みを推進しています。そして、持続可能な未来を切り拓く将来の姿として掲げた「つなぐ、未来を届ける、グリーン物流」と、「共創による、フェアで、“誰一人取り残さない”社会の実現への貢献」の2つのビジョンの実現に向けて、サステナブル中期計画2023[環境・社会]を策定し、各重要課題に対する具体的な行動の内容と、2024年3月期までの到達目標を定めました。ヤマトグループは本中期計画のもと、現在、そして未来のお客様や地域のニーズを満たし、社会の発展を支えられる企業へと進化するために、サステナブル経営の強化に取り組んでいきます。
② キャッシュ・フローの状況
○営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは1,239億21百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ収入が494億87百万円増加しました。これは主に、税金等調整前当期純利益が917億59百万円となり、収入が471億78百万円増加したこと、および仕入債務の増減額が217億93百万円の収入となった一方で、売上債権の増減額が294億44百万円の支出となったことによるものであります。
○投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは440億78百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ収支が940億22百万円増加しました。これは主に、貸付金の回収による収入が961億83百万円増加したことによるものであります。
○財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは1,232億47百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出が1,008億78百万円増加しました。これは主に、借入金の収支が647億円減少したことおよび自己株式の取得による支出が200億16百万円増加したことによるものであります。
以上により、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は2,412億84百万円となり、前連結会計年度末に比べ446億22百万円増加しました。
③ 生産、受注及び販売の実績
セグメントごとの事業別営業収益は次のとおりであります。
なお、ヤマトグループは、貨物運送事業を中心とするサービスを主要な商品としているため、生産および受注の実績は記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点によるヤマトグループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
ⅰ.財政状態
総資産は1兆899億91百万円となり、前連結会計年度に比べ107億48百万円減少しました。これは主に、ヤマトリース株式会社を連結の範囲から除外したことに伴いリース債権及びリース投資資産が538億86百万円および貸与資産が110億60百万円減少した一方で、現金及び預金が442億96百万円増加したことによるものであります。
負債は5,057億4百万円となり、前連結会計年度に比べ322億円減少しました。これは主に、借入金が555億円減少した一方で、デリバリー事業を中心に業績が伸長した結果、未払法人税等が117億21百万円増加したことによるものであります。
純資産は5,842億87百万円となり、前連結会計年度に比べ214億52百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が567億円増加したことおよび、自己株式の取得および消却により自己株式が152億21百万円減少した一方で、利益剰余金が509億15百万円減少したことによるものであります。
以上により、自己資本比率は前連結会計年度の50.4%から52.9%となりました。
ⅱ.経営成績
営業収益は1兆6,958億67百万円となり、前連結会計年度に比べ657億20百万円の増収となりました。これは主に、成長が加速するEC領域に対応した結果、荷物の取扱数量が増加したことによるものです。営業費用は1兆6,037億45百万円となり、前連結会計年度に比べ183億円増加しました。これは主に、荷物の取扱数量が増加する中、データ分析に基づく経営資源の最適配置による集配効率の向上や幹線輸送、仕分け作業の効率化推進により費用の適正化に努めたことなどによるものです。
この結果、当連結会計年度の営業利益は921億21百万円となり、前連結会計年度に比べ474億20百万円の増益となりました。
経常利益は940億19百万円となり、前連結会計年度に比べ533億円94百万円の増益となりました。これは主に、前連結会計年度において海外関連会社に係る持分法投資損失を計上した影響などによるものです。
特別利益は9億75百万円となり、前連結会計年度に比べ82億87百万円減少しました。これは主に、固定資産売却益が72億42百万円減少したことによるものです。特別損失は32億35百万円となり、前連結会計年度に比べ20億71百万円減少しました。これは主に、投資有価証券評価損が19億74百万円減少した一方で、当連結会計年度において新型コロナウイルス感染症対応に係る損失11億63百万円を計上したことによるものです。
これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は567億円となり、前連結会計年度に比べ343億76百万円の増益となりました。
1株当たり当期純利益は151.55円となり、前連結会計年度に比べ94.77円増加しました。
○デリバリー事業
営業収益は、成長が加速するEC領域に対応したことで、荷物の取扱数量が増加したことなどにより1兆4,189億93百万円となり、前連結会計年度に比べ8.3%増加しました。営業利益は、荷物の取扱数量が増加する中、データ分析に基づく経営資源の最適配置により集配効率を向上させたことや幹線輸送、仕分け作業の効率化を推進したことなどにより771億95百万円となり、前連結会計年度に比べ499億45百万円の増益となりました。
○BIZ-ロジ事業
営業収益は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う移動の制限や美術展の開催中止により海外生活支援サービスや美術品輸送の取扱いが減少したものの、医療・衛生用品の緊急輸送や増加する越境ECの需要を取り込んだことで貿易物流サービスの拡販が進んだことなどにより1,466億9百万円となり、前連結会計年度に比べ1.9%増加しました。営業利益は51億8百万円となり、前連結会計年度に比べ2.7%増加しました。
○ホームコンビニエンス事業
営業収益は、新型コロナウイルス感染症の拡大などによる引越需要の減少や、「らくらく家財宅急便」のプライシング適正化による一部顧客の取扱い減少などにより268億47百万円となり、前連結会計年度に比べ3.4%減少しました。利益面においては、営業損失が56億99百万円となりました。
○e-ビジネス事業
営業収益は、成長が加速するEC領域に対応したことで、商品の受注・出荷業務を支援する「Web出荷コントロールサービス」の利用が拡大したものの、前期の軽減税率に対応したシステムサポートの反動減などにより284億17百万円となり、前連結会計年度に比べ7.1%減少しました。営業利益は、利益率が高い既存サービスの取扱いが堅調に推移したことなどにより116億69百万円となり、前連結会計年度に比べ9.4%増加しました。
○フィナンシャル事業
営業収益は、成長が加速するEC領域に対応したことで、「宅急便コレクト」や「クロネコwebコレクト」、「クロネコ代金後払いサービス」の利用が増加したものの、リース事業を展開するヤマトリース株式会社株式の一部譲渡に伴い連結範囲を変更したことなどにより396億71百万円となり、前連結会計年度に比べ48.5%減少しました。営業利益は62億76百万円となり、前連結会計年度に比べ0.7%減少しました。
○オートワークス事業
営業収益は、燃料販売量が減少したことなどにより218億33百万円となり、前連結会計年度に比べ12.4%減少しました。営業利益は36億円となり、前連結会計年度に比べ16.2%減少しました。
○その他
営業利益は、ヤマトホールディングス株式会社がグループ各社から受け取る配当金などを除いて14億95百万円となり、前連結会計年度に比べ21.0%減少しました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報
ⅰ.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。
ⅱ.資本の財源及び資金の流動性
ヤマトグループは、ネットワーク構築、デジタル・イノベーション関連などの事業継続および事業成長に対する投資計画に照らし、キャッシュ創出状況、保有現預金や自己資本比率水準等の財務の健全性と効率性を意識しながら、必要資金についてはグループ資金を活用するとともに、金融機関からの借入および社債発行により対応しております。
なお、財務の健全性の観点から自己資本比率は50%前後を意識し、格付け水準(R&I格付投資情報センター/AA-)の維持に努めてまいります。株主還元については、親会社株主に帰属する当期純利益を基準とする配当性向30%、総還元性向50%を目安とし実施してまいります。
③ 目標とする指標の達成状況等
ヤマトグループは、サプライチェーン全体の変革を支援することで、個人、法人のお客様、そして社会全体に対する価値提供を目指す中期経営計画「Oneヤマト2023」の最終年度となる2024年3月期において、連結営業収益2兆円、連結営業利益1,200億円(連結営業利益率6.0%)、ROE10.0%の達成を目標としております。
当連結会計年度の連結業績は、成長が加速するEC領域への対応に伴い荷物の取扱数量が増加した一方で、データ分析に基づく経営資源の最適配置による集配効率の向上や、幹線輸送、仕分け作業の効率化推進など費用の適正化に努めた結果、連結営業収益1兆6,958億円、連結営業利益921億円(連結営業利益率5.4%)、ROE10.0%となりました。これは、2021年4月からの新たな経営体制に先んじてグループ経営資源を結集しながら「YAMATO NEXT100」で定めた課題への取組みを推進したことが成果に繋がったと評価しております。
今後も本計画に基づき、構造改革のスピードをさらに加速し、持続的な成長を目指してまいります。
④ 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定
ヤマトグループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。
重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
当連結会計年度におけるヤマトグループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
ⅰ.財政状態
総資産は1兆899億91百万円となり、前連結会計年度に比べ107億48百万円減少しました。
負債は5,057億4百万円となり、前連結会計年度に比べ322億円減少しました。
純資産は5,842億87百万円となり、前連結会計年度に比べ214億52百万円増加しました。
ⅱ.経営成績
当連結会計年度における経済環境は、世界的な新型コロナウイルス感染症の影響で停滞していた経済活動が再開したことに伴い、製造業を中心に景況感の改善がみられたものの、今後の感染状況や収束時期が不透明な中、国内外において感染が再拡大するなど、依然として内外経済環境の回復が見通せない状況にあります。また、新型コロナウイルス感染症の影響により、テレワークの推進、診療や教育分野におけるサービスのオンライン化など、ライフスタイルやビジネス環境が変化し、全産業のEC化が加速しています。
このような状況下、ヤマトグループはお客様、社会のニーズに応える「新たな物流のエコシステム」を創出することで、豊かな社会の創造に持続的な貢献を果たしていくため、中長期の経営のグランドデザインである経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」に基づき、2021年4月からの新たな経営体制に先んじてグループ経営資源を結集しながら、宅急便のデジタルトランスフォーメーション、ECエコシステムの確立、法人向け物流事業の強化の3つの事業構造改革と、グループ経営体制の刷新、データ・ドリブン経営への転換、サステナビリティの取組みの3つの基盤構造改革を推進しました。当連結会計年度においては、新型コロナウイルスの今後の感染状況や収束時期が不透明な中、お客様、社員の安全を最優先に、宅急便をはじめとする物流サービスの継続に取り組みました。その中で、ライフスタイルやビジネス環境の変化によりお客様に生じる課題の把握に努め、加速する全産業のEC化に対応し、新配送サービスの拡販と更なる利便性の向上を推進しました。そして、グループ全体でアカウントマネジメントを強化し、遠隔医療分野における遠隔処方領域やGIGAスクール構想を進める教育分野における新たなニーズへの対応、店舗、EC双方における最適なサプライチェーンを構築するソリューションの提供などに取り組みました。また、データ・ドリブン経営への転換を推進し、データ分析に基づく需要予測により経営資源を最適配置し、集配および幹線輸送の効率化を図るとともに、配送パートナーとの連携のもと新たな配送ネットワークを構築することで、集配キャパシティの拡大とコストの適正化を推進しました。
当連結会計年度の連結業績は以下のとおりとなりました。
| 区分 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 伸率(%) | |
| 営業収益 | (百万円) | 1,630,146 | 1,695,867 | 65,720 | 4.0 |
| 営業利益 | (百万円) | 44,701 | 92,121 | 47,420 | 106.1 |
| 経常利益 | (百万円) | 40,625 | 94,019 | 53,394 | 131.4 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | (百万円) | 22,324 | 56,700 | 34,376 | 154.0 |
上記のとおり営業収益は1兆6,958億67百万円となり、前連結会計年度に比べ657億20百万円の増収となりました。これは主に、成長が加速するEC領域に対応した結果、荷物の取扱数量が増加したことによるものです。営業費用は1兆6,037億45百万円となり、前連結会計年度に比べ183億円増加しました。これは主に、荷物の取扱数量が増加する中、データ分析に基づく経営資源の最適配置による集配効率の向上や幹線輸送、仕分け作業の効率化推進により費用の適正化に努めたことなどによるものです。
この結果、当連結会計年度の営業利益は921億21百万円となり、前連結会計年度に比べ474億20百万円の増益となりました。
<ヤマトグループ全体としての取組み>イ.新型コロナウイルス感染症に対応し、お客様に安心して宅急便をご利用いただくため、社員の衛生管理に最大限留意するとともに、非対面での荷物のお届けや接客時の感染防止対策の実施、ホームページなどを活用した情報発信などに取り組み、宅急便をはじめとする物流サービスの継続に取り組みました。
ロ.持続的に成長していくためのグループ経営構造改革を推進し、今後のヤマトグループにおける中長期の経営のグランドデザインとして策定した経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」に基づき、2021年4月からの新たな経営体制に先んじてグループ経営資源を結集しながら、3つの事業構造改革と3つの基盤構造改革に向けた取組みを推進しました。
ハ.社員がお客様にしっかりと向き合う「全員経営」を推進するため、デジタルトランスフォーメーションによる物流オペレーションの効率化、標準化を推進するとともに、データ分析に基づく需要や業務量予測、経営資源の最適配置など、客観的かつ科学的な意思決定を実現するデータ・ドリブン経営への転換に取り組みました。
ニ.社会のニーズに応え、ECの高い成長力を取り込むため、産業のEC化に特化した物流サービスの創出およびECエコシステムの確立に向けた取組みを推進しました。当連結会計年度においては、大手EC事業者様との協業により、EC利用者様、EC事業者様、配送事業者の全てをデジタル情報でリアルタイムにつなぐことで、購入、配送、受け取りの利便性と安全性、効率性を向上させる新配送サービス「EAZY(イージー)」の拡販を推進しました。また、受け取りのさらなる利便性向上に向け、オートロックマンションにお住まいのお客様に自宅前などへの置き配を提供する、デジタルキーを活用した新しい機能の追加に取り組みました。オンラインショッピングモールに出店するEC事業者様の物流最適化に向けては、受注から出荷・配送までの運営にかかる業務の全体または一部機能を代行するサービスの拡販とさらなる利便性の向上に取り組みました。そして、デジタルテクノロジーを有するパートナーとの提携のもと、ECで購入した商品をスーパーやドラッグストアなどお客様の生活導線上の店舗で受け取ることができるサービスの拡販を推進するとともに、新たな「運創」モデルの構築に向けて、ライブ動画配信事業者様と連携し、ライブコマース機能を活用した生産者向け販売支援の取組みを開始しました。
ホ.法人向け物流事業の強化に向けて、グループ各社に点在する専門人材、流通機能や物流機能、物流拠点を結ぶ幹線ネットワークなど法人向けの経営資源を結集し、お客様の課題解決に向けた取組みを推進するとともに、精度の高いリアルタイムの情報を軸としたソリューションを提供するためのデータ基盤の構築などに取り組みました。また、引き続き、海外事業のマネジメント強化を推進しました。当連結会計年度においては、ライフスタイルやビジネス環境の変化によりお客様に生じる課題の把握に努め、遠隔医療分野における遠隔処方領域やGIGAスクール構想を進める教育分野における新たなニーズへの対応、店舗、EC双方における最適なサプライチェーンを構築するソリューションの提供などに取り組みました。また、個別化医療の進展を見据えた物流課題の解決に向けた超低温帯での遺伝子検査用試薬の混載輸送を開始するとともに、社会インフラの一員として接種体制の整備に貢献すべく、新型コロナウイルスワクチンのロジスティクスに取り組みました。
ヘ.持続的な成長と持続可能な社会の発展を両立するため、サステナビリティの取組みを推進し、環境と社会を組み込んだ経営を実践すべく、「つなぐ、未来を届ける、グリーン物流」、「共創による、フェアで、“誰一人取り残さない”社会の実現への貢献」という2つのビジョンのもと、人や資源、情報を高度につなぎ、輸送をより効率化させることで、環境や生活、経済によりよい物流の実現を目指し、特定した重要課題に対する取組みを推進しました。
ト.お客様、社会のニーズに正面から向き合う経営をさらに強化するため、顧客セグメント単位の全体最適な組織に変革し、経営のスピードをより速めるべくグループ経営体制の刷新に向けた取組みを推進しました。そして、2021年4月より、連結子会社のヤマト運輸株式会社とグループ7社を統合し、純粋持株会社の当社のもと、リテール事業本部を統括するリテール部門、法人事業本部・グローバルSCM事業本部・EC事業本部を統括する法人部門、機能本部およびコーポレート部門からなるグループ経営体制が始動しました。なお、このグループ経営体制の刷新に伴い、従来の6事業フォーメーションによるセグメントを、「リテール部門」と「法人部門」の2事業によるセグメントに変更する予定です。
チ.経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」に基づく取組みの進捗や成果を土台とし、生活様式や流通構造の急速な変化により加速する全産業のEC化を踏まえ、2024年3月期を最終年度とするヤマトグループ中期経営計画「Oneヤマト2023」を策定しました。本計画のもと当社グループは、名実ともに「Oneヤマト」に結集させた経営資源を最大限に活用し、サプライヤー・メーカーから生活者までのサプライチェーン全体の変革を支援することで、個人、法人のお客様そして社会全体に対する価値提供を目指していきます。
<事業フォーメーション別の概況>○デリバリー事業
宅急便、クロネコDM便の取扱数量は以下のとおりです。
| 区分 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 伸率(%) | |
| 宅急便 | (百万個) | 1,799 | 2,096 | 297 | 16.5 |
| クロネコDM便 | (百万冊) | 987 | 826 | △161 | △16.3 |
イ.デリバリー事業は、お客様にとって一番身近なインフラとなり、豊かな社会の実現に貢献するために、宅急便を中心とした事業の展開に取り組んでいます。
ロ.当連結会計年度においては、新型コロナウイルスの今後の感染状況や収束時期が不透明な中、お客様、社員の安全を最優先に、宅急便ネットワークの安定稼働に取り組みました。また、物流全体におけるデジタル化の推進による集配、作業、事務の効率化や、輸送効率を高めネットワーク全体を最適化するための幹線ネットワークの構造改革を推進しました。
ハ.成長が加速するEC領域に対し、大手EC事業者様との協業により、EC利用者様、EC事業者様、配送事業者の全てをデジタル情報でリアルタイムにつなぐことで、購入、配送、受け取りの利便性と安全性、効率性を向上させる新配送サービス「EAZY」の拡販を推進するとともに、受け取りのさらなる利便性向上に向け、オートロックマンションにお住まいのお客様に自宅前などへの置き配を提供する、デジタルキーを活用した新たな機能の追加に取り組みました。そして、デジタルテクノロジーを有するパートナーとの提携のもと、ECで購入した商品をスーパーやドラッグストアなどお客様の生活導線上の店舗で受け取ることができるサービスの拡販を推進しました。また、新たな「運創」モデルの構築に向けて、ライブ動画配信事業者様と連携し、ライブコマース機能を活用した生産者向け販売支援の取組みを開始しました。
ニ.個人のお客様については、宅急便の発送手続きをスマートフォンで完結でき、オンライン決済や匿名配送などを利用できるサービスの提供により利便性の向上を図るとともに、キャッシュレス決済への対応によるさらなる利便性の向上に向けて、宅急便運賃の支払いなどについて、これまでの現金・電子マネー・オンライン決済に加えて、新たに6種類のQRコード決済を導入する環境を整備しました。法人のお客様については、ビジネス環境の変化によりお客様に生じる課題の把握に努め、グループ連携のもとアカウントマネジメントを強化し、遠隔処方領域において調剤薬局様に向けたソリューションを提供するなど、お客様の課題解決に当たる取組みを推進しました。
ホ.地域の課題解決に向けて、自治体や企業と連携し、買い物困難者の支援、高齢者の見守り支援など、住民へのサービス向上に取り組みました。特に、地域社会における独居高齢者の増加や地域コミュニティの希薄化、地域包括支援センターや民生委員など高齢者を見守る側の人材不足や高齢化、新型コロナウイルスの感染拡大により離れた家族に気軽に会いに行けない状況など、新たな課題が顕在化している高齢者に対する、外部との通信が可能なIoT電球とヤマト運輸の経営資源を活用した見守りサービスの提供地域を全国に拡大しました。また、地域産品の販路拡大支援など、地元産業の活性化につながる取組みを推進しました。
ヘ.営業収益は、成長が加速するEC領域に対応したことで、荷物の取扱数量が増加したことなどにより1兆4,189億93百万円となり、前連結会計年度に比べ8.3%増加しました。営業利益は、荷物の取扱数量が増加する中、データ分析に基づく経営資源の最適配置により集配効率を向上させたことや幹線輸送、仕分け作業の効率化を推進したことなどにより771億95百万円となり、前連結会計年度に比べ499億45百万円の増益となりました。
○BIZ-ロジ事業
イ.BIZ-ロジ事業は、宅急便ネットワークをはじめとした経営資源に、ロジスティクス機能、メンテナンス・リコール対応機能、医療機器の洗浄機能、国際輸送機能などを組み合わせることにより、お客様に革新的な物流システムを提供しています。
ロ.全産業のEC化が加速する中、ビジネス環境の変化により生じるお客様の課題に対応し、サプライチェーンの変革を支援するトータル物流ソリューションを提供するため、グループ一体となりアカウントマネジメントを推進しました。当連結会計年度においては、小売店舗を展開しながらEC領域の強化に取り組む事業者様に対し、ヤマトグループの強みである全国の拠点ネットワークと輸配送ネットワークのシームレスな結合とデジタル情報の可視化を通じ、店舗、EC双方における在庫の適正化、スピード納品、輸配送コストの低減など経営改善に資するサプライチェーン構築の最適化に取り組みました。そして、大手EC事業者様との連携のもと、オンラインショッピングモールに出店するEC事業者様の物流最適化に向けて、受注から出荷・配送までの運営にかかる業務の全体または一部機能を代行するサービスの拡販とさらなる利便性の向上に取り組みました。また、個別化医療の進展を見据えた物流課題の解決に向けて、マイナス70度以下の超低温帯での遺伝子検査用試薬の混載輸送を開始するとともに、社会インフラの一員として接種体制の整備に貢献すべく、新型コロナウイルスワクチンのロジスティクスに取り組みました。
ハ.営業収益は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う移動の制限や美術展の開催中止により海外生活支援サービスや美術品輸送の取扱いが減少したものの、医療・衛生用品の緊急輸送や増加する越境ECの需要を取り込んだことで貿易物流サービスの拡販が進んだことなどにより1,466億9百万円となり、前連結会計年度に比べ1.9%増加しました。営業利益は51億8百万円となり、前連結会計年度に比べ2.7%増加しました。
○ホームコンビニエンス事業
イ.ホームコンビニエンス事業は、お客様の便利で快適な生活の実現に向けて、ヤマトグループの全国ネットワークを活用し、生活支援事業に取り組んでいます。当連結会計年度においては、単身者向け引越サービス「わたしの引越」の提供エリアを全国に拡大し、拡販を推進しました。
ロ.営業収益は、新型コロナウイルス感染症の拡大などによる引越需要の減少や、「らくらく家財宅急便」のプライシング適正化による一部顧客の取扱い減少などにより268億47百万円となり、前連結会計年度に比べ3.4%減少しました。利益面においては、営業損失が56億99百万円となりました。
○e-ビジネス事業
イ.e-ビジネス事業は、お客様の業務プロセスの効率化や潜在的な課題の解決に向けて、情報機能に物流機能、決済機能を融合させたソリューションプラットフォームビジネスを積極的に展開しています。また、グループの事業成長を加速させるため、従来のITにとどまらず、AIやIoTなどを用いた新技術の活用を推進しています。
ロ.お客様の業務効率化とエンドユーザーの利便性向上に向けたサービスとして、中古品の買取やECの返品における企業から個人への支払いを、本人が希望する電子マネー等のキャッシュレス決済で支払うことができる「マルチバリューチャージサービス」を提供しています。当連結会計年度においては、同サービスの導入を希望する事業者様が、事前にシステム開発することなくスピーディーかつ安価にサービスを利用できる機能を付加し、拡販を推進しました。
ハ.営業収益は、成長が加速するEC領域に対応したことで、商品の受注・出荷業務を支援する「Web出荷コントロールサービス」の利用が拡大したものの、前期の軽減税率に対応したシステムサポートの反動減などにより284億17百万円となり、前連結会計年度に比べ7.1%減少しました。営業利益は、利益率が高い既存サービスの取扱いが堅調に推移したことなどにより116億69百万円となり、前連結会計年度に比べ9.4%増加しました。
○フィナンシャル事業
イ.フィナンシャル事業は、通販商品の代金回収、企業間の決済など、お客様の様々なニーズにお応えする決済・金融サービスを展開しています。
ロ.決済サービスに関しては、主力商品である「宅急便コレクト」の提供に加えて、ネット総合決済サービス「クロネコwebコレクト」や「クロネコ代金後払いサービス」、電子マネー決済機能の利用拡大を推進しています。当連結会計年度においては、ビジネス環境の変化により生じるお客様の課題に対応し、事業者様が新たにECを開始するために必要となるショッピングカート機能、決済、配送をワンストップで支援する「らくうるカート」の拡販を推進しました。
ハ.営業収益は、成長が加速するEC領域に対応したことで、「宅急便コレクト」や「クロネコwebコレクト」、「クロネコ代金後払いサービス」の利用が増加したものの、リース事業を展開するヤマトリース株式会社株式の一部譲渡に伴い連結範囲を変更したことなどにより396億71百万円となり、前連結会計年度に比べ48.5%減少しました。営業利益は62億76百万円となり、前連結会計年度に比べ0.7%減少しました。
○オートワークス事業
イ.オートワークス事業は、複数拠点を保有する中規模運送事業者様の安全運行と車両稼働時間の拡大に資する、稼働を止めない車両整備サービスを提供しています。また、「物流施設、設備機器の維持保全・職場環境改善」やこれらの資産および社員を対象に「お客様のリスクマネジメントに繋がる最適な保険提案」という機能を付加することで、お客様の資産稼働率を高めるサービスを展開しています。
ロ.当連結会計年度においては、作業効率を追求した整備工場「スーパーワークス」を新たに4拠点設置し、さらなるネットワーク強化を行うとともに、お客様との定期的なコミュニケーションによるメンテナンスサービスの拡販に取り組みました。
ハ.営業収益は、燃料販売量が減少したことなどにより218億33百万円となり、前連結会計年度に比べ12.4%減少しました。営業利益は36億円となり、前連結会計年度に比べ16.2%減少しました。
○その他
イ.「JITBOXチャーター便」は、複数の企業グループのネットワークを用いたボックス輸送を通じて、お客様に「適時納品」や「多頻度適量納品」という付加価値を提供しています。当連結会計年度においては、新型コロナウイルスの今後の感染状況や収束時期が不透明な中、引き続き、サービスの拡販に取り組みました。
ロ.営業利益は、ヤマトホールディングス株式会社がグループ各社から受け取る配当金などを除いて14億95百万円となり、前連結会計年度に比べ21.0%減少しました。
ロ.ヤマトグループは、グループ企業理念に基づき、法と社会的規範に則った事業活動を展開するとともに、コンプライアンス経営を推進しています。そして、グループにおける経営資源を有効活用し企業価値の最大化を図ることを経営上の最重要課題の一つとして位置付け、コーポレート・ガバナンスの取組みとして経営体制の強化に向けた施策を実践しています。また、グループ経営の健全性を高めるため、グループガバナンスのさらなる強化に取り組んでいます。当連結会計年度においては、グループ全体の商品審査体制の強化や内部通報制度の高度化などに取り組みました。
ハ.ヤマトグループは、約22万人の社員がグループ最大の財産であると認識し、社員満足を高めるとともに多様な人材から選ばれる会社となるため、社員が働きやすさと働きがいを持ちイキイキと働くことができる労働環境の整備に取り組んでいます。当連結会計年度においては、魅力ある人事制度の構築や、社員の自主・自律的な行動を促進する評価制度の導入、教育体系の再構築などに取り組みました。また、「働きやすさ」と「環境への配慮」を追求した新デザインの制服を導入し、CO₂削減に貢献する植物由来の素材を使用するとともに、機能性、安全性、快適性のさらなる向上を実現しました。
ニ.ヤマトグループは、気候変動が持続可能な社会の実現にとって重要な課題であることを認識し、気候変動に関わるリスクや機会の把握、評価に取り組んでいます。そして、長期目標として設定したCO₂排出実質ゼロ(自社排出)の実現に向けて、CO₂の排出がより少ない車両へのシフトやEVを含む次世代モビリティの開発および導入、自動車を使わない集配などを推進するとともに、主要都市間の幹線輸送の効率化によるCO₂排出量の低減および長距離輸送を担うドライバーの負担軽減に資する「スーパーフルトレーラSF25」運行の拡大などに取り組んでいます。当連結会計年度においては、多様な雇用機会の創出と集配効率のさらなる向上を目的とし、走行中CO₂を排出しない次世代集配モビリティの実証実験に取り組みました。また、走行中の燃費向上やCO₂排出低減に寄与し、今後の配送車両のEV化にも貢献する、小型モバイル冷凍機をメーカーと連携して開発し、導入を開始しました。なお、次世代を担う子どもたちへの環境教育をサポートすることを目的として2005年より継続して全国各地で実施している「クロネコヤマト環境教室」については、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえて開催を見送りました。
ホ.ヤマトグループは、より持続的な社会的価値の創造に向けて、社会と価値を共有するCSV(クリエーティング・シェアード・バリュー=共有価値の創造)という概念に基づいた取組みを推進しています。当連結会計年度においては、過疎化や高齢化が進む中山間地域等のバス・鉄道路線網の維持と物流の効率化による地域住民の生活サービス向上を目的とする「客貨混載」を推進しました。また、ライフステージの変化が進む都市郊外部においては、拠点を活用した地域コミュニティの活性化や、買い物・家事代行などくらしのサポートサービスを提供することで、地域住民が快適に生活できる町づくりを支援する取組みを推進しました。そして、地域社会における独居高齢者の増加や地域コミュニティの希薄化、地域包括支援センターや民生委員など高齢者を見守る側の人材不足や高齢化、新型コロナウイルスの感染拡大により離れた家族に気軽に会いに行けない状況など、新たな課題が顕在化している高齢者に対する、外部との通信が可能なIoT電球とヤマト運輸の経営資源を活用した見守りサービスの提供地域を全国に拡大しました。
ヘ.ヤマトグループは、社会とともに持続的に発展する企業を目指し、公益財団法人ヤマト福祉財団を中心に、障がい者が自主的に働く喜びを実感できる社会の実現に向けて様々な活動を行っています。具体的には、パン製造・販売を営むスワンベーカリーにおける積極的な雇用や、クロネコDM便の委託配達を通じた働く場の提供、就労に必要な技術や知識の訓練を行う就労支援施設の運営など、障がい者の経済的な自立支援を継続的に行っています。
ト.ヤマトグループは、持続的な成長と持続可能な社会の発展を両立するため、中長期の経営のグランドデザインである経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」に基づき、サステナビリティの取組みを推進しています。そして、持続可能な未来を切り拓く将来の姿として掲げた「つなぐ、未来を届ける、グリーン物流」と、「共創による、フェアで、“誰一人取り残さない”社会の実現への貢献」の2つのビジョンの実現に向けて、サステナブル中期計画2023[環境・社会]を策定し、各重要課題に対する具体的な行動の内容と、2024年3月期までの到達目標を定めました。ヤマトグループは本中期計画のもと、現在、そして未来のお客様や地域のニーズを満たし、社会の発展を支えられる企業へと進化するために、サステナブル経営の強化に取り組んでいきます。
② キャッシュ・フローの状況
○営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは1,239億21百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ収入が494億87百万円増加しました。これは主に、税金等調整前当期純利益が917億59百万円となり、収入が471億78百万円増加したこと、および仕入債務の増減額が217億93百万円の収入となった一方で、売上債権の増減額が294億44百万円の支出となったことによるものであります。
○投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは440億78百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ収支が940億22百万円増加しました。これは主に、貸付金の回収による収入が961億83百万円増加したことによるものであります。
○財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは1,232億47百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出が1,008億78百万円増加しました。これは主に、借入金の収支が647億円減少したことおよび自己株式の取得による支出が200億16百万円増加したことによるものであります。
以上により、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は2,412億84百万円となり、前連結会計年度末に比べ446億22百万円増加しました。
③ 生産、受注及び販売の実績
セグメントごとの事業別営業収益は次のとおりであります。
なお、ヤマトグループは、貨物運送事業を中心とするサービスを主要な商品としているため、生産および受注の実績は記載を省略しております。
| セグメントの名称 | 前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 比 較 増減率 (%) | |||
| 事業 | 金額 (百万円) | 構成比 (%) | 金額 (百万円) | 構成比 (%) | ||
| デリバリー 事業 | 宅急便 | 1,217,572 | 74.7 | 1,327,810 | 78.3 | 9.1 |
| クロネコDM便 | 64,104 | 3.9 | 55,194 | 3.3 | △13.9 | |
| エキスプレス | 41,608 | 2.6 | 42,117 | 2.5 | 1.2 | |
| その他 | 97,496 | 6.0 | 113,019 | 6.7 | 15.9 | |
| 内部売上消去 | △110,713 | △6.8 | △119,147 | △7.0 | 7.6 | |
| 計 | 1,310,067 | 80.4 | 1,418,993 | 83.7 | 8.3 | |
| BIZ-ロジ 事業 | ロジスティクス | 99,414 | 6.1 | 100,423 | 5.9 | 1.0 |
| 貿易物流サービス | 41,796 | 2.6 | 51,486 | 3.0 | 23.2 | |
| その他 | 31,669 | 1.9 | 29,471 | 1.7 | △6.9 | |
| 内部売上消去 | △28,946 | △1.8 | △34,771 | △2.1 | 20.1 | |
| 計 | 143,934 | 8.8 | 146,609 | 8.6 | 1.9 | |
| ホームコンビニ エンス事業 | ホームコンビニエンス | 39,210 | 2.4 | 37,585 | 2.2 | △4.1 |
| 内部売上消去 | △11,404 | △0.7 | △10,737 | △0.6 | △5.9 | |
| 計 | 27,805 | 1.7 | 26,847 | 1.6 | △3.4 | |
| e-ビジネス 事業 | カードソリューション | 11,529 | 0.7 | 10,837 | 0.6 | △6.0 |
| ITオペレーティング | 8,138 | 0.5 | 8,333 | 0.5 | 2.4 | |
| e-通販 ソリューション | 6,190 | 0.4 | 4,949 | 0.3 | △20.0 | |
| その他 | 53,309 | 3.3 | 61,195 | 3.6 | 14.8 | |
| 内部売上消去 | △48,589 | △3.0 | △56,899 | △3.4 | 17.1 | |
| 計 | 30,579 | 1.9 | 28,417 | 1.7 | △7.1 | |
| フィナンシャル 事業 | ペイメント | 29,448 | 1.8 | 33,228 | 2.0 | 12.8 |
| リース | 40,306 | 2.5 | - | - | - | |
| クレジット ファイナンス | 3,344 | 0.2 | 3,043 | 0.2 | △9.0 | |
| その他 | 6,848 | 0.4 | 3,586 | 0.2 | △47.6 | |
| 内部売上消去 | △2,875 | △0.2 | △187 | △0.0 | △93.5 | |
| 計 | 77,072 | 4.7 | 39,671 | 2.3 | △48.5 | |
| オートワークス 事業 | トラック ソリューション | 49,806 | 3.1 | 47,096 | 2.8 | △5.4 |
| その他 | 8,734 | 0.5 | 8,972 | 0.5 | 2.7 | |
| 内部売上消去 | △33,618 | △2.1 | △34,235 | △2.0 | 1.8 | |
| 計 | 24,922 | 1.5 | 21,833 | 1.3 | △12.4 | |
| セグメントの名称 | 前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 比 較 増減率 (%) | |||
| 事業 | 金額 (百万円) | 構成比 (%) | 金額 (百万円) | 構成比 (%) | ||
| その他 | JITBOX チャーター便 | 13,373 | 0.8 | 12,057 | 0.7 | △9.8 |
| その他 | 71,724 | 4.4 | 66,461 | 3.9 | △7.3 | |
| 内部売上消去 | △69,334 | △4.3 | △65,025 | △3.8 | △6.2 | |
| 計 | 15,763 | 1.0 | 13,493 | 0.8 | △14.4 | |
| 合 計 | 1,630,146 | 100.0 | 1,695,867 | 100.0 | 4.0 | |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点によるヤマトグループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
ⅰ.財政状態
総資産は1兆899億91百万円となり、前連結会計年度に比べ107億48百万円減少しました。これは主に、ヤマトリース株式会社を連結の範囲から除外したことに伴いリース債権及びリース投資資産が538億86百万円および貸与資産が110億60百万円減少した一方で、現金及び預金が442億96百万円増加したことによるものであります。
負債は5,057億4百万円となり、前連結会計年度に比べ322億円減少しました。これは主に、借入金が555億円減少した一方で、デリバリー事業を中心に業績が伸長した結果、未払法人税等が117億21百万円増加したことによるものであります。
純資産は5,842億87百万円となり、前連結会計年度に比べ214億52百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が567億円増加したことおよび、自己株式の取得および消却により自己株式が152億21百万円減少した一方で、利益剰余金が509億15百万円減少したことによるものであります。
以上により、自己資本比率は前連結会計年度の50.4%から52.9%となりました。
ⅱ.経営成績
営業収益は1兆6,958億67百万円となり、前連結会計年度に比べ657億20百万円の増収となりました。これは主に、成長が加速するEC領域に対応した結果、荷物の取扱数量が増加したことによるものです。営業費用は1兆6,037億45百万円となり、前連結会計年度に比べ183億円増加しました。これは主に、荷物の取扱数量が増加する中、データ分析に基づく経営資源の最適配置による集配効率の向上や幹線輸送、仕分け作業の効率化推進により費用の適正化に努めたことなどによるものです。
この結果、当連結会計年度の営業利益は921億21百万円となり、前連結会計年度に比べ474億20百万円の増益となりました。
経常利益は940億19百万円となり、前連結会計年度に比べ533億円94百万円の増益となりました。これは主に、前連結会計年度において海外関連会社に係る持分法投資損失を計上した影響などによるものです。
特別利益は9億75百万円となり、前連結会計年度に比べ82億87百万円減少しました。これは主に、固定資産売却益が72億42百万円減少したことによるものです。特別損失は32億35百万円となり、前連結会計年度に比べ20億71百万円減少しました。これは主に、投資有価証券評価損が19億74百万円減少した一方で、当連結会計年度において新型コロナウイルス感染症対応に係る損失11億63百万円を計上したことによるものです。
これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は567億円となり、前連結会計年度に比べ343億76百万円の増益となりました。
1株当たり当期純利益は151.55円となり、前連結会計年度に比べ94.77円増加しました。
○デリバリー事業
営業収益は、成長が加速するEC領域に対応したことで、荷物の取扱数量が増加したことなどにより1兆4,189億93百万円となり、前連結会計年度に比べ8.3%増加しました。営業利益は、荷物の取扱数量が増加する中、データ分析に基づく経営資源の最適配置により集配効率を向上させたことや幹線輸送、仕分け作業の効率化を推進したことなどにより771億95百万円となり、前連結会計年度に比べ499億45百万円の増益となりました。
○BIZ-ロジ事業
営業収益は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う移動の制限や美術展の開催中止により海外生活支援サービスや美術品輸送の取扱いが減少したものの、医療・衛生用品の緊急輸送や増加する越境ECの需要を取り込んだことで貿易物流サービスの拡販が進んだことなどにより1,466億9百万円となり、前連結会計年度に比べ1.9%増加しました。営業利益は51億8百万円となり、前連結会計年度に比べ2.7%増加しました。
○ホームコンビニエンス事業
営業収益は、新型コロナウイルス感染症の拡大などによる引越需要の減少や、「らくらく家財宅急便」のプライシング適正化による一部顧客の取扱い減少などにより268億47百万円となり、前連結会計年度に比べ3.4%減少しました。利益面においては、営業損失が56億99百万円となりました。
○e-ビジネス事業
営業収益は、成長が加速するEC領域に対応したことで、商品の受注・出荷業務を支援する「Web出荷コントロールサービス」の利用が拡大したものの、前期の軽減税率に対応したシステムサポートの反動減などにより284億17百万円となり、前連結会計年度に比べ7.1%減少しました。営業利益は、利益率が高い既存サービスの取扱いが堅調に推移したことなどにより116億69百万円となり、前連結会計年度に比べ9.4%増加しました。
○フィナンシャル事業
営業収益は、成長が加速するEC領域に対応したことで、「宅急便コレクト」や「クロネコwebコレクト」、「クロネコ代金後払いサービス」の利用が増加したものの、リース事業を展開するヤマトリース株式会社株式の一部譲渡に伴い連結範囲を変更したことなどにより396億71百万円となり、前連結会計年度に比べ48.5%減少しました。営業利益は62億76百万円となり、前連結会計年度に比べ0.7%減少しました。
○オートワークス事業
営業収益は、燃料販売量が減少したことなどにより218億33百万円となり、前連結会計年度に比べ12.4%減少しました。営業利益は36億円となり、前連結会計年度に比べ16.2%減少しました。
○その他
営業利益は、ヤマトホールディングス株式会社がグループ各社から受け取る配当金などを除いて14億95百万円となり、前連結会計年度に比べ21.0%減少しました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報
ⅰ.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。
ⅱ.資本の財源及び資金の流動性
ヤマトグループは、ネットワーク構築、デジタル・イノベーション関連などの事業継続および事業成長に対する投資計画に照らし、キャッシュ創出状況、保有現預金や自己資本比率水準等の財務の健全性と効率性を意識しながら、必要資金についてはグループ資金を活用するとともに、金融機関からの借入および社債発行により対応しております。
なお、財務の健全性の観点から自己資本比率は50%前後を意識し、格付け水準(R&I格付投資情報センター/AA-)の維持に努めてまいります。株主還元については、親会社株主に帰属する当期純利益を基準とする配当性向30%、総還元性向50%を目安とし実施してまいります。
③ 目標とする指標の達成状況等
ヤマトグループは、サプライチェーン全体の変革を支援することで、個人、法人のお客様、そして社会全体に対する価値提供を目指す中期経営計画「Oneヤマト2023」の最終年度となる2024年3月期において、連結営業収益2兆円、連結営業利益1,200億円(連結営業利益率6.0%)、ROE10.0%の達成を目標としております。
当連結会計年度の連結業績は、成長が加速するEC領域への対応に伴い荷物の取扱数量が増加した一方で、データ分析に基づく経営資源の最適配置による集配効率の向上や、幹線輸送、仕分け作業の効率化推進など費用の適正化に努めた結果、連結営業収益1兆6,958億円、連結営業利益921億円(連結営業利益率5.4%)、ROE10.0%となりました。これは、2021年4月からの新たな経営体制に先んじてグループ経営資源を結集しながら「YAMATO NEXT100」で定めた課題への取組みを推進したことが成果に繋がったと評価しております。
今後も本計画に基づき、構造改革のスピードをさらに加速し、持続的な成長を目指してまいります。
④ 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定
ヤマトグループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。
重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。