有価証券報告書-第72期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー
(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
①.財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、米中貿易摩擦に伴う世界経済の停滞により国内景気に不透明感が漂うものとなりました。そうした中、2019年10月に消費税が増税されたことから、第3四半期からは景気が後退気味となった上、第4四半期は新型コロナウイルス感染症の影響により株式相場が大きく下落するなど、国内景気は一挙に悪化しました。
一方、インターネットの普及は、消費行動のパターンに大きな変革をもたらすこととなり、広告活動に大きな影響を与えることとなりました。2019年(暦年)の総広告費は前年に比べ6.2%増と8年連続のプラス成長でしたが、テレビメディア広告費は減少となり、インターネット広告費に逆転され総広告費に占める構成比も25.0%に低下しました。
この様な環境のもと、当社グループの財政状態は、資産合計は262億7,624万円となり前連結会計年度に比べ8億9,202万円(3.5%)の増加、負債合計は24億7,251万円となり前連結会計年度に比べ2億8,056万円(12.8%)の増加、純資産合計は238億373万円となり前連結会計年度に比べ6億1,146万円(2.6%)の増加となりました。
当社グループの経営成績は、売上は88億2,677万円と前連結会計年度に比べ3億3,651万円(3.6%)の減収となりました。一方営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費の合計をいう。)は、代理店手数料の減少等により、80億4,572万円となり、前連結会計年度に比べ6,811万円(0.8%)減少しました。
この結果、経常利益は8億6,389万円と、前連結会計年度に比べ2億5,503万円(22.7%)の減益となりました。また税金等調整前当期純利益は8億6,311万円と、前連結会計年度に比べ2億3,356万円(21.2%)の減益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は5億7,219万円と、前連結会計年度に比べ1億9,577万円(25.4%)の減益となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、前連結会計年度まで「放送事業」に含まれていた「不動産事業」について当社グループの組織変更に伴い、放送事業と区分して表示することが適当と思われることから、報告セグメントとして新設しております。また、前連結会計年度のセグメント情報は、当連結会計年度の報告セグメントに基づき作成したものを開示しております。
a.放送事業
ラジオ部門は前連結会計年度に比べ1,824万円(2.4%)の減収、テレビ部門の売上は前連結会計年度に比べ1億9,183万円(2.7%)の減収となりました。全体の売上高は74億3,384万円と前連結会計年度に比べ2億2,244万円(2.9%)の減収、営業利益は6億1,209万円と前連結会計年度に比べ3億4,776万円(36.2%)の減益となりました。
新型コロナウイルス感染症の流行による経済活動の大幅な鈍化により2020年2月頃から、広告収入、特にスポット収入に落込みが見られます。当社グループでは、6月以降徐々に落込みは緩和され、10月頃には例年の水準まで回復するものと見込んでおります。
b.映像事業
映像制作部門の売上が低迷した結果、売上高は5億1,638万円と前連結会計年度に比べ2,139万円(3.9%)の減収となったものの粗利の改善に努め、営業利益は3,424万円と前連結会計年度に比べ22万円(0.6%)の増益となりました。
新型コロナウイルス感染症の流行による緊急事態宣言の発令により、他県での映像撮影は事実上困難となりました。しかしながら、発令下においては、岡山・香川県下での映像撮影に注力し、発令が解除された6月以降は通常の事業活動が可能となっていることから、影響は限定的であると考えております。
c.サービス事業
情報システム事業部における昨年の大型商材の落込みをカバーできず、全体の売上高は8億4,065万円と前連結会計年度に比べ8,552万円(9.2%)の減収、営業利益1,163万円と前連結会計年度に比べ902万円(43.6%)の減益となりました。
新型コロナウイルス感染症の影響により、特に企画事業部門が運営するイベントの多くが延期、あるいは中止となりました。しかしながら、健康事業部門、情報システム事業部門といった外部環境の影響を受けにくい部門を近年強化していたこと、企画事業部門においても今夏以降のイベントの受注、延期となっていたイベント開催に目処が立ちつつあることから、サービス事業の経営状態に重大な影響を与えるものではないと考えております。
d.不動産事業
不動産事業は、借地権設定のためのボーリング調査等を行った結果、賃貸に空白期間が生じたことから、売上高は3,589万円と前連結会計年度に比べ714万円(16.5%)の減収となりました。営業利益は本社放送会館の賃貸開始により2億1,296万円と前連結会計年度に比べ1億7,832万円(514.7%)の増益となりました。
当社グループの不動産事業は時間貸駐車場に供する土地の賃貸、グループ企業、大手企業への事務所賃貸が主たるものであり、新型コロナウイルス感染症の流行による影響はないものと考えております。
なお、上記の各金額には消費税等は含まれておりません。
②.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、法人税等の支払が3億170万円ありましたが、税金等調整前当期純利益が8億6,311万円、減価償却費が4億6,901万円あり、営業活動によるキャッシュ・フローは12億5,583万円の収入超過となりました。有形固定資産の取得による支出が30億5,445万円や投資有価証券の取得による支出が2,387万円がありましたが、投資有価証券の償還による収入が6億円ありましたことにより投資活動によるキャッシュ・フローは20億9,451万円の支出超過となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは4,413万円の支出超過となりました。以上の結果及び新規連結に伴う増加額931万円を合わせて、資金は前連結会計年度末に比べて8億7,349万円減少し、当連結会計年度末では73億6,845万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は12億5,583万円(前期は11億6,452万円の収入超過)となりました。
これは主として、税金等調整前当期純利益8億6,311万円、減価償却費4億6,901万円によるものであり、全体としては資金が増加しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は20億9,451万円(前期は38億984万円の収入超過)となりました。
これは主として、有形固定資産の取得による支出30億5,445万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は4,413万円(前期は7,012万円の支出超過)でした。
これは主として、配当金の支払い3,913万円によるものです。
③.生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
特に記載するべき事項はありません。
b.受注実績
特に記載するべき事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) |
放送事業(千円) | 7,433,841 | 97.0 |
映像事業(千円) | 516,382 | 96.0 |
サービス事業(千円) | 840,654 | 90.7 |
不動産事業(千円) | 35,898 | 83.4 |
合計(千円) | 8,826,777 | 96.3 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | ||
金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
㈱TBSテレビ | 1,309,939 | 14.2 | 1,291,564 | 14.6 |
㈱電通 | 1,238,872 | 13.5 | 1,118,131 | 12.6 |
㈱博報堂DYメディ アパートナーズ | 1,057,384 | 11.5 | 977,737 | 11.0 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による、経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①.財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(経営成績)
当連結会計年度の売上は、88億2,677万円と前連結会計年度に比べ3億3,651万円(3.6%)の減収となりました。営業費用につきましては、80億4,572万円と、前連結会計年度に比べ6,811万円(0.8%)の減少となりました。その結果、経常利益では、8億6,389万円と前連結会計年度に比べ2億5,503万円(22.7%)の減益となりました。また親会社株主に帰属する当期純利益は、5億7,219万円と前連結会計年度に比べ1億9,577万円(25.4%)の減益となりました。当社グループの収益の核となる放送事業における、利益率の高いラジオ・テレビのスポット収入の減少が減益の主要な要因です。
売上の大半を占める放送事業では、ラジオ部門の売上が7億1,527万円と、前連結会計年度に比べ1,824万円(2.4%)の減収となりました。タイム収入は、2018年度は豪雨災害により中止となった「RSKラジオまつり」を開催できたものの、ラジオ通販の落込みが大きく、減収となりました。一方スポット収入は、法律事務所等が好調なことから増収となりました。
テレビ部門の売上は67億1,103万円と、前連結会計年度に比べ1億9,183万円(2.7%)の減収となりました。タイム収入は、6月に新たに「テレビまつり」を実施したほか、10月改編で新番組「3時のおやつ」を制作するなど自社制作番組の梃入れも図りました。しかしながら、2,3月は新型コロナウイルス感染症の影響を受け、催事・番組の一部を中止せざるを得ず、結果として減収となりました。スポット収入は、インターネット広告の増加の影響などにより、主要業種の「自動車・輸送機器」「酒・飲料・嗜好品」「食品」等の低迷が特にナショナル市場で顕著であり、減収となりました。
放送事業全体では売上は74億3,384万円、営業利益は6億1,209万円と前連結会計年度に比べ減収減益となりました。
映像事業については映像制作部門の受注が低迷したものの粗利の改善を図り、売上は5億1,638万円、営業利益は3,424万円と前連結会計年度に比べ減収増益となりました。
サービス事業については、情報システム事業部における昨年度の大型商材の落込みがカバーできず、売上は8億4,065万円、営業利益は1,163万円と前連結会計年度に比べ減収減益となりました。
不動産事業については、賃貸の空白期間が生じたものの、子会社への不動産賃貸が開始されたことから、売上は3,589万円、営業利益は2億1,296万円と前連結会計年度に比べ減収増益となりました。
(財政状態)
当連結会計年度の流動資産は、現金及び預金が大きく減少し、137億1,044万円となり、前連結会計年度に比べ12億9,648万円減少しました。固定資産は、社債の償還により投資有価証券は減少しましたが、建設仮勘定が大きく増加し、125億6,579万円となり、前連結会計年度に比べ21億8,850万円の増加となりました。流動負債は未払消費税等が増加したため、前連結会計年度に比べ2億4,536万円増加の17億5,940万円となりました。固定負債は、繰延税金負債が増加し、前連結会計年度に比べ3,520万円増加して、7億1,310万円となりました。
純資産合計は、利益剰余金が増加して238億373万円となり、前連結会計年度に比べ6億1,146万円増加しました。
(経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
当社グループは事業の効率性の観点から「売上高営業利益率」を重要な指標として認識しております。前連結会計年度の営業利益率が11.4%であったのに対し、当連結会計年度は8.8%であり、2.6%下落いたしました。これは放送事業のテレビスポット収入の減少が大きな要因であります。ナショナル市場におけるテレビスポットの市況は依然として厳しいものがありますが、当該指標の向上に努めてまいります。
(経営成績に重要な影響を与える要因)
当社グループの収益の柱は、ラジオ・テレビの広告収入であります。この広告収入は景気変動や視聴率の動向、他のメディアとの競合による影響を受けるものであります。また、2020年度に竣工予定である新社屋及びそれに伴う放送設備の導入による多額の償却費も当社グループの経営成績に影響を与えるものであります。詳しくは「第2 事業の状況」の「事業等のリスク」に記載しております。
②.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローが12億5,583万円の収入超過、投資活動によるキャッシュ・フローが20億9,451万円の支出超過、財務活動によるキャッシュ・フローは4,413万円の支出超過となりました。RSKホールディングス株式会社、RSK山陽放送株式会社の新社屋建設に伴い、2020年度、2021年度においては、投資活動によるキャッシュ・フローの大幅な支出超過が想定されております。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当連結会計年度末の連結ベースの現金及び現金同等物は、73億6,845万円で、前連結会計年度に比べ8億7,349万円(10.5%)減少しました。
放送事業におきましては、放送継続にかかる設備投資は今後も対応していく必要があります。また、その他事業においても、引続き事業の再構築を進めることが必要になると思われ、健全な財政状態を維持するとともに、営業活動によるキャッシュ・フローの充実を図るつもりであります。なお、キャッシュ・フローの状況につきましては(1)経営成績等の状況の概要の②.キャッシュ・フローの状況に記載しております。
当社グループは現在、運転資金の一部を金融機関からの借入により調達しておりますが、当社においては設備資金、事業資金ともに自己資金にて対応しております。なお、2020年度の竣工を予定しております新社屋建設及びそれに伴う放送設備投資に伴い、現金及び現金同等物の減少が想定されております。
③.重要な会計方針及び見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 4.会計方針に関する事項」に記載しておりますが、特に下記の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定が重要であると考えております。
(退職給付に係る負債及び退職給付に係る資産の計算)
一部の連結子会社は、退職給付に係る負債及び退職給付に係る資産の計算を数理計算上の仮定に基づいて実施しております。
当該仮定には、割引率、年金資産の長期期待運用収益率等が含まれており、割引率は、安全性の高い長期の債券の利回りを基礎として決定し、また、年金資産の長期期待運用収益率は、過去の運用実績及び将来見通し等を基礎として決定しております。そのため、割引率及び長期期待運用収益率の変動は、将来の退職給付費用及び退職給付に係る負債並びに退職給付に係る資産に重要な影響を与える可能性があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産の減損の検討において、資産のグルーピングを行ったうえで、資産又は資産グループから得られる将来キャッシュ・フローを見積り、減損処理の要否を判断しております。そのため、当初見込んでいた収益が得られなくなった場合など、将来キャッシュ・フローの見積りに用いた仮定に変更があった場合には、固定資産の減損処理により重要な影響が生じる可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の検討において、過去の課税所得の推移や将来の課税所得の発生見込額等を勘案したうえで回収可能額を判断しております。そのため、当初見込んでいた課税所得が得られなくなった場合など、将来の課税所得の見積りに用いた仮定に変更があった場合には、繰延税金資産の取崩処理により重要な影響が生じる可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。